JP5352946B2 - 放熱筐体 - Google Patents

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Description

本発明は、放熱筐体に関し、詳しくは、発熱体から熱を逃がすために用いる放熱筐体に関する。
LSI等の半導体素子の集積密度の増大と動作の高速化、そして電子部品の高密度実装に伴い、発熱部品を備える製品における放熱対策が大きな課題となっている。例えば、電子部品のハウジング(放熱筐体)には、従来、熱伝導率の高い金属が用いられてきたが、近年、形状選択の自由度が高く、軽量化および小型化の容易な樹脂組成物が用いられている。
例えば、PBT、PEEK等の熱可塑性樹脂と、窒化アルミニウム等の無機繊維および無機粉末とを含む樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。また、特定のブロック共重合体または水素添加ブロック共重合体と、ゴム用軟化剤と、水酸化マグネシウム等の熱伝導材とを含む樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。更に、マトリックス樹脂中に窒化アルミニウム焼結体粉末などからなるフィラーが分散すると共に、融点が500℃以下の低融点金属または共晶合金によって網目状に形成された金属網を介して上記フィラーが相互に連続的に溶着されてなる高熱伝導性複合体が提案されている(特許文献3)。
また、他の熱伝導性を付与する材料としては、黒鉛粉末などの粉末状物質、繊維状物質などがあり、非球形塊状の黒鉛粒子と、樹脂と、を含む導電性組成物が提案されている(特許文献4)。更には、熱可塑性樹脂と、70%以上の粒子のアスペクト比が3以下である黒鉛粉末とを含む導電樹脂組成物が提案されている(特許文献5)。
特開平8−283456号 特開2001−106865号 特開平6−196884号 特開2003−253127号 特開2001−60413号
しかしながら、本発明者らの検討によると、前述のように金属材料は成形性が低く、形状選択の自由度が低く、また、放熱率が低いために筐体内の熱籠りに問題を生じる場合がある。また、前述の樹脂組成物は、成形性が低く、熱伝導性が充分でない場合があり、筐体として利用されていない。
本発明の目的は、成形加工性、熱伝導性、放熱性および電磁シールド性に優れ、しかも、金属と汎用樹脂の略中間的値の熱伝導率および熱放射率を有する放熱筐体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の熱伝導フィラーを含有する樹脂組成物により上記の課題を解決し得るとの知見を得、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、発熱体が収容される放熱筐体であって、熱可塑性樹脂〔A〕と以下の(1)〜(3)に規定する何れか1種以上の熱伝導フィラー〔B〕とから成り、熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対する熱伝導フィラー〔B〕の配合量が10〜1,000質量部である熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする放熱筐体に存する。
(1)アスペクト比が10〜20、重量平均粒子径が10〜200μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子。
(2)純度が95.0質量%以上、BET比表面積が5.0m/g以下、体積平均粒子径(Dv)が0.5〜60μmであり、且つ、体積平均粒子径(Dv)と数平均粒子径(Dn)との比Dv/Dnが10〜55である酸化マグネシウム粒子。
(3)BET比表面積が0.05〜10m/g、重量平均粒子径が1〜200μmであり、且つ、形状が鱗片状である窒化ホウ素粒子。
本発明の放熱筐体は、成形加工が容易であり、金属に比べて放射率が高く、熱源から熱を奪って放出する効果を発現できて熱籠りが少なく、汎用樹脂に比べて熱伝導率が高く発熱体から熱を逃がすのに好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明において、「(共)重合」とは単独重合および共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とはアクリル及びメタクリルを意味する。
<熱伝導性樹脂組成物>
本発明で用いる熱伝導性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、熱可塑性樹脂〔A〕(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、特定の熱伝導フィラー〔B〕(以下、「成分〔B〕」ともいう。)とからなり、熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対する〔熱伝導フィラー〔B〕の配合量が10〜1,000質量部である。
(成分〔A〕)
成分〔A〕は、熱可塑性を有する重合体であれば、特に限定されず、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体などのスチレン系(共)重合体;ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂などのゴム強化樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などの、炭素数2〜10のα−オレフィンの少なくとも1種からなるα−オレフィン(共)重合体およびその変性重合体(塩素化ポリエチレン等)、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのエチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体などのアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂(POM);ポリカーボネート樹脂(PC);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらの中では、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂およびこれらのアロイ、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリエステル系樹脂が好ましい。
上記のゴム強化樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)又は当該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物からなる。
ゴム質重合体(a)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってよいし、共重合体であってもよいが、ジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)及び非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)が好ましい。更に、ゴム質重合体(a)は、非架橋重合体であってよいし、架橋重合体であってもよい。これらは、2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記のジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。これらの各共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。上記のジエン系重合体は、2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、上記の非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)としては、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンからなる単位とを含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;ウレタン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーンゴム;シリコーン・アクリル系IPNゴム;共役ジエン系化合物よりなる単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重合体などが挙げられる。これらの各共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。上記の非ジエン系重合体は、2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記の非ジエン系重合体としては、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、及び、共役ジエン系化合物よりなる単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重合体が好ましい。
