JP2005047990A - 捺染用インクジェットインク及びインクジェット捺染方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット捺染への適用性および保存安定性に優れ、安定的な吐出を実現でき、さらに長期間捺染機内に放置後も良好な吐出特性を保持できるインクジェット捺染用インク及びこれを用いた捺染方法を提供する。
【解決手段】少なくともモノクロトリアジン系反応染料からなる反応染料、ベンゾトリアゾール、緩衝剤、多価アルコール、界面活性剤および水を含んでなるインクジェット捺染用インク、特に、前記緩衝剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであるインクジェット捺染用インクにより解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくともモノクロトリアジン系反応染料からなる反応染料、ベンゾトリアゾール、緩衝剤、多価アルコール、界面活性剤および水を含んでなるインクジェット捺染用インク、特に、前記緩衝剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであるインクジェット捺染用インクにより解決する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット捺染用インクおよびこれを用いたインクジェット捺染方法に関する。特に、反応染料を含むインクを予め前処理を施した植物性繊維、動物性繊維、アミド系繊維等からなる布帛や、少なくともこれらの繊維の一つを含む混紡からなる布帛に捺染するインクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット捺染方法は、インクの小滴を飛翔させ、予め前処理された各種の布帛にインクを付着させる印捺方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速で印刷できる特徴を有する。
この技術を達成するためには、インクとプリントヘッドとのマッチングを図り安定的な吐出を実現することが極めて重要となる。
【0003】
まずインクでは長時間安定でプリント部剤へのアタック性が少ないことが特に重要である。例えば、これを達成する方法として、モノクロトリアジン系反応染料と緩衝剤との組み合わせが提案されている。しかし、この技術のみでは、捺染機が高温で長時間さらされている場合には、ノズル表面の撥インク効果が低下し、安定的な吐出に支障がきたす場合があった。特に、この撥インク層に金属が含まれている場合は、腐食がその原因であった。
更にプリントヘッドであるが、サーマル方式、コンティヌアス方式、ピエゾ方式等が提案されている。サーマルヘッドは短期間の印捺、高解像度印捺に優れているが、長期間印捺耐久性に課題を残す。コンティヌアス方式は高速度化に優れているが、高品位印捺を達成する為の解像度に課題を残している。
一方、ピエゾ方式は耐久性、解像度に優れている。また、安定的な吐出を得るために、ヘッド表面にテフロン(登録商標)、金属混合物で撥インク処理する技術も提案されている。しかし、この撥インク層はインクのpHが低くなると或いはインク中の塩素濃度が高くなると腐食し、撥インク効果が低下してしまう傾向があった。
【0004】
【特許文献1】
特願2003−134819号
【特許文献2】
特開平9−268482号
【特許文献3】
特開2002−363463号
【特許文献4】
特開2002−241639号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、今般、インク構成を検討することで、安定的なインクジェット捺染を可能とするインクおよびこれを用いた捺染方法を見出した。
従って本発明は、インクジェット捺染への適用性およびインクそのものの保存安定性に優れるだけでなく、プリントヘッド中へインクを長期間充填しておいても、何ら支障無く安定的な吐出を長期に実現できるインク及びその印捺方法の提供をその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット捺染用インクは、少なくともモノクロトリアジン系反応染料からなる反応染料、ベンゾトリアゾール、緩衝剤、多価アルコール、界面活性剤および水を含んでなることを特徴とする。
上記構成によれば、反応インクの、安定的な吐出が長期間確保されるという効果を有する。
【0007】
【発明の実施の形態】
[インクジェット捺染用インク]
[染料]
本発明に用いる反応染料はモノクロトリアジン系、即ちモノクロロ置換1,3,5−トリアジン−2−イル骨格を有する染料である(以下「モノクロ反応染料」とすることもある。)ことを特徴としている。
クロル系染料インクは保存により加水分解が進行し酸性が強くなってくる。一方で、インクジェット捺染機に用いるプリントヘッドの腐食を少なく押さえるためインクがアルカリ領域で保持されることが好適である。モノクロ反応染料はアルカリ域での保存安定性が他の反応染料、例えばビニルスルフォン系反応染料、ジクロロ系反応染料よる優れている。
