JP2007224265A - 熱伝導性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】成形加工性及び離型性に優れ、更に、熱伝導性及び電磁シールド性に優れた成形品を与える熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いてなる成形品を提供する。
【解決手段】本発明の組成物は、熱可塑性樹脂と、アスペクト比が10〜20であり、重量平均粒子径が10〜200μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子と、離型剤とが配合されてなり、上記熱可塑性樹脂を100質量部とした場合に、上記黒鉛粒子の配合量が10〜1,000質量部であり、且つ、上記熱可塑性樹脂及び全黒鉛粒子の合計を100質量部とした場合に、上記離型剤の配合量が0.1〜10質量部である。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形加工性及び離型性に優れ、更に、熱伝導性及び電磁シールド性に優れた成形品を与える熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いてなる成形品に関する。
LSI等の半導体素子の集積密度の増大と動作の高速化、そして電子部品の高密度実装に伴い、発熱部品を備える製品における放熱対策が大きな課題となっている。例えば、電子部品のハウジングには、従来、熱伝導率の高い金属やセラミックスが用いられてきたが、近年、形状選択の自由度が高く、軽量化及び小型化の容易な樹脂組成物が用いられている(特許文献1、2及び3参照)。
特許文献1には、PBT、PEEK等の熱可塑性樹脂と、窒化アルミニウム等の無機繊維及び無機粉末とを含む樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、特定のブロック共重合体又は水素添加ブロック共重合体と、ゴム用軟化剤と、水酸化マグネシウム等の熱伝導材とを含む樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、マトリックス樹脂中に窒化アルミニウム焼結体粉末等からなるフィラーが分散するとともに、融点が500℃以下の低融点金属又は共晶合金によって網目状に形成された金属網を介して上記フィラーが相互に連続的に溶着されてなる高熱伝導性複合体が開示されている。
また、他の熱伝導性を付与する材料としては、黒鉛粉末等の粉末状物質、繊維状物質等があり、これらを含む樹脂組成物が開示されている(特許文献4及び5参照)。
特許文献4には、非球形塊状の黒鉛粒子と、樹脂と、を含む導電性組成物が開示されている。
特許文献5には、熱可塑性樹脂と、70%以上の粒子のアスペクト比が3以下である黒鉛粉末とを含む導電樹脂組成物が開示されている。
特開平8−283456号 特開2001−106865号 特開平6−196884号 特開2003−253127号 特開2001−60413号
熱伝導性樹脂組成物において、熱伝導性を付与する材料の形状が、粉末状、繊維状等である場合には、成形直後に、金型から成形品を取り出すことが容易でないことがあり、金型の内表面に離型剤を塗布する方法により、良好な離型性を維持しようとしても、最初の数ショットぐらいまでしか効果が得られなかった。また、金型の抜き勾配を設ける方法もあるが、成形品が、大型形状の場合には、十分な抜き勾配が取れないことがあり、複雑形状等の場合、突出ピンの大きさや位置が制約されることがあった。
本発明の目的は、成形加工性及び離型性に優れ、更に、熱伝導性及び電磁シールド性に優れた成形品を与える熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いてなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、離型性について鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示される。
1.〔A〕熱可塑性樹脂と、〔B〕アスペクト比が10〜20であり、重量平均粒子径が10〜200μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子と、〔D〕離型剤とが配合されてなり、上記熱可塑性樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、上記黒鉛粒子〔B〕の配合量が10〜1,000質量部であり、且つ、上記熱可塑性樹脂〔A〕及び全黒鉛粒子の合計を100質量部とした場合に、上記離型剤〔D〕の配合量が0.1〜10質量部であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
2.上記黒鉛粒子〔B〕の形状が鱗片状である上記1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
3.上記黒鉛粒子〔B〕の粒度分布を測定して得られた、累積重量が、それぞれ、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80を用いて得られる比D80/D20が2〜12である上記1又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
4.更に、〔C〕アスペクト比が3以下であり、重量平均粒子径が10〜70μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子が、上記黒鉛粒子〔B〕の配合量を100質量部とした場合に、70質量部以下配合されてなる上記1乃至3のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
5.上記離型剤〔D〕が、温度140℃における粘度が100〜10,000cpsのポリエチレンワックスである上記1乃至4のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
6.上記熱可塑性樹脂〔A〕が、ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物、からなるゴム強化樹脂を含む上記1乃至5のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
7.上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)が、上記ゴム質重合体(a)として、ジエン系重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)と、上記ゴム質重合体(a)として、エチレン・α−オレフィン共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム)及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム)を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂とを含み、且つ、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム)及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム)の合計の含有量が、上記熱可塑性樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、0.5〜8質量部である上記6に記載の熱伝導性樹脂組成物。
8.更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、1〜30質量部である上記1乃至7のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
9.更に、酸化防止剤を含有し、該酸化防止剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、0.01〜5質量部である上記1〜8のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
10.熱伝導率が7W/m・K以上である上記1乃至9のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
11.100MHzの周波数における電磁シールド効果が15dB以上である上記1乃至10のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
12.上記1乃至11のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂〔A〕と、特定の黒鉛粒子〔B〕と、離型剤〔D〕とを含有することから、成形加工性及び離型性に優れ、更に、熱伝導性及び電磁シールド性に優れた成形品を得ることができる。即ち、熱伝導率が7W/m・K以上であり、100MHzの周波数における電磁シールド効果が15dB以上である成形品を容易に得ることができる。
黒鉛粒子〔B〕の形状が鱗片状である場合には、特に熱伝導性に優れる。
更に、他の特定の黒鉛粒子〔C〕を含有する場合には、成形品の熱伝導率が、成形時の組成物の流れ方向及びその垂直方向において差が小さくなり、更に熱伝導性に優れる。
また、離型剤〔D〕が、温度140℃における粘度が100〜10,000cpsのポリエチレンワックスである場合には、特に離型性に優れる。
本発明の成形品は、熱可塑性樹脂〔A〕と、黒鉛粒子〔B〕とを含有することにより、表面外観性に優れ、更に、熱伝導性及び電磁シールド性に優れる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
1.熱伝導性樹脂組成物
本発明の熱伝導性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、〔A〕熱可塑性樹脂(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、〔B〕アスペクト比が10〜20であり、重量平均粒子径が10〜200μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子(以下、「成分〔B〕」ともいう。)と、〔D〕離型剤(以下、「成分〔D〕」ともいう。)とが配合されてなり、上記熱可塑性樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、上記黒鉛粒子〔B〕の配合量が10〜1,000質量部であり、且つ、上記熱可塑性樹脂〔A〕及び全黒鉛粒子の合計を100質量部とした場合に、上記離型剤〔D〕の配合量が0.1〜10質量部である。
