JP2018115287A - インク組成物、および記録物 - Google Patents

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健太 菊池
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憲司 北田
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久史 岡村
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Abstract

【課題】インクの成分や不純物に由来する粒子の凝集物や結晶成長物を抑制し、分散安定性、吐出安定性及び発色性に優れたインク組成物および記録物を提供すること。【解決手段】本発明のインク組成物は、分散染料と、分散剤と、HLBが5以上、18以下であり分子中に環状構造を含むノニオン性界面活性剤と、を含み、ノニオン性界面活性剤の分散剤に対する比率が5質量%以上、20質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物、および記録物に関する。
インクジェット方式によるデジタル捺染は、従来のアナログ印刷に比べ工程が簡略化され、装置も比較的単純であり、高精細な画像の記録が可能であるため、近年、各方面で急速な発展を遂げてきている。インクジェット方式による印刷(捺染)では、インクの成分や不純物に由来する粒子の凝集物や結晶成長物が、異物としてインク中に発生することにより、吐出安定性の悪化、プリンター流路の目詰り、カラーシフト(染料の一部が異物化することで生じる発色能低下現象)などが発生することがあった。このため、従来から、異物の発生を抑えるための様々な検討が成されてきた。
従来、例えば、特許文献1には、スチレン−アクリル共重合体を含む分散樹脂と、炭素数と金属イオン種で規定した化合物からなるインク組成物が提案されている。また特許文献2には、気液界面で発生する異物を抑制するため、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物ならびにシリコーン系界面活性剤とアルキルスルホコハク酸塩とを含んだ捺染用インク組成物が提案されている。
特開2014−95006号公報 特開2015−83630号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクでは、熱安定性が充分ではない可能性があり、高温下で結晶成長物(異物)が発生しやすくなるという課題があった。特許文献1の式(1)、(2)で表される化合物において、疎水基が直鎖のアルキル基であると、分散染料との分子間に働く引力が弱く、インクが高温下に置かれると分散が不安定となり分散染料の粒子径が増大しやすかった。さらに、インク中の金属イオンと分散染料が反応して、分散染料の結晶成長物が異物(粗大粒子)として発生する可能性があった。
また、特許文献2に記載の捺染用インクジェットインク組成物では、気液界面の異物に限定されており、凝集物または結晶成長物を含む液中の異物に対して、効果がおよびにくいという課題があった。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現が可能である。
[適用例1]本適用例に係るインク組成物は、分散染料と、分散剤と、HLBが5以上、18以下であり分子中に環状構造を含むノニオン性界面活性剤と、を含み、ノニオン性界面活性剤の分散剤に対する比率が5質量%以上、20質量%以下であるインク組成物。
本適用例によれば、インク組成物における分散染料の分散安定性を向上させ、分散染料に由来する結晶成長物の発生を抑制することができる。詳しくは、ノニオン性界面活性剤のHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)を5以上とすることにより、インク組成物中へのノニオン性界面活性剤の溶解を促進して、添加による効果を発現させることができる。また、ノニオン性界面活性剤のHLBを18以下とすることにより、インク組成物中への分散染料の溶解を抑えることができる。ノニオン性界面活性剤は、分子構造中に環状構造を含むため、同様な環状構造を有する分散染料分子との親和性が高まり、高温下での分散染料の分散安定性が向上する。そのため、結晶成長物(異物)の発生が抑えられる。これにより、吐出安定性に優れ、プリンター流路の目詰まりを抑え、発色性に優れたインク組成物を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載のインク組成物においては、ノニオン性界面活性剤の分子中の環状構造は、少なくとも1つの二重結合を持つ環式不飽和炭化水素もしくは複素環式化合物であることが好ましい。
上記適用例によれば、分散染料および分散剤に対する、ノニオン性界面活性剤の親和性をさらに向上させることができる。詳しくは、分散染料および分散剤は環状構造を分子中に持つものが多く、特に環式不飽和炭化水素もしくは複素環式化合物を持つものが多い。そのため、ノニオン性界面活性剤が分散染料および分散剤と類似した骨格を有することで、互いの親和性がより高くなる。これにより、高温下でも長期に亘り分散染料の分散安定性が向上して、優れた保存安定性が確保される。
[適用例3]上記適用例に記載のインク組成物において、分散染料の濃度が、0.1質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。
