JP4764220B2 - 熱伝導性シート - Google Patents

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本発明は、熱伝導性および電磁干渉抑制効果を有する熱伝導性シートに関し、より詳しくは、接触熱抵抗におけるシートの柔軟性や形状追従性を考慮した熱伝導性および電磁干渉抑制効果を有する熱伝導性シートに関する。
近年、半導体を代表例とする電気・電子部品では、発熱に伴う電気・電子部品の冷却が、熱による誤作動等を防止するうえで重要となっている。冷却方法としては、電気・電子部品の発熱を放熱体へ熱伝導させ、放熱する方法がとられており、この放熱を効率よく達成するために高熱伝導性樹脂等が使用されている。
具体的には、高熱伝導性樹脂等は、通常、ヒートシンクやヒートパイプのつなぎ目、パワートランジスタなどのLSI部品と回路基板との隙間など、他の材料(金属材料)に挟まれ、その材料間の熱抵抗を極力抑えるために用いられる場合が多い。したがって、その利用形態は、熱伝導性グリース、熱伝導性接着剤、熱伝導性シートである場合が多い。その中でも取扱性に優れる熱伝導性シートは、益々高集積化し、より高い放熱性が要求されるようになったノート型パソコンや携帯電話などの高機能電子機器の放熱対策に不可欠となっている。
しかし、熱伝導性シートは、高い熱伝導性だけでは接触部の熱抵抗(接触熱抵抗)を小さくすることができず、電子機器の放熱性を調べるために行う熱伝導シミュレーションにおいても、みかけの熱抵抗は、はるかに大きいことが知られている。これは、挟む材料(金属材料など)と熱伝導性シート間の接触部の熱抵抗が大きく関与しているためであり、接触熱抵抗は、シートの熱伝導性だけではなく、その接触部の密着性も大きく影響していると考えられる。この密着性は、金属部の形状とシートの柔軟性に関連している。
一方、高熱伝導性樹脂等は、一般に高熱伝導性フィラーを高充填することにより作成され、熱伝導性が高いほど柔軟性は大きく失われる。したがって、接触熱抵抗を抑えるためには、十分な密着性や形状追従性が必要となり、材料の表面形状に応じたフィラー量の最適化が必要となるはずであるが、従来の熱伝導性ゴムシートは高熱伝導性と柔軟性を別々に考えており、さらに材料の表面形状は滑らかな平板であると仮定しているものがほとんどであった。
例えば、一般的な熱伝導性シートの接触熱抵抗は、トランジスタ法やモデルヒーター法で測定されるが、これらの測定方法では、熱伝導性シートを発熱体(トランジスタやモデルヒーター)および放熱体(ヒートシンク)の平滑な面の間に挟み、発熱体および放熱体の間の温度差を測定している。
しかしながら、上記のように熱伝導性シートを実際に使用する環境は平滑な面でないことが多く、例えば、さまざまな底面形状を持つLSIなどには一般的な方法では対応できない場合が多かった。すなわち、発熱体および放熱体の間に生じる空隙や、熱伝導性シートに要求される柔軟性や形状追従性をほとんど考慮しないトランジスタ法等では、正確な接触熱抵抗が得られないという問題がある。
特許文献1には、熱伝導性シリコーンゴムシートと未硬化の所定の熱伝導性シリコーン組成物を積層した熱伝導性シートが記載されている。これによると、熱伝導性シートの接触熱抵抗を低減できると記載されている。しかしながら、接触熱抵抗はトランジスタ法等で測定しているので、正確な接触熱抵抗で評価していないおそれがある。
一方、薄型化、高性能化および高機能化がなされている電子機器(例えば携帯電話、デジタルカメラ、パソコン、プロジェクター、カーナビゲーションシステム等)では、上記した放熱の問題に加え、電磁ノイズが問題となっている。熱と電磁ノイズの発生部位は同じであることが多く、両方の対策を同時に取ることが望まれている。放熱対策については熱伝導性フィラーを、ノイズ対策については磁性金属をそれぞれ熱伝導性シートに配合するが、高性能化のためにはこれらを多量に配合する必要がある。
一般に、熱伝導率は、熱伝導性フィラーの配合量に応じて高くなるが、これに伴いシートの硬度は増加し、その柔軟性は低下する。また、ノイズ対策においても磁性金属の含有量を増すとシートの硬度は増加し、その柔軟性は低下する。すなわち、熱伝導性フィラーおよび/または磁性金属をある程度以上充填すると、シートの柔軟性が損なわれることにより、接触熱抵抗は増加することになる。
このように、熱伝導性フィラーや熱伝導性フィラーを兼ねる磁性金属の高充填系では柔軟性(密着性)が損なわれ、その結果、接触熱抵抗が大きくなるという問題がある。この接触熱抵抗で表される熱伝導性が損なわれる現象は、柔軟性のみの評価では精度良く把握することができず、また従来から用いられてきた上記トランジスタ法等においても正確に測定し、評価することはできない。
特許文献2には、複合磁性体層と高分子フィルムとからなるシートが記載されている。複合磁性層の透磁率の実数部が、周波数100MHzで4以上、熱伝導率が0.4W/m・K以上であるとされている。しかし、硬度および熱伝導率の測定方法に関する記載は特になく、添付図より平滑な面を有するMPUとヒートシンクの間に挟み、発熱温度を測定していることから、熱抵抗に対する密着性および形状追従性の効果を評価したとはいえない。
特許文献3には、熱可塑性エラストマーを主体とするベース樹脂に、熱伝導性フィラーおよび軟磁性体粉末を含有した熱伝導性成形体が記載されている。そして、透磁率により電磁波シールド性を評価し、アスカーC硬度及び熱抵抗を測定している。しかしながら、熱抵抗の評価は、シートをアルミニウム板に挟んで行っており、熱抵抗に対する密着性および形状追従性の効果が評価できていない。
特許文献4には、シリコーン樹脂に軟磁性粉末を配合した電波吸収熱伝導シートが記載されている。しかしながら、ゴム硬度が50以下、熱伝導率が0.5W/m・K以上と記載されているのに対し、熱伝導率の測定方法に関する記載は特になく、熱抵抗を意図されたものでもない。特許文献5も、電磁波吸収性熱伝導性シリコーンゴム組成物に関するものであるが、アスカーC硬度に関する記載はあるものの、熱伝導率測定方法に関する記載は特になく、熱抵抗を意図されたものではない。
特許文献6には、電磁波吸収性放熱部材形成用の熱伝導組成物である、いわゆるフェイズチェンジタイプの電磁波吸収性熱伝導組成物が記載されている。この文献によると、発熱により低粘度化、軟化または融解し、電子部品と放熱部品との間に実質的に空隙なく充填されると記載されており、さらに、熱抵抗の測定方法も記載されている。しかしながら、フェイズチェンジによるものは、空隙なく充填できることで、熱抵抗が小さくなるという特徴を有するのに対し、耐熱性に劣るという問題がある。しかも、貼り直しのために剥がす際には、きれいに剥がすことができない(組成物の一部が残存する)という問題があり、取扱性においてシートタイプに劣る。
特許文献7は、絶縁性皮膜が表面に形成された金属軟磁性体からなる粉体と、熱伝導性充填材を分散相とし、高分子材料をマトリックス相とする複合材料に関するものであり、熱伝導率および硬度(アスカーC)に関する記載がある。しかしながら、熱伝導率の値は、平滑面を用いて測定した結果を用いており、熱抵抗に対する密着性および形状追従性の効果を評価したとはいえない。