1−1.成分〔A〕
この成分〔A〕は、熱可塑性を有する重合体からなるものであれば、特に限定されず、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体等のスチレン系(共)重合体;ABS樹脂、AES樹脂等のゴム強化樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリエチレン等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂(POM);ポリカーボネート樹脂(PC);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂及びこれらのアロイが好ましい。
上記ゴム強化樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)、及び、ビニル系単量体の(共)重合体(A2)の混合物、からなるものである。
上記ゴム質重合体(a)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってよいし、共重合体であってもよいが、ジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)及び非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)が挙げられる。また、これらは、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。更に、このゴム質重合体(a)は、非架橋重合体であってよいし、架橋重合体であってもよい。
上記ジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体ゴム;スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体;スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体等のスチレン・イソプレン系共重合体;上記各(共)重合体の水素化物等が挙げられる。
また、上記非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)としては、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンからなる単位とを含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;ウレタン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーンゴム;シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられる。
尚、上記各共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンからなる単位とを含むものであり、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム等が挙げられる。
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1オクテン−1、プロピルペンテン−1等が挙げられる。
また、上記非共役ジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジエン化合物;5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒドロミルセン等の分岐連鎖の非環状ジエン化合物;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン等の脂環式ジエン化合物等が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・3−メチル−1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・3−エチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、エチレン・1−ウンデセン共重合体等が挙げられる。
また、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを構成するエチレン単位の含有量は、全単位の合計量に対して、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。また、上記エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜100,0000、より好ましくは30,000〜300,000である。このMnが大きすぎると、得られる非ジエン系ゴム強化樹脂を用いた際の加工性が低下することがある。更に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、好ましくは10以下である。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いるゴム質重合体(a)の形状は、特に限定されない。また、その重量平均粒子径は、ゴム質重合体(a)の形状が粒子状である場合、好ましくは50〜3,000nmであり、更に好ましくは100〜2,000nm、特に好ましくは120〜800nmである。重量平均粒子径が50nm未満では、本発明の組成物及びそれを含む成形品の耐衝撃性が劣る傾向にあり、3,000nmを超えると、成形品の表面外観性が劣る傾向にある。尚、上記重量平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
上記ゴム質重合体(a)は、重量平均粒子径が上記範囲内にあるものであれば、例えば、特公平4−79366号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報等に記載されている方法等の公知の方法により肥大化したものを用いることもできる。
上記ゴム質重合体(a)を製造する方法としては、平均粒子径の調整等を考慮し、乳化重合が好ましい。この場合、平均粒子径は、乳化剤の種類及びその使用量、開始剤の種類及びその使用量、重合時間、重合温度、攪拌条件等の製造条件を選択することにより調整することができる。また、上記平均粒子径(粒子径分布)の他の調整方法としては、異なる粒子径を有するゴム質重合体(a)の2種類以上をブレンドする方法でもよい。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(b)としては、芳香族ビニル化合物が含まれればよく、それ以外では、例えば、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等の該芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物を、それぞれ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
従って、上記ビニル系単量体(b)としては、芳香族ビニル化合物の1種以上の単量体、あるいは、芳香族ビニル化合物の1種以上、及び、該芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の1種以上を組み合わせた単量体を用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記化合物以外に、必要に応じて、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体(b)は、芳香族ビニル化合物を含むが、この場合の、芳香族ビニル化合物(b1)と、それ以外のビニル系単量体(b2)との重合割合(b1)/(b2)は、これらの合計を100質量%とした場合、好ましくは(2〜95)質量%/(98〜5)質量%、より好ましくは(10〜90)質量%/(90〜10)質量%である。芳香族ビニル化合物(b1)の使用量が少なすぎると、成形加工性が劣る傾向にあり、多すぎると、本発明の組成物及びそれを含む成形品の耐薬品性、耐熱性等が十分でない場合がある。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いるビニル系単量体(b)としては、下記の組み合わせで用いることが好ましい。シアン化ビニル化合物を用いることにより、耐薬品性及び耐変色性の物性バランスが向上する。
(1)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物。
(2)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られたものである。このゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ビニル系単量体(b)として芳香族ビニル化合物のみを用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(i)の1種以上であってよいし、ビニル系単量体(b)として上記(1)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(ii)の1種以上であってよいし、ビニル系単量体(b)として上記(2)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(iii)の1種以上であってもよい。更には、これらを適宜、組み合わせたものであってもよい。
また、これら(i)〜(iii)の態様において、ゴム質重合体(a)の種類を違えた組み合わせとすることもでき、好ましい例を以下に示す。