上記適用例によれば、分散染料濃度が異物の発生を抑制するのに適切な濃度範囲とすることができる。吐出安定性を向上させるのにも適切な濃度範囲となり、染色濃度と吐出安定性とをさらに向上させることができ、プリンター流路の目詰まりの発生を抑え、発色性に優れたインク組成物を提供することができる。
[適用例4]上記適用例に記載のインク組成物においては、分散剤の濃度が、0.05質量%以上、5質量%以下であることが好ましい。
上記適用例によれば、分散染料の分散安定性をさらに向上する。これにより、高温下での保存安定性がより向上して、異物の発生をさらに抑えることができる。
[適用例5]上記適用例に記載のインク組成物においては、分散染料の平均粒子径が70nm以上、180nm以下の範囲にあることが好ましい。
上記適用例によれば、優れた吐出安定性が得られると共に、インク組成物を印刷に用いた場合に、鮮やかな画像形成を提供することができる。
[適用例6]上記適用例に記載のインク組成物においては、60℃で1日の加熱後の0.5μm以上の粗大粒子カウント数Xが、式(1)を満たすことが好ましい。
1000 ≦ X ≦ 100000 ・・・(1)
上記適用例によれば、高温の熱履歴が印加されたインク組成物を用いても、プリンター流路中の目詰りの発生を抑えることができる。また、分散染料の凝集による沈降が抑えられて、カラーシフトを低減することができ、発色性が向上する。
[適用例7]上記適用例に記載のインク組成物においては、分散剤が芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物およびリグニン抽出物を含むことが好ましい
上記適用例によれば、分散染料の分散安定性をいっそう向上させることが出来る。
従って、プリンター流路中の目詰りおよび優れた保存安定性、分散染料の凝集によるカラーシフトを低減し、発色性に優れたインクを得ることができる。
[適用例8]上記適用例に記載のインク組成物においては、ノニオン性界面活性剤と併用して、シリコーン系界面活性剤またはアルキルスルホコハク酸塩を含むことが好ましい。
上記適用例によれば、ノニオン性界面活性剤の異物抑制効果を阻害することなく、インクジェットインクの吐出に適した表面張力を付与することができる。これにより、吐出安定性をさらに向上させることができる。
[適用例9]本適用例に係る記録物は、上記適用例に記載のインク組成物を用いる。
上記適用例によれば、分散安定性に優れたインクが記録物にムラの無い均一な膜を作ることで、記録物において鮮明かつ濃度が均一な印刷画像を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
(実施形態1)
本実施形態のインク組成物は、分散染料と、分散剤と、HLBが5以上、18以下であり分子中に環状構造を含むノニオン性界面活性剤を1種以上含み、ノニオン性界面活性剤の分散剤に対する比率が5%以上、20%以下である。
以下、インク組成物として、分散染料、分散剤、ノニオン性界面活性剤、液媒体、防腐剤、pH調整剤に大別してこの順に具体例を挙げる。
1 分散染料
分散染料は粒子状を成し、インク組成物などの分散媒中に分散剤によって分散する着色剤である。また、分散染料には、加熱により昇華する性質を有する染料(昇華性染料)が含まれる。そのため、分散染料、とりわけ昇華性染料は、各種着色剤の中でも、鮮明な色相が得られること、被染色体に対する染色特性(例えば、染色再現性、堅牢性、耐白場汚染性等)などの点で優れている。
分散染料としては特に限定されず、例えば、C.I.(Colour Index Generic Name)ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、86;C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、5、20、25、25:1、33、56、76;C.I.ディスパースブラウン2;C.I.ディスパースレッド11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、93、146、158、190、190:1、207、239、240;C.I.バットレッド41;C.I.ディスパースバイオレット8、17、23、27、28、29、36、57;C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、359;C.I.ソルベントブルー36、63、105、111などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
上述した分散染料の中でも、インクの保存安定性の観点からは、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、51、54、60、71、86;C.I.ディスパースオレンジ20、25、25:1、56、76;C.I.ディスパースブラウン2;C.I.ディスパースレッド11、53、55、55:1、59、60、65、70、75、146、190、190:1、207、239、240;C.I.バットレッド41;C.I.ディスパースバイオレット8、17、23、27、28、29、36、57;C.I.ディスパースブルー26、26:1、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、359を用いることがより好ましい。
分散染料のインク組成物における濃度は、0.1質量%以上、10質量%以下である。より好ましくは、2質量%以上、8質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上、7質量%以下である。上記濃度を上記の範囲とすることにより吐出安定性に優れ、プリンター流路の目詰まりを抑え、発色性に優れたインク組成物を提供することができる。
