JP2017043739A - インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 - Google Patents

インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 Download PDF

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由美 白鳥
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俊太 三澤
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Abstract

【課題】彩度が高い画像を与えるインクセット、それを用いるインクジェット記録方法、及び繊維の捺染方法の提供。【解決手段】水と、式(1)で表される水不溶性の着色剤を含有する第1インク組成物、水と、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料とを含有する第2インク組成物、及び、水と、アンスラキノン染料を含有する第3インク組成物とを備えるインクセット。(X1〜X5は夫々独立にアルコキシ基、H、アルキル基又はハロゲン原子)【選択図】なし

Description

本発明は、インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法に関する。
インクジェット記録方法は、従来のスクリーン印刷等の印刷方法と比較して、無製版であること;省資源であること;省エネルギーであること;及び高精細表現が容易であること;等の利点がある。
インクジェット記録に用いられる着色剤は、例えば、水溶性の染料等と、水不溶性の顔料・分散染料等が知られている。一般に、前者を使用すると記録画像の画質が良好となり、後者を使用すると各種の堅牢性が良好になると言われている。
インクジェット記録には、通常、イエロー、マゼンタ、及びシアンの3色、若しくは、これにブラックを加えた4色のインクセットが用いられている。しかしながら、インクジェット記録の用途が拡大するのに伴い、インクジェット記録に用いる着色剤及びこれを含有するインクには、各種の性能が要求されるようになった。そのような性能として、プリンタからの吐出安定性、記録画像の堅牢性、彩度や明度の高さ、色再現範囲の拡大、印字濃度の高さ等が挙げられる。
繊維の捺染においては、例えば、色のり等を用いる従来の捺染方法がある。この方法では、目的とする色を再現するために使用する染料の種類や数に制限が無い。このため、同じ色相の染料を多数配合することにより、望みの色相を自由に得ることができた。
一方、インクジェット記録は、前記のとおり3〜4色のインクセットで様々な色を再現しなくてはならない。このため、色再現範囲の拡大は1つの大きな課題である。その解決方法として、例えば、複数の着色剤を配合する方法;「特色」等と呼ばれるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色相のインクを追加し、4色以上(例えば6色)のインクセットとする方法;等が提案されている。
しかしながら、市場の要求を十分に満足するインクセットは未だ見出されていない。
特許文献1及び2には、本明細書の式(1)で表される水不溶性の着色剤に相当する分散染料を含む、分散染料組成物が開示されている。
国際公開2012/073696号公報 国際公開2013/018713号公報
本発明は、彩度が高い画像を与えるインクセット、それを用いるインクジェット記録方法、及び繊維の捺染方法の提供を課題とする。
本発明者等は前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の着色剤を含有するインクセットにより前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の1)〜14)に関する。
1)
水と、下記式(1)で表される水不溶性の着色剤を含有する第1インク組成物、水と、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料とを含有する第2インク組成物、及び、水と、アンスラキノン染料を含有する第3インク組成物とを備えるインクセット。
Figure 2017043739
(式中、X〜Xは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子よりなる群から選択される基を表す。)。
2)
第1インク組成物、及び第2インク組成物の両方が含有する着色剤の全てが、380nm〜580nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である上記1)に記載のインクセット。
3)
第1インク組成物、及び第2インク組成物の両方が含有する着色剤の全てが、400nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である上記1)に記載のインクセット。
4)
第3インク組成物が含有する着色剤の全てが、550nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
5)
第3インク組成物が含有する着色剤の全てが、610nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である上記1)に記載のインクセット。
6)
第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物が含有する着色剤の全てが、水不溶性の着色剤である上記1)〜5)のいずれか一項に記載のインクセット。
7)
分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料が、C.I.Disperse Yellow 54である上記1)に記載のインクセット。
8)
アンスラキノン染料が、C.I.Disperse Blue 359である上記1)に記載のインクセット。
9)
第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物のそれぞれが、分散剤、及び水溶性有機溶剤をさらに含有する、上記1)〜8)のいずれか一項に記載のインクセット。
10)
第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物の25℃における粘度が、いずれも2〜20mPa・sである上記9)に記載のインクセット。
11)
上記1)〜10)のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
12)
被記録材が繊維である、上記11)に記載のインクジェット記録方法。
13)
