JP2007224128A - 抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物 - Google Patents

抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物 Download PDF

Info

Publication number
JP2007224128A
JP2007224128A JP2006046036A JP2006046036A JP2007224128A JP 2007224128 A JP2007224128 A JP 2007224128A JP 2006046036 A JP2006046036 A JP 2006046036A JP 2006046036 A JP2006046036 A JP 2006046036A JP 2007224128 A JP2007224128 A JP 2007224128A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge
ink
adjuster
discharge printing
heat treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006046036A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007224128A5 (ja
Inventor
Shigeaki Nishihata
重昭 西端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shima Seiki Mfg Ltd
Original Assignee
Shima Seiki Mfg Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shima Seiki Mfg Ltd filed Critical Shima Seiki Mfg Ltd
Priority to JP2006046036A priority Critical patent/JP2007224128A/ja
Publication of JP2007224128A publication Critical patent/JP2007224128A/ja
Publication of JP2007224128A5 publication Critical patent/JP2007224128A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Coloring (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 機械部品に対する腐食の問題の発生を抑え、安定かつ長寿命に使用可能な抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物を提供する。
【解決手段】 布帛を染色して染色布帛を準備しておく(ステップa0)。染色布帛としては、染色した糸で織製した織地や編成した編地などを用いることができる。染色布帛には、抜染液をインクジェット方式の印刷装置から抜染インクとして付与する(ステップa1)。抜染液中には常温時pH調整剤が含まれ、pHが中性付近となるように調整する。染色布帛に付与された抜染液にスチームを10〜20分程度吹きつけて加熱処理を行う(ステップa3)と、抜染液中の加熱時pH調整剤がpHを強アルカリ性か、または中性から酸性に変化させ、抜染剤を有効に作用させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、染色布帛に対してインクジェット方式で抜染を行うための抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物に関する。
なお、「布帛」は、国際特許分類(第8版)のサブクラスD04Hと同様に、織物地および編物地を含むものとする。
従来から、還元脱色性染料による染色布帛類に対し、還元性の抜染剤を含有するインクをインクジェット方式で印刷して、染色布帛類を抜染するインクジェット抜染方法が提案されている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照。)。なお、抜染の技法は、たとえば和服に家紋を入れるなどの際にも使用されているように、古くからのものである。特許文献1には、抜染剤として、市販されているハイドロサルファイトナトリウム(Na)、無水HSとHSOの混合ナトリウム塩、ナトリウムスルホキシレート・ホルムアルデヒド複合物などを使用することができる旨が記載されている。
