JP3969618B2 - 電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートおよびその製造方法 - Google Patents

電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートに関する。さらに詳しくは、例えば、発熱性電子部品等の電磁波ノイズの吸収と放熱とを行うために用いられる電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、急速に発達してきたコンピューター、パソコン、テレビ等の電子機器は、多くの高周波の電磁波ノイズを発生するため、電磁波障害が問題になっている。このため、前記電子機器における電子部品等の電磁波を吸収するための技術が求められている。
【0003】
この問題に対して、種々の技術が提案されており、例えば、金属磁性体粉末と樹脂との複合材を用いて電磁波を吸収する技術(特開昭50−155999号公報)が開示されている。しかし、このような電磁波吸収材は、電磁波吸収力が弱く、電磁波を発生する電子部品に装着した際に、十分な効果が得られないという問題があった。
【0004】
また、導電性材料の上に金属酸化物磁性体粉末を充填した樹脂層を含む電磁波吸収性シート(特開昭57−129003号公報、特開平4−234103号公報、特開平7−249888号公報)も開示されている。前記シートは、電磁波の一部を反射し、一部を吸収してその電磁波を減衰させるという効果を示す。しかし、前記シートは、その構造が複雑であるため製造コストが高く、また前記樹脂の耐熱強度が低いために、使用可能温度範囲が狭いという問題があった。
【0005】
他方、前記電子機器の発熱性電子部品等について、放熱のために用いられる冷却構造の一部として熱伝導性シートが提案されている(特開平2−166755号公報、特開平2−196453号公報および特開平6−155517号公報)。しかし、発熱性電子部品は、同時に電磁波ノイズによる電磁波障害が問題になることが多く、このような場合には、熱伝導性シートの他に、電磁波吸収を目的とするシールド材が併用されている。このように二つ以上の部品が必要となることから、コストが高くなるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、高い電磁波吸収性と熱伝導性とを併せ持ち、また低コストである電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートは、金属酸化物磁性体粒子と熱伝導性充填剤とを含むシリコーンゲル組成物から形成される電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートであって、前記シリコーンゲル成形シートの硬さが、ASKER F型硬度計の測定で、10〜95の範囲であり、
シリコーンゲル100重量部に対する金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤の合計含有量が400重量部以上であり、前記金属酸化物磁性体粒子(X)と熱伝導性充填剤(Y)との重量配合比がX:Y=2:1〜1:2の範囲であり、
前記金属酸化物磁性体粒子は、Mn−ZnフェライトおよびNi−Znフェライトから選ばれる少なくとも一つの磁性材料であり、
前記シートは気泡を含まず、
厚み1mmのシートの、10〜1000MHzの範囲の周波数における電圧の減衰量が10dB以上であることを特徴とする。
【0008】
このような本発明の前記シートは、金属酸化物磁性体粒子と熱伝導性充填剤とを含有することにより、従来の電磁波吸収性シートと放熱性シートとを併用するよりも、高い電磁波吸収性と熱伝導性とを併せ持つ。この理由は、次のように推察される。電磁エネルギーは、通常、電磁波吸収性シートに吸収されると熱エネルギーに変換され、本発明の前記シートでは、熱伝導性を有するため、前記熱エネルギーが速やかに前記シート内で伝達され、放熱される。このため、本発明の前記シートは、電磁エネルギーが直ちに熱エネルギーに変換され、その結果、高い電磁波吸収性を発揮するのである。したがって、本発明の前記シートは、電磁波吸収性と熱伝導性の両性質を示すため単独で使用でき、その構造も単純であり、また低コストであるため極めて有用である。また、前記シリコーンゲルは、その耐熱温度が他の有機合成樹脂と比較して高く、耐熱性に優れているため、本発明の前記シートは、広い温度範囲で使用することができる。
【0009】
