JP4329129B2 - ビオチン生合成遺伝子を含むdna断片およびその利用 - Google Patents

ビオチン生合成遺伝子を含むdna断片およびその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビオチンはヒト、動植物やある種の微生物に必要とされるビタミンの一つであり、ヒトや動物用の食品添加物として有用である。従来、微生物を用いたビオチンの製造方法としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、ミクロモノスポア(Micromonospore)属を用いる方法(特公昭41-21756号)、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属を用いる方法(特公昭42-3074号)、バシルス(Bacillus )属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属を用いる方法(特開昭56-160998号)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属を用いる方法(特開平6-133790)などが知られている。また、遺伝子工学的技術を用いて、ビオチン生産能力を有する微生物から単離されたビオチン生合成に関与する遺伝子を微生物に導入してビオチン生合成に関与する遺伝子の発現量を増大させることにより、ビオチン生合成反応を触媒する酵素の活性を増大させ、ビオチン生産能を向上させる微生物の育種方法も提案されている(特開昭61-202686、特開平2-27980、特開平7-231789等)。
【0003】
微生物細胞内でのビオチンの生合成に関与する遺伝子としては、エシェリヒア・コリ由来のbio A、bio B、bio F、bio D、bio C、bio H 遺伝子が知られている(Journal of Biological Chemistry ,vol.263 ,19577-19585(1988))。bio A 遺伝子とは7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、bio B 遺伝子とはビオチンシンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、bio F 遺伝子とは7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、bio D 遺伝子とはデスチオビオチンシンテターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、bio C 遺伝子とはビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階に関与する遺伝子であり、bio H 遺伝子についてはその働きは明らかでない。エシェリヒア・コリにおける生合成経路では、細胞内のピメリルCo-Aが7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼによって7-ケト-8-アミノペラルゴン酸に変換され、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸は7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼによってジアミノペラルゴン酸に変換され、ジアミノペラルゴン酸はデスチオビオチンシンテターゼによってデスチオビオチンに変換され、デスチオビオチンはビオチンシンターゼによってビオチンに変換されることによって、ビオチンが合成される。また、bio C 遺伝子を欠失するとビオチンの生成量が減少することから、該遺伝子はピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素の遺伝子であると考えられている(発酵と工業,46,102〜111,(1988))。エシェリヒア・コリ由来の bio A、bio B、bio F、bio D、bio C、bio H 遺伝子の塩基配列は既に特定されており、また、bio A、bio B、bio F、bio D、bio C遺伝子はオペロンを形成しており一つのオペレーターによって転写の制御を受けていることが知られている。
また、エシェリヒア・コリ属以外の属に属する微生物に由来するビオチン生合成に関与する遺伝子としては、セラチア・マルセッセンス由来の遺伝子(GenBank database , accession No.D17468)、バシラス・サブチリス由来の遺伝子(特開平7-231789)が報告されており、その塩基配列がそれぞれ特定されている。これら遺伝子の塩基配列はエシェリヒア・コリのそれとは異なるものの、その遺伝子産物の機能やビオチンの生合成経路はほぼエシェリヒア・コリと同様であることがわかっている。一方、バシラス・スファエリカス由来のビオチン生合成に関与する遺伝子が報告されている(Ohsawa et al., Gene 80, 39-48(1989)、Gloeckler et al., Gene 87, 63-70(1990))。バシラス・スファエリカスでは、ピメリルCo-Aより上流の生合成段階に関与する遺伝子、bio遺伝子の順序およびクラスター化等がエシェリヒア・コリとは異なる(Gloeckler et al., Gene 87, 63-70(1990))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれまでに、スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子については塩基配列や遺伝子産物の機能はもとよりその構成も全く知られておらず、そのためスフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子をビオチン生産微生物の遺伝子工学的育種に利用する技術は存在しなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような状況の下、本発明者らは鋭意検討を行った結果、スフィンゴモナス属に属する微生物からビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片を単離し、これをベクターに組み込んで宿主生物に導入することにより、ビオチンまたはビオチン前駆体の生産に用いるための形質転換体の創製が可能なことを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1)スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
2)遺伝子が、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子、7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子、デスチオビオチンシンテターゼ遺伝子、ビオチンシンターゼ遺伝子、ビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素の遺伝子、からなる群から1以上選ばれることを特徴とする前項1記載のDNA断片、
3)遺伝子が、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼをコードする遺伝子であることを特徴とする前項1記載のDNA断片、
4)配列番号1に示されるアミノ酸配列、または、配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
5)配列番号2に示されるアミノ酸配列、または、配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
6)配列番号3、4、または5に示される塩基配列を有する遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
7)遺伝子が、7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼをコードする遺伝子であることを特徴とする前項1記載のDNA断片、
8)配列番号6に示されるアミノ酸配列、または、配列番号6に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
9)配列番号7に示されるアミノ酸配列、または、配列番号7に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
10)配列番号8または9に示される塩基配列を有する遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
11)遺伝子が、デスチオビオチンシンテターゼをコードする遺伝子であることを特徴とする前項1記載のDNA断片、
12)配列番号10に示されるアミノ酸配列、または、配列番号10に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつデスチオビオチンシンテターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
13)配列番号11示されるアミノ酸配列、または、配列番号11示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつデスチオビオチンシンテターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
14)配列番号12または13に示される塩基配列を有する遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
15)遺伝子が、ビオチンシンターゼをコードする遺伝子であることを特徴とする前項1記載のDNA断片、
16)配列番号14に示されるアミノ酸配列、または、配列番号14に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつビオチンシンターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
17)配列番号15に示されるアミノ酸配列、または、配列番号15に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつビオチンシンターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
18)配列番号18に示されるアミノ酸配列を有し、かつビオチンシンターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
19)配列番号16、17、または19に示される塩基配列を有する遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
20)遺伝子が、ビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素をコードする遺伝子であることを特徴とする前項1記載のDNA断片、
21)配列番号20に示されるアミノ酸配列、または、配列番号20に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
22)配列番号21に示されるアミノ酸配列、または、配列番号21に示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
23)配列番号22または23に示される塩基配列を有する遺伝子を含むことを特徴とするDNA断片、
24)スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の部分塩基配列を有することを特徴とするDNA断片、
25)遺伝子が、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子、7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子、デスチオビオチンシンテターゼ遺伝子、ビオチンシンターゼ遺伝子、またはビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素の遺伝子であることを特徴とする前項24記載のDNA断片、
26)スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の、タンパク質をコードする領域からなることを特徴とするDNA断片、
27)遺伝子が、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子、7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子、デスチオビオチンシンテターゼ遺伝子、ビオチンシンターゼ遺伝子、またはビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素の遺伝子であることを特徴とする前項26記載のDNA断片、
