JP2527926B2 - ビオチンの製造方法 - Google Patents

ビオチンの製造方法

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JP2527926B2 JP30382494A JP30382494A JP2527926B2 JP 2527926 B2 JP2527926 B2 JP 2527926B2 JP 30382494 A JP30382494 A JP 30382494A JP 30382494 A JP30382494 A JP 30382494A JP 2527926 B2 JP2527926 B2 JP 2527926B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規微生物を用いるビオ
チンの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビオチンは動植物、微生物にとって重要
なビタミンの一種である。従来微生物を用いたビオチン
の製造法としては、バシルス属、クロモバクテリウム
属、シュードモナス属、アースロバクター属等の微生物
を用いる方法が知られている。またこれら野生株に人工
的に突然変異を生起せしめてビオチン生産能を付与する
方法も提案されている(特開昭58−60996号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら微生物を
用いてビオチンを製造しようとする場合、野生株はビオ
チンによる強力なフィードバック阻害機構の為(Y.Izum
i, K.Ogata, Adv.Appl.Microbial. 22,155〜157, 1977)
ビオチンは極少量しか生成されない。また変異株を用い
る方法でも生成量は必ずしも満足し得るものではなかっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の事情に鑑み、本発
明者等はこれらの手法とは異なる遺伝子操作による育種
に着目し、ビオチン生産能の優れた微生物を得るべく鋭
意研究を重ねた結果、エシェリヒア・コリ野生株を人工
的に変異させることによりビオチンによるフィードバッ
ク阻害が解除された変異株を取得し、該変異株よりビオ
チンの生合成に関与する酵素の遺伝情報を担うDNAを
単離し、次いで該DNAをベクターDNAに組み込ませ
た組換えDNAを得、該組換えDNAを前記変異株に導
入することに成功するとともに、かくして得られた微生
物が優れたビオチン生産能を有することを見い出し、こ
の知見にもとずいて本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、(1)ピメリルCoA
シンテターゼ活性、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸
シンテターゼ活性、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミ
ノトランスフェラーゼ活性、デスチオビオチンシンテタ
ーゼ活性、およびデスチオビオチンからビオチンへの変
換に関与する酵素活性を有し、かつビオチンによるフィ
ードバック阻害が解除されたエシェリヒア・コリから取
得したピメリルCoAシンテターゼ、7−ケト−8−ア
ミノペラルゴン酸シンテターゼ、7,8−ジアミノペラ
ルゴン酸アミノトランスフェラーゼ、デスチオビオチン
シンテターゼ、およびデスチオビオチンからビオチンへ
の変換に関与する酵素(以下、これらの酵素を単にビオ
チン生合成酵素と略す。)の遺伝情報を担うデオキシリ
ボ核酸(DNA)をベクターDNAに組み込んだ組換え
DNAを、当該エシェリヒア・コリに含有せしめた微生
物、および(2)該微生物を培養し、培地中に生成蓄積
されたビオチンを採取することを特徴とするビオチンの
製造法である。以下に本発明を詳細に説明する。
【0006】〔本発明に係る微生物の調整〕まず、ビオ
チン生合成酵素活性を有するエシェリヒア・コリ野生株
(例えばエシェリヒア・コリJA221)に変異を誘起
せしめて、ビオチン要求株(以下、BR変異株と称
す。)およびビオチンによるフィードバック阻害が解除
された変異株(以下、DR変異株と称す。)を取得す