このようなモノクロ反応染料の具体例としては
C.I.リアクティブイエロー3、6、12、18、95、99、
C.I.リアクティブオレンジ2、5、9、12、13、20、
C.I.リアクティブレッド3、4、7、15、16、24、29、31、32、33、43、45、46、58、59、226、245、
C.I.リアクティブバイオレット1、2、
C.I.リアクティブブルー2、3、5、7、13、14、15、25、26、39、40、41、46、49、176、
C.I.リアクティブグリーン5、8、
C.I.リアクティブブラウン1、2、7、8、9、11、14、及び
C.I.リアクティブブラック1、3、8、10、12、13
などが挙げられる。
【0008】
[ベンゾトリアゾール]
上記モノクロ反応染料は、アルカリ領域における安定性が他種のクロル系反応染料より安定性に優れているものの、経時により加水分解が進行する。また、この加水分解は染料構造上、塩素イオンをインク中に放出し、pHの低下、撥インク層腐食の原因となっている。ベンゾトリアゾールをインクに添加することで撥インク層の腐食を低減することができる。また、ベンゾトリアゾールと緩衝剤を組み合わせることで腐食防止効果が顕著に現れる。その結果、インクをプリントヘッド中に長期間、高温度下で充填放置した後にも發インク効果が維持され安定的な吐出を確保できる。
ベンゾトリアゾールの好ましい添加量はインクに対し0.001〜0.5重量%、さらに好ましくは0.005〜0.05重量%である。
【0009】
[多価アルコール]
本発明の捺染インクは、有機溶媒として多価アルコール類を含む。このような有機溶媒は、インク吐出の際にノズル目詰まりを防ぐ効果がある。好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、2−ペンタ。ンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、2、6−ヘキサントリオオール、1、8−オクタンジオール、1、2−オクタンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、チオグリコールなどである。多価アルコール系有機溶媒の添加量は適宜決定されてよいが、インクに対して40重量%以下が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。これらの溶媒量はプリントヘッドの吐出特性とインクの保存安定性を鑑みて単独あるいは混合して用いられる。
【0010】
[緩衝剤]
本発明の捺染インクはpHを安定させるために緩衝剤を含むことを特徴とする。pHを9.0以下に調整する事でインク液中の反応染料の加水分解を遅延させることが出来る。加水分解速度を遅くすることで、インクの保存安定性が向上するばかりでなく、撥インク処理したプリントヘッドの腐食を押さえる効果がある。プリントヘッドの腐食はインク吐出曲がりばかりでなく、非吐出の原因にもなる。この腐食を遅延させるには緩衝剤でインクpHを6.0〜9.0、さらに好適には7.0〜8.5で調整することが望ましい。pHが9.0を超えると加水分解が進行しやすくなり、インク中の塩素濃度が上がり始める。このことは撥インク層腐食の原因となる。
これらの材料としてはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−ヒドロキシ−3−モノフォリノプロパンスルフォン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルフォン酸(CAPS)、 N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルフォン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸、N,N−Bis−(2−ヒドロキシエチル)グリシン、リン酸、トリポリリン酸等のナトリウムまたはカリウム塩が挙げられる。本発明の好ましい態様としては緩衝剤としてはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リン酸系緩衝剤があげられる。特にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは単独使用で経時での印捺濃度低下を押さえる効果が大きいばかりでなく、ベンゾトリアゾールとの併用でプリントヘッド撥インク層の腐食防止効果が顕著である。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの好ましい添加量はインクに対し0.1〜2重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5重量である。
【0011】
[界面活性剤]