28)スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の、タンパク質をコードする領域の上流に位置する遺伝子発現制御領域からなることを特徴とするDNA断片、
29)遺伝子が、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子、7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子、デスチオビオチンシンテターゼ遺伝子、ビオチンシンターゼ遺伝子、またはビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素の遺伝子であることを特徴とする前項28記載のDNA断片、
30)配列番号24または25に示される塩基配列を有することを特徴とするDNA断片、
31)スフィンゴモナス属に属する微生物がスフィンゴモナス・ポウシモビルス(Sphingomonas paucimobilis)JCM7511またはスフィンゴモナス・エスピー(Sphingomonas sp.)SC42405であることを特徴とする前項1、2、3、7、11、15、20、24、25、26、27、28、または29記載のDNA断片、
32)前項1〜31記載のDNA断片を含むことを特徴とするベクター。
33)前項1〜31記載のDNA断片を宿主細胞内で複製可能なベクターに挿入することを特徴とするベクターの作製方法、
34)タンパク質をコードする領域の上流に遺伝子発現制御領域が結合されてなることを特徴とする前項32記載のベクター、
35)前項1〜31記載のDNA断片、または前項32もしくは34記載のベクターが少なくとも1つ宿主細胞中に導入されてなることを特徴とする形質転換体、
36)宿主細胞が微生物であることを特徴とする前項35記載の形質転換体、
37)前項32または34記載のベクターを宿主細胞に導入することを特徴とする形質転換体の作製方法、
を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においてスフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子とは、スフィンゴモナス属に属する微生物細胞内でビオチン生合成に関わる酵素の遺伝子のことであり、例えば、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子(以下、本発明bio F遺伝子と記す。)、7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子(以下、本発明bio A遺伝子と記す。)、デスチオビオチンシンテターゼ遺伝子(以下、本発明bio D伝子と記す。)、ビオチンシンターゼ遺伝子(以下、本発明bio B伝子と記す。)、ビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素遺伝子(以下、本発明bio C遺伝子と記す。)などがあげられる。
【0007】
本発明bio F遺伝子としては、例えば、スフィンゴモナス属に属する微生物由来の7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼをコードする約1.1〜1.2 kbpの領域を含む遺伝子をあげることができる。さらに具体的には、配列番号1もしくは2に示されるアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子や、配列番号3、4、または5に示される塩基配列を有する7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子等があげられる。
【0008】
本発明bio A遺伝子としては、例えば、スフィンゴモナス属に属する微生物由来の7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼをコードする約1.2〜1.3 kbpの領域を含む遺伝子をあげることができる。さらに具体的には、配列番号6もしくは7に示されるアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子や、配列番号8または9に示される塩基配列を有する7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子等があげられる。
【0009】
本発明bio Dとしては、例えば、スフィンゴモナス属に属する微生物由来のデスチオビオチンシンテターゼをコードする約0.6 kbpの領域を含む遺伝子をあげることができる。さらに具体的には、配列番号10もしくは11に示されるアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつデスチオビオチンシンテターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子や、配列番号12または13に示される塩基配列を有するデスチオビオチンシンテターゼ遺伝子等があげられる。
【0010】
本発明bioB遺伝子としては、例えば、スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチンシンターゼをコードする約1.0 〜1.1 kbpの領域を含む遺伝子をあげることができる。さらに具体的には、配列番号14、15、もしくは18に示されるアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつビオチンシンターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子や、配列番号16、17、または19に示される塩基配列を有するビオチンシンターゼ遺伝子等があげられる。
【0011】
本発明bio C遺伝子としては、例えば、スフィンゴモナス属に属する微生物由来の、ビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素をコードする約0.8〜0.9kbpの領域を含む遺伝子をあげることができる。さらに具体的には、配列番号20もしくは21に示されるアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、修飾、もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子や、配列番号22または23に示される塩基配列を有するビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素の遺伝子等があげられる。
【0012】
本発明bio F、bio A、bio D、bio B、bio C遺伝子を単離する目的に用いられる微生物は、スフィンゴモナス属に属するビオチン生産菌、つまりビオチン生合成に関与する遺伝子を有する微生物であれば、自然界から分離された菌株でも該分離菌株に変異が導入された菌株でもよく、例えば特開平6-133790号に記載されたスフィンゴモナス・ポウシモビルス JCM7511株やスフィンゴモナス・エスピー(Sphingomonas sp.)SC42405株などがあげられる。スフィンゴモナス・ポウシモビルス JCM7511株は理化学研究所生物系統保存施設において分譲可能な状態で保管されており、また、スフィンゴモナス・エスピー SC42405株は、ブダペスト条約下において、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM-BP3995として寄託(受理日:平成4年9月3日)され、米国特許第5432067号に開示されている。
【0013】
スフィンゴモナス属に属するビオチン生産菌からビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片を調製する方法の一例を以下に示す。
まず、スフィンゴモナス属に属する微生物の染色体DNAを、例えばBiochemica. Biophysica. Acta., vol.72, 619〜629 (1963)等に記載される通常の染色体DNAの抽出方法により単離する。単離された染色体DNAを適当な制限酵素、例えば Sau 3AIなどで部分分解し、得られたDNA断片を適当なベクターに組み込み染色体DNAライブラリーを作製する。ここで用いられるベクターとしては、該染色体DNAライブラリーを導入する菌株内で増殖、複製が可能なものであればよく、例えばプラスミド、バクテリオファージやコスミドなどがあげられる。
このようにして作製された染色体DNAライブラリーから、ビオチン生合成に関与する遺伝子を特定、単離する方法としては、ビオチン生合成に関与する遺伝子が欠失しビオチン要求性を示す遺伝子欠損変異株に染色体DNAライブラリーを導入し、得られた形質転換体の中からビオチン生産能を回復した菌株を選択する方法が挙げられる。この方法に用いられるビオチン要求性変異株としては、導入されたスフィンゴモナス属に属する微生物の染色体DNA断片が該菌体内で発現可能であればよく、そのような変異株は例えば、Proceeding of the National Academy of Sciences U.S.A., vol. 69, 2219 (1972)やJournal of Bacteriology, vol.115, 662(1973)などに記載の公知の方法により調製することができる。染色体DNAライブラリーをビオチン要求性変異株に導入する方法としては、例えば塩化カルシウムで菌体を処理する方法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))、エレクトロポーレーション法(Current Protocols in Molecular Biology, vol.1, John Wiley & Sons. Inc. ISBNO-471-50338-X(1987))等の公知の方法があげられる。
こうして得られたビオチン要求性変異株の形質転換体を、ビオチンを含まない適当な選択培地に塗沫して培養し、生育してきた形質転換体を選択する。このようにして選択された形質転換体が、スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片が組み込まれたベクターを保持する菌株の候補である。
該形質転換体より、例えばベクターがプラスミドやコスミドであれば、アルカリ溶解法や煮沸法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))、またベクターがバクテリオファージであれば密度勾配遠心やイオン交換クロマトグラフィーを用いる方法(Current Protocols in Molecular Biology, vol.1, John Wiley & Sons.Inc. ISBNO-471-50338-X(1987))等の通常の方法により組換えベクターを抽出し、その塩基配列をサンガーダイデオキシメディエイテッドチェインターミネーション法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))等の方法によって解析することにより、ベクターに組み込まれたDNA断片の塩基配列を決定することができる。
決定された塩基配列中に見出される500 bp以上のオープンリーディングフレームの中から、例えば、bio F欠損変異株を用いて得られたDNA 断片であれば既知のbio F遺伝子と、bio A欠損変異株を用いて得られたDNA断片であれば既知のbio A遺伝子と、bio D欠損変異株を用いて得られたDNA断片であれば既知のbio D遺伝子と、bio B欠損変異株を用いて得られたDNA断片であれば既知のbio B遺伝子と、bio C欠損変異株を用いて得られたDNA断片であれば既知の bio C遺伝子と、それぞれ塩基配列の相同性の高いタンパク質コーディング領域を選び出せば、これらをスフィンゴモナス属細菌のビオチン生合成に関与する遺伝子であると特定することができる。また、各コーディング領域ごとに適当な制限酵素で切り出し、各コーディング領域を含むサブクローンを作製し、例えば、bio F欠損変異株を用いて得られたDNA断片のサブクローンであればbio F欠損変異株に、bio A欠損変異株を用いて得られたDNA断片のサブクローンであればbio A欠損変異株に、bio D欠損変異株を用いて得られたDNA断片のサブクローンであればbio D欠損変異株に、bio B欠損変異株を用いて得られたDNA断片のサブクローンであればbio B欠損変異株に、bio C欠損変異株を用いて得られたDNA断片のサブクローンであればbio C欠損変異株に、それぞれ導入して、ビオチンを含まない適当な選択培地上での該遺伝子導入菌株の生育を調べることにより、生育可能となった欠損変異株に保持されているサブクローンに含まれるコーディング領域をスフィンゴモナス属細菌のビオチン生合成に関与する各遺伝子と特定することも可能である。