分散染料の平均粒子径は、70nm以上、180nm以下である。より好ましくは、100nm以上、150nm以下であり、さらに好ましくは110nm以上、140nm以下である。平均粒子径を上記の範囲とすることにより、優れた吐出安定性が得られると共に、インク組成物を印刷に用いた場合に、鮮やかな画像を提供することができる。また、粒子径が上記の範囲であれば、沈降劣化に伴うカラーシフトを抑制し、画像の発色性を向上することができる。
なお、本明細書では、「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒子径のことを指すものとする。平均粒子径の測定方法は、JIS Z8825に記載の動的光散乱法やレーザー回折光法で求めることができる。例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
2 分散剤
分散剤とは、分子内に親油性骨格と親水性骨格を有する界面活性剤の一種である。特に粒子紛体との親和性が高いため、粉体粒子と分散媒との固液界面を安定化さる作用を持つ。そのため、顔料や分散染料などの着色剤粒子に分散剤が吸着することによって、分散媒中に着色剤粒子を分散させて、凝集を抑制し分散安定化を促進させる作用を持つ。
本実施形態に係る分散剤は、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物またはリグニン抽出物を含む。
芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸のホルマリン縮合物、フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物、β−ナフトールスルホン酸のホルマリン縮合物、メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ブチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物等のアルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物;β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物とβ−ナフトールスルホン酸のホルマリン縮合物との混合物、クレゾールスルホン酸のホルマリン縮合物と2−ナフトール−6−スルホン酸のホルマリン縮合物との混合物、リグニンスルホン酸のホルマリン縮合物が挙げられる。
特にこのような分散剤を用いることにより、気液界面において異物の発生を抑制でき、インク組成物の保存安定性、インク組成物の長期にわたる吐出安定性がより向上する傾向にある。同様の観点から、上記芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物が、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物を含むとさらに好ましい。芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物を含むことで分散安定性が向上し、優れた保存安定性を提供する。また、後述するノニオン性界面活性剤と共に用いることによって、凝集体の異物および結晶成長物の異物を抑制する効果も向上し、吐出安定性が向上する傾向にある。
分散剤のインク組成物における濃度は、0.05質量%以上、5質量%以下である。好ましくは、0.1質量%以上、4質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上、2質量%である。分散剤のインク組成物における濃度を、上記の範囲とすることにより、分散安定性を向上させ、吐出安定性も優れる傾向にある。
3 ノニオン性界面活性剤
本実施形態のノニオン性界面活性剤は、上述したように、HLBが5以上、18以下であり分子中に環状構造を含み、インク組成物中において、分散剤に対する比率が5%以上、20%以下である。
HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)とは、親水基の分子量と疎水基の分子量の比を表した値である。一般的にHLBが1から5の界面活性剤は、油中水型エマルジョンの調製に適しており、HLBが7から18の界面活性剤は、水中油型エマルジョンの調製に適している。
本発明においてノニオン性界面活性剤のHLBは、HPLC法による両親媒性カラムを用いて、リテンションタイムの比により求められたHLB、およびグリフィン法により算出され、HLB=20×親水部の式量の総和/分子量で定義されるHLBの、どちらを採用してもよい。
ノニオン性界面活性剤のHLBは、好ましくは5以上、18以下であり、さらに好ましくは8以上、15以下である。HLBを上記の範囲とすることにより、結晶成長物(異物)の発生をさらに抑えることができる。
上記環状構造は、少なくとも1つの二重結合を持つ環式不飽和炭化水素もしくは複素環式化合物である。このような環状構造を有し、HLBが5以上、18以下であるノニオン性界面活性剤としては、具体的には、水添植物フィトステロールとして、例えば、NIKKOL BPS−30(日光ケミカルズ社)、ポリオキシエチレンスチレン化エーテルとして、例えば、ノイゲンEA−207D(第一工業製薬社)、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
