JP2016190932A - インク組成物、インクジェット捺染方法及び染色された繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】
彩度と発色性のバランスが優れるイエローインク組成物、これを用いた繊維の捺染方法、及びこの捺染方法により捺染された繊維の提供。
【解決手段】
いずれも昇華性を有する少なくとも2種類の染料を含有するイエローインク組成物であって、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有する染料であり、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有しない染料であるイエローインク組成物により、上記の課題を解決できた。
【選択図】なし
彩度と発色性のバランスが優れるイエローインク組成物、これを用いた繊維の捺染方法、及びこの捺染方法により捺染された繊維の提供。
【解決手段】
いずれも昇華性を有する少なくとも2種類の染料を含有するイエローインク組成物であって、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有する染料であり、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有しない染料であるイエローインク組成物により、上記の課題を解決できた。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット捺染に用いるイエローインク組成物、それを用いるインクジェット捺染方法、及びそれらにより捺染された繊維に関する。
近年、インクジェットによる無製版印刷を行なう記録方法が提案され、布等を含めた繊維に対してもインクジェット捺染が行われている。従来のスクリーン捺染等と比較して、インクジェット捺染は、無製版であること;省資源であること;省エネルギーであること;及び高精細な表現が容易であること;等、様々な利点があるとされている。
ポリエステル繊維等の疎水性繊維布は、一般に水に不溶性の色材により染色される。従って、疎水性繊維の捺染に用いる水性インクとしては、一般に、水不溶性色材を水中に分散し、分散安定性等の性能が良好な分散インクを用いる必要がある。
ポリエステル繊維等の疎水性繊維布は、一般に水に不溶性の色材により染色される。従って、疎水性繊維の捺染に用いる水性インクとしては、一般に、水不溶性色材を水中に分散し、分散安定性等の性能が良好な分散インクを用いる必要がある。
水不溶性色材の1つである分散染料を用いたインクジェット捺染においては、通常、イエロー、マゼンタ、及びシアンの3色、若しくは、これにブラックを加えた4色のインクセットが基本色として用いられている。インクジェット捺染は、例えばスポーツアパレル等の衣料用途等に用いられ、その用途が拡大しつつある。これに伴い、インクジェット捺染に用いるインクの性能としては、吐出安定性や堅牢性に加え、彩度や明度の高さ;色再現範囲の拡大;及び、生体や環境への安全性;等が要求されるようになってきた。
インクジェット捺染に用いられるインクとしては、特許文献1に記載のC.I.Solvent Yellow 43、特許文献2及び3に記載のC.I.Disperse Yellow 82、特許文献4及び5に記載のC.I.Disperse Yellow 54等の水不溶性色材を含有するイエローインク等が知られている。
本発明は、彩度と発色性のバランスが優れるイエローインク組成物、これを用いた繊維の捺染方法、及びこの捺染方法により捺染された繊維の提供を課題とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の2種類の染料を含有するイエローインク組成物により、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の1)〜15)に関する。
1)
いずれも昇華性を有する少なくとも2種類の染料を含有するイエローインク組成物であって、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有する染料であり、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有しない染料であるイエローインク組成物。
2)
蛍光性を有する染料が、C.I.Solvent Yellow及びC.I.Disperse Yellowから選択される染料である、上記1)に記載のイエローインク組成物。
3)
蛍光性を有する染料である、C.I.Solvent Yellowが分子内にアミド構造を有する染料であり、C.I.Disperse Yellowが分子内にクマリン構造を有する染料である、上記2)に記載のイエローインク組成物。
4)
蛍光性を有する染料が、C.I.Solvent Yellow 43及びC.I.Disperse Yellow 82から選択される染料である上記1)〜3)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
5)
蛍光性を有しない染料が、C.I.Disperse Yellowから選択される染料である、上記1)に記載のイエローインク組成物。
6)
蛍光性を有しない染料であるC.I.Disperse Yellowが、分子内にキノリン構造を有する染料である上記1)に記載のイエローインク組成物。
7)
蛍光性を有しない染料が、C.I.Disperse Yellow 54である上記1)、5)又は6)に記載のイエローインク組成物。
8)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記1)〜7)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
9)
25℃におけるインク組成物の粘度が、3〜20mPa・sある上記1)〜8)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
10)
上記1)〜9)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維に付着させる工程Aと、工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の染料を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程Cとを含む、繊維の捺染方法。
11)
1種類以上の糊材を少なくとも含有する水溶液を、イエローインク組成物の液滴を付着させる前の繊維に付与する、繊維の前処理工程をさらに含む上記10)に記載の繊維の捺染方法。
12)
上記1)〜9)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させた後、該中間記録媒体のイエローインク組成物の付着面と、繊維とを接触させて加熱することにより、中間記録媒体に付着したイエローインク組成物中の染料を、繊維に昇華転写させて捺染を行う繊維の捺染方法。
13)
繊維が、疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維である、上記10)〜12)のいずれか一項に記載の繊維の捺染方法。
14)
疎水性繊維が、ポリエステル繊維である、上記13)に記載の繊維の捺染方法。
15)
上記10)〜14)のいずれか一項に記載の捺染方法により得られる捺染された繊維。
1)
いずれも昇華性を有する少なくとも2種類の染料を含有するイエローインク組成物であって、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有する染料であり、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有しない染料であるイエローインク組成物。
2)
蛍光性を有する染料が、C.I.Solvent Yellow及びC.I.Disperse Yellowから選択される染料である、上記1)に記載のイエローインク組成物。
3)
蛍光性を有する染料である、C.I.Solvent Yellowが分子内にアミド構造を有する染料であり、C.I.Disperse Yellowが分子内にクマリン構造を有する染料である、上記2)に記載のイエローインク組成物。
4)
蛍光性を有する染料が、C.I.Solvent Yellow 43及びC.I.Disperse Yellow 82から選択される染料である上記1)〜3)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
