JP5974440B2 - インクジェット捺染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット捺染方法に関する。
従来、布帛などに画像を印捺する方法として、スクリーン捺染法、ローラー捺染法、ロータリースクリーン捺染法、または転写捺染法等が用いられている。しかしながら、画像デザインの変更毎に、高価なスクリーン枠、彫刻ローラー、転写紙等を用意する必要があるため、多品種少量生産にはコスト的に不向きであり、ファッションの多様化に迅速に対応することが困難であった。
こうした従来の捺染方法の欠点を解消するために、スキャナーで見本を読み取り、コンピューターで画像処理を行い、その結果をインクジェット方式で印捺する技術が開発されている。インクジェット記録方式は、インク液滴をインクヘッドから記録媒体(例えば、紙や布帛)に向かって飛翔させ、その液滴を記録媒体に付着させる記録方式であり、その機構が比較的簡便で安価であること、かつ高精細で高品位な画像を形成できるものである。このようなインクジェット方式を捺染方法に適用すれば、従来の捺染方式で必要とされていた版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できることから、納期の短縮、多品種少量生産への対応等が可能になるといった利点が挙げられる。また、インクジェット方式によれば、画像形成時に必要量のインクのみを使用するため、従来のスクリーン捺染等に比較して、廃液が少ない等の環境的利点も有する。
しかしながら、インクジェット方式を布帛等への捺染にそのまま適用した場合、滲みが著しく、鮮明性に劣るという問題があった。即ち、布帛は、紙と異なり、繊維組織や編織組織に方向性があり、空隙が紙よりも大きいために、インクヘッドから吐出されたインクが布帛に付着した際に、縦横方向に滲み、鮮明な画像を得ることができない。このような滲みの問題に対して種々の試みがなされている。例えば、布帛表面にインク保持剤を付着させて印捺面にインク保持層を形成しておき、そのインク保持層上にインクを付着させて、後処理(固着)の際にインクを繊維に移行させることにより滲みを抑制できることが提案されている(例えば、特許文献1)。
上記の方法はインクジェット捺染による布帛の滲みを有効に抑制できるものの、厚手の布帛や起毛布帛に上記方法を適用した場合に、布帛内部までインクが浸透せず染色が不十分となる場合があった。また、薄い布帛に印捺する際も、絵柄の表裏差、すなわち印捺面に形成された絵柄と、非印捺面(裏面)から見た絵柄との濃度差、を積極的に抑制し、布帛の表裏に同じ絵柄をプリントすることが行われる場合があるが、上記の方法では、絵柄の表裏差が促進されてしまうため、適用することができなかった。
上記の問題に対して、特許文献2には、布帛裏面へのインクの浸透を促進させるために、補助剤として低粘度の浸透液をインクとともに吐出させてインクジェット捺染を行う方法が提案されている。しかしながら、この方法では、布帛の印捺面に浸透液とインクとを同時に付着させるため、印捺面のインク滲みが解消できない。
また、特許文献3には、インクジェット捺染を行う前に、高濡れ性の処理液および低濡れ性の処理液の両方で布帛を処理しておくことにより、インクの浸透性と滲みを制御できることが提案されている。この方法によれば、厚手の布帛であっても内部まで染色でき、かつ滲みも低減できるものの、インクジェット印捺する前に予め布帛を上記2種の処理液で前処理しておく必要があった。
特開平3−137283号公報 米国特許出願公開第2008/0016630号明細書 特開2002−105875号公報
従来のように、布帛の印捺面に浸透液を付着させた後にインクジェット印捺を行うと、浸透液の作用によりインクが布帛の厚み方向に十分に到達できるため、表裏で絵柄の染着濃度が変わらない布帛を得ることができるものの、同時に布帛の面方向にもインクが拡散するため印捺部分のインク滲みが問題となる場合がある。
本発明者らは、今般、インクジェット印捺を行う際に、インクジェット印捺工程の後に、浸透液を付着させる布帛処理工程を施すことにより、インク滲みが低減できるとともに、表裏で絵柄の染着濃度差が少ない印捺布が得られる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、インク滲みが低減できるとともに、表裏で絵柄の染着濃度差が少ない印捺布が得られるインクジェット捺染方法を提供することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るインクジェット捺染方法は、布帛に、インクジェット方式により印捺するインクジェット捺染方法であって、布帛の一方の面に染料を含有するインク組成物を付着させるインクジェット印捺工程と、前記インクジェット印捺工程に続く工程として、前記インク組成物を付着させた布帛面に、第一の浸透液を付着させる布帛表面処理工程、又は前記インク組成物を付着させた面とは反対の布帛面に、第二の浸透液を付着させる布帛裏面処理工程の少なくとも一方と、を含んでなることを特徴とするものである。
本適用例によれば、インクジェット印捺を行った後、布帛に浸透液を付着させることで、インクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後に、浸透液による布帛への浸透効果を付与できる。従って、布帛の横方向への浸透が抑えられ、インク滲みが低減できるとともに、表裏で絵柄の染着濃度差が少ない印捺布を得ることができる。
[適用例2]上記適用例に記載のインクジェット捺染方法は、前記の各工程の順序が、下記(1)〜(3)に記載の順序であることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
