JP6158011B2 - インクジェット捺染用オレンジインク組成物及び繊維の捺染方法 - Google Patents
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Description
ポリエステル繊維等の疎水性繊維布は、一般に水に不溶性の色材により染色される。従って、インクジェット記録方法により疎水性繊維を捺染するための水性インクとしては、一般に水不溶性色材を水中に分散し、分散安定性等の性能が良好な分散インクを用いる必要がある。
色のり等を用いる従来の捺染方法は、目的とする色を再現するために使用する染料の種類や数に制限は無く、例えば複数種類の同じ色相の染料を配合すること等も自由に行うことができた。
これに対してインクジェット捺染は、通常3〜4色の基本色となるインクセットで様々な色を再現しなくてはならず、色再現範囲の拡大は、1つの大きな課題である。この要求に対する提案の1つとして、基本色以外の色相のインクを追加して5色以上のインクセットとすることにより、色再現範囲を拡大することが行われている。この基本色以外の色は、一般に「特色」等と呼称される。
また、これに加えて衣料用途への拡大に伴い、これを着用する人体、及び衣料の製造過程における人体や環境への安全性が重視されてきており、安全性の高い染料及びこれを含有するインクの提供も期待されている。
1)
C.I.Solvent Orange 60を着色剤として含有するインク組成物。
2)
インク組成物が含有する着色剤の全てがC.I.Solvent Orange 60である上記1)に記載のインク組成物、
3)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記1)又は2)に記載のインク組成物。
4)
25℃におけるインク組成物の粘度が3〜20mPa・sの範囲である上記1)及至3)のいずれか一項に記載のインク組成物。
5)
上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより疎水性繊維に付着させる工程Aと、工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、を含む疎水性繊維の捺染方法。
6)
1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を少なくとも含む水溶液を、インクを付着させる前の繊維に付与する、繊維の前処理工程をさらに含む上記5)に記載の疎水性繊維の捺染方法。
7)
上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させて記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に疎水性繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を疎水性繊維に転写する、疎水性繊維の捺染方法。
8)
上記5)乃至7)のいずれか一項に記載の疎水性繊維の捺染方法により得られる、染色された疎水性繊維。
本明細書においては実施例等を含めて、特に断りの無い限り「部」及び「%」は、いずれも質量基準である。
前記インク組成物の色を、望みの色調に微調整する目的等により、本発明の効果を阻害しない範囲でSO60以外の着色剤を、さらに含有してもよい。そのような着色剤としては、「C.I.Disperse」及び「C.I.Solvent」として、カラーインデックス番号が付与されている染料から選択される着色剤が挙げられる。これらの着色剤の色としては、Yellow、Orange、及び、Redから選択される染料が好ましい。
前記インク組成物は、SO60以外の着色剤を含有してもよいが、人体や環境に対する安全性に着目すると、インク組成物が含有する着色剤の全てがSO60であることが好ましい。
前記インク組成物は、保存安定性、及びインクジェットプリンタからの吐出精度等への悪影響を少なくする目的で、不純物、中でも無機不純物の含有量の少ないものが好ましい。
無機不純物としては、金属陽イオンの塩化物、例えば塩化ナトリウム;硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム;等が挙げられる。
これらの無機不純物を除去する方法としては、逆浸透膜による方法;着色材の乾燥品あるいはウエットケーキ等を、アセトン、メタノール、ジメチルスルホキシド等の水溶性有機溶剤、又は含水したこれらの水溶性有機溶剤中に加え、懸濁精製又は晶析する方法;等が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。多価アルコール類としては、例えばアルコール性水酸基を2〜3個有するC2〜C6多価アルコール及び、ジ又はトリC2〜C3アルキレングリコール若しくは繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2〜C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール等が挙げられる。それらの具体例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
また、水に溶解して湿潤剤としての役割をする化合物等も、便宜上本発明では水溶性有機溶剤に含めるものとし、例えば尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。
保存安定性を考慮すると、分散染料や油溶性染料の溶解度が小さい溶剤が好ましく、これらの中でも特にグリセリンと、グリセリン以外の溶剤(好ましくはグリセリン以外の多価アルコール)とを併用するのが好ましい。
インク組成物の総質量中における、水溶性有機溶剤の総含有量は、5〜40%、好ましくは10〜30%添加するのが好ましい。
また、分散剤と界面活性剤は単に呼称が違う場合もあり、具体的に同じ物質を指すこともある。分散剤の種類としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等が挙げられる。これらの中では、アニオン及びノニオン分散剤から選択される、少なくとも1種類の分散剤が好ましい。
芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸;クレゾールスルホン酸;フェノールスルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;β−ナフトールスルホン酸;β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸;クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸;リグニンスルホン酸;等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;リグニンスルホン酸;の各ホルマリン縮合物が好ましい。
これらは様々な商品名の市販品として入手することができる。その一例として、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールN;クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールC;特殊芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールSN−B(いずれも花王株式会社製);等が挙げられる。
クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンWシリーズ;メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンANシリーズ(いずれも第一工業製薬株式会社製);等が挙げられる。