本発明の前記シートにおいては、シリコーンゲル成形シートの上下面の少なくとも片面表層部に、さらにシート状の導電性補強材を埋没させたことが好ましい。これにより、さらに高い電磁波吸収性が得られる。この理由は、本発明の前記シート内に侵入した電磁波が、導電性シートによって反射され、本発明の前記シート内を再び通過する際に、前記した作用・効果、すなわち、電磁エネルギーは、通常、電磁波吸収性シートに吸収されると熱エネルギーに変換され、本発明の前記シートでは、熱伝導性を有するため、前記熱エネルギーが速やかに前記シート内で伝達され、放熱される。このため、本発明の前記シートは、電磁エネルギーが直ちに熱エネルギーに変換され、その結果、高い電磁波吸収性を発揮するという理由により再び効率良く熱エネルギーに変換されるためである。
【0010】
また、本発明の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成型シートは、低硬度であり、強度も比較的弱いが、導電性補強材を埋没させるこにより、補強材の役目を果たし、実装作業時の取り扱い性が改善されるという利点もある。
【0011】
次に本発明の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートの製造方法は、請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートを製造する方法であって、シリコーンゲルに金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を添加し、混合して均一組成物からなる混合物とし、前記混合物を脱泡機により脱気し、次いで脱気後の前記混合物を所定の形状の支持フィルムで上下方向に挟み、加熱しつつプレス成形により前記混合物を硬化させてシートを作製することを特徴とする。この方法により、前記本発明のシリコーンゲル成型シートを効率良く合理的に製造できる。
【0012】
前記方法においては、脱気後のシリコーンゲル混合物を所定の形状の支持フィルムで上下方向に挟み込む際に、所定の形状の下側の支持フィルム上に硬化前の金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を配合したシリコーンゲルを載せ、その上からシート状の導電性補強材と上側の支持フィルムを被せた後、シート状の導電性補強材をシリコーンゲル内に埋設することが好ましい。この方法により、前記導電性補強材を埋没させたシリコーンゲル成型シートを効率良く合理的に製造できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の成形シートにおいては、厚み1mmのシートにおいて、10〜1000MHzの範囲の周波数における電圧の減衰量が10dB以上である。前記減衰量が10dB以上であれば、電磁波吸収性能として実用的なレベルであるからである。
【0014】
また本発明の前記シートは、ASKER F型硬度計で測定した場合の硬さが、10〜95の範囲である。特に好ましくは30〜70の範囲である。前記硬さが10〜95の範囲である本発明の前記シートは、発熱性電子部品と十分に密着することができる。密着性が十分であれば前記シートの伝熱面積がさらに確保されるため、その放熱効率がより向上する。また、このように硬度を低く設定すれば、圧縮荷重を低く抑えることも可能となる。なお、前記硬さとは、金属酸化物磁性体粒子と熱伝導性充填剤とを含むシリコーンゲルをシート状に成形して硬化させた後の硬さをいう。また、本発明において、前記硬さは、次のようにして測定する。
【0015】
まず、前記シリコーンゲル成形シートまたはそのサンプルを準備し、シート面が水平となるように配置する。そして、前記ASKER F型硬度計を手で垂直に保持し、前記シートまたはサンプル表面と前記硬度計の加圧面とがほぼ平行な状態で、前記シートまたはサンプル表面上に前記硬度計を静かに置き、手を離してそのまま放置する。その際に、前記硬度計の示す最大値が、前記成形品の硬さである。前記硬度計は、その重量が約500gであり、その自重がそのまま測定圧となって、硬度を測定するものである。なお、前記硬度を測定する前記シートまたはサンプルは、そのシート面積が前記加圧面の面積より大きく、厚みが25mmよりも厚ければよく、例えば、縦100mm,横100mm、厚み25mmの前記シートまたはサンプルであれば、測定に供することができる。
【0016】
本発明の前記シートにおいては、少なくとも一方の前記シート表面が、粘着性を有することが好ましい。このように、前記シートの少なくとも片面が粘着性を有することにより発熱性電子部品と十分に密着することができるため、伝熱面積が充分に確保され、熱伝導性および電磁波吸収性がさらに向上する。なお前記粘着性は、加熱成形後のシリコーンゲル自体がもともと持っている性質である。
【0017】
本発明の前記シートにおいては、金属酸化物磁性体粒子が、Mn−ZnフェライトおよびNi−Znフェライトから選ばれる少なくとも一つの磁性材料から形成される。この中でも特に好ましくはMn−Znフェライトである。また、前記金属酸化物磁性体は、いずれか一種類とは限らず、二種類以上を併用してもよい。