5)
蛍光性を有しない染料が、C.I.Disperse Yellowから選択される染料である、上記1)に記載のイエローインク組成物。
6)
蛍光性を有しない染料であるC.I.Disperse Yellowが、分子内にキノリン構造を有する染料である上記1)に記載のイエローインク組成物。
7)
蛍光性を有しない染料が、C.I.Disperse Yellow 54である上記1)、5)又は6)に記載のイエローインク組成物。
8)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記1)〜7)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
9)
25℃におけるインク組成物の粘度が、3〜20mPa・sある上記1)〜8)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
10)
上記1)〜9)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維に付着させる工程Aと、工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の染料を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程Cとを含む、繊維の捺染方法。
11)
1種類以上の糊材を少なくとも含有する水溶液を、イエローインク組成物の液滴を付着させる前の繊維に付与する、繊維の前処理工程をさらに含む上記10)に記載の繊維の捺染方法。
12)
上記1)〜9)のいずれか一項に記載のイエローインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させた後、該中間記録媒体のイエローインク組成物の付着面と、繊維とを接触させて加熱することにより、中間記録媒体に付着したイエローインク組成物中の染料を、繊維に昇華転写させて捺染を行う繊維の捺染方法。
13)
繊維が、疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維である、上記10)〜12)のいずれか一項に記載の繊維の捺染方法。
14)
疎水性繊維が、ポリエステル繊維である、上記13)に記載の繊維の捺染方法。
15)
上記10)〜14)のいずれか一項に記載の捺染方法により得られる捺染された繊維。
本発明により、彩度と発色性のバランスが優れるイエローインク組成物、これを用いた繊維の捺染方法、及びこの捺染方法により捺染された繊維を提供することができた。
本明細書においては実施例等を含めて、特に断りの無い限り「部」及び「%」は、いずれも質量基準で記載する。
前記イエローインク組成物(以下、特に断りの無い限り「インク組成物」という)は、水を含有する水系の分散インク組成物である。
このインク組成物は、いずれも昇華性を有する少なくとも2種類の染料を含有する。この少なくとも2種類の染料のうち、少なくとも1種類は蛍光性を有する染料であり、少なくとも1種類は蛍光性を有しない染料である。
このインク組成物は、いずれも昇華性を有する少なくとも2種類の染料を含有する。この少なくとも2種類の染料のうち、少なくとも1種類は蛍光性を有する染料であり、少なくとも1種類は蛍光性を有しない染料である。
昇華性を有する染料としては、例えば「乾熱処理に対する染色堅ろう度試験方法[JIS L 0879:2005](2010年 確認、平成17年1月20日 改定、 財団法人日本規格協会 発行)」における、感熱処理試験(C法)汚染(ポリエステル)の試験結果が、好ましくは3−4級以下;より好ましくは3級以下;の染料が挙げられる。そのような染料のうち、C.I.番号を有する染料としては、例えば以下の染料が挙げられる。
イエロー染料としては、C.I.Disperse Yellow(以下、「DiY」という。) 3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86;C.I.Solvent Yellow(以下、「SoY」という。) 43、114、163;等が挙げられる。
オレンジ染料としては、C.I.Disperse Orange 1、1:1、5、20、25、25:1、33、56、76;等が挙げられる。
ブラウン染料としては、C.I.Disperse Brown 2;等が挙げられる。
レッド染料としては、C.I.Disperse Red 11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、93、146、158、190、190:1、207、239、240;C.I.Vat Red 41;等が挙げられる。
バイオレット染料としては、C.I.Disperse Violet 8、17、23、27、28、29、36、57;等が挙げられる。
ブルー染料としては、C.I.Disperse Blue 19、26、26:1、35、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、359、360;C.I.Solvent Blue 3、63、83、105、111;等が挙げられる。
前記の「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。
イエロー染料としては、C.I.Disperse Yellow(以下、「DiY」という。) 3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86;C.I.Solvent Yellow(以下、「SoY」という。) 43、114、163;等が挙げられる。
オレンジ染料としては、C.I.Disperse Orange 1、1:1、5、20、25、25:1、33、56、76;等が挙げられる。
ブラウン染料としては、C.I.Disperse Brown 2;等が挙げられる。
レッド染料としては、C.I.Disperse Red 11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、93、146、158、190、190:1、207、239、240;C.I.Vat Red 41;等が挙げられる。
バイオレット染料としては、C.I.Disperse Violet 8、17、23、27、28、29、36、57;等が挙げられる。
ブルー染料としては、C.I.Disperse Blue 19、26、26:1、35、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、359、360;C.I.Solvent Blue 3、63、83、105、111;等が挙げられる。
前記の「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。
本明細書において、蛍光性を有する染料とは、有機溶剤を用いて25,000倍に希釈した染料の有機溶剤溶液を試料とし、分光蛍光光度計を用いて蛍光ピークの最大強度が100以上検出されるものを蛍光性を有する染料とする。有機溶剤としては特に制限されないが、アセトンが好ましい。
蛍光性を有する染料としては、SoY及びDiYから選択される染料が好ましい。このようなSoYの中では分子内にアミド構造を有する染料が、また、DiYの中では分子内にクマリン構造を有する染料が、それぞれより好ましい。
前記のうち、SoY 43及びDiY 82から選択される染料が特に好ましい。
蛍光性を有する染料としては、SoY及びDiYから選択される染料が好ましい。このようなSoYの中では分子内にアミド構造を有する染料が、また、DiYの中では分子内にクマリン構造を有する染料が、それぞれより好ましい。
前記のうち、SoY 43及びDiY 82から選択される染料が特に好ましい。
蛍光性を有しない染料とは、前記「蛍光性を有する染料」以外の昇華性を有する染料を意味する。蛍光性を有しない染料は、DiYから選択される染料が好ましい。このようなDiYとしては分子内にキノリン構造を有する染料がより好ましく、それらの中ではDiY 54が好ましい。
