JP6781668B2 - インクセット及びインクジェット記録方法。 - Google Patents

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Description

本発明は、インクセット、及びそれを用いるインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、従来のスクリーン印刷等の印刷方法と比較して、無製版であること;省資源であること;省エネルギーであること;及び、高精細な表現が容易であること等の利点がある。
インクジェット記録に用いられる着色剤としては、例えば、水溶性の染料と、水不溶性の顔料・分散染料等が知られている。一般に、前者を使用すると記録画像の画質が良好となり、後者を使用すると各種の堅牢性が良好になると言われている。
また、画像が記録される記録メディアは紙、フィルム等に限られず、繊維も用いられている。
色糊等を用いる従来の繊維の捺染方法は、着色剤の種類や数に制限が無い。このため、同じ色相の染料を多数配合することにより、望みの色相を自由に得ることができた。
一方、インクジェット記録方法を用いた繊維の捺染(インクジェット捺染)は、通常は着色剤としてイエロー、マゼンタ、及びシアンの3色、若しくは、これにブラックを加えた4色のインクセットで行われる。このため、色糊を用いる従来の捺染方法と比較して、色再現範囲が狭いという欠点が指摘されている。このため、インクジェット捺染における色再現範囲の拡大は、極めて大きな課題となっている。特に、イエローインクとシアンインクの混色として得られるグリーン領域において、発色性(印字濃度)と彩度の両方が高く、且つ、光による変色が少ない耐光性が良好な画像が得られるインクセットは、知られていない。また、人の視感度は、レッド領域よりもグリーン領域が高いことが知られている。このため、前記の性能を有するイエローとシアンのインクセットが強く要望されている。
特許文献1〜3には、それぞれ乾式染色法、分散染料混合物、及び分散染料組成物が開示されている。
特公昭57−2835号公報 特開2004−339514号 国際公開2013/018713号公報
本発明は、イエロー〜グリーン〜シアンの色相、特にシアンとイエローの混色であるグリーンの色相における耐光性に優れる、シアンインクとイエローインクのインクセット、及びそれを用いたインクジェット記録方法の提供を課題とする。
本発明者等は前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の着色剤を含有するシアンインクと、イエローインクとのインクセットにより、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の1)〜11)に関する。
1)
それぞれ水不溶性の着色剤と、水又は有機溶剤から選択される液媒体と、を含有するシアンインク及びイエローインクを有するインクセットであって、
前記シアンインクが含有する水不溶性の着色剤が、下記式(1)で表される化合物であるインクセット。
Figure 0006781668
[式(1)中、R、R2及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はC1−C4アルキル基を表し、R、R2及びRの少なくとも2つがC1−C4アルキル基であり、R、R2及びRの炭素数の合計は4〜12であり、Xは酸素原子、又はイミノ基を表わす。]。
2)
前記式(1)において、Xが酸素原子である前記1)に記載のインクセット。
3)
イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、380nm〜480nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である前記1)に記載のインクセット。
4)
イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、380nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である前記1)に記載のインクセット。
5)
イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、C.I.Disperse Yellow、C.I.Disperse Orange、C.I.Solvent Yellow、及び、C.I.Solvent Orangeから選択される染料である、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のインクセット。
6)
イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、C.I.Disperse Yellow、及び、C.I.Disperse Orangeから選択される染料である、前記1)、3)及び4)のいずれか一項に記載のインクセット。
7)
イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、C.I.Disperse Yellowである前記1)、3)及び4)のいずれか一項に記載のインクセット。
8)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクセットのうち、1種類以上のインクの液滴を、インクジェットプリンタを用いて吐出させ、記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
9)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクセットのうち、1種類以上のインクの液滴を、インクジェットプリンタを用いて吐出させ、中間記録媒体に付着させることにより、中間記録媒体に記録画像を形成させる工程、及び、
中間記録媒体に形成させた記録画像と、記録メディアとを接触させた後、中間記録媒体又は記録メディアの少なくとも一方に対して熱処理を行うことにより、記録画像を中間記録媒体から記録メディアに熱転写する工程、により記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
10)
前記の記録メディアが繊維である、前記8)又は9)に記載のインクジェット記録方法。
11)
前記の繊維が、糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤から選択される1種類以上を含有する液により前処理された繊維である、前記10)に記載のインクジェット記録方法。
