JPH0740922B2 - ビオチン生産性微生物 - Google Patents
ビオチン生産性微生物Info
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- JPH0740922B2 JPH0740922B2 JP60042928A JP4292885A JPH0740922B2 JP H0740922 B2 JPH0740922 B2 JP H0740922B2 JP 60042928 A JP60042928 A JP 60042928A JP 4292885 A JP4292885 A JP 4292885A JP H0740922 B2 JPH0740922 B2 JP H0740922B2
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- dna
- escherichia coli
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/11—DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
- C12N15/52—Genes encoding for enzymes or proenzymes
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- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
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- Biomedical Technology (AREA)
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- Plant Pathology (AREA)
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はビオチン生産性の新規微生物に関する。
[従来の技術] ビオチンは動植物、微生物にとって重要なビタミンの一
種である。
種である。
従来微生物を用いたビオチンの製造法としては、バシル
ス属、クロモバクテリウム属、シュードモナス属、アー
スロバクター属等の微生物を用いる方法が知られてい
る。またこれら野生株に人工的に突然変異を生起せしめ
てビオチン生産能を付与する方法も提案されている。
(特開昭58−60996号報) [発明が解決しようとする問題点] しかしながら微生物を用いてビオチンを製造しようとす
る場合、野生株はビオチンによる強力なフィードバック
阻害機構の為(Y.Izumi,K.Ogata,Adv.Appl.Microbial.2
2,155〜157,1977)ビオチンは極少量しか生成されな
い。また変異株を用いる方法でも生成量は必ずしも満足
し得るものではなかった。
ス属、クロモバクテリウム属、シュードモナス属、アー
スロバクター属等の微生物を用いる方法が知られてい
る。またこれら野生株に人工的に突然変異を生起せしめ
てビオチン生産能を付与する方法も提案されている。
(特開昭58−60996号報) [発明が解決しようとする問題点] しかしながら微生物を用いてビオチンを製造しようとす
る場合、野生株はビオチンによる強力なフィードバック
阻害機構の為(Y.Izumi,K.Ogata,Adv.Appl.Microbial.2
2,155〜157,1977)ビオチンは極少量しか生成されな
い。また変異株を用いる方法でも生成量は必ずしも満足
し得るものではなかった。
[問題点を解決するための手段] 上記の事情に鑑み、本発明者等はこれらの手法とは異な
る遺伝子操作による育種に着目し、ビオチン生産能の優
れた微生物を得るべく鋭意研究を重ねた結果、エシェリ
ヒア・コリ野生株を人工的に変異させることによりビオ
チンによるフィードバック阻害が解除された変異株を取
得し、該変異株よりビオチンの生合成に関与する酵素の
遺伝情報を担うDNAを単離し、次いで該DNAをベクターDN
Aに組み込ませた組換えDNAを得、該組換えDNAを前記変
異株に導入することに成功するとともに、かくして得ら
れた微生物が優れたビオチン生産能を有すること見い出
し、この知見にもとずいて本発明を完成するに至った。
る遺伝子操作による育種に着目し、ビオチン生産能の優
れた微生物を得るべく鋭意研究を重ねた結果、エシェリ
ヒア・コリ野生株を人工的に変異させることによりビオ
チンによるフィードバック阻害が解除された変異株を取
得し、該変異株よりビオチンの生合成に関与する酵素の
遺伝情報を担うDNAを単離し、次いで該DNAをベクターDN
Aに組み込ませた組換えDNAを得、該組換えDNAを前記変
異株に導入することに成功するとともに、かくして得ら
れた微生物が優れたビオチン生産能を有すること見い出
し、この知見にもとずいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)ピメリルCoAシンテターゼ活
性、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シンテターゼ活
性、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラ
ーゼ活性、デスチオビオチンシンテターゼ活性、および
デスチオビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素
活性を有し、かつビオチンによるフィードバック阻害が
解除されたエシェリヒア・コリから取得したピメリルCo
Aシンテターゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シ
ンテターゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトラン
スフェラーゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、および
デスチオビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素
(以下、これらの酵素を単にビオチン生合成酵素と略
す。)の遺伝情報を担うデオキシリボ核酸(DNA)をベ
クターDNAに組み込んだ組換えDNAを、当該エシェリヒア
・コリに含有せしめた微生物、および(2)該微生物を
培養し、培地中に生成蓄積されたビオチンを採取するこ
とを特徴とするビオチンの製造法である。