(1)最初に前記布帛裏面処理工程を行い、続いて前記インクジェット印捺工程を行い、続いて前記布帛表面処理工程を行う。
(2)最初に前記インクジェット印捺工程を行い、続いて前記布帛裏面処理工程を行い、続いて前記布帛表面処理工程を行う。
(3)最初に前記インクジェット印捺工程を行い、続いて前記布帛表面処理工程を行い、続いて前記布帛裏面処理工程を行う。
本適用例によれば、インクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後に、浸透液による布帛への浸透効果を両面から付与でき、かつ布帛の横方向へのインク滲みを抑えることができるため、インク滲みの低減を重視した、表裏で絵柄の染着濃度差が少ない印捺布を得ることができる。
[適用例3]上記適用例に記載のインクジェット捺染方法は、前記布帛表面処理工程、又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方が、インクジェット方式により実施されることが好ましい。
本適用例によれば、布帛の表裏への浸透液の塗布が、容易に実現できる。
[適用例4]上記適用例に記載のインクジェット捺染方法は、前記第一の浸透液と、前記第二の浸透液と、前記インク組成物と、を備えるインクセットを用いて、前記布帛裏面処理工程および前記印捺工程を実施することが好ましい。
本適用例によれば、一連の捺染工程が容易となるため、印捺布の生産性に優れる。
本発明は、布帛に、インクジェット方式により印捺するインクジェット捺染方法であって、布帛の一方の面に染料を含有するインク組成物を付着させるインクジェット印捺工程と、前記インクジェット印捺工程に続く工程として、前記インク組成物を付着させた布帛面に、第一の浸透液を付着させる布帛表面処理工程、又は前記インク組成物を付着させた面とは反対の布帛面に、第二の浸透液を付着させる布帛裏面処理工程の少なくとも一方と、を含むものである。
以下、本発明の一実施形態にかかるインクジェット捺染方法の各工程について詳細に説明する。
<インクジェット印捺工程>
本実施形態においては、布帛の印捺面にインクジェット方式により、染料を含有するインク組成物(以降、染料インクとも言う)を付着させることで行われる。
インクジェット印捺は、インクジェットプリンターのインクカートリッジにインク組成物を充填して、記録ヘッドからインク滴を布帛に対して吐出することにより行われる。インクジェットプリンターとしては、コンティニュアス方式、ドロップオンデマンド方式等を適用することが可能であるが、ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターが好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターには、ピエゾ方式(記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う方法)、サーマル方式(記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等によって発生した気泡を用いて記録を行う方法)等があり、いずれのインクジェット方法を採用することもできるが、好適にはピエゾ方式である。
本実施形態において、インク組成物の蒸発速度は、浸透液の布帛に対しての付着量や、捺染を行う環境によって影響を受けるものである。また、インク組成物は、水を含有していることから蒸発しやすい。よって、インクジェット印捺工程が、21〜25℃で45〜55%RHの環境下で実施されることが好ましい。
インクジェット印捺工程において用いられるインク組成物について説明する。本実施形態においては、染料の種類が制限されるものではないが、酸性染料を含むインク組成物が好適に用いられる。酸性染料を含むインクを用いて、ポリアミド繊維等の布帛に印捺を行う際に、上記したような布帛裏面処理工程を適用することにより、表裏で絵柄の染着濃度が変わらない布帛を得ることができるとともに、滲みが顕著に改善されるものである。
酸性染料としては、特に制限なく使用することができ、例えば、酸性染料としては、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、112、114、116、118、119、127、128、131、135、141、142、161、162、163、164、165、169、207、219、246、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、19、24、26、27、28、32、35、37、42、51、52、57、62、75、77、80、82、83、85、87、88、89、92、94、95、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、149、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、199、209、211、215、216、217、219、249、252、254、256、257、260、262、265、266、274、276、282、283、289、303、317、318、320、321、322、361、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、49、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、87、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、133、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、185、187、192、199、203、204、205、225、229、234、236、300、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、51、52、58、60、62、63、64、67、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、118、119、121、122、131、132、139、140、155、156、157、158、159、191、234、C.I.