特開2004−130646号公報 特開2004−127986号公報 特開2001−310984号公報 特開2001−68312号公報 特開2001−294752号公報 特開2002−280207号公報 特開2002−164689号公報
本発明の課題は、熱伝導性および電磁波干渉抑制効果に優れた熱伝導性シートを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、結合剤と、熱伝導性フィラーおよび/または軟磁性粉末とからなり、平滑面および凹凸面に対する接触熱抵抗が小さい場合には、熱伝導性および電磁波干渉抑制効果(ノイズ抑制効果、電波吸収性能および電磁シールド効果)に優れた熱伝導性シートが得られるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)結合剤と、軟磁性粉末または該軟磁性粉末および熱伝導性フィラーとからなり、熱伝導性および電磁干渉抑制効果を有し、且つ平滑面および凹凸面に対する接触熱抵抗が小さいことを特徴とする熱伝導性シート。
(2)前記熱伝導性フィラーおよび軟磁性粉末は、該熱伝導性フィラーおよび軟磁性粉末にかかる平均粒径の比が5:1〜2:1の範囲内で異なる2種を混合したものである前記(1)記載の熱伝導性シート。
(3)結合剤と、軟磁性粉末または該軟磁性粉末および熱伝導性フィラーとから求められるシートの理論比重値と、シートの実測比重値とが、実測比重値/理論比重値≧0.6の関係にある前記(1)または(2)記載の熱伝導性シート。
(4)下記式(I)から算出される接触熱抵抗の減少率(K)が65%以上である前記(1)〜(3)記載の熱伝導性シート。
Figure 0004764220
(5)前記接触熱抵抗の減少率(K)が70%以上である前記(4)記載の熱伝導性シート。
(6)前記式(I)記載の接触熱抵抗評価用シートが金属製の網である前記(4)または(5)記載の熱伝導性シート。
(7)前記結合剤がゴム、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素系樹脂、エチレン系共重合体エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、塩素系エラストマー、シリコーン系エラストマーおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱伝導性シート。
(8)前記軟磁性粉末を含有し、100MHz〜1GHzの周波数領域における複素比透磁率の実数部(μ’)が3以上であり、かつ複素比透磁率の虚数部(μ”)が0.8以上である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱伝導性シート。
(9)前記熱伝導性フィラーは電気絶縁性を有する、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化マグネシウムおよびフェライトから選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(8)記載の熱伝導性シート。
(10)表面抵抗率が1×104Ω/□以上である前記(1)〜(9)記載の熱伝導性シート。
(11)難燃性を有する前記(1)〜(10)記載の熱伝導性シート。
(12)粘着性を有する前記(1)〜(11)記載の熱伝導性シート。
(13)導体シートを積層した前記(1)〜(12)記載の熱伝導性シート。
(14)前記導体シートは、0.1MHz〜1GHzにおける磁界シールド性が10dB以上である前記(13)記載の熱伝導性シート。
(15)前記(1)〜(14)の記載の熱伝導性シートを用いて電子機器の放熱性の向上又は不要電磁波干渉を抑制する方法。
上記(1)、(7)〜(9)によれば、平滑面および凹凸面に対する接触熱抵抗が小さいので、熱伝導性および電磁波干渉抑制効果(ノイズ抑制効果、電波吸収性能および電磁シールド効果)に優れた熱伝導性シートが得られるという効果がある。しかも、シート状であるので、取扱性に優れる。上記(2)によれば、充填剤(軟磁性粉末、熱伝導性フィラー)として平均粒径が異なるものをブレンドして使用するので、高充填でありながら柔軟性を有する。上記(3)によれば、実測比重値を理論比重値に近づけるので、接触熱抵抗が低く且つ電磁干渉抑制効果に優れたシートが得られる。
上記(4)〜(6)によれば、発熱体および放熱体の間に生じる空隙や、熱伝導性シートの密着性や形状追従性を考慮した接触熱抵抗の減少率が所定の値であるので、特に、凹凸面に対する接触抵抗が小さく、熱伝導性および電磁波干渉抑制効果に優れた熱伝導性シートが得られる。上記(10)によれば、表面抵抗率を1×104Ω/□以上とするので、電磁波吸収及び抑制効果を阻害する様な電磁波シールド性が発現しない。上記(11)によれば、シートが難燃性を有し、上記(12)によれば、シートが粘着性を有するので、仮止めが可能となり、取扱性がさらに向上する。
上記(13)によれば、熱拡散性に優れた導体シートと熱伝導性シートを積層することにより、柔軟性且つ絶縁性を有する熱伝導性シートが形状追従性に優れて高温部位に密着して集めた熱を、導体シートを通じて熱拡散、あるいは熱交換することができ、温度上昇を抑えることができる。上記(14)によれば、導体シートとして導電性金属を用いることで電磁波シールド性を付与することができ、特に磁性金属を用いることで磁界シールド性を10dB以上付与することにより、電子基板や電子部材の電磁干渉を低減することも可能となる。
上記(15)によれば、本発明の接触熱抵抗が低く且つ接触熱抵抗の減少率が大きい熱伝導性シートを使用することで、例えばトランジスタとヒートシンク間に介在させる場合には、熱抵抗を大きく低減することができ、また、高さ(基板厚および装填されたデバイスを含む)の異なる複数枚の回路基板を一台のヒートシンクで放熱することができ、さらに三次元化した回路基板の基板間に挟む場合には、効果的な放熱が可能となる。
本発明の熱伝導性シートは、結合剤と、軟磁性粉末または該軟磁性粉末および熱伝導性フィラーとからなり、熱伝導性および電磁干渉抑制効果を有する。
(結合剤)
結合剤は、各種の有機重合体材料が使用可能であり、例えばゴム、熱可塑性エラストマー、各種プラスチックなどの高分子材料等が挙げられる。前記ゴムとしては、例えば天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDMゴム)、エチレン−酢酸ビニル系ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレンアクリル系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム(HNBR)などの合成ゴム単独、それらの誘導体、もしくはこれらを各種変性処理にて改質したものなどが挙げられ、特に、シリコンゴム、HNBR、エチレンアクリル系ゴムが好ましい。