性、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シンテターゼ活
性、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラ
ーゼ活性、デスチオビオチンシンテターゼ活性、および
デスチオビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素
活性を有し、かつビオチンによるフィードバック阻害が
解除されたエシェリヒア・コリから取得したピメリルCo
Aシンテターゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シ
ンテターゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトラン
スフェラーゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、および
デスチオビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素
(以下、これらの酵素を単にビオチン生合成酵素と略
す。)の遺伝情報を担うデオキシリボ核酸(DNA)をベ
クターDNAに組み込んだ組換えDNAを、当該エシェリヒア
・コリに含有せしめた微生物、および(2)該微生物を
培養し、培地中に生成蓄積されたビオチンを採取するこ
とを特徴とするビオチンの製造法である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に係る微生物の調整 まず、ビオチン生合成酵素活性を有するエシェリヒア・
コリ野生株(例えばエシェリヒア・コリJA221)に変異
を誘起せしめて、ビオチン要求株(以下、BR変異株と称
す。)およびビオチンによるフィードバック阻害が解除
された変異株(以下、DR変異株と称す。)を取得する。
変異の誘起は通常の変異誘起処理により行うことがで
き、例えばN−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグ
アニジンのごとき変異誘起剤で処理することにより実施
することができる。BR変異株の取得は変異誘起処理して
得られた菌体を緩衝液で適当に希釈後、ビオチンを含む
最小培地寒天平板で培養し、適当数(約50〜200個)の
コロニーが出現した平板を選び、ビオチン無添加の最小
培地平板にレプリカして培養後、レプリカ平板をマスタ
ー平板と比較し、レプリカ平板では生育しないコロニー
をマスター平板より釣菌分離することにより行う。
コリ野生株(例えばエシェリヒア・コリJA221)に変異
を誘起せしめて、ビオチン要求株(以下、BR変異株と称
す。)およびビオチンによるフィードバック阻害が解除
された変異株(以下、DR変異株と称す。)を取得する。
変異の誘起は通常の変異誘起処理により行うことがで
き、例えばN−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグ
アニジンのごとき変異誘起剤で処理することにより実施
することができる。BR変異株の取得は変異誘起処理して
得られた菌体を緩衝液で適当に希釈後、ビオチンを含む
最小培地寒天平板で培養し、適当数(約50〜200個)の
コロニーが出現した平板を選び、ビオチン無添加の最小
培地平板にレプリカして培養後、レプリカ平板をマスタ
ー平板と比較し、レプリカ平板では生育しないコロニー
をマスター平板より釣菌分離することにより行う。
このようにして得られたBR変異株には例えばエシェリヒ
ア・コリBR−4があげられる。本BR変異株はデスチオビ
オチン添加最小培地でも生育できないことより、デスチ
オビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素が欠損
したことがわかる。また公知のBR変異株としては、例え
ばJ.Bacteriol.,112,830〜839(1972)に記載のR876
株、R874株、R873株、R877株、R875株(それぞれピメリ
ルCoAシンテターゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン
酸シンテターゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノト
ランスフェラーゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、デ
スチオビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素、
が欠損した株)があげられる。
ア・コリBR−4があげられる。本BR変異株はデスチオビ
オチン添加最小培地でも生育できないことより、デスチ
オビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素が欠損
したことがわかる。また公知のBR変異株としては、例え
ばJ.Bacteriol.,112,830〜839(1972)に記載のR876
株、R874株、R873株、R877株、R875株(それぞれピメリ
ルCoAシンテターゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン
酸シンテターゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノト
ランスフェラーゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、デ
スチオビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素、
が欠損した株)があげられる。
一方DR変異株の取得は変異誘起処理して得られた菌体
を、緩衝液で適当に希釈後、上記のようにして得たBR変
異株と2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリドと
を含むビオチン無添加の最少培地寒天平板に、一定量の
ビオチン無添加の最少寒天培地を重層して作成した平板
上で培養し、生じた小コロニーの下層がピンク色のゾー
ンを呈した時、生じた小コロニーを釣菌分離することに
よりおこなう。この原理はDR変異株はビオチンを多量に
生産し、下層のBR要求株の生育を助け、その増殖に伴い
2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリドが還元さ
れピンク色のゾーンを呈することにあり、従って変異が
誘発されなかった野生株ではこのような現象は観察され