特許文献1および特許文献2の実施例には、ナトリウムスルホキシレート・ホルムアルデヒド複合物として、住友化学工業製の商品名「レドール C」などを使用する旨が記載されている。このような抜染剤は、媒体中に、0.1〜30重量%で含まれるように、抜染インクが調合される。媒体としては、水単独または水と有機溶剤との混合液が使用される。有機溶剤としては、アルコール類、アミド類、ケトン類、グリコール類などを使用する旨が記載されている。さらに、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、蛍光増白剤、防カビ剤や、緩衝液によるpH調整剤などを必要に応じて添加する旨も記載されている。抜染インクとしての粘度を、25℃で約0.03Pa・s(30cP)以下とする旨も記載されている。インクジェット印刷後は、100℃で15分のスチーム処理と、中性洗剤による洗浄とが行われる。
ただし、抜染インクに必要に応じて緩衝液によるpH調整剤を添加する旨は記載されていても、pHを調整することの技術的な内容については何も記載されていない。一般的な緩衝液は、溶液のpHを弱酸性から弱アルカリ性の中性付近に保つものであると考えられる。ナトリウムスルホキシレート・ホルムアルデヒド複合物の抜染剤は、ドイツのBASF社からも「Rongalit C」の商品名で市販されており、データシートから10%の水溶液でpH9〜11となることが判る。したがって、このアルカリ性のpH範囲での使用が、このような抜染剤には好ましいと推定される。緩衝液によるpH調整剤を添加すると、pH範囲が中性付近となり、抜染剤として好ましいと推定される範囲から外れてしまうことになる。
また、VSタイプの反応染料で染色された綿などの染色布帛の抜染には、反応染料着色防染剤を用いる方法も知られている。反応染料着色防染剤としては、林化学工業株式会社製の亜硫酸系の薬剤である商品名「RRレジスト」などが使用されている。また、ウールやシルクなどの動物性繊維は、アルカリ性では傷むので、一般に、酸性染料を使用して染色を行い、抜染も酸性の抜染剤を使用する。
従来からの抜染剤である「Rongalit
C」や「RRレジスト」は、水溶液の状態では酸化してpHが下がり、pH8未満となると不安定で短寿命となり、1〜7日程度の安定性しか有していないことも経験上知られている。このため、ユーザはインクを調整して即日使用を要求されるので、不経済である。これらの抜染剤を使用する場合、溶液にアルカリ剤を配合してpH11程度の強アルカリ性を保つようにpH調整すれば、綿に対する抜染の効果が向上して色抜けが良くなり、溶液の安定性も向上することも知られている。しかしながら、pH11程度の強アルカリ性に調整すると、抜染剤溶液としては安定するけれども、金属製や合成樹脂製などの機械部品に対する腐食リスクが大きく、インクジェットプリンタの配管経路やヘッドなどを傷めてしまう。
染色布帛に対する抜染は、染色されている色とは異なる色に着色する場合も行われる。抜染をスクリーン捺染方式で行う複合染色物の製法(たとえば、特許文献3参照。)では、特許文献1について、「特開昭62−206092号公報には還元脱色性染料による染色布帛類に対し、還元剤を含有するインクをインクジェット方式により付与して染色布帛類を抜染することを特徴とするインクジェット抜染方法が提案されている。」と紹介している。ただし、特許文献3の発明が解決しようとする課題の欄には、「特開昭62−206092号公報記載の方法は、インク中に還元剤を併存させているため、インクを長期保存すると、インク内の還元剤により経時的に染料が影響を受けて発色濃度が低下する等の問題があった。」と記載されている。この記載は、特許文献1のインクが還元性の抜染剤とともに染料を含むことを前提としていると考えられる。
しかしながら、特許文献1では、第2頁左上欄第11行目〜第17行目に、「本発明の主たる特徴は、従来の抜染方法における各種の印捺方法に代えて、インクジェット記録方式を採用し、且つ抜染剤として従来の如き高粘度の抜染糊を調製する必要のない、還元剤を含有する抜染剤すなわちインクジェット用インクとして用いた点にある。」と記載されている。したがって、還元性の抜染剤をインクとしていても、染料や顔料のような着色成分は含んでいないと考えられる。特許文献1では、pHがアルカリ性になる場合の機械部品に対する腐食リスクの問題が大きいと考えられる。なお、特許文献2では、インクジェット抜染とともに着色も行うために、インクに難還元性着色材を併有させている。
インクジェット方式による直接捺染と着色抜染および/または白色抜染を同時に行う技術も提案されている(たとえば、特許文献4参照。)。特許文献4には、置換型反応性染料を含有する着色用インクと、飽和水溶液におけるpHが11以上であるアルカリ剤および付加型反応性染料用防染剤を含有する抜色用インクと、飽和水溶液におけるpHが7〜10であるアルカリ剤を含有する補助用インクとを、インクジェット捺染用インクセットとして備える旨が記載されている。したがって、少なくとも抜色用インクは、pHが11以上の強アルカリ性の状態で使用する必要があり、機械部品に対する腐食の問題がある。