る。変異の誘起は通常の変異誘起処理により行うことが
でき、例えばN−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソ
グアニジンのごとき変異誘起剤で処理することにより実
施することができる。BR変異株の取得は変異誘起処理
して得られた菌体を緩衝液で適当に希釈後、ビオチンを
含む最小培地寒天平板で培養し、適当数(約50〜20
0個)のコロニーが出現した平板を選び、ビオチン無添
加の最小培地平板にレプリカして培養後、レプリカ平板
をマスター平板と比較し、レプリカ平板では生育しない
コロニーをマスター平板より釣菌分離することにより行
う。
【0007】このようにして得られたBR変異株には例
えばエシェリヒア・コリBR−4があげられる。本BR
変異株はデスチオビオチン添加最小培地でも生育できな
いことより、デスチオビオチンからビオチンへの変換に
関与する酵素が欠損したことがわかる。また公知のBR
変異株としては、例えばJ.Bacteriol., 112 ,830〜839
(1972) に記載のR876株、R874株、R873
株、R877株、R875株(それぞれピメリルCoA
シンテターゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シン
テターゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトラン
スフェラーゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、デスチ
オビオチンからビオチンへの変換に関与する酵素、が欠
損した株)があげられる。
【0008】一方DR変異株の取得は変異誘起処理して
得られた菌体を、緩衝液で適当に希釈後、上記のように
して得たBR変異株と2,3,5−トリフェニルテトラ
ゾリウムクロリドとを含むビオチン無添加の最少培地寒
天平板に、一定量のビオチン無添加の最少寒天培地を重
層して作成した平板上で培養し、生じた小コロニーの下
層がピンク色のゾーンを呈した時、生じた小コロニーを
釣菌分離することによりおこなう。この原理はDR変異
株はビオチンを多量に生産し、下層のBR要求株の生育
を助け、その増殖に伴い2,3,5−トリフェニルテト
ラゾリウムクロリドが還元されピンク色のゾーンを呈す
ることにあり、従って変異が誘発されなかった野生株で
はこのような現象は観察されない。このようにして得ら
れたDR変異株としては、例えばエシェリヒア・コリD
R−85(微工研菌寄第8096号)があげられる。
【0009】次いでビオチン生合成酵素の遺伝情報を担
うDNA(以下、染色体DNAと称す。)を上記DR変
異株から単離精製するには、例えばBiochim.Biophys.Ac
ta72,619〜629(1963) に記載のフェノール法等常法に従
って行うことができる。次に得られた染色体DNAをベ
クターDNAに組み込んで組換えDNAを調整する。染
色体DNAのベクターDNAへの組み込みは常法に従っ
て行うことができる。例えば、染色体DNAおよびベク
ターDNAを制限エンドヌクレアーゼで切断して染色体
DNA断片およびベクターDNA断片を調整したのち、
両者の混合物をDNAリガーゼで処理することにより行
うことができる。
【0010】ここで用いられるベクターDNAとしては
エシェリヒア・コリを宿主とするpBR322プラスミ
ド、コリシン(Col)E1プラスミド、ラムダファー
ジなど通常用いられるものが採用されうる。とりわけp
BR322プラスミドが好適に用いられる。また制限エ
ンドヌクレアーゼとしては、例えばHindIII ,Ec
oRI,PstI,BamHI等があげられるが、制限
エンドヌクレアーゼの操作を浅く、即ちDNA鎖の切断
が部分切断で止まるようにすれば多くの制限エンドヌク
レアーゼが本実験に使用できる。また2種類の制限エン
ドヌクレアーゼを併用することも可能である。DNAリ
ガーゼとしては、T4 ファージ由来のDNAリガーゼが
好適に用いられる。
【0011】次に、上記のごとくして得た組換えDNA
を常法例えば〔Molec.Gen.Genet.,124 ,1〜10(1973)〕
に記載のカルシウム処理法によりBR変異株(例えばエ
シェリヒア・コリBR−4)に導入し、ビオチン無添加
の最少寒天培地で培養することにより生じたコロニーを