前記インク組成物が含有する、蛍光性を有する染料の総質量と、蛍光性を有しない染料の総質量の比は特に制限されない。しかし、蛍光性を有する染料を含有すると、ときにより蛍光色が強調され過ぎ、目視において、ぎらつくように視認されたり、目がちかちかするように視認されることがある。このようになると、例えばマゼンタ、シアン、及びブラック等の他の色を併用してフルカラーの捺染を行ったときに、イエロー部分のみが強調され過ぎて、他の色相部分との違和感が生じてしまう。このようなときは、蛍光性を有する染料の総質量と、蛍光性を有しない染料の総質量との比は通常50/50、好ましくは40/60、より好ましくは30/70とすることにより、イエロー部分と他の色相部分との違和感が解消される。
前記インク組成物の色を望みの色調に微調整する目的等により、前記インク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で前記以外の染料をさらに含有することができる。そのような染料としては、DiY及びSoYから選択される染料が挙げられる。これらの染料の色としては、Yellow及びOrangeから選択される染料が好ましい。
前記インク組成物がSY43以外の染料を含有するとき、C.I.Disperse Yellowとしては、3、4、5、7、8、9、13、23、24、30、33、34、39、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、186、192、198、199、200、202、204、210、211、215、216、218、224、237等が挙げられる。
同様に、C.I.Disperse Orangeとしては、1、1:1、3、5、7、11、13、17、20、21、23、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、86、89、90、91、93、96、97、118、119、127、130、139、142等が挙げられる。
同様に、C.I.Solventとしては、C.I.Solvent Yellow 114;C.I.Solvent Orange67;C.I.Solvent Red 146;等が挙げられる。
前記の染料は、市販品として入手した染料を直接インク組成物の調製に使用することができる。また、染料を精製した後に、インク組成物の調製に使用することもできる。
前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維等に付着させて捺染を行うとき(換言すると、インクジェット捺染に使用するとき)は、インク組成物の保存安定性や吐出性等を考慮して、染料を精製した後に使用することが好ましい。
染料の精製方法としては、例えば、逆浸透膜による方法;染料の固体をアセトン、メタノール、ジメチルスルホキシド等の水溶性有機溶剤、又は含水したこれらの水溶性有機溶剤中に加え、懸濁精製又は晶析する方法;等が挙げられる。
前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維等に付着させて捺染を行うとき(換言すると、インクジェット捺染に使用するとき)は、インク組成物の保存安定性や吐出性等を考慮して、染料を精製した後に使用することが好ましい。
染料の精製方法としては、例えば、逆浸透膜による方法;染料の固体をアセトン、メタノール、ジメチルスルホキシド等の水溶性有機溶剤、又は含水したこれらの水溶性有機溶剤中に加え、懸濁精製又は晶析する方法;等が挙げられる。
前記インク組成物は、ノズルでの目詰まり防止等を目的として、水溶性有機溶剤を含有することができる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。
多価アルコール類としては、例えば、アルコール性水酸基を2〜3個有するC2‐C6多価アルコール;ジ又はトリC2‐C3アルキレングリコール;又は、繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2‐C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール;等が挙げられる。それらの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3‐ペンタンジオール、1,5‐ペンタンジオール等の多価アルコール類が挙げられる。
ピロリドン類としては、2‐ピロリドン、N‐メチル‐2‐ピロリドン等が挙げられる。
また、水に溶解したときに湿潤剤としての効果を有する化合物であれば、固体の化合物であっても、本明細書においては便宜上、水溶性有機溶剤に含めるものとする。そのような化合物としては、例えば、尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。
インク組成物の保存安定性を考慮すると、インク組成物が含有する染料の溶解度が小さい水溶性有機溶剤を使用するのが好ましい。
前記水溶性有機溶剤の中ではグリセリンと、グリセリン以外の水溶性有機溶剤(好ましくはグリセリン以外の多価アルコール)とを併用するのがより好ましい。
インク組成物の総質量中における、水溶性有機溶剤の総含有量は通常5〜40%、好ましくは10〜30%である。
水溶性有機溶剤の具体例としては、多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。
多価アルコール類としては、例えば、アルコール性水酸基を2〜3個有するC2‐C6多価アルコール;ジ又はトリC2‐C3アルキレングリコール;又は、繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2‐C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール;等が挙げられる。それらの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3‐ペンタンジオール、1,5‐ペンタンジオール等の多価アルコール類が挙げられる。
ピロリドン類としては、2‐ピロリドン、N‐メチル‐2‐ピロリドン等が挙げられる。
また、水に溶解したときに湿潤剤としての効果を有する化合物であれば、固体の化合物であっても、本明細書においては便宜上、水溶性有機溶剤に含めるものとする。そのような化合物としては、例えば、尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。
インク組成物の保存安定性を考慮すると、インク組成物が含有する染料の溶解度が小さい水溶性有機溶剤を使用するのが好ましい。
前記水溶性有機溶剤の中ではグリセリンと、グリセリン以外の水溶性有機溶剤(好ましくはグリセリン以外の多価アルコール)とを併用するのがより好ましい。
インク組成物の総質量中における、水溶性有機溶剤の総含有量は通常5〜40%、好ましくは10〜30%である。
前記インク組成物は、分散剤を含有することができる。分散剤としては、インク組成物が含有する染料を分散できる物質であれば特に制限されない。そのような物質の例としては公知の分散剤、界面活性剤、及び樹脂分散剤等が挙げられる。
また、分散剤と界面活性剤は単に呼称のみが異なり、具体的には同じ物質を指すこともある。分散剤の種類としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等が挙げられる。これらの分散剤は、いずれも単独で使用することも、複数を併用することもできる。これらの中では、アニオン及びノニオン分散剤から選択される、少なくとも1種類の分散剤が好ましい。
また、分散剤と界面活性剤は単に呼称のみが異なり、具体的には同じ物質を指すこともある。分散剤の種類としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等が挙げられる。これらの分散剤は、いずれも単独で使用することも、複数を併用することもできる。これらの中では、アニオン及びノニオン分散剤から選択される、少なくとも1種類の分散剤が好ましい。
アニオン分散剤としては、例えば、高分子スルホン酸、好ましくは芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸のホルマリン縮合物又はこれらの塩、若しくはそれらの混合物(以下、特に断りの無い限り「スルホン酸のホルマリン縮合物」と記載したときは、「これらの塩、若しくはそれらの混合物」も含む意味とする。)等が好ましい。「これらの塩」としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等の塩が挙げられる。
芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸;クレゾールスルホン酸;フェノールスルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;β−ナフトールスルホン酸;β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸;クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸;リグニンスルホン酸;等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;リグニンスルホン酸;の各ホルマリン縮合物が好ましい。
これらは様々な商品名の市販品として入手することができる。その一例として、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールN;クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールC;特殊芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールSN−B(いずれも花王株式会社製);等が挙げられる。
クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンWシリーズ;メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンANシリーズ(いずれも第一工業製薬株式会社製);等が挙げられる。
これらの中ではデモールN、ラベリンANシリーズ、ラベリンWシリーズが好ましく、デモールN、ラベリンWがより好ましく、ラベリンWがさらに好ましい。
リグニンスルホン酸としては、例えばバニレックスN、バニレックスRN、バニレックスG、パールレックスDP(いずれも日本製紙株式会社製)等が挙げられる。これらの中ではバニレックスRN、バニレックスN、バニレックスGが好ましい。
芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸;クレゾールスルホン酸;フェノールスルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;β−ナフトールスルホン酸;β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸;クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸;リグニンスルホン酸;等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;リグニンスルホン酸;の各ホルマリン縮合物が好ましい。
これらは様々な商品名の市販品として入手することができる。その一例として、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールN;クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールC;特殊芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールSN−B(いずれも花王株式会社製);等が挙げられる。
クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンWシリーズ;メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンANシリーズ(いずれも第一工業製薬株式会社製);等が挙げられる。
これらの中ではデモールN、ラベリンANシリーズ、ラベリンWシリーズが好ましく、デモールN、ラベリンWがより好ましく、ラベリンWがさらに好ましい。
リグニンスルホン酸としては、例えばバニレックスN、バニレックスRN、バニレックスG、パールレックスDP(いずれも日本製紙株式会社製)等が挙げられる。これらの中ではバニレックスRN、バニレックスN、バニレックスGが好ましい。
ノニオン分散剤としては、例えば、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、及び、これらの置換誘導体等が挙げられる。
これらの中では、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物としては、フィトステロール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「フィトステロール類」と記載したときは、フィトステロール及び/又は水添フィトステロールの両者を含む意味である。例えばフィトステロール類のエチレンオキサイド付加物としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物及び/又は水添フィトステロールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、コレスタノール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「コレスタノール類」と記載したときは、コレスタノール類及び/又は水添コレスタノール類の両者を含む意味である。例えばコレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としてはコレスタノールのエチレンオキサイド付加物及び/又は水添コレスタノールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
フィトステロール類又はコレスタノール類1モル当たりのアルキレンオキサイド(好ましくはC2‐C4アルキレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイド)の付加量は、10〜50モル程度で、HLBが13〜20程度のものが好ましい。
これらの具体例としては、例えば、NIKKOL BPS‐20、NIKKOL BPS‐30(フィトステロールのエチレンオキサイド付加物);NIKKOL BPSH‐25(水素添加フィトステロールのエチレンオキサイド付加物);及び、NIKKOL DHC‐30(コレスタノールのエチレンオキサイド付加物);等が挙げられる。
これらの中では、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物としては、フィトステロール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「フィトステロール類」と記載したときは、フィトステロール及び/又は水添フィトステロールの両者を含む意味である。例えばフィトステロール類のエチレンオキサイド付加物としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物及び/又は水添フィトステロールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、コレスタノール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「コレスタノール類」と記載したときは、コレスタノール類及び/又は水添コレスタノール類の両者を含む意味である。例えばコレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としてはコレスタノールのエチレンオキサイド付加物及び/又は水添コレスタノールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
フィトステロール類又はコレスタノール類1モル当たりのアルキレンオキサイド(好ましくはC2‐C4アルキレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイド)の付加量は、10〜50モル程度で、HLBが13〜20程度のものが好ましい。
これらの具体例としては、例えば、NIKKOL BPS‐20、NIKKOL BPS‐30(フィトステロールのエチレンオキサイド付加物);NIKKOL BPSH‐25(水素添加フィトステロールのエチレンオキサイド付加物);及び、NIKKOL DHC‐30(コレスタノールのエチレンオキサイド付加物);等が挙げられる。
カチオン分散剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
両性分散剤としては、例えば、カルボキシベタイン類、スルホベタイン類、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