抜染剤として使用可能な還元剤として、安定性の良い酸性の還元剤も存在する。たとえば、ドイツのBASF社から「Decrolin」の商品名で販売されている化学式Zn(HSOHCHO)のジンクホルムアルデヒドスルフォキシレートは、溶液がpH4程度の酸性で使用される。しかしながら、綿に対する色抜けは強アルカリ性で使用するナトリウムスルホキシレート・ホルムアルデヒド複合物の抜染剤より劣り、酸性のために機械部品に対する腐食リスクは大きい。
特開昭62−206092号公報 特開昭63−021990号公報 特開2004−250822号公報 特開2006−028247号公報
本発明の目的は、上記のような機械部品に対する腐食の問題の発生を抑え、安定かつ長寿命に使用可能な抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物を提供することである。
本発明は、予め染色された布帛に対し、アルカリ性か、または中性から酸性か、いずれかの予め定める反応pH範囲で、安定に染料と反応する抜染剤をインクジェット方式で印刷して抜染を行うための抜染インクにおいて、
インクジェット印刷時を含む常温で、拔染インクが予め定める中性付近で弱アルカリ性のpHを保つように調整する常温時pH調整剤と、
インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、拔染インクのpHが該反応pH範囲となるように調整する加熱時pH調整剤とを、
含むことを特徴とする抜染インクである。
また本発明で、前記常温時pH調整剤は、前記加熱時pH調整剤の少なくとも一部を兼ねており、前記加熱処理時に、加熱時pH調整剤としての機能を果すように変化することを特徴とする。
また本発明で、前記加熱時pH調整剤は、前記反応pH範囲を中性から酸性に調整することを特徴とする。
さらに本発明は、予め染色された布帛に対して、アルカリ性か、または中性から酸性か、いずれかの予め定める反応pH範囲で安定に染料と反応する抜染剤を含む抜染インクを、インクジェット方式で印刷して抜染を行うインクジェット抜染方法において、
該抜染インクのpHを、
インクジェット印刷時を含む常温では、予め定める中性付近で弱アルカリ性を保つように調整し、
インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、該反応pH範囲に変化するように調整することを特徴とするインクジェット抜染方法である。
また本発明で、前記常温でのpHの調整は、常温時pH調整剤によって行い、
前記加熱処理時のpH範囲の変化は、該常温時pH調整剤の分解によって行うことを特徴とする。
また本発明では、前記加熱処理時に、前記pHを前記常温での弱アルカリ性から強アルカリ性に変化させることを特徴とする。
また本発明では、前記加熱処理時に、前記pHを前記常温での弱アルカリ性から中性または酸性に変化させることを特徴とする。
さらに本発明は、予め染色された布帛に、インクジェット方式で抜染インクが印刷される抜染対象物であって、
該抜染インクは、
アルカリ性か、または中性から酸性か、いずれかの予め定める反応pH範囲で、安定に染料と反応する抜染剤と、
インクジェット印刷時を含む常温で、予め定める中性付近で弱アルカリ性のpHを保つように調整する常温時pH調整剤と、
インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、pHが該反応pH範囲となるように調整する加熱時pH調整剤とを、
含むことを特徴とする抜染対象物である。
本発明によれば、抜染インクは、常温時pH調整剤と加熱時pH調整剤とを含む。インクジェット印刷時を含む常温では、常温時pH調整剤によって、抜染インクのpHが予め定める中性付近で弱アルカリ性となるように調整されるので、機械部品に対する腐食の問題の発生を抑えることができる。加熱時pH調整剤は、インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、抜染インクのpHを抜染剤が安定に染料と反応するアルカリ性か、または中性から酸性か、いずれかの予め定める反応pH範囲に保つので、安定に色抜け良く、抜染を行わせることができる。抜染インクの調合後にインクジェット印刷まで時間がかかっても、常温時pH調整剤によって弱アルカリ性となるように調整されるので、抜染剤の寿命を保つことができる。
また本発明によれば、常温時pH調整剤と加熱時pH調整剤とに、たとえば炭酸水素カリウム(KHCO)と炭酸カリウム(KCO)とをそれぞれ常温で混合して使用すれば、加熱処理時に、炭酸水素カリウムが二酸化炭素(CO)および水(HO)を放出して炭酸カリウムに変化する。常温時pH調整剤の分解によって加熱時pH調整剤としての機能も果すように変化させ、抜染インクのpHを反応pH範囲に変化させるので、常温時pH調整剤を加熱時pH調整剤の少なくとも一部として、加熱処理時にも有効に利用することができる。