【0018】
本発明の前記シートにおいては、金属酸化物磁性体粒子の平均粒子径が1〜50μmの範囲であることが好ましく、特に好ましくは、1〜20μmの範囲である。ここで平均粒子径とは、重量平均粒子直径をいう。
【0019】
本発明の前記シートにおいては、熱伝導性充填剤が、金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素および炭化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種類の物質であることが好ましい。この中でも特に好ましくは、低コストの金属酸化物である。前記金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が使用でき、特に好ましくは、酸化アルミニウムである。また、前記熱伝導性充填剤は、いずれか一種類とは限らず、二種類以上を併用してもよい。
【0020】
本発明の前記シートにおいては、シリコーンゲル100重量部に対する金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤の合計含有量が400重量部以上である。より好ましくは400重量部以上600重量部以下である。また、前記金属酸化物磁性体粒子(X)と熱伝導性充填剤(Y)との重量配合比がX:Y=2:1〜1:2の範囲である。特に好ましくは前記重量配合比が1:1である。
【0021】
前記において、シリコーンゲル成形シートの上下面の少なくとも片面表層部に、埋没させたシート状の導電性補強材が、合成繊維、天然繊維および無機繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維に導電性金属を被覆した繊維を用いて形成した網目構造体であることが好ましい。導電性金属の被覆は、例えばメッキ、蒸着またはスパッタリング等で形成できる。合成繊維としては、ポリエステル繊維、耐熱ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維等があり、天然繊維としては、木綿、麻等がある。さらに無機繊維としては、炭素繊維またはガラス繊維等も使用できる。またメッキに用いられる導電体としては、銅、ニッケル、金、銀、亜鉛、アルミニウム等の金属である。前記金属は一種類とは限らず、2種類以上を併用しても良い。
【0022】
次に、本発明の前記シートは、例えば、以下のようにして作製できる。
【0023】
まず、シリコーンゲルに金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を添加し、均一になるまで撹拌して、この混合物を脱泡機により脱気する。続いて、前記混合物を所定の形状の支持フィルムで上下方向に挟み、熱を加えるプレス成形により前記混合物を硬化させることによって本発明の前記シートを作製できる。
【0024】
また、前記成型時において、所定の形状の下側の支持フィルム上に硬化前の金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を配合したシリコーンゲルを載せ、その上からシート状の導電性補強材と上側の支持フィルムを被せた後、シート状の導電性補強材をシリコーンゲル内に埋設し、シリコーンゲルを熱を加えるプレス成形により硬化させて、電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲルシートを作成できる。
【0025】
前記シリコーンゲルは、特に制限されず、例えば、付加反応型シリコーンゲル、縮合反応型シリコーンゲル等が使用でき、好ましくは付加反応型シリコーンゲルである。
【0026】
前記プレス成形の温度条件は、前記混合物の組成により適宜決定されるが、通常、前記混合物を硬化できる温度であればよく、80〜120℃の範囲である。また、前記プレス成形の圧力条件は、前記混合物の組成により適宜決定されるが、通常30〜150kgf/cm2の範囲であり、気泡の生起を防ぐため、好ましくは、50〜80kgf/cm2の範囲である。前記プレス成形の処理時間は、通常、前記混合物の組成、前記温度条件および前記圧力条件により適宜決定されるが、通常2〜10分の範囲である。
【0027】
前記支持フィルムとしては、例えば、樹脂フィルム等が使用でき、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等であり、特に好ましくはPETフィルムである。前記支持フィルムは、通常、前記プレス成形後に除去する。
【0028】
前記支持フィルムの厚みは、25〜250μmの範囲が好ましく、特に好ましくは50〜150μmの範囲である。