本発明の捺染インクは界面活性剤を含んでなる。界面活性剤を含むインクは前処理した布帛上でも均一に濡れ、印捺斑を少なくすること、また短時間の内に布帛中へ浸透し有利である。又、ピエソ振動型では吐出不良の原因となるプリントヘッド内の気泡排出性を向上させ安定した吐出を保持する効果がある。
好ましい界面活性剤はアニオン系、ノニオン系である。特にノニオン系のアセチレングリコール系活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤はピエゾ振動子型のインクジェットヘッドとのマッチングに優れ安定的な吐出を維持する。アセチレングリコール系界面活性剤は、例えばオルフィンPD001等のオルフィンシリーズ(製造:日進化学工業株式会社)や、サーフィノール465等のサーフィノールシリーズ(製造:Air Products and Chemicals.Inc.)が入手可能である。
上記界面活性剤の添加量は適宜決定されてよいが、インクに対して0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0012】
[水]
本発明による捺染用インクジェトインクにおいて、水は主溶媒である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
以上のように本発明のインクジェット捺染用インクはモノクロ染料、ベンゾトリアゾール、多価アルコール、界面活性剤、緩衝剤、水が必須成分であるが、所望により以下の添加剤を加えることもできる。
【0013】
[ピロリドン系溶媒]
本発明の捺染用インクジェトインクは、構成するモノクロ反応染料の溶解性とインク吐出安定性とには密接な関係がある。染料濃度が比較的高い場合はピロリドン系溶媒を添加することで吐出安定性が向上する。これらの溶媒としては2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1.3−ジメチルイミダゾリジノン等があるが、好ましくは2−ピロリドンである。2−ピロリドンは吐出安定性に加えて乾燥目詰まり防止効果もある。インク中のモノクロ反応染料濃度が8%を超えるとピロリドン系溶媒の溶解性効果が顕著に現れる。
【0014】
[金属イオン封鎖剤]
さらに本発明の捺染用インクジェトインクは金属イオン封鎖剤の添加が望ましい。好ましい添加量は0.001〜0.1重量%であり、更に好適には0.005〜0.03重量%である。封鎖剤は本発明のインクジェットインクを長期間安定的に吐出させる効果をもつ。また、印捺布上で安定した濃度・色相を確保することができる。金属封鎖剤としてはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、EDTA塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸等が好適である。
【0015】
[2−イミダゾリジノン]
インクジェット捺染機に充填されるインクは乾燥目詰まり防止のため、一定時間毎に、ホームポジションで強制的に吐出が行われる。これらのインクはドレインに送り込まれるが、染料が高濃度場合或いは高温環境での吐出ではドレイン管内或いはホームポジション内で染料が析出してくる事がある。ドレイン内析出は経時により廃インク機能に支障をおこす。また、ホームポジション内の析出物はヘッド表面に接触し、吐出不良の原因となる。
【0016】
2−イミダゾリジノンはインクの高温下での吐出させる際に、捺染機ホームポジション或いはドレイン中での染料析出防止に有効である。特に染料濃度が8%以上での高温時吐出においてその効果は顕著に表れる。同様の効果を有する材料には尿素があるが、尿素はモノクロ反応染料の保存安定性を劣化させるため、常温下では長期間の保存が難しい。一方で、2−イミダゾリジノンはモノクロ反応染料の保存安定性を劣化させることが無く、長期間の保存安定性が確保できる利点がある。特にモノクロ染料がC.I.リアクティブオレンジ12の際は、2−イミダゾジノンの析出防止効果は顕著である。
好ましい2−イミダゾリジノンの添加量は1〜15重量%であり、さらに好ましくは3〜10重量%である。インク中のモノクロ反応染料濃度が8%を超えると2−イミダゾリジノンの析出防止効果が顕著となる。
また、2−イミダゾリジノンと前記ピロリドン系溶媒を併用することで高濃度でのモノクロ染料インクの吐出安定、析出防止効果が更に良くなる。
さらに、インクの諸性能を改善するために添加剤を加えることができる。そのような添加剤の例としては、防腐剤が挙げられる。防腐剤の好ましい例としては、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL,プロキセルXL−2、プロキセルIB、プロキセルTNなどが挙げられる。
更に本発明の好ましい態様によれば、インク中の染料に由来する不純物としての塩が1重量%以下の濃度まで染料は精製されていることが好ましい。このような精製された染料の利用により、インクの吐出安定性が高い次元で確保でき、さらにプリンタの金属部分の腐食を抑制できる。
【0017】
[プリントヘッド]