(3)ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(i−1)と、非ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(i−2)と、からなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(4)ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(ii−1)と、上記ゴム強化ビニル系樹脂(i−2)と、からなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(5)ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(iii−1)と、上記ゴム強化ビニル系樹脂(i−2)と、からなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(6)上記ゴム強化ビニル系樹脂(i−1)と、非ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(ii−2)とからなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(7)上記ゴム強化ビニル系樹脂(ii−1)と、上記ゴム強化ビニル系樹脂(ii−2)とからなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(8)上記ゴム強化ビニル系樹脂(iii−1)と、上記ゴム強化ビニル系樹脂(ii−2)とからなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(9)上記ゴム強化ビニル系樹脂(i−1)と、非ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(iii−2)とからなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(10)上記ゴム強化ビニル系樹脂(ii−1)と、上記ゴム強化ビニル系樹脂(iii−2)とからなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
(11)上記ゴム強化ビニル系樹脂(iii−1)と、上記ゴム強化ビニル系樹脂(iii−2)とからなるゴム強化ビニル系樹脂(A1)。
上記(3)〜(11)の態様のゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記(3)〜(11)の態様において、非ジエン系重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム及びエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムが好ましい。これらは単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。
尚、前述のように、上記成分〔A〕としてゴム強化樹脂を用いる場合には、該ゴム強化樹脂が、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のみであってもよく、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体の重合によって得られた(共)重合体(A2)との混合物であってもよい。このビニル系単量体としては、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いた化合物、即ち、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物及び官能基を有する化合物から選ばれる1種以上を用いることができる。従って、上記(共)重合体(A2)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いたビニル系単量体(b)と全く同じ組成の成分を重合して得られる重合体であってもよいし、異なる組成で同じ種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよいし、更には、異なる組成で異なる種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよい。これらの各重合体が2種以上含まれるものであってもよい。
上記(共)重合体(A2)は、ビニル系単量体の重合によって得られた単独重合体又は共重合体であり、下記(12)〜(17)に例示される。尚、各単量体は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いられる化合物を適用でき、好ましい化合物も同様である。
(12)芳香族ビニル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上。
(13)(メタ)アクリル酸エステル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上。
(14)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(15)芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(16)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(17)芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物を除く他の化合物とを重合して得られた共重合体の1種以上。
これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
従って、上記(共)重合体(A2)の具体例としては、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体等が挙げられる。
次に、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)及び(共)重合体(A2)の製造方法について説明する。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を、通常、乳化重合、溶液重合、塊状重合することにより、製造することができる。尚、ゴム質重合体(a)として、非ジエン系重合体を用いる場合には溶液重合を適用することが好ましい。
尚、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)は、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b)を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を100質量部製造する場合、ゴム質重合体(a)の使用量は、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは15〜60質量部である。
また、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)の各使用量については、ゴム質重合体(a)100質量部に対し、ビニル系単量体(b)の使用量は、通常、25〜1,900質量部、より好ましくは60〜560質量部である。
乳化重合によりゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、上記重合開始剤は、反応系に一括して又は連続的に添加することができる。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)全量に対して、通常、0.05〜2.0質量%である。
乳化重合の場合に使用する乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、リン酸系等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)全量に対して、通常、0.3〜5.0質量%である。
乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
尚、複数のゴム強化ビニル系樹脂(A1)を併用する場合には、単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂を各々含むラテックスを製造してから混合し、その後、凝固する等により、混合されたゴム強化ビニル系樹脂(A1)とすることができる。
溶液重合及び塊状重合によるゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造方法は、公知の方法を適用することができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のグラフト率は、好ましくは10〜200質量%、更に好ましくは15〜150質量%、特に好ましくは20〜100質量%である。上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のグラフト率が10質量%未満では、本発明の組成物及びそれを含む成形品の表面外観性及び耐衝撃性が低下することがある。また、200%を超えると、成形加工性が劣る。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリルゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)に溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリルゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)による可溶成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2〜0.9dl/g、特に好ましくは0.3〜0.7dl/gである。この範囲とすることにより、成形加工性に優れ、本発明の組成物及びそれを含む成形品の耐衝撃性も優れる。
尚、上記グラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
上記(共)重合体(A2)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造に適用される重合開始剤等を用いて、単量体成分を、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等で重合することにより、あるいは、重合開始剤を用いない熱重合により、製造することができる。また、これらの重合方法を組み合わせてもよい。