上記のゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いるゴム質重合体(a)の形状は、特に限定されない。そして、粒子状である場合、その重量平均粒子径は、通常50〜3,000nm、好ましくは100〜2,000nm、更に好ましくは120〜800nmである。重量平均粒子径が50nm未満では、本発明の組成物の耐衝撃性が劣る傾向にあり、3,000nmを超えると、放熱筐体の表面外観性が劣る傾向にある。尚、上記の重量平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法などにより測定することが出来る。
ゴム質重合体(a)が粒子状である場合、重量平均粒子径が上記範囲内にある限り、例えば、特開昭61−233010号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報などに記載されている公知の方法により肥大化したものを用いることも出来る。
ゴム質重合体(a)を製造する方法としては、平均粒子径の調整などを考慮し、乳化重合が好ましい。この場合、平均粒子径は、乳化剤の種類およびその使用量、開始剤の種類およびその使用量、重合時間、重合温度、攪拌条件などの製造条件を選択することにより調整することが出来る。また、上記の平均粒子径(粒子径分布)の他の調整方法としては、異なる粒子径を有するゴム質重合体(a)の2種類以上をブレンドする方法でもよい。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(b)としては、芳香族ビニル化合物が含まれればよく、それ以外では、例えば、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物などの当該芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物を組み合わせて用いることが出来る。2種以上を組み合わせて用いることが出来る。従って、ビニル系単量体(b)としては、芳香族ビニル化合物の1種以上、または、芳香族ビニル化合物の1種以上と、当該芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の1種以上とを組み合わせた単量体を用いることが出来る。
上記の芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば特に限定されず、その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
上記のシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記の(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記のマレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。尚、マレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。上記の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、上記の化合物以外に、必要に応じ、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基などの官能基を有するビニル系化合物を用いることが出来る。斯かるビニル系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルアミド、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
ビニル系単量体(b)は、芳香族ビニル化合物を含むが、この場合の、芳香族ビニル化合物(b1)と、それ以外のビニル系単量体(b2)との重合割合は、これらの合計を100質量%とした場合、通常(2〜95)質量%/(98〜5)質量%、好ましくは(10〜90)質量%/(90〜10)質量%である。芳香族ビニル化合物(b1)の使用量が少なすぎると、成形加工性が劣る傾向にあり、多すぎると、本発明の放熱筐体の耐薬品性、耐熱性などが十分でない場合がある。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いるビニル系単量体(b)としては、下記の組み合わせで用いることが好ましい。シアン化ビニル化合物を用いることにより、耐薬品性および耐変色性の物性バランスが向上する。
(1)芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物
(2)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および他の化合物
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b)を重合して得られたものである。このゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ビニル系単量体(b)として芳香族ビニル化合物のみを用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(i)の1種以上であってよいし、ビニル系単量体(b)として上記(1)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(i i)の1種以上であってよいし、ビニル系単量体(b)として上記(2)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂(iii)の1種以上であってもよい。更には、これらを適宜、組み合わせたものであってもよい。
尚、前述のように、成分〔A〕としてゴム強化樹脂を用いる場合、当該ゴム強化樹脂は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のみであってもよく、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体の重合によって得られた(共)重合体(A2)との混合物であってもよい。このビニル系単量体としては、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いた化合物、即ち、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物および官能基を有する化合物から選ばれる1種以上を用いることが出来る。従って、(共)重合体(A2)は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いたビニル系単量体(b)と全く同じ組成の成分を重合して得られる重合体であってもよいし、異なる組成で同じ種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよいし、更には、異なる組成で異なる種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよい。これらの各重合体が2種以上含まれるものであってもよい。
(共)重合体(A2)は、ビニル系単量体の重合によって得られた単独重合体または共重合体であり、下記(3)〜(8)に例示される。尚、各単量体は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いられる化合物を適用でき、好ましい化合物も同様である。
(3)芳香族ビニル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上
(4)(メタ)アクリル酸エステル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上
(5)芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上
(6)芳香族ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上
(7)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および他の化合物を重合して得られた共重合体の1種以上
(8)芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物を除く他の化合物とを重合して得られた共重合体の1種以上
これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
従って、(共)重合体(A2)の具体例としては、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体などが挙げられる。
次に、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)及び(共)重合体(A2)の製造方法について説明する。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b)を重合することにより製造することが出来る。重合方法としては、乳化重合、溶液重合または塊状重合が好適である。
尚、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)は、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b)を一括添加してもよいし、分割または連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、重合途中でゴム質重合体(a)の全量または一部を添加して重合してもよい。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を100質量部製造する場合、ゴム質重合体(a)の使用量は、通常5〜80質量部、好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは15〜60質量部である。また、ビニル系単量体(b)の使用量については、ゴム質重合体(a)100質量部に対し、通常25〜1,900質量部、好ましくは60〜560質量部である。