釣菌分離してビオチン生産能を有する菌株(即ちビオチ
ン生合成酵素の遺伝情報を担うDNAが組み込まれた組
換えDNAプラスミドを含有している菌株)を採取す
る。次いで、上記方法で得られた組換えDNAプラスミ
ド含有菌株より組換えDNAプラスミドを単離する。組
換えDNAの単離は常法に従って行うことができる。例
えばNucleic acid research,, 1513〜1523(1979)に記
載のアルカリ抽出法があげられる。
【0012】このようにして得られた組換えDNAにビ
オチン生合成酵素の遺伝情報を担うDNAが含まれるこ
とは次のようにして確認することができる。即ち各ビオ
チン生合成酵素活性の欠損したエシェリヒア・コリBR
変異株に本組換えDNAを導入することによりビオチン
要求性が解除されることをもって確認するものである。
なお、組換えDNAプラスミドを得る時に用いた制限エ
ンドヌクレアーゼの種類によっては、処理を完全に行っ
た時などは、ビオチン生合成酵素の遺伝情報の全ては含
まない即ち幾つかの遺伝情報が欠落する場合がある。こ
のような時は、異なる制限エンドヌクレアーゼを用いて
得られる幾種かの組換えプラスミドからの再構成を行
い、結果としてビオチン生合成酵素の全遺伝情報を組み
込んだ組換えDNAプラスミドを得ることができる。
【0013】上記のごとくして得た組換えDNAを前記
のDR変異株に導入すれば、組換えDNA含有DR変異
株を調整することができる。組換えDNA含有DR変異
株はベクターの持つ形質により、組換えDNAを含有す
る菌のクローンを選択的に生育せしめる培地にて培養し
出現するコロニーとして取得することができる。かくし
て得られたDNA含有DR変異株すなわち本発明の新規
微生物の例としては、例えばエシェリヒア・コリDR−
85(微工研菌寄第8097号)があげられる。
【0014】ビオチンの生産 上記の如くして取得した本発明の微生物を培養すれば培
養液中にビオチンを著量生成蓄積する。本発明に係る微
生物の培養に際して用いられる培地としては、炭素源、
窒素源、無機物を含有する合成培地、または天然培地の
いずれも使用可能である。炭素源としては、グルコー
ス、グリセリン、フラノトース、シュークロース、マル
トース、マンノース、澱粉、澱粉加水分解液、糖蜜など
の炭水化物が使用でき、その使用量は0.5〜5.0%
程度が好ましい。また窒素源としては、アンモニア、塩
化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硫酸アンモニウ
ム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの各種の
無機および有機アンモニウム塩類あるいは肉エキス、酵
母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解
物、脱脂大豆粕あるいはその消化物などの天然有機窒素
源が使用可能であり、その使用量は0.5〜2.0%程
度が好ましい。
【0015】天然有機窒素源の多くの場合は、窒素源で
あるとともに炭素源にもなりうる。さらに無機物として
は、燐酸第一水素カリウム、燐酸第二水素カリウム、硫
酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、塩化カ
ルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化マンガン、塩化コバ
ルト、モリブデン酸アンモン、硼酸などが使用でき、そ
の使用量は0.005〜0.5%程度が好ましい。ま
た、造成された微生物に抗菌薬剤耐性が付与されている
場合には、該当する抗菌剤を培地に添加することによっ
て汚染菌の混入を防ぐことができる。
【0016】培養は振盪培養あるいは通気撹拌培養など
の好気的条件下で行うのが好ましい。培養温度は25〜
37℃が好適であり、培養中の培地のpHは中性付近に維
持することが望ましく、培養期間は通常16〜48時間
程度で充分である。培養を終了した後、培養液からのビ
オチンの抽出精製にあたっては、ビオチンの諸性質を利
用して一般の天然物からの抽出精製法が応用できる。す
なわち、培養物から菌体を除き活性炭に吸着させ、しか
るのち溶出させイオン交換樹脂で精製するか、あるいは