また本発明によれば、たとえば炭酸カリウムである加熱時pH調整剤は、加熱処理時にpH範囲を強アルカリ性に保つので、綿などの布帛に対する抜染剤による抜染を安定に行わせることができる。
また本発明によれば、常温時pH調整剤はたとえばアンモニア水(NHOH)と炭酸アンモニウム((NHCO)であり、インクジェット印刷時を含む常温で抜染インクのpHを8〜9.5程度の弱アルカリ性に保つ。弱アルカリ性では、強アルカリ性には弱いウールやシルクであっても影響を与えないようにすることができる。アンモニア水は加熱処理時にアンモニア(NH)と水とに分解し、アンモニアが揮発して消失する。加熱時pH調整剤は、たとえば不揮発性の塩として残る炭酸アンモニウムであり、加熱処理で常温時pH調整剤が存在しなくなる結果、抜染インクのpHを中性から酸性の反応pH範囲に変化させて、シルクやウールなどの布帛に対する抜染剤による抜染を安定に行わせることができる。
さらに本発明によれば、インクジェット抜染方法は、予め染色された布帛に対して、予め定めるアルカリ性か、または中性から酸性かの予め定める反応pH範囲で安定に染料と反応する抜染剤を含む抜染インクを、インクジェット方式で印刷して抜染を行う。抜染インクのpHを、インクジェット印刷時を含む常温では、予め定める中性付近の弱アルカリ性を保つように調整するので、機械部品に対する腐食の問題の発生を抑えることができる。また、抜染インクの調合後にインクジェット印刷まで時間がかかっても、常温時pH調整剤によって弱アルカリ性となるように調整されるので、抜染インクの寿命を保つことができる。インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時には、抜染インクのpHを、抜染剤が安定に染料と反応するアルカリ性または中性から酸性のpH範囲に変化するように調整するので、安定に色抜け良く、抜染を行わせることができる。
また本発明によれば、常温でのpHの調整は、常温時pH調整剤によって行い、加熱処理時のpH範囲の変化は、常温時pH調整剤の分解によって行うので、常温時pH調整剤を加熱処理時にも有効に使用することができる。
また本発明によれば、加熱処理時に、pHを常温での弱アルカリ性から強アルカリ性に変化させるので、綿などに対する抜染を有効に行うことができる。
また本発明によれば、加熱処理時に、pHを常温での弱アルカリ性から中性または酸性に変化させるので、ウールやシルクに対する抜染を有効に行うことができる。
さらに本発明によれば、予め染色された布帛に、インクジェット方式で印刷される抜染インクは、アルカリ性か、または中性から酸性かいずれかの予め定める反応pH範囲で安定に染料と反応する抜染剤を含む。抜染インクは、インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、pHを反応pH範囲となるように調整する加熱時pH調整剤を含むので、加熱処理を行えば、抜染を安定に行うことができる。
図1は、本発明の実施の一形態としてのインクジェット抜染方法に従う概略的な工程手順の例を示す。ステップa0での開始では布帛を染色して染色布帛を準備しておく。なお、染色布帛としては、染色した糸で織製した織地や編成した編地などを用いることもできる。ステップa1では、抜染液をインクジェット方式の印刷装置から抜染インクとして付与する。抜染インクの成分や組成については、実施例として後述する。抜染インク中には、常温時pH調整剤が含まれ、常温時のpHが8〜9.5程度の弱アルカリ性となるように調整する。
ステップa2では、染色布帛に付与された抜染液を強制乾燥させる。次のステップa3で、乾燥後の抜染液に加熱蒸気を作用させ、加熱処理である蒸熱を行う。蒸熱は、たとえば水蒸気のスチームを10〜20分程度吹きつけて行う。抜染インク中には、加熱時pH調整剤が含まれ、加熱処理時のpHがpH11以上の強アルカリ性か、またはpH7以下の中性〜酸性か、いずれかの反応pH範囲となるように調整する。次のステップa4では、たとえば界面活性剤を添加した水で洗浄し、ステップa5で工程手順を終了する。
図2は、図1のステップa0で工程を開始するまでに準備する処理対象物、およびステップa2とステップa5とで得られる処理対象物の断面構成を、模式的に示す。図2(a)に示すように、図1のステップa0までに染色された染色布帛1では、布帛を構成する繊維の周囲に染料が付着し、その染料に固有の色彩で染色された状態となる。図2(b)に示すように、抜染対象物2は、図1のステップa1で染色布帛1に対してインクジェットによる部分的な抜染インク3を付与し、図1のステップa2での強制乾燥後に得られる。図2(c)に示すように、抜染物4は、図1のステップa3での蒸熱で、抜染対象物2で抜染インク3が付与されている部分の抜染が行われ、染料が固有の色彩を示さなくなる抜染部5に変化して得られる。