又、本発明に用いるヘッドはピエゾ振動型である。ピエゾ振動型は耐久性にすぐれ、長尺物の印捺にも何ら問題ない。また、1000dpiを超える解像度を有し、高品位印捺が可能である。
さらに本発明のヘッド表面は撥インク処理することが好ましい。この処理を施す事でインクの飛行曲がりが発生しにくくなり布帛上の所望の位置にインクドットが着弾する。
また撥インク処理はノズル孔内面にも施す事が好ましい。内面に施す事で、インクメニスカス位置が安定し更に吐出安定性がさらに向上する。またノズルプレート表面にインクが出難くなりノズル表面の撥インク性がより長時間維持できる。ノズルプレートは所望の口径で穴空けされる。構成材料としては金属、セラミックス、シリコン、硝子、プラスチック等で形成され、好ましくはチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、錫、金等の単一材若しくはニッケル−リン合金、錫−銅−リン合金、銅−亜鉛合金、ステンレス鋼等の合金やポリカーボネート、ポリサルフォン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン及び各種の感光性樹脂で形成されている事が望ましい。
これらの材料表面を撥インク処理する方法は特に限定はないが、例えばニッケルイオンと撥インク性高分子樹脂粒子を電荷により分散させた電解液中に浸漬し液を攪拌しながら浸漬されているノズルプレート表面に共析メッキする方法が好ましい。この共析メッキに使用する撥インク性高分子樹脂材料としてはポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルコキシブタジエン、ポリフルオロビニリデン、ポリフルオロビニル、ポリジパーフルオロアルキルフマレート等のフッ素系樹脂を単独に或いは混合して用いる事が好適である。また金属材料としてはニッケルに限定する必要はなく、例えば銅、銀、錫、亜鉛等を適宜選択できる。好ましくはニッケル、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−ホウ素合金等の表面硬度が大きく対摩耗性に優れる材料がいい。
【0018】
【実施例】
以下に、本発明の捺染インクを、実施例等を用いて詳しく説明するが、本発明は斯かる実施例等に何ら制限されるものではない。
【0019】
<インクの調製>
表1に実施例、比較例のインクの組成を示す。なお、表中、「実」は実施例を、「比」は比較例を示す。
各々のインクは、1ミクロンフィルターで濾過後、1リットルのアルミパック中へ脱気注入し評価に供した。
【0020】
【表1】
【0021】
<▲1▼充填インク放置後吐出試験−1>
表1の組成からなるアルミパック内のインクを改造したセイコーエプソン製インクジェットプリンタMJ−8000C(以下「評価機」とすることもある。)に充填した。プリントヘッドはフッ素系樹脂とニッケル系金属との共析メッキで撥インク処理した。
評価機の全てのノズルが飛行曲がりなく正常吐出していることを確認した後、40℃・湿度40%の条件で2ヶ月放置した。
放置後のクリーニング操作を行った後、吐出を行った。
A:全ノズルが正常に吐出
B:20%未満のノズルで飛行曲がり発生
C:20%以上のノズルで飛行曲がり発生
D:非吐出ノズルがある
【0022】
<▲2▼充填インク放置後吐出試験−2>
放置温度を50℃とした他は充填インク放置後吐出試験と同様であった。
【0023】
<▲3▼ノズルプレート浸漬試験−1>
表1のインク中にノズルプレート上半分を60℃下2週間浸漬した。浸漬後、ノズルプレートを取りだし、浸漬部分、非浸漬部分を目視にて比較観察した。また、ノズルプレートを取り出す際の撥インク性についても観察者した。なお、ノズルプレートはフッ素系樹脂とニッケル系金属で撥インク処理したものを使用した。
A:浸漬、非浸漬部分に差を見とめない。撥インクは速やかであった
B:浸漬、非浸漬部分差を認めないが、撥インク性が劣化した
C:浸漬、非浸漬部分に艶の変化を認めた。撥インク性が殆ど無くなっていた
D:完全に腐食しており、撥インク層が剥離していた
【0024】
<評価試験結果>
上記▲1▼〜▲3▼の試験結果を表−2に纏める。
【0025】
【表2】
評価試験▲1▼〜▲2▼の結果より、ベンゾトリアゾールと緩衝剤をインク中に添加することで、評価機が高温で長期間放置された後も安定的に吐出することが分かる。また、緩衝剤の中でもトリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタンが特にこの効果に優れていることが分かる。
【0026】
一方、比較例からはベンゾトリアゾール、緩衝剤単独でも吐出安定性保持効果があることが分かるが、その効果はわずかなものであった。又、非吐出のノズル表面を観察したところ、撥インク層が腐食・剥離していた。
【0027】
実施例、比較例からベンゾトリアゾールと緩衝剤の同時添加でこの効果が著しく大きくなることが分かる。
【0028】