本発明により、イエロー〜グリーン〜シアンの色相、特にシアンとイエローの混色であるグリーンの色相における耐光性に優れるシアンインクとイエローインクとのインクセット、及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
本明細書においては実施例等を含めて、特に断りの無い限り「部」及び「%」は、いずれも質量基準である。
また、単に「インク」と記載したときは、特に断りの無い限り、前記シアンインクとイエローインクの両方を意味することとする。
前記式(1)中、R、R及びRにおけるC1−C4アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられる。これらの中では直鎖、又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。
その具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルの直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルの分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロブチルの環状アルキル基が挙げられる。
、R及びRの炭素数の合計は通常4〜12、好ましくは4〜8、より好ましくは4〜6、さらに好ましくは4又は5、特に好ましくは4である。炭素数の合計が小さくなると、昇華転写性が良好になる傾向が有る。
昇華転写性に着目すると、R、R及びRの少なくとも2つがC1−C4アルキル基であり、R、R及びRの炭素数の合計は4又は5が好ましく、4がより好ましい。また、R、R及びRのいずれか2つがC1−C4アルキル基であり、残りの1つが水素原子がより好ましい。それらの中でもR、R及びRのいずれか2つがエチルであり、残りの1つが水素原子がさらに好ましい。式(1)で表される化合物は、昇華転写性を有する方が好ましい。
Xは酸素原子、又はイミノ基であり、酸素原子が好ましい。
前記式(1)で表される化合物は、公知の方法により得ることができる。
一例としては、下記式(2)で表される化合物、及び下記式(3)で表されるアミン化合物を有機溶剤(例えばスルホラン)中で加え、70℃〜220℃、好ましくは120℃〜180℃で反応させることにより、前記式(1)で表される化合物を得ることができる。この反応は常圧で行うことができる。また、オートクレーブ等を使用して反応を加圧下で行うと、反応が促進されるため好ましい。
Figure 0006781668
前記式(2)中、Xは前記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
Figure 0006781668
前記式(3)中、R、R及びRは、前記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
前記イエローインクが含有する着色剤は、通常380nm〜480nm、好ましくは380nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を有する水不溶性の着色剤である。
この範囲に最大吸収波長を有する着色剤の色相は、通常イエロー〜オレンジであり、好ましくはイエローである。
そのような着色剤としては、C.I.Disperse、及び、C.I.Solventから選択される染料が好ましく、C.I.Disperseから選択される染料がより好ましい。その具体例としては、例えば、C.I.Disperse Yellow 3、7、8、23、51、54、60、64、67、71、86、134、137、149、159、160、175、192、197、206;C.I.Solvent Yellow 33、112、113、114、136、155、157、176、199;C.I.Disperse Orange 20、25;C.I.Solvent Orange 60が挙げられる。これらは1種類を用いることができる。また、2種類以上を併用することもできる。
これらの中ではColour Index Onlineにおいて、Chemical ClassがQuinolineであるC.I.Disperse、及び、C.I.Solventから選択される染料が好ましい。本明細書において、「Chemical ClassがQuinolineである」とは、染料分子の部分構造として、キノリン若しくはその互変異生体を有する染料を意味する。そのような染料としては、前記のうちC.I.Disperse Yellow 54、64、67、134、137、149、159、160、175、192、197、206;C.I.Solvent Yellow 33、112、113、114、136、155、157、176、199が挙げられる。これらの中ではC.I.Disperse Yellow 54、及びC.I.Solvent Yellow 114から選択される染料が好ましい。
下記表1に、染料分子の部分構造として、キノリン若しくはその互変異生体を有する染料の一例を示す。
Figure 0006781668
前記の着色剤は、必要に応じて公知の方法により精製することができる(例えば、酸析、塩析、懸濁精製、及び晶析等)。
前記インクは、水と、必要に応じて有機溶剤とを含有する水系インクとすることも、実質的に水を含有しないインク、すなわち溶剤インクとすることもできる。本明細書において、「実質的に水を含有しないインク」とは、意図的に水を加えないインクを意味する。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するジ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、前記のうちジオール、C2−C6アルキレン単位を有するジ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール、及び複素環式ケトンから選択される有機溶剤が挙げられる。それらの中ではアルコール性水酸基を2つ〜3つ有するC2−C6アルコール;ジ又はトリC2−C3アルキレングリコール;及び、繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2−C3アルキレングリコール(好ましくは液状のポリアルキレングリコール)等が好ましい。
それらの具体例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン等のアルコール性水酸基を2つ〜3つ有するC2−C6アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ又はトリC2−C3アルキレングリコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等の複素環式ケトンが挙げられる。