上記(共)重合体(A2)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性との物性バランスに優れる。尚、この(共)重合体(A2)の極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の場合と同様、製造条件を調整することにより制御することができる。
上記ゴム強化樹脂のアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリルゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)による可溶成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜0.8dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性との物性バランスに優れる。
ここで、上記ゴム強化樹脂が、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のみからなる場合、及び、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体の重合によって得られた(共)重合体(A2)との混合物からなる場合のいずれにおいても、本発明の組成物中のゴム質重合体(a)の含有量は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは3〜35質量%、特に好ましくは5〜35質量%である。ゴム質重合体(a)の含有量が少なすぎると、本発明の組成物及びそれを含む成形品の耐衝撃性が劣る傾向にある。一方、多すぎると、成形加工性、成形品の表面外観性、剛性、耐熱性等が劣る傾向にある。
尚、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)が、上記(3)〜(11)の態様のゴム強化ビニル系樹脂(A1)である場合には、離型性の観点から、非ジエン系重合体の含有量は、上記成分〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは1〜5質量部である。非ジエン系重合体がエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム及びエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムである場合等、2種以上の組み合わせである場合には、その合計量を上記含有量とするものである。
上記成分〔A〕がゴム強化樹脂を用いる場合は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の種類を選択することによって、多様な組成物とすることができる。
また、上記ポリカーボネート樹脂としては、主鎖にカーボネート結合を有するものであれば、特に限定されず、芳香族ポリカーボネートでよいし、脂肪族ポリカーボネートでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。本発明においては、耐衝撃性、耐熱性等の観点から、芳香族ポリカーボネートが好ましい。尚、このポリカーボネート樹脂は、末端が、R−CO−基、R’−O−CO−基(R及びR’は、いずれも有機基を示す。)に変性されたものであってもよい。このポリカーボネート樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ポリカーボネートとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを溶融によりエステル交換(エステル交換反応)して得られたもの、ホスゲンを用いた界面重縮合法により得られたもの、ピリジンとホスゲンとの反応生成物を用いたピリジン法により得られたもの等を用いることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、分子内にヒドロキシル基を2つ有する化合物であればよく、ヒドロキノン、レゾルシノール等のジヒドロキシベンゼン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という。)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(p−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、ビス(p−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物のうち、2つのベンゼン環の間に炭化水素基を有する化合物が好ましい。尚、この化合物において、炭化水素基は、ハロゲン置換された炭化水素基であってもよい。また、ベンゼン環は、そのベンゼン環に含まれる水素原子がハロゲン原子に置換されたものであってもよい。従って、上記化合物としては、ビスフェノールA、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。これらのうち、特に、ビスフェノールAが好ましい。
芳香族ポリカーボネートをエステル交換反応により得るために用いる炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは15,000〜40,000、より好ましくは17,000〜30,000、特に好ましくは18,000〜28,000である。この粘度平均分子量が高いほど、流動性が十分でなく、成形加工性が低下する傾向にある。
尚、上記ポリカーボネート樹脂は、全体としての粘度平均分子量が上記範囲に入るものであれば、異なる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
上記ポリカーボネート樹脂は、上記ゴム強化樹脂又は上記(共)重合体(A2)として例示したアクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等の共重合体とともに、成分〔A〕として用いることができる。この場合、上記ゴム強化樹脂としては、上記のように、ゴム質重合体(a)として、ジエン系重合体を用いてなるゴム強化ビニル系樹脂(ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)を含むことが好ましい。
上記成分〔A〕として、ポリカーボネート樹脂及びゴム強化樹脂を併用する場合、これらの使用割合は、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び95〜5質量%であり、より好ましくは10〜90質量%及び90〜10質量%、更に好ましくは15〜85質量%及び85〜15質量%である。但し、ポリカーボネート樹脂及びゴム強化樹脂の合計を100質量%とする。
1−2.成分〔B〕
この成分〔B〕は、特定の物性を有する黒鉛粒子である。即ち、アスペクト比が10〜20、好ましくは12〜18であり、重量平均粒子径が10〜200μm、好ましくは15〜180μmであり、固定炭素量が98質量%以上、好ましくは98.5質量%以上、更に好ましくは99質量%以上である。各物性が、上記範囲にあることにより、熱伝導性が一段と優れる。
上記アスペクト比は、電子顕微鏡等により縦横の各長さを測定し、算出することができる。重量平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。尚、本発明に係る「重量平均粒子径」は、粒度分布を測定して得られた、累積重量が50%であるときの粒子径(D50)を意味する。また、固定炭素量は、JIS M8511に準じて測定することができる。
また、上記成分〔B〕は、粒度分布を測定して得られた、累積重量が、それぞれ、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80を用いて得られる比D80/D20が2〜12であることが好ましい。より好ましくは2.5〜10である。上記比D80/D20が2未満では、熱伝導率が低下する傾向があり、組成物の製造が困難な場合がある。一方、比D80/D20が12を超えると、耐衝撃性及び成形外観性が低下する傾向がある。
上記成分〔B〕としては、α−黒鉛及びβ−黒鉛のいずれでもよい。また、これらを組み合わせてもよい。更に、天然黒鉛及び人造黒鉛のいずれでもよい。また、これらを組み合わせてもよい。
天然黒鉛としては、レーザーラマン測定により、1360cm−1あたりの波長においてバンドが認められないものであれば、特に限定されず、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛及び土状黒鉛が挙げられる。これらのうち、鱗片状黒鉛が好ましい。
上記成分〔B〕としては、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、下記に例示される組合せとすることにより、優れた熱伝導性を得ることができる。
[1]重量平均粒子径は限定されないが、アスペクト比が10〜15(好ましくは11〜14)の黒鉛粒子と、アスペクト比が15を超えて20以下(好ましくは16〜19)の黒鉛粒子との組み合わせ。
アスペクト比が限定されない例は、下記の通りである。
[2]重量平均粒子径が10〜50μm(好ましくは15〜40μm)の黒鉛粒子と、重量平均粒子径が50μmを超えて200μm以下(好ましくは70〜180μm)の黒鉛粒子との組み合わせ。
[3]重量平均粒子径が10〜100μm(好ましくは15〜80μm)の黒鉛粒子と、重量平均粒子径が100μmを超えて200μm以下(好ましくは120〜180μm)の黒鉛粒子との組み合わせ。
[4]重量平均粒子径が10〜150μm(好ましくは15〜130μm)の黒鉛粒子と、重量平均粒子径が150μmを超えて200μm以下(好ましくは150〜180μm)の黒鉛粒子との組み合わせ。
[5]重量平均粒子径が10〜50μmの黒鉛粒子と、重量平均粒子径が50μmを超えて120μm以下の黒鉛粒子と、重量平均粒子径が120μmを超えて200μm以下の黒鉛粒子との組み合わせ。