ない。このようにして得られたDR変異株としては、例え
ばエシェリヒア・コリBR−85(微工研菌寄第8096号)が
あげられる。
を、緩衝液で適当に希釈後、上記のようにして得たBR変
異株と2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリドと
を含むビオチン無添加の最少培地寒天平板に、一定量の
ビオチン無添加の最少寒天培地を重層して作成した平板
上で培養し、生じた小コロニーの下層がピンク色のゾー
ンを呈した時、生じた小コロニーを釣菌分離することに
よりおこなう。この原理はDR変異株はビオチンを多量に
生産し、下層のBR要求株の生育を助け、その増殖に伴い
2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリドが還元さ
れピンク色のゾーンを呈することにあり、従って変異が
誘発されなかった野生株ではこのような現象は観察され
ない。このようにして得られたDR変異株としては、例え
ばエシェリヒア・コリBR−85(微工研菌寄第8096号)が
あげられる。
次いでビオチン生合成酵素の遺伝情報を担うDNA(以
下、染色体DNAと称す。)を上記DR変異株から単離精製
するには、例えばBiochim.Biophys.Acta72,619〜629(1
963)に記載のフェノール法等常法に従って行うことが
できる。
下、染色体DNAと称す。)を上記DR変異株から単離精製
するには、例えばBiochim.Biophys.Acta72,619〜629(1
963)に記載のフェノール法等常法に従って行うことが
できる。
次に得られた染色体DNAをベクターDNAに組み込んで組換
えDNAを調整する。染色体DNAのベクターDNAへの組み込
みは常法に従って行うことができる。例えば、染色体DN
AおよびベクターDNAを制限エンドヌクレアーゼで切断し
て染色体DNA断片およびベクターDNA断片を調整したの
ち、両者の混合物をDNAリガーゼで処理することにより
行うことができる。ここで用いられるベクターDNAとし
てはエシェリヒア・コリを宿主とするpBR322プラスミ
ド、コリシン(Col)E1プラスミド、ラムダファージな
ど通常用いられるものが採用されうる。とりわけpBR322
プラスミドが好適に用いられる。また制限エンドヌクレ
アーゼとしては、例えばHind III,EcoRI,Pst I,Bam H I
等があげられるが、制限エンドヌクレアーゼの操作を浅
く、即ちDNA鎖の切断が部分切断で止まるようにすれば
多くの制限エンドヌクレアーゼが本実験に使用できる。
また2種類の制限エンドヌクレアーゼを併用することも
可能である。
えDNAを調整する。染色体DNAのベクターDNAへの組み込
みは常法に従って行うことができる。例えば、染色体DN
AおよびベクターDNAを制限エンドヌクレアーゼで切断し
て染色体DNA断片およびベクターDNA断片を調整したの
ち、両者の混合物をDNAリガーゼで処理することにより
行うことができる。ここで用いられるベクターDNAとし
てはエシェリヒア・コリを宿主とするpBR322プラスミ
ド、コリシン(Col)E1プラスミド、ラムダファージな
ど通常用いられるものが採用されうる。とりわけpBR322
プラスミドが好適に用いられる。また制限エンドヌクレ
アーゼとしては、例えばHind III,EcoRI,Pst I,Bam H I
等があげられるが、制限エンドヌクレアーゼの操作を浅
く、即ちDNA鎖の切断が部分切断で止まるようにすれば
多くの制限エンドヌクレアーゼが本実験に使用できる。
また2種類の制限エンドヌクレアーゼを併用することも
可能である。
DNAリガーゼとしては、T4ファージ由来のDNAリガーゼが
好適に用いられる。
好適に用いられる。
次に、上記のごとくして得た組換えDNAを常法例えば[M
olec.Gen.Genet.,124,1〜10(1973)]に記載のカルシ
ウム処理法によりBR変異株(例えばエシェリヒア・コリ
BR−4)に導入し、ビオチン無添加の最少寒天培地で培
養することにより生じたコロニーを釣菌分離してビオチ
ン生産能を有する菌株(即ちビオチン生合成酵素の遺伝
情報を担うDNAが組み込まれた組換えDNAプラスミドを含
有している菌株)を採取する。
olec.Gen.Genet.,124,1〜10(1973)]に記載のカルシ
ウム処理法によりBR変異株(例えばエシェリヒア・コリ
BR−4)に導入し、ビオチン無添加の最少寒天培地で培
養することにより生じたコロニーを釣菌分離してビオチ
ン生産能を有する菌株(即ちビオチン生合成酵素の遺伝
情報を担うDNAが組み込まれた組換えDNAプラスミドを含
有している菌株)を採取する。
次いで、上記方法で得られた組換えDNAプラスミド含有
菌株より組換えDNAプラスミドを単離する。
菌株より組換えDNAプラスミドを単離する。
組換えDNAの単離は常法に従って行うことができる。例
えばNucleic acid research,7,1513〜1523(1979)に
記載のアルカリ抽出法があげられる。
えばNucleic acid research,7,1513〜1523(1979)に
記載のアルカリ抽出法があげられる。
このようにして得られた組換えDNAにビオチン生合成酵
素の遺伝情報を担うDNAが含まれることは次のようにし
て確認することができる。
素の遺伝情報を担うDNAが含まれることは次のようにし
て確認することができる。
即ち各ビオチン生合成酵素活性の欠損したエシェリヒア
・コリBR変異株に本組換えDNAを導入することによりビ
オチン要求性が解除されることをもって確認するもので
ある。なお、組換えDNAプラスミドを得る時に用いた制
限エンドヌクレアーゼの種類によっては、処理を完全に
行った時などは、ビオチン生合成酵素の遺伝情報の全て
は含まない即ち幾つかの遺伝情報が欠落する場合があ
る。このような時は、異なる制限エンドヌクレアーゼを
用いて得られる幾種かの組換えプラスミドからの再構成
行い、結果としてビオチン生合成酵素の全遺伝情報を組
み込んだ組換えDNAプラスミドを得ることができる。
・コリBR変異株に本組換えDNAを導入することによりビ
オチン要求性が解除されることをもって確認するもので
ある。なお、組換えDNAプラスミドを得る時に用いた制
限エンドヌクレアーゼの種類によっては、処理を完全に
行った時などは、ビオチン生合成酵素の遺伝情報の全て
は含まない即ち幾つかの遺伝情報が欠落する場合があ
る。このような時は、異なる制限エンドヌクレアーゼを
用いて得られる幾種かの組換えプラスミドからの再構成
行い、結果としてビオチン生合成酵素の全遺伝情報を組