これらのゴムは、単独で使用するほか、複数をブレンドして用いることができる。ゴムには、加硫剤のほか、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤などの従来からゴムの配合剤として使用されていたものを適宜配合することができる。これら以外にも、任意の添加剤を使用することができる。例えば、誘電率や導電率を制御するために所定量の誘電体(カーボンブラック、黒鉛、酸化チタン等)を、使用される電子機器内に発生する不要電磁波へのインピーダンスマッチングや温度環境に応じて、材料設計して添加することができる。さらに加工助剤(滑剤、分散剤)も適宜選択して添加してもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば塩素化ポリエチレンのような塩素系、エチレン系共重合体、アクリル系、エチレンアクリル共重合体系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、スチレン系、アミド系、オレフィン系などの各種熱可塑性エラストマー及びそれらの誘導体が挙げられる。
さらに、各種プラスチックとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリ酢酸ビニル、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、ポリスルホン、ウレタン系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの結合剤として、低分子量のオリゴマータイプや液状タイプを用いることができる。熱、圧力、紫外線、硬化剤等により成型後にシート状になるものであれば、任意の材料を選択することができる。
特に、本発明では、結合剤としてゴム、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素系樹脂、エチレン系共重合体エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、塩素系エラストマー、シリコーン系エラストマーおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
(軟磁性粉末)
軟磁性粉末としては、例えば磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、ケイ素銅(Fe―Cu―Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si−B(−Cu−Nb)合金、Fe−Ni−Cr―Si合金、Fe―Si−Cr合金、Fe―Si−Al−Ni−Cr合金等が挙げられる。また、フェライト若しくは純鉄粒子を用いてもよい。フェライトとしては、例えばMn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Mnフェライト、Cu−Znフェライト、Cu−Mg−Znフェライトなどのソフトフェライト、あるいは永久磁石材料であるハードフェライトが挙げられる。純鉄粒子としては、例えばカルボニル鉄粉が挙げられる。
軟磁性粉末の形状(球状、扁平状、繊維状等)は、特に限定されるものではないが、熱伝導性シートに高い充填率で充填できることから、球状または略球状を使用するのが好ましい。これらの磁性粉末は単体で使用するほか、複数をブレンドしても構わない。磁性粉末の平均粒径または扁平状軟磁性粉末の長径は0.1〜500μm、好ましくは1〜200μmであるのがよい。また、扁平状軟磁性粉末のアスペクト比は2〜500、好ましくは10〜100であるのがよい。なお、上記した軟磁性粉末(磁性金属またはセラミックス)は、熱伝導性フィラーを兼ねることができる。
(熱伝導性フィラー)
熱伝導性フィラーとしては、各種の公知のものを使用することができる。特に、熱伝導性フィラーを軟磁性粉末と併用して用いる場合には、熱伝導性フィラーが電気絶縁性を有する、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化マグネシウムおよびフェライトから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
前記熱伝導性フィラーの形状としては、特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.1〜500μm、より好ましくは1〜200μmの粒径状であるのがよい。なお、前記平均粒子径は、粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製のLA−3000)で測定して得られる値である。
ここで、前記熱伝導性フィラーおよび軟磁性粉末は、該熱伝導性フィラーおよび軟磁性粉末にかかる平均粒径の比が5:1〜2:1の範囲内で異なる2種を混合したものであるのが好ましい。これにより、柔軟性を保持したまま充填量を高めることができる。ここで、前記平均粒径は、前記熱伝導性フィラーおよび軟磁性粉末の形状が細長い場合には、平均長径の大きさを意味する。また、前記平均粒径又は平均長径の大きさの比は、磁性粉末同士、磁性粉末と熱伝導性フィラー間、熱伝導性フィラー同士、あるいは難燃剤も含めた全ての充填剤に適用してもよい。本発明における、前記平均粒径および平均長径の大きさは、粒度分布測定装置で測定して得られる値である。
以上の配合の組合せにより、本発明の熱伝導性シートは、結合剤と、軟磁性粉末または該軟磁性粉末および熱伝導性フィラーとから求められるシートの理論比重値と、シートの実測比重値とが、実測比重値/理論比重値≧0.6の関係とすることができる。この実測比重値/理論比重値が0.6未満であると、シートに多量の空孔が存在するため、電磁干渉抑制効果が低下する。ここで、実測比重値とは、製造した熱伝導性シートの重量/体積から求められる値であり、理論比重値とは、各構成成分の比重×含有量の総和を体積で除して求められる値である。
シート内部にエアーが残留して空孔が生じると、電磁干渉抑制効果が大幅に低下してしまうため、空孔の発生をできるだけ抑え、熱伝導性フィラーや軟磁性粉末を高密度で充填することが望まれる。しかし、シート内部に残留するエアーを完全に排出するのは困難であり、実際には製品中に加工工程(溶剤等の揮発成分の存在や、混練中のエアーの巻き込み)や軟磁性粉末等の形状および量から、残留エアー(空隙)が必然的に残ることになる。つまりこの状態は、本来エアー(空隙)がないとした場合の比重(理論比重値)に比べ、一般には比重が低下していることを意味する。
本発明における熱伝導性シートは、平滑面および凹凸面に対する接触熱抵抗が小さいものであり、具体的には、上記式(I)から算出される接触熱抵抗の減少率(K)が65%以上、好ましくは70%以上であるのがよい。ここで、上記式(I)について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、上記式(I)にかかる接触熱抵抗の減少率の評価を行うための構造体を示す概略図である。図1に示すように、この構造体1は、本発明にかかる一対の熱伝導性シート2、2の間に、接触熱抵抗評価用シートとしての金属製の網3を挟んでいる。そして、この一対の熱伝導性シート2、2を発熱板4および放熱板5で挟んで構成されている。