【0029】
また、本発明の前記シートの成形方法としては、前記プレス成形の他にも、例えば、コーティング成形、カレンダー成形、圧延成形等が適用できる。
【0030】
本発明の前記シートの厚みは、0.2〜5mmの範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜3mmの範囲である。
【0031】
本発明の前記シートは、前記金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤の他に、その他の成分を含んでいてもよく、例えば、粘着剤、補強剤、着色剤、耐熱向上剤、接着助剤等を含有していてもよい。その割合は、本発明の前記シートの特性に支障をきたさない範囲であれば特に制限されない。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。なお、実施例および比較例におけるシリコーンゲル成形シートの各特性の測定方法は、下記に示すとおりである。
(1)比重
JIS K 7112に準じて、水中置換法により比重の測定を行った。0.5〜5gfのサンプルを直径0.1mm以下の金属線で結び、23℃の空気中で正確に秤量し、これを23℃に設定された蒸留水の入ったビーカーに入れ、水中における質量を測定し、下記式(数1)により比重(S)を求めた。下記式において、aは前記サンプルの空気中の質量、bは前記サンプルの水中の質量をそれぞれ示す。
[数1]
S=a/(a−b)
(2)硬度
各実施例および比較例と同じ組成のシートを同様の方法で作製したテストサンプルシート(100×100×25mm)について、ASKER F型硬度計(高分子計器(株)社製)を使用し、前述と同様の方法により硬さを測定した。
(3)電気体積抵抗率
JIS C 2123に準じて、電気体積抵抗率(単位:Ω・cm)の測定を行った。
(4)熱抵抗
トタンジスタ(TO−3型)とヒートシンクとの間に実施例等で調製したサンプルを挟み、これらに2kgの荷重をかけ、トランジスタに20wの電力を印加する。そして、所定位置に取り付けた温度センサーにより、3分後のトランジスタ温度(TC,単位:℃)と放熱器温度(TF,単位:℃)とをそれぞれ測定し、下記式(数2)により、熱抵抗(θ,単位:℃/w)を求めた。
[数2]
θ=(TC−TF)/20
(5)伝導ノイズ
実施例等で調製したサンプルをCPU(中央処理ユニット)と放熱板との間に組み込み、端子伝導ノイズ測定法により測定を行った。前記CPUから発信された信号系の特定周波数における電圧をスペアナーで読み取り、前記電圧の変動を調べた。
(6)電磁波吸収性
MIL−STD−285(MIL-STDは米国の国際規格のミリタリー スタンダード(Militaly Standard)を示し、MIL-STD-285はシールデッド ルーム テストメソッド(Shielded Room Test Method)を示す)に準じて電磁波吸収性(単位:dB)の測定を行った。測定は、テクトロニクス(Tektronix)社製492スペクトロムアナライザーを用い、10MHz〜1000MHzの範囲で行った。
(7)電磁波シールド性
社団法人、関西電子工業振興センター製電磁波シールド性評価器を用いて、10MHz〜1000MHzの範囲で透過減衰量を測定した。
【0033】
(実施例1)
シリコーンゲル100重量部、金属酸化物磁性体粒子250重量部および熱伝導性充填剤250重量部を攪拌機を用いて均一になるまで混合撹拌した。前記シリコーンゲルとしては、付加反応型シリコーンゲル(東芝シリコーン(株)社製、以下同じ)を、前記金属酸化物磁性体粒子としては、重量平均粒子直径が3μmであるMn−Znフェライト(戸田工業(株)社製、以下同じ)を、熱伝導性充填剤としては、重量平均粒子直径が37μmである球状アルミナ(昭和電工(株)社製、以下同じ)をそれぞれ使用した。前記組成物を脱泡機を用いて気泡を除去した後、これを厚さ100μmのPETフィルムで挟み、80kgf/cm2の圧力をかけ、120℃で5分間加熱して、プレス成形を行った。
【0034】
その結果、厚み1mmのシリコーンゲル成形シートが得られた。前記シートの電磁波吸収性の測定結果を下記の表1に示す。また諸特性についての測定結果を後の表2に示す。また、図1のグラフの実線に、前記シートの伝導ノイズの評価である周波数と電圧との関係を示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003969618
【0036】
前記表1のとおり、本発明の実施例1は10MHz〜1000MHzの範囲で−20dB一定であった。これに対して従来技術の各特許公報に記載されている電磁波吸収性は10MHz〜1000MHzの範囲で−10dB程度であった。
【0037】