これらの中ではデモールN、ラベリンAN、ラベリンWが好ましく、デモールN、ラベリンWがより好ましく、ラベリンWがさらに好ましい。市販品として入手することができるリグニンスルホン酸は、例えばバニレックスN、バニレックスRN、バニレックスG、パールレックスDP(いずれも日本製紙株式会社製)等が挙げられ、これらの中ではバニレックスRN、バニレックスN、バニレックスGが好ましい。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)の共重合体としては、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体が好ましく挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸(エステル)」とは、本明細書においてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルを含む意味として、また「(無水)マレイン酸」とは、無水マレイン酸とマレイン酸を含む意味として、それぞれ用いる。芳香族炭化水素基を含む化合物との共重合には、これらのうち単一の化合物を使用してもよいし、これらの中から複数を併用してもよい。また、共重合を行うときに、(無水)マレイン酸を加えて、芳香族炭化水素基を含む化合物、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体としてもよい。
着色剤との相互作用を強くする目的で、共重合体が分子中に有する疎水性部分としては芳香族炭化水素基を含む化合物を用いるのが好ましい。その芳香族炭化水素基としてはフェニル基、フェニレン基、ナフチル基、、ナフタレン‐ジイル基が好ましく、フェニル基又はフェニレン基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
これらの共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。
なお(α‐メチル)スチレンとは本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
市販品として入手できる、これらの共重合体の具体例としては、例えばBASF社製の、ジョンクリル67、68、586、611、678、680、682、683、690等が挙げられ、これらの中ではジョンクリル68、678、682、683、690が好ましい。
これらの中では、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物としては、フィトステロール類のC2〜C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「フィトステロール類」と記載したときは、フィトステロール又は水添フィトステロールの両者を含む意味である。例えばフィトステロール類のエチレンオキサイド付加物としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物又は水添フィトステロールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、コレスタノール類のC2〜C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「コレスタノール類」と記載したときは、コレスタノール類又は水添コレスタノール類の両者を含む意味である。例えばコレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としてはコレスタノールのエチレンオキサイド付加物又は水添コレスタノールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
フィトステロール類又はコレスタノール類1モル当たりのアルキレンオキサイド、好ましくはC2〜C4アルキレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイドの付加量は10〜50モル程度で、HLBが13〜20程度のものが好ましい。
市販品として入手できるフィトステロール類エチレンオキサイド付加物としては、例えばNIKKOL BPS−20、NIKKOL BPS−30(いずれも日光ケミカルズ株式会社製、フィトステロールのEO付加物)、NIKKOL BPSH−25(同、水素添加フィトステロールのEO付加物)等が、また、コレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としては、例えばNIKKOL DHC−30(同、コレスタノールのEO付加物)等が挙げられる。
染料の水性分散液を調製する方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて、分散液を構成する各成分を撹拌混合する等の公知の方法が挙げられる。
染料の分散液を調製するときに、発泡が生じることがある。このため、必要に応じてシリコーン系;アセチレンアルコール系;等の消泡剤を、分散液の調製時に添加してもよい。但し、消泡剤には染料等の分散・微粒子化を阻害するものもあるため、微粒子化や分散液の安定性等に影響を及ぼさないものを使用するのが好ましい。好ましい消泡剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(SK−14等);エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、DF−110D等);等が挙げられる。
インク調製剤としては、界面活性剤、防腐防黴剤、及びpH調整剤等が挙げられ、本発明の効果を阻害しない範囲で添加してもよい。
市販品の一例としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(E1004、E1010等)、エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(420、440、465等)、株式会社日本触媒製のソフタノールシリーズ(EP5035等)、花王株式会社製のエマルゲンシリーズ(A−60等)等が挙げられる。
また、同様に水性有機溶剤の含有量は通常10〜50%、好ましくは15〜50%、より好ましくは20〜50%、さらに好ましくは30〜50%である。
また、同様にインク調製剤の含有量としては、水性インク組成物の総質量に対して、インク調整剤の合計で通常0〜25%、好ましくは0.01〜20%である。
また、D90としては通常160nm〜350nm、好ましくは160nm〜300nm、より好ましくは160nm〜250nm、さらに好ましくは160nm〜200nm程度である
1つ目の方法は、ダイレクトプリント又はダイレクト捺染等と呼称される方法であり、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより疎水性繊維に付着させることにより、文字及び絵柄等の画像情報を疎水性繊維に形成する工程Aと、
前記工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、
繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、の3工程を少なくとも含む、疎水性繊維の捺染方法である。
工程Bは、一般的には公知のスチーミング又はベーキングによって行われる。
スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃、通常10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃、通常20分程度;それぞれ疎水性繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(湿熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。
ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃、通常60秒〜120秒程度、疎水性繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(乾熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。
工程Cは、得られた繊維を、温水、及び必要に応じて水により洗浄する工程である。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含んでもよい。
洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。