接触熱抵抗評価用シートは、このシートを挟む一対の熱伝導性シート2、2が、その接触面において凹凸を形成するものであり、本発明では、特に、熱伝導性及び実際の配線構造等の構成材料に近似する上で、金属製の網3であるのが好ましい。この金属製の網3の材質としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられ、前記SUSとしては、例えばSUS303、SUS304、SUS305、SUS316等を用いることができる。このような金属製の網3としては、例えばJIS Z8801−1で規定されるステンレス製の網等が挙げられる。このステンレス製の網は、そのメッシュ数により、目開きおよび網の高さが規定されているので、種々の発熱体および放熱体の表面に対応した接触熱抵抗の評価を行う上で好ましい。
発熱板4および放熱板5は、一対の熱伝導性シート2,2を挟むことができるものであれば特に限定されるものではなく、その形状、材質および厚さ等についても任意であるが、前記した接触面において熱伝導性シートが凹凸を形成するような接触熱抵抗評価用シートと同じ材質のものを用いるのが、精度の高い接触熱抵抗を評価するうえで好ましい。特に、本発明では、熱伝導性及び実際の配線構造等の構成材料に近似する上で、金属製の板が好ましく、この金属製の板の材質としては、例えば前記金属製の網3で例示したものと同じものが挙げられる。
上記式(I)の接触熱抵抗の減少率(K)は、上記した構造体1における発熱板4および放熱板5の間の温度差を測定することで評価する。具体的には、まず、上記式(II)から前記発熱板4および放熱板5の間の接触熱抵抗(R)[(cm2・K)/W]を算出する。これにより、発熱体および放熱体の間に生じる空隙や、熱伝導性シートの柔軟性や形状追従性を考慮した接触熱抵抗の評価をすることができる。接触熱抵抗(R)は、その値が小さいほど、熱伝導性シート2の熱伝導性が高い、すなわち、熱伝導性シート2が接触熱抵抗評価用シートの凹凸に密着又は追従したことによる熱伝導性が高いことを示している。本発明にかかる接触熱抵抗(R)[(cm2・K)/W]は25以下、好ましくは22以下であるのがよい。
上記式(II)において、接触熱抵抗R0およびR1は、それぞれ熱抵抗を測定して求めた値である。なお、前記R1は、接触熱抵抗評価用シートである金属製の網3および熱伝導性シート2を含まないときの接触熱抵抗、すなわち発熱板4および放熱板5のみの接触熱抵抗である。前記熱伝導率の測定方法は、特に限定されるものではなく、例えば米国規格のASTM E1530の規定に基づき、定常熱流計法で測定する方法等が挙げられる。また、熱伝導率を測定する際には、密着性を高める上で金属製の網3を挟んだ一対の熱伝導性シート2,2または構造体1を加圧処理(実際のヒートシンクをネジ止めする様な荷重を与える等)してもよい。
ついで、上記式(I)中の接触熱抵抗R2を算出する。接触熱抵抗R2は、接触熱抵抗評価用シートのみを挟んだときの接触熱抵抗、すなわち、接触熱抵抗評価用シートとしての金属製の網3を発熱板4および放熱板5で挟んだときの接触熱抵抗である。この接触熱抵抗は、前記したのと同様の方法で求めることができる。そして、上記で求めた接触熱抵抗R,R2を上記式(I)に当てはめ、接触熱抵抗の減少率(K)が算出される。
本発明でいう接触熱抵抗の減少率(K)は、発熱板4および放熱板5の間に接触面において熱伝導性シート2が凹凸を形成するような接触熱抵抗評価用シート(金属製の網3)を直接挟んだ場合の熱抵抗値R2に対する、金属製の網3を上下から挟むように熱伝導性シートを用いた場合の熱抵抗値(R)の低下度合いを表している。つまり、熱伝導性シート2が密着して形状追従することにより、接触熱抵抗は大きく低下することになるが、その程度を表す尺度である。
接触熱抵抗の減少率(K)は、その値が大きいほど、熱伝導性シート2の熱伝導性が高い、すなわち、熱伝導性シート2が接触熱抵抗評価用シートの凹凸に密着又は追従したことによる熱伝導性が高いことを示している。例えば、後述する実施例1の減少率(K)70%と、実施例6の減少率(K)90%を比較した場合には、実施例6の減少率(K)90%の方が、熱伝導性が高いことを示している。
本発明における熱伝導性シートは、前述の通り、上記式(I)から算出される接触熱抵抗の減少率(K)が65%以上、好ましくは70%以上であるのがよい。これにより、高い電磁干渉抑制効果(ノイズ抑制効果、電波吸収性、電磁シールド効果)、密着性および形状追従性を有すると共に、高い放熱特性を有することができる。これに対し、前記接触熱抵抗の減少率減少率(K)が65%未満であると、放熱特性が低下するので好ましくない。
また、本発明における熱伝導性シートは、前記軟磁性粉末を含有し、100MHz〜1GHzの周波数領域における複素比透磁率の実数部(μ’)が3以上であり、かつ複素比透磁率の虚数部(μ”)が0.8以上であるのが好ましい。これにより、高い電磁干渉抑制効果(ノイズ抑制効果、電波吸収性、電磁シールド効果)を有することができる。
表面抵抗率は1×104Ω/□以上であるのが好ましい。電磁干渉抑制効果の中で、ノイズ抑制効果を付与する場合には、導電性を高くして電磁シールド性を出すことを避けるため、電気絶縁性を向上させる必要がある。このためには、磁性金属粉末の粒径を小さくしたり、磁性金属粉末の凝集体を除いたり、あるいは磁性金属粉末自体の絶縁性を増すため、粉末に完全もしくは部分被覆することにより絶縁性処理を施す等の対策を採用できる。具体的には、水ガラスによる処理を施したり、酸化ケイ素もしくは酸化チタンをメッキ法やスパッタ法で被覆させることができる。この導電性を評価するために表面抵抗率(JIS K6911準拠)を測定し、この値を大きくして、1×104Ω/□以上とすることで電磁波吸収及び抑制効果を阻害する様な電磁波シールド性が発現しないものとしている。測定器としては、三菱化学製のハイレスタMCP−HT450等を使用することができる。
また、熱伝導性シートが難燃性を有するのがよい。本発明は密着性を有しつつ、できるだけ熱伝導性フィラー及び磁性粉末を高充填することを目指している。その結果、熱伝導性フィラー及び磁性粉末以外にさらに他の添加剤を入れるのは難しくなるが、難燃性を付与する場合もある。その場合、接触熱抵抗の減少量を調整しながら、必要な難燃性が得られる難燃剤及び/又は難燃助剤を添加することになる。難燃剤としては公知なものが単独あるいは組み合わせて使用することができる。例えば、難燃剤としては、臭素系等のハロゲン系難燃剤、燐酸エステル等の燐化合物系難燃剤、炭酸亜鉛・ホウ酸亜鉛等の亜鉛系難燃剤、トリアジン化合物・ヒンダードアミン化合物・メラミン系化合物等の窒素系難燃剤、水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム等の水酸化物系難燃剤、また難燃助剤としては、カーボンブラックや脂肪酸金属塩等を使用し、UL94のV0等の難燃性を達成すべく配合設計する。
