JP4678969B2 - 熱伝導材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品等の発熱体からの放熱を促すため、その発熱体に対して接触するように配置して使用される熱伝導材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シリコーンゴムやEPDM等のゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導材が考えられている。この種の熱伝導材は、電気・電子装置の内部において、例えば、発熱源となる電子部品と、放熱板や筐体パネル等といったヒートシンクとなる部品(以下、単にヒートシンクという)との間に介在させるように配置して使用される。このように熱伝導材を配置した場合、電子部品等が発生する熱をヒートシンク側へ良好に逃がすことができる。このため、この種の熱伝導材は、例えばCPUの高速化等のために不可欠な素材として注目を集めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、熱伝導フィラーには比較的高い導電性を有するものが多く、そのような熱伝導フィラーを上記ゴムに多量に充填すると熱伝導材の絶縁性が低下する。すると、上記電子部品等を搭載した電気・電子装置において接点短絡が発生する可能性が生じる。特に、近年、微小モータを搭載した電子制御ユニットが増加しており(例えば、HDD,CD−ROM,DVD,FDD等)、これらのユニットで使用される熱伝導材では、接点短絡が起こり難いことが強く要請される。そこで、本発明は、良好な絶縁性を有し、かつ、熱伝導性に優れた熱伝導材を提供することを目的としてなされた。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、流動性を有するEPDMに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導材であって、上記熱伝導フィラーとして、窒化ホウ素と炭化ケイ素とを混合して用い
上記炭化ケイ素が、大小2種類の平均粒径を有するものを混合してなり、
上記窒化ホウ素の平均粒径が、大粒径の上記炭化ケイ素の平均粒径と等しいことを特徴としている。
【0005】
窒化ホウ素は、良好な熱伝導性を有する熱伝導フィラーであって絶縁性にも優れていることが知られている。本発明では、この窒化ホウ素と炭化ケイ素とを混合して上記EPDMに充填しているので、上記炭化ケイ素が仮に高い導電性を有していたとしても窒化ホウ素が上記炭化ケイ素の間に割り込んで導通を阻害する。このため、熱伝導材全体としては良好な絶縁性を有する。また、窒化ホウ素前述のように比較的良好な熱伝導性を有するので、上記炭化ケイ素との共働によって良好な熱伝導性を呈する。
【0006】
従って、本発明の熱伝導材は、良好な絶縁性を有し、かつ熱伝導性にも優れている。また、本発明では、窒化ホウ素と炭化ケイ素とを混合して併用しているので、窒化ホウ素の弱点を炭化ケイ素によって補うこともできる。
【0007】
しかも、本発明では、上記ゴムとしてEPDM(エチレン・プロピレン共重合体)を用いているので、シリコーンゴム(オルガノポリシロキサン)を用いた場合のように低分子シロキサンガスが発生しない。すなわち、シリコーンゴムでは低分子シロキサンガスが発生してモータやリレー等の接点短絡を引き起こすことが従来から指摘されており、この低分子シロキサンガスの発生を抑制する低分子カット技術が研究されている。しかしながら、低分子カット技術が発達しても低分子シロキサンガスを完全にゼロにすることはできず、上記接点短絡が発生する可能性もゼロにすることはできない。
【0008】
これに対して、本発明では、低分子シロキサンガスが発生しないEPDMを母材として用いているので、上記接点短絡の発生を良好に抑制することができる。従って本発明では、上記効果に加えて、モータやリレー等の接点短絡の発生を良好に抑制することができるといった効果が生じる。このため、本発明の熱伝導材は、微小モータ付近に配置された発熱素子(例えばドライバIC)からの放熱を促すための熱伝導材としても安心して使用することができる。
【0010】
また、炭化ケイ素は良好な熱伝導性を有し、かつ、入手が容易な熱伝導フィラーとして知られている。本発明では、熱伝導フィラーとして炭化ケイ素を用いているので、上記効果に加えて、一層良好な熱伝導性を有すると共に、熱伝導材の製造コストを良好に低減することができるといった効果が生じる。
【0012】