被記録材が繊維であり、且つ、該繊維が1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤を含有する水溶液が付与された繊維である、上記11)に記載のインクジェット記録方法。
14)
上記1)〜10)のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、中間記録媒体に付着させることにより記録画像を得た後、該中間記録媒体における各インク組成物の液滴の付着面に繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を繊維に転写する、繊維の捺染方法。
本発明により、彩度が高い画像を与えるインクセット、それを用いるインクジェット記録方法、及び繊維の捺染方法を提供することができた。
本明細書においては実施例等を含めて、特に断りの無い限り「部」及び「%」は、いずれも質量基準である。
前記式(1)で表される水不溶性の着色剤(以下、「式(1)の着色剤」ともいう。)中、X〜Xにおけるアルキル基としては直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましい。
その炭素数の範囲としては通常C1−C8、C1−C6が好ましく、C1−C4がより好ましい。また、前記インク組成物を昇華転写捺染に用いるときは、C1−C4アルキル基がさらに好ましい。
〜Xにおけるアルコキシ基としては直鎖、分岐鎖又は環状アルコキシ基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖アルコキシ基が好ましい。
その炭素数の範囲としては通常C1−C8、C1−C6が好ましく、C1−C4がより好ましい。また、前記インク組成物を昇華転写捺染に用いるときは、C1−C4アルコキシ基が特に好ましい。
〜Xにおけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中ではフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
〜Xとしては、そのうちの1つ〜3つが水素原子以外の基であるのが好ましく、1つ又は2つが水素原子以外の基であるのがより好ましく、1つが水素原子以外の基であるのがさらに好ましい。
〜Xとしては、少なくとも1つのアルコキシ基を有するのが好ましく、水素原子、アルキル基及びアルコキシ基よりなる群から選択される基がより好ましく、水素原子及びアルコキシ基よりなる群から選択される基がさらに好ましい。
前記分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料、及びアンスラキノン染料がどのような染料を意味するかは、例えばカラーインデックスインターナショナルに代表されるデータベース等により、当業者であれば周知である。
以下、特に断りの無い限り、「インク組成物」と記載したときは、「第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物」の全てを含む意味とする。
前記インクセットにより得られる記録画像を、例えば、望みの色調に微調整したいときがある。そのようなときは、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記インク組成物、インク組成物は、前記以外の着色剤をさらに含有することができる。
前記以外の着色剤の種類は特に制限されず、水溶性の着色剤、及び水不溶性の着色剤から選択される、任意の着色剤を用いることができる。
前記インク組成物が含有することができる着色剤の種類は、特に制限されない。その目安としては通常2種類〜5種類、好ましくは2種類〜4種類、より好ましくは2種類〜3種類、さらに好ましくは2種類である。
水溶性の着色剤としては、C.I.番号を有する酸性染料、直接染料、反応染料、及び、公知の酸性染料、直接染料、反応染料等が挙げられる。これらの中ではC.I.番号を有する酸性染料、直接染料、及び反応染料から選択するのが好ましい。
水不溶性の着色剤としては、C.I.番号を有する顔料、分散染料、溶剤染料、及び公知の顔料、分散染料、溶剤染料等が挙げられる。これらの中ではC.I.番号を有する分散染料、及び溶剤染料が好ましく、分散染料がさらに好ましい。
前記の中では水不溶性の着色剤が好ましい。なお、本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃において、1リットルの水に対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下の着色剤を意味する。また、本明細書において、水溶性の着色剤とは、水不溶性の着色剤以外の水に対する溶解度を有する着色剤を意味する。
前記第1インク組成物、及び/又は第2インク組成物が含有する着色剤は、特定の最大吸収波長(以下「λmax」ともいう。)を有する着色剤が好ましい。その範囲は通常380nm〜580nm、好ましくは400nm〜450nmである。
また、着色剤の色相は通常イエロー、オレンジ及びレッド、好ましくはイエロー及びオレンジ、より好ましくはイエローである。前記第1インク組成物、及び/又は第2インク組成物が、オレンジ及びレッドの色相の着色剤を含有するときは、さらにイエローの色相の着色剤を含有し、インク組成物の色相としてはイエローとするのが好ましい。
第1インク組成物が含有する着色剤が2種類以上のとき、第1インク組成物が含有する着色剤の総質量中、式(1)の着色剤の質量に対して、それ以外の着色剤の質量の総和は通常1%〜40%、好ましくは1%〜30%、より好ましくは1%〜20%、さらに好ましくは1%〜15%程度である。
第2インク組成物が含有する着色剤が2種類以上のとき、第2インク組成物が含有する着色剤の総質量中、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料の質量に対して、それ以外の着色剤の質量の総和は通常1%〜40%、好ましくは1%〜30%、より好ましくは1%〜20%、さらに好ましくは1%〜15%程度である。
前記第3インク組成物が含有する着色剤は、λmaxを有する着色剤が好ましい。その範囲は通常550nm〜680nm、好ましくは610nm〜680nmである。
また、着色剤の色相は通常レッド及びブルー、好ましくはブルーである。また、第3インク組成物がレッドの色相の着色剤を含有するときは、さらにブルーの色相の着色剤を含有し、第3インク組成物としての色相はブルーであるのが好ましい。
第3インク組成物が含有する着色剤が2種類以上のとき、第3インク組成物が含有する着色剤の総質量中、アンスラキノン染料の質量に対して、それ以外の着色剤の質量の総和は通常1%〜40%、好ましくは1%〜30%、より好ましくは1%〜20%、さらに好ましくは1%〜15%程度である。
前記のうち、第1インク組成物が含有する着色剤の全てが、水不溶性の着色剤であるのが好ましい。