アシッドオレンジ1、7、8、10、19、20、24、28、33、41、43、45、51、56、63、64、65、67、74、80、82、85、86、87、88、95、122、123、124、C.I.アシッドバイオレット7、11、15、31、34、35、41、43、47、48、49、51、54、66、68、75、78、97、106、C.I.アシッドグリーン3、7、9、12、16、19、20、25、27、28、35、36、40、41、43、44、48、56、57、60、61、65、73、75、76、78、79、C.I.アシッドブラウン2、4、13、14、19、20、27、28、30、31、39、44、45、46、48、53、100、101、103、104、106、160、161、165、188、224、225、226、231、232、236、247、256、257、266、268、276、277、282、289、294、295、296、297、299、300、301、302等が挙げられる。
本実施形態において、染料の含有量は特に限定されるものではないが、インク組成物の全質量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜7質量%である。前記酸性染料の合計含有量を1質量%以上とすることにより、充分な印捺濃度を得ることができ、10質量%以下とすることにより、インクジェット用インク組成物に求められる吐出安定性を確保することができ、特に高温下での吐出不良を防止することができる。
染料インク組成物には、インクジェットプリンターの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性を向上させる観点から、保湿剤を含有させることが好ましい。保湿剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に保湿剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトール等のポリオール類、およびそのエーテルまたはエステル等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、またはε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、または1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、またはマルトース等の糖類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。前記保湿剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは4〜40質量%である。
また、染料インク組成物には、布帛への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める観点から、浸透剤(インクに浸透性を付与する物質)を含有させることが好ましい。そのような浸透性有機溶剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に浸透性有機溶剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、エタノールまたはプロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、またはエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、またはジエチレングリコール−n−ブチルエーテル等のカルビトール類;トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。浸透性有機溶剤(浸透剤)の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは2〜15質量%である。
さらに、同様の観点から、染料インク組成物には、浸透剤として、浸透性有機溶剤に加えて、浸透性界面活性剤をさらに加えても良い。そのような浸透性界面活性剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に浸透性界面活性剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤;ポリオルガノシロキサン系界面活性剤等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を加えることができる。さらに加えても良い前記界面活性剤(浸透剤)の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.2〜2質量%である。
なお、上記の界面活性剤は市販品を用いることが可能であり、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤として、サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等を用いることが可能である。