本願出願人は、流動性を有するゴムに各種粒径の熱伝導フィラーを充填し、混練・成形する実験を行った結果、大小2種類の平均粒径を有する熱伝導フィラーを混合してシリコーンゴムに充填したところ、極めて高い充填性が得られることを発見した(特願平11−247368号参照)。この理由は、おおよそ次のように考えられる。すなわち、熱伝導フィラーが大きな粒子のみから構成される場合、どうしても粒子間に隙間が空いてしまう。これに対して、大きな粒子と小さな粒子とを混合して用いる場合、大きな粒子の隙間を小さな粒子が埋め、充填性が向上する。また、小さな粒子のみを用いても返って充填性が低下する。しかも、熱伝導シートとして同じ熱伝導率を出すためには、より多い充填量を必要とし、硬度が上がってしまう。
【0013】
更に、大きな粒子のみを用いると、混練時に粒子間には摩擦抵抗が作用するため、これによっても粒子間の間隙が大きくなる。これに対して、大きな粒子と小さな粒子とを混合して用いる場合、小さな粒子が大きな粒子の間に挟まれるため、この小さな粒子がコロとして作用して摩擦抵抗を低減する。このため、粒子間の間隙が小さくなり、充填性が一層向上するのである。また、上記コロとしての作用により、大小2種類の平均粒径を有する熱伝導フィラーを混合して用いた場合、成形後の熱伝導材の硬度を低下させることができる。
【0014】
本発明では、上記炭化ケイ素として大小2種類の平均粒径を有するものを混合して用いているので、前述のように多量の炭化ケイ素を良好に充填することができ、こうして得られた熱伝導材も良好な熱伝導性を有する。また、本発明では、混練時の摩擦抵抗を低減して製造を容易にすると共に、成形後の熱伝導材の硬度も低下させることができる。更に、上記窒化ホウ素の平均粒径は大粒径の上記炭化ケイ素の平均粒径と等しいので、上記窒化ホウ素は良好に上記炭化ケイ素の間の導通を阻害することができる。
【0015】
従って、本発明では、上記効果に加えて、一層良好な熱伝導性及び絶縁性を有すると共に、良好な柔軟性を有し、しかも、製造が容易で製造コストを良好に低減することができるといった効果が生じる。特に、EPDMにはシリコーンゴムよりも硬いといった弱点があったが、そのEPDMにも良好な柔軟性を付与して電子部品及びヒートシンク等への密着性を向上させ、電子部品等の放熱を一層良好に促すことができるといった効果が生じる。なお、上記窒化ホウ素の平均粒径は大粒径の上記炭化ケイ素の平均粒径とは完全に一致する必要はなく、例えば±10%程度の誤差は許容される。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項記載の構成に加え、上記窒化ホウ素と大粒径の上記炭化ケイ素とをあわせた重量と、小粒径の上記炭化ケイ素の重量との比が、3:2であることを特徴としている。
すなわち、本発明では、請求項記載の熱伝導材における大粒径,小粒径の熱伝導フィラーの重量比を3:2としている。この重量比では、熱伝導材の柔軟性が最も向上することが実験的に判明している。従って、本発明では、請求項記載の発明の効果に加えて、一層良好な柔軟性を有して電子部品及びヒートシンク等への密着性が良好で、電子部品等の放熱を一層良好に促すことができるといった効果が生じる。
【0017】
請求項記載の発明は、流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導材であって、上記熱伝導フィラーとして、窒化ホウ素を5重量%以上用いると共に、60重量%以上の金属粒子を用いたことを特徴としている。
本願出願人は、上記窒化ホウ素を5重量%以上使用すると熱伝導材全体としての絶縁性が特に向上することを発見した。この場合、他の熱伝導フィラーとして金属粒子を用いても、良好な絶縁性が得られる。金属粒子を熱伝導フィラーとして用いると、熱伝導材の熱伝導性を極めて向上させることができると共に、その熱伝導材に電磁波シールド性を付与することができる。そこで、本発明では、上記熱伝導フィラーとして窒化ホウ素を5重量%以上混合して用いると共に、金属粒子を60重量%以上混合して用いている。このため、本発明では、良好な絶縁性,熱伝導性,及び電磁波シールド性を有するといった効果が生じる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態では、以下の製造方法により熱伝導材を製造した。
すなわち、EPDM,熱伝導フィラー,及びオイルとしての塩素化パラフィンを混合することにより、EPDMに熱伝導フィラーを充填した。熱伝導フィラーとしては、平均粒径80μmの炭化ケイ素と平均粒径5μmの炭化ケイ素と平均粒径80μmの窒化ホウ素とを混合して使用し、各熱伝導フィラーの分量は、EPDM100重量部に対してそれぞれ100〜150重量部,100〜200重量部,50〜100重量部とした。また、塩素化パラフィンは50〜100重量部使用し、オイルとしてはこの他、プロセスオイル,流動性パラフィン,脂肪油,エステル系可塑剤,炭酸エステル系可塑剤,液状ゴム等が使用できる。上記混合の方法としては、押し出し,2本ロール,ニーダ等の種々の方法を適用することができる。