【0014】
さらに、取得した目的の遺伝子は、例えばMolecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等に記載の通常の変異導入方法によって、機能を増大させることが可能である。変異の導入はビオチン生合成に関与する遺伝子であればいずれの遺伝子にも行うことができる。特にビオチンの生合成経路の律速段階であることの多いデスチオビオチンからビオチンへの変換反応を触媒するビオチンシンターゼをコードしている bio B 遺伝子への変異の導入がビオチンの生産性を向上させる上で有効である。また、導入する変異は、例えば、酵素活性を増大したりタンパク質の安定性を向上させるような、タンパク質をコードする領域中の変異であってもよいし、遺伝子発現量を増大させるような、遺伝子発現制御領域の中の変異であってもよい。変異を導入した遺伝子を、例えば、前述のようにビオチン要求性を示す遺伝子欠損変異株に導入して発現させ、遺伝子欠損を相補する能力を野生型遺伝子と比較することにより、ビオチン生産性の向上に寄与しうる変異遺伝子を選択することができる。また、変異を導入した遺伝子を微生物内で発現させ、導入遺伝子にコードされている酵素の生成量、酵素活性、または該酵素によって触媒される反応によって生成される化合物の生成量等を野生型遺伝子を用いた場合と比較することにより、ビオチン生産性の向上に寄与しうる変異遺伝子を選択することもできる。なお、ビオチン生合成経路の中でピメリルCo-Aより上流の生合成段階の反応を触媒する活性を有する酵素、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ、7,8-ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラーゼ、デスチオビオチンシンテターゼの酵素活性は、例えば、Y. Izumi et al., Methods in Enzymolozy, vol.62, 326-338, (1979)等に記載の方法により測定することができる。また、ビオチンシンターゼの酵素活性は、例えば、I.Sanyal et al., Archives of Biochemistry and Biophhysics, vol.326, 48-56,(1996)やA.Mejean et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, vol.217, 1231-1237, (1995)等に記載の方法で測定すればよい。
上記のような変異導入遺伝子として、具体的には例えば、配列番号19に示される塩基配列を有するビオチンシンターゼ遺伝子があげられる。該遺伝子は、配列番号16に示される塩基配列を有するビオチンシンターゼ遺伝子と比較して、開始コドン(ATG)のAを+1としたときの-57番目の塩基と706番目の塩基が置換されている。また、変異導入遺伝子の例として、配列番号5に示される塩基配列を有する7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子をあげることもできる。該遺伝子は、配列番号4に示される塩基配列を有する7-ケト-8-アミノペラルゴン酸シンテターゼ遺伝子と比較して、開始コドン(ATG)のAを+1としたときの-11番目の塩基が置換されている。
【0015】
本発明における「スフィンゴモナス(Sphingomonas)属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片」とは、スフィンゴモナス属に属する微生物細胞内でビオチン生合成に関わる酵素の遺伝子を1以上含むDNA断片を意味し、上述のようにして微生物から単離されたDNA断片であってもよいし、種々の微生物株から単離されたビオチン生合成に関わる酵素の遺伝子またはその変異導入遺伝子が連結されてなるDNA断片であってもよい。
【0016】
また、本発明は、上記のようなスフィンゴモナス(Sphingomonas)属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片をも提供する。該DNA断片は、例えば、ハイブリダイゼーション法に用いるプローブやPCR法におけるプライマーとして有用である。PCR法におけるプライマーとしては、一般的に、アニーリングの特異性が確保される点からは塩基数が多い方がよいが、一方、塩基数が多くなるに従って、PCR反応時にプライマー自身が高次構造を取り易くアニーリング効率が悪くなる場合があり、合成後の精製時に煩雑な操作が必要となることを考慮すると、塩基数は多すぎない方がよい。通常、塩基数が15以上50以下の1本鎖DNAからなる遺伝子断片が好ましい。具体的には例えば、表1に示されるプライマーBF、BR、BF1、BR1、C1、C6の塩基配列を有するDNA断片や、表2に示されるプライマーBF4、BR4、F2、F3、CDA1、CDA6、CDA3、CDA7の塩基配列を有するDNA断片をあげることができる。
【0017】
【表1】
PCRプライマー
Figure 0004329129
【0018】
【表2】
PCRプライマー
Figure 0004329129
【0019】
スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子は、タンパク質をコードする領域及びその上流や下流に位置する遺伝子発現制御領域を含有する。
スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の、タンパク質をコードする領域からなるDNA断片は、例えば、前記遺伝子を宿主細胞内で発現させるためのベクターの構築において、これを宿主細胞内で機能可能なプロモーターと結合する工程等に用いることができる。
また、遺伝子発現制御領域とは、タンパク質をコードする領域の上流や下流に位置する、数10〜数100bpの領域で、その前後にコードされているタンパク質の発現量の制御に大きな影響を与える領域をいう。中でもタンパク質をコードする領域の上流に位置するプロモーターは重要な遺伝子発現制御領域である。具体的には、例えば、配列番号16において開始コドン(ATG)のAを+1としたときの、-222〜-1に示される塩基配列を有する領域、配列番号4において開始コドン(ATG)のAを+1としたときの、-201〜-1に示される塩基配列を有する領域等があげられる。
遺伝子発現制御領域を特定するには、例えば、スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の、タンパク質をコードする領域の前後の塩基配列に点変異や欠失、挿入等の変異を導入し、該遺伝子を微生物で発現させて当該遺伝子にコードされている酵素の生成量、酵素活性、または酵素によって触媒される反応によって生成する化合物の生成量等を測定し、変異の導入により前記の値が大きく変化を示す領域を見出すとよい。また、上記遺伝子のタンパク質をコードする領域を、生成量や酵素活性の測定が容易なタンパク質をコードする遺伝子に置き換えて同様に実験してもよい。以上のような方法で遺伝子発現制御領域を特定し、これを取得することができる。
さらに、取得した遺伝子発現制御領域は、前述のように例えばPCR法などにより、置換、欠失、挿入等の変異を導入して、より遺伝子発現量の高い遺伝子発現制御領域に改変することが可能である。また、突然変異等により目的とするタンパク質の生成量や酵素の活性が上昇した変異株から遺伝子を単離することによって、遺伝子発現量の高い遺伝子発現制御領域を取得することもできる。このような遺伝子発現制御領域として、例えば、配列番号24および25に示される塩基配列を有する遺伝子発現制御領域をあげることができる。
スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の、上記のような遺伝子発現制御領域からなるDNA断片は、例えば、遺伝子をスフィンゴモナス属に属する微生物内で発現させるためのベクターの構築等に利用することができる。
【0020】
こうして得られたスフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子またはその部分塩基配列を有するDNA断片を、宿主細胞内で複製可能なベクターに挿入することにより、前記遺伝子またはその1部分を宿主細胞に導入するためのベクターを構築することができる。さらに、前記遺伝子のタンパク質をコードする領域の上流に遺伝子発現制御領域を結合してベクターに組み込むことにより、該遺伝子を宿主細胞で発現させるためのベクターを構築することができる。
ここで使用されるDNA断片としては、例えば、前述のようにして取得されたスフィンゴモナス属に属する微生物のビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片をあらかじめベクターに連結しやすいように適当な制限酵素で適当な大きさに切断したDNA断片や、適当な制限酵素部位がなければPCRを用いて任意の制限酵素部位をビオチン生合成に関与する遺伝子の両端に導入したDNA断片等をあげることができる。
ベクターに挿入される遺伝子としては、前述の本発明bio F、bio A、bio D、bio B、bio C遺伝子からなる群から選ばれる1以上の遺伝子であればよい。例えば、前記遺伝子の全てがベクターに挿入されていてもよいし、そのうちのいくつかがベクターに挿入されていてもよい。さらに、特定の酵素活性を上昇させる目的で特定の遺伝子を複数挿入してもよい。また、必要に応じて、後述の形質転換体の選抜に有用な薬剤耐性遺伝子等の選択マーカー遺伝子や、宿主細胞の染色体との相同組換えに利用される染色体DNA等を、前記遺伝子と共に同一ベクター上に挿入することもできる。
タンパク質をコードする領域の上流に結合される遺伝子発現制御領域としては、宿主細胞内で遺伝子発現を制御する機能を有する塩基配列であればよく、例えば、宿主細胞がスフィンゴモナス属に属する微生物である場合には、前述のような、スフィンゴモナス属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子の遺伝子発現制御領域をあげることができる。また、宿主細胞が大腸菌である場合には、例えば、大腸菌内で遺伝子発現制御活性を示す市販のプロモーターを利用することができる。
DNA断片を挿入するベクターは、宿主細胞内、例えば微生物内で複製可能なベクターであればよく、例えば宿主細胞がスフィンゴモナス属に属する微生物である場合には、不和合性群Pに分類されるRK2やRK2由来のプラスミドベクター(Plasmids, vol.13, 149-153, (1985)、Journal of Bacteriology, vol. 167 , 604-610(1986))、不和合性群Qに分類されるRSF1010やRSF1010由来のプラスミドベクター(Gene, vol. 16, 237-247, (1981))等が利用できる。また、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌内で複製可能な市販のプラスミドやファージ等が利用できる。
【0021】
このようにして構築された、ビオチン生合成に関与する遺伝子を含むベクターを宿主細胞、例えば宿主微生物に導入することにより形質転換体の創製が可能になる。
ビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片を導入する宿主細胞は、導入したDNA断片が安定に保持され、遺伝子が発現されれば特に限定されない。例えば、スフィンゴモナス属に属する微生物や、大腸菌等をあげることができる。
ベクターを宿主細胞に導入する方法としては、通常の遺伝子工学的方法を用いることができる。例えば、宿主微生物に導入する方法としては、塩化カルシウムで菌体を処理する方法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))や、エレクトロポーレーション法(Current Protocols in Molecular Biology, vol.1, John Wiley & Sons. Inc. ISBNO-471-50338-X(1987))等の通常の方法があげられる。また、相同組換えを利用して宿主細胞の染色体に目的のDNA断片を挿入する遺伝子導入方法も用いることができる。例えば、ビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片の両端に宿主細胞由来の染色体DNA断片を結合してベクターに挿入し、これを宿主細胞に導入する。ベクター上の染色体DNAと、宿主細胞の染色体DNAの間で相同組換えが起こると、ビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片が宿主細胞の染色体に導入された形質転換体が得られる。