み込んだ組換えDNAプラスミドを得ることができる。
上記のごとくして得た組換えDNAを前記のDR変異株に導
入すれば、組換えDNA含有DR変異株に導入すれば、組換
えDNA含有DR変異株を調整することができる。
入すれば、組換えDNA含有DR変異株に導入すれば、組換
えDNA含有DR変異株を調整することができる。
組換えDNA含有DR変異株はベクターの持つ形質により、
組換えDNAを含有する菌のクローンを選択的に生育せし
める培地にて培養し出現するコロニーとして取得するこ
とができる。かくして得られたDNA含有DR変異株すなわ
ち本発明の新規微生物の例としては、例えばエシェリヒ
ア・コリDR−85(微工研菌寄第8097号)があげられる。
組換えDNAを含有する菌のクローンを選択的に生育せし
める培地にて培養し出現するコロニーとして取得するこ
とができる。かくして得られたDNA含有DR変異株すなわ
ち本発明の新規微生物の例としては、例えばエシェリヒ
ア・コリDR−85(微工研菌寄第8097号)があげられる。
ビオチンの生産 上記の如くして取得した本発明の微生物を培養すれば培
養液中にビオチンを著量生成蓄積する。
養液中にビオチンを著量生成蓄積する。
本発明に係る微生物の培養に際して用いられる培地とし
ては、炭素源、窒素源、無機物を含有する合成培地、ま
たは天然培地のいずれも使用可能である。炭素源として
は、グルコース、グリセリン、フラクトース、シューク
ロース、マルトース、マンノース、澱粉、澱粉加水分解
液、糖蜜などの炭水化物が使用でき、その使用量は0.5
〜5.0%程度が好ましい。また窒素源としては、アンモ
ニア、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硫酸アン
モニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの
各種の無機および有機アンモニウム塩類あるいは肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加
水分解物、脱脂大豆粕あるいはその消化物などの天然有
機窒素源が使用可能であり、その使用量は0.5〜2.0%程
度が好ましい。
ては、炭素源、窒素源、無機物を含有する合成培地、ま
たは天然培地のいずれも使用可能である。炭素源として
は、グルコース、グリセリン、フラクトース、シューク
ロース、マルトース、マンノース、澱粉、澱粉加水分解
液、糖蜜などの炭水化物が使用でき、その使用量は0.5
〜5.0%程度が好ましい。また窒素源としては、アンモ
ニア、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硫酸アン
モニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの
各種の無機および有機アンモニウム塩類あるいは肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加
水分解物、脱脂大豆粕あるいはその消化物などの天然有
機窒素源が使用可能であり、その使用量は0.5〜2.0%程
度が好ましい。
天然有機窒素源の多くの場合は、窒素源であるとともに
炭素源にもなりうる。
炭素源にもなりうる。
さらに無機物としては、燐酸第一水素カリウム、燐酸第
二水素カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、
硫酸第一鉄、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化
マンガン、塩化コバルト、モリブデン酸アンモン、硼酸
などが使用でき、その使用量は0.005〜0.5%程度が好ま
しい。
二水素カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、
硫酸第一鉄、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化
マンガン、塩化コバルト、モリブデン酸アンモン、硼酸
などが使用でき、その使用量は0.005〜0.5%程度が好ま
しい。
また、造成された微生物に抗菌薬剤耐性が付与されてい
る場合には、該当する抗菌剤を培地に添加することによ
って汚染菌の混入を防ぐことができる。
る場合には、該当する抗菌剤を培地に添加することによ
って汚染菌の混入を防ぐことができる。
培養は振盪培養あるいは通気攪拌培養などの好気的条件
下で行うのが好ましい。培養温度は25〜37℃が好適であ
り、培養中の培地のpHは中性付近に維持することが望ま
しく、培養期間は通常16〜48時間程度で充分である。培
養を終了した後、培養液からのビオチンの抽出精製にあ
たっては、ビオチンの諸性質を利用して一般の天然物か
らの抽出精製法が応用できる。すなわち、培養物から菌
体を除き活性炭に吸着させ、しかるのち溶出させイオン
交換樹脂で精製するか、あるいは培養濾液を直接イオン
交換樹脂で処理して精製し、水またはアルコールより再
結晶することによりビオチンを取得することができる。
下で行うのが好ましい。培養温度は25〜37℃が好適であ
り、培養中の培地のpHは中性付近に維持することが望ま
しく、培養期間は通常16〜48時間程度で充分である。培
養を終了した後、培養液からのビオチンの抽出精製にあ
たっては、ビオチンの諸性質を利用して一般の天然物か
らの抽出精製法が応用できる。すなわち、培養物から菌
体を除き活性炭に吸着させ、しかるのち溶出させイオン
交換樹脂で精製するか、あるいは培養濾液を直接イオン
交換樹脂で処理して精製し、水またはアルコールより再
結晶することによりビオチンを取得することができる。
[実施例] 次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 (1)DR変異株の調整 ビオチン生合成酵素活性を有する野生株エシェリヒア・
コリJA221をL−培地(ペプトン10g/,酵母エキス5g/
,グルコース1g/,塩化ナトリウム5g/,pH7.2に調
整)中37℃で3時間振盪培養を行い、対数増殖期の菌体
を集洗後、これをN−メチル−N′−ニトロ−N−ニト
ロソグアニジン100μg/mlを含有するTM緩衝液(トリス
−塩基0.61%、マレイン酸0.5%、pH6.0に調整)に懸濁
し、37℃30分間静置し変異処理を行った。菌体を集洗後
再懸濁液を、集洗された105cell/mlのBR変異株エシェリ
ヒア・コリBR−4と50μg/mlの2,3,5−トリフェニルテ
トラゾリウムクロリドを含む20mlのビオチン無添加の最