さらに、熱伝導性シートが粘着性を有していてもよい。これにより、仮止めが可能となり、取扱性がさらに向上する。粘着性は、シートの少なくとも一方の面が有すればよい。シートに粘着性を付与する場合には、シートに粘着層を積層すればよく、また、粘着性を有する結合剤を使用した場合には、シート自身が粘着性を有することになる。前記粘着性を有する結合剤としては、例えばアクリル系樹脂等が挙げられる。
ここで、シートの密着性や形状追従性には、充填剤である前記熱伝導性フィラーや軟磁性粉末の充填量が支配的な因子になるため、前記熱伝導性フィラーおよび/または軟磁性粉末の配合量は、前記した接触熱抵抗の減少率(K)が65%以上、より好ましくは70%以上となる範囲内で調整しながら決めればよい。さらに、熱伝導性フィラー、軟磁性粉末以外に、後述する難燃剤等を充填剤として配合する場合には、難燃剤等を含んだ充填剤総量が、所定の接触熱抵抗の減少率(K)となる範囲内で、各充填剤の配合量を決めればよい。
また、前記した熱伝導性フィラーおよび/または軟磁性粉末(磁性金属またはセラミックス)は、必要に応じて、その表面がカップリング剤処理または樹脂コーティングされているのが好ましい。これにより、前記結合剤との親和性が向上する。前記カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、アミノ系カップリング剤等が挙げられ、その使用量は、軟磁性粉末(磁性金属またはセラミックス)に対して約0.01〜5重量%であるのがよい。また、前記樹脂コーティングする樹脂としては、使用する結合剤と同じか、あるいは使用する結合剤との親和性に優れたエラストマー、樹脂等が挙げられる。このエラストマーおよび樹脂としては、前記結合剤で例示したものと同じものが挙げられる。この樹脂のコーティング量は、軟磁性粉末に対して約0.01〜10重量%であるのがよい。さらに、軟磁性粉末(磁性金属またはセラミックス)の表面は、上記カップリング剤処理や樹脂コーティングに加えて、その他の添加剤等により表面処理されていてもよく、例えばノニオン系界面活性剤等を使用することができる。この場合の処理量は、軟磁性粉末および/または熱伝導性フィラーの総量に対して約0.01〜10重量%であるのがよい。軟磁性粉末(磁性金属またはセラミックス)を絶縁処理するために、熱伝導性フィラーからなる薄膜を軟磁性粉末(磁性金属またはセラミックス)の外周表面部に被覆させてもよい。この場合には、部分被覆でも完全被覆でもよく、製造方法としては、スパッタ法やメッキ法を使用することができる。
さらに、軟磁性粉末の分散性を高めるために、軟磁性粉末の含有量に対し1〜5重量%の分散剤を添加するのが好ましい。分散剤としては、例えば高級脂肪酸と高級脂肪酸塩との組み合わせが挙げられる。ここでいう高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、ラウリル酸、マレイン酸、べへニン酸等が挙げられる。また、高級脂肪酸塩としては、これら高級脂肪酸のアルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。分散剤の表面移行性を抑えるためには、高級脂肪酸の金属塩を用いることが有効である。高級脂肪酸の金属塩が、錯体のクラスター状に存在することで、表面ブリードアウトに対する抵抗として機能する。高級脂肪酸と高級脂肪酸塩をブレンドする場合には、高級脂肪酸/高級脂肪酸塩の比率は、重量比で20/80〜80/20であるのがよい。
(導体シート)
本発明の熱伝導性シートは、導体シートを積層することができる。導体シートとしては、上述の軟磁性粉末と同じ材料を用いることができる。具体例としては、センダスト、磁性ステンレス、鉄、鉄系合金、ニッケル、ニッケル系合金、コバルト系合金等の磁性を有する金属はもちろん、マグネタイト、フェライト等の磁性は有するが高い電気抵抗値を有す材料も使用することができる。これは、その熱伝導性が、例えば3〜5W/m・Kと高く、熱伝導性シートに対して熱拡散性及び放熱性を付与することが可能であるからである。また、アルミや銅など非磁性金属、非磁性金属酸化物等も使用できる。アルミ板や鉄箔等をそのままの材料で用いることもできる。熱伝導性を有していれば一切の材料を使用することができる。磁性材または非磁性材を熱伝導性シートに対して表面処理(メッキ、蒸着、溶射等)したものも使用可能である。さらに、熱伝導性シートに印刷した層でもよく、メッシュ形状や空孔やスリットを有するものでもよい。繊維状の形態を織物状、不織布状にしたものも使用できる。導体シートの厚さは0.1μm〜2mmがよく、柔軟性を持ち、打ち抜き等の二次加工をするためには厚さは0.1μm〜100μmが好ましい。これらは熱伝導性シートの熱拡散性をさらに向上することができる材料である。積層する場合に接着剤または粘着剤を使用してもよく、しなくてもよい。
本発明の熱伝導性シートに導体シートを積層した場合、導体シートが最外層となった場合に、その層による電気的結合が懸念される。この対策としては、導体シートのさらに外側に絶縁フィルムを配置するか、熱伝導性の低い電磁干渉抑制体を積層するか、本発明の熱伝導性シートを積層するか等の対策を単独もしくは組合せて実施することができる。
導体シートの材料の中で、特に磁性の高い材料を使用すると、電磁波シールド性の中で、特に磁界シールド性を向上することができる。磁性の高い材料としては、例えばFe系金属シートおよびFe系金属粉末を挙げることができる。具体例としては、SPCC[冷間圧延板及び鋼帯(JIS G 3141及びJIS G 3313)]、SPCD[冷延圧延鋼板及び帯鋼(JIS G 3141)]、SUY(電磁軟鉄)、アモルファス金属箔、溶融亜鉛メッキ鋼板等である。その厚さは500μm以下であるのがよく、特に1μm〜100μmが好ましい。導体シートとしては、板、箔、塗料等に限定されず、例えばメッシュ、不織布等にメッキしたものを用いても良いし、蒸着、メッキ、吸着法等で固定化したものでもよい。
磁性金属でシールドできる電磁波は、低周波成分から高周波成分までが対象となるが、特に低周波である磁界成分をシールドできることに特徴がある。磁性導体金属で反射した電磁波は、積層する本発明の熱伝導性シートにて吸収されることになり、電子基板や電子部材への反射波の与える影響を低減することが可能である。磁界シールド性が10dB以上、好ましくは30dB以上、より好ましくは30〜100dBであれば、漏洩電磁波も低減でき、隣接する回路、基板、部品への干渉を抑えることが可能となる。磁界シールド性は高いほどよく、100dBを超すこともありうるが、その場合は磁性金属にも相当厚さが要求されることになるので、切削などの二次加工が難しくなり、取り扱い性が劣る。一般に磁界シールド性の達成は電界シールド性の達成より難しく、磁界シールド性が10dB以上であれば電界シールド性は40dB超であると考えて良い。
(製造方法)