上記のようにビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片を導入し、形質転換された微生物は、ベクター等に含まれ遺伝子と共に導入された選択マーカー遺伝子の表現型によって効率よく選択できる。例えば、選択マーカー遺伝子が、アンピシリン耐性遺伝子であれば、遺伝子導入操作後、菌体をアンピシリンを含む適当な栄養培地に塗布し、生育してきたコロニーを釣菌分離することにより形質転換体を得ることができる。このようにしてビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片が導入されてなる形質転換体を得ることができる。該形質転換体は、ビオチン、および、ビオチン生合成の前駆体である7-ケト-8-アミノペラルゴン酸、7,8-ジアミノペラルゴン酸およびデスチオビオチン等の製造に利用することができる。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1 ビオチン生合成に関与する遺伝子の単離
(1-A)スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511の染色体DNAの調製
LB培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl)200 mlに、スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511の1白金耳を接種し、30℃で15時間振とう培養し、対数増殖期の菌体を遠心分離(8000rpm、10分間)により集めた。集められた菌体を20ml のAバッファー(25% ショ糖、50mM Tris-HCl(pH8.0))に懸濁し、2.5mlの塩化リゾチーム溶液(50mg/ml)を加え、37℃で30分間保温した後、2.5mlのSDS溶液(10%(v/v))と0.25mlのEDTA溶液(0.5M)を加え、37℃で16時間保温した。次に、等量のTE飽和フェノールを加え、ゆっくりとかき混ぜた後、遠心分離(10,000rpm、10分間)し、上層を回収することにより除タンパクを行い、さらに該除タンパク操作を5回行った。次に回収された上層に2倍容量のエタノールを加えてDNAを沈殿させ、ガラス棒でDNAを巻きつけて回収し、70% エタノールで洗浄した後、風乾し、20 mlのTEバッファーに溶解し、20μlのRNase(10mg/ml)を加えて、16時間、37℃で保温した。こうして、スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511の染色体DNA約21mgを含むDNA溶液を得た。
【0024】
(1-B)染色体DNAライブラリーの作製
(1-A)で得られた染色体DNA43μgを15Uの制限酵素Sau 3AIで37℃、2分間処理して部分分解した。この部分分解染色体DNA断片とプラスミドベクターpUC19(宝酒造(株)製)を制限酵素Bam HIで切断した後、脱リン酸化したものとを混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、部分分解染色体DNA断片とプラスミドベクターpUC19を結合させ種々のDNA断片を含んだ組換えプラスミドを作製した。
【0025】
(1-C)ビオチン生合成に関与する遺伝子のDNA断片を含む組換えプラスミドの選抜
(1-B)で得られた組換えプラスミドをジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧18 kV/cm、キャパシタンス25μF、抵抗 400Ω)によりbio F欠損変異大腸菌(R874)、bio A欠損変異大腸菌(R879)、bio B欠損変異大腸菌(R875)、bio C欠損変異大腸菌(R876)のそれぞれの菌株(Journal of Bacteriology, vol. 94, 2065-2066(1972)、Journal of Bacteriology, vol. 112, 830-839 (1972))に導入し、ビオチンを含まない選択寒天培地(1.48% Na2HPO4-7H2O、0.3% KH2PO4、0.05% NaCl、0.1% NH4Cl、0.005% アンピシリン、1.5% 寒天)に塗布し、37℃、2日培養した。培地上で生育し、コロニーを形成した菌株を釣菌し、LB 培地を用いて 37℃、16 時間培養し、アルカリ溶解法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))によりプラスミドを抽出し、該プラスミドを制限酵素により切断し、アガロースゲル電気泳動を用いて調べたところ、各欠損株に導入された組換えプラスミドは表3に示す大きさの挿入断片を含んでいた。
【0026】
【表3】
欠損株の生育を相補する組換えプラスミド
Figure 0004329129
【0027】
(1-D)ビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の解析
(1-C)で得られた組換えプラスミドpBC01、pBC02、pBC03、pBC04、pBC05について、キロシークエンス用デリーションキット(宝酒造(株)製)を用いて以下に示す方法で種々の大きさの挿入断片を含むデリーションクローンを作製した。
組換えプラスミドpBC01、pBC02、pBC03、pBC04、pBC05の各20μgを、pBC01はSma IとKpn I、pBC02はPst IとXba I、pBC03、pBC04およびpBC05はXba IとSse 8387I、でそれぞれ切断し、フェノール抽出により酵素を除いた後、エタノール沈澱によりDNAを沈澱させた。得られた DNAを100μlのExo IIIバッファー(50mM Tris-HCl (pH8.0), 100mM NaCl, 5mM MgCl2, 10mM 2-メルカプトエタノール)に溶解し、180ユニットのエキソヌクレアーゼIIIを加えて撹拌し、37℃にてインキュベートした。この溶液を1分ごとに10μlずつサンプリングし、氷冷した100μlのMBヌクレアーゼバッファー(40mM Na-acetate(pH4.5), 100mM NaCl, 2mM ZnCl2, 10% グリセロール)中に混合し、65℃、5分間の処理によりエキソヌクレアーゼIIIを失活させた。この溶液を37℃にもどした後、50ユニットのMBヌクレアーゼを加え、60分間インキュベートし、フェノール抽出により酵素を除いた後、エタノール沈澱によりDNAを沈澱させた。得られた DNAを、50μlのクレノーバッファー(7mM Tris-HCl(pH7.5), 0.1mM EDTA , 20mM NaCl, 7mM MgCl2, dNTP各 0.1mM)に溶解し、2ユニットのクレノーフラグメントを加え、37℃で15分間インキュベートした。この溶液の10μlを100 μlのライゲーションソリューションA に加え、さらに 12μ lのライゲーションソリューションBを加えて、16℃で1時間インキュベートした後、エタノール沈殿によりDNAを濃縮し、5μlの滅菌水に溶解して、その溶液を大腸菌 JM109株に導入し、アンピシリン(0.005%)を含む LB 寒天培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl、1.5% 寒天)に塗布して、37℃で16時間培養した。生育したコロニーからプラスミドを抽出して挿入DNA断片の大きさを調べ、pBC01のデリーションクローンとしては約250 bpずつ大きさの異なる250 bp〜1.8 kbpの挿入断片を有する 8 クローン、pBC02のデリーションクローンとしては約250 bpずつ大きさの異なる250 bp〜2.8kbpの挿入断片を有する12クローン、pBC03のデリーションクローンとしては約250 bpずつ大きさの異なる250 bp〜1.4 kbpの挿入断片を有する6クローン、pBC04のデリーションクローンとしては約250 bpずつ大きさの異なる250 bp〜1.4 kbpの挿入断片を有する6クローン、pBC05のデリーションクローンとしては約250bpずつ大きさの異なる250 bp〜3.7 kbpの挿入断片を有する15クローン、をそれぞれ選抜した。
各デリーションクローンは、アルカリ溶解法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))により抽出し、300 ngを鋳型にし、M13 プライマーM4(宝酒造(株)製)またはM13 プライマーRV(宝酒造(株)製)をプライマーに用いてABIプリズムダイターミネーターサイクルシークエンシングレディーリアクションキット(パーキンエルマー社製)によりシークエンス反応を行い、自動塩基配列解析装置373A(パーキンエルマー社製)を用いて塩基配列を解析した。
各組換えプラスミドの挿入断片の塩基配列の中からビオチン生合成に関与する遺伝子を特定するために、断片中に存在する500 bp以上のオープンリーディングフレームの中から、既知のbio F遺伝子、bio A遺伝子、bio D遺伝子、bio B遺伝子、bio C遺伝子、とそれぞれ塩基配列の相同性の高いタンパク質コーディング領域を選び出し、これらをスフィンゴモナス属細菌の各遺伝子であると特定した。pBC01にはbio F(配列番号3)が、pBC02にはbio D(配列番号12)とbio A(配列番号8)が、pBC03にはbio B(配列番号16)が、pBC04と pBC05には bio C(配列番号22)が、それぞれ含まれていた。また、独立して得られたpBC01、pBC02の挿入断片の塩基配列を比較検討した結果、pBC01と pBC02の挿入断片は染色体上ではひとつながりのDNAであることが判明し、bio F、bio D、bio Aは一つのオペロンを形成していることが明らかになった。
【0028】
実施例2 ビオチン生合成に関与する遺伝子の単離
(2-A)スフィンゴモナス・エスピーSC42405の染色体DNAの調製
LB培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl)200mlに、スフィンゴモナス・エスピーSC42405の1白金耳を接種し、30℃で15時間振とう培養し、対数増殖期の菌体を遠心分離(8000 rpm、10分間)により集めた。集められた菌体を20mlのAバッファー(25% ショ糖、50mM Tris-HCl(pH 8.0))に懸濁し、2.5mlの塩化リゾチーム溶液(50mg/ml)を加え、37℃で30分間保温した後、2.5mlのSDS溶液(10%(v/v))と 0.25mlのEDTA溶液(0.5M)を加え、37℃で16時間保温した。次に、等量のTE飽和フェノールを加え、ゆっくりとかき混ぜた後、遠心分離(10,000rpm、10分間)し、上層を回収することにより除タンパクを行い、さらに該除タンパク操作を5回行った。次に回収された上層に2倍容量のエタノールを加えてDNAを沈殿させ、ガラス棒でDNAを巻きつけて回収し、70% エタノールで洗浄した後、風乾し、20mlのTEバッファーに溶解し、20μlのRNase(10mg/ml)を加えて、16時間、37℃で保温した。こうして、スフィンゴモナス・エスピーSC42405の染色体DNA 約21mgを含むDNA溶液を得た。
【0029】
(2-B)染色体DNAライブラリーの作製
(2-A)で得られた染色体DNA50 μgを 15 Uの制限酵素Sau 3AIで37℃、2.5分間処理して部分分解した。この部分分解染色体DNA断片とプラスミドベクターpUC19(宝酒造(株)製)を制限酵素Bam HIで切断した後、脱リン酸化したものとを混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、部分分解染色体DNA断片とプラスミドベクターpUC19を結合させ種々のDNA断片を含んだ組換えプラスミドを作製した。
【0030】
(2-C)ビオチン生合成に関与する遺伝子のDNA断片を含む組換えプラスミドの選抜
(2-B)で得られた組換えプラスミドをジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧18 kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)により bio F欠損変異大腸菌(R874)、bio A欠損変異大腸菌(R879)、bio B欠損変異大腸菌(R875)、bio C欠損変異大腸菌(R876)のそれぞれの菌株(Journal of Bacteriology, vol.94, 2065-2066(1972)、Journal of Bacteriology, vol. 112, 830-839 (1972))に導入し、該菌株をビオチンを含まない選択寒天培地(1.71% Na2HPO4-12H2O、0.3% KH2PO4、0.05% NaCl、0.1% NH4Cl、0.005% アンピシリン、0.2mM IPTG、1.5% 寒天)に塗布し、37℃、2日培養した。培地上で生育し、コロニーを形成した菌株を釣菌し、LB培地を用いて 37℃、16時間培養し、アルカリ溶解法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))によりプラスミドを抽出し、該プラスミドを制限酵素により切断し、アガロースゲル電気泳動を用いて調べたところ、各欠損株に導入された組換えプラスミドは表4に示す大きさの挿入断片を含んでいた。