樹脂分散剤としてはアニオン分散剤として使用できる共重合体が挙げられる。樹脂分散剤の好ましいものとしては、芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)との共重合体;芳香族炭化水素基を含む化合物と、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体;等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸(エステル)」とは、本明細書においてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルを含む意味として、また「(無水)マレイン酸」とは、無水マレイン酸とマレイン酸を含む意味として、それぞれ用いる。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)の共重合体としては、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体が好ましく挙げられる。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)とを共重合するとき、後者としては単一の化合物を使用することもできるし、複数の化合物を併用することもできる。また、共重合を行うときに、(無水)マレイン酸を加えて、芳香族炭化水素基を含む化合物、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体とすることもできる。
染料との相互作用を強くする目的で、共重合体が分子中に有する疎水性部分としては芳香族炭化水素基を含む化合物を用いるのが好ましい。その芳香族炭化水素基としてはフェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ナフタレン‐ジイル基が好ましく、フェニル基又はフェニレン基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
これらの共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。
なお(α‐メチル)スチレンとは本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
これらの共重合体の具体例としては、例えばBASF社製の、ジョンクリル67、68、586、611、678、680、682、683、690等が挙げられる。これらの中ではジョンクリル68、678、682、683、690が好ましい。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)の共重合体としては、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体が好ましく挙げられる。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)とを共重合するとき、後者としては単一の化合物を使用することもできるし、複数の化合物を併用することもできる。また、共重合を行うときに、(無水)マレイン酸を加えて、芳香族炭化水素基を含む化合物、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体とすることもできる。
染料との相互作用を強くする目的で、共重合体が分子中に有する疎水性部分としては芳香族炭化水素基を含む化合物を用いるのが好ましい。その芳香族炭化水素基としてはフェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ナフタレン‐ジイル基が好ましく、フェニル基又はフェニレン基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
これらの共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。
なお(α‐メチル)スチレンとは本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
これらの共重合体の具体例としては、例えばBASF社製の、ジョンクリル67、68、586、611、678、680、682、683、690等が挙げられる。これらの中ではジョンクリル68、678、682、683、690が好ましい。
前記以外の樹脂分散剤としては、スチレン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体、フマール酸及びその誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選択される、少なくとも2つの単量体(このうち少なくとも1つは親水性又は水溶性単量体)からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体、及び/又はこれらの塩等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等の界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。また、好ましい市販品としては、アデカコールシリーズ(EC−8600等、株式会社アデカ製)、ハイテノールシリーズ(NE−15等、第一工業製薬株式会社製)、ペレックスシリーズ(OT−P等、花王株式会社)等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
市販品の一例としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(E1004、E1010等)、エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(420、440、465等)、株式会社日本触媒製のソフタノールシリーズ(EP5035等)、花王株式会社製のエマルゲンシリーズ(A−60等)等が挙げられる。
市販品の一例としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(E1004、E1010等)、エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(420、440、465等)、株式会社日本触媒製のソフタノールシリーズ(EP5035等)、花王株式会社製のエマルゲンシリーズ(A−60等)等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
前記インク組成物は、必要に応じて、さらにインク調製剤を含有することができる。インク調製剤としては、防腐防黴剤、pH調整剤等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン‐1‐オキサイド、ジンクピリジンチオン‐1‐オキサイド、1,2‐ベンズイソチアゾリン‐3‐オン、1‐ベンズイソチアゾリン‐3‐オンのアミン塩等が挙げられる。
pH調整剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の3級アミン類等が挙げられる。
前記インク組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、染料の水性分散液を調製した後に、水溶性有機溶剤等のインク調製剤を加える方法等が挙げられる。
染料の水性分散液を調製する方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて、分散液を構成する各成分を撹拌混合する等の公知の方法が挙げられる。
染料の分散液を調製するときに、発泡が生じることがある。このため、必要に応じてシリコーン系;アセチレンアルコール系;等の消泡剤を、分散液の調製時に添加してもよい。但し、消泡剤には染料等の分散・微粒子化を阻害するものもあるため、微粒子化や分散液の安定性等に影響を及ぼさないものを使用するのが好ましい。好ましい消泡剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(SK−14等);エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、DF−110D等);等が挙げられる。