(実施例2)
実施例1と同様の、硬化前の金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を配合したシリコーンゲル組成物を、脱泡機を用いて気泡を除去した後、PETフィルム上に載せ、その上からポリエステル繊維(太さ約10μm)に、ニッケルを無電解メッキにより厚さ約0.2μm被覆した繊維を用いて、網目状構造体(ネット、目付:24.3g/m2、厚み:0.25mm)としたセーレン社製の導電性メッシュ(商品名”プラットSE200”)を載せ、その上から厚さ100μmのPETフィルムを被せ、120℃で5分間加熱して、プレス成形を行った。
【0038】
その結果、厚み1mmのシリコーンゲル成形シートが得られた。前記シートの電磁波吸収性の測定結果を下記の表2に示す。また諸特性についての測定結果を後の表3に示す。また、図2のグラフの実線に、前記シートの電磁波シールド性の評価結果を示す。前記電磁波シールド性は、周波数と透過減衰量との関係で示す。このグラフの破線は、導電性補強材のみの測定結果である。
【0039】
図3は実施例2で得られたシリコーンゲル成形シート1の概略断面図である。シリコーンゲル層2の一方の表層部分に導電性メッシュ3が埋設され、他方の面は加熱成形後のシリコーンゲル自体が有する性質の強粘着表面4が形成されている。
【0040】
(比較例1)
シリコーンゲル100重量部とMn−Znフェライト550重量部とを混合し、この混合物を用いて、以後実施例1と同様にして、厚み1mmのシリコーンゲル成形シートを作製した。前記シートの諸特性についての測定結果を下記表2に示す。また、図1のグラフの破線に、前記シートの伝導ノイズの評価である周波数と電圧との関係を示す。
【0041】
【表2】
Figure 0003969618
【0042】
以上の実施例および比較例から明らかなとおり、前記表2に示すように、金属酸化物磁性体粒子のみを含有する比較例1のシートに比べて、本発明の実施例のシートは、その熱抵抗が低かった。このことから、実施例では、比較例よりも熱伝導性が高いシリコーンゲル成形シートが得られたといえる。また、図1に示すように、実施例1のシートの伝導ノイズは、比較例1と比べて周波数500〜800MHzの範囲において、明らかな差が見られ、電磁波吸収性に優れていた。また、表2に示すように、実施例1のシートは、周波数10MHz〜1000MHzの範囲において、高い電磁波吸収性が確認された。さらに図2に示すように、実施例2のシートの電磁波シールド性は、従来技術に比較してはるかに高いことが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の前記シートは、高い電磁波吸収性と熱伝導性とを併せ持つ。このため、本発明の前記シートを電子部品等へ使用すれば十分な電磁波吸収および放熱の効果を得ることができる。また、本発明の前記シートは、構造も単純であることからコストも低く、電子部品への装着もより容易に行うことが可能であり、利用に適したものである。また、本発明の前記シートは、その硬度を低く設定すれば圧縮荷重値を低く抑えることが可能となるため、これにより放熱性電子部品、放熱体、基盤等を含む実装挟体の圧縮による変形、損傷等を防止し、電子部品等の信頼性を向上することができる。
【0044】
また、シリコーンゲル成形シートの上下面の少なくとも片面表層部に、さらにシート状の導電性補強材を埋没させたという好ましい例によれば、さらに高い電磁波吸収性が得られる。
【0045】
次に本発明の製造方法は、シリコーンゲルに金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を添加し、混合して均一組成物からなる混合物とし、前記混合物を脱泡機により脱気し、次いで脱気後の前記混合物を所定の形状の支持フィルムで上下方向に挟み、加熱しつつプレス成形により前記混合物を硬化させてシートを作製することにより、前記本発明のシリコーンゲル成型シートを効率良く合理的に製造できる。
【0046】
また、脱気後のシリコーンゲル混合物を所定の形状の支持フィルムで上下方向に挟み込む際に、所定の形状の下側の支持フィルム上に硬化前の金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を配合したシリコーンゲルを載せ、その上からシート状の導電性補強材と上側の支持フィルムを被せた後、シート状の導電性補強材をシリコーンゲル内に埋設するという好ましい例によれば、前記導電性補強材を埋没させたシリコーンゲル成型シートを効率良く合理的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1のシートについて、伝導ノイズの測定を行った結果を表すグラフである。
