JP2017043737A - インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 - Google Patents
インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017043737A JP2017043737A JP2015169214A JP2015169214A JP2017043737A JP 2017043737 A JP2017043737 A JP 2017043737A JP 2015169214 A JP2015169214 A JP 2015169214A JP 2015169214 A JP2015169214 A JP 2015169214A JP 2017043737 A JP2017043737 A JP 2017043737A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink composition
- ink
- colorants
- set according
- fiber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Coloring (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Abstract
Description
インクジェット記録に用いられる着色剤は、例えば、水溶性の染料等と、水不溶性の顔料・分散染料等が知られている。一般に、前者を使用すると記録画像の画質が良好となり、後者を使用すると各種の堅牢性が良好になると言われている。
繊維の捺染においては、例えば、色のり等を用いる従来の捺染方法がある。この方法では、目的とする色を再現するために使用する染料の種類や数に制限が無い。このため、同じ色相の染料を多数配合することにより、望みの色相を自由に得ることができた。
一方、インクジェット記録は、前記のとおり3〜4色のインクセットで様々な色を再現しなくてはならない。このため、色再現範囲の拡大は1つの大きな課題である。その解決方法として、例えば、複数の着色剤を配合する方法;「特色」等と呼ばれるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色相のインクを追加し、4色以上(例えば6色)のインクセットとする方法;等が提案されている。
しかしながら、市場の要求を十分に満足するインクセットは未だ見出されていない。
1)
水と、下記式(1)で表される水不溶性の着色剤と、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料とを含有する第1インク組成物、及び、水と、アンスラキノン染料を含有する第2インク組成物とを備えるインクセット。
2)
第1インク組成物が含有する着色剤の全てが、380nm〜580nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である上記1)に記載のインクセット。
3)
第1インク組成物が含有する着色剤の全てが、400nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である上記1)に記載のインクセット。
4)
第2インク組成物が含有する着色剤の全てが、550nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である上記1)に記載のインクセット。
5)
第2インク組成物が含有する着色剤の全てが、610nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である上記1)に記載のインクセット。
6)
第1インク組成物、及び第2インク組成物が含有する着色剤の全てが、水不溶性の着色剤である上記1)〜5)のいずれか一項に記載のインクセット。
7)
分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料が、C.I.Disperse Yellow 54である上記1)に記載のインクセット。
8)
アンスラキノン染料が、C.I.Disperse Blue 359である上記1)に記載のインクセット。
9)
第1インク組成物、及び第2インク組成物のそれぞれが、分散剤、及び水溶性有機溶剤をさらに含有する、上記1)〜8)のいずれか一項に記載のインクセット。
10)
第1インク組成物、及び第2インク組成物の25℃における粘度が、いずれも2〜20mPa・sである上記9)に記載のインクセット。
11)
上記1)〜10)のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、及び第2インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
12)
被記録材が繊維である、上記11)に記載のインクジェット記録方法。
13)
被記録材が繊維であり、且つ、該繊維が1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤を含有する水溶液が付与された繊維である、上記11)に記載のインクジェット記録方法。
14)
上記1)〜10)のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、及び第2インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、中間記録媒体に付着させることにより記録画像を得た後、該中間記録媒体における各インク組成物の液滴の付着面に繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を繊維に転写する、繊維の捺染方法。
その炭素数の範囲としては通常C1−C8、C1−C6が好ましく、C1−C4がより好ましい。また、前記インク組成物を昇華転写捺染に用いるときは、C1−C4アルキル基がさらに好ましい。
X1〜X5におけるアルコキシ基としては直鎖、分岐鎖又は環状アルコキシ基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖アルコキシ基が好ましい。
その炭素数の範囲としては通常C1−C8、C1−C6が好ましく、C1−C4がより好ましい。また、前記インク組成物を昇華転写捺染に用いるときは、C1−C4アルコキシ基が特に好ましい。
X1〜X5におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中ではフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