その他のノニオン性界面活性剤として、シリコーン系界面活性剤を、上記ノニオン性界面活性剤と併用してもよい。シリコーン系界面活性剤としては、ポリオルガノシロキサン構造を有する界面活性剤であれば特に限定されないが、例えば、未変性ポリオルガノシロキサン、エーテル変性ポリオルガノシロキサン、エステル変性ポリオルガノシロキサン、エポキシ変性ポリオルガノシロキサン、アミン変性ポリオルガノシロキサン、カルボキシル変性ポリオルガノシロキサン、フッ素変性ポリオルガノシロキサン、アルキルオキシ変性ポリオルガノシロキサン、メルカプト変性ポリオルガノシロキサン、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン、フェノール変性ポリオルガノシロキサン、フェニル変性ポリオルガノシロキサン、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン、又はアラルキル変性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。このなかでも、未変性ポリオルガノシロキサン、エーテル変性ポリオルガノシロキサン、及びエステル変性ポリオルガノシロキサンが好ましく、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンがより好ましい。ノニオン性界面活性剤を併用することにより、異物抑制効果を阻害することなく、インク組成物の吐出に適した表面張力を付与して、吐出安定性をさらに向上させることができる。
以上に述べたシリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、BYK345、BYK346、BYK347、BYK348、BYK349(以上、ビックケミー社)、シルフェイスSAG503A、SAG002、SAG005、SAG008(以上、信越化学工業社)などが挙げられる。
上述したノニオン性界面活性剤の他、アニオン性界面活性剤を併用することもでき、アルキルスルホコハク酸塩を用いることもできる。アルキルスルホコハク酸塩としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム含むアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤を併用することにより、異物抑制効果を阻害することなく、インク組成物の吐出に適した表面張力を付与して、吐出安定性をさらに向上させることができる。
以上に述べたアニオン性界面活性剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、ラテムルWX、ネオペレックスG−15、ネオペレックスGS、ペレックスSS―L、ペレックスSS―H(以上、花王社)、ニューレックスR25、ニューレックスソフト5S(以上、日油社)、ネオゲンS―20F、SAS―12F、ネオコールSW−C、モノゲンY100(以上、第一工業製薬社)、ニューコール210、ニューコール290−A、ディスロールSH、ニューコール707−SF、ニューコール1020−SN(以上、日本乳化剤社)などが挙げられる。
4 その他の成分
(水)
本実施形態に係るインク組成物は、液媒体として水を含んでもよい。水としては、特に制限されることなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、または超純水を用いることができる。水の含有量は、インク組成物の全量に対して、50質量%以上、90質量%以下が好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、インク組成物の粘度を好適な範囲に調整することができる。
(水系有機溶剤)
本実施形態に係るインク組成物は、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の全量に対して、1質量%以上、40質量%以下が好ましく、5質量%以上、30質量%以下がより好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記範囲内であることにより、インク組成物の粘度が、好ましい範囲になるように、より容易に調整することができる。
本実施形態で用いる水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、グリコールエーテル化合物、1,2−アルカンジオール化合物が挙げられる。このような水溶性有機溶剤を含むことにより、インク組成物の凝集体の異物および結晶成長物の異物を抑制する効果が向上する。また、吐出安定性および記録媒体に対する浸透性に優れ、インク組成物を用いた記録物において、より鮮明な画像を形成することができる。
グリコールエーテル化合物としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルやアルキレングリコールジエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物を用いる場合の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.05質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上、20質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上、15質量%以下である。