培養濾液を直接イオン交換樹脂で処理して精製し、水ま
たはアルコールより再結晶することによりビオチンを取
得することができる。
【0017】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるもので
はない。実施例1. (1)DR変異株の調整 ビオチン生合成酵素活性を有する野生株エシェリヒア・
コリJA221をL−培地(ペプトン10g/l、酵母
エキス5g/l、グルコース1g/l、塩化ナトリウム
5g/l、pH7.2に調整)中37℃で3時間振盪培養
を行い、対数増殖期の菌体を集洗後、これをN−メチル
−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン100μg/
mlを含有するTM緩衝液(トリス−塩基0.61%、マ
レイン酸0.5%、pH6.0に調整)に懸濁し、37℃
30分間静置し変異処理を行った。
【0018】菌体を集洗後再懸濁液を、集洗された10
5 cell/mlのBR変異株エシェリヒア・コリBR−4と
50μg/mlの2,3,5−トリフェニルテトラゾリウ
ムクロリドを含む20mlのビオチン無添加の最少培地寒
天平板(グルコース5g/l、硫酸アンモニウム4g/
l、燐酸第二水素カリウム2g/l、燐酸第一水素カリ
ウム1g/l、硫酸マグネシウム・7水和物0.1g/
l、DL−トリプトファン0.02g/l、ビタミンフ
リーのカザミノ酸4g/l、寒天15g/l)に15ml
のビオチン無添加最少寒天培地を重層しておいた通常の
大きさのシャーレ上に出現するコロニーが約50〜20
0個となるように塗抹した。37℃48時間培養後、出
現した小コロニーの下層がピンク色のゾーンを呈した1
株を釣菌分離し、ビオチンによるフィードバック阻害が
解除されたDR変異株エシェリヒア・コリDR−85
(微工研菌寄第8096号)を取得した。
【0019】(2)染色体DNAの調整 上記のごとくして得たエシェリヒア・コリDR−85を
500mlのL−培地中37℃で3時間振盪培養を行い、
対数増殖期の菌体を集洗後、フェノール法による通常の
DNA抽出法によって抽出精製し、2.1mgの染色体D
NAを得た。
【0020】(3)ベクターDNAの調整 アンピシリン耐性およびテトラサイクリン耐性を有する
pBR322プラスミドDNAを次のように調整した。
まず、pBR322をプラスミドとして保有するエシェ
リヒア・コリK−12株の一種を、アンピシリン150
μg/ml添加したL−培地1000ml中で37℃で培養
し、対数増殖期に150μg/mlのクロラムフェニコー
ルを添加してさらに一夜培養した。この操作により細胞
内にプラスミドDNAが多量に生産される。
【0021】クロラムフェニコール添加後、15時間目
に菌体を集洗し、リゾチウムおよびソジウムドデシルサ
ルフェートで溶菌させ、ついで30000gで2時間遠
心分離して上清を得た。この上清液からプラスミドDN
Aを濃縮後、リボ核酸分解酵素で37℃2時間処理し、
ついでセシウムクロリド−エチジウムブロミド平衡密度
勾配遠心法によって最終520μgのpBR322プラ
スミドDNAを分画採取した。
【0022】(4)染色体DNA断片のベクターへの挿
入 (2)で得たDNA3μgをとり、制限エンドヌクレア
ーゼpstIを与え30℃で3時間反応させた。また
(3)で調整したベクターDNA1.5μgをpstI
で完全に切断した。両反応液を各々65℃5分間の加熱
処理をした後、両反応液を混合し、ATPおよびジチオ
スレイトール存在下、T4 ファージ由来のDNAリガー
ゼによって15℃16時間DNA鎖の連結反応を行っ
た。
【0023】全く同様の方法で染色体DNA3μgを2
つの制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびBamH
Iを用い、同時に37℃3時間反応させ65℃5分間の
熱処理後、EcoRIおよびBamHIで完全に切断し
たベクターDNAと混合し、DNAリガーゼ反応を15
℃16時間行った。反応後は65℃5分間の熱処理後、
反応液に2倍容のエタノールを加えて連結反応後のDN
Aを沈澱採取した。
【0024】(5)ビオチン生合成酵素の遺伝情報を担
った組換えプラスミドによる形質転換 エシェリヒア・コリJA221より変異誘導したビオチ