評価試験▲3▼も同様にベンゾトリアゾールと緩衝剤の同時添加で撥インク層腐食防止効果が著しく向上することがわかる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット捺染用インクおよびこれを用いたインクジェット捺染方法に関する。特に、反応染料を含むインクを予め前処理を施した植物性繊維、動物性繊維、アミド系繊維等からなる布帛や、少なくともこれらの繊維の一つを含む混紡からなる布帛に捺染するインクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット捺染方法は、インクの小滴を飛翔させ、予め前処理された各種の布帛にインクを付着させる印捺方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速で印刷できる特徴を有する。
この技術を達成するためには、インクとプリントヘッドとのマッチングを図り安定的な吐出を実現することが極めて重要となる。
【0003】
まずインクでは長時間安定でプリント部剤へのアタック性が少ないことが特に重要である。例えば、これを達成する方法として、モノクロトリアジン系反応染料と緩衝剤との組み合わせが提案されている。しかし、この技術のみでは、捺染機が高温で長時間さらされている場合には、ノズル表面の撥インク効果が低下し、安定的な吐出に支障がきたす場合があった。特に、この撥インク層に金属が含まれている場合は、腐食がその原因であった。
更にプリントヘッドであるが、サーマル方式、コンティヌアス方式、ピエゾ方式等が提案されている。サーマルヘッドは短期間の印捺、高解像度印捺に優れているが、長期間印捺耐久性に課題を残す。コンティヌアス方式は高速度化に優れているが、高品位印捺を達成する為の解像度に課題を残している。
一方、ピエゾ方式は耐久性、解像度に優れている。また、安定的な吐出を得るために、ヘッド表面にテフロン(登録商標)、金属混合物で撥インク処理する技術も提案されている。しかし、この撥インク層はインクのpHが低くなると或いはインク中の塩素濃度が高くなると腐食し、撥インク効果が低下してしまう傾向があった。
【0004】
【特許文献1】
特願2003−134819号
【特許文献2】
特開平9−268482号
【特許文献3】
特開2002−363463号
【特許文献4】
特開2002−241639号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、今般、インク構成を検討することで、安定的なインクジェット捺染を可能とするインクおよびこれを用いた捺染方法を見出した。
従って本発明は、インクジェット捺染への適用性およびインクそのものの保存安定性に優れるだけでなく、プリントヘッド中へインクを長期間充填しておいても、何ら支障無く安定的な吐出を長期に実現できるインク及びその印捺方法の提供をその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット捺染用インクは、少なくともモノクロトリアジン系反応染料からなる反応染料、ベンゾトリアゾール、緩衝剤、多価アルコール、界面活性剤および水を含んでなることを特徴とする。
上記構成によれば、反応インクの、安定的な吐出が長期間確保されるという効果を有する。
【0007】
【発明の実施の形態】
[インクジェット捺染用インク]
[染料]
本発明に用いる反応染料はモノクロトリアジン系、即ちモノクロロ置換1,3,5−トリアジン−2−イル骨格を有する染料である(以下「モノクロ反応染料」とすることもある。)ことを特徴としている。
クロル系染料インクは保存により加水分解が進行し酸性が強くなってくる。一方で、インクジェット捺染機に用いるプリントヘッドの腐食を少なく押さえるためインクがアルカリ領域で保持されることが好適である。モノクロ反応染料はアルカリ域での保存安定性が他の反応染料、例えばビニルスルフォン系反応染料、ジクロロ系反応染料よる優れている。
このようなモノクロ反応染料の具体例としては
C.I.リアクティブイエロー3、6、12、18、95、99、
C.I.リアクティブオレンジ2、5、9、12、13、20、
C.I.リアクティブレッド3、4、7、15、16、24、29、31、32、33、43、45、46、58、59、226、245、
C.I.リアクティブバイオレット1、2、
C.I.リアクティブブルー2、3、5、7、13、14、15、25、26、39、40、41、46、49、176、
C.I.リアクティブグリーン5、8、
C.I.リアクティブブラウン1、2、7、8、9、11、14、及び
C.I.リアクティブブラック1、3、8、10、12、13
などが挙げられる。
【0008】
[ベンゾトリアゾール]
上記モノクロ反応染料は、アルカリ領域における安定性が他種のクロル系反応染料より安定性に優れているものの、経時により加水分解が進行する。また、この加水分解は染料構造上、塩素イオンをインク中に放出し、pHの低下、撥インク層腐食の原因となっている。ベンゾトリアゾールをインクに添加することで撥インク層の腐食を低減することができる。また、ベンゾトリアゾールと緩衝剤を組み合わせることで腐食防止効果が顕著に現れる。その結果、インクをプリントヘッド中に長期間、高温度下で充填放置した後にも發インク効果が維持され安定的な吐出を確保できる。