少培地寒天平板(グルコース5g/,硫酸アンモニウム4
g/,燐酸第二水素カリウム2g/,燐酸第一水素カリ
ウム1g/,硫酸マグネシウム・7水和物0.1g/,DL−
トリプトファン0.02g/,ビタミンフリーのカザミノ酸
4g/,寒天15g/)に15mlのビオチン無添加最少寒天
培地を重層しておいた通常の大きさのシャーレ上に出現
するコロニーが約50〜200個となるように塗沫した。37
℃48時間培養後、出現した小コロニーの下層がピンク色
のゾーンを呈した1株を釣菌分離し、ビオチンによるフ
ィードバック阻害が解除されたDR変異株エシェリヒア・
コリDR−85(微工研菌寄第8096号)を取得した。
コリJA221をL−培地(ペプトン10g/,酵母エキス5g/
,グルコース1g/,塩化ナトリウム5g/,pH7.2に調
整)中37℃で3時間振盪培養を行い、対数増殖期の菌体
を集洗後、これをN−メチル−N′−ニトロ−N−ニト
ロソグアニジン100μg/mlを含有するTM緩衝液(トリス
−塩基0.61%、マレイン酸0.5%、pH6.0に調整)に懸濁
し、37℃30分間静置し変異処理を行った。菌体を集洗後
再懸濁液を、集洗された105cell/mlのBR変異株エシェリ
ヒア・コリBR−4と50μg/mlの2,3,5−トリフェニルテ
トラゾリウムクロリドを含む20mlのビオチン無添加の最
少培地寒天平板(グルコース5g/,硫酸アンモニウム4
g/,燐酸第二水素カリウム2g/,燐酸第一水素カリ
ウム1g/,硫酸マグネシウム・7水和物0.1g/,DL−
トリプトファン0.02g/,ビタミンフリーのカザミノ酸
4g/,寒天15g/)に15mlのビオチン無添加最少寒天
培地を重層しておいた通常の大きさのシャーレ上に出現
するコロニーが約50〜200個となるように塗沫した。37
℃48時間培養後、出現した小コロニーの下層がピンク色
のゾーンを呈した1株を釣菌分離し、ビオチンによるフ
ィードバック阻害が解除されたDR変異株エシェリヒア・
コリDR−85(微工研菌寄第8096号)を取得した。
(2)染色体DNAの調整 上記のごとくして得たエシェリヒア・コリDR−85を500m
lのL−培地中37℃で3時間振盪培養を行い、対数増殖
期の菌体を集洗後、フェノール法による通常のDNA抽出
法によって抽出精製し、2.1mgの染色体DNAを得た。
lのL−培地中37℃で3時間振盪培養を行い、対数増殖
期の菌体を集洗後、フェノール法による通常のDNA抽出
法によって抽出精製し、2.1mgの染色体DNAを得た。
(3)ベクターDNAの調整 アンシピリン耐性およびテトラサイクリン耐性を有する
pBR322プラスミドDNAを次のように調整した。まず、pBR
322をプラスミドとして保有するエシェリヒア・コリK
−12株の一種を、アンシピリン150μg/ml添加したL−
培地1000ml中で37℃で培養し、対数増殖期に150μg/ml
のクロラムフェニコールを添加してさらに一夜培養し
た。この操作により細胞内にプラスミドDNAが多量に生
産される。
pBR322プラスミドDNAを次のように調整した。まず、pBR
322をプラスミドとして保有するエシェリヒア・コリK
−12株の一種を、アンシピリン150μg/ml添加したL−
培地1000ml中で37℃で培養し、対数増殖期に150μg/ml
のクロラムフェニコールを添加してさらに一夜培養し
た。この操作により細胞内にプラスミドDNAが多量に生
産される。
クロラムフェニコール添加後、15時間目に菌体を集洗
し、リゾチウムおよびソジウムドデシルサルフェートで
溶菌させ、ついで30000gで2時間遠心分離して上清を得
た。上清液からプラスミドDNAを濃縮後、リボ核酸分解
酵素で37℃2時間処理し、ついでセシウムクロリド−エ
チジウムブロミド平衡密度勾配遠心法によって最終520
μgのpBR322プラスミドDNAを分画採取した。
し、リゾチウムおよびソジウムドデシルサルフェートで
溶菌させ、ついで30000gで2時間遠心分離して上清を得
た。上清液からプラスミドDNAを濃縮後、リボ核酸分解
酵素で37℃2時間処理し、ついでセシウムクロリド−エ
チジウムブロミド平衡密度勾配遠心法によって最終520
μgのpBR322プラスミドDNAを分画採取した。
(4)染色体DNA断片のベクターへの插入 (2)で得たDNA3μgをとり、制限エンドヌクレアーゼ
pstIを与え30℃で3時間反応させた。また(3)で調整
したベクターDNA1.5μgをpstIで完全に切断した。両反
応液を各々65℃5分間の加熱処理をした後、両反応液を
混合し、ATPおよびジチオスレイトール存在下、T4ファ
ージ由来のDNAリガーゼによって15℃16時間DNA鎖の連結
反応を行った。
pstIを与え30℃で3時間反応させた。また(3)で調整
したベクターDNA1.5μgをpstIで完全に切断した。両反
応液を各々65℃5分間の加熱処理をした後、両反応液を
混合し、ATPおよびジチオスレイトール存在下、T4ファ
ージ由来のDNAリガーゼによって15℃16時間DNA鎖の連結
反応を行った。
全く同様の方法で染色体DNA3μgを2つの制限エンドヌ
クレアーゼEcoRIおよびBamHIを用い、同時に37℃3時間
反応させ65℃5分間の熱処理後、EcoRIおよびBamHIで完
全に切断したベクターDNAと混合し、DNAリガーゼ反応を
15℃16時間行った。反応後は65℃5分間の熱処理後、反
応液に2倍容のエタノールを加えて連結反応後のDNAを
沈澱採取した。
クレアーゼEcoRIおよびBamHIを用い、同時に37℃3時間
反応させ65℃5分間の熱処理後、EcoRIおよびBamHIで完
全に切断したベクターDNAと混合し、DNAリガーゼ反応を
15℃16時間行った。反応後は65℃5分間の熱処理後、反
応液に2倍容のエタノールを加えて連結反応後のDNAを
沈澱採取した。
(5)ビオチン生合成酵素の遺伝情報を担った組換えプ
ラスミドのよる形質転換 エシェリヒア・コリJA221より変異誘導したビオチン要
求株エシェリヒア・コリBR−4をL−培地10mlに接種
し、37℃で4時間振盪培養を行い対数増殖期中期まで生
育させた後集菌し、これを塩化カルシウム50mMを含むト
リス緩衝液(50mM,pH7.0)で2回洗浄後、同じ緩衝液1m
lに再懸濁させた。
ラスミドのよる形質転換 エシェリヒア・コリJA221より変異誘導したビオチン要
求株エシェリヒア・コリBR−4をL−培地10mlに接種
し、37℃で4時間振盪培養を行い対数増殖期中期まで生
育させた後集菌し、これを塩化カルシウム50mMを含むト
リス緩衝液(50mM,pH7.0)で2回洗浄後、同じ緩衝液1m
lに再懸濁させた。