ン要求株エシェリヒア・コリBR−4をL−培地10ml
に接種し、37℃で4時間振盪培養を行い対数増殖期中
期まで生育させた後集菌し、これを塩化カルシウム50
mMを含むトリス緩衝液(50mM、pH7.0)で2回洗浄
後、同じ緩衝液1mlに再懸濁させた。この懸濁液0.2
mlに(4)で得たそれぞれのDNA溶液を加え、0℃に
30分保持した後、直ちに42℃2分間のヒートショッ
クを与え、DNAを細胞内に取り込ませた。ついでそれ
ぞれの細胞懸濁液の一定量を新たなL−培地に摂取し、
37℃2時間静置培養を行った。
【0025】それぞれ菌体を集洗後、再懸濁液を最少培
地寒天平板(グルコース5g/l、硫酸アンモニウム4
g/l、燐酸第二水素カリウム2g/l、燐酸第一水素
カリウム1g/l、硫酸マグネシウム・7水和物0.1
g/l、DL−トリプトファン0.02g/l、ビタミ
ンフリーのカザミノ酸4g/l、寒天15g/l)に塗
抹し、37℃2日間培養した。生じたコロニーを釣菌
し、その性質を調べたところ制限エンドヌクレアーゼp
stIを用いて得られた形質転換株エシェリヒア・コリ
BR−4〔pOFS3〕はテトラサイクリン耐性、アン
ピシリン感受性であり、2つの制限エンドヌクレアーゼ
EcoRIおよびBamHIを用いて得られた形質転換
株エシェリヒア・コリBR−4〔pBDH17〕はアン
ピシリン耐性、テトラサイクリン感受性であった。
【0026】(6)5つのビオチン生合成酵素全ての遺
伝情報を担うDNAを組み込んだベクターの造成 (5)で得られた形質転換株エシェリヒア・コリBR−
4〔pOFS3〕およびエシェリヒア・コリBR−4
〔pBDH17〕をそれぞれL−培地100ml中で培養
し、(3)と同様にしてクロラムフェニコール処理を行
った。菌体を集洗後、アルカリ法(Nucleic Acids Rese
arch, , 1513〜1523, 1979) により、エシェリヒア・
コリBR−4〔pOFS3〕から組換えプラスミドpO
FS3を、エシェリヒア・コリBR−4〔pBDH1
7〕から組換えプラスミドpBDH17を多量に得た。
これらの組換えプラスミドをJ.Bacteriol., 112 ,830〜
839, 1972 に記載のBR変異株、R876株、R874
株、R873株、R877株、R875株、(それぞれ
ピメリルCoAシンテターゼ、7−ケト−8−アミノペ
ラルゴン酸シンテターゼ、7,8−ジアミノペラルゴン
酸アミノトランスフェラーゼ、デスチオビオチンシンテ
ターゼ、およびデスチオビオチンからビオチンへの変換
に関与する酵素が欠損した株)へ(5)と同様の方法に
より形質転換して、ビオチン要求性が回復するかどうか
を調べた。結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】組換えプラスミドpOFS3にはデスチオ
ビオチンシンテターゼの遺伝情報の欠如、さらに組換え
プラスミドpBDH17には7,8−ジアミノペラルゴ
ン酸アミノトランスフェラーゼの遺伝情報の欠如が見ら
れた。そこで図1に示すごとく、組換えプラスミドpO
FS3とpBDH17より、5つのビオチン生合成酵素
全ての遺伝情報を担う組換えプラスミドpTMR22の
造成を行った。
【0029】組換えプラスミドpOFS3とpBDH1
7をそれぞれ2μgとり、pOFS3は制限エンドヌク
レアーゼpstIで、pBDH17は2つの制限エンド
ヌクレアーゼEcoRI,PstIで完全に切断後、そ
れぞれアガロース電気泳動(アガロース1%、70V)
にかけ、エチジウムブロミドで染色後、pOFS3から
約5.1kbのpstIDNA断片を、pBDH17から
は約1.0kbのEcoRI−PstIDNA断片を紫外
線照射下で切り出し、このゲルをそれぞれ透析チューブ
に入れて再度電気泳動を行いゲルよりDNAを抽出し
た。抽出後フェノール処理で残存するアガロースを除去
した後、2倍容のエタノールを加えてDNAを沈澱採取
した。
【0030】得られた約5.1kbと約1.0kbのDNA
断片と、別に2つの制限エンドヌクレアーゼEcoR
I,PstIで切断しアガロース電気泳動後同様の方法
でゲルから回収して得られた約3.6kbのpBR322
ベクターDNA断片とを混合し、T4 ファージ由来のD
NAリガーゼで連結反応を行った。次いで65℃5分間
の熱処理後、反応液に2倍容のエタノールを加えて連結