本発明の熱伝導性シートは、例えば前記した結合剤と、熱伝導性フィラーおよび/または軟磁性粉末とをそれぞれ所定量で混合し、この混合物をロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いて混練して樹脂組成物を調製し、ついで加圧プレス、カレンダーロール、押し出し機等によりシート状に成形して製造することができる。また、シートの厚さが薄い場合には、前記混合物に適量の溶剤を加えてなる組成物を用いて、放熱対策やノイズ対策が必要な対象面に塗布、スプレー、ナイフコーティングといった公知の技術を用いて熱伝導性シートを作製してもよい。
前記溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチルグリコールアセテート等のエステル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロフォルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物などを用いることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で使用できるほか、2種以上をブレンドして用いてもよい。
本発明における熱伝導性シートの厚さは1μm〜10mmであるのが好ましい。前記シートの厚さが1μm未満であると、シートが柔軟性を示した際には、発熱体や放熱体の表面形状に正確に追従させるのが困難になるおそれがある。また、前記シートの厚さが10mmより厚くなると、シート自体の追従性が劣るため熱伝導性が悪くなるおそれがある。
本発明にかかる熱伝導性シートを用いると、電子機器の放熱性の向上又は不要電磁波干渉を抑制できる。すなわち、本発明の熱伝導性シートは、テレビなどの家庭電気製品、パソコンなどのコンピューター、携帯電話などの移動体通信機器、医療機器など各種の電子機器に使用され、これら電子機器や電子部品、回路基板の発熱に伴う誤作動、およびこれら電子機器から放出される不要電磁波が他の電子機器や電子部品、回路基板に影響を与えて誤作動を発生させるのを抑制することができる。
具体的には、前記の電子機器類の内部または周辺部に配置されることにより、発熱による誤作動および不要電磁波の干渉によって生じる電磁障害を効果的に抑制する。このため、本発明の熱伝導性シートの使用形態としては、例えば半導体、パワーモジュール、ノートパソコン等の電池周り等の電子部品等の発熱体と放冷フィンを有するヒートシンク等の放熱体との間に介在させて使用するほか、シート状の熱伝導性シートを適宜切り取り、機器のノイズ源近傍に貼り付けたり、あるいは機器のノイズ源または近傍に前記のように塗布するなどして熱伝導性シートを形成するなどして使用される。
また、熱伝導性シートの結合剤が前記加硫ゴムである場合には、耐熱性、機械的強度、疲労性、寿命にも優れているので自動車、特に、ハイブリッドカーや燃料電池車のモーター関係や大電流を用いることによる発熱が問題となる部分の放熱用途に適している。さらに、電流の周囲には磁束が発生するため、電磁波に起因する問題も同時に生じる可能性があり、それに対する抑制効果を備えていることからも本発明のシートを好適に使うことができる。
熱伝導性シートに付与できる電磁気特性としては、電磁干渉抑制効果であるが、ノイズ抑制効果、電波吸収性、電磁シールド効果以外にその他の例として、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるICタグ機能を持つモバイル端末での135kHz未満帯、13.56MHz帯、433MHz帯、UHF帯、2.4GHz帯の周波数を用いる無線通信を改善するために、近傍金属の影響を減らす目的で、導電性(金属)面とループアンテナの間に挿入して使用することで無線通信改善効果を挙げることができる。さらに、低周波(10MHz以下)対応の磁気シールド、GHz帯の無線通信、無線LAN、ETC用等各種の電波吸収体として、また同様に無機系の充填材(形状が扁平状であっても、あるいは扁平以外であっても、または軟磁性を有していても、あるいは有していなくとも)を多量に使用することになる感圧センサー、誘電センサーおよび磁気センサー等にも使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の評価方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3および比較例1,2]
<熱伝導性シートの作成>
表1に示す組み合わせで、結合剤として水素添加ニトリルゴム(HNBR)、熱伝導性フィラー及び軟磁性粉末(磁性金属)としてカルボニル鉄粉を添加(充填)し、さらに過酸化物(日本油脂社製の商品名「パーミクルD」)を架橋剤として加え、熱プレス法により熱伝導性シートを作製した。なお、表1中において、各成分の配合量は体積%で示しており、「磁性体体積分率」とは、シート総量に対するカルボニル鉄粉等の磁性金属粉の充填量を体積%で示している。また、各成分の体積は、これらの材料の比重と配合重量から求めた。
上記で得られた熱伝導性シートについて、硬度[ASKER−typeA(アスカーA)]、実測比重値/理論比重値、接触熱抵抗(R)、接触熱抵抗の減少率(K)および材料定数について評価した。評価結果を表1および図2、3に示すと共に、各特性の評価方法を以下に示す。なお、図2、3中の「Feの充填量(%)」とは、シート総量に対するカルボニル鉄粉の充填量の体積%を示す。
<硬度(ASKER−typeA)の評価方法>
硬度の測定方法は、JIS K6253による。そこにあるデュロメータ−タイプAが、ASKER−typeAに相当する。
<実測比重値/理論比重値の評価方法>
実測比重値は、上記で得られた熱伝導性シートの重量/体積から算出し、理論比重値は、各構成成分の比重×含有量の総和を体積で除して算出した。ついで、前記で得られた実測比重値および理論比重値から、実測比重値/理論比重値を算出した。
<接触熱抵抗(R)および接触熱抵抗の減少率(K)の評価方法>
上記で得られた熱伝導性シートについて、JIS Z8801−1で規定されたステンレス網(メッシュ:18、目開き:0.833mm、網の高さ:0.643mm、製薬用ふるい)を用いて図1に示す構造体1を構成した。なお、発熱板4および放熱板5は、英NPL(National Physical Laboratory)社製のステンレス鋼(SUS304)製の標準板[厚み:1cm、熱伝導率:15.13W/(m・K)]を用いた。
ついで、上記式(II)より接触熱抵抗(R)を算出し、上記式(I)より接触熱抵抗の減少率Kを算出した。なお、上記式(I)および式(II)におけるR0、R1およびR2は、ASTM E1530の規定に基づき、定常熱流計法でそれぞれ測定した熱抵抗値である。ここで、上記式(II)におけるR1の値(発熱板4および放熱板5のみの接触熱抵抗)は5.68(cm2・K)/Wであった。
<材料定数の評価方法>