この懸濁液0.2mlに(4)で得たそれぞれのDNA溶液を加
え、0℃に30分保持した後、直ちに42℃2分間のヒート
ショックを与え、DNAを細胞内に取り込ませた。ついで
それぞれの細胞懸濁液の一定量を新たなL−培地に摂取
し、37℃2時間静置培養を行った。それぞれ菌体を集洗
後、再懸濁液を最少培地寒天平板(グルコース5g/,
硫酸アンモニウム4g/,燐酸第二水素カリウム2g/,
燐酸第一水素カリウム1g/,硫酸マグネシウム・7水
和物0.1g/,DL−トリプトファン0.02g/,ビタミンフ
リーのカザミノ酸4g/,寒天15g/)に塗沫し、37℃
2日間培養した。生じたコロニーを釣菌し、その性質を
調べたところ制限エンドヌクレアーゼpstIを用いて得ら
れた形質転換株エシェリヒア・コリBR−4[pOFS3]は
テトラサイクリン耐性、アンピシリン感受性であり、2
つの制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびBamHIを用いて
得られた形質転換株エシェリヒア・コリBR−4[pBDH1
7]はアンピシリン耐性、テトラサイクリン感受性であ
った。
え、0℃に30分保持した後、直ちに42℃2分間のヒート
ショックを与え、DNAを細胞内に取り込ませた。ついで
それぞれの細胞懸濁液の一定量を新たなL−培地に摂取
し、37℃2時間静置培養を行った。それぞれ菌体を集洗
後、再懸濁液を最少培地寒天平板(グルコース5g/,
硫酸アンモニウム4g/,燐酸第二水素カリウム2g/,
燐酸第一水素カリウム1g/,硫酸マグネシウム・7水
和物0.1g/,DL−トリプトファン0.02g/,ビタミンフ
リーのカザミノ酸4g/,寒天15g/)に塗沫し、37℃
2日間培養した。生じたコロニーを釣菌し、その性質を
調べたところ制限エンドヌクレアーゼpstIを用いて得ら
れた形質転換株エシェリヒア・コリBR−4[pOFS3]は
テトラサイクリン耐性、アンピシリン感受性であり、2
つの制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびBamHIを用いて
得られた形質転換株エシェリヒア・コリBR−4[pBDH1
7]はアンピシリン耐性、テトラサイクリン感受性であ
った。
(6)5つのピチオン生合成酵素全ての遺伝情報を担う
DNAを組み込んだベクターの造成 (5)で得られた形質転換株エシェリヒア・コリBR−4
[pOFS3]およびエシェリヒア・コリBR−4[pBDH17]
をそれぞれL−培地100ml中で培養し、(3)と同様に
してクロラムフェニコール処理を行った。菌体を集洗
後、アルカリ方(Nucleic Acids Research,7,1513〜15
23,1979)により、エシェリヒア・コリBR−4[pOFS3]
から組換えプラスミドpOFS3を、エシェリヒア・コリBR
−4[pBDH17]から組換えプラスミドpBDH17を多量に得
た。これらの組換えプラスミドをJ.Bacteriol.,112,830
〜839,1972に記載のBR変異株、R876株、R874株、R873
株、R877株、R875株、(それぞれピメリルCoAシンテタ
ーゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シンテター
ゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラ
ーゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、およびデスチオ
ビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素が欠損し
た株)へ(5)と同様の方法により形質転換して、ビオ
チン要求性が回復するかどうかを調べた。結果を第1表
に示した。
DNAを組み込んだベクターの造成 (5)で得られた形質転換株エシェリヒア・コリBR−4
[pOFS3]およびエシェリヒア・コリBR−4[pBDH17]
をそれぞれL−培地100ml中で培養し、(3)と同様に
してクロラムフェニコール処理を行った。菌体を集洗
後、アルカリ方(Nucleic Acids Research,7,1513〜15
23,1979)により、エシェリヒア・コリBR−4[pOFS3]
から組換えプラスミドpOFS3を、エシェリヒア・コリBR
−4[pBDH17]から組換えプラスミドpBDH17を多量に得
た。これらの組換えプラスミドをJ.Bacteriol.,112,830
〜839,1972に記載のBR変異株、R876株、R874株、R873
株、R877株、R875株、(それぞれピメリルCoAシンテタ
ーゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シンテター
ゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラ
ーゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、およびデスチオ
ビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素が欠損し
た株)へ(5)と同様の方法により形質転換して、ビオ
チン要求性が回復するかどうかを調べた。結果を第1表
に示した。
組換えプラスミドpOFS3にはデスチオビオチンシンテタ
ーゼの遺伝情報の欠如、さらに組換えプラスミドpBDH17
には7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラ
ーゼの遺伝情報の欠如が見られた。そこで第1図に示す
ごとく、組換えプラスミドpOFS3とpBDH17より、5つの
ビオチン生合成酵素全ての遺伝情報を担う組換えプラス
ミドpTMR22の造成を行った。
ーゼの遺伝情報の欠如、さらに組換えプラスミドpBDH17
には7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラ
ーゼの遺伝情報の欠如が見られた。そこで第1図に示す
ごとく、組換えプラスミドpOFS3とpBDH17より、5つの
ビオチン生合成酵素全ての遺伝情報を担う組換えプラス
ミドpTMR22の造成を行った。
組換えプラスミドpOFS3とpBDH17をそれぞれ2μgと
り、pOFS3は制限エンドヌクレアーゼpstIで、pBDH17は
2つの制限エンドヌクレアーゼEcoRI,PstIで完全に切断
後、それぞれアガロース電気泳動(アガロース1%,70
V)にかけ、エチジウムブロミドで染色後、pOFS3から約