乳化重合によりゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水などが用いられる。
上記の重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方などの還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。更に、上記の重合開始剤は、反応系に一括して又は連続的に添加することが出来る。また、上記の重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)全量に対し、通常0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
上記の連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記の連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)全量に対し、通常0.05〜2.0質量%である。
乳化重合の場合に用いる乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、リン酸系などのアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型などのノニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記の乳化剤の使用量は、ビニル系単量体(b)全量に対し、通常0.3〜5.0質量%である。
乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸などの無機酸;酢酸、乳酸などの有機酸などが用いられる。尚、複数のゴム強化ビニル系樹脂(A1)を併用する場合には、単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂を各々含むラテックスを製造してから混合し、その後、凝固する等により、混合されたゴム強化ビニル系樹脂(A1)とすることが出来る。
溶液重合および塊状重合によるゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造方法は、公知の方法を適用することが出来る。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のグラフト率は、通常10〜200質量%、好ましくは15〜150質量%、更に好ましくは20〜100質量%である。グラフト率が10質量%未満では、本発明の放熱筐体の表面外観性および耐衝撃性が低下することがある。また、200%を超えると、成形加工性が劣る。
ここで、グラフト率とは、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをアセトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを用いる。
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合にはアセトニトリルを用いる。)による可溶成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常0.1〜1.0dl/g、好ましくは0.2〜0.9dl/g、更に好ましくは0.3〜0.7dl/gである。この範囲とすることにより、成形加工性に優れ、本発明の放熱筐体の耐衝撃性も優れる。
尚、上記のグラフト率および極限粘度[η]は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、更には、重合時間、重合温度などを調整することにより、容易に制御することが出来る。
(共)重合体(A2)は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造に適用される重合開始剤などを用いて、単量体成分を重合することにより製造することが出来る。重合方法は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などの他、重合開始剤を用いない熱重合、これらの重合方法を組み合わせを採用することが出来る。
(共)重合体(A2)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常0.1〜1.0dl/g、好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性との物性バランスに優れる。尚、この(共)重合体(A2)の極限粘度[η]は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の場合と同様、製造条件を調整することにより制御することが出来る。
上記のゴム強化樹脂のアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを用いる。)による可溶成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常0.1〜0.8dl/g、好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性との物性バランスに優れる。
成分〔A〕として、ゴム強化樹脂を用い、そのゴム強化樹脂が、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)である場合、及び、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体の重合によって得られた(共)重合体(A2)との混合物からなる場合の何れにおいても、本発明の組成物中のゴム質重合体(a)の含有量は、通常1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは3〜35質量%、特に好ましくは5〜35質量%である。ゴム質重合体(a)の含有量が上記範囲にあれば、成形加工性に優れ、本発明の放熱筐体の耐衝撃性、表面外観性、剛性および耐熱性に優れる。
成分〔A〕として、ゴム強化樹脂を用いる場合は、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の種類を選択することによって、多様な組成物とすることが出来る。例えば、ゴム質重合体(a)としてジエン系重合体を用いてなるジエン系ゴム強化ビニル系樹脂と、ポリカーボネート樹脂とを組み合わせた組成物、ゴム質重合体(a)として非ジエン系重合体を用いてなる非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂と、オレフィン系樹脂とを組み合わせた組成物などである。
上記のポリカーボネート樹脂としては、主鎖にカーボネート結合を有するものであれば特に限定されず、芳香族ポリカーボネートでよいし、脂肪族ポリカーボネートでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。本発明においては、耐衝撃性、耐熱性などの観点から、芳香族ポリカーボネートが好ましい。尚、このポリカーボネート樹脂は、末端が、R−CO−基、R’−O−CO−基(R及びR’は、何れも有機基を示す。)に変性されたものであってもよい。このポリカーボネート樹脂は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記の芳香族ポリカーボネートとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステルを溶融によりエステル交換(エステル交換反応)して得られたもの、ホスゲンを用いた界面重縮合法により得られたもの、ピリジンとホスゲンとの反応生成物を用いたピリジン法により得られたもの等を用いることが出来る。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、分子内にヒドロキシル基を2つ有する化合物であればよく、ヒドロキノン、レゾルシノール等のジヒドロキシベンゼン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という。)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(p−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、ビス(p−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記の芳香族ジヒドロキシ化合物のうち、2つのベンゼン環の間に炭化水素基を有する化合物が好ましい。尚、この化合物において、炭化水素基は、ハロゲン置換された炭化水素基であってもよい。また、ベンゼン環は、そのベンゼン環に含まれる水素原子がハロゲン原子に置換されたものであってもよい。従って、上記の化合物としては、ビスフェノールA、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。これらのうち、特にビスフェノールAが好ましい。