ベンゾトリアゾールの好ましい添加量はインクに対し0.001〜0.5重量%、さらに好ましくは0.005〜0.05重量%である。
【0009】
[多価アルコール]
本発明の捺染インクは、有機溶媒として多価アルコール類を含む。このような有機溶媒は、インク吐出の際にノズル目詰まりを防ぐ効果がある。好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、2−ペンタ。ンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、2、6−ヘキサントリオオール、1、8−オクタンジオール、1、2−オクタンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、チオグリコールなどである。多価アルコール系有機溶媒の添加量は適宜決定されてよいが、インクに対して40重量%以下が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。これらの溶媒量はプリントヘッドの吐出特性とインクの保存安定性を鑑みて単独あるいは混合して用いられる。
【0010】
[緩衝剤]
本発明の捺染インクはpHを安定させるために緩衝剤を含むことを特徴とする。pHを9.0以下に調整する事でインク液中の反応染料の加水分解を遅延させることが出来る。加水分解速度を遅くすることで、インクの保存安定性が向上するばかりでなく、撥インク処理したプリントヘッドの腐食を押さえる効果がある。プリントヘッドの腐食はインク吐出曲がりばかりでなく、非吐出の原因にもなる。この腐食を遅延させるには緩衝剤でインクpHを6.0〜9.0、さらに好適には7.0〜8.5で調整することが望ましい。pHが9.0を超えると加水分解が進行しやすくなり、インク中の塩素濃度が上がり始める。このことは撥インク層腐食の原因となる。
これらの材料としてはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−ヒドロキシ−3−モノフォリノプロパンスルフォン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルフォン酸(CAPS)、 N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルフォン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸、N,N−Bis−(2−ヒドロキシエチル)グリシン、リン酸、トリポリリン酸等のナトリウムまたはカリウム塩が挙げられる。本発明の好ましい態様としては緩衝剤としてはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リン酸系緩衝剤があげられる。特にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは単独使用で経時での印捺濃度低下を押さえる効果が大きいばかりでなく、ベンゾトリアゾールとの併用でプリントヘッド撥インク層の腐食防止効果が顕著である。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの好ましい添加量はインクに対し0.1〜2重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5重量である。
【0011】
[界面活性剤]
本発明の捺染インクは界面活性剤を含んでなる。界面活性剤を含むインクは前処理した布帛上でも均一に濡れ、印捺斑を少なくすること、また短時間の内に布帛中へ浸透し有利である。又、ピエソ振動型では吐出不良の原因となるプリントヘッド内の気泡排出性を向上させ安定した吐出を保持する効果がある。
好ましい界面活性剤はアニオン系、ノニオン系である。特にノニオン系のアセチレングリコール系活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤はピエゾ振動子型のインクジェットヘッドとのマッチングに優れ安定的な吐出を維持する。アセチレングリコール系界面活性剤は、例えばオルフィンPD001等のオルフィンシリーズ(製造:日進化学工業株式会社)や、サーフィノール465等のサーフィノールシリーズ(製造:Air Products and Chemicals.Inc.)が入手可能である。
上記界面活性剤の添加量は適宜決定されてよいが、インクに対して0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0012】
[水]
本発明による捺染用インクジェトインクにおいて、水は主溶媒である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
以上のように本発明のインクジェット捺染用インクはモノクロ染料、ベンゾトリアゾール、多価アルコール、界面活性剤、緩衝剤、水が必須成分であるが、所望により以下の添加剤を加えることもできる。