また、第1インク組成物が含有する着色剤の全てが、水不溶性の着色剤であるのが好ましく、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料としては、水不溶性のキノリン染料が好ましく、中でもC.I.Disperse Yellow 54が特に好ましい。
前記のうち、第3インク組成物が含有する着色剤の全てが、水不溶性の着色剤であるのが好ましい。
また、アンスラキノン染料としては、水不溶性のアンスラキノン染料が好ましく、中でもC.I.Disperse Blue 359が特に好ましい。
また、第3インク組成物が含有する着色剤は1種類であるのが好ましい。
前記の着色剤は、様々な形態と品質のものが市販されている。一般的に、それらの着色剤は、製造方法、製品中の着色剤の含有量、不純物の種類等がそれぞれ異なる。このため、必要に応じて入手した着色剤を精製することができる。
着色剤の精製は、無機不純物の除去等を目的として行われる。
無機不純物としては、金属陽イオンの塩化物、例えば塩化ナトリウム;硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム;等が挙げられる。
これらの無機不純物を除去する方法としては、逆浸透膜による方法;着色剤の乾燥品あるいはウエットケーキ等を、アセトン、メタノール、ジメチルスルホキシド等の水溶性有機溶剤、又は含水の水溶性有機溶剤中に加え、懸濁精製又は晶析する方法;イオン交換樹脂を用いる方法;等の公知の方法が挙げられる。
前記インク組成物は、水を含有することから明らかなように、水性インク組成物である。一方、このインク組成物は水不溶性の着色剤を含有する。このため、着色剤をインク組成物中に均一に分散する目的で、分散剤を含有するのが好ましい。また、例えばインクジェットプリンタでの使用を考慮すると、ノズルでの目詰まり防止等を目的として、水溶性有機溶剤を含有するのが好ましい。
分散剤としては、公知の分散剤、界面活性剤、樹脂分散剤等を用いることができる。
また、分散剤と界面活性剤は単に呼称が違う場合もあり、具体的に同じ物質を指すこともある。分散剤の種類としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等が挙げられる。これらの中では、アニオン及びノニオン分散剤から選択される、少なくとも1種類の分散剤が好ましい。
アニオン分散剤としては、例えば、高分子スルホン酸、好ましくは芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩、若しくはそれらの混合物(以下、特に断りの無い限り「スルホン酸のホルマリン縮合物」と記載したときは、「その塩、若しくはそれらの混合物」も含む意味を有する)等が好ましい。「その塩」としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等の塩が挙げられる。
芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸;クレゾールスルホン酸;フェノールスルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;β−ナフトールスルホン酸;β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸;ベンゼンスルホン酸;クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸;リグニンスルホン酸;等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;リグニンスルホン酸;の各ホルマリン縮合物が好ましい。
これらは様々な商品名の市販品として入手することができる。その一例として、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールN;クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールC;特殊芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールSN−B(いずれも花王株式会社製);等が挙げられる。
クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンWシリーズ;メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンANシリーズ(いずれも第一工業製薬株式会社製);等が挙げられる。
これらの中ではデモールN、ラベリンAN、ラベリンWが好ましく、デモールN、ラベリンWがより好ましく、ラベリンWがさらに好ましい。市販品として入手することができるリグニンスルホン酸は、例えばバニレックスN、バニレックスRN、バニレックスG、パールレックスDP(いずれも日本製紙株式会社製)等が挙げられ、これらの中ではバニレックスRN、バニレックスN、バニレックスGが好ましい。
また、必要に応じて共重合体のアニオン分散剤(すなわち、アニオン分散剤として使用できる共重合体)を用いることができる。そのような分散剤の好ましいものとしては、芳香族炭化水素基を含む化合物と、(メタ)アクリル酸(エステル)との共重合体;芳香族炭化水素基を含む化合物と、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体;等が挙げられる。場合により、これらは樹脂分散剤として分類されることもある。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)の共重合体としては、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体が好ましく挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸(エステル)」とは、本明細書においてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルを含む意味として、また「(無水)マレイン酸」とは、無水マレイン酸とマレイン酸を含む意味として、それぞれ用いる。芳香族炭化水素基を含む化合物との共重合には、これらのうち単一の化合物を使用することも、これらの中から複数を併用することもできる。また、共重合を行うときに、(無水)マレイン酸を加えて、芳香族炭化水素基を含む化合物、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体とすることもできる。
着色剤との相互作用を強くする目的で、共重合体が分子中に有する疎水性部分としては芳香族炭化水素基を含む化合物を用いるのが好ましい。その芳香族炭化水素基としてはフェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ナフタレン‐ジイル基が好ましく、フェニル基又はフェニレン基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