5.1KbのPstIDNA断片を、pBDH17からは約1.0KbのEcoRI−
PstIDNA断片を紫外線照射下で切り出し、このゲルをそ
れぞれ透析チューブに入れて再度電気泳動を行いゲルよ
りDNAを抽出した。抽出後フェノール処理で残存するア
ガロースを除去した後、2倍容のエタノールを加えてDN
Aを沈澱採取した。
り、pOFS3は制限エンドヌクレアーゼpstIで、pBDH17は
2つの制限エンドヌクレアーゼEcoRI,PstIで完全に切断
後、それぞれアガロース電気泳動(アガロース1%,70
V)にかけ、エチジウムブロミドで染色後、pOFS3から約
5.1KbのPstIDNA断片を、pBDH17からは約1.0KbのEcoRI−
PstIDNA断片を紫外線照射下で切り出し、このゲルをそ
れぞれ透析チューブに入れて再度電気泳動を行いゲルよ
りDNAを抽出した。抽出後フェノール処理で残存するア
ガロースを除去した後、2倍容のエタノールを加えてDN
Aを沈澱採取した。
得られた約5.1Kbと約1.0KbのDNA断片と、別に2つの制
限エンドヌクレアーゼEcoRI,PstIで切断し、アガロース
電気泳動同様の方法でゲルから回収して得られた約3.6K
bのpBR322ベクターDNA断片とを混合し、T4ファージ由来
のDNAリガーゼで連結反応を行った。
限エンドヌクレアーゼEcoRI,PstIで切断し、アガロース
電気泳動同様の方法でゲルから回収して得られた約3.6K
bのpBR322ベクターDNA断片とを混合し、T4ファージ由来
のDNAリガーゼで連結反応を行った。
次いで65℃5分間の熱処理後、反応液に2倍容のエタノ
ールを加えて連結反応終了後のDNAを沈澱採取した。
ールを加えて連結反応終了後のDNAを沈澱採取した。
得られた組換えプラスミドをBR変異株エシェリヒア・コ
リBR−4株に(5)と同様の方法で形質転換し、ビオチ
ン無添加の最少寒天培地上で生じたコロニー即ちエシェ
リヒア・コリBR−4[pTMR22]を釣菌し、その性質を調
べたところ、テトラサイクリン耐性、アンシピリン感受
性であった。
リBR−4株に(5)と同様の方法で形質転換し、ビオチ
ン無添加の最少寒天培地上で生じたコロニー即ちエシェ
リヒア・コリBR−4[pTMR22]を釣菌し、その性質を調
べたところ、テトラサイクリン耐性、アンシピリン感受
性であった。
この形質転換株エシェリヒア・コリBR−4[pTMR22]よ
り前述と同様のアルカリ法で組換えプラスミドを抽出
し、得られた組換えプラスミドpTMR22をさらに前述のビ
チオン生合成酵素の夫々が欠損したBR変異株に(5)と
同様の方法により形質転換した。結果を第2表に示し
た。
り前述と同様のアルカリ法で組換えプラスミドを抽出
し、得られた組換えプラスミドpTMR22をさらに前述のビ
チオン生合成酵素の夫々が欠損したBR変異株に(5)と
同様の方法により形質転換した。結果を第2表に示し
た。
表2から明らかなように全てのBR変異株にビオチン要求
性の回復が見られたことにより、ここで造成された組換
えプラスミドpTMR22には5つのビオチン生合成酵素全て
の遺伝情報を担うDNAが含有されていることがわかる。
性の回復が見られたことにより、ここで造成された組換
えプラスミドpTMR22には5つのビオチン生合成酵素全て
の遺伝情報を担うDNAが含有されていることがわかる。
(7)ビオチン生合成酵素の遺伝情報を担う組換えプラ
スミドのエシェリヒア・コリDR−85への形質転換 先に得られた組換えプラスミドpTMR22を(5)と同様の
方法でエシェリヒア・コリDR−85に形質転換し、テトラ
サイクリン10μg/mlを含むL−培地寒天平板上で生じた
コロニーを分離し、エシェリヒア・コリDR−85[pTMR2
2](微工研菌寄第8097号)を取得した。
スミドのエシェリヒア・コリDR−85への形質転換 先に得られた組換えプラスミドpTMR22を(5)と同様の
方法でエシェリヒア・コリDR−85に形質転換し、テトラ
サイクリン10μg/mlを含むL−培地寒天平板上で生じた
コロニーを分離し、エシェリヒア・コリDR−85[pTMR2
2](微工研菌寄第8097号)を取得した。
実施例2 (培地組成) グルコース 5.0 g 硫酸アンモニウム 4.0 g カザミノ酸(ビタミンフリー) 4.0 g 燐酸第二水素カリウム 2.0 g 燐酸第一水素カリウム 1.0 g 硫酸マグネシウム・7水和物 0.1 g DL−トリプトファン 0.02g イオン交換水 1000ml 上記組成の培地(pH7.0)に第3表に示す菌株を接種
し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を除去後、培養液に生成蓄積されたビオチン
量をラクトバシリス・プランタラム(Lactbacillus pla
ntarum,ATCC8014)による微生物定量法により行った。
その結果を第3表に示した。
し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を除去後、培養液に生成蓄積されたビオチン
量をラクトバシリス・プランタラム(Lactbacillus pla
ntarum,ATCC8014)による微生物定量法により行った。
その結果を第3表に示した。
実施例3 (培地組成) グルコース 5.0g 硫酸アンモニウム 5.0g 酵母エキス 5.0g プロテオースペプトン(Difco) 5.0g 塩化ナトリウム 5.0g 燐酸第二水素カリウム 4.0g 硫酸マグネシウム・7水和物 1.0g イオン交換水 1000ml 上記組成の培地(pH7.0)に第4表に示す菌株を接種
し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を除去後、培養液に生成蓄積されたビオチン
量を実施例2と同様の微生物定量法により行った。その
結果を第4表に示した。
し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を除去後、培養液に生成蓄積されたビオチン
量を実施例2と同様の微生物定量法により行った。その
結果を第4表に示した。
第1図は実施例1の(6)に示す組換えプラスミドpTMR
22の造成方法を示す図面である。
22の造成方法を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19) (72)発明者 坂本 哲夫 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 柳 光男 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−149091(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)