【0021】
続いて、このように熱伝導フィラーを混練した固形状EPDMを、シート状に成形した。この成形の方法としては、カレンダロール,押し出し,プレス等の機械を用いて成形する方法等、種々の方法を適用することができる。
このようにして製造された熱伝導材は、良好な絶縁性を有し、かつ、熱伝導性にも優れていた。これは、炭化ケイ素も窒化ホウ素も良好な熱伝導性を有する熱伝導フィラーであって、特に、窒化ホウ素は絶縁性にも優れているためと考えられる。すなわち、炭化ケイ素にはある程度の導電性があるので、前述のように多量の炭化ケイ素を単独でEPDMに混合した場合、あまり良好な絶縁性は得られない。これに対して、上記熱伝導材では、窒化ホウ素が炭化ケイ素の間に割り込んで導通を阻害するため、熱伝導材全体として良好な絶縁性を呈するのである。
【0022】
また、窒化ホウ素のみをEPDMに充填して上記熱伝導材と同様の熱伝導性を得ようとする場合、比較的高価な窒化ホウ素を多量に充填しなければならない。これに対して、上記熱伝導材では、良好な熱伝導性を有しかつ入手が容易な炭化ケイ素を窒化ホウ素と併用しているので、製造コストを良好に低減することができる。更に、上記熱伝導材では大小2種類の熱伝導フィラーを混合して充填しているので、熱伝導フィラーの充填性が極めて向上すると共に成形後の熱伝導材の硬度も低下させることができる。
【0023】
この原理を図1の模式図を用いて説明すると、上記実施の形態の熱伝導材1は、基材としてのEPDM3に、大粒径の炭化ケイ素5,小粒径の炭化ケイ素7,及び大粒径の窒化ホウ素9を熱伝導フィラーとして混合している。このため、炭化ケイ素5及び窒化ホウ素9の大きな粒子の隙間を炭化ケイ素7の小さな粒子が埋め、充填性が向上する。また、炭化ケイ素7の小さな粒子が炭化ケイ素5及び窒化ホウ素9の大きな粒子の間に挟まれるため、炭化ケイ素7がコロとして作用して摩擦抵抗を低減し、充填性が一層向上する。また、上記コロとしての作用により、成形後の熱伝導材1の硬度を低下させることもできる。
【0024】
更に、窒化ホウ素9の平均粒径は大粒径の炭化ケイ素5の平均粒径と等しいので、窒化ホウ素9は良好に炭化ケイ素5,7の間の導通を阻害することができる。従って、熱伝導材1は、極めて良好な熱伝導性及び絶縁性を有すると共に、良好な柔軟性を有し、しかも製造が容易で製造コストを良好に低減することができる。なお、窒化ホウ素9の平均粒径は大粒径の炭化ケイ素5の平均粒径とは完全に一致する必要はなく、例えば±10%程度の誤差は許容される。
【0025】
また、EPDM3はシリコーンゴムのように低分子シロキサンガスを発生しないので、モータやリレー等の接点短絡の発生を良好に抑制することができる。このため、熱伝導材1は、微小モータ付近に配置された発熱素子(例えばドライバIC)からの放熱を促すための熱伝導材としても安心して用いることができる。更に、EPDM3にはシリコーンゴムよりも硬いといった弱点があったが、熱伝導材1では前述のように良好な柔軟性を付与することができるので、電子部品及びヒートシンク等への密着性を向上させ、電子部品等の放熱を一層良好に促すことができる。
【0026】
【実施例】
次に、上記実施の形態の熱伝導材を配合を種々に変更して製造し、その特性を調査した。なお、固形状EPDMとしては、「3042E」(商品名、製造元:三井化学)を使用し、炭化ケイ素としては「デンシックGC」(商品名、製造元:昭和電工)を、窒化ホウ素としては顆粒状の「UHP−EX」(商品名、製造元:昭和電工)を、それぞれ使用した。また、前述のように混練したEPDMには、170℃,15分,t=0.5mm及び2mmの加硫条件で加硫を施して成形した。各実施例及び比較例の配合を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0004678969
【0028】
なお、表1のEPDM,oil,SiC(大),SiC(小),BN(大)の欄には、それぞれの重量%(WT%)を数字で示しており、合計は100%になる。また(大),(小)は、それぞれ大粒径,小粒径を表している。
先ず、No.1とNo.2とで、大粒径の熱伝導フィラー(炭化ケイ素及び窒化ホウ素)と小粒径の熱伝導フィラー(炭化ケイ素)との重量比の違いによる熱伝導率の比較を行った。これは、以前に、3:2及び2:1がよい結果を得ることが分かっているからである(特願平11−247368号参照)。
【0029】