1,2−アルカンジオール化合物としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどが挙げられる。1,2−アルカンジオール化合物を用いる場合の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.5質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、10質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上、5質量%以下である。
(pH調整剤)
インク組成物がpH調整剤を含むことにより、インク組成物の保存安定性等を特に優れたものとすることができる。また、インク組成物を用いて製造される染色物の信頼性を特に優れたものとすることができる。pH調整剤としては、例えば、インク組成物のpHを6.0以上、11.0以下の範囲に制御できるものを好適に用いることができる。このようなpH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;タウリンなどのアミノスルホン酸が挙げられる。
インク組成物には、その異物抑制効果を阻害することなく、インク組成物の吐出に適した表面張力を付与して、分散安定性および吐出安定性を良好に維持するため、上記以外の添加剤を単独または組み合わせて適宜添加することもできる。例えば、粘度調整剤、浸透剤、保湿剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、および分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などが挙げられる。
5 インク組成物
本実施形態のインク組成物は、上述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することで調製することができる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、材料を順次添加して撹拌、混合する方法が用いられる。ろ過の方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過などが採用できる。
インク組成物の25℃における表面張力は、10mN/m以上、40mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN/m以上、40mN/m以下であり、さらに好ましくは、20mN/m以上、35mN/m以下である。25℃における表面張力を、上記の範囲とすることにより、インクジェット法によって捺染を行う際に、インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出安定性が向上する。また、印捺物に高精細な画像などを形成することができる。なお、インク組成物の表面張力は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社)を用いて測定することができる。具体的には、25℃の環境下にてインク組成物の温度を25℃とし、白金プレートの一部をインク組成物に浸漬させて測定し、求めることが可能である。
表面張力と同様な観点から、インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s(ミリパスカル秒)以上、15mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、2mPa・s以上、10mPa・s以下であり、さらに好ましくは、3mPa・s以上、6mPa・s以下である。なお、インク組成物の粘度は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社)を用いて測定することができる。具体的には、インク組成物の温度を20℃に調整し、Shear Rateを10から1000に上げ、Shear Rateが200のときの粘度を読み取り、求めることが可能である。
インク組成物のpHは、6.0以上、11以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、6.5以上、10以下であり、さらに好ましくは、7以上、10以下である。また、インク組成物の製造直後から貯蔵時に至るまで、上記のpH範囲にあることが好ましい。これにより、経時変化によるインク組成物のpH変化を抑制することができる。ここで、製造直後とは、インク組成物の成分の調合後24時間以内のことを指し、貯蔵時とは、インクカートリッジなどのインク容器に充填した後から、インクジェットヘッドから吐出されるまでの期間中を指す。例えば、貯蔵期間は、インクカートリッジの製品保証期間を指すことがある。インク組成物のpHは、上述したpH調整剤を用いて調整することが可能である。なお、60℃程度の高温放置により加速評価を行って、貯蔵時のpH値を推定してもよい。
インク組成物は、60℃で1日の加熱後の0.5μm以上の粗大粒子カウント数Xが、下記式(1)を満たす。
1000 ≦ X ≦ 100000 ・・・(1)
上記粗大粒子カウント数Xは、後述する方法によって求めることができる。Xが式(1)の範囲にあることにより、高温の熱履歴が印加されたインク組成物を用いても、プリンター流路中の目詰りの発生を抑えることができる。また、分散染料の凝集による沈降が抑えられて、カラーシフトを低減することができ、発色性に優れる。
インク組成物は、後述する記録物において異なる色調を呈する、複数のインク組成物を個別のインク容器に収納し、これらを組み合わせてインク組成物のインクセットとして用いてもよい。