【0031】
【表4】
欠損株の生育を相補する組換えプラスミド
Figure 0004329129
【0032】
(2-D)ビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の解析
(2-C)で得られた組換えプラスミドpBC11、pBC12、pBC13、pBC14、pBC15について、キロシークエンス用デリーションキット(宝酒造(株)製)を用いて以下に示す方法で種々の大きさの挿入断片を含むデリーションクローンを作製した。
組換えプラスミドpBC11、pBC12、pBC13、pBC14、pBC15の各 20μgをpBC11は Xba Iと Sse 8387I、pBC12およびpBC13はPst IとXba I、pBC14およびpBC15はXba IとKpn I、でそれぞれ切断し、フェノール抽出により酵素を除いた後、エタノール沈澱によりDNAを沈澱させた。得られた DNA を 100μl の Exo IIIバッファー(50mM Tris-HCl(pH8.0), 100mM NaCl , 5mM MgCl2 , 10mM 2-メルカプトエタノール)に溶解し、180ユニットのエキソヌクレアーゼ IIIを加えて撹拌し、37℃にてインキュベートした。この溶液を1分ごとに10μlずつサンプリングし、氷冷した100μlのMBヌクレアーゼバッファー(40 mM Na-acetate(pH4.5), 100mM NaCl, 2mM ZnCl2, 10% グリセロール)中に混合し、65℃、5 分間の処理によりエキソヌクレアーゼIIIを失活させた。この溶液を37℃にもどした後、50 ユニットのMBヌクレアーゼを加え、60 分間インキュベートし、フェノール抽出により酵素を除いた後、エタノール沈澱によりDNAを沈澱させた。得られたDNAを、50μlのクレノーバッファー(7mM Tris-HCl (pH7.5), 0.1mM EDTA, 20mM NaCl, 7mM MgCl2, dNTP 各 0.1mM)に溶解し、2 ユニットのクレノーフラグメントを加え、37℃で 15分間インキュベートした。この溶液の10μlを100 μlのライゲーションソリューションAに加え、さらに12μlの ライゲーションソリューションBを加えて、16℃で1時間インキュベートした後、エタノール沈殿によりDNAを濃縮し、5μlの滅菌水に溶解して、それを大腸菌 JM109に導入し、アンピシリン(0.005%)を含む LB寒天培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl、1.5% 寒天)に塗布して、37℃で16時間培養した。生育したコロニーからプラスミドを抽出して挿入DNA断片の大きさを調べ、pBC11のデリーションクローンとしては約250 bpずつ大きさの異なる250 bp〜2.3 kbpの挿入断片を有する9クローン、pBC12のデリーションクローンとしては約250 bpずつ大きさの異なる250 bp〜2.2 kbpの挿入断片を有する8クローン、pBC13のデリーションクローンとしては約250bpずつ大きさの異なる250 bp〜2.6 kbpの挿入断片を有する10クローン、pBC14のデリーションクローンとしては約250 bpずつ大きさの異なる250 bp 〜1.9 kbpの挿入断片を有する8クローン、pBC15のデリーションクローンとしては約 250 bpずつ大きさの異なる250 bp〜2.0 kbpの挿入断片を有する8クローン、をそれぞれ選抜した。
各デリーションクローンは、アルカリ溶解法(Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))により抽出し、300 ngを鋳型にし、M13プライマーM4(宝酒造(株)製)またはM13プライマーRV(宝酒造(株)製)をプライマーに用いてABIプリズムダイターミネーターサイクルシークエンシングレディーリアクションキット(パーキンエルマー社製)によりシークエンス反応を行い、自動塩基配列解析装置373A(パーキンエルマー社製)を用いて塩基配列を解析した。
各組換えプラスミドの挿入断片の塩基配列の中からビオチン生合成に関与する遺伝子遺伝子を特定するために、断片中に存在する500 bp 以上のオープンリーディングフレームの中から、既知のbio F遺伝子、bio A遺伝子、bio D遺伝子、bioB遺伝子、bio C遺伝子と、それぞれ塩基配列の相同性の高いタンパク質コーディング領域を選び出し、これらをスフィンゴモナス属細菌の各遺伝子であると特定した。pBC11には bio F(配列番号4)が、pBC12と pBC13には bio D (配列番号13)と bio A(配列番号9) が、pBC14には bio B(配列番号17)が、pBC15には bio C(配列番号23)が、それぞれ含まれていた。独立して得られたpBC12、pBC13、pBC15の挿入断片の塩基配列を比較検討した結果、pBC12、pBC13、pBC15の挿入断片は染色体上ではひとつながりのDNAであり、bio Cの終止コドンTGAとbio Dの開始コドンATGが塩基配列TGにおいて重なり、またbio Dの終止コドンTGAとbio Aの開始コドンATGが塩基配列TGにおいて重なり、bio C、bio D 、bio Aが一つのオペロンを形成していることが明らかになった。
【0033】
実施例3 組換えプラスミド pJAWの作製
(E)プラスミドベクターpJAβ2の作製
プラスミドベクターRK2由来のプラスミドベクターpJAJ7(Journal of Bacteriology, vol. 162, 604-614 (1986))1μgを制限酵素Pst IとBam HIで切断し、DNAブランティングキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い切断末端の平滑化を行った。それらをアガロースゲル電気泳動により分離し、約10 kbpのDNA断片を単離した。また、プラスミドベクター pBluescript SK(+)(ストラタジーンクローニングシステムズ製)2μgを制限酵素Hae IIIで切断し、DNAブランティングキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い切断末端の平滑化を行った。それらをアガロースゲル電気泳動により分離し、約0.7 kbpのDNA断片を単離した。こうして得られた約10 kbpのDNA断片と約0.7 kbpのDNA断片全量を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドを pJAβ2(図1)と命名した。
【0034】
(F)プラスミドpJAWの作製
実施例1(1-A)で得られた染色体DNAを鋳型に、表5に示すプライマー BF と BR を用いてPCR(反応組成:10mM Tris-HCl(pH8.8), 10mM KCl, 0.002(v/v)% Tween 20, 1.5mM MgCl2, 40μM 各 dNTP, 20pmol 各プライマー , 0.5〜100 ng 染色体DNA, 3U UlTmaTMDNApolymerase(パーキンエルマー社製)/100μl、反応サイクル:97℃で2分間保温した後、97℃で1分間次いで55℃で1分間さらに72℃で1.5分間の保温を30サイクル行い、さらに、72℃で7分間保温)を行ない、bio Bのコーディング領域の上流145 bpからコーディング領域の下流154 bpまでの合計1325 bpを含み、その両端にXba I部位が導入されたDNA断片を調製した。このDNA断片を制限酵素Xba Iで切断したDNA断片と、プラスミドベクター pJAβ2を制限酵素 Xba Iで切断し脱リン酸化して得たDNA断片を混合し、これらをライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い結合させ、得られたプラスミドをpJAW(図2)と命名した。
【0035】
【表5】
PCRプライマー
Figure 0004329129
【0036】
実施例4 pJAWを導入した形質転換体の作製
実施例3で得られたプラスミド pJAW をジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧 18 kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)によりスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511に導入し、形質転換体であるスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pJAWを得た。
【0037】
実施例5 組換えプラスミド pJA41の作製
実施例3で得られたプラスミドpJAWを制限酵素Eco 52IとBsp 1286Iで部分分解して得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離し、bio Bの開始コドンATGのAを+1としたときの-72塩基目から718塩基目の塩基配列をpJAWから欠失させた約11.8 kbpのDNA断片を回収した。一方で、実施例1(1-A)で得られた染色体DNAを鋳型に、表5に示すプライマーBF1とBR1を用いてPCR(反応組成:10mM Tris-HCl(pH8.8) , 10mM KCl , 0.002(v/v)% Tween 20 ,1.5mM MgCl2 ,40μM 各 dNTP , 20 pmol 各プライマー , 0.5〜100ng 染色体DNA , 3 U UlTmaTMDNApolymerase(パーキンエルマー社製)/100 μl、反応サイクル:97℃で1分間保温した後、97℃で0.5分間次いで60℃で1分間さらに72℃で1.5分間の保温を30サイクル行い、さらに、72℃で7分間保温)を行ない、bio Bの翻訳開始コドンのATGを+1としたときの-75塩基目から721塩基目の塩基配列を有するDNA断片を調製した。次いで、このDNA断片を制限酵素Eco 52IとBsp 1286Iで部分分解して得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離し、約 0.8 kbp のDNA断片を回収した。得られたDNA断片の塩基配列を分析したところ、配列番号19の塩基番号1〜1336に示される塩基配列が確認された。こうして得られたDNA断片をライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い結合させ、得られたプラスミドをpJA41(図3)と命名した。
【0038】
実施例6 pJA41を導入した形質転換体の作製
実施例5で得られたプラスミドpJA41をジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧 18 kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)によりスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511に導入し、スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pJA41を得た。
【0039】
実施例7 スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pJAW、pJA41 のビオチン生産性
スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pJAWとスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pJA41の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3ml の培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.2))にそれぞれ植菌した。また対照として、遺伝子を導入していないスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3 mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O(pH7.2))に植菌した。これら3種の菌を 30℃で2日間培養(250 rpm)して、前培養液とした。こうして得られたスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pJAWとスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pJA41の前培養液200μlを大型試験管(22×220mm)に入れた10 mlの培地(4% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4-7H2O、0.001% FeSO4-7H2O、0.001% MnSO4-4〜6H2O、0.000002% チアミンHCl、0.005% テトラサイクリン(pH7.0))にそれぞれ植菌した。また対照として、スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511の前培養液200μlを大型試験管(22×220mm)に入れた10mlの培地(4% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4-7H2O、0.001% FeSO4-7H2O、0.001% MnSO4-4〜6H2O、0.000002% チアミンHCl(pH7.0))に植菌した。これら3種の菌を 30℃で4日間培養した(250 rpm)。それぞれの培養液中に生成蓄積したビオチンの濃度を、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)IFO 3070株を用いた微生物学的定量法(和泉と山田、ビタミン学実験法II. 水溶性ビタミン. p.481-499、日本ビタミン学会編、東京化学同人、1985)により定量したところ生成したビオチンの濃度は表6に示す通りであった。
【0040】
【表6】
Figure 0004329129
*遺伝子を導入していない株との比較で表した値
【0041】
実施例8 組換えプラスミドpSP302の作製
実施例1で得られたプラスミドpBC01を制限酵素Bam HIとPst Iで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio Fの上流にあるbio F、bio D、bio Aの発現を制御する領域と、bio Fのコーディング領域の大部分とを含む、約1.4 kbpのDNA断片を得た。こうして得られたDNA断片と、制限酵素Bam HIとPst Iで切断したプラスミドベクター pBluescript SKII(+)(ストラタジーンクローニングシステムズ製)を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpBC06と命名した。
また、実施例1で得られたプラスミドpBC02を制限酵素Pst IとEco RIで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio Fのコーディング領域の一部分と、bio Dとbio Aのコーディング領域と、bio Aの下流にあるbio F、bio D、bio Aの3’-非翻訳領域とを含む、約2.2 kbpのDNA断片を得た。こうして得られたDNA断片と、制限酵素Pst IとEco RIで切断したプラスミドpBC06を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSP105と命名した。
さらに、プラスミドpSP105を制限酵素Bam HIとHind IIIで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio F、bio D、bio Aのコーディング領域と、bio F、bio D、bio Aの発現を制御する領域を含む、約 3.6 kbpのDNA断片を得た。こうして得られたDNA断片と、制限酵素Bam HIとHind IIIで切断したプラスミドpJA41を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSP302(図4)と命名した。
【0042】
実施例9 pSP302を導入した形質転換体の作製
実施例8で得られたプラスミドpSP302をジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧 18kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)によりスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511に導入し、スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pSP302を得た。
【0043】
実施例10 組換えプラスミドpSP304の作製
実施例1(1-A)で得られた染色体DNAを鋳型に、表5に示すプライマー C1とC6を用いてPCRを行ない、bio Cのコーディング領域の上流387 bpからコーディング領域の下流196 bpまでの合計1435 bpを含み、その上流側の末端にHind III部位が、下流側の末端にXho I部位が導入されたDNA断片を調製した。このDNA断片を制限酵素Hind IIIとXho Iで切断した断片と、プラスミドpSP302を制限酵素Hind IIIとXho Iで切断して得られたDNA断片を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従いこれらを結合させ、得られたプラスミドをpSP304(図5)と命名した。
【0044】
実施例11 pSP304を導入した形質転換体の作製
実施例10で得られたプラスミドpSP304をジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧 18 kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)によりスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511に導入し、スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pSP304を得た。
【0045】
実施例12 スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511 pSP302、pSP304のビオチン生産性
スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pSP302とスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pSP304の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.2))に植菌した。また対照として、遺伝子を導入していないスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O(pH7.2))にそれぞれ植菌した。これら3種の菌を30℃で2日間培養(250 rpm)して、前培養液とした。こうして得られたスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pSP302とスフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pSP304の前培養液200μlを大型試験管(22×220mm)に入れた10mlの培地(4% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4-7H2O、0.001% FeSO4-7H2O、0.001% MnSO4-4〜6H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.0))にそれぞれ植菌した。また対照として、スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511の前培養液200μlを大型試験管(22×220mm)に入れた10mlの培地(4% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4-7H2O、0.001% FeSO4-7H2O、0.001% MnSO4-4〜6H2O(pH7.0))に植菌した。これら3種の菌を30℃で4日間培養した(250 rpm)。それぞれの培養液中に生成蓄積したビオチンの濃度を、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)IFO 3070株を用いた微生物学的定量法(和泉と山田、ビタミン学実験法II. 水溶性ビタミン. p.481-499、日本ビタミン学会編、東京化学同人、1985)により定量したところ生成したビオチンの濃度は、表7に示す通りであった。
【0046】
【表7】
スフィンゴモナス・ポウシモビルスJCM7511/pSP302、pSP305、pSP304 のビオチン生産性
Figure 0004329129
*遺伝子を導入していない株との比較で表した値
【0047】
実施例13 組換えプラスミドpSS301の作製
実施例2(2-A)で得られた染色体DNAを鋳型に、表8に示すプライマー BF4とBR4を用いてPCR(反応組成:1×Expand HF バッファー, 1.5mM MgCl2, 200μM各 dNTP, 300 nM 各プライマー, 0.5〜100 ng 染色体DNA, 2.6U ExpandTMhigh fidelity PCR System 酵素ミックス(ベーリンガーマンハイム(株)製)/50 μl、反応サイクル:97℃で2分間保温した後、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間の保温を10サイクル行い、さらに、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間(1サイクルごとに20秒ずつ増加して)の保温を15サイクル行い、最後に72℃で7分間保温)を行ない、bio Bのコーディング領域の上流151 bpからコーディング領域の下流151 bpまでの合計1358 bpを含み、その両端にXba I部位が導入されたDNA断片を調製した。このDNA断片を制限酵素Xba Iで切断した断片と、プラスミドベクター pJAβ2を制限酵素Xba Iで切断し脱リン酸化したDNA断片を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従いこれらを結合させ、得られたプラスミドを pSS301(図6)と命名した。
【0048】
【表8】
Figure 0004329129
【0049】
実施例14 pSS301を導入した形質転換体の作製
実施例13で得られたプラスミドpSS301をジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧 18 kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)によりスフィンゴモナス・エスピーSC42405に導入し、形質転換体であるスフィンゴモナス・エスピー SC42405/pSS301を得た。
【0050】
実施例15 スフィンゴモナス・エスピー SC42405/pSS301 のビオチン生産性
スフィンゴモナス・エスピー SC42405/pSS301の1白金耳を、小型試験管(18×150mm)に入れた3 ml の培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.2))に植菌した。また対照として、遺伝子を導入していないスフィンゴモナス・エスピーSC42405 の1白金耳を、小型試験管(18x150mm)に入れた3mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O(pH7.2))に植菌した。これら2種の菌を30℃で2日間培養(250 rpm)して、前培養液とした。こうして得られたスフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS301の前培養液160μlを、大型試験管(22×220mm)に入れた8mlの培地(6% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、0.01% FeSO4・7H2O、0.1% MnSO4-4〜6H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.0))に植菌した。また対照として、スフィンゴモナス・エスピーSC42405 の前培養液160μlを、大型試験管(22×220 mm)に入れた8 mlの培地(6% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、0.01% FeSO4・7H2O、0.1% MnSO4-4〜6H2O(pH7.0))に植菌した。これら2種の菌を30℃で4日間培養した(250 rpm)。