これらの共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。
なお(α‐メチル)スチレンとは本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
市販品として入手できる、これらの共重合体の具体例としては、例えばBASF社製の、ジョンクリル67、68、586、611、678、680、682、683、690等が挙げられ、これらの中ではジョンクリル68、678、682、683、690が好ましい。
ノニオン分散剤としては、例えば、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、及び、これらの置換誘導体等が挙げられる。
これらの中では、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物としては、フィトステロール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「フィトステロール類」と記載したときは、フィトステロール又は水添フィトステロールの両者を含む意味である。例えばフィトステロール類のエチレンオキサイド付加物としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物又は水添フィトステロールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、コレスタノール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「コレスタノール類」と記載したときは、コレスタノール類又は水添コレスタノール類の両者を含む意味である。例えばコレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としてはコレスタノールのエチレンオキサイド付加物又は水添コレスタノールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
フィトステロール類又はコレスタノール類1モル当たりのアルキレンオキサイド、好ましくはC2‐C4アルキレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイドの付加量は10〜50モル程度で、HLBが13〜20程度のものが好ましい。
市販品として入手できるフィトステロール類エチレンオキサイド付加物としては、例えばNIKKOL BPS−20、NIKKOL BPS−30(いずれも日光ケミカルズ株式会社製、フィトステロールのEO付加物)、NIKKOL BPSH−25(同、水素添加フィトステロールのEO付加物)等が、また、コレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としては、例えばNIKKOL DHC−30(同、コレスタノールのEO付加物)等が挙げられる。
カチオン分散剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
両性分散剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
前記以外の樹脂分散剤としては、スチレン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体、フマール酸及びその誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つの単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体、並びにこれらの塩等を挙げることができる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。多価アルコール類としては、例えばアルコール性水酸基を2つ〜3つ有するC2−C6多価アルコール;及び、ジ又はトリC2−C3アルキレングリコール、若しくは繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2−C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール;等が挙げられる。それらの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオールグリセリン、トリメチロールプロパン、等のアルコール性水酸基を2つ〜3つ有するC2−C6多価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ又はトリC2−C3アルキレングリコール、若しくは繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2−C3アルキレングリコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;等が挙げられる。
また、水に溶解して湿潤剤としての役割をする化合物等も、便宜上本発明では水溶性有機溶剤に含めるものとし、例えば尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。
保存安定性を考慮すると、インクが含有する着色剤の溶解度が小さい溶剤が好ましい。そのような水溶性有機溶剤としては、前記のうちグリセリンと、グリセリン以外の溶剤(好ましくはグリセリン以外の多価アルコール類)とを併用するのが好ましい。
前記インク組成物の調製方法は特に制限されず、任意の公知の方法等を使用することができる。例えば、着色剤と、分散剤と、水とから着色剤の水性分散液を調製した後に、水溶性有機溶剤等のインク調製剤を加える方法等が挙げられる。
着色剤の水性分散液を調製する方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて、分散液を構成する各成分を撹拌混合する等の公知の方法が挙げられる。
着色剤の分散液を調製するときに、発泡が生じることがある。このようなときは、必要に応じてシリコーン系;アセチレンアルコール系;等の消泡剤を、分散液の調製時に添加することができる。但し、消泡剤には着色剤等の分散・微粒子化を阻害するものもあるため、微粒子化や分散液の安定性等に影響を及ぼさないものを使用するのが好ましい。好ましい消泡剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(SK−14等);エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、DF−110D等);等が挙げられる。
前記インク組成物を調製する方法としては、例えば、前記の水性分散液、水溶性有機溶剤、及び必要に応じてインク調製剤を加えて混合する方法等が挙げられる。これらを混合する順番は特に制限されない。