染料の水性分散液を調製する方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて、分散液を構成する各成分を撹拌混合する等の公知の方法が挙げられる。
染料の分散液を調製するときに、発泡が生じることがある。このため、必要に応じてシリコーン系;アセチレンアルコール系;等の消泡剤を、分散液の調製時に添加してもよい。但し、消泡剤には染料等の分散・微粒子化を阻害するものもあるため、微粒子化や分散液の安定性等に影響を及ぼさないものを使用するのが好ましい。好ましい消泡剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(SK−14等);エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、DF−110D等);等が挙げられる。
前記インク組成物の調製に、染料の水性分散液を用いるとき、その水性分散液の総質量中における染料の総含有量は通常10〜60%、好ましくは20〜50%、より好ましくは20〜40%である。また、同様に分散剤の含有量は通常1〜36%、好ましくは5〜30%、より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは5〜15%である。
前記インク組成物の総質量中における、水性分散液の含有量は通常2〜40%、好ましくは3〜38%、より好ましくは5〜35%である。
同様に、インク調製剤の総含有量としては、水性インク組成物の総質量に対して通常0〜25%、好ましくは0.01〜20%である。
同様に、インク調製剤の総含有量としては、水性インク組成物の総質量に対して通常0〜25%、好ましくは0.01〜20%である。
前記インク組成物が含有する染料の平均粒子径は、D50としては通常50nm〜150nm、好ましくは60nm〜150nm、より好ましくは70nm〜150nm、さらに好ましくは80nm〜150nmである。
同様に、D90としては通常160nm〜350nm、好ましくは160nm〜300nm、より好ましくは160nm〜250nm、さらに好ましくは160nm〜200nm程度である
同様に、D90としては通常160nm〜350nm、好ましくは160nm〜300nm、より好ましくは160nm〜250nm、さらに好ましくは160nm〜200nm程度である
前記インク組成物をインクジェット捺染に用いるときの粘度は、25℃におけるE型粘度計にて測定したときに通常3〜20mPa・s程度であるのが好ましい。この粘度とすることにより、高速での吐出応答性が良好となる。また、表面張力は、プレート法にて測定したときに通常20〜45mN/mの範囲が好ましい。また、使用するインクジェットプリンタの吐出量、応答速度、インク液滴飛行特性等を考慮し、粘度や表面張力を適切な物性値に調整することが好ましい。
前記の繊維の捺染方法は、2つの種類に大別される。
1つ目の方法は、ダイレクトプリント又はダイレクト捺染等と呼称される方法である。
この方法は、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維に付着させ、文字及び絵柄等の画像情報を繊維に形成する工程Aと、
前記工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の染料を熱により繊維に固着させる工程Bと、
繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程Cと、の3工程を少なくとも含む、繊維の捺染方法である。
工程Bは、一般的には公知のスチーミング又はベーキングによって行われる。
スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃、通常10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃、通常20分程度;それぞれ繊維を処理することにより、染料を繊維に染着する方法が挙げられる。
ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃、通常60秒〜120秒程度、繊維を処理することにより、染料を繊維に染着する方法が挙げられる。
工程Cは、得られた繊維を、温水、及び必要に応じて水により洗浄する工程である。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含むことができる。
洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。
1つ目の方法は、ダイレクトプリント又はダイレクト捺染等と呼称される方法である。
この方法は、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維に付着させ、文字及び絵柄等の画像情報を繊維に形成する工程Aと、
前記工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の染料を熱により繊維に固着させる工程Bと、
繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程Cと、の3工程を少なくとも含む、繊維の捺染方法である。
工程Bは、一般的には公知のスチーミング又はベーキングによって行われる。
スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃、通常10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃、通常20分程度;それぞれ繊維を処理することにより、染料を繊維に染着する方法が挙げられる。
ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃、通常60秒〜120秒程度、繊維を処理することにより、染料を繊維に染着する方法が挙げられる。
工程Cは、得られた繊維を、温水、及び必要に応じて水により洗浄する工程である。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含むことができる。
洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。
前記の捺染方法は、にじみ等を防止する目的で、繊維の前処理工程をさらに含んでもよい。この前処理工程としては、1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を少なくとも含む水溶液を、インク組成物を付着させる前の繊維に付与する工程が挙げられる。
前処理を施す工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤の水溶液を前処理液として用い、繊維を前処理液に塗工又は含浸させて付与するのが好ましい。
前処理を施す工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤の水溶液を前処理液として用い、繊維を前処理液に塗工又は含浸させて付与するのが好ましい。
前記糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等があげられる。好ましくはアルギン酸ソーダが挙げられる。
前記アルカリ性物質としては、例えば無機酸又は有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物が挙げられ、無機又は有機の、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム化合物及びカリウム化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機化合物のアルカリ金属塩;蟻酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム等の有機化合物のアルカリ金属塩;等が挙げられる。好ましくは、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
前記還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
前記ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等の尿素類等が挙げられる。好ましくは尿素である。
前記糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単一の化合物を使用することも、それぞれ複数の化合物を併用することもできる。