前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させることにより、文字及び絵柄等の記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に疎水性繊維を接触させ、熱処理することにより、中間記録媒体に記録された文字、絵柄等の記録画像を疎水性繊維に転写する、疎水性繊維の捺染方法である。
中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着したインク組成物中の着色剤が、その表面で凝集せず、且つ疎水性繊維へ記録画像の転写を行うときに、着色剤の昇華を妨害しないものが好ましい。
そのような中間記録媒体の一例としては、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が表面に形成されている紙が挙げられ、インクジェット用の専用紙等を用いることができる。
中間記録媒体から疎水性繊維へ、記録画像を転写するときの熱処理としては、通常190〜200℃程度での乾熱処理が挙げられる。
前処理を施す工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤の水溶液を前処理液として用い、繊維を前処理液に含浸させて付与するのが好ましい。
上記糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等があげられる。好ましくはアルギン酸ソーダがあげられる。
上記アルカリ性物質としては、例えば無機酸または有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物が挙げられ、無機又は有機の、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム化合物及びカリウム化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機化合物のアルカリ金属塩;蟻酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム等の有機化合物のアルカリ金属塩;等が挙げられる。好ましくは、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
上記還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
上記ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等の尿素類等があり、好ましくは尿素が挙げられる。
上記糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単一の化合物を使用してもよいし、それぞれ複数の化合物を併用してもよい。
前処理液の総質量中における各前処理剤の混合比率は、例えば、いずれも質量基準で、糊剤が0.5〜5%、炭酸水素ナトリウムが0.5〜5%、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが0〜5%、尿素が1〜20%、残部が水である。
前処理剤のセルロース系繊維への付与は、たとえばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
これらの疎水性繊維としては、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような疎水性繊維も同様に含まれる。インク受容層の形成方法は公知技術であり、インク受容層を有する繊維も市販品として入手が可能である。インク受容層の材質や構造等は、特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
[分散液の調製]
下記表1に記載の成分をサンドミルに入れ、水冷下、0.2mm径のガラスビーズを用いて約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を加え、液中の染料含有量を15%に調製した。この液をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過することにより、染料濃度が約15%の分散液1及び2をそれぞれ得た。
SO60:C.I.Solvent Orange 60。
DO25:C.I.Direct Orange 25。
前記分散液の調製例で得た分散液1及び分散液2を用い、下記表2に記載の各成分を混合した後、5μmのメンブレンフィルターで夾雑物を濾別することにより、各実施例のインク組成物を得た。いずれのインク組成物も着色剤の総含有量が4%となるように調整した。
実施例1のインクを使用してインクジェットプリンタPX−105(セイコーエプソン社製)にてベタ柄を中間記録媒体である転写紙へ印刷した。得られた転写紙のインク組成物の付与面を、所定の大きさ(35cm×40cm)に裁断し、同じ大きさのポリエステル布(ポンジ)と重ね合わせた後、太陽精機株式会社製トランスファープレス機TP−600A2を用いて200℃×60秒の条件にて熱処理し、転写紙からポリエステル布へ昇華転写捺染を行った。得られた染色されたポリエステル布を、染布1とする。
実施例1のインクの代わりに、比較例1のインクを用いる以外は前記と同様にして、染色されたポリエステル布を得た。得られた染色されたポリエステル布を、比較染布1とする。
得られた染布、及び比較染布を試験染布として用い、下記する評価試験を行った。
スガ試験機(株)社製、商品名:低温キセノンウェザオメーターXL75を用い、10万Lux照度、湿度60%RH、温度24℃の条件下に、各試験染布を24時間放置した。試験前後の各試験染布を、測色機を用いて測色し、試験前後の着色剤の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)の式で求めた。
測色機はGRETAG−MACBETH社製、商品名:SpectroEyeを用い、試験前と試験後のΔE値を測色することにより測定した。ΔEは、小さいほど変色の度合いが低いことを示し、優れた結果であることを意味する。
結果を下記表3に示す。
上記のようにして得た各試験染布の色相a*及びb*を、前記の測色機により測定し、彩度C*を下記式より算出した。結果を下記表3に示す。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2。
非GLPのスクリーニング試験として、日本国内のガイドラインに従い、菌株としてTA100とTA98を用い、S9mixの存在下及び非存在下に、被検サンプル濃度を各5濃度の条件に設定し復帰突然変異試験を行った。結果を下記表3に示す。
なお、本試験の被検サンプルとしては、染料そのものを使用した。
Claims (7)
- C.I.Solvent Orange 60を着色剤として含有し、更に、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物と、アセチレンアルコール消泡剤を含有するインク組成物。
- インク組成物が含有する着色剤の全てがC.I.Solvent Orange 60である請求項1に記載のインク組成物。
- 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 25℃におけるインク組成物の粘度が3〜20mPa・sの範囲である請求項1及至3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより疎水性繊維に付着させる工程Aと、工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、を含む疎水性繊維の捺染方法。
- 1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を少なくとも含む水溶液を、インクを付着させる前の繊維に付与する、繊維の前処理工程をさらに含む請求項5に記載の疎水性繊維の捺染方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させて記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に疎水性繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を疎水性繊維に転写する、疎水性繊維の捺染方法。
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