6 記録物の製造方法
本実施形態に係る記録物は、上述したインク組成物を用いる。インク組成物から記録物を形成する方法は、特に限定されないが、インクジェット法を用いることが好ましい。インクジェット法とは、インクジェットプリンターのノズルから、インク組成物の微小な液滴を記録媒体へ吐出、付着させて行う方法である。なお、インク組成物の液滴を記録媒体へ直接的には付着させずに、転写媒体に付着させた後、転写媒体から記録媒体へ分散染料を転写する方法を用いてもよい。
本実施形態のインク組成物を用いた記録物の製造方法として、インクジェット法を用いたインクジェット捺染方法を例に挙げて説明する。本実施形態のインクジェット捺染方法は、インク組成物中の分散染料が昇華性染料である場合には、インク組成物を転写媒体に付着させる塗布工程と、インク組成物が塗布された転写媒体から記録媒体へ、インク組成物中の分散染料を転写させる転写工程とを有している。
塗付工程では、インクジェット法により、転写媒体にインク組成物を塗布する。インクジェット法には、インクジェットプリンターを採用できる。インクジェットプリンターとしては、特に限定されず、オンキャリッジ型、オフキャリッジ型や、シリアルプリンター、ラインヘッドプリンターのいずれを採用してもよい。本工程において、インク組成物は、所望の印刷パターンに対応する反転パターンで塗布される。
転写媒体としては、例えば、普通紙などの紙、インク組成物の受容層が設けられた専用紙またはコート紙などが挙げられる。
記録媒体としては、インク組成物によって記録物が形成可能であれば特に限定されないが、布帛を用いることが好ましい。布帛の形成材料としては、ポリエステル、アセテート、ナイロンなどを用いることが好ましい。布帛の形態としては、上記の形成材料を単独あるいは混紡繊維として用いた、例えば、織物、編物、不織布などが挙げられる。また、布帛の他には、樹脂フィルム、紙、ガラス、金属、陶器などを記録媒体として用いてもよい。
転写工程では、インク組成物が塗布された転写媒体と、記録媒体とを対向させて配置して、加熱処理を施す。これにより、転写媒体に塗布されたインク組成物中の分散染料(昇華性染料)が昇華することによって、記録媒体に転写されて記録物が得られる。
本工程での加熱温度は、160℃以上、220℃以下が好ましい。加熱時間は加熱温度に対応して調節可能であり、特に限定されないが、30秒以上、20分以下とすることができる。加熱温度および加熱時間を上記の範囲とすることによって、転写に要するエネルギーを低減すると共に、記録物における画像などの印刷パターンの発色を向上させることができる。
上記工程に加えて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を有してもよい。前処理工程としては、例えば、記録媒体に前処理液を塗布する工程が挙げられる。前処理液としては、布帛に塗布されたインク組成物の浸透、乾燥などの挙動を補助、変化させるもの、インク組成物との反応性を有し、発色性や摩擦堅牢性などを向上させるもの、などが用いられる。前処理液の塗布方法としては、例えば、浸漬、スプレー、インクジェット法などが挙げられる。
中間処理工程としては、記録媒体を予備加熱する工程が挙げられる。後処理工程としては、捺染を施した記録媒体を水洗、乾燥する工程が挙げられる。水洗においては、必要に応じ、ソーピング処理として、記録媒体に染着しなかった分散染料などを、熱石鹸液などを用いて洗い流してもよい。
以上に述べたように本実施形態に係るインク組成物によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態のインク組成物によれば、インク組成物における分散染料の分散安定性を向上させ、分散染料に由来する結晶成長物の発生を抑制することができる。詳しくは、ノニオン性界面活性剤のHLBを5以上とすることにより、インク組成物中へのノニオン性界面活性剤の溶解を促進して、添加による効果を発現させることができる。また、ノニオン性界面活性剤のHLBを18以下とすることにより、インク組成物中への分散染料の溶解を抑えることができる。ノニオン性界面活性剤は、分子構造中に環状構造を含むため、同様な環状構造を有する分散染料分子との親和性が高まり、高温下での分散染料の分散安定性が向上する。そのため、結晶成長物(異物)の発生が抑えられる。これにより、吐出安定性に優れ、プリンター流路の目詰まりの発生を抑制し、発色性に優れたインク組成物を提供することができる。
分散染料および分散剤に対する、ノニオン性界面活性剤の親和性をさらに向上させることができる。詳しくは、分散染料および分散剤は環状構造を分子中に持つものが多く、特に環式不飽和炭化水素もしくは複素環式化合物を持つものが多い。そのため、ノニオン性界面活性剤が分散染料および分散剤と類似した骨格を有することで、互いの親和性がより高くなる。これにより、高温下でも長期に亘り分散染料の分散安定性が向上して、優れた保存安定性が確保される。
分散染料濃度が異物の発生を抑制するのに適切な濃度範囲とすることができる。吐出安定性を向上させるのにも適切な濃度範囲となり、染色濃度と吐出安定性とをさらに向上させることができ、プリンター流路の目詰まりの発生を抑制し、発色性に優れたインク組成物を提供することができる。
分散染料の分散安定性がさらに向上する。これにより、高温下での保存安定性がより向上して、異物の発生をさらに抑えることができる。また、優れた吐出安定性が得られると共に、インク組成物を印刷に用いた場合に、鮮やかな画像形成を提供することができる。