それぞれの培養液中に生成蓄積したビオチンの濃度を、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)IFO 3070株を用いた微生物学的定量法(和泉と山田、ビタミン学実験法II. 水溶性ビタミン. p.481-499、日本ビタミン学会編、東京化学同人、1985)により定量したところ生成したビオチンの濃度は表9に示す通りであった。
【0051】
【表9】
Figure 0004329129
*遺伝子を導入していない株との比較で表した値
【0052】
実施例16 組換えプラスミドpSS305の作製
実施例2(2-A)で得られた染色体DNAを鋳型に、表8に示すプライマー F2と F3を用いてPCR(反応組成:1×Expand HF バッファー, 1.5 mM MgCl2, 200 μM 各 dNTP, 300 nM 各プライマー, 0.5〜100 ng 染色体DNA, 2.6U ExpandTMhigh fidelity PCR System 酵素ミックス(ベーリンガーマンハイム(株)製)/ 50 μl、反応サイクル:97℃で2分間保温した後、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間の保温を10サイクル行い、さらに、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間(1サイクルごとに20秒ずつ増加)の保温を15サイクル行い、最後に72℃で7分間保温)を行ない、bio Fのコーディング領域の上流201 bpからコーディング領域の下流46 bpまでの合計1408 bpを含み、その上流側の末端にSpe I部位、その下流側の末端にPst I部位が導入されたDNA断片を調製した。このDNA断片を制限酵素Spe IとPst Iで切断した断片と、プラスミドベクター pBluescript SK(+)(ストラタジーンクローニングシステムズ製)を制限酵素Spe IとPst Iで切断して得られたDNA断片を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従いこれらを結合させ、得られたプラスミドをpSS202と命名した。
また、実施例2(2-A)で得られた染色体DNAを鋳型に、表8に示すプライマー CDA1とCDA6を用いてPCR(反応組成:1×Expand HF バッファー, 1.5 mM MgCl2,200 μM 各 dNT , 300 nM 各プライマー, 0.5〜100 ng 染色体DNA, 2.6U ExpandTMhigh fidelity PCR System酵素ミックス(ベーリンガーマンハイム(株)製)/50 μl、反応サイクル:97℃で2分間保温した後、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間の保温を10サイクル行い、さらに、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間(1サイクルごとに20秒ずつ増加)の保温を15サイクル行い、最後に72℃で7分間保温)を行ない、bio Cのコーディング領域の上流の配列209 bpと、bio Cのコーディング領域762 bpと、bio Dのコーディング領域の前半約300bpからなる、合計1287 bpを含み、その上流側の末端にPst I部位、その下流側の末端にHind III部位が導入されたDNA断片を調製した。これらのDNA断片を制限酵素Pst IとHind IIIで切断した断片と、プラスミドベクターpBluescript SK(+)(ストラタジーンクローニングシステムズ製)を制限酵素Pst IとHind IIIで切断して得られたDNA断片を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従いこれらを結合させ、得られたプラスミドをpSS205と命名した。
また、実施例2(2-A)で得られた染色体DNAを鋳型に、表8に示すプライマー CDA3とCDA7を用いてPCR(反応組成:1×Expand HF バッファー, 1.5 mM MgCl2, 200μM 各 dNTP, 300 nM 各プライマー, 0.5〜100 ng 染色体DNA, 2.6U ExpandTMhigh fidelity PCR System 酵素ミックス(ベーリンガーマンハイム(株)製)/50 μl、反応サイクル:97℃で2分間保温した後、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間の保温を10サイクル行い、さらに、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間(1サイクルごとに20秒ずつ増加)の保温を15サイクル行い、最後に72℃で7分間保温)を行ない、bio Dのコーディング領域の後半約400 bpと、bio Aのコーディング領域1251 bpと、その下流の塩基配列208 bpからなる、合計1653 bpを含み、その上流側の末端にHind III部位、その下流側の末端にXho I部位が導入されたDNA断片を調製した。これらのDNA断片を制限酵素Hind IIIとXho Iで切断した断片と、プラスミドベクターpBluescript SK(+)(ストラタジーンクローニングシステムズ製)を制限酵素Hind IIIとXho Iで切断して得られたDNA断片を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従いこれらを結合させ、得られたプラスミドをpSS206と命名した。
さらに、以上のようにして得られたプラスミドpSS205を制限酵素Pst IとHind IIIで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio Cのコーディング領域の上流の配列209 bpと、bio Cのコーディング領域762 bpと、bio Dのコーディング領域の前半約300bpからなる、合計1287bpを含み、その上流側の末端にPst I部位、その下流側の末端にHind III部位が導入されたDNA断片を調製した。こうして得られたDNA断片と、制限酵素Pst IとHind IIIで切断したpSS206を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSS2071と命名した。
次にpSS2071を制限酵素Cla Iで切断し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、DNA断片をセルフライゲーションさせ、得られたプラスミドをpSS207と命名した。
さらに、プラスミドpSS202を制限酵素Spe IとPst Iで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio Fのコーディング領域の上流201bpからコーディング領域の下流 46bpまで合計1408 bpを含み、その上流側の末端にSpe I部位、その下流側の末端にPst I部位が導入されたDNA断片を調製した。こうして得られたDNA断片と、制限酵素Spe IとPst Iで切断したpSS207を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSS209と命名した。
そして、プラスミドpSS209を制限酵素Spe IとXho Iで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio F、bio C、bio D、bio Aを含み、その上流側の末端にSpe I部位、その下流側の末端にXho I部位が導入されたDNA断片を調製した。こうして得られたDNA断片と、制限酵素Spe IとXho Iで切断したpJAβ2を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSS305(図7)と命名した。
【0053】
実施例17 組換えプラスミドpSS304の作製
実施例16で得られたプラスミド pSS305を鋳型に、M13プライマーRV(宝酒造(株)製)と表8に示すプライマー R1を用いて、また、M13プライマーM4(宝酒造(株)製)とMUTB1プライマー(宝酒造(株)製)を用いてそれぞれPCR(反応組成:1×Expand HF バッファー, 1.5mM MgCl2, 200μM 各 dNTP , 300nM 各プライマー, 0.5〜100 ng鋳型DNA, 2.6U ExpandTMhigh fidelity PCR System 酵素ミックス(ベーリンガーマンハイム(株)製)/50μl、反応サイクル:97℃で2分間保温した後、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間の保温を10サイクル行い、さらに、97℃で15秒間次いで60℃,30秒間さらに72℃で1.5分間(1サイクルごとに20秒ずつ増加)の保温を15サイクル行い、最後に72℃で7分間保温)を行なった。PCR後の反応液からセントリコン100(アミコンInc.製)によって余剰のプライマーやdNTP を除去後、TEバッファーを加えて50μlとし、そのうちの0.5μlずつを混合した。これに5μlの10×Expand HF バッファー、4μlの各2.5mM dNTP、38.62μlの滅菌蒸留水、0.38μlのExpandTMhigh fidelity PCR System 酵素ミックス(3.5U/μl)(ベーリンガーマンハイム(株)製)を加えて、94℃で10分間加熱後、60分間かけて37℃まで冷却し、37℃で15分間保温した。この反応液に0.5μlの20pmol M13プライマーRV(宝酒造(株)製)と0.5μlの20pmol M13プライマーM4(宝酒造(株)製)を加えてPCR(反応サイクル:97℃で2分間保温した後、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間の保温を10サイクル行い、さらに、97℃で15秒間次いで60℃で30秒間さらに72℃で1.5分間(1サイクルあたり20秒ずつ増加)の保温を15サイクル行い、最後に72℃で7分間保温)を行なった。得られたDNA断片を制限酵素Not IとHind IIIで切断し、制限酵素Not IとHind IIIで切断したプラスミドベクター pBluescript SK(+)(ストラタジーンクローニングシステムズ製)を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い結合させた。得られたクローンの中から、塩基配列を解析することにより、bio Fの開始コドン(ATG)のAを+1としたときに-11番目のCがGに置換された変異型bio Fの塩基配列(配列番号5)を有するクローンを選び出し、これをプラスミドpSS201と命名した。次にプラスミドpSS201を制限酵素Spe IとPst Iで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio Fのコーディング領域の上流201 bpからコーディング領域の下流46 bpまでの合計1408 bpを含み、その上流側の末端にSpe I部位、その下流側の末端にPst I部位が導入されたDNA断片を調製した。こうして得られたDNA断片と、制限酵素Spe IとPst Iで切断したpSS207を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSS208と命名した。
さらに、プラスミド pSS208を制限酵素Spe IとXho Iで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、変異型bio Fならびにbio C、bio Dおよびbio Aを含み、その上流側の末端にSpe I部位、その下流側の末端にXho I部位が導入されたDNA断片を調製した。こうして得られたDNA 断片と制限酵素Spe IとXho Iで切断したpJAβ2を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSS304(図8)と命名した。
【0054】
実施例18 pSS304、pSS305を導入した形質転換体の作製
実施例17で得られたプラスミドpSS304、pSS305をジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧 18 kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)によりスフィンゴモナス・エスピーSC42405に導入し、スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS304および、スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS305を得た。