図1のステップa0までの布帛染色に用いる染料としては、反応性染料を使用すればよい。ステップa1のインクジェットで付与する抜染液は、インクジェット用の抜染インクとして、染料を還元作用で抜染させる前述の「Rongalit C」や住友精化株式会社から商品名「レドール C」として市販されているナトリウムスルホキシレート・ホルムアルデヒド複合物などの抜染剤を用いる。VSタイプの反応染料で染色される場合は、前述の「RRレジスト」などの亜硫酸系の薬剤を用いる。
反応染料に対しては、亜硫酸塩の還元性抜染剤または亜硫酸塩の反応染料着色防染剤を使用することもできる。常温時pH調整剤としては、加熱処理時に分解または揮発する強アルカリを、弱酸性の加熱時pH調整剤とともに使用すれば、常温時にはpH8〜9.5程度の機械部品に対する腐食性がない弱アルカリ性に調整することができる。
図3は、本発明の実施の他の形態としてのインクジェット抜染方法に従う概略的な工程手順の例を示す。本形態では、図1のような抜染とともに、顔料での着色を行う。ステップb0での開始に続いて、ステップb1での抜染液のインクジェットでの付与は図1のステップa0からステップa1の各ステップとそれぞれ同等に行う。さらにステップb2では、着色のための顔料をインクジェットで付与する。ステップb0まででの布帛への染色が濃色で行われている場合は、抜染部に着色することによって、着色の効果を高めることができる。顔料は布帛の表面に付着する着色材であるので、図2(c)に示す抜染インク3の表面に付着させることによって、加熱処理による抜染後、図2(c)に示す抜染部5の表面を着色させることができる。ステップb3〜ステップb6の各ステップは、図1のステップa2〜ステップa5の各ステップとそれぞれ同等に行う。
図4は、図3に示すような抜染および着色を行うインクジェット印刷装置10の概略的な構成を示す。インクジェット印刷装置10は、図2の染色布帛1を載置するプリントベッド11上を、ヘッド12がXYの二次元に相対移動し、インクタンク13から供給されるインクを染色布帛1の表面に付与することができる。インクタンク13は複数設けられ、たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色を、濃淡で合計8色の分散顔料インクとしてそれぞれ貯留する。また、抜染インクを貯留するインクタンク13も設ける。ヘッド12には、各インクタンク13からのインクが可撓性を有するホースなどで導かれ、ピエゾ方式でインクジェットが形成される。インクタンク13には、クリーニング液を貯留するものも設ける。
ユーザによるインクジェット印刷装置10への制御操作は、操作部14に対して行われる。インクジェット印刷装置10の動作状態や操作部14に対する操作時の表示は、モニタ15によって行われる。操作部14に対する操作に応じて、制御部16は、インクジェット印刷装置10の各部の制御を行う。
綿素材用の抜染インクとしては、図1のステップa3および図3のステップb4の蒸熱による加熱処理時にpH11以上の強アルカリ性に変化するものを用いる。その組成の一例を示すと、次の表1に示すようになる。なお、「%」は重量%を示す。
表1で、抜染剤であるレドール Cは、粉末状である。グリセリンは、有機溶剤であり、抜染剤を溶解させ抜染インクとしての粘度を調整する。炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムは、常温でpHを8〜9.5の範囲に抑える常温時pH調整剤として機能する。炭酸カリウムは、加熱処理時にpHを11以上の強アルカリ性に調整する加熱時pH調整剤としても機能する。炭酸水素カリウムは、加熱により炭酸カリウムと二酸化炭素と水とに分解するので、加熱時pH調整剤の少なくとも一部としても機能する。レドール Cは、最大で25%程度まで入れることができる。グリセリンは、5〜15%程度入れる。炭酸カリウムと炭酸水素カリウムとは、常温でのpHと、加熱処理時のpHとがそれぞれ適切となるように添加する。炭酸カリウムは加熱処理時に分解して炭酸水素カリウムから変化するので、常温での抜染インクには成分として含まないようにすることもできる。また、炭酸カリウムとは異なる加熱時pH調整剤を含ませることもできる。
ウール・シルク素材用の抜染インクとしては、図1のステップa3および図3のステップb4の蒸熱による加熱処理時にpH7以下の中性〜酸性に変化するものを用いる。その組成の一例を示すと、次の表2に示すようになる。
この抜染インクは、常温では炭酸アンモニウムとアンモニア水によってpH8〜9.5の弱アルカリ性を示し、加熱処理時にアンモニアが揮発して、炭酸アンモニウムによるpH7以下の中性〜酸性となる。各成分の組成範囲は、表1と同様に、変化させることもできる。