本実施形態においては、染料インク組成物には、上記した各成分に加えて、水を含有させる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本実施形態においては、染料インク組成物には、さらに必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン等の3級アルカノールアミン)、または溶解助剤等のように、インクジェット捺染用のインク組成物において通常用いることができる各種添加剤の一種または二種以上を含有させることができる。
本実施形態において用いられる染料インク組成物は、上記した各成分を、分散/混合機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等)に供給し、分散させることにより調製されてよい。
本実施形態の好ましい態様によれば、上記した分散/混合機により得られたインク原液をメンブランフィルターやメッシュフィルター等のフィルターを用いて濾過し、粗大粒子を除去することが好ましい。
このような染料インク組成物は、印捺品質とインクジェット捺染用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、表面張力が25〜40mN/mであることが好ましく、28〜35mN/mであることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、本実施形態によるインク組成物の20℃における粘度は、1.5〜10mPa・sであることが好ましく、2〜8mPa・sであることがさらに好ましい。表面張力および粘度を前記範囲内とするには、前記染料の濃度を調整する方法、前記保湿剤の種類や添加量等を調整する手段等を用いることができる。
<布帛表面処理工程および布帛裏面処理工程>
本実施形態によるインクジェット捺染方法においては、布帛の印捺面に後記するインクジェット印捺を行う。そして、印捺面に第一の浸透液を付着させる布帛表面処理工程又は印捺面と反対の布帛面に第二の浸透液を付着させる布帛裏面処理工程の少なくとも一方を行うことにより、インク滲みが低減できるとともに、表裏で絵柄の染着濃度差が少ない印捺布を得ることができる。
本実施形態においては、第一の浸透液と第二の浸透液は同一の組成であってもよい。したがって、本明細書において、特にことわりのない限り、「浸透液」とは、第一および第二の浸透液を意味する。
本実施形態のインクジェト捺染方法における第1の態様としては、布帛の印捺面に上記のインクジェット印捺を行い、続いて、印捺面に浸透液を付着させる布帛表面処理工程、または、印捺面と反対の布帛面に浸透液を付着させる布帛裏面処理を行う。インクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後に、布帛表面処理または布帛裏面処理を行うことにより、表裏で絵柄の染着濃度差を抑えるとともに、インク滲みが低減された印捺布を得ることができる。
また、本実施形態のインクジェット捺染方法における第2の態様としては、布帛の印捺面に上記のインクジェット印捺を行い、続いて、印捺面に浸透液を付着させる布帛表面処理工程を行い、続いて、印捺面と反対の布帛面に浸透液を付着させる布帛裏面処理を行う。インクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後に、布帛表面処理および布帛裏面処理を行うことにより、インク滲みが低減できるとともに、表裏で絵柄の染着濃度差をより抑えた布帛を得ることができる。
また、本実施形態のインクジェット捺染方法における第3の態様としては、布帛の印捺面に上記のインクジェット印捺を行い、続いて、印捺面と反対の布帛面に浸透液を付着させる布帛裏面処理工程を行い、続いて、印捺面に浸透液を付着させる布帛表面処理を行う。布帛裏面処理によってインクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後であり、かつ印捺面からインクに含有される溶剤が揮発した状態で布帛表面処理を行うことによって、インク滲みが低減できるとともに、表裏で絵柄の染着濃度差をより抑えた印捺布を得ることができる。
また、本実施形態のインクジェット捺染方法における第4の態様としては、印捺面と反対の布帛面に浸透液を付着させる布帛裏面処理工程を行い、続いて、布帛の印捺面に上記のインクジェット印捺を行い、続いて、印捺面に浸透液を付着させる布帛表面処理を行う。印捺工程に先立って布帛裏面処理を行っておくことで、インクの裏面までの浸透効果が高く、さらに布帛表面処理によるインクの浸透効果を付与できるため、表裏で絵柄の染着濃度差をより抑えた印捺布を得ることができる。
上記布帛裏面処理工程および布帛表面処理工程は、インクジェット印捺工程において、布帛に付着したインク組成物が布帛から完全に蒸発する前に実施することが好ましい。なお、「完全に蒸発する」とは、インク組成物の染料を溶解する液体成分が布帛上に残存していない状態を意味する。
本実施形態においては、浸透液の布帛に対しての付着量は布帛に対してのインク組成物の塗布量の70〜130%であることが好ましい。浸透液の付着量を上記の範囲とすることにより、より滲みを低減することができる。
本実施形態においては、浸透液には、浸透剤を含有させる。浸透剤としては、インクジェット捺染インクにおいて通常用いられる浸透性有機溶剤や浸透性界面活性剤を好適に用いることができる。このような浸透性有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル(日本乳化剤社製:ニューコール1006)、テトラエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル(日本乳化剤社製:ニューコール1004)などの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。また、多価アルコールのアルキルエーテル類としては、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルを一種または二種以上を組み合わせて用いてもよい。浸透液は、上記した浸透性有機溶剤を、浸透液の全質量に対して10〜30質量%含むことが好ましい。