また、水に溶解して湿潤剤としての役割をする化合物等も、便宜上本発明では水溶性有機溶剤に含めるものとし、例えば尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。
前記インクが水系インクのとき、インクの総質量に対する有機溶剤の含有量は通常0%〜60%、好ましくは5%〜50%である。
前記インクが溶剤インクのとき、水不溶性の着色剤、及び、必要に応じてインク中に添加する、後記のインク調製剤以外の残部は有機溶剤である。
これらの中では水系インクが好ましい。
前記インクを水系インクとするときは、さらに分散剤を含有するのが好ましい。また、そのときの有機溶剤は、水溶性有機溶剤であるのが好ましい。
分散剤は1種類を使用することも、2種類以上を併用することもできる。また、式(1)で表される化合物の一部又は全てを分散剤で被覆することもできる。
分散剤としては、ノニオン分散剤、アニオン分散剤、及び高分子分散剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。
分散剤の使用量は固形分換算で、式(1)で表される化合物の総質量に対して通常1%〜100%、好ましくは5%〜90%、より好ましくは10%〜80%である。
ノニオン分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、及び、これらの置換誘導体等が挙げられる。
本明細書において「フィトステロール類」と記載したときは、フィトステロール及び/又は水添フィトステロールの両者を含む意味である。例えばフィトステロール類のエチレンオキサイド付加物としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物及び/又は水添フィトステロールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、コレスタノール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「コレスタノール類」と記載したときは、コレスタノール類及び/又は水添コレスタノール類の両者を含む意味である。例えばコレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としてはコレスタノールのエチレンオキサイド付加物及び/又は水添コレスタノールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
フィトステロール類又はコレスタノール類1モル当たりのアルキレンオキサイド(好ましくはC2‐C4アルキレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイド)の付加量は、10〜50モル程度で、HLBが13〜20程度のものが好ましい。
これらの具体例としては、例えば、NIKKOL BPS‐20、NIKKOL BPS‐30(フィトステロールのエチレンオキサイド付加物);NIKKOL BPSH‐25(水素添加フィトステロールのエチレンオキサイド付加物);及び、NIKKOL DHC‐30(コレスタノールのエチレンオキサイド付加物)等が挙げられる。
アニオン分散剤としては、例えば、高分子スルホン酸、好ましくは芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩、若しくはそれらの混合物等が好ましい。「その塩」としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等の塩が挙げられる。
以下、特に断りの無い限り「スルホン酸のホルマリン縮合物」と記載したときは、「スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩、若しくはそれらの混合物」を意味する。
芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸;クレゾールスルホン酸;フェノールスルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;β−ナフトールスルホン酸;ベンゼンスルホン酸;クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸;リグニンスルホン酸;等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;リグニンスルホン酸の、各ホルマリン縮合物が好ましい。これらは単独で用いることができる。また、これらの1種類以上を併用することもできる。
このようなアニオン分散剤は、例えば、デモール N、デモール C、デモールSN−B(花王株式会社製);ラベリン Wシリーズ、ラベリン ANシリーズ(第一工業製薬株式会社製);バニレックス N、バニレックス RN、バニレックス G、パールレックス DP(日本製紙株式会社製)等として入手することができる。
高分子分散剤としては、スチレン及びその誘導体(好ましくはスチレン及びα−メチルスチレンから選択される単量体);ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;マレイン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;フマール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体よりなる群等の単量体から選択される、少なくとも2つの単量体(好ましくは、このうち少なくとも1つが親水性の単量体)からなる共重合体、及び/又はそれらの塩等が挙げられる。共重合体としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体等が挙げられる。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及びアクリル酸の両方を意味する。
これらの中では、スチレン及びその誘導体、及び(メタ)アクリル酸及びその誘導体からそれぞれ1種類以上が選択される、少なくとも2種類以上の単量体からなる共重合体が好ましい。そのような分散剤の具体例としては、例えば、BASF社製のジョンクリルシリーズが好ましい。
ジョンクリルシリーズとしては、例えば、ジョンクリル 67、68、586、611、678、680、682、683、690等が挙げられる。