由来のピメリルCoAシンテターゼ、7−ケト−8−アミ
ノペラルゴン酸シンテターゼ、7,8−ジアミノペラルゴ
ン酸アミノトランスフェラーゼ、デスチオビオチンシン
テターゼ、およびデスチオビオチンからビオチンへの変
換に関与する酵素の遺伝情報をそれぞれ担うデオキシリ
ボ核酸(DNA)のすべてをベクターDNAに組み込んだ組換
えDNAを、ビオチンによるフィードバック阻害が解除さ
れたエシェリヒア・コリに含有せしめてなる微生物。 - 【請求項2】ベクターDNAがpBR322プラスミドである特
許請求の範囲第1項に記載の微生物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60042928A JPH0740922B2 (ja) | 1985-03-05 | 1985-03-05 | ビオチン生産性微生物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60042928A JPH0740922B2 (ja) | 1985-03-05 | 1985-03-05 | ビオチン生産性微生物 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30382494A Division JP2527926B2 (ja) | 1994-12-07 | 1994-12-07 | ビオチンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61202686A JPS61202686A (ja) | 1986-09-08 |
JPH0740922B2 true JPH0740922B2 (ja) | 1995-05-10 |
Family
ID=12649680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60042928A Expired - Lifetime JPH0740922B2 (ja) | 1985-03-05 | 1985-03-05 | ビオチン生産性微生物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0740922B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6410293B1 (en) | 1997-03-03 | 2002-06-25 | Sumitomo Chemical Company, Limited | DNA fragments containing biotin biosynthetase gene and use of the same |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2615514B2 (fr) * | 1987-05-18 | 1991-01-11 | Transgene Sa | Clonage des genes bioc et bioh de bacillus sphaericus, vecteurs et cellules transformees et procede de preparation de la biotine |
CA1322735C (en) * | 1987-11-07 | 1993-10-05 | Shinichiro Haze | Microorganism having low acetate forming capability, and process for production of useful substrate using same |
GB2216530B (en) * | 1988-03-22 | 1992-07-08 | Mini Agriculture & Fisheries | Genetic material for expression of biotin synthetase enzymes |
CZ285533B6 (cs) * | 1992-10-02 | 1999-08-11 | Lonza Ag | DNA-fragmenty, plasmidy a mikroorganismy obsahující tyto DNA-fragmenty a plasmidy a způsob biotechnologické výroby biotinu |
US6277609B1 (en) | 1993-01-06 | 2001-08-21 | Basf Aktiengesellschaft | Method to produce biotin |
EP0635572A3 (en) | 1993-06-25 | 1995-03-08 | Hoffmann La Roche | Biosynthesis of biotin in bacillus subtilis. |
CN114480525B (zh) * | 2022-01-06 | 2024-06-07 | 浙江圣达生物药业股份有限公司 | 一种提高d-生物素产量的生产方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61149091A (ja) * | 1984-12-24 | 1986-07-07 | Nippon Soda Co Ltd | ビオチン合成酵素をコ−ドする二重鎖dna、それを含む微生物及びビオチンの製造法 |
-
1985
- 1985-03-05 JP JP60042928A patent/JPH0740922B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6410293B1 (en) | 1997-03-03 | 2002-06-25 | Sumitomo Chemical Company, Limited | DNA fragments containing biotin biosynthetase gene and use of the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61202686A (ja) | 1986-09-08 |
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---|---|---|---|
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