また、浸透性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)、オルフィンE1010、オルフィンSTG、オルフィンY(何れも商品名、日信化学社製)等のアセチレングリコール系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤;KF−353A、KF6017、X−22−6551、AW−3(何れも商品名、信越化学工業社製)等のオルガノポリシロキサン系界面活性剤等を挙げることができる。浸透液は、上記した浸透性界面活性剤を0.1〜3質量%含むことが好ましい。
本実施形態において用いられる浸透液は、インク組成物とのpHの調整を行うために、有機アミンを含有していてもよい。有機アミンとしては、三級アミンが好ましく使用でき、例えば、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。有機アミンの含有量は、浸透液の全質量に対して、0.05〜3質量%である。
本実施形態においては、浸透液には、上記した各成分に加えて、水を含有させる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本実施形態においては、浸透液には、さらに必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン等の3級アルカノールアミン)、または溶解助剤等のように、インクジェット捺染用のインク組成物において通常用いることができる各種添加剤の一種または二種以上を含有させることができる。
本実施形態においては、上記した布帛表面処理工程又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方をインクジェット方式により実施することが好ましい。すなわち、上述のインクジェット印捺工程と同様に、第一又は第二の浸透液の少なくとも一方をカートリッジに充填して、プリンターヘッドから浸透液の液滴を布帛に対して吐出することにより、布帛表面処理工程又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方が実施されることが好ましい。なお、その場合には、インクジェット印捺工程と同様のインクジェット方式、実施環境とすることが好ましい。
このように、布帛表面処理工程又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方にもインクジェット方式を適用することにより、例えば第一および第二の浸透液と染料インク組成物とを備えるインクセットとして用いることによりインクジェット印捺工程、布帛裏面処理工程又は布帛表面処理工程の少なくとも一方を、一台のインクジェットプリンターを用いて実施することができる。例えば、インクジェット印捺工程と布帛裏面処理を行う場合には、インクジェット印捺工程を行い、続いてその布帛を裏返して再度インクジェットプリンターに供給し、第二の浸透液の付着とインクジェット印捺とを行うことができる。従って、一連のインクジェット捺染工程を格段に簡素化することができる。
また、本実施形態においては、上記の各工程を複数台のインクジェットプリンターを用いて実施することも可能である。例えば、インクジェット印捺工程を行うインクジェットプリンターと、布帛裏面処理を行うインクジェットプリンターと、を対向して設置し、布帛の表面のみにインクジェット印捺を行った後、続いて裏面へと浸透液を付着させてもよい。
布帛表面処理工程又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方をインクジェット方式により実施する場合、インクジェットプリンターの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性を向上させる観点から、保湿剤を含有させることが好ましい。
保湿剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に保湿剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトール等のポリオール類、およびそのエーテルまたはエステル等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、またはε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、または1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、またはマルトース等の糖類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。前記保湿剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは4〜40質量%である。
布帛表面処理工程又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方において用いられる浸透液は、上記した各成分に加えて、水を含む。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。また、必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤等のような、インクジェット捺染用のインク組成物において通常用いることができる各種添加剤の一種または二種以上を含有させることができる。