芳香族ポリカーボネートをエステル交換反応により得るために用いる炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常15,000〜40,000、好ましくは17,000〜30,000、更に好ましくは18,000〜28,000である。この粘度平均分子量が高いほど、流動性が十分でなく、成形加工性が低下する傾向にある。尚、上記のポリカーボネート樹脂は、全体としての粘度平均分子量が上記範囲に入るものであれば、異なる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
上記のポリカーボネート樹脂は、上記のゴム強化樹脂または(共)重合体(A2)として例示したアクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体などの共重合体と共に、成分〔A〕として用いることが出来る。上記のゴム強化樹脂としては、上記のように、ゴム質重合体(a)として、ジエン系重合体を用いてなるゴム強化ビニル系樹脂(ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)を含むことが好ましい。
成分〔A〕として、ポリカーボネート樹脂およびゴム強化樹脂を併用する場合、これらの使用割合は、ポリカーボネート樹脂およびゴム強化樹脂の合計を100質量%とすると、夫々、通常30〜90質量%及び70〜10質量%であり、好ましくは40〜85質量%及び60〜15質量%、更に好ましくは50〜80質量%及び50〜20質量%である。但し、ポリカーボネート樹脂およびゴム強化樹脂の合計を100質量%とする。尚、成分〔A〕として、ポリカーボネート樹脂およびゴム強化樹脂を併用した組成物において、ゴム質重合体(a)の含有量は、通常1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは3〜35質量%、特に好ましくは5〜35質量%である。
上記のオレフィン系樹脂は、室温で非ゴム質の、炭素数2〜10のα−オレフィンからなる単位の少なくとも1種を含むα−オレフィン系(共)重合体、環状オレフィン共重合体などであり、これらの変性重合体も含まれる。
炭素数2〜10のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。また、これらの内、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1及び4−メチルペンテン−1が好ましい。
上記のオレフィン系樹脂が単独重合体である場合、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記のオレフィン系樹脂が共重合体である場合、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体などの、上記のα−オレフィンの2種以上を用いてなる共重合体、上記のα−オレフィンと、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンとからなる共重合体などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。尚、上記のオレフィン系樹脂が共重合体である場合には、ランダム共重合体であってよいし、ブロック(タイプの)共重合体であってもよい。
上記のオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、及び、プロピレン単位を含む(共)重合体が好ましい。プロピレン単位を含む(共)重合体を構成するプロピレン単位の含有量は、全単位の合計量に対し、通常40〜100質量%、好ましくは55〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%である。
上記のオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系単独重合体(ホモタイプ)の場合、曲げモジュラス及び硬度に優れる傾向があり、ブロックタイプの共重合体の場合、耐衝撃性および柔軟性に優れる傾向がある。
また、上記のオレフィン系樹脂は、上記のα−オレフィン(共)重合体が、マレイン酸無水物などの酸無水物により変性されてなる酸無水物基変性オレフィン系樹脂、カルボキシル基変性オレフィン系樹脂、塩素化ポリエチレン等の変性重合体であってもよい。
上記のオレフィン系樹脂の結晶性の有無は問わないが、室温下、X線回折による結晶化度が20%以上であることが好ましい。また、JIS K7121に準拠して測定された融点は40℃以上であることが好ましい。また、上記のオレフィン系樹脂のメルトフローレート(JIS K7210に準拠)は、通常0.01〜500g/10分、好ましくは0.05〜100g/10分である。
成分〔A〕として、オレフィン系樹脂を用いる場合には、金型を用いて放熱筐体を成形する際の離型性に優れる。また、得られる放熱筐体の耐衝撃性に優れる。上記オレフィン系樹脂は、上記ゴム強化樹脂と共に、成分〔A〕として用いることが出来る。
成分〔A〕がオレフィン系樹脂である場合は、従来のジエン系ゴム強化ビニル系樹脂である場合に比べ、成形加工性、離型性、耐衝撃性および曲げモジュラスに優れる一方、熱伝導性および耐熱性が低下し、曲げ歪みが高くなる傾向にある。しかし、オレフィン系樹脂およびゴム強化樹脂を組み合わせることにより、耐衝撃性、曲げモジュラス、曲げ歪み及び硬度のバランスに優れた放熱筐体を得ることが出来る。
上記のゴム強化樹脂としては、上記のように、ゴム質重合体(a)として、非ジエン系重合体を用いてなるゴム強化ビニル系樹脂(非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂)を含むことが好ましい。
また、上記のポリアミド系樹脂としては、主鎖に酸アミド結合(−CO−NH−)を有する重合体であれば、特に限定されない。このポリアミド系樹脂は、通常、環構造を有するラクタム化合物の開環重合、アミノカルボン酸の重合、ジカルボン酸およびジアミン化合物の縮重合など公知の方法により製造される。従って、上記のポリアミド系樹脂は、ホモポリアミド、コポリアミド等として用いられる。
開環重合において用いられるラクタム化合物としては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。また、アミノカルボン酸としては、アミノカプロン酸、アミノエナン酸、アミノカプリル酸、アミノベルゴン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸およびジアミン化合物を縮重合させる場合のジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。また、ジアミン化合物としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,3,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記のポリアミド系樹脂としては、ナイロン4、6、7、8、11、12、6,6、6,9、6,10、6,11、6,12、6T、6/6,6、6/12、6/6T、6T/6I等を用いることが出来る。尚、このポリアミド成分の末端は、カルボン酸、アミン等で封止されていてもよい。カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第1級アミン等が挙げられる。
成分〔A〕として、ポリアミド系樹脂を用いる場合には、得られる放熱筐体の耐熱性に優れる。
また、上記のポリエステル系樹脂は、脂肪族ポリエステル、脂環族ポリエステル及び芳香族ポリエステルの何れでもよい。このポリエステル系樹脂は、通常、ジカルボン酸および/またはジカルボン酸のエステル形成性誘導体を含む酸成分と、ジオール化合物および/またはジオール化合物のエステル形成性誘導体を含むジオール成分との反応により製造される。従って、上記のポリエステル系樹脂は、ホモポリエステル、コポリエステル等として用いることが出来る。尚、上記のポリエステル系樹脂の結晶性は、特に限定されない。
上記の酸成分の内、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。尚、これらの置換体(メチルイソフタル酸などのアルキル基置換体など)や、誘導体(テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等のアルキルエステル化合物など)を用いることも出来る。更に、p−オキシ安息香酸およびp−ヒドロキシエトキシ安息香酸のような、オキシ酸およびこれらのエステル形成性誘導体を用いることも出来る。上記の酸成分は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、上記のジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール等が挙げられる。尚、これらの置換体や誘導体を用いることも出来る。また、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を用いることも出来る。更に、必要に応じ、長鎖型のジオール化合物(ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加重合体(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加重合体など)等を用いることも出来る。上記のジオール成分は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記のポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレート等を用いることが出来る。また、共重合ポリエステルを用いることも出来る。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