[6]重量平均粒子径が10〜80μmの黒鉛粒子と、重量平均粒子径が80μmを超えて150μm以下の黒鉛粒子と、重量平均粒子径が150μmを超えて200μm以下の黒鉛粒子との組み合わせ。
[7]重量平均粒子径が10〜120μmの黒鉛粒子と、重量平均粒子径が120μmを超えて150μm以下の黒鉛粒子と、重量平均粒子径が150μmを超えて200μm以下の黒鉛粒子との組み合わせ。
本発明の組成物は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、上記成分〔B〕を、10〜1,000質量部の範囲より選択して配合してなるものである。従って、要求される成形品性能等に応じて、成分〔B〕の種類(上記[1]〜[7])とともに、配合量を決定することができる。上記成分〔B〕の配合量が10質量部未満では、熱伝導性及び電磁シールド性が十分でなく、一方、1,000質量部を超えると、成形加工性が十分でない場合がある。
上記成分〔B〕の含有量が少量である組成物とする場合、上記成分〔B〕の配合量は、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは25〜82質量部、更に好ましくは42〜82質量部である。
また、上記成分〔B〕の含有量が多量である組成物とする場合、上記成分〔B〕の配合量は、好ましくは100〜1,000質量部、より好ましくは150〜900質量部、更に好ましくは230〜570質量部である。
上記の成分〔A〕及び〔B〕を主として含む本発明の組成物又はその成形品中に含まれる成分〔B〕は、公知の方法により作製した試験片に対し、電子顕微鏡等により観察することにより、アスペクト比及び平均粒子径(より詳細には、数平均粒子径)を求めることができる。上記のアスペクト比及び平均粒子径は、通常、それぞれ、配合前の成分〔B〕のアスペクト比及び重量平均粒子径と同様である。
本発明の組成物は、更に他の黒鉛粒子が配合されてなるものでもよい。該黒鉛粒子としては、〔C〕アスペクト比が3以下であり、重量平均粒子径(D50)が10〜70μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子(以下、「成分〔C〕」ともいう。)が好ましい。
以下、この成分〔C〕及び該成分〔C〕を含有する組成物について説明する。
1−3.成分〔C〕
この成分〔C〕は、特定の物性を有する黒鉛粒子である。即ち、アスペクト比が3以下、好ましくは1〜4であり、重量平均粒子径が10〜70μm、好ましくは15〜60μmであり、固定炭素量が98質量%以上、好ましくは98.5質量%以上、更に好ましくは99質量%以上である。各物性が、上記範囲にあることにより、熱伝導性が一段と優れ、特に、成形品とした場合に、その成形方法による流れ方向及び直角方向において、熱伝導率の差が小さくなる。
尚、上記成分〔C〕について、粒度分布を測定して得られた、累積重量が、それぞれ、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80の比D80/D20は、特に限定されない。
上記成分〔C〕としては、α−黒鉛及びβ−黒鉛のいずれでもよい。また、これらを組み合わせてもよい。更に、天然黒鉛及び人造黒鉛のいずれでもよい。また、これらを組み合わせてもよい。
天然黒鉛としては、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛及び土状黒鉛が挙げられる。これらのうち、鱗片状黒鉛が好ましい。
上記成分〔C〕としては、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分〔C〕の使用に際しては、重量平均粒子径が10〜70μmの成分〔B〕と併用してもよいが、重量平均粒子径が70μmを超える、例えば、100〜200μmの成分〔B〕と併用することが好ましい。重量平均粒子径の大きな成分〔B〕のみを用いた場合には、隣り合う黒鉛粒子どうしの間に間隙ができるため、重量平均粒子径が10〜70μmの成分〔C〕を併用することにより、その間隙を満たすことができ、より熱伝導性及び電磁シールド性を向上させることができる。
上記成分〔C〕の配合量は、上記成分〔B〕の配合量を100質量部とした場合に、好ましくは70質量部以下、より好ましくは5〜60質量部、更に好ましくは8〜50質量部である。この配合量が多すぎると、熱伝導性及び電磁シールド性の改良効果が十分でない場合がある。但し、この場合、上記成分〔B〕の配合量は、上記成分〔A〕を100質量部とした場合に、通常、600質量部以下である。
上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕を主として含む本発明の組成物又はその成形品中に含まれる成分〔B〕及び〔C〕は、公知の方法により作製した試験片に対し、電子顕微鏡等により観察することにより、アスペクト比及び平均粒子径(より詳細には、数平均粒子径)を求めることができる。即ち、黒鉛粒子の形状及び大きさにより成分〔B〕及び〔C〕に分類した後、これらを求めることができる。上記のアスペクト比及び平均粒子径は、それぞれ、配合前の成分〔B〕及び〔C〕のアスペクト比及び重量平均粒子径と同様である。
1−4.成分〔D〕
この成分〔D〕は、熱可塑性の樹脂成形品を製造する場合に配合される、いわゆる「内部離型剤」であり、成形品を成形する際に、成形品の表面に偏在する、あるいは、金型の内表面にまでしみ出すことで、離型効果を付与するものであれば、特に限定されない。例えば、ワックス類、シリコーンオイル、脂肪族カルボン酸及びその金属塩、ポリアルキレングリコール、鉱油等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る成分〔D〕としては、軟化点又は融点が250℃以下であるものが好ましく、50〜200℃、更には80〜150℃の範囲にあるものが特に好ましい。軟化点及び融点が高すぎると、離型性の効果が十分でない場合がある。
上記ワックス類としては、合成ワックス;植物系ワックス、鉱物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックス等の天然ワックス等が挙げられる。これらの誘導体を用いることもできる。
合成ワックスとしては、ポリオレフィンワックス、エステル系ワックス、アミド系ワックス、フッ素樹脂系ワックス等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとは、オレフィンの単独重合体及び共重合体のうち、数平均分子量が、通常、100〜10,000の範囲にある、比較的低分子量のものである。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、オレフィン共重合体ワックス(例えば、エチレン共重合体ワックス)等が挙げられ、これらの部分酸化物又はこれらの混合物も含まれる。尚、ポリオレフィンワックスの構造は、線状構造であってよいし、分岐構造であってもよい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オレフィン共重合体には、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、デセン−1、4−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等のオレフィンの2種以上を用いてなる共重合体、これらのオレフィンと、共重合可能な単量体、例えば、不飽和カルボン酸及びその酸無水物[(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等]、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等]等の重合性単量体との共重合体等が挙げられる。また、これらの共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が含まれる。
上記ポリオレフィンワックスの好ましい数平均分子量は、1,000〜6,000であり、より好ましくは1,200〜5,000である。数平均分子量がこの範囲にあると、離型性に特に優れる。
また、上記ポリオレフィンワックスの好ましい粘度(140℃)は、100〜10,000cpsであり、より好ましくは100〜5,000cpsである。粘度がこの範囲にあると、離型性に特に優れる。
エステル系ワックスとしては、アルコールとカルボン酸とのエステルからなるものであれば、特に限定されない。また、飽和アルコールでも、不飽和アルコールでもよい。
アルコールは、1価アルコールでもよいし、2価アルコール、3価アルコール等の多価アルコールでもよい。
上記1価アルコールとしては、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、トリアコンタノール等の炭素数が12〜32のアルコールが好ましい。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン(デカグリセリン等)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
一方、カルボン酸は、モノカルボン酸でもよいし、ジカルボン酸等のポリカルボン酸でもよい。また、飽和カルボン酸でも、不飽和カルボン酸でもよい。
モノカルボン酸としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸(ベヘン酸)、ヘキサコサン酸等炭素数3以上の化合物が挙げられるが、中でも、炭素数10〜22の化合物が好ましい。
また、ポリカルボン酸としては、アジピン酸、フタル酸、ダイマー酸、マレイン酸、チオジプロピオン酸等が挙げられる。
上記エステル系ワックスとしては、グリセリン脂肪酸エステル系ワックス、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル系ワックス等の飽和脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
尚、上記エステル系ワックスの酸価、水酸基価及びヨウ素価は、特に限定されないが、平均分子量は、好ましくは1,000〜5,000であり、より好ましくは2,000〜4,000である。この平均分子量が小さすぎると、本発明の組成物及び成形品の耐熱性が低下する場合があり、一方、大きすぎると、成形加工性が低下する場合がある。