<前処理工程>
本実施形態によるインクジェット捺染方法は、上記したインクジェット印捺工程、布帛表面処理工程又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方を行う前に、予め布帛の前処理を行っていてもよい。布帛の前処理には、公知の前処理剤を用いることができ、前処理剤は、一般に、糊剤、pH調整剤、及びヒドロトロピー剤を含み、更に場合によりシリカを含むことができる。
糊剤としては、例えば、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海草類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム、アルギン誘導体、あるいは、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊、エマルジョン等が用いられる。
また、pH調整剤としては、酸アンモニウム塩、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウムが望ましい。更に、ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、又はジメチルチオ尿素等のアルキル尿素を挙げることができる。
<後処理工程>
本実施形態によるインクジェット捺染方法においては、上記のインクジェット印捺工程を実施した後、染料固着処理を行うことが好ましい。染料固着処理は、例えば、公知のスチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて定着操作を行うことができる。具体的には、例えば、温度102℃の高加湿条件下で30分間スチーミング処理を行う。
その後、洗浄操作を行う。具体的には、布帛を水道水で揉み洗いした後に、50℃程度の温水中に、ノニオン性ソーピング剤を添加し、時々撹拌しながら15分間程度浸ける。浴比(印捺布質量/浴質量)は1/50であることが好ましい。更に洗浄液中に水道水を入れながら手揉み洗いをする。十分に水洗した後に布を乾燥させ、アイロンを掛けて印捺布を得ることができる。
<プリンターヘッド>
上記した通り、本実施形態におけるインクジェット捺染方法は、サーマル方式、コンティニュアス方式、又はピエゾ方式などの任意のインクジェット方式に適用することができるが、好適にはピエゾ方式である。
また、本実施形態において、インク組成物、浸透液をプリンターヘッドに充填して吐出する際には、このプリンターヘッドのノズルプレート表層部分に撥インク処理を施してあることが望ましい。撥インク処理を施すことにより、インクの飛行曲がりが発生しにくくなり、布帛上に再現性の優れた所望の画像を印捺することができる。この飛行曲がり防止効果は、上記した捺染用インク組成物に、アルキレングリコール−モノ−アルキルエーテルあるいは1,2−ヘキサンジオールを添加することで著しく向上させることができる。
また、撥インク処理は、ノズル孔内面にも施すことが好ましい。内面に施すことにより、インクメニスカス位置が安定し、更に吐出安定性が向上する。また、ノズルプレート表面にインクが出にくくなり、ノズル表面の撥インク性を、より長時間維持することができる。
ノズルプレートには、所望の口径を有する孔を設けることができる。ノズルプレートの構成材料としては、金属、セラミックス、シリコン、硝子、又はプラスチック等を挙げることができ、好ましくはチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、錫、又は金等の単一材、若しくはニッケル−リン合金、錫−銅−リン合金、銅−亜鉛合金、又はステンレス鋼等の合金や、ポリカーボネート、ポリサルフォン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン、又は各種の感光性樹脂で形成されていることが望ましい。
これらの材料表面を撥インク処理する方法は、特に限定されないが、例えば、ニッケルイオンと撥水性高分子樹脂粒子を電荷により分散させた電解液中に浸漬し、電解液を攪拌しながら浸漬されているノズルプレート表面に共析メッキする方法が好ましい。この共析メッキに使用する撥水性高分子樹脂材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルコキシブタジエン、ポリフルオロビニリデン、ポリフルオロビニル、又はポリジパーフルオロアルキルフマレート等の樹脂を単独に又は混合して用いることが好適である。また、金属材料としては、ニッケルに限定する必要はなく、例えば銅、銀、錫、又は亜鉛等を適宜選択することができる。好ましくは、ニッケル、ニッケル−コバルト合金、又はニッケル−ホウ素合金等のように、表面硬度が大きく、対摩耗性に優れる材料が適している。
本実施形態によるインクジェット捺染方法において好適に使用される布帛としては、ポリアミド系繊維、絹または羊毛からなる布帛(例えば、織物、網物、または不織布)が挙げられる。
以下、実施例を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
<浸透液の調製>
下記の表1に示した組成に従い、各成分を混合して浸透液を調製した。調製した浸透液の表面張力を、自動動的表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて測定した。各浸透液の表面張力の値を表1に併せて示す。なお、表1中、TEG−m−BEとはトリエチレングリコールモノブリルエーテルを表し、プロキセルXL2は、ICI社製の防黴剤(防腐剤)を表す。