ノニオン性界面活性剤の異物抑制効果を阻害することなく、インクジェットインクの吐出に適した表面張力を付与することができる。これにより、吐出安定性をさらに向上させることができる。
分散安定性に優れたインク組成物が記録物または転写媒体に、ムラの無い均一な膜を作ることで、記録物において鮮明かつ濃度が均一な印刷画像を提供できる。
以下に、本実施形態のインク組成物および記録物について、平均粒子径、粗大粒子カウント数、ノズル抜けの回数、発色性を評価した実施例と比較例とを示し、本実施形態の効果をより具体的に説明する。
<インクジェットインク組成物の製造>
[分散染料分散液の作製]
実施例および比較例の分散染料分散液は、表1に示す材料および組成となるように調製される。本実施形態のインク組成物は、分散染料、分散剤を液媒体、ノニオン性界面活性剤を分散染料が濡れるまで混合撹拌した後、あるいは分散染料と分散剤と液媒体を濡れるまで混合撹拌した後、ボールミル、サンドミル、及びサンドグラインダーのようなメディアを用いた分散機を当業者が適切に使用する方法により分散させることにより調製される。なお、表1において、表中の数値の単位は質量%であり、表中の「−」は添加していないことを意味する。
Figure 2018115287
(1)実施例1の分散染料分散液
分散染料としてディスパースレッド60を15質量%、分散剤としてナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物を7.5質量%、ノニオン性界面活性剤としてNIKKOL BPS−30を1質量%、イオン交換水を残部として添加し、合計が100質量%となるように配合した。次いで、これらを混合、撹拌してスラリーとした。ビーズミルのミキシングタンクにスラリーを移し、粉砕室容積の80体積%になるように0.3mmのジルコニアビーズを加えて、平均粒子径が100nm以上、180nm以下になるまで7時間粉砕し、実施例1の分散染料分散液を作製した。
(2)実施例2の分散染料分散液
実施例2の分散染料分散液は、実施例1の分散染料分散液において、分散染料ディスパースレッド60を、分散染料ディスパースイエロー54に替えた他は、実施例1と同様にして作製した。
(3)実施例3の分散染料分散液
実施例2の分散染料分散液は、実施例1の分散染料分散液において、分散染料ディスパースレッド60を、分散染料ディスパースブルー359に替えた他は、実施例1と同様にして作製した。
(4)比較例1の分散染料分散液
比較例1の分散染料分散液は、実施例1の分散染料分散液において、ノニオン系界面活性剤を、環状構造を持たないBO40(ポリオキシエチレンセチルエーテル)に替えた他は、実施例1と同様にして作製した。
(5)比較例2の分散染料分散液
比較例2の分散染料分散液は、実施例2の分散染料分散液において、ノニオン系界面活性剤を、BO40(ポリオキシエチレンセチルエーテル)に替えた他は、実施例1と同様にして作製した。
(6)比較例3の分散染料分散液
比較例3の分散染料分散液は、実施例3の分散染料分散液において、ノニオン系界面活性剤を、BO40(ポリオキシエチレンセチルエーテル)に替えた他は、実施例1と同様にして作製した。
(7)比較例4の分散染料分散液
比較例4の分散染料分散液は、実施例1の分散染料分散液において、添加するNIKKOL BPS−30を、0.3質量%とした他は、実施例1と同様にして作製した。なお、比較例4の分散染料分散液においては、NIKKOL BPS−30(ノニオン系界面活性剤)の、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(分散剤)に対する比率が4質量%であり、5質量%未満としている。
(8)比較例5の分散染料分散液
比較例5の分散染料分散液は、実施例2の分散染料分散液において、添加するNIKKOL BPS−30を、倍量の2質量%とした他は、実施例1と同様にして作製した。なお、比較例5の分散染料分散液においては、NIKKOL BPS−30(ノニオン系界面活性剤)の、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(分散剤)に対する比率が約26.7質量%であり、20質量%を超えている。
[インク組成物の調製]
実施例および比較例の各インク組成物の組成を表2に示した。表中の数値の単位は質量%であり、溶剤、界面活性剤、イオン交換水以外は、有効成分(固形分)の含有割合で表記している。また、IDSとはイミノジコハク酸の略称であり、BTAとはベンゾトリアゾールの略称である。まず、表2に示したインク組成物の組成になるように、それぞれの成分を容器に入れて、マグネティックスターラーにて1時間撹拌した。次いで、別の容器に作製した分散液に穏やかに注ぎ、1時間撹拌した。その混合液を、孔径5μmのメンブレンフィルターにてろ過し、各実施例、各比較例のインク組成物を得た。
Figure 2018115287
<評価方法>
[平均粒子径]
各実施例および各比較例のインク組成物について、20℃におけるインク組成物の平均粒子径を、調製した直後、および60℃で1日加熱した後に測定した。測定方法は希釈法により、精製水にインク組成物を150倍以上、250倍以下にて希釈したものを測定試料として、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて平均粒子径を測定した。測定された平均粒子径を、下記評価基準に従って評価した。その結果を表3に記載した。
(評価基準)
A:平均粒子径が、100nm以上、150nm以下であった。
B:平均粒子径が、70nm以上、100nm未満、または150nm超、180nm以下であった。