インク調製剤としては、界面活性剤、防腐防黴剤、及びpH調整剤等が挙げられ、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
界面活性剤としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等の界面活性剤が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。また、好ましい市販品としては、アデカコールシリーズ(EC−8600等、株式会社アデカ製)、ハイテノールシリーズ(NE−15等、第一工業製薬株式会社製)、ペレックスシリーズ(OT−P等、花王株式会社)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
市販品の一例としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(E1004、E1010等)、エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(420、440、465等)、株式会社日本触媒製のソフタノールシリーズ(EP5035等)、花王株式会社製のエマルゲンシリーズ(A−60等)等が挙げられる。
防腐防黴剤としては例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が挙げられる。
pH調整剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ類;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の3級アミン類;等が挙げられる。
水性分散液中に含有する着色剤の含有量としては、水性分散液の総質量に対して通常10〜60%、好ましくは20〜50%、より好ましくは20〜40%である。また、同様に分散剤の含有量は通常1〜36%、好ましくは5〜30%、より好ましくは5〜20%である。
前記インク組成物が含有する、水性分散液、水溶性有機溶剤、及びインク調製剤の含有量は、インクの総質量に対して、それぞれ以下の通りである。
水性分散液の含有量は通常2〜35%、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜30%である。
水溶性有機溶剤の含有量は通常0〜60%、好ましくは5〜50%である。
インク調製剤の含有量は、インク調製剤の合計で通常0〜25%、好ましくは0.01〜20%である。
前記インク組成物中に含有する着色剤の平均粒子径は、D50としては通常50nm〜250nm、好ましくは50nm〜200nmである。
また、D90としては通常160nm〜350nm、好ましくは160nm〜300nm程度である
前記インク組成物は、高速での吐出応答性を良好にするため、25℃における粘度はE型粘度計にて測定したときに通常2〜20mPa・s程度であるのが好ましい。また表面張力は、プレート法にて測定したときに通常20〜45mN/mの範囲が好ましい。なお、実際には、使用するプリンタの吐出量;応答速度;インク液滴の飛行特性;等を考慮し、適切な物性値に調整することが好ましい。
前記インク組成物は、必要に応じてメンブランフィルター、ガラス濾紙等を用いて精密濾過し、夾雑物等を除去することができる。精密濾過を行うとき、フィルター等の孔径は通常0.5μm〜20μm、好ましくは0.5μm〜10μm程度である。また、前記の分散液も、同様に精密濾過を行うことができる。
前記インクジェット記録方法は、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタを用いて吐出させ、被記録材に付着させることにより記録を行う方法である。
被記録材としては、例えば紙、フィルム等の記録用メディア;繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等);皮革;カラーフィルター用基材;等の被記録材が好ましく挙げられる。
記録用メディアとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたもの、及び、インク受容層を特に設けていないものの両方が挙げられる。
被記録材が繊維のとき、繊維としては疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維としては、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維、木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、それらの混紡繊維が疎水性繊維を含有する限り、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。
これらの疎水性繊維としては、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような疎水性繊維も同様に、本明細書における疎水性繊維に含まれる。インク受容層の形成方法は公知技術であり、インク受容層を有する繊維も市販品として入手が可能である。インク受容層の材質や構造等は、特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
前記インク組成物は、繊維の捺染に使用するのが特に好ましい。
繊維の捺染方法は、一般に2つの種類に大別される。
1つ目の方法は、ダイレクトプリント又はダイレクト捺染等と呼称される方法である。この方法は、前記インクジェット記録方法において、被記録材が繊維であるインクジェット記録方法が挙げられる。好ましくは、被記録材が繊維であり、且つ、下記する1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤を含有する水溶液が、予め該繊維に付与された繊維であるインクジェット記録方法が挙げられる。この1種類以上の糊材等を含有する水溶液を繊維に付与する工程は、一般に「繊維の前処理工程」等と呼ばれる。
より具体的には、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維に付着させることにより、文字及び絵柄等の記録画像を繊維に形成する工程Aと、
前記工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、
繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、の3工程を少なくとも含む、繊維の捺染方法である。
工程Bは、一般的には公知のスチーミング又はベーキングによって行われる。
スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃で10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃で20分程度;の各条件で繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(湿熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。
ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃で60秒〜120秒程度の条件で繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(乾熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。
工程Cは、得られた繊維を、温水、及び必要に応じて水により洗浄する工程である。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含んでもよい。
洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。
2つ目の方法は、昇華転写プリント、昇華転写捺染等と呼称される方法である。この方法は、前記インク組成物の液滴の液滴を、インクジェットプリンタを用いて吐出させ、中間記録媒体に付着させることにより記録画像を得た後、該中間記録媒体におけるインク組成物の液滴の付着面に繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を繊維に転写する、繊維の捺染方法である。
より具体的には、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させることにより、文字及び絵柄等の記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に繊維を接触させ、熱処理することにより、中間記録媒体に記録された記録画像を繊維に転写する、繊維の捺染方法である。
中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着したインク組成物中の着色剤が、その表面で凝集せず、且つ繊維へ記録画像の転写を行うときに、着色剤の昇華を妨害しないものが好ましい。
そのような中間記録媒体の一例としては、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が表面に形成されている紙が挙げられ、インクジェット用の専用紙等を用いることができる。
中間記録媒体から繊維へ記録画像を転写するときの熱処理としては、通常170〜200℃程度での乾熱処理が挙げられる。
前記の捺染方法は、にじみ等を防止する目的で、繊維の前処理工程をさらに含んでもよい。この前処理工程としては、1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を少なくとも含む水溶液を、インク組成物を付着させる前の繊維に付与する工程が挙げられる。前記の捺染方法のうち、特に1つ目の方法においては、この前処理工程を施す方が好ましい。
前処理を施す工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤の水溶液を前処理液として用い、繊維を前処理液に含浸させて付与するのが好ましい。
前記糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等があげられる。好ましくはアルギン酸ソーダがあげられる。
前記アルカリ性物質としては、例えば無機酸又は有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物が挙げられ、無機又は有機の、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム化合物及びカリウム化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機化合物のアルカリ金属塩;蟻酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム等の有機化合物のアルカリ金属塩;等が挙げられる。好ましくは、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
前記還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
前記ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等の尿素類等があり、好ましくは尿素が挙げられる。
前記糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単一の化合物を使用してもよいし、それぞれ複数の化合物を併用してもよい。
前処理液の総質量中における各前処理剤の混合比率は、例えば、糊剤が0.5〜5%、アルカリ性物質が0.5〜5%、還元防止剤が0〜5%、ヒドロトロピー剤が1〜20%、残部が水である。
前処理剤を繊維へ付与する方法としては、例えば、パディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
本発明により、彩度、及び印字濃度の両方を相乗的に向上することができる。また、本発明のインク組成物により着色された画像は色再現性、演色性に優れる。また、本発明のインク組成物により着色された画像は各種の堅牢性、例えば、耐光性、汗耐光性、洗濯堅牢性、汗堅牢性等が良好である。さらに、本発明のインク組成物により明度、彩度が高く、色相も良好な画像が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、実施例により限定されるものではない。
[λmaxの測定]
着色剤のλmaxは、着色剤の希釈倍率が下記表1になるように、着色剤をアセトンに溶解させてサンプルを調製し、株式会社島津製作所製のUV−2700を用いて測定した。下記表1中の「Abs.」は、吸光度を意味する。
また、下記表1中の略号等は、以下の意味を有する。
式(1):前記式(1)で表され、X〜Xが水素原子、Xがメトキシ基である水不溶性の着色剤。
DY54:C.I.Disperse Yellow 54。
DB359:C.I.Disperse Blue 359。
Figure 2017043739
[水性分散液の調製]
下記表2に記載の各成分を混合し、0.2mmのビーズを加えた。得られた液をサンドミルに入れ、水冷下に2000rpm、20時間の条件で分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加えて希釈することにより、着色剤の濃度を15%に調整した各分散液を得た。
Figure 2017043739
[インク組成物の調製]