【0013】
[ピロリドン系溶媒]
本発明の捺染用インクジェトインクは、構成するモノクロ反応染料の溶解性とインク吐出安定性とには密接な関係がある。染料濃度が比較的高い場合はピロリドン系溶媒を添加することで吐出安定性が向上する。これらの溶媒としては2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1.3−ジメチルイミダゾリジノン等があるが、好ましくは2−ピロリドンである。2−ピロリドンは吐出安定性に加えて乾燥目詰まり防止効果もある。インク中のモノクロ反応染料濃度が8%を超えるとピロリドン系溶媒の溶解性効果が顕著に現れる。
【0014】
[金属イオン封鎖剤]
さらに本発明の捺染用インクジェトインクは金属イオン封鎖剤の添加が望ましい。好ましい添加量は0.001〜0.1重量%であり、更に好適には0.005〜0.03重量%である。封鎖剤は本発明のインクジェットインクを長期間安定的に吐出させる効果をもつ。また、印捺布上で安定した濃度・色相を確保することができる。金属封鎖剤としてはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、EDTA塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸等が好適である。
【0015】
[2−イミダゾリジノン]
インクジェット捺染機に充填されるインクは乾燥目詰まり防止のため、一定時間毎に、ホームポジションで強制的に吐出が行われる。これらのインクはドレインに送り込まれるが、染料が高濃度場合或いは高温環境での吐出ではドレイン管内或いはホームポジション内で染料が析出してくる事がある。ドレイン内析出は経時により廃インク機能に支障をおこす。また、ホームポジション内の析出物はヘッド表面に接触し、吐出不良の原因となる。
【0016】
2−イミダゾリジノンはインクの高温下での吐出させる際に、捺染機ホームポジション或いはドレイン中での染料析出防止に有効である。特に染料濃度が8%以上での高温時吐出においてその効果は顕著に表れる。同様の効果を有する材料には尿素があるが、尿素はモノクロ反応染料の保存安定性を劣化させるため、常温下では長期間の保存が難しい。一方で、2−イミダゾリジノンはモノクロ反応染料の保存安定性を劣化させることが無く、長期間の保存安定性が確保できる利点がある。特にモノクロ染料がC.I.リアクティブオレンジ12の際は、2−イミダゾジノンの析出防止効果は顕著である。
好ましい2−イミダゾリジノンの添加量は1〜15重量%であり、さらに好ましくは3〜10重量%である。インク中のモノクロ反応染料濃度が8%を超えると2−イミダゾリジノンの析出防止効果が顕著となる。
また、2−イミダゾリジノンと前記ピロリドン系溶媒を併用することで高濃度でのモノクロ染料インクの吐出安定、析出防止効果が更に良くなる。
さらに、インクの諸性能を改善するために添加剤を加えることができる。そのような添加剤の例としては、防腐剤が挙げられる。防腐剤の好ましい例としては、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL,プロキセルXL−2、プロキセルIB、プロキセルTNなどが挙げられる。
更に本発明の好ましい態様によれば、インク中の染料に由来する不純物としての塩が1重量%以下の濃度まで染料は精製されていることが好ましい。このような精製された染料の利用により、インクの吐出安定性が高い次元で確保でき、さらにプリンタの金属部分の腐食を抑制できる。
【0017】
[プリントヘッド]
又、本発明に用いるヘッドはピエゾ振動型である。ピエゾ振動型は耐久性にすぐれ、長尺物の印捺にも何ら問題ない。また、1000dpiを超える解像度を有し、高品位印捺が可能である。
さらに本発明のヘッド表面は撥インク処理することが好ましい。この処理を施す事でインクの飛行曲がりが発生しにくくなり布帛上の所望の位置にインクドットが着弾する。
また撥インク処理はノズル孔内面にも施す事が好ましい。内面に施す事で、インクメニスカス位置が安定し更に吐出安定性がさらに向上する。またノズルプレート表面にインクが出難くなりノズル表面の撥インク性がより長時間維持できる。ノズルプレートは所望の口径で穴空けされる。構成材料としては金属、セラミックス、シリコン、硝子、プラスチック等で形成され、好ましくはチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、錫、金等の単一材若しくはニッケル−リン合金、錫−銅−リン合金、銅−亜鉛合金、ステンレス鋼等の合金やポリカーボネート、ポリサルフォン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン及び各種の感光性樹脂で形成されている事が望ましい。