No.3〜No.6の試料は他の実施例である。また、No.7は比較例で、EPDMに水酸化アルミニウムを熱伝導フィラーとして充填した市販の熱伝導材「CPV(クールプロバイド)」(商品名、製造元:北川工業)である。以上のように構成した各実施例及び比較例に対する評価結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 0004678969
【0031】
ここで、熱伝導率は、「QTM−500」(商品名:京都電子工業製)を用いて次のように測定した。図2は、この測定方法を表す説明図である。すなわち、50mm×100mmのサイズに切り出したシート状の熱伝導材1をレファレンスプレート11を介して試料台13に載置し、更に、熱伝導材1の上面には、ヒータ15及び熱電対17,並びにウエイト19を順次載置する。なお、「QTM−500」では、ヒータ15,熱電対17,及びウエイト19は一体に構成されている。そして、ヒータ15の両端に接続されたヒータ用ケーブル15aと熱電対17の両端に接続された熱電対用ケーブル17aとを、図示しないコネクタを介して測定器に接続することによって、次のようにして熱伝導材1の熱伝導性を測定することができる。
【0032】
ヒータ用ケーブル15aに所定値の電流を通電してヒータ15を発熱させると、その熱は熱伝導材1及びレファレンスプレート11を介して試料台13へ放熱される。このため、熱伝導材1及びレファレンスプレート11の熱伝導率が高いほど、熱電対17によって測定される温度の上昇は遅くなる。
【0033】
そこで、測定器では、加熱開始から一定時間後の対数時間に対する温度上昇率を求め、基準物質で構成されたレファレンスプレート11(発泡ポリエチレン0.0353,シリコーンゴム:0.241,石英:1.416,ジルコンレンガ4.1の4種類がある)のみの場合との偏差εを求める。図3に示すように、レファレンスプレート11の熱伝導率λを横軸にとり、偏差εを縦軸にとってプロットすることにより(図3に■で表示)、偏差εが0になる交点を求める。すると、その交点が表すλの値がその熱伝導材1の熱伝導率λとなるのである。
【0034】
表2に示すように、本発明の実施例(No.1〜No.6)ではいずれも高い熱伝導率が得られた。また、2W/m・K以上の熱伝導率を得るためには熱伝導フィラーを68重量%充填すればよいことが分かった。これは、炭化ケイ素のみでは70重量%以上充填しなければ上記熱伝導率が得られないのに対して、熱伝導率のよい窒化ホウ素を加えた効果が現れたものと考えられる。また、比重はいずれの試料でも小さく、炭化ケイ素のみを充填した場合よりも良好に軽量化を図れることが分かった。No.4〜No.6から、熱伝導フィラー70重量%以下で2W/m・K以上の熱伝導率を出すのに、窒化ホウ素の量を5重量%まで下げられることが分かった。これは、先にも示したが、比較的高価な窒化ホウ素の充填量を減らしてコストダウンが図れることを示唆している。
【0035】
更に、各実施例の硬度は、EPDMを基材とした市販品のNo.7に対して硬度が小さい値を得る結果となった。このため、各実施例では、熱伝導材の柔軟性を向上させることができ、延いては、電子部品及びヒートシンク等への密着性を向上させて電子部品等の放熱を一層良好に促すことができる。
【0036】
更に、大粒径の熱伝導フィラーと小粒径の熱伝導フィラーとの重量比を3:2とした試料(No.1)では、その重量比を2:1としたNo.2の試料よりも硬度が小さい値を示している。更に、他の実験によって、上記重量比を1:1等とした場合よりも3:2とした場合の方が硬度が小さい値を示すことが分かっている。このため、上記重量比を3:2とした試料では、熱伝導材の柔軟性を一層向上させることができ、延いては、電子部品及びヒートシンク等への密着性を一層向上させて電子部品等の放熱を一層良好に促すことができる。
【0037】
また更に、表2には示していないが、各実施例の体積抵抗値はいずれも1012Ω・cmよりも大きく、極めて良好な絶縁性を有することが分かった。これは、窒化ホウ素の体積抵抗率が>1014Ω・cmと大きく、前述のように炭化ケイ素の間に割り込んで導通を阻害するためと考えられる。しかも、EPDMはシリコーンゴムのように低分子シロキサンガスを発生しないので、前述のようにモータやリレー等の接点短絡の発生を良好に抑制することができる。また、窒化ホウ素の充填量を5重量%以上とした場合には、充填量を5%未満とした場合に比べて特に良好な絶縁性が得られることも分かった。
【0038】