上記で得られた熱伝導性シートについて、同軸管法によりその材料定数(複素比透磁率の実数部及び虚数部)を測定した。具体的には、シートから外形7mm、内径3mmのリング状試料を切り取り、試料の同軸管内部への接触部分に導電性塗料を塗布・乾燥し、同軸管部分を、同軸ケーブルを介してアジレント社製のネットワークアナライザー8720ESに接続し、S11(反射減衰強度)及びS21(透過減衰強度)を測定し、ここから複素比透磁率の実数部(μ’)及び虚数部(μ”)を決定した。一般に、複素比透磁率の実数部(μ’)が大きいと、磁束を集めやすく、複素比透磁率の虚数部(μ”)が大きいと、集めた磁束−を熱に変換(エネルギー的に消費)し易いといえ、ノイズ抑制(吸収)効果が大きいとされる。なお、表1中において、ε'とは、複素比誘電率の実数部を意味し、ε''とは、複素比誘電率の虚数部を意味するものであり、上記μ’及びμ”と同様の方法で測定して得られる値である。なお、表1の材料定数の数値は、1GHzの値を代表値として記載している。
[実施例4、5]
表1に示す組み合わせで、結合剤としてエチレンアクリル共重合体系エラストマー(三井・デュポン ポリケミカル社製の商品名「ベイマックDP」)、熱伝導性フィラー及び軟磁性粉末(磁性金属)として平均粒径18μm及び平均粒径5μmのセンダスト粉末(Fe−Si−Al系合金)を重量比4:1の割合でそれぞれ添加(充填)した以外は、実施例1〜3と同様にして熱伝導性シートを作製した。なお、エチレンアクリル共重合体エラストマーおよびセンダスト粉の体積は、これらの材料の比重と配合重量から求めた。
ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1〜3と同様にして、硬度(ASKER−typeA)、実測比重値/理論比重値、接触熱抵抗、接触熱抵抗の減少率および材料定数について評価した。評価結果を表1、図4〜7に併せて示す。
[実施例6、7]
平均粒径18μm及び平均粒径5μmのセンダスト粉末(Fe−Si−Al系合金)に代えて、熱伝導性フィラー及び軟磁性粉末(磁性金属)として平均粒径15μm及び平均粒径3μmのパーマロイ粉末(Fe−Ni系合金)を重量比4:1の割合で添加(充填)した以外は、実施例4、5と同様にして熱伝導性シートを作製した。
ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1〜3と同様にして、硬度(ASKER−typeA)、実測比重値/理論比重値、接触熱抵抗、接触熱抵抗の減少率および材料定数について評価した。評価結果を表1、図4〜7に併せて示す。
[実施例8]
平均粒径18μm及び平均粒径5μmのセンダスト粉末(Fe−Si−Al系合金)に代えて、熱伝導性フィラー及び軟磁性粉末(磁性金属)として平均粒径5μmのセンダスト粉末(Fe−Si−Al系合金)を表1に示す割合で添加(充填)した以外は、実施例4、5と同様にして熱伝導性シートを作製した。
ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1〜3と同様にして、硬度(ASKER−typeA)、実測比重値/理論比重値、接触熱抵抗、接触熱抵抗の減少率および材料定数について評価した。評価結果を表1、図4〜7に併せて示す。
[実施例9]
平均粒径18μm及び平均粒径5μmのセンダスト粉末(Fe−Si−Al系合金)に代えて、熱伝導性フィラー及び軟磁性粉末(磁性金属)として平均粒径5μmのパーマロイ粉末(Fe−Ni系合金)を表1に示す割合で添加(充填)した以外は、実施例4、5と同様にして熱伝導性シートを作製した。
ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1〜3と同様にして、硬度(ASKER−typeA)、実測比重値/理論比重値、接触熱抵抗、接触熱抵抗の減少率および材料定数について評価した。評価結果を表1、図4〜7に併せて示す。
[実施例10]
シリコンゴムに熱伝導性フィラー及び軟磁性粉末(磁性金属)として平均粒径18μm及び平均粒径5μmのセンダスト粉末(Fe−Si−Al系合金)を1:3の割合で、64体積%添加した。ロール練りの後、加熱プレスにより厚さ500μmのシートを得た。
ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1〜3と同様にして、硬度(ASKER−typeA)、実測比重値/理論比重値、接触熱抵抗、接触熱抵抗の減少率および材料定数について評価した。評価結果を表1、図4〜7に併せて示す。
なお、表面抵抗率に関しては、実施例及び比較例ともポリマー系シートは1×106Ω/□以上であった。
Figure 0004764220
表1から、実施例1〜10は、接触熱抵抗が低く[25(cm2・K)/W未満]、接触熱抵抗減少率も約65〜90%と高いのがわかる。このため、十分な形状追従性を有した熱伝導性シートであるのがわかる。この結果は、軟磁性粉末(磁性金属)の平均粒子径の異なるものをブレンドしたこと、及び実測比重/理論比重が0.9以上と高く、空隙をできるだけ少なくして分散させ、シートの密着性を上げながら磁性金属等を高充填させたことによる。
また、材料定数については、いずれも1GHzにおけるμ’が3以上、同μ”が0.8以上あり、電磁気特性を有することがわかる。さらに低周波数から高周波数まで広い周波数範囲で電磁干渉抑制効果(ノイズ抑制効果、電波吸収特性)を有するともいえる。
特に、実施例10のシートは、この状態でUL94V−0相当の難燃性を有していた。軟磁性粉末の添加に関しては、粒径が小さいものを充填する方が、柔軟性を損なうものの磁気特性は向上した。一方、比熱及び熱拡散率から計算した熱伝導率は、2.1W/m・Kであった。この結果より、放熱特性を有する電磁干渉抑制体であるといえる。なお、シートの比熱はセイコーインスルメンツ株式会社製DSCにより求め、熱拡散率は、アルパック理工(株)製のレーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000型で測定した。熱伝導性に関しては、粒度の大小があまり影響せず、むしろ軟磁性粉末の添加方法や添加量は、柔軟性と磁気特性のバランスを取る必要があった。
また、図2、3から、カルボニル鉄粉の充填量が30体積%である比較例1は、接触熱抵抗の減少率(K)は60%より小さく、また、充填量が70体積%である比較例2は、減少率(K)が60%であった。この意味は、カルボニル鉄粉の充填量が30体積%の場合には、シート自体の熱伝導率が低く、接触熱抵抗R0が30(cm2・K)/Wと大きいため、ステンレス網の接触熱抵抗に対するシートを用いた場合の接触熱抵抗の減少率が小さく(約55%)なっていると推察される。また、カルボニル鉄粉の充填量が70体積%の場合には、シート自体の熱伝導率は十分高いものの、シートの形状追従性が損なわれ、空隙が多く残る結果、接触熱抵抗の減少率が小さく(約60%)なったものであると推察される。この結果から、熱伝導率が高く、且つ形状追従性を十分に有しているシートは、カルボニル鉄の充填量が40(実施例1)、50(実施例2)および60体積%(実施例3)であると評価、選定することができる。
一方、接触熱抵抗の減少率(K)は充填量が50体積%(実施例2)付近で最も高くなった。これは、ステンレス網が薄く、目開きの小さいものを用いたため、網の空隙が小さくなり、シートの柔軟性の効果より、熱伝導性の効果の方が大きく影響したためと推察される。この傾向は、ステンレス網の厚さや目開きに依存する。また、測定時に加圧することにより結果が異なることも予想されるので、上記式(I)中の接触熱抵抗の測定において、加圧装置を加えることもできる。