本発明の実施の一形態としてのインクジェット抜染方法に従う概略的な工程手順の例を示す製造工程図である。 図1のステップa0を開始するまでに準備する処理対象物、およびステップa2とステップa5とで得られる処理対象物の断面構成を、模式的に示す図である。 本発明の実施の他の形態としてのインクジェット抜染方法に従う概略的な工程手順の例を示す製造工程図である。 図3に示すような抜染および着色を行うインクジェット印刷装置10の概略的な構成を示す斜視図である。
符号の説明
1 染色布帛
2 抜染対象物
3 抜染インク
4 抜染物
5 抜染部
10 インクジェット印刷装置

Claims (9)

  1. 予め染色された布帛に対し、アルカリ性か、または中性から酸性か、いずれかの予め定める反応pH範囲で、安定に染料と反応する抜染剤をインクジェット方式で印刷して抜染を行うための抜染インクにおいて、
    インクジェット印刷時を含む常温で、抜染インクが予め定める中性付近で弱アルカリ性のpHを保つように調整する常温時pH調整剤と、
    インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、抜染インクのpHが該反応pH範囲となるように調整する加熱時pH調整剤とを、
    含むことを特徴とする抜染インク。
  2. 前記常温時pH調整剤は、前記加熱時pH調整剤の少なくとも一部を兼ねており、前記加熱処理時に、加熱時pH調整剤としての機能を果すように変化することを特徴とする請求項1記載の抜染インク。
  3. 前記加熱時pH調整剤は、前記反応pH範囲を強アルカリ性に調整することを特徴とする請求項1または2記載の抜染インク。
  4. 前記加熱時pH調整剤は、前記反応pH範囲を中性から酸性に調整することを特徴とする請求項1または2記載の抜染インク。
  5. 予め染色された布帛に対して、アルカリ性か、または中性から酸性か、いずれかの予め定める反応pH範囲で安定に染料と反応する抜染剤を含む抜染インクを、インクジェット方式で印刷して抜染を行うインクジェット抜染方法において、
    該抜染インクのpHを、
    インクジェット印刷時を含む常温では、予め定める中性付近で弱アルカリ性を保つように調整し、
    インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、該反応pH範囲に変化するように調整することを特徴とするインクジェット抜染方法。
  6. 前記常温でのpHの調整は、常温時pH調整剤によって行い、
    前記加熱処理時のpH範囲の変化は、該常温時pH調整剤の分解によって行うことを特徴とする請求項5記載のインクジェット抜染方法。
  7. 前記加熱処理時に、前記pHを前記常温での弱アルカリ性から強アルカリ性に変化させることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット抜染方法。
  8. 前記加熱処理時に、前記pHを前記常温での弱アルカリ性から中性または酸性に変化させることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット抜染方法。
  9. 予め染色された布帛に、インクジェット方式で抜染インクが印刷される抜染対象物であって、
    該抜染インクは、
    アルカリ性か、または中性から酸性か、いずれかの予め定める反応pH範囲で、安定に染料と反応する抜染剤と、
    インクジェット印刷時を含む常温で、予め定める中性付近で弱アルカリ性のpHを保つように調整する常温時pH調整剤と、
    インクジェット印刷後の予め定める条件での加熱処理時に、pHが該反応pH範囲となるように調整する加熱時pH調整剤とを、
    含むことを特徴とする抜染対象物。
JP2006046036A 2006-02-22 2006-02-22 抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物 Pending JP2007224128A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006046036A JP2007224128A (ja) 2006-02-22 2006-02-22 抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006046036A JP2007224128A (ja) 2006-02-22 2006-02-22 抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007224128A true JP2007224128A (ja) 2007-09-06
JP2007224128A5 JP2007224128A5 (ja) 2009-04-09

Family

ID=38546230