成分〔A〕として、ポリエステル系樹脂を用いる場合には、得られる放熱筐体の耐熱性に優れる。
(成分〔B〕)
成分〔B〕は特定の物性を有する熱伝導フィラーであり、以下に説明する3種類、成分〔B1〕〜〔B3〕の何れか1種以上である。
(成分〔B1〕)
成分〔B1〕は特定の物性を有する黒鉛粒子である。即ち、アスペクト比が10〜20、重量平均粒子径が10〜200μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である黒鉛粒子である。上記のアスペクト比は好ましくは12〜18、重量平均粒子径は好ましくは15〜180μm、固定炭素量は、好ましくは98.5質量%以上、更に好ましくは99質量%以上である。各物性が上記範囲にあることにより、熱伝導性が一段と優れる。
上記のアスペクト比は、電子顕微鏡などにより縦横の各長さを測定し、算出することが出来る。重量平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法などにより測定することが出来る。尚、本発明に係る「重量平均粒子径」は、粒度分布を測定して得られた、累積重量が50%であるときの粒子径(D50)を意味する。また、固定炭素量は、JIS M8511に準じて測定することが出来る。
また、成分〔B1〕は、粒度分布を測定して得られた累積重量が、夫々、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80の比D80/D20が2〜12であることが好ましい。更に好ましくは2.5〜10である。上記の比D80/D20が2未満では、熱伝導率が低下する傾向があり、組成物の製造が困難な場合がある。一方、比D80/D20が12を超えると、耐衝撃性および成形外観性が低下する傾向がある。
成分〔B1〕としては、α−黒鉛およびβ−黒鉛の何れでもよい。また、これらを組み合わせてもよい。更に、天然黒鉛および人造黒鉛の何れでもよい。また、これらを組み合わせてもよい。天然黒鉛としては、レーザーラマン測定により、1360cm−1あたりの波長においてバンドが認められないものであれば、特に限定されず、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛および土状黒鉛が挙げられる。これらの内、鱗片状黒鉛が好ましい。
成分〔B1〕の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、10〜1,000質量部であり、要求される放熱筐体の性能などに応じ、適宜に決定することが出来る。成分〔B1〕の配合量が10質量部未満では、熱伝導性および電磁シールド性が十分でなく、一方、1,000質量部を超えると、成形加工性が十分でない場合がある。
成分〔B1〕の配合量が少量である樹脂組成物とする場合、成分〔B1〕の配合量は、通常10〜100質量部、好ましくは25〜82質量部、更に好ましくは42〜82質量部である。また、成分〔B1〕の配合量が多量である樹脂組成物とする場合、成分〔B1〕の配合量は、通常100〜1,000質量部、好ましくは150〜900質量部、更に好ましくは230〜570質量部である。
成分〔A〕及び〔B1〕を主として含む本発明の組成物または放熱筐体の中に含まれる成分〔B1〕は、公知の方法により作製した試験片に対し、電子顕微鏡などにより観察することにより、アスペクト比および平均粒子径(より詳細には数平均粒子径)を求めることが出来る。上記のアスペクト比および平均粒子径は、通常、夫々、配合前の成分〔B1〕のアスペクト比および重量平均粒子径と同様である。
(成分〔B2〕)
成分〔B2〕は特定の物性を有する酸化マグネシウム粒子である。即ち、純度が95.0質量%以上、BET比表面積が5.0m/g以下、体積平均粒子径(Dv)が0.5〜60μmであり、且つ、体積平均粒子径(Dv)と数平均粒子径(Dn)との比Dv/Dnが10〜55である酸化マグネシウム粒子である。特に、酸化マグネシウム粒子100質量部が有機珪素化合物0.1〜10質量部により加熱処理されてなる耐吸水性処理されたものが好ましい。
上記の酸化マグネシウムの種類は、特に限定されず、炭酸塩(マグネサイト)、硝酸塩、水酸化物などを1,400℃以下で焼成して得られた軽焼マグネシア、上記温度より高い温度(例えば、1800℃以上)で焼結して得られた硬焼マグネシア(「高温焼成マグネシアクリンカー」ともいう。)並びに天然産マグネサイト又は海水マグネシアを電弧炉で溶融し、インゴットとした後、破砕して得られた電融マグネシアが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。本発明においては電融マグネシアが好ましい。
成分〔B2〕の純度は、好ましくは96.0〜100質量%、更に好ましくは98.0〜100質量%、特に好ましくは98.5〜100質量%、一層に好ましくは99.0〜100質量%である。この純度が低すぎると、放熱筐体としたときに、耐水性および熱伝導性が十分でない場合がある。尚、上記純度は、JIS K6224に準じて測定することが出来る。
成分〔B2〕のBET比表面積は、好ましくは0.1〜3.5m/g、更に好ましくは0.15〜3m/g、特に好ましくは0.2〜2m/g、一層好ましくは0.2〜0.8m/gである。このBET比表面積が高すぎると、放熱筐体としたときに、耐水性が十分でない場合がある。尚、上記BET比表面積は、市販の装置を用いて測定することが出来る。
成分〔B2〕のDvは、好ましくは2〜50μm、更に好ましくは5〜35μmである。このDvが大きすぎると、樹脂組成物とした場合に、所期の熱伝導性が得られない場合があり、放熱筐体の外観性および機械物性が低下する場合がある。一方、Dvが小さすぎると、放熱筐体としたときに、耐水性および熱伝導性が十分でない場合がある。
また、比Dv/Dnは、好ましくは12〜50、更に好ましくは15〜40である。この比が大きすぎると、放熱筐体としたときに、耐水性が十分でない場合がある。一方、小さすぎると、所期の熱伝導性が得られない場合がある。尚、上記のDv及びDnは、レーザー回折散乱法、動的光散乱法などにより測定することが出来る。
成分〔B2〕は、上記の各物性が上記各範囲内に入る限り、2種以上を任意の割合で組み合わせたものであってもよい。
酸化マグネシウムの改質に用いる有機珪素化合物としては、シリコーンオイル、シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、シリル化剤などが挙げられる。これらの内、シリコーンオイル及びシランカップリング剤が好ましく、シリコーンオイルが特に好ましい。
シリコーンオイルとしては、未変性シリコーンオイル及び変性シリコーンオイルの何れを用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。未変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖および末端がすべてメチル基であるジメチルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部が水素原子であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。また、変性シリコーンオイルとしては、アルコキシ変性、アミノ変性、カルボキシル変性、エポキシ変性、シラザン変性、フェノール変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、フッ素変性、親水性特殊変性などが挙げられるが、反応性の有無も特に限定されない。これらの内、アルコキシ変性シリコーンオイル及びメチルハイドロジェンシリコーンオイルが好ましく、アルコキシ変性シリコーンオイルが特に好ましい。上記シリコーンオイルは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、シリコーンオイルの動粘度(25℃)は、通常0.5〜10,000cSt、好ましくは1〜5,000cSt、更に好ましくは1.5〜3,000cStである。この粘度が高すぎると、耐水性が向上しない場合があり、一方、低すぎると、加熱工程の前の混合物の調製が困難となり、耐水性が向上しない場合がある。尚、上記シリコーンオイルの粘度はオストワルド法などにより測定することが出来る。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記シランカップリング剤は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記のアルコキシシラン化合物は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。シリル化剤としては、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。上記のシリル化剤は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、上記のシリコーンオイル、シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、シリル化剤などは、組み合わせて用いてもよい。