Figure 0005974440
<インク組成物の調整>
下記の表2に従って各成分を混合し、4色のインク組成物を調製した。なお、表2中、TEG−m−BEおよびプロキセルXL2は、表1と同様のものを表し、EDTAはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを表す。
Figure 0005974440
<インクジェット捺染>
絹の布帛の表面(印捺する面)に、インクジェット印捺工程として上記したブラックインクを、インクジェットプリンター(PX−G920、セイコーエプソン社製)を用いて、1440×720dpiの解像度でベタ印刷を行った後、30秒以内に、浸透液をセットした別のインクジェットプリンターに供給して、布帛表面処理工程として布帛の表面(印捺面)にブラックインクでの印捺部分へ上記した浸透液を1440×720dpiの解像度でベタ印刷(布帛の単位面積あたりの塗布量が20mg/inch2)を行った。また、布帛裏面処理工程を施すものについては、続いて、布帛を裏返して同じインクジェットプリンターに供給して、布帛裏面(印捺する面とは反対の面)のブラックインクでの印捺部分へ、浸透液を1440×720dpiの解像度でベタ印刷を行った。
また、上記において、ブラックインクのベタ印刷に代えて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色インクを用いて、文字および白抜き文字(各色インクで文字以外の領域を印刷することで白抜き文字として形成したもの)を印刷した。
さらに、比較のために、インクジェット印捺工程、布帛表面処理工程、および布帛裏面処理工程の順を入れ替えた以外は上記と同様にして、ブラックインクのベタ印刷および各色インクを用いて印刷を行った。
印捺した布帛を、スチーマー(スチーマーDHe、マチス社製)を用いて105℃で30分間のスチーミングで定着させた後、オルフィンE1010(日信化学社製)、ラッコールSTA(明成化学社製)0.2%水溶液を用いて、55℃において10分間洗浄し、乾燥させたものを染着濃度試験片とした。
<布帛表裏の染着濃度差評価>
ブラックインクを用いてベタ印刷した布帛について、グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて、布帛の黒ベタ部分に印捺した部分の表裏のOD値を測定し、表面(印捺面)のOD値と裏面(非印捺面)のOD値との差(Δ)を算出した。評価結果は下記表3に示される通りであった。
<滲み性評価>
ブラックインクを用いてベタ印刷した布帛について、印捺領域のエッジ部分を目視にて観察し、黒色滲み性の評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
◎:滲みが見られない
○:微小な滲みが見られる
△:やや滲みが見られる
×:滲みが激しい
また、各色インクを用いて文字および白抜き文字を印刷した布帛について、混色滲みの程度を評価した。評価基準は以下の通りとした。
◎:滲みが見られない
○:微小な滲みが見られる
△:やや滲みが見られる
×:滲みが激しい
滲み性の評価結果は、下記の表3に示される通りであった。
Figure 0005974440
上記表3から明らかなように、布帛の印捺面にインクジェット印捺した後に、浸透液を付着させることでインク滲みが低減できるとともに、表裏の染着濃度差を低減する布帛を得ることができる。特に布帛の両面に浸透液を付着させる場合に有効となり、インク滲みが低減できるとともに、表裏で絵柄の染着濃度が変わらない布帛が得ることができる。

Claims (5)

  1. 布帛に、インクジェット方式により印捺するインクジェット捺染方法であって、
    布帛の一方の面に染料を含有するインク組成物を付着させるインクジェット印捺工程と、
    前記インクジェット印捺工程に続く工程として、
    前記インク組成物を付着させた布帛面に、第一の浸透液を付着させる布帛表面処理工程、又は前記インク組成物を付着させた面とは反対の布帛面に、第二の浸透液を付着させる布帛裏面処理工程の少なくとも一方と、
    を含み、
    前記第一の浸透液及び前記第二の浸透液は浸透性有機溶媒を10〜30質量%含有し、
    前記の各工程の順序が、下記(1)〜(3)に記載の順序であることを特徴とするインクジェット捺染方法。
    (1)最初に前記布帛裏面処理工程を行い、続いて前記インクジェット印捺工程を行い、続いて前記布帛表面処理工程を行う。
    (2)最初に前記インクジェット印捺工程を行い、続いて前記布帛裏面処理工程を行い、続いて前記布帛表面処理工程を行う。
    (3)最初に前記インクジェット印捺工程を行い、続いて前記布帛表面処理工程を行い、続いて前記布帛裏面処理工程を行う。
  2. 前記布帛表面処理工程、又は布帛裏面処理工程の少なくとも一方が、インクジェット方式により実施される、請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
  3. 前記第一の浸透液と、前記第二の浸透液と、前記インク組成物と、を備えるインクセットを用いて、前記布帛裏面処理工程および前記印捺工程を実施する、請求項に記載のインクジェット捺染方法。
  4. 前記インク組成物は浸透性有機溶媒を2〜15質量%含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
  5. 前記第一の浸透液及び前記第二の浸透液は浸透性界面活性剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
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