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006046036A Pending JP2007224128A (ja) 2006-02-22 2006-02-22 抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007224128A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010163475A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Konica Minolta Ij Technologies Inc 布用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット抜染方法とインクジェット防染方法
JP2010163507A (ja) * 2009-01-14 2010-07-29 Konica Minolta Ij Technologies Inc 布用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット防染方法
JP2014208928A (ja) * 2013-03-27 2014-11-06 ブラザー工業株式会社 抜染剤、収容容器、インクジェット記録装置、抜染方法、画像形成方法、抜染剤の安定化剤、及び抜染剤の安定化方法
JP2016011464A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 Dic株式会社 捺染物の製造方法、及び画像形成方法
JP2019178468A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 ブラザー工業株式会社 抜染装置及び抜染方法
JP2019178467A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 ブラザー工業株式会社 抜染装置及び抜染方法
US10724172B2 (en) 2018-03-30 2020-07-28 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Discharge printing device and discharge printing method
WO2022176930A1 (ja) 2021-02-18 2022-08-25 日華化学株式会社 暈しもしくは脱色加工剤及び布製品の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58104293A (ja) * 1981-12-16 1983-06-21 東洋紡績株式会社 ポリエステル・セルロ−ス繊維混合構造物の防抜染法
JPS6321990A (ja) * 1986-07-07 1988-01-29 キヤノン株式会社 インクジエツト抜染方法
JP2001089972A (ja) * 1999-09-16 2001-04-03 Nicca Chemical Co Ltd 合成系繊維材料用抜染剤、抜染加工方法及び抜染加工合成系繊維材料
WO2005033221A1 (ja) * 2003-09-30 2005-04-14 Seiren Co., Ltd. インクジェット用抜染インクおよび抜染加工されたポリエステル系繊維布帛の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58104293A (ja) * 1981-12-16 1983-06-21 東洋紡績株式会社 ポリエステル・セルロ−ス繊維混合構造物の防抜染法
JPS6321990A (ja) * 1986-07-07 1988-01-29 キヤノン株式会社 インクジエツト抜染方法
JP2001089972A (ja) * 1999-09-16 2001-04-03 Nicca Chemical Co Ltd 合成系繊維材料用抜染剤、抜染加工方法及び抜染加工合成系繊維材料
WO2005033221A1 (ja) * 2003-09-30 2005-04-14 Seiren Co., Ltd. インクジェット用抜染インクおよび抜染加工されたポリエステル系繊維布帛の製造方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010163475A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Konica Minolta Ij Technologies Inc 布用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット抜染方法とインクジェット防染方法
JP2010163507A (ja) * 2009-01-14 2010-07-29 Konica Minolta Ij Technologies Inc 布用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット防染方法