C:平均粒子径が、70nm未満、または180nm超であった。
[粗大粒子カウント数]
各実施例および各比較例のインク組成物について、上述した式(1)におけるX(粗大粒子カウント数)としての、インク組成物のFPIA−3000(フロー式粒子像分析装置、SYSMEX社製)カウント数の測定を、上記インク組成物を調製した直後および60℃で1日加熱した後に測定した。測定方法は希釈法により、精製水にインク組成物を150倍以上250倍以下にて希釈したものを測定試料として、粒度分布を測定した。測定された上記カウント数(FPIA粒子数カウント数)を、下記評価基準に従って評価した。その結果を表3に記載した。ここで、粗大粒子とは0.5μm以上の粒子を表し、粗大粒子カウント数は上述した式(1)におけるXに相当する。
(評価基準)
A:粗大粒子カウント数が、1000カウント以上、100000カウント以下であった。
B:粗大粒子カウント数が、1000カウント未満であった。
C:粗大粒子カウント数が、100000カウント超であった。
[ノズル抜けの本数]
上記で得られた各インク組成物をインク収容容器に充填し、プリンターPX−H6000(セイコーエプソン社製)に装着した。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンターのヘッドにインク組成物を充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。そして、ノズルのキャップを閉めた状態で2時間放置した。その後、PX−H6000から、上記各インク組成物を吐出させ、ノズル抜けが発生したノズルの本数を計測し、下記評価基準により評価した。その評価結果を、表3に記載した。ここで、ノズル抜けとは、ノズルから吐出された液滴(ドット)が抜けや曲がりを生じることを表す。
(評価基準)
A:ノズル抜け本数が全ノズル中1%未満であった。
B:ノズル抜け本数が全ノズル中1%以上10%未満であった。
C:ノズル抜け本数が全ノズル中10%以上であった。
[発色性(OD値)]
吐出安定性評価で得られた中間転写媒体のインク組成物付着側を白色記録媒体である布帛(ポリエステル100%、アミーナ、東レ社製)と密着させ、この状態で、ヒートプレス機(TP−608M、太陽精機社製)を用いて、180℃、60秒の条件で加熱し、昇華転写を行い、各記録物を得た。
得られた各記録物について、発色性の評価を行った。具体的には、得られた各記録物について、測色機(Gretag Macbeth Spectrolino、X−Rite社製)を用いて測定したOD(光学濃度)値に基づいて、下記評価基準により発色性を評価した。その評価結果を、表3に記載した。
(評価基準)
A:OD値が1.5以上であった。
B:OD値が1.45以上1.5未満であった。
C:OD値が1.45未満であった。
Figure 2018115287
<評価結果>
表3に示したように、実施例1から実施例3においては、平均粒子径、粗大粒子カウント数、ノズル抜けの本数、発色性のいずれの評価においても、「好適」に相当するA評価となった。以上から明らかなように粒子の凝集物や結晶成長物を抑制し、分散安定性および吐出安定性を向上させたインク組成物および記録方法であることが示された。
一方、比較例1から比較例5においては、ノズル抜けの本数および発色性の2つの評価が、全て「不適」に相当するC評価となった。また、平均粒子径および粗大粒子カウント数の評価においても、A評価とはならなかった。以上から、比較例1から比較例5は、実施例1から実施例3と比べて、劣っていることが分かった。

Claims (9)

  1. 分散染料と、分散剤と、HLBが5以上、18以下であり分子中に環状構造を含むノニオン性界面活性剤と、を含み、
    前記ノニオン性界面活性剤の前記分散剤に対する比率が5質量%以上、20質量%以下であるインク組成物。
  2. 前記環状構造は、少なくとも1つの二重結合を持つ環式不飽和炭化水素もしくは複素環式化合物である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記分散染料のインク組成物における濃度が、0.1質量%以上、10質量%以下である請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
  4. 前記分散剤のインク組成物における濃度が、0.05質量%以上、5質量%以下である請求項1から請求項3に記載のインク組成物。
  5. 前記分散染料の平均粒子径が、70nm以上、180nm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 60℃で1日の加熱後の0.5μm以上の粗大粒子カウント数Xが、下記式(1)を満たす請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
    1000 ≦ X ≦ 100000 ・・・(1)
  7. 前記分散剤が、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物またはリグニン抽出物を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 前記ノニオン性界面活性剤と併用して、シリコーン系界面活性剤またはアルキルスルホコハク酸塩を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物を用いた記録物。
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