アミド系ワックスとしては、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、m−キシレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の脂肪族アルコールビスアミド等が挙げられる。
フッ素樹脂系ワックスとしては、ポリテトラフルオロチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)等が挙げられる。
上記合成ワックスとしては、ポリオレフィンワックス及びエステル系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスのうち、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスがより好ましく、ポリエチレンワックスが特に好ましい。
また、天然ワックスのうち、植物系ワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
鉱物系ワックスとしては、モンタンワックス、セレシンワックス等が挙げられる。モンタンワックスの誘導体としては、酸ワックス、エステルワックス及び部分鹸化エステルワックスが挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
動物系ワックスとしては、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリコーンオイルとしては、未変性型及び変性型のいずれも用いることができる。これらは、鎖状ポリシロキサンであってもよく、環状ポリシロキサンであってもよい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
未変性型のシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、環状ポリジメチルシロキサン、フロロシリコーンオイル等が挙げられる。
また、変性シリコーンオイルとしては、アルキル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上記シリコーンオイルの好ましい動粘度(25℃)は、100〜5,000mm/sであり、特に好ましくは200〜3,000mm/sである。動粘度がこの範囲にあると、離型性に特に優れる。
脂肪族カルボン酸としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する飽和又は不飽和のカルボン酸を用いることができ、通常、炭素数3以上、好ましくは6以上、より好ましくは12〜42のカルボン酸が用いられる。飽和カルボン酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸(ベヘン酸)、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸(モンタン酸)等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、セトレイン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸の金属塩としては、上記飽和脂肪族カルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。これらのうち、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩及び亜鉛塩が好ましく、例えば、オレイン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等が特に好ましい。
また、鉱油は、パラフィン系鉱油及びナフテン系鉱油のいずれでもよく、組み合わせて用いてもよい。
上記成分〔D〕の配合量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕及び全黒鉛粒子の合計を100質量部とした場合、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜8質量部である。この範囲であれば、金型汚染を引き起こすことなく、良好な離型性をもって成形品を得ることができる。
尚、上記成分〔D〕として、ポリオレフィンワックス又はシリコーンオイルを用いる場合の配合量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕及び全黒鉛粒子の合計を100質量部とした場合、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
また、上記成分〔D〕として、エステル系ワックスを用いる場合の配合量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕及び全黒鉛粒子の合計を100質量部とした場合、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは2〜6質量部である。
1−5.添加剤
本発明の組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、老化防止剤、可塑剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。
上記充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフィライトクレー、シラン処理クレー、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼオライト、ゾノトライト、アスベスト、PMF(Processed Mineral Fiber)、胡粉、セピオライト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記充填剤を用いる場合のその含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは2〜20質量部である。
上記熱安定剤としては、ホスファイト類、ヒンダードフェノール類、チオエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱安定剤を用いる場合のその含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部である。
上記酸化防止剤としては、ホスファイト類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤を用いる場合の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、更に好ましくは0.1〜2質量部である。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤を用いる場合のその含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤を用いる場合のその含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは3〜25質量部、更に好ましくは5〜20質量部である。
尚、本発明の組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤としては、例えば、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤を用いる場合のその含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤を用いる場合のその含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは1〜10質量部である。
上記抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤を用いる場合のその含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記着色剤としては、有機染料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物は、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等により、原料成分を混練することにより製造することができる。原料成分の使用方法は特に限定されず、各々の成分を一括配合して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
本発明の組成物は、熱伝導性に優れ、下記実施例に記載の方法で測定される熱伝導率は、好ましくは7W/m・K以上、より好ましくは10〜50W/m・K、更に好ましくは15〜40W/m・Kである。特に、成分〔C〕を含有する組成物を用い、射出成形等により成形品とした場合には、熱伝導率は、成形時の組成物の流れ方向及びその垂直方向において差が小さくなり、成形品全体として熱伝導性に優れる。従って、発熱部材を備える部品、装置、機器等から熱を外部に逃がすためのハウジング等に好適である。
また、本発明の組成物は、電磁シールド性にも優れ、100MHzの周波数における電磁シールド効果は、好ましくは15dB以上、より好ましくは15〜60dB、更に好ましくは20〜55dBである。
更に、本発明の組成物は、成分〔D〕を含有するため、単純形状及び複雑形状の成形品を、外観不良を伴うことなく製造することができる。即ち、成分〔D〕により、各種成形機に配設された金型の内表面の汚染を抑制することができ、得られる成形品の表面における白化を抑制することもできる。
2.成形品
近年、パソコン、ワープロ、テレビゲーム等のコンピュータを利用した電子機器等が身近なものとなっている。これらの電子機器は高速の信号を利用しているため、電磁波の影響を受け易く、またこれらの機器自身も電磁波を発生している。電波の利用範囲が拡大するにつれて、電磁環境が悪化し、電磁波同士が互いに干渉したり、ある機器には有効なものでも他方の機器には障害となったりする。更に、様々な原因で発生する不要電磁波もまた電磁環境を汚染すると言われている。本発明の組成物は、上記のような電磁環境の汚染に対して良好な環境を確保するために、外部との電磁波の往来を遮断させる成形品に好適である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、射出成形、押出成形(シート押出、異形押出)、2色成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形等の公知の成形法により、成形品とすることができる。即ち、本発明の成形品は、上記熱伝導性樹脂組成物を含む。