【0055】
実施例19 スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS304および、スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS305のビオチン生産性およびビオチン関連物質生産性スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS304および、スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS305の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.2))にそれぞれ植菌した。また対照として、遺伝子を導入していないスフィンゴモナス・エスピーSC42405の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O(pH7.2))に植菌した。これら3種の菌を30℃で2日間培養(250 rpm)して、前培養液とした。こうして得られたスフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS304および、スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS305の前培養液160μlを大型試験管(22×220mm)に入れた8mlの培地(6% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、0.01% FeSO4・7H2O、0.1% MnSO4・4〜6H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.0))にそれぞれ植菌した。また対照として、スフィンゴモナス・エスピーSC42405の前培養液160μlを 大型試験管(22×220 mm)に入れた8mlの培地(6% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、0.01% FeSO4・7H2O、0.1% MnSO4・4〜6H2O(pH7.0))に植菌した。これら3種の菌を 30℃で4日間培養した(250 rpm)。それぞれの培養液中に生成蓄積したビオチンの濃度を、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)IFO 3070株を用い、またビオチン関連化合物の濃度をサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)た微生物学的定量法(和泉と山田、ビタミン学実験法II. 水溶性ビタミン. p.481-499、日本ビタミン学会編、東京化学同人、1985)によりそれぞれ定量したところ生成したビオチンならびにビオチン生合成の前駆体である7-ケト-8-アミノペラルゴン酸、7,8-ジアミノペラルゴン酸およびデスチオビオチン(以下、ビオチン関連物質と記す。)の濃度は、表10に示す通りであった。
【0056】
【表10】
スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS304およびスフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS305のビオチン生産性およびビオチン関連物質生産性
Figure 0004329129
*遺伝子を導入していない株との比較で表した値
【0057】
実施例20 組換えプラスミド pSS306の作製
プラスミド pSS209を制限酵素Spe IおよびXho Iで切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離することにより、bio F、bio C、bio D、bio Aを含み、その上流側の末端にSpe I部位、その下流側の末端にXho I部位が導入されたDNA断片を調製した。こうして得られたDNA断片と、制限酵素 Spe IおよびXho Iで切断したpSS301を混合し、ライゲーションキット(宝酒造(株)製)を用いて付属の説明書に従い、これらのDNA断片を結合させ、得られたプラスミドをpSS306(図9)と命名した。
【0058】
実施例21 pSS306を導入した形質転換体の作製
実施例20で得られたプラスミド pSS306をジーンパルサー(バイオラッドラボラトリーズ Inc.製)を用いてエレクトロポーレーション法(印加電圧 18kV/cm、キャパシタンス 25μF、抵抗 400Ω)によりスフィンゴモナス・エスピーSC42405に導入し、スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS306を得た。
【0059】
実施例22 スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS306のビオチン生産性
スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS306の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O、0.005 % テトラサイクリン(pH7.2))に植菌した。また対照として、遺伝子を導入していないスフィンゴモナス・エスピーSC42405 の1白金耳を小型試験管(18×150mm)に入れた3mlの培地(1% グリセロール、2% ペプトン、0.15% K2HPO4、0.15% MgSO4・7H2O(pH7.2))に植菌した。これら2種の菌を30℃で2日間培養(250rpm)して、前培養液とした。こうして得られたスフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS306の前培養液160μlを大型試験管(22×220mm)に入れた8mlの培地(6% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、0.01% FeSO4・7H2O、0.1% MnSO4・4〜6H2O、0.005% テトラサイクリン(pH7.0))に植菌した。また対照として、スフィンゴモナス・エスピーSC42405の前培養液160μlを大型試験管(22×220mm)に入れた8 mlの培地(6% グリセロール、2% 酵母エキス、0.5% カザミノ酸、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、0.01% FeSO4・7H2O、0.1% MnSO4・4〜6H2O(pH7.0))に植菌した。これら2種の菌を30℃で4日間培養した(250 rpm)。それぞれの培養液中に生成蓄積したビオチンの濃度を、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)IFO 3070株を用い、またビオチン関連化合物の濃度をサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)た微生物学的定量法(和泉と山田、ビタミン学実験法II.水溶性ビタミン.p.481-499、日本ビタミン学会編、東京化学同人、1985)によりそれぞれ定量したところ生成したビオチンおよびビオチン関連化合物の濃度は、表11に示す通りであった。
【0060】
【表11】
スフィンゴモナス・エスピーSC42405/pSS306のビオチン生産性
Figure 0004329129
*遺伝子を導入していない株との比較で表した値
【0061】
【発明の効果】
本発明により、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属に属する微生物由来のビオチン生合成に関与する遺伝子を含むDNA断片およびそれを利用したビオチン生産形質転換体を提供可能とした。
【0062】
【配列表】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0063】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0064】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0065】
Figure 0004329129
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【0066】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0067】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0068】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0069】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0070】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0071】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0072】
Figure 0004329129
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【0073】
Figure 0004329129
【0074】
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【0075】
Figure 0004329129
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【0076】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0077】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0078】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0079】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0080】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0081】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0082】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0083】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0084】
Figure 0004329129
Figure 0004329129
【0085】
Figure 0004329129
【0086】
Figure 0004329129

【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpJAβ2の構造と制限酵素地図を示す。
【図2】プラスミドpJAWの構造と制限酵素地図を示す。
【図3】プラスミドpJA41の構造と制限酵素地図を示す。
【図4】プラスミドpSP302の構造と制限酵素地図を示す。
【図5】プラスミドpSP304の構造と制限酵素地図を示す。
【図6】プラスミドpSS301の構造と制限酵素地図を示す。
【図7】プラスミドpSS305の構造と制限酵素地図を示す。
【図8】プラスミドpSS304の構造と制限酵素地図を示す。
【図9】プラスミドpSS306の構造と制限酵素地図を示す。

Claims (7)

  1. ビオチンシンターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列を含む配列番号19に示される塩基配列を含むDNA。
  2. 請求項1に記載のDNAを含むことを特徴とするベクター。
  3. 請求項1に記載のDNAを宿主細胞内で複製可能なベクターに挿入することを特徴とするベクターの作製方法。
  4. 前記タンパク質をコードする領域の上流に遺伝子発現制御領域が結合されてなることを特徴とする請求項2に記載のベクター。
  5. 請求項1記載のDNA、または請求項2または4に記載のベクターが少なくとも1つ宿主細胞中に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  6. 宿主細胞が微生物であることを特徴とする請求項5に記載の形質転換体。
  7. 請求項2または4に記載のベクターを宿主細胞に導入することを特徴とする形質転換体の作製方法。
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