前処理液の総質量中における各前処理剤の混合比率は、例えば、糊剤が0.5〜5%、炭酸水素ナトリウムが0.5〜5%、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが0〜5%、尿素が1〜20%、残部が水である。
前処理剤の繊維への付与は、たとえばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
前処理液の総質量中における各前処理剤の混合比率は、例えば、糊剤が0.5〜5%、炭酸水素ナトリウムが0.5〜5%、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが0〜5%、尿素が1〜20%、残部が水である。
前処理剤の繊維への付与は、たとえばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
2つ目の方法は、昇華転写プリント、昇華転写捺染等と呼称される方法である。
この方法は、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させ、文字及び絵柄等の画像情報が記録された中間記録媒体を得た後、該中間記録媒体のインク組成物の付着面と、繊維とを接触させて加熱することにより、中間記録媒体に付着したインク組成物中の染料を、繊維に昇華転写させて捺染を行う繊維の捺染方法である。
中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着したインク組成物中の染料が、その表面で凝集せず、且つ昇華転写を行うときに染料の昇華を妨害しないものが好ましい。
そのような中間記録媒体の一例としては、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が表面に形成されている紙が挙げられ、インクジェット記録用の専用紙等を用いることができる。
中間記録媒体から繊維へ、記録画像を転写するときの加熱方法としては、通常190〜200℃程度で乾熱処理する方法が挙げられる。
この方法は、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させ、文字及び絵柄等の画像情報が記録された中間記録媒体を得た後、該中間記録媒体のインク組成物の付着面と、繊維とを接触させて加熱することにより、中間記録媒体に付着したインク組成物中の染料を、繊維に昇華転写させて捺染を行う繊維の捺染方法である。
中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着したインク組成物中の染料が、その表面で凝集せず、且つ昇華転写を行うときに染料の昇華を妨害しないものが好ましい。
そのような中間記録媒体の一例としては、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が表面に形成されている紙が挙げられ、インクジェット記録用の専用紙等を用いることができる。
中間記録媒体から繊維へ、記録画像を転写するときの加熱方法としては、通常190〜200℃程度で乾熱処理する方法が挙げられる。
前記の繊維としては特に制限されないが、疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維、木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。
繊維の中には、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような繊維も前記の捺染方法に使用することができる。インク受容層を有する繊維は公知の方法で調製することも、また、市販品として入手することもできる。インク受容層の材質や構造等は特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
繊維の中には、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような繊維も前記の捺染方法に使用することができる。インク受容層を有する繊維は公知の方法で調製することも、また、市販品として入手することもできる。インク受容層の材質や構造等は特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
本発明により、色糊等を用いる従来の捺染方法のように染料の種類や数を無制限に使用せずとも、従来のインクジェット捺染と比較して色再現範囲を拡大することができる。
本発明の分散液は、長期に保管しても固体の凝集や沈殿等を生じることなく、保存安定性が良好である。また、粘度、平均粒子径等の物性の変化も極めて少ない。
また、本発明のインク組成物は発色性に優れるだけでなく、耐光性、耐擦性、耐ガス性、耐塩素性、耐汗性、洗濯堅牢度等の、各種の堅牢性にも優れる。
本発明の分散液は、長期に保管しても固体の凝集や沈殿等を生じることなく、保存安定性が良好である。また、粘度、平均粒子径等の物性の変化も極めて少ない。
また、本発明のインク組成物は発色性に優れるだけでなく、耐光性、耐擦性、耐ガス性、耐塩素性、耐汗性、洗濯堅牢度等の、各種の堅牢性にも優れる。
以下の実施例により、さらに具体的に本発明を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[調製例1〜3]:水性分散液の調製。
下記表1に記載の各成分に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調整した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量がいずれも約15%である調製例1〜3の水性分散液を得た。得られた分散液を、それぞれ分散液1〜3とする。
[実施例1〜4]及び[比較例1〜2]:インク組成物の調製。
下記表2に記載の各成分を混合し、おおよそ30分間攪拌することにより、インク組成物をそれぞれ得た。得られた各インク組成物をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過することにより、インクジェット捺染に用いる実施例1〜4、及び、比較用の比較例1〜2の各インク組成物を調製した。
下記表1に記載の各成分に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調整した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量がいずれも約15%である調製例1〜3の水性分散液を得た。得られた分散液を、それぞれ分散液1〜3とする。
下記表2に記載の各成分を混合し、おおよそ30分間攪拌することにより、インク組成物をそれぞれ得た。得られた各インク組成物をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過することにより、インクジェット捺染に用いる実施例1〜4、及び、比較用の比較例1〜2の各インク組成物を調製した。
[染布の調製]
実施例1のインク組成物を使用してインクジェットプリンタPX−105(セイコーエプソン社製)にてベタ柄を中間記録媒体である転写紙へ印刷した。この印刷された転写紙におけるインク組成物の付着部分を35cm×40cmに裁断した。この裁断後の転写紙のインク付着面と、同じ大きさのポリエステル布(ポンジ)とを重ね合わせた後、太陽精機株式会社製トランスファープレス機TP−600A2を用いて200℃×60秒の条件にて熱処理し、転写紙からポリエステル布へ昇華転写捺染を行った。このようにして得られた捺染されたポリエステル布を、染布1とする。
実施例1のインク組成物の代わりに、実施例2〜4のインク組成物を用いる以外は前記と同様にして、染布2〜4をそれぞれ得た。
実施例1のインク組成物を使用してインクジェットプリンタPX−105(セイコーエプソン社製)にてベタ柄を中間記録媒体である転写紙へ印刷した。この印刷された転写紙におけるインク組成物の付着部分を35cm×40cmに裁断した。この裁断後の転写紙のインク付着面と、同じ大きさのポリエステル布(ポンジ)とを重ね合わせた後、太陽精機株式会社製トランスファープレス機TP−600A2を用いて200℃×60秒の条件にて熱処理し、転写紙からポリエステル布へ昇華転写捺染を行った。このようにして得られた捺染されたポリエステル布を、染布1とする。
実施例1のインク組成物の代わりに、実施例2〜4のインク組成物を用いる以外は前記と同様にして、染布2〜4をそれぞれ得た。