これらの材料表面を撥インク処理する方法は特に限定はないが、例えばニッケルイオンと撥インク性高分子樹脂粒子を電荷により分散させた電解液中に浸漬し液を攪拌しながら浸漬されているノズルプレート表面に共析メッキする方法が好ましい。この共析メッキに使用する撥インク性高分子樹脂材料としてはポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルコキシブタジエン、ポリフルオロビニリデン、ポリフルオロビニル、ポリジパーフルオロアルキルフマレート等のフッ素系樹脂を単独に或いは混合して用いる事が好適である。また金属材料としてはニッケルに限定する必要はなく、例えば銅、銀、錫、亜鉛等を適宜選択できる。好ましくはニッケル、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−ホウ素合金等の表面硬度が大きく対摩耗性に優れる材料がいい。
【0018】
【実施例】
以下に、本発明の捺染インクを、実施例等を用いて詳しく説明するが、本発明は斯かる実施例等に何ら制限されるものではない。
【0019】
<インクの調製>
表1に実施例、比較例のインクの組成を示す。なお、表中、「実」は実施例を、「比」は比較例を示す。
各々のインクは、1ミクロンフィルターで濾過後、1リットルのアルミパック中へ脱気注入し評価に供した。
【0020】
【表1】
【0021】
<▲1▼充填インク放置後吐出試験−1>
表1の組成からなるアルミパック内のインクを改造したセイコーエプソン製インクジェットプリンタMJ−8000C(以下「評価機」とすることもある。)に充填した。プリントヘッドはフッ素系樹脂とニッケル系金属との共析メッキで撥インク処理した。
評価機の全てのノズルが飛行曲がりなく正常吐出していることを確認した後、40℃・湿度40%の条件で2ヶ月放置した。
放置後のクリーニング操作を行った後、吐出を行った。
A:全ノズルが正常に吐出
B:20%未満のノズルで飛行曲がり発生
C:20%以上のノズルで飛行曲がり発生
D:非吐出ノズルがある
【0022】
<▲2▼充填インク放置後吐出試験−2>
放置温度を50℃とした他は充填インク放置後吐出試験と同様であった。
【0023】
<▲3▼ノズルプレート浸漬試験−1>
表1のインク中にノズルプレート上半分を60℃下2週間浸漬した。浸漬後、ノズルプレートを取りだし、浸漬部分、非浸漬部分を目視にて比較観察した。また、ノズルプレートを取り出す際の撥インク性についても観察者した。なお、ノズルプレートはフッ素系樹脂とニッケル系金属で撥インク処理したものを使用した。
A:浸漬、非浸漬部分に差を見とめない。撥インクは速やかであった
B:浸漬、非浸漬部分差を認めないが、撥インク性が劣化した
C:浸漬、非浸漬部分に艶の変化を認めた。撥インク性が殆ど無くなっていた
D:完全に腐食しており、撥インク層が剥離していた
【0024】
<評価試験結果>
上記▲1▼〜▲3▼の試験結果を表−2に纏める。
【0025】
【表2】
評価試験▲1▼〜▲2▼の結果より、ベンゾトリアゾールと緩衝剤をインク中に添加することで、評価機が高温で長期間放置された後も安定的に吐出することが分かる。また、緩衝剤の中でもトリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタンが特にこの効果に優れていることが分かる。
【0026】
一方、比較例からはベンゾトリアゾール、緩衝剤単独でも吐出安定性保持効果があることが分かるが、その効果はわずかなものであった。又、非吐出のノズル表面を観察したところ、撥インク層が腐食・剥離していた。
【0027】
実施例、比較例からベンゾトリアゾールと緩衝剤の同時添加でこの効果が著しく大きくなることが分かる。
【0028】
評価試験▲3▼も同様にベンゾトリアゾールと緩衝剤の同時添加で撥インク層腐食防止効果が著しく向上することがわかる。
Claims (6)
- 少なくともモノクロトリアジン系反応染料からなる反応染料、ベンゾトリアゾール、緩衝剤、多価アルコール、界面活性剤および水を含んでなるインクジェット捺染用インク。
- 前記緩衝剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである請求項1に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記反応染料がC.I.リアクティブオレンジ12、13、およびC.I.リアクティブブルー49、176から選ばれる一種以上である請求項1または2に記載のインクジェット捺染用インク。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載のインクを、ノズル表面に撥インク処理を施してなるプリントヘッドに充填して印捺するインクジェット捺染方法。
- 前記プリントヘッドがピエゾ振動子型である請求項4に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記撥インク処理がフッ素系樹脂とニッケル系金属の混合体からなる、請求項4または5に記載のインクジェット捺染方法。
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