有機珪素化合物の使用量は、酸化マグネシウム100質量部に対し、通常0.5〜7質量部、好ましくは1〜3質量部である。有機珪素化合物の使用量が少なすぎると、改質された酸化マグネシウムによる耐水性の向上効果が十分でない場合がある。一方、多すぎると、熱伝導性が向上しない場合がある。
酸化マグネシウムと有機珪素化合物とを含む混合物の調製方法は、特に限定されず、公知の容器内で、公知の投入方法、撹拌方法などを適用することが出来る。撹拌により、酸化マグネシウムの表面全体を有機珪素化合物が被覆される。
混合物の加熱は、電気炉、ガス炉などの工業炉などを用い、通常100〜800℃、好ましくは200〜600℃、更に好ましくは250〜400℃の範囲の温度で行う。その際の加熱時間は、通常10分から5時間、好ましくは30分から4時間、更に好ましくは30分〜3時間である。加熱温度が低すぎる場合、及び、加熱時間が短すぎる場合、何れも、改質された酸化マグネシウムによる耐水性の向上効果が十分でない傾向にある。一方、温度が高すぎる場合、及び、加熱時間が長すぎる場合、何れも、耐水性が低下する傾向にある。特に有機珪素化合物としてシリコーンオイルを用いる場合、シリコーンオイルが完全に分解する温度、時間条件では、シリコーンオイルと酸化マグネシウムとの密着性、及びそれに伴って発現する疎水性が低下する傾向にある。
成分〔B2〕は、上記の加熱工程により得られたものであってよいし、更に、リン酸エステル、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アマイド、高級アルコール、硬化油などの表面処理剤により処理されたものであってもよい。これらの表面処理剤を用いることにより、耐水性が更に向上する場合があり、更に、熱可塑性樹脂中への分散性が向上する場合がある。
表面処理剤の使用量は、特に限定されないが、酸化マグネシウム100質量部に対し、通常0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜4質量部、更に好ましくは0.2〜3質量部である。上記の表面処理剤による処理は、上記酸化マグネシウムに所望量の上記表面処理剤を加え、これが溶融する温度以上、例えば、通常50〜150℃、好ましくは80〜130℃に加熱しながら攪拌混合することにより行うことが出来る。加熱時間は、通常5分から3時間、好ましくは10分から1時間である。
成分〔B2〕は、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気で、8日間放置した後の吸水率を1質量%以下とすることが出来、好ましくは0.5質量%以下とすることが出来る。
成分〔B2〕の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、10〜1,000質量部であり、要求される放熱筐体の性能などに応じ、適宜に決定することが出来る。成分〔B2〕の配合量は、好ましくは15〜800質量部、更に好ましくは20〜600質量部、特に好ましくは25〜400質量部である。成分〔B1〕の配合量が10質量部未満では、熱伝導性が十分でなく、一方、1,000質量部を超えると、成形加工性、放熱筐体の外観性および耐衝撃性が低下する場合がある。
(成分〔B3〕)
成分〔B3〕は特定の物性を有する窒化ホウ素粒子である。即ち、BET比表面積が0.05〜10m/g、重量平均粒子径が1〜200μmであり、且つ、形状が鱗片状である窒化ホウ素粒子である。窒化ホウ素粒子は、成分〔B2〕の場合と同様に各種の表面処理をしたものであってもよい。成分〔B3〕の配合量は、成分〔B2〕の配合量と同一である。
(成分〔C〕)
本発明の組成物は他の熱伝導フィラー(成分〔C〕)を配合することが出来る。成分〔C〕の重量平均粒子径は、通常は0.1〜500μm、好ましくは1〜300μmである。更に、アスペクト比の高いものが好ましく、鱗片状(板状)、針状などが好ましいが、球形、立方体などのアスペクト比が1に近いものも用いることも出来る。特に、アスペクト比の高いものと混合することによって、成形時樹脂の流れの方向によらず、熱伝導性が発現し、好ましい場合がある。導電性、絶縁性の何れでも用いることが出来る。但し、用途によって、導通することで短絡などの不具合が生じる場合には、絶縁系フィラーを用いることが出来る。成分〔C〕の具体例としては、次の(1)〜(4)に記載のものが挙げられる。
(1)カーボン系の熱伝導フィラーとしては、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)、カーボンファイバー(PAN系、ピッチ系)、カーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル)等が挙げられる。
(2)絶縁系の熱伝導フィラーとしては、結晶性シリカ、溶融シリカ、炭化珪素、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化アルミ、窒化珪素、ベリリア等が挙げられる。
(3)金属系の熱伝導フィラーとしては、ステンレス、銅、銀、亜鉛、鉄、アルミ、ニッケル等が挙げられる。
(4)その他の熱伝導フィラーとしては、カーボンファイバー、硝子繊維、アラミド繊維などの繊維やフレークの表面に金属被覆を施したもの等が挙げられる、
成分〔C〕は、前記の成分〔B2〕と同様に表面処理することが出来る。表面処理することにより、樹脂との親和性を良好にすること、樹脂の熱分解を防ぐ、フィラーの吸水を防止する等の効果が得られる。
(成分〔D〕)
本発明の組成物は耐衝撃改良剤(成分〔D〕)を配合することが出来る。成分〔D〕は、本発明の放熱筐体における耐衝撃性を向上させる重合体成分(軟質樹脂、ゴム及びエラストマー)である。具体的には、共役ジエン系重合体、エチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、並びに、これらの重合体の存在下、不飽和結合を有する酸無水物を反応させて得られた酸無水物グラフト化重合体およびその金属塩、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・グリシジルエーテル共重合体、ナイロン12・ポリトリメチレングリコール共重合体、ナイロン12・ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリトリメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリテトラメチレングリコール共重合体などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。また、これらの内、共役ジエン系重合体、エチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、並びに、これらの重合体の存在下、不飽和結合を有する酸無水物を反応させて得られた酸無水物グラフト化重合体およびその金属塩が好ましい。尚、成分〔D〕は、非架橋重合体であってよいし、架橋重合体であってもよい。
成分〔D〕としては、上記の共役ジエン系重合体、エチレン・α−オレフィン系共重合体またはエチレン・(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の存在下、不飽和結合を有する酸無水物の1種以上を反応させて得られた酸無水物グラフト化重合体を用いることも出来る。上記の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水クロトン酸などが挙げられる。
上記の酸無水物グラフト化重合体としては、未水添または水添のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体−g−無水マレイン酸共重合体(「g」はグラフトを表す。以下も同様である。)、未水添または水添のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン・ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロピレン・2,5−ノルボルナジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記の酸無水物グラフト化重合体において、酸無水物のグラフト量(「酸変性量」ともいう。)は、当該酸無水物グラフト化共重合体に対し、通常0.3〜0.7質量%、好ましくは0.35〜0.65質量%、更に好ましくは0.4〜0.6質量%である。この範囲であれば、十分な耐衝撃性が得られ、熱安定性の低下を抑制することが出来る。
成分〔D〕の配合量は、成分〔A〕及び〔D〕の合計100質量部に対し、通常1〜50質量部、好ましくは3〜45質量部、更に好ましくは5〜40質量部である。この範囲であれば、十分な耐衝撃性を得ることが出来る。尚、成分〔D〕の配合量が多すぎると、成形加工性が低下する場合がある。
(添加剤)
本発明の組成物は、目的、用途などに応じ、添加剤を配合することが出来る。この添加剤としては、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、老化防止剤、可塑剤、抗菌剤、着色剤などが挙げられる。