式(1)で表される化合物を含有する分散液(好ましくは水性分散液)の調製方法としては、公知の方法が使用できる。その一例としては、式(1)で表される化合物と分散剤を混合し、サンドミル(ビーズミルともいう)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて分散処理を行う方法が挙げられる。これらの中ではサンドミルが好ましい。サンドミルを用いた分散液の調製は、0.01mm〜1mm径程度のビーズを使用するのが好ましい。また、分散液の調製において、ビーズの充填率を大きくすること等により、分散の効率を高めることができる。
分散処理を行った後に、濾過及び/又は遠心分離等により、ビーズ及び夾雑物等の除去を行う。このとき、目的とする平均粒径よりも巨大な粒子を除去することも好ましく行われる。このような粒子を除去することにより、プリンタヘッドの目詰まりを防止することができる。
分散液の調製中に泡立ちが生じるときは、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量加えることができる。
消泡剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(SK−14等);エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、DF−110D等)等が挙げられる。
前記インクを調製する方法としては、例えば、前記の水性分散液、水溶性有機溶剤、及び必要に応じてインク調製剤を加えて混合する方法等が挙げられる。これらを混合する順番は特に制限されない。
インク調製剤としては界面活性剤、防腐防黴剤、及びpH調整剤等が挙げられる。インク調製剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。インク調製剤の含有量は合計で、インクの総質量に対して通常0〜25%程度、好ましくは0.01〜20%程度である。
界面活性剤としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等の界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤は、株式会社アデカ製のアデカコールシリーズ(EC−8600等)、第一工業製薬株式会社製のハイテノールシリーズ(NE−15等)、花王株式会社製のペレックスシリーズ(OT−P等)等として入手できる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤は、三洋化成工業株式会社製のニューポールシリーズ(PE−62等)、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(E1004、E1010等)、エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(420、440、465等)、株式会社日本触媒製のソフタノールシリーズ(EP5035等)、花王株式会社製のエマルゲンシリーズ(911、A−60等)等として入手できる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、アーチケミカルズ社製のプロキセル GXL等が挙げられる。
pH調整剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ類;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の3級アミン類等が挙げられる。
前記インクの25℃における粘度は、E型粘度計にて測定したときに2〜20mPa・s程度が好ましい。また表面張力は、プレート法にて測定したときに20〜45mN/m程度が好ましい。このようなインクとすることにより、例えば産業用インクジェットプリンタを用いる等の高速記録時の、吐出応答性を良好とすることができる。
前記インクは、必要に応じてメンブランフィルター、ガラス濾紙等を用いて精密濾過し、夾雑物等を除去することができる。精密濾過を行うとき、フィルター等の孔径は通常0.5μm〜20μm、好ましくは0.5μm〜10μm程度である。また、前記の分散処理を行った後の濾過も、これらの濾過と同様に行うことができる。
前記の記録メディアは、インク受容層を有するものと、有さないものとに大別される。前記インクジェット記録方法に用いる記録メディアとしては、これらのいずれも好ましい。
記録メディアとしては、例えば、紙、フィルム、繊維(ポリエステル、セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。これらの中では繊維が好ましい。なお、繊維は、その構造物である布等も含む。
記録メディアが繊維のとき、繊維としては疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維としては、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維、木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、それらの混紡繊維が疎水性繊維を含有する限り、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。
これらの疎水性繊維としては、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような疎水性繊維も同様に、本明細書における疎水性繊維に含まれる。インク受容層の形成方法は公知であり、インク受容層を有する繊維も市販品として入手できる。インク受容層の材質や構造等は、特に限定されず、目的等に応じて適宜選択することができる。
繊維に対する記録方法、すなわち繊維の捺染方法は、一般に2つの種類に大別される。
1つ目の方法は、ダイレクトプリント等と呼称される方法である。この方法は、前記9)に記載の記録方法において、記録メディアが繊維である記録方法である。
繊維に付着したインクの液滴中の着色剤は、例えば、公知のスチーミング又はベーキングによって繊維に固着できる。
スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃で10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃で20分程度の各条件で繊維を処理する方法が挙げられる。
ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃で60秒〜120秒程度の条件で繊維を処理する方法が挙げられる。
前記のようにして得られる捺染された繊維を温水、及び必要に応じて水で洗浄することにより、繊維に固着していない染料を洗浄できる。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含んでもよい。
洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。
2つ目の方法は、昇華転写プリント等と呼称される方法である。この方法は、前記10)に記載の記録方法において、記録メディアが繊維である記録方法である。
中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着したインク中の着色剤が、その表面で凝集せず、且つ記録メディアへ記録画像の転写を行うときに、着色剤の昇華を妨害しないものが好ましい。
そのような中間記録媒体の一例としては、インク受容層を有する紙が挙げられ、インクジェット専用紙等を用いることができる。
中間記録媒体から記録メディアへ記録画像を転写するときの熱処理としては、通常170〜200℃程度での乾熱処理が挙げられる。
記録メディアが繊維のときは、前処理された繊維が好ましい。前処理をすることにより、記録時の染料のにじみ等を防止することができる。
糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等が挙げられる。
アルカリ性物質としては、例えば無機酸又は有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;及び、加熱した際にアルカリを遊離する化合物から選択される物質が挙げられる。その具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機化合物のアルカリ金属塩;蟻酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム等の有機化合物のアルカリ金属塩等が挙げられる。
還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
前記ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等の尿素類等が挙げられる。
前記の糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単一の化合物を使用することができる。また、それぞれ複数の化合物を併用することもできる。
前処理液の総質量に対する前処理剤の含有量は、例えば、糊剤が0.5%〜5%、アルカリ性物質が0.5%〜5%、還元防止剤が0%〜5%、ヒドロトロピー剤が1%〜20%、残部が水である。
前処理は、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤等の前処理剤を含有する液を前処理液とし、繊維に含浸、塗布、及びインクジェット記録等から選択される方法で付与するのが好ましい。具体例としては、例えば、パディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
前記した全ての事項において、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものと、より好ましいものとの組み合わせ;より好ましいものと、さらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
本発明により、彩度、及び印字濃度の両方を相乗的に向上することができる。また、本発明のインクにより着色された画像は色再現性、演色性に優れる。また、本発明のインクにより着色された画像は各種の堅牢性、例えば、耐光性、汗耐光性、洗濯堅牢性、汗堅牢性等が良好である。さらに、本発明のインクにより明度、彩度が高く、色相も良好なカラー記録画像が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、実施例により限定されるものではない。
実施例で使用した水は、特に断りのない限りイオン交換水である。
[合成例1]:下記式(4)で表される化合物の合成。
スルホラン75部中に、1,4−ジアミノ−2,3−アンスラキノンジカルボキシイミド3部、3−アミノペンタン25部を加えて液を得た。得られた液をオートクレーブ中で140℃に加熱し、6時間反応させた後、室温まで冷却して液を得た。得られた液から析出した固体を濾過分離し、メタノール100部、水200部で洗浄した後、乾燥することにより、下記式(4)で表される化合物3.1部を得た。
Figure 0006781668
[合成例2]:下記式(5)で表される化合物の合成。
スルホラン75部中に、1,4−ジアミノ−2,3−アンスラキノンジカルボキシイミド3.0部、1−アミノブタン25部を加えて液を得た。得られた液をオートクレーブ中で140℃に加熱し、6時間反応させた後、室温まで冷却して液を得た。得られた液から析出した固体を濾過分離し、メタノール100部、水200部で洗浄した後、乾燥することにより、下記式(5)で表される化合物2.9部を得た。
Figure 0006781668
[最大吸収波長(λmax)の測定]
イエローインクが含有する水不溶性着色剤のλmaxは、着色剤の希釈倍率(ミリリットル/g)が下記表2になるように、着色剤をアセトンに溶解させてサンプルを調製し、株式会社島津製作所製のUV−2700を用いて測定した。下記表2中の「Abs.」は、吸光度を意味する。
Figure 0006781668
[分散剤の溶液の調製]
48%水酸化ナトリウム水溶液(3.1部)、イオン交換水(96.9部)、及びプロピレングリコール(60部)の混合液にジョンクリル678(40部)を加え、90℃に加熱して5時間撹拌することにより、分散剤の溶液を得た。下記表3中の「JC678」は、この分散剤の溶液を意味する。
[水性分散液の調製]
下記表3に記載の各成分をサンドミルに入れ、0.3mmのジルコニアビーズを加えて、水冷下、1500rpm、15時間の条件で分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水を加えて希釈することにより、液中の着色剤の含有量を15%に調整した。この液をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過することにより、着色剤の含有量が15%の分散液Dp1〜Dp4をそれぞれ得た。
下記表3中の略号等は、以下の意味を有する。
式(4):前記式(4)で表される化合物。
式(5):前記式(5)で表される化合物。
DB60:C.I.Disperse Blue 60。
DY54:C.I.Disperse Yellow 54。
SF104:サーフィノール 104PG50。
GXL:プロキセル GXL。
Figure 0006781668