反応終了後のDNAを沈澱採取した。
【0031】得られた組換えプラスミドをBR変異株エ
シェリヒア・コリBR−4株に(5)と同様の方法で形
質転換し、ビオチン無添加の最少寒天培地上で生じたコ
ロニー即ちエシェリヒア・コリBR−4〔pTMR2
2〕を釣菌し、その性質を調べたところ、テトラサイク
リン耐性、アンピシリン感受性であった。この形質転換
株エシェリヒア・コリBR−4〔pTMR22〕より前
述と同様のアルカリ法で組換えプラスミドを抽出し、得
られた組換えプラスミドpTMR22をさらに前述のビ
オチン生合成酵素の夫々が欠損したBR変異株に(5)
と同様の方法により形質転換した。結果を表2に示し
た。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように全てのBR変異株
にビオチン要求性の回復が見られたことより、ここで造
成された組換えプラスミドpTMR22には5つのビオ
チン生合成酵素全ての遺伝情報を担うDNAが含有され
ていることがわかる。
【0034】(7)ビオチン生合成酵素の遺伝情報を担
う組換えプラスミドのエシェリヒア・コリDR−85へ
の形質転換 先に得られた組換えプラスミドpTMR22を(5)と
同様の方法でエシェリヒア・コリDR−85に形質転換
し、テトラサイクリン10μg/mlを含むL−培地寒天
平板上で生じたコロニーを分離し、エシェリヒア・コリ
DR−85〔pTMR22〕(微工研菌寄第8097
号)を取得した。実施例2.
【0035】
【表3】 上記組成の培地(pH7.0)に表3に示す菌株を接種
し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、遠心
分離により菌体を除去後、培養液に生成蓄積されたビオ
チン量をラクトバシリス・プランタラム(Lactba
cillus plantarum,ATCC801
4)による微生物定量法により行った。その結果を表4
に示した。
【0036】
【表4】 実施例3.
【0037】
【表5】 上記組成の培地(pH7.0)に表6に示す菌株を接種
し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、遠心
分離により菌体を除去後、培養液に生成蓄積されたビオ
チン量を実施例2と同様の微生物定量法により行った。
その結果を表6に示した。
【0038】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1の(6)に示す組換えプラスミ
ドpTMR22の造成方法を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 哲夫 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社資生堂 研究所内 (72)発明者 柳 光男 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社資生堂 研究所内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エシェリヒア・コリ(Escheric
    hia coli)由来のピメリルCoAシンテター
    ゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シンテターゼ、
    7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラー
    ゼ、デスチオビオチンシンテターゼ、およびデスチオビ
    オチンからビオチンへの変換に関与する酵素の遺伝情報
    をそれぞれ担うデオキシリボ核酸(DNA)のすべてを
    ベクターDNAに組み込んだ組換えDNAをビオチンに
    よるフィードバック阻害が解除されたエシェリヒア・コ
    リに含有せしめてなる微生物を、培地中で培養し、培養
    物からビオチンを採取することを特徴とするビオチンの
    製造法。
  2. 【請求項2】 ベクターDNAがpBR322プラスミ
    ドである特許請求の範囲第1項に記載の製造法。
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