成形温度及び金型温度は、成分〔A〕の種類によって選択される。成分〔A〕が、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を含有する場合には、成形時のシリンダー温度は、通常、220〜300℃、好ましくは230〜280℃である。金型温度は、通常、70〜90℃である。成分〔A〕が、上記オレフィン系樹脂を含む場合には、成形時のシリンダー温度は、通常、200〜280℃、好ましくは210〜250℃である。金型温度は、通常、30〜50℃である。成分〔A〕が、上記ポリアミド系樹脂を含む場合には、成形時のシリンダー温度は、通常、230〜300℃、好ましくは250〜280℃である。金型温度は、通常、70〜90℃である。成分〔A〕が、上記ポリエステル系樹脂を含む場合には、成形時のシリンダー温度は、通常、230〜300℃、好ましくは250〜280℃である。金型温度は、通常、70〜90℃である。尚、成形品が大型である場合には、一般に、シリンダー温度を高めに設定して製造される。
本発明の成形品としては、ハウジング、基板、パネル、ヒートシンク、放熱フィン、ファン、パッキン等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない、尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.熱伝導性樹脂組成物の原料成分
熱伝導性樹脂組成物の製造に用いた原料成分を以下に示す。尚、ゴム質重合体の重量平均粒子径;黒鉛粒子の重量平均粒子径並びに累積重量が、それぞれ、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80を用いて得られる比D80/D20については、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置「FRA型」を用いて測定した。黒鉛粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡(SEM)による画像から、粒子100個の最長径及び最短径の各平均値を用いて算出した。また、黒鉛粒子の固定炭素量は、JIS M8511に準じて測定した。
1−1.熱可塑性樹脂〔A〕
[1]ゴム強化ビニル系樹脂(A−1)
ジエン系ゴム質重合体として、重量平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴム粒子を含むラテックスの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合させて得られた、ポリブタジエンゴム41.5%、スチレン単位量42.7%及びアクリロニトリル単位量15.8%からなるゴム強化ビニル系樹脂(ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)を用いた。
この樹脂のグラフト率は55%、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.45dl/gである。
[2]ゴム強化ビニル系樹脂(A−2)
非ジエン系ゴム質重合体として、EPDM(JSR社製、商品名「EP01」)の存在下に、スチレン及びアクリロニトリルをトルエン溶媒中で溶液重合して得られた、EPDM22.5%、スチレン単位量54.5%及びアクリロニトリル単位量23%からなるゴム強化ビニル系樹脂(非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)を用いた。
この樹脂のグラフト率は70%、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.47dl/gである。
[3]アクリロニトリル・スチレン樹脂(A−3)
スチレン単位量74.5%及びアクリロニトリル単位量25.5%からなる共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.60dl/gである。
[4]ポリカーボネート樹脂(A−4)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「NOVAREX 7022PJ」を用いた。GPCによる粘度平均分子量は22,000である。
1−2.黒鉛粒子〔B〕
[1]黒鉛粒子(B−1)
中越黒鉛工業所社製、商品名「HF−150A」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は16、重量平均粒子径は161μm、固定炭素量は99.8%である。また、D80/D20は2.7である。
[2]黒鉛粒子(B−2)
中越黒鉛工業所社製、商品名「CBR」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は16、重量平均粒子径は18.7μm、固定炭素量は99.7%である。また、D80/D20は4.3である。
1−3.黒鉛粒子〔C〕
[1]黒鉛粒子(C1−1)
中越黒鉛工業所社製、商品名「WF−015」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は1、重量平均粒子径は16.8μm、固定炭素量は99.7%である。また、D80/D20は1.7である。
[2]黒鉛粒子(C1−2)
中越黒鉛工業所社製、商品名「WF−025」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は1、重量平均粒子径は28.8μm、固定炭素量は99.8%である。また、D80/D20は1.1である。
[3]黒鉛粒子(C1−3)
西村黒鉛社製、商品名「PC−L50」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は1、重量平均粒子径は50μm、固定炭素量は99.0%である。また、D80/D20は1.5である。
[4]黒鉛粒子(C1−4)
中越黒鉛工業所社製、商品名「HF−150AA」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は5、重量平均粒子径は35μm、固定炭素量は99.8%である。また、D80/D20は3.7である。
[5]黒鉛粒子(C2−1)
中越黒鉛工業所社製、商品名「S−87」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は16、重量平均粒子径は15μm、固定炭素量は85.0%である。また、D80/D20は3.4である。
[6]黒鉛粒子(C2−2)
西村黒鉛社製、商品名「PB−99」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は5、重量平均粒子径は14.7μm、固定炭素量は99.0%である。また、D80/D20は5.2である。
[7]黒鉛粒子(C2−3)
西村黒鉛社製、商品名「PA−99」を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は5、重量平均粒子径は22.2μm、固定炭素量は99.0%である。また、D80/D20は4である。
1−4.離型剤〔D〕
[1]ポリエチレンワックス(D−1)
低分子量ポリエチレン(三洋化成社製、商品名「サンワックス171−P」)を用いた。粘度(140℃)は180cps、軟化点は105℃、密度(20℃)は0.93g/cm、数平均分子量は1,500である。
[2]シリコーンオイル(D−2)
ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、商品名「KF−96−1,000cs」)を用いた。動粘度(25℃)は1,000mm/s、比重は0.970g/cmである。
[3]モンタン酸ワックス(D−3)
モンタン酸エステル(クラリアントジャパン社製、商品名「リコワックスE」)を用いた。溶融粘度(100℃)は30mPa・s、滴点は82℃、密度は1.02g/cmである。
1−5.酸化防止剤
[1]ヒンダードフェノール系酸化防止剤(E−1)
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート]メタン(旭電化工業社製、商品名「アデカスタブAO−60」)を用いた。
[2]ホスファイト系酸化防止剤(E−2)
サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)を用いた。
1−6.難燃剤
[1]芳香族縮合リン酸エステル
1,3−フェニレンビスジキシレニルホスフェート(大八化学社製、商品名「PX−200」)を用いた。
[2]ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
ヘキストジャパン社製、商品名「Hostaflon」を用いた。
1−7.添加剤
上記難燃剤による難燃性を改良するため、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、商品名「KF−96H−12,500cs」)を用いた。動粘度(25℃)は12,500mm/s、比重は0.975g/cmである。
2.熱伝導性樹脂組成物の製造及び評価
実施例1〜15及び比較例1〜13
上記の各原料成分を、表1〜表3の配合割合でヘンシェルミキサーにより5分間混合した。その後、二軸押出機を用いて溶融混練(シリンダー設定温度230〜250℃)し、ペレット(熱伝導性樹脂組成物)を得た。その後、このペレットを十分に乾燥し、射出成形機(日本製鋼社製、型式「J100E」)に導入して、評価項目に準じた、所定形状及び大きさの評価用試験片を得た。成形条件は、シリンダー設定温度が240〜280℃、金型温度が70℃、射出速度が60mm/秒、保圧力が70MPaである。
尚、表1〜表3において、成分〔D〕の配合量(数値)は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計を100部とした場合の値である。
各評価項目及びその測定方法は、下記の通りである。評価結果を表1〜表3に示した。
(1)成形加工性