【図2】 本発明の実施例2のシートについて、電磁波シールド性の測定を行った結果を表すグラフである。
【図3】 本発明の実施例2で得られたシートの概略断面図。
【符号の説明】
1 シリコーンゲル成形シート
2 シリコーンゲル層
3 導電性メッシュ
4 粘着表面

Claims (10)

  1. 金属酸化物磁性体粒子と熱伝導性充填剤とを含むシリコーンゲル組成物から形成される電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートであって、
    前記シリコーンゲル成形シートの硬さが、ASKER F型硬度計の測定で、10〜95の範囲であり、
    シリコーンゲル100重量部に対する金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤の合計含有量が400重量部以上であり、前記金属酸化物磁性体粒子(X)と熱伝導性充填剤(Y)との重量配合比がX:Y=2:1〜1:2の範囲であり、
    前記金属酸化物磁性体粒子は、Mn−ZnフェライトおよびNi−Znフェライトから選ばれる少なくとも一つの磁性材料であり、
    前記シートは気泡を含まず、
    厚み1mmのシートの、10〜1000MHzの範囲の周波数における電圧の減衰量が10dB以上であることを特徴とする電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シート。
  2. 金属酸化物磁性体粒子の平均粒子径が、1〜50μmの範囲である請求項に記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シート。
  3. 熱伝導性充填剤が、金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素および炭化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種類の物質である請求項1または2に記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シート。
  4. シリコーンゲル成形シートの上下面の少なくとも片面表層部に、さらにシート状の導電性補強材を埋没させた請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シート。
  5. 導電性補強材が、合成繊維、天然繊維および無機繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維に導電性金属を被覆した繊維を用いて形成した網目構造体である請求項に記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シート。
  6. シートの少なくとも一方の表面が、粘着性を有する請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シート。
  7. シートの厚みが、0.2〜5mmの範囲である請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シート。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートを製造する方法であって、シリコーンゲルに金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を添加し、混合して均一組成物からなる混合物とし、前記混合物を脱泡機により脱気し、次いで脱気後の前記混合物を所定の形状の支持フィルムで上下方向に挟み、加熱しつつプレス成形により前記混合物を硬化させてシートを作製することを特徴とする電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートの製造方法。
  9. 脱気後のシリコーンゲル混合物を所定の形状の支持フィルムで上下方向に挟み込む際に、所定の形状の下側の支持フィルム上に硬化前の金属酸化物磁性体粒子および熱伝導性充填剤を配合したシリコーンゲルを載せ、その上からシート状の導電性補強材と上側の支持フィルムを被せた後、シート状の導電性補強材をシリコーンゲル内に埋設する請求項に記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートの製造方法。
  10. シリコーンゲルは、付加反応型シリコーンゲルまたは縮合反応型シリコーンゲルである請求項8または9に記載の電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゲル成形シートの製造方法。
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