[比較用の染布の調製]
実施例1のインク組成物の代わりに、比較例1〜2のインク組成物を用いる以外は前記と同様にして、捺染されたポリエステル布を得た。得られた捺染されたポリエステル布を、比較染布1〜2とする。
得られた染布、及び比較染布を試験染布として用い、下記する評価試験を行った。
実施例1のインク組成物の代わりに、比較例1〜2のインク組成物を用いる以外は前記と同様にして、捺染されたポリエステル布を得た。得られた捺染されたポリエステル布を、比較染布1〜2とする。
得られた染布、及び比較染布を試験染布として用い、下記する評価試験を行った。
[色相評価1]
測色機はGRETAG−MACBETH社製、商品名:SpectroEyeを用い、試a*値、b*値を測色することにより色相を測定した。
前記のようにして得た各試験染布の色相a*及びb*を、前記の測色機により測定し、彩度C*を算出した。結果を下記表3に示す。またその値より彩度C<sup>*</sup>は下記式より求めた。彩度は、より数値の大きいものが高鮮明であることを意味し、性能として優れる。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2。
[評価基準]
A:彩度が96.0以上であり、非常に鮮やかなイエロー色である。
B:彩度が91.0以上であり、鮮やかなイエロー色である。
C:彩度が91.0未満であり、鮮やかさに欠けるイエロー色である。
測色機はGRETAG−MACBETH社製、商品名:SpectroEyeを用い、試a*値、b*値を測色することにより色相を測定した。
前記のようにして得た各試験染布の色相a*及びb*を、前記の測色機により測定し、彩度C*を算出した。結果を下記表3に示す。またその値より彩度C<sup>*</sup>は下記式より求めた。彩度は、より数値の大きいものが高鮮明であることを意味し、性能として優れる。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2。
[評価基準]
A:彩度が96.0以上であり、非常に鮮やかなイエロー色である。
B:彩度が91.0以上であり、鮮やかなイエロー色である。
C:彩度が91.0未満であり、鮮やかさに欠けるイエロー色である。
[色相評価2]
試験布の色相を目視にて観察し、以下の2段階の基準で評価した。
[評価基準]
A:ぎらつきや、目がちかちかする感覚は得られない。
B:ややぎらつき感はあるが、目がちかちかする感覚は得られない。
C:ぎらつきや、目がちかちかする感覚を強く感じる。
試験布の色相を目視にて観察し、以下の2段階の基準で評価した。
[評価基準]
A:ぎらつきや、目がちかちかする感覚は得られない。
B:ややぎらつき感はあるが、目がちかちかする感覚は得られない。
C:ぎらつきや、目がちかちかする感覚を強く感じる。
[発色性評価]
各試験染布について、発色性を評価した。発色性の評価はイエローの反射濃度であるDY値を測色することにより行った。
[評価基準]
A:イエロー濃度が1.5以上あり、高発色性のイエローである。
C:イエロー濃度が1.5未満であり、発色性の低いイエローである。
各試験染布について、発色性を評価した。発色性の評価はイエローの反射濃度であるDY値を測色することにより行った。
[評価基準]
A:イエロー濃度が1.5以上あり、高発色性のイエローである。
C:イエロー濃度が1.5未満であり、発色性の低いイエローである。
[蛍光性評価試験]
アセトンを用いて25000倍に稀釈した染料を試料として、株式会社島津製作所製F−7000型分光蛍光光度計にて蛍光ピークの最大強度を測定した。
[評価基準]
A:最大強度が500以上であり、強い蛍光性がある。
B:最大強度が100以上500未満であり、蛍光性がある。
C:最大強度が100未満であり、蛍光性がない。
アセトンを用いて25000倍に稀釈した染料を試料として、株式会社島津製作所製F−7000型分光蛍光光度計にて蛍光ピークの最大強度を測定した。
[評価基準]
A:最大強度が500以上であり、強い蛍光性がある。
B:最大強度が100以上500未満であり、蛍光性がある。
C:最大強度が100未満であり、蛍光性がない。
蛍光性評価試験の結果、C.I.Solvent Yellow 43、及びC.I.Disperse Yellow 82は評価Aであった。また、C.I.Disperse Yellow 54は評価Cであった。
本発明のインク組成物は、イエローの色相と発色性が極めて良好な染布の提供が可能であり、インクジェット記録用、特にインクジェット捺染用イエローインクとして極めて有用である。
Claims (15)
- いずれも昇華性を有する少なくとも2種類の染料を含有するイエローインク組成物であって、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有する染料であり、少なくとも1種類の染料が蛍光性を有しない染料であるイエローインク組成物。
- 蛍光性を有する染料が、C.I.Solvent Yellow及びC.I.Disperse Yellowから選択される染料である、請求項1に記載のイエローインク組成物。
- 蛍光性を有する染料である、C.I.Solvent Yellowが分子内にアミド構造を有する染料であり、C.I.Disperse Yellowが分子内にクマリン構造を有する染料である、請求項2に記載のイエローインク組成物。
- 蛍光性を有する染料が、C.I.Solvent Yellow 43及びC.I.Disperse Yellow 82から選択される染料である請求項1〜3のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
- 蛍光性を有しない染料が、C.I.Disperse Yellowから選択される染料である、請求項1に記載のイエローインク組成物。
- 蛍光性を有しない染料であるC.I.Disperse Yellowが、分子内にキノリン構造を有する染料である請求項1に記載のイエローインク組成物。
- 蛍光性を有しない染料が、C.I.Disperse Yellow 54である請求項1、5又は6に記載のイエローインク組成物。
- 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
- 25℃におけるインク組成物の粘度が、3〜20mPa・sある請求項1〜8のいずれか一項に記載のイエローインク組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のイエローインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維に付着させる工程Aと、工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の染料を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程Cとを含む、繊維の捺染方法。
- 1種類以上の糊材を少なくとも含有する水溶液を、イエローインク組成物の液滴を付着させる前の繊維に付与する、繊維の前処理工程をさらに含む請求項10に記載の繊維の捺染方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のイエローインク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させた後、該中間記録媒体のイエローインク組成物の付着面と、繊維とを接触させて加熱することにより、中間記録媒体に付着したイエローインク組成物中の染料を、繊維に昇華転写させて捺染を行う繊維の捺染方法。
- 繊維が、疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の繊維の捺染方法。
- 疎水性繊維が、ポリエステル繊維である、請求項13に記載の繊維の捺染方法。
- 請求項10〜14のいずれか一項に記載の捺染方法により得られる捺染された繊維。
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-
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- 2015-03-31 JP JP2015071384A patent/JP2016190932A/ja active Pending
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