以上のように、上記各実施例の熱伝導材は、極めて良好な熱伝導性,絶縁性,及び柔軟性を有すると共に、軽量でかつ低分子シロキサンガスを発生しないため、電子部品等の放熱を促す熱伝導材として極めて優れていることが分かった。なお、上記実施例において、EPDMとして他の製品を使用しても同様の結果が得られるものと考えられる。
【0039】
次に、ゴムとしてシリコーンゴム(商品名「CY52−276」:東レダウコーニング製)を使用し、熱伝導材として金属粒子を使用することにより、電磁波シールド性及び熱伝導性の優れた熱伝導材を得ることを試みた。配合は次の表3に示すように種々に変更した。なお、シリコーンゴムは、厳重な低分子カットを行って低分子シロキサンガスの発生を充分に抑制しておいた。
【0040】
【表3】
Figure 0004678969
【0041】
但し、SC270S20(商品名:東芝バロティーニ製)は、銀をコーティングしたアルミニウムで比重3.1である。また、UHP−1(商品名:昭和電工製)は窒化ホウ素で比重2.27、UHP−EX(商品名:昭和電工製)も窒化ホウ素で比重2.27である。更に、シールド効果は500MHzの電磁波に対して測定した値である。
【0042】
表3に示すように、熱伝導フィラーとして金属粒子のみを使用して窒化ホウ素(熱伝粒子)を使用しなかった▲1▼の資料(比較例)では、良好な電磁波シールド性は得られたものの熱伝導性は充分ではなかった。これに対して、60重量%以上の金属粒子と窒化ホウ素とを混合して熱伝導フィラーとして使用した▲2▼〜▲6▼の資料(実施例)では、電磁波シールド性と熱伝導性とを兼ね備えた熱伝導材が得られた。
【0043】
熱伝導フィラーとして金属粒子を使用すると、電磁波シールド性や熱伝導性が向上する反面熱伝導材の絶縁性が低下する傾向が生じるが、窒化ホウ素を5重量%以上充填した▲3▼,▲5▼,▲6▼の資料では、106 Ω/cm2 以上の良好な絶縁性が得られた。このように、窒化ホウ素を5重量%以上混合して用いると共に、熱伝導フィラーとして金属粒子を60重量%以上(望ましくは65重量%以上)混合して用いることにより、良好な絶縁性,熱伝導性,及び電磁波シールド性を有する熱伝導材が得られた。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種形態で実施することができる。例えば、窒化ホウ素以外の熱伝導フィラーとしては炭化ケイ素や上記金属粒子以外にも種々の物質を用いることができ、それも種々の粒径のもの(1種類の粒径でもよい)を用いることができる。また、ゴムとしては他の有機合成ゴムを用いることもできる。
【0045】
また、上記実施例では顆粒状の窒化ホウ素を使用したが、鱗片状の窒化ホウ素を使用してもよい。窒化ホウ素が鱗片状の粒子形状を有する場合、その比表面積が大きく、熱伝導材中の電流に対する遮蔽効果が大きくなる。このため、鱗片状の窒化ホウ素を使用した場合、上記実施例と同様の効果に加えて、一層良好な絶縁性を有するといった効果が生じるものと推測される。更に、上記各実施例において、窒化ホウ素の代わりに窒化ケイ素を用いても同様の効果が生じるものと推測される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用された熱伝導材の構成を模式的に表す説明図である。
【図2】 実施例における熱伝導材の熱伝導率測定方法を表す斜視図である。
【図3】 その熱伝導率測定方法で作成されるグラフを表す説明図である。
【符号の説明】
1…熱伝導材 3…EPDM 5…炭化ケイ素
7…炭化ケイ素 9…窒化ホウ素 11…レファレンスプレート
13…試料台 15…ヒータ 17…熱電対

Claims (3)

  1. 流動性を有するEPDMに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導材であって、
    上記熱伝導フィラーとして、窒化ホウ素と炭化ケイ素とを混合して用い
    上記炭化ケイ素が、大小2種類の平均粒径を有するものを混合してなり、
    上記窒化ホウ素の平均粒径が、大粒径の上記炭化ケイ素の平均粒径と等しいことを特徴とする熱伝導材。
  2. 上記窒化ホウ素と大粒径の上記炭化ケイ素とをあわせた重量と、小粒径の上記炭化ケイ素の重量との比が、3:2であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導材。
  3. 流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導材であって、
    上記熱伝導フィラーとして、窒化ホウ素を5重量%以上用いると共に、60重量%以上の金属粒子を用いたことを特徴とする熱伝導材。
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