上記の充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフィライトクレー、シラン処理クレー、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼオライト、ゾノトライト、アスベスト、PMF(Processed Mineral Fiber)、胡粉、セピオライト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記充填剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常1〜30質量部、好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは2〜20質量部である。
上記の熱安定剤としては、ホスファイト類、ヒンダードフェノール類、チオエーテル類などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記の熱安定剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常0.01〜5質量部である。
上記の酸化防止剤としては、ホスファイト類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記の酸化防止剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部、更に好ましくは0.1〜2質量部である。
上記の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。上記の紫外線吸収剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記の難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素および窒素元素を含むホスファゼン誘導体などのリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記の難燃剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常1〜30質量部、好ましくは3〜25質量部、更に好ましくは5〜20質量部である。
尚、本発明の組成物に難燃剤を含有させる場合は難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。また、難燃性を改良するために、シリコーンオイルを配合することが出来る。
上記の老化防止剤としては、例えば、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物などが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記の老化防止剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記の可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記の可塑剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは1〜10質量部である。
上記の抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤などの無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物などの有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤などが挙げられる。これらはは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記の抗菌剤の配合量は、成分〔A〕100質量部に対し、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記の着色剤としては、有機染料、無機顔料、有機顔料などが挙げられ、これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
本発明の組成物は、上記の原料成分を、所定の割合で、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等に投入し、その後、混練することにより製造することが出来る。原料成分の使用方法は、特に限定されず、各々の成分を一括配合した後、混練してもよく、多段配合など分割して配合した後、混練してもよい。混練温度は、成分〔A〕の種類により選択される。
本発明の組成物は、熱伝導性に優れ、後述の試験例に記載の方法で測定される熱伝導率は、通常1W/m・K以上、好ましくは1〜50W/m・K、更に好ましくは3〜45W/m・K、特に好ましくは7〜40W/m・Kである。また、本発明の組成物は、放射性に優れ、後述の試験例に記載の方法で測定される放射率は、通常0.65〜0.99、好ましくは0.70〜0.98、更に好ましくは0.75〜0.97である。更に、本発明の組成物は、電磁シールド性にも優れ、100MHzの周波数における電磁シールド効果は、通常15dB以上、好ましくは15〜60dB、更に好ましくは20〜55dBである。
<放熱性筐体>
本発明の放熱性筐体は、本発明の組成物を用い箱状に形成して得られるが、筐体の全面に本発明の組成物が用いられる必要はなく、筐体の一面を他の材料で構成してもよく、任意の面に穴を設けてもよい。更には、アルミニウム、銅などの金属;他のABS系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの汎用樹脂を積層してもよい。筐体の一面の厚さは、特に限定されないが、通常1〜7mm、好ましくは2〜5mm程度である。放熱性筐体の成形方法としては、射出成形、押出成形(シート押出、異形押出)、2色成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形などが挙げられる。
成形温度および金型温度は、成分〔A〕の種類によって選択される。成分〔A〕がゴム強化ビニル系樹脂(A1)を含有する場合には、成形時のシリンダー温度は、通常220〜300℃、好ましくは230〜280℃である。金型温度は、通常70〜90℃である。成分〔A〕がオレフィン系樹脂を含む場合には、成形時のシリンダー温度は、通常200〜280℃、好ましくは210〜250℃である。金型温度は、通常30〜50℃である。成分〔A〕がポリアミド系樹脂を含む場合には、成形時のシリンダー温度は、通常230〜300℃、好ましくは250〜280℃である。金型温度は、通常70〜90℃である。成分〔A〕がポリエステル系樹脂を含む場合には、成形時のシリンダー温度は、通常230〜300℃、好ましくは250〜280℃である。金型温度は、通常70〜90℃である。尚、放熱性筐体が大型である場合には、一般に、シリンダー温度を高めに設定して製造される。
本発明の放熱性筐体はその内部に発熱体が収容されて用いられる。発熱体としては、それ自体が発熱性である物であっても外部から加熱されて発熱する物であってもよい。代表的な発熱体は発熱性の部品ないしは機器(装置)であり、例えば、LD(レーザーダイオード)、IC(集積回路)等の電子部品、パソコン、ワープロ、テレビゲーム等のコンピュータを利用した電子機器、自動車のエンジンへの空気吸入量やスロットル開度などの情報を元にして燃料噴射量や点火タイミングを決定するコンピューターであるエンジンコントロールユニット(ECU)、フォグランプ、ワイパーモーター等の車両搭載の電子部品や機器などが挙げられる。
本発明は上記の様にして実施されるが、以下に本発明の特徴部分である本発明の組成物についての評価結果を示す。尚、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の試験例に限定されるものではない。また、下記において、部および%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.熱伝導性樹脂組成物の原料成分:
熱伝導性樹脂組成物の製造に用いた原料成分を以下に示す。尚、ゴム質重合体の重量平均粒子径;黒鉛粒子の重量平均粒子径並びに累積重量が、夫々、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80の比D80/D20については、日機装社製のマイクロトラック粒度分布測定装置「FRA型」を用いて測定した。黒鉛粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡(SEM)による画像から、粒子100個の最長径および最短径の各平均値を用いて算出した。また、黒鉛粒子の固定炭素量は、JIS M8511に準じて測定した。
<熱可塑性樹脂(1):ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂>
ジエン系ゴム質重合体として、重量平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴム粒子を含むラテックスの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合させて得られた、ポリブタジエンゴム41.5%、スチレン単位量42.7%及びアクリロニトリル単位量15.8%からなるジエン系ゴム強化ビニル系樹脂を用いた。この樹脂のグラフト率は55%、アセトン可溶成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.45dl/gである。
<熱可塑性樹脂(2):アクリロニトリル・スチレン樹脂>
スチレン単位量74.5%及びアクリロニトリル単位量25.5%からなる共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.60dl/gである。