下記表3に記載の各成分を混合することにより、第1インク組成物であるY−1、第2インク組成物であるY−2、及び第3インク組成物であるB−1の3つのインク組成物を調製した。得られたインク組成物を5μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、評価試験用のインク組成物を得た。また、比較用として、式(1)の着色剤のみを含有するY−1、及び、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料のみを含有するY−2のインク組成物を調製した。
下記表3中、「D50」は平均粒子径を意味する。
Figure 2017043739
[染布の調製]
Y−1、Y−2及びB−1の各インク組成物をインクセットとし、インクジェットプリンタPX−105(セイコーエプソン社製)にて、表4に記載の割合でインクセットの各インク組成物を吐出したベタ柄を中間記録媒体である転写紙へ印刷した。得られた転写紙のインク組成物の付与面を10cm×10cmに裁断し、同じ大きさのポリエステル布(ポンジ)と重ね合わせた後、太陽精機株式会社製トランスファープレス機TP−600A2を用いて180℃×60秒の条件にて熱処理し、転写紙からポリエステル布へ転写捺染を行うことにより、染布1〜10を得た。
また、比較用として、Y−1とB−1、又はY−2とB−1の2色のインクセットを用い、下記表5に記載の割合でインクセットの各インク組成物を吐出した以外は前記と同様にして、比較用の比較染布1〜4を得た。
得られた各染布を試験染布とし、下記する評価試験を行った。
Figure 2017043739
Figure 2017043739
[染布の評価]
GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて各染布を測色し、反射濃度OD−C値とOD−Y値、a*値、及びb*値を測定した。a*値及びb*値から算出したC*値の結果を下記表6に示す。
反射濃度は数値の大きい方が印字(染色)濃度が高いことを示し、染色性能が優れる。またC*値については、大きい方が彩度が高いことを示し、画像品質として優れる。
Figure 2017043739
表6の結果から明らかなように、各実施例のインクセットは、彩度C*が各比較例より大きく、画像品質が優れることが確認された。
本発明により、彩度が高い記録画像が得られるインク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び繊維の捺染方法を提供することができるため、本発明はこれらの用途に極めて有用である。

Claims (14)

  1. 水と、下記式(1)で表される水不溶性の着色剤を含有する第1インク組成物、水と、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料とを含有する第2インク組成物、及び、水と、アンスラキノン染料を含有する第3インク組成物とを備えるインクセット。
    Figure 2017043739
    (式中、X〜Xは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子よりなる群から選択される基を表す。)。
  2. 第1インク組成物、及び第2インク組成物の両方が含有する着色剤の全てが、380nm〜580nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
  3. 第1インク組成物、及び第2インク組成物の両方が含有する着色剤の全てが、400nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
  4. 第3インク組成物が含有する着色剤の全てが、550nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
  5. 第3インク組成物が含有する着色剤の全てが、610nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
  6. 第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物が含有する着色剤の全てが、水不溶性の着色剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクセット。
  7. 分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料が、C.I.Disperse Yellow 54である請求項1に記載のインクセット。
  8. アンスラキノン染料が、C.I.Disperse Blue 359である請求項1に記載のインクセット。
  9. 第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物のそれぞれが、分散剤、及び水溶性有機溶剤をさらに含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクセット。
  10. 第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物の25℃における粘度が、いずれも2〜20mPa・sである請求項9に記載のインクセット。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  12. 被記録材が繊維である、請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 被記録材が繊維であり、且つ、該繊維が1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤を含有する水溶液が付与された繊維である、請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、第2インク組成物、及び第3インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、中間記録媒体に付着させることにより記録画像を得た後、該中間記録媒体における各インク組成物の液滴の付着面に繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を繊維に転写する、繊維の捺染方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018230076A1 (ja) * 2017-06-16 2018-12-20 コニカミノルタ株式会社 インクジェット捺染インク及びインクジェット捺染方法
JP2019001870A (ja) * 2017-06-13 2019-01-10 日本化薬株式会社 インクセット及びインクジェット記録方法。
JP2021038391A (ja) * 2020-10-14 2021-03-11 日本化薬株式会社 インクセット及びインクジェット記録方法。

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