シリンダー温度240℃及び射出圧80%の条件下、射出成形機(新潟鉄工所社製「NN30B型」)により、縦55mm、横80mm及び厚さ2.4mmの板状試験片の成形状況から、成形加工性を下記基準で判定した。
○;射出成形が可能であった。
×;ショートショットとなり、成形できなかった。
(2)離型性
シリンダー温度260℃、金型温度70℃及び冷却時間30秒の条件下、射出成形機(新潟鉄工所社製「NN30B型」)により、図1に示す一体成形品(55mm×80mm×1mmの平板状体表面の中央部に、5mm間隔で幅1mm、1.5mm及び1.8mm並びに高さ5mmのリブを有する。)10ショット(10個)成形し、リブ付き型(抜き勾配0度)を用いて取り出し、板状体の4つ角部の突き出し部分を目視判定した。
◎;白化等の離型不良現象は全く見られなかった。
○;1〜3個の成形品に白化等の離型不良現象が見られた。
△;4〜7個の成形品に白化等の離型不良現象が見られた。
×;8〜10個の成形品に白化等の離型不良現象が見られた。
(3)熱伝導率
熱伝導率は、試験片成形時の組成物の流動方向に対して測定した値(以下、「熱伝導率(I)」という。)、及び、該流動方向に対して垂直の厚み方向で測定した値(以下、「熱伝導率(II)」という。)を示した。
熱伝導率(I)は、下記方法により測定した。
DYNATECH R&D社製の定常熱流計(型式「TCHM−DV」)を用い、60℃における熱伝導率を測定した。試験片2は、内径50mm及び厚さ5.5mmの円板である。測定に際し、試験片の上下面の温度差を正確に測定するため、図2に示すように、CC(銅−コンスタンタン)熱電対を試験片2中央の上下面にホットプレスにより埋め込んだ。ホットプレスを用いることにより、試験片2の平坦性を高めるとともに、試験片2と熱電対との密着性を高めることができる。熱伝導率の測定は、熱流量を安定させるため、1時間、所定温度に保った後に行った。
また、熱伝導率(II)は、アルバック理工社製のレーザーフラッシュ法熱定数測定装置(型式「TR−7000R」)を用い、25℃における熱伝導率を測定した。試験片は、内径10mm及び厚さ1.5mmの円板である。
(4)電磁シールド性
アドバンテスト社製スペクトラムアナライザ(型式「R3361A」及び「TR17301」)を用い、100MHzの周波数における電磁波の反射性を測定し、電磁シールド性を評価した。試験片は、150mm×150mm×3mmの板状体である。
(5)表面固有抵抗
抵抗値により、下記の3種の装置を使い分けて測定した。試験片は、内径100mm、厚さ2mmの円板であり、抵抗値の単位はΩである。
1×10Ω以下; ダイアインスツルメンツ社製抵抗率計「ロレスタGP MCP−T600型」。
1×10Ω〜1×1012Ω; ダイアインスツルメンツ社製抵抗率計「ハイレスタUP MCP−HT450型」。
1×10Ω〜1×1016Ω; Agilent Technologies社製ハイ・レジスタンス・メータ「4339B」。
(6)難燃性
UL94規格に準じ、垂直燃焼試験を行った。試験片は、長さ127mm、幅13mm及び厚さ2.0mmの平板である。
Figure 2007224265
Figure 2007224265
Figure 2007224265
表1〜表3より、以下のことが明らかである。
表1及び表2は、成分〔A〕が、ゴム強化ビニル系樹脂、又は、ゴム強化ビニル系樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物、からなるゴム強化樹脂である例である。表2における比較例1、5、6、7及び8は、成分〔B〕を含有しない、又は、配合量が、本発明の範囲外で少ないため、熱伝導率(I)及び(II)が十分ではなく、電磁シールド性並びに表面固有抵抗に劣っていた。比較例2は、成分〔B〕の配合量が、本発明の範囲外で多いため、成形加工性が劣っていた。比較例3、4及び9は、成分〔D〕を含有しない例であり、離型性に劣っていた。一方、実施例1〜11は、成形加工性、離型性、熱伝導性及び電磁シールド性に優れていた。尚、実施例4及び8は、ゴム強化ビニル系樹脂が、ゴム質重合体としてジエン系重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)、及び、ゴム質重合体としてエチレン・プロピレン・ジエンゴムを用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)の混合物である例であり、特に離型性に優れていた。
また、表3は、成分〔A〕が、ゴム強化樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる例である。表3における比較例10及び11は、成分〔D〕を含有しない例であり、離型性に劣っていた。比較例12及び13は、成分〔B〕を含有しない、又は、配合量が、本発明の範囲外で少ないため、熱伝導率(I)及び(II)が十分ではなく、電磁シールド性並びに表面固有抵抗に劣っていた。一方、実施例12〜15は、成形加工性、離型性、熱伝導性及び電磁シールド性に優れていた。尚、実施例15は、難燃剤を配合した例であり、V−0を達成した。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、成形加工性及び離型性に優れるため、形状及び大きさについて、選択性が高い。また、金属、合金等の熱伝導率の高い成分を含有しなくとも、熱伝導性及び電磁シールド性に優れた成形品とすることができる。従って、ハウジング、基板、パネル、ヒートシンク、放熱フィン、ファン、パッキン等として用いることができる。これらの部材は、回路基板、チップ、サーマルヘッド、モーター等の電子部品;テレビ、ラジオ、カメラ、ビデオカメラ、オーディオ、ビデオ、照明具等の電気機器等に好適であり、特に、電子部品等からの熱を外部に逃がすためのハウジング、ヒートシンク及びファン;オーディオバックパネル;液晶テレビの液晶板固定部材等に好適である。
実施例における離型性評価用成形品を示す概略説明図である。 実施例における熱伝導率(I)の測定方法を示す概略説明図である。
符号の説明
1;離型性評価用成形品
2;熱伝導率(I)測定用試験片
3;銅線
4;コンスタンタン線
5;熱電対溶接部。

Claims (12)

  1. 〔A〕熱可塑性樹脂と、〔B〕アスペクト比が10〜20であり、重量平均粒子径が10〜200μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子と、〔D〕離型剤とが配合されてなり、上記熱可塑性樹脂〔A〕を100質量部とした場合に、上記黒鉛粒子〔B〕の配合量が10〜1,000質量部であり、且つ、上記熱可塑性樹脂〔A〕及び全黒鉛粒子を100質量部とした場合に、上記離型剤〔D〕の配合量が0.1〜10質量部であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
  2. 上記黒鉛粒子〔B〕の形状が鱗片状である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 上記黒鉛粒子〔B〕の粒度分布を測定して得られた、累積重量が、それぞれ、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80を用いて得られる比D80/D20が2〜12である請求項1又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. 更に、〔C〕アスペクト比が3以下であり、重量平均粒子径が10〜70μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子が、上記黒鉛粒子〔B〕の配合量を100質量部とした場合に、70質量部以下配合されてなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 上記離型剤〔D〕が、温度140℃における粘度が100〜10,000cpsのポリエチレンワックスである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  6. 上記熱可塑性樹脂〔A〕が、ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物、からなるゴム強化樹脂を含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  7. 上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)が、上記ゴム質重合体(a)として、ジエン系重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂と、上記ゴム質重合体(a)として、エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂とを含み、且つ、上記エチレン・α−オレフィン系共重合体及び/又は上記エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体の合計の含有量が、上記熱可塑性樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、0.5〜8質量部である請求項6に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  8. 更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、1〜30質量部である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  9. 更に、酸化防止剤を含有し、該酸化防止剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、0.01〜5質量部である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  10. 熱伝導率が7W/m・K以上である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  11. 100MHzの周波数における電磁シールド効果が15dB以上である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
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