<熱可塑性樹脂(3):ポリカーボネート樹脂>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「NOVAREX 7022PJ」(商品名)を用いた。GPCによる粘度平均分子量は22,000である。
<熱可塑性樹脂(4):ブロックタイプポリプロピレン>
日本ポリプロ社製の「NOVATEC BC6C」(商品名)を用いた。
<熱可塑性樹脂(5):ポリブチレンテレフタレート>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「NOVADURAN 5007」(商品名)を用いた。
<熱可塑性樹脂(6):ポリアミド樹脂>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「NOVAMID 1013J」(商品名)を用いた。
<エラストマー:無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体>
JSR社製の「T7741P」(商品名)を用いた。赤外分光法による酸変性量は0.5%、密度は0.86g/cm3、JIS K7210に準ずるMFR(温度23℃、荷重2.16kg)は1.0g/10分である。
<黒鉛粒子>
中越黒鉛工業所社製の「HF−150A」(商品名)を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は16、重量平均粒子径は161μm、固定炭素量は99.8%である。また、D80/D20は2.7である。
<酸化マグネシウム:電融マグネシア>
神島化学工業社の耐吸水性処理酸化マグネシウム(商品名「A−10」)(球状、平均粒子径:10μm、BET比表面積:1.2m/g、Dv:14.2、Dv/Dn:31.0)
<窒化ホウ素>
昭和電工社製(商品名「UHP−EX」)(鱗片状、平均粒子径:50μm)
<酸化防止剤(1)>
旭電化工業社製のテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート]メタン「アデカスタブAO−60」(商品名)を用いた。
<酸化防止剤(1)>
旭電化工業社製のサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト「アデカスタブPEP−36」(商品名)を用いた。
2.熱伝導性樹脂組成物の評価項目:
(1)成形加工性:
新潟鉄工所社製の射出成形機「NN30B型」による、縦55mm、横80mm及び厚さ2.4mmの板状試験片の成形状況から、成形加工性を以下の表1に示す基準で判定した。尚、試験片の成形条件は、成分〔A〕として熱可塑性樹脂(1)を用いる場合、シリンダー温度が280℃、金型温度が70℃、射出圧が80%であり、熱可塑性樹脂(4)を用いる場合、シリンダー温度が250℃、金型温度が50℃、射出圧が20%であり、熱可塑性樹脂(5)及び(6)を用いる場合、シリンダー温度が280℃、金型温度が70℃、射出圧が80%である。
(2)熱伝導率:
熱伝導率は、試験片成形時の組成物の流動方向に対して測定した値をいい、アルバック理工社製のレーザーフラッシュ法熱定数測定装置「TR−7000R型」を用い、25℃における熱伝導率を測定した。試験片は、内径10mm、厚さ1.5mmの円板である。
(3)放射率:
ジャパンセンサー社製のサーモスポットセンサー「TSS−5X型」を用いた赤外線検出による反射エネルギー測定方式により、雰囲気温度25℃にて測定した。試験片は150mm×150mm×3mmの平板である。
(4)電磁シールド性:
アドバンテスト社製のスペクトラムアナライザ「R3361A型」及び「TR17301型」を用い、100MHzの周波数における電磁波の反射性を測定し、電磁シールド性を評価した。試験片は、150mm×150mm×3mmの平板である。
(5)表面固有抵抗:
抵抗値により、以下の表2に示す3種の抵抗率計を使い分けて測定した。試験片は、内径100mm、厚さ2mmの円板であり、抵抗値の単位はΩである。
(6)シャルピー耐衝撃性:
ISO179に準じて、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)を測定した。単位は、kJ/mである。
(7)曲げモジュラス及び曲げ歪み:
ISO178に準じて、島津製作所社製の精密万能試験機「オートグラフAG−10kNI型」を用い、試験片のスパン間隔64mm、曲げ速度1mm/分の条件で3点式曲げ強度測定法により測定した。試験片のサイズは、127mm×10mm×4mmである。
(8)硬度:
ISO2039に準じて、ロックウェル硬さ(Rスケール)を測定した。
(9)熱変形温度:
ISO75に準じて測定した。荷重は、1.80MPaである。
(10)熱籠り試験:
室温25℃の部屋に、対流の影響を防止するため、高さ1m、幅1mのアクリル樹脂製カバーを設置し、その中心部に、図1に示す様に、ポリカーボネート(PC)製枠部材(1)で構成された枠体の4面(底面、天面、両側面)に評価に供する平板(2)(150mm×150mm×3mm)を装入して立方体箱を形成した。なお、立方体箱の前後2面はPC製の壁面にて構成されている。そして、立方体箱の底面の中心にシリコンゴムヒーター(3)(100mm×100mm×1.7mm)を設置し、シリコンゴムヒーター(3)に電圧40V(32W)で通電し、60分後、上記の4面の各測定点の温度を測定した。測定点は次の表3に示す通りである。
試験例1〜18及び比較試験例1〜4:
前記の各原料成分を、表4〜7の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した。その後、二軸押出機を用いて溶融混練(シリンダー温度240〜280℃)し、ペレット(熱伝導性樹脂組成物)を製造した。その後、このペレットを、日本製鋼社製の射出成形機「J100E型」に供給して、シリンダー温度240〜280℃、金型温度70℃、射出速度60mm/秒、及び、保圧力70MPaの条件で、評価項目に準じた、所定形状および大きさの評価用試験片を作製し、各種評価を行った。その結果を表5〜8に示す。
表4〜7に示した試験施例と比較試験例の比較より次のことが明らかである。すなわち、本発明で規定する熱伝導フィラー(B)が配合されていない比較試験例1は、熱伝導性が低いため、T2の温度が低く、その結果、シリコンゴムヒータの表面温度T3が高くなっている。また、夫々、アルミニウムと銅を用いた比較試験例2と3は、本発明で規定する熱伝導性樹脂組成物を用いた試験例と異なり、T5〜T8で表される雰囲気温度が高い。酸化アルミニウムを用いた比較試験例4は成形加工性に劣る。
熱籠り試験装置の縦断面説明図
符号の説明
1:ポリカーボネート(PC)製製枠部材
2:評価に供する平板
3:シリコンゴムヒーター

Claims (6)

  1. 発熱体が収容される放熱筐体であって、以下に規定する熱可塑性樹脂〔A〕と以下の(1)〜(3)に規定する何れか1種以上の熱伝導フィラー〔B〕とから成り、熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対する熱伝導フィラー〔B〕の配合量が10〜1,000質量部である熱伝導性樹脂組成物にて構成されていることを特徴とする放熱筐体。
    (熱可塑性樹脂〔A〕)
    ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びアクリロニトリル(b)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、当該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と芳香族ビニル化合物及びアクリロニトリルの共重合体(A2)との混合物からなるゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂の群から選ばれた少なくとも1種の樹脂、または、酸変性エチレン・プロピレンエラストマー。
    (1)アスペクト比が10〜20、重量平均粒子径が10〜200μmであり、且つ、固定炭素量が98質量%以上である鱗片状黒鉛粒子。
    (2)純度が95.0質量%以上、BET比表面積が5.0m/g以下、体積平均粒子径(Dv)が0.5〜60μmであり、且つ、体積平均粒子径(Dv)と数平均粒子径(Dn)との比Dv/Dnが10〜55である酸化マグネシウム粒子。
    (3)BET比表面積が0.05〜10m/g、重量平均粒子径が1〜200μmであり、且つ、形状が鱗片状である窒化ホウ素粒子。
  2. 上記(1)に記載の黒鉛粒子の粒度分布を測定して得られた、累積重量が、夫々、20%及び80%であるときの粒子径D20及びD80の比D80/D20が2〜12である請求項1に記載の放熱筐体。
  3. 上記(2)に記載の酸化マグネシウム粒子が電融マグネシアである請求項1又は2に記載の放熱筐体。
  4. 上記(2)に記載の酸化マグネシウム粒子100質量部が有機珪素化合物0.1〜10質量部により加熱処理されてなる請求項1〜3の何れかに記載の放熱筐体。
  5. 有機珪素化合物がシリコーンオイルである請求項4に記載の放熱筐体。
  6. 上記(2)に記載の酸化マグネシウム粒子の、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気で8日間放置した後の吸水率が1質量%以下である請求項1〜の何れかに記載の放熱筐体。
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