JP2014208928A (ja) * 2013-03-27 2014-11-06 ブラザー工業株式会社 抜染剤、収容容器、インクジェット記録装置、抜染方法、画像形成方法、抜染剤の安定化剤、及び抜染剤の安定化方法
JP2016011464A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 Dic株式会社 捺染物の製造方法、及び画像形成方法
JP2019178468A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 ブラザー工業株式会社 抜染装置及び抜染方法
JP2019178467A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 ブラザー工業株式会社 抜染装置及び抜染方法
US10724172B2 (en) 2018-03-30 2020-07-28 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Discharge printing device and discharge printing method
JP7124392B2 (ja) 2018-03-30 2022-08-24 ブラザー工業株式会社 抜染装置及び抜染方法
JP7124393B2 (ja) 2018-03-30 2022-08-24 ブラザー工業株式会社 抜染装置及び抜染方法
WO2022176930A1 (ja) 2021-02-18 2022-08-25 日華化学株式会社 暈しもしくは脱色加工剤及び布製品の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007224128A (ja) 抜染インク、インクジェット抜染方法および抜染対象物
KR100641647B1 (ko) 잉크젯 장치를 이용한 원단의 전처리 방법 및 그를 포함하는 잉크젯 날염방법.
JP2895697B2 (ja) 捺染用布帛、それを用いたインクジェット捺染方法及び捺染物
JP3391922B2 (ja) インクジェット捺染用布帛の製造方法、布帛の処理方法及びインクジェット捺染方法
JP5110404B2 (ja) 画像形成方法、画像を有する布帛の製造方法および処理剤
JPH05279972A (ja) インクジェット捺染用布帛、インクジェット捺染方法及び捺染物
EP3222685B1 (en) Ink jet textile printing ink composition, ink set, and printing method
JP2016135822A (ja) インクジェット捺染用インクセット及びインクジェット捺染方法
JP2017206789A (ja) 捺染用の前処理剤、捺染用の前処理方法、及び染色方法
JP2007070762A (ja) インジゴ染料及び/又は硫化染料で染色された繊維の抜染方法
JP2015187248A (ja) 還元剤、インクジェット記録装置、布帛の抜染方法、画像形成方法、還元剤の安定化剤、還元剤の安定化方法、還元剤の増強剤、還元剤の増強方法
JP2011042104A (ja) インクジェット画像形成方法
JP5007599B2 (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP5974440B2 (ja) インクジェット捺染方法
JP5557640B2 (ja) インクジェット捺染用インクセット及びそれを用いた繊維の捺染方法
JP5817962B2 (ja) インクジェット捺染装置、および捺染物の製造方法
JP2006342454A (ja) インクジェット捺染方法、インクジェット捺染用布帛及びインクジェット捺染用プリンター
JPH0346589B2 (ja)
JP6657648B2 (ja) インクジェット捺染用インク組成物及びインクジェット捺染方法
JPS616365A (ja) インクジエツト染色による防抜染法
JP4668558B2 (ja) インクジェット捺染用インクセットおよびインクジェット捺染方法
JP2019018502A (ja) 機能性剤が付与された物品の製造方法及びインクジェット印刷システム
JP2007246793A (ja) インクジェット捺染用インクおよびインクジェット捺染用記録方法
JP6696595B2 (ja) インクジェット捺染方法
JP2010023362A (ja) インクジェット記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090220

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111020

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120229