[実施例11]
実施例8で得られたシートに、接着剤を介して導体シートとして鉄箔(50μm厚、東洋鋼板(株)製シルバートップSF)を積層した。この構成でアドバンテスト法により磁界シールド性を評価した。結果を図8に示す。
図8から明らかなように、磁気シールド性に優れることがわかる。表示しない電界シールド性は磁気シールド性以上に優れている。また鉄箔の熱伝導性は83W/m・Kであり、特に箔方向の熱伝達性(熱拡散性)が優れていた。
[試験例]
上記の実施例1〜3および比較例1、2で得られた熱伝導性シートについて、接触熱抵抗、接触熱抵抗の減少率の測定において、前記ステンレス網に代えて、厚さ0.777mmの銅板を用いて評価した。なお、接触熱抵抗、接触熱抵抗の減少率の評価において、前記銅板のみを挟んだときの接触熱抵抗R2は3.7(cm2・K)/Wであった。
その結果、接触熱抵抗[(cm2・K)/W]は、比較例1の熱伝導性シートが12.2、実施例1の熱伝導性シートが11、実施例2の熱伝導性シートが8.2、実施例3の熱伝導性シートが6、及び比較例2の熱伝導性シートが5.4であり、接触熱抵抗(接触熱抵抗の減少率)は平滑面で十分な密着性があるため、差別化できるような結果は得られなかった。
接触熱抵抗(R)はいずれも12.2(cm2・K)/W以下と小さくなるものの、銅板のみを挟んだときの接触熱抵抗R2[3.7(cm2・K)/W]が十分に低く、密着していることもあり、熱伝導性シートを使用することにより接触熱抵抗(R)を低減することはなかった。つまり、銅板を挟んだ場合には、凹凸に対する形状追従性が要求されない場合といえ、熱伝導性フィラー(この場合は磁性金属である軟磁性粉末)の量がシート及び装着状態での熱伝導性を支配することを示している。すなわち、磁性金属(軟磁性粉末)の量が多いほど、結果として得られる熱伝導は大きくなり、接触熱抵抗が小さくなるといえる。
また、この銅板を挟んだ場合が、上記式(I)中において、発熱板4および放熱板5の間に接触面において熱伝導性シートが凹凸を形成するような接触熱抵抗評価用シートを挟まず、平滑な熱伝導性金属を挟んだ場合による接触熱抵抗の低減限界値と考えられる。この試験例の場合であるが、接触熱抵抗評価用シートとして銅板を使用する場合でも、熱伝導性シート自体を屈曲させて装着する様な、密着性が要求される場合には、本発明にかかる接触熱抵抗の減少率の考え方が生きてくることになる。
また、銅板の代わりに、接触面において熱伝導性シートが凹凸を形成するような接触熱抵抗評価用シートとしてステンレス網を発熱板4および放熱板5の間に挟み、熱伝導性シート等を使用せずに測定して、求めた接触熱抵抗R2は73.07(cm2・K)/Wであった。このことは、発熱板4及び放熱板5の間にたとえ導電性金属のネットワークが接するように存在していても、周囲の空気等の影響を受けて、全体としての接触熱抵抗が相当に大きいことを示している。すなわち、接触熱抵抗の低減には、熱伝導性を有するシートが、空間を埋めるように充填し、密着する状態を得なければならないことを示している。熱伝導率の評価は公知な方法があるが、熱伝導率にシート密着状態を加えて接触熱抵抗として評価することが本発明の特徴である。
本発明における接触熱抵抗の測定を行うための構造体を示す概略図である 実施例1〜3および比較例1、2における接触熱抵抗(R)を示すグラフである。 実施例1〜3および比較例1、2における接触熱抵抗の減少率(K)を示すグラフである。 実施例4〜10における接触熱抵抗(R)を示すグラフである。 実施例4〜10における接触熱抵抗の減少率(K)を示すグラフである。 実施例4〜10における材料定数(μ’)を示すグラフである。 実施例4〜10における材料定数(μ”)を示すグラフである。 実施例11におけるアドバンテスト法による磁界シールド性を示すグラフである。
符号の説明
1 構造体
2 熱伝導性シート
3 金属製の網
4 発熱板
5 放熱板

Claims (12)

  1. 結合剤と、軟磁性粉末または該軟磁性粉末および熱伝導性フィラーとからなり、熱伝導性および電磁干渉抑制効果を有し、且つ平滑面および凹凸面に対する接触熱抵抗が、下記式(I)から算出される接触熱抵抗の減少率(K)において65%以上であることを特徴とする熱伝導性シート。
    Figure 0004764220
    (但し、前記式(I)記載の接触熱抵抗評価用シートが、JIS Z8801−1で規定された目開き0.833mmのステンレス網である。)
  2. 結合剤と、軟磁性粉末または該軟磁性粉末および熱伝導性フィラーとから求められるシートの理論比重値と、シートの実測比重値とが、実測比重値/理論比重値≧0.6の関係にある請求項1記載の熱伝導性シート。
  3. 前記接触熱抵抗の減少率(K)が70%以上である請求項記載の熱伝導性シート。
  4. 前記結合剤がゴム、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素系樹脂、エチレン系共重合体エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、塩素系エラストマー、シリコーン系エラストマーおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  5. 前記軟磁性粉末を含有し、100MHz〜1GHzの周波数領域における複素比透磁率の実数部(μ’)が3以上であり、かつ複素比透磁率の虚数部(μ”)が0.8以上である請求項1〜のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  6. 前記熱伝導性フィラーは電気絶縁性を有する、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化マグネシウムおよびフェライトから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  7. 表面抵抗率が1×104Ω/□以上である請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  8. 難燃性を有する請求項1〜7のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  9. 粘着性を有する請求項1〜8のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  10. 導体シートを積層した請求項1〜9のいずれかに記載の熱伝導性シート。
  11. 前記導体シートは、0.1MHz〜1GHzにおける磁界シールド性が10dB以上である請求項10記載の熱伝導性シート。
  12. 請求項1〜11いずれかに記載の熱伝導性シートを用いて電子機器放熱性を付与又は不要電磁波干渉を抑制する方法。
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