[インクの調製]
下記表4に記載の各成分を混合してインクを得た。得られたインクを、5μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、試験用のインク1〜4をそれぞれ得た。各インク中の着色剤の総含有量は、4.8%に調整した。
下記表4中の略号等は、以下の意味を有する。
Dp1〜Dp4:前記表3に記載の分散液Dp1〜Dp4。
Gly:グリセリン。
PG:プロピレングリコール。
EC8600:アデカコール EC−8600。
GXL:プロキセル GXL。
TEA:トリエタノールアミン。
Figure 0006781668
[染布の調製]
前記のインクを下記表5のとおりに組み合わせて、実施例と比較例のインクセットとした。得られたインクセットをそれぞれ使用し、中間記録媒体である昇華転写紙(転写紙JC95g−89、ミマキエンジニアリング株式会社製)に対して、インクジェットプリンタPX−205(セイコーエプソン社製)にて、シアンインク及びイエローインクの割合が50/50となるように各インクを吐出したベタ柄を記録した。得られた転写紙のインクの付与面を10cm×10cmに裁断し、同じ大きさのポリエステル布(トロピカル、帝人株式会社製)と重ね合わせた。この状態の転写紙/ポリエステル布を、熱プレス機(AF−65 TEN、アサヒ繊維機械株式会社製)を用いて200℃×60秒の条件にて熱処理することにより、転写紙からポリエステル布へ昇華転写を行い、グリーンに染色された各染布を得た。得られた各染布を試験染布とし、下記する評価試験を行った。
Figure 0006781668
[耐光性試験]
スガ試験機株式会社製の低温キセノンウェザオメーター XL75を用い、50W/m(300〜400nm)、湿度60%RH、温度24℃、ブラックパネル温度63℃の条件下に、各試験染布に58時間照射した。
[染布の評価]
GRETAG−MACBETH社製の測色機、SpectroEyeを用いて各染布を測色し、ODC値、及びODY値を測定した。ODC値、ODY値は、大きい方が発色濃度が高いことを示し、画像品質として優れる。耐光性ΔEは試験前後の各染布を測色し、(試験前後Lab)式で求めた。ΔEは、小さいほど変色の度合いが低いことを示し、優れた結果であることを意味する。結果を下記表6に示す。
Figure 0006781668
表6の結果から明らかなように、実施例のインクセットは、ODC値、ODY値が各比較例より同等以上に高く、光による変色も小さいことが確認された。
本発明により、印字濃度と彩度が高い記録画像が得られるインク、これを用いるインクジェット記録方法、及び繊維の捺染方法を提供することができるため、本発明はこれらの用途に極めて有用である。

Claims (11)

  1. それぞれ水不溶性の着色剤と、水又は有機溶剤から選択される液媒体と、を含有するシアンインク及びイエローインクを有するインクセットであって、
    前記シアンインクが含有する水不溶性の着色剤が、下記式(1)で表される化合物であるインクセット。
    Figure 0006781668
    [式(1)中、R、R2及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はC1−C4アルキル基を表し、R、R2及びRの少なくとも2つがC1−C4アルキル基であり、R、R2及びRの炭素数の合計は4〜12であり、Xは酸素原子、又はイミノ基を表わす。]。
  2. 前記式(1)において、Xが酸素原子である請求項1に記載のインクセット。
  3. イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、380nm〜480nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
  4. イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、380nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
  5. イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、C.I.Disperse Yellow、C.I.Disperse Orange、C.I.Solvent Yellow、及び、C.I.Solvent Orangeから選択される染料である、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のインクセット。
  6. イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、C.I.Disperse Yellow、及び、C.I.Disperse Orangeから選択される染料である、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のインクセット。
  7. イエローインクが含有する水不溶性の着色剤が、C.I.Disperse Yellowである請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のインクセット。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクセットのうち、1種類以上のインクの液滴を、インクジェットプリンタを用いて吐出させ、記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクセットのうち、1種類以上のインクの液滴を、インクジェットプリンタを用いて吐出させ、中間記録媒体に付着させることにより、中間記録媒体に記録画像を形成させる工程、及び、
    中間記録媒体に形成させた記録画像と、記録メディアとを接触させた後、中間記録媒体又は記録メディアの少なくとも一方に対して熱処理を行うことにより、記録画像を中間記録媒体から記録メディアに熱転写する工程、により記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
  10. 前記の記録メディアが繊維である、請求項8又は9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記の繊維が、糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤から選択される1種類以上を含有する液により前処理された繊維である、請求項10に記載のインクジェット記録方法。
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