X1〜X5としては、そのうちの1つ〜3つが水素原子以外の基であるのが好ましく、1つ又は2つが水素原子以外の基であるのがより好ましく、1つが水素原子以外の基であるのがさらに好ましい。
X1〜X5としては、少なくとも1つのアルコキシ基を有するのが好ましく、水素原子、アルキル基及びアルコキシ基よりなる群から選択される基がより好ましく、水素原子及びアルコキシ基よりなる群から選択される基がさらに好ましい。
前記インクセットにより得られる記録画像を、例えば、望みの色調に微調整したいときがある。そのようなときは、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記第1インク組成物、及び第2インク組成物は、前記以外の着色剤をさらに含有することができる。
以下、特に断りの無い限り、「インク組成物」と記載したときは、「第1インク組成物、及び第2インク組成物」の両方を含む意味とする。
前記以外の着色剤の種類は特に制限されず、水溶性の着色剤、及び水不溶性の着色剤から選択される、任意の着色剤を用いることができる。
前記インク組成物が含有することができる着色剤の種類は、特に制限されない。その目安としては通常2種類〜5種類、好ましくは2種類〜4種類、より好ましくは2種類〜3種類、さらに好ましくは2種類である。
水溶性の着色剤としては、C.I.番号を有する酸性染料、直接染料、反応染料、及び、公知の酸性染料、直接染料、反応染料等が挙げられる。これらの中ではC.I.番号を有する酸性染料、直接染料、及び反応染料から選択するのが好ましい。
水不溶性の着色剤としては、C.I.番号を有する顔料、分散染料、溶剤染料、及び公知の顔料、分散染料、溶剤染料等が挙げられる。これらの中ではC.I.番号を有する分散染料、及び溶剤染料が好ましく、分散染料がさらに好ましい。
前記の中では水不溶性の着色剤が好ましい。なお、本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃において、1リットルの水に対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下の着色剤を意味する。また、本明細書において、水溶性の着色剤とは、水不溶性の着色剤以外の水に対する溶解度を有する着色剤を意味する。
また、着色剤の色相は通常イエロー、オレンジ及びレッド、好ましくはイエロー及びオレンジ、より好ましくはイエローである。前記第1インク組成物がオレンジ及びレッドの色相の着色剤を含有するときは、さらにイエローの色相の着色剤を含有し、インク組成物の色相としてはイエローとするのが好ましい。
インク組成物が含有する着色剤が3種類以上のとき、インク組成物が含有する着色剤の総質量中、式(1)の着色剤の質量と、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料の質量との総和に対して、これら以外の着色剤の質量の総和は通常1%〜40%、好ましくは1%〜30%、より好ましくは1%〜20%、さらに好ましくは1%〜15%程度である。
また、着色剤の色相は通常レッド及びブルー、好ましくはブルーである。また、第2インク組成物がレッドの色相の着色剤を含有するときは、さらにブルーの色相の着色剤を含有し、第2インク組成物としての色相はブルーであるのが好ましい。
第2インク組成物が含有する着色剤が2種類以上のとき、インク組成物が含有する着色剤の総質量中、アンスラキノン染料の質量に対して、それ以外の着色剤の質量の総和は通常1%〜40%、好ましくは1%〜30%、より好ましくは1%〜20%、さらに好ましくは1%〜15%程度である。
また、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料としては、水不溶性のキノリン染料が好ましく、中でもC.I.Disperse Yellow 54が特に好ましい。
また、インク組成物が含有する着色剤が2種類の水不溶性の着色剤であって、そのうちの1種類が式(1)の着色剤であり、残りの1種類の着色剤がC.I.Disperse Yellow 54であるのが特に好ましい。
また、アンスラキノン染料としては、水不溶性のアンスラキノン染料が好ましく、中でもC.I.Disperse Blue 359が特に好ましい。
また、第2インク組成物が含有する着色剤は1種類であるのが好ましい。
着色剤の精製は、無機不純物の除去等を目的として行われる。
無機不純物としては、金属陽イオンの塩化物、例えば塩化ナトリウム;硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム;等が挙げられる。
これらの無機不純物を除去する方法としては、逆浸透膜による方法;着色剤の乾燥品あるいはウエットケーキ等を、アセトン、メタノール、ジメチルスルホキシド等の水溶性有機溶剤、又は含水の水溶性有機溶剤中に加え、懸濁精製又は晶析する方法;イオン交換樹脂を用いる方法;等の公知の方法が挙げられる。
また、分散剤と界面活性剤は単に呼称が違う場合もあり、具体的に同じ物質を指すこともある。分散剤の種類としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性等が挙げられる。これらの中では、アニオン及びノニオン分散剤から選択される、少なくとも1種類の分散剤が好ましい。
芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸;クレゾールスルホン酸;フェノールスルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;β−ナフトールスルホン酸;β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸;ベンゼンスルホン酸;クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸;リグニンスルホン酸;等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸;β−ナフタレンスルホン酸;リグニンスルホン酸;の各ホルマリン縮合物が好ましい。
これらは様々な商品名の市販品として入手することができる。その一例として、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールN;クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールC;特殊芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールSN−B(いずれも花王株式会社製);等が挙げられる。
クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンWシリーズ;メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンANシリーズ(いずれも第一工業製薬株式会社製);等が挙げられる。
これらの中ではデモールN、ラベリンAN、ラベリンWが好ましく、デモールN、ラベリンWがより好ましく、ラベリンWがさらに好ましい。市販品として入手することができるリグニンスルホン酸は、例えばバニレックスN、バニレックスRN、バニレックスG、パールレックスDP(いずれも日本製紙株式会社製)等が挙げられ、これらの中ではバニレックスRN、バニレックスN、バニレックスGが好ましい。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)の共重合体としては、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体が好ましく挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸(エステル)」とは、本明細書においてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルを含む意味として、また「(無水)マレイン酸」とは、無水マレイン酸とマレイン酸を含む意味として、それぞれ用いる。芳香族炭化水素基を含む化合物との共重合には、これらのうち単一の化合物を使用することも、これらの中から複数を併用することもできる。また、共重合を行うときに、(無水)マレイン酸を加えて、芳香族炭化水素基を含む化合物、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体とすることもできる。
着色剤との相互作用を強くする目的で、共重合体が分子中に有する疎水性部分としては芳香族炭化水素基を含む化合物を用いるのが好ましい。その芳香族炭化水素基としてはフェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ナフタレン‐ジイル基が好ましく、フェニル基又はフェニレン基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
これらの共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。
なお(α‐メチル)スチレンとは本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
市販品として入手できる、これらの共重合体の具体例としては、例えばBASF社製の、ジョンクリル67、68、586、611、678、680、682、683、690等が挙げられ、これらの中ではジョンクリル68、678、682、683、690が好ましい。
これらの中では、フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物、コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
フィトステロール類のアルキレンオキサイド付加物としては、フィトステロール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「フィトステロール類」と記載したときは、フィトステロール又は水添フィトステロールの両者を含む意味である。例えばフィトステロール類のエチレンオキサイド付加物としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物又は水添フィトステロールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
コレスタノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、コレスタノール類のC2‐C4アルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本明細書において「コレスタノール類」と記載したときは、コレスタノール類又は水添コレスタノール類の両者を含む意味である。例えばコレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としてはコレスタノールのエチレンオキサイド付加物又は水添コレスタノールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
フィトステロール類又はコレスタノール類1モル当たりのアルキレンオキサイド、好ましくはC2‐C4アルキレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイドの付加量は10〜50モル程度で、HLBが13〜20程度のものが好ましい。
市販品として入手できるフィトステロール類エチレンオキサイド付加物としては、例えばNIKKOL BPS−20、NIKKOL BPS−30(いずれも日光ケミカルズ株式会社製、フィトステロールのEO付加物)、NIKKOL BPSH−25(同、水素添加フィトステロールのEO付加物)等が、また、コレスタノール類のエチレンオキサイド付加物としては、例えばNIKKOL DHC−30(同、コレスタノールのEO付加物)等が挙げられる。
また、水に溶解して湿潤剤としての役割をする化合物等も、便宜上本発明では水溶性有機溶剤に含めるものとし、例えば尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。
保存安定性を考慮すると、インクが含有する着色剤の溶解度が小さい溶剤が好ましい。そのような水溶性有機溶剤としては、前記のうちグリセリンと、グリセリン以外の溶剤(好ましくはグリセリン以外の多価アルコール類)とを併用するのが好ましい。
着色剤の水性分散液を調製する方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて、分散液を構成する各成分を撹拌混合する等の公知の方法が挙げられる。
着色剤の分散液を調製するときに、発泡が生じることがある。このようなときは、必要に応じてシリコーン系;アセチレンアルコール系;等の消泡剤を、分散液の調製時に添加することができる。但し、消泡剤には着色剤等の分散・微粒子化を阻害するものもあるため、微粒子化や分散液の安定性等に影響を及ぼさないものを使用するのが好ましい。好ましい消泡剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(SK−14等);エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、DF−110D等);等が挙げられる。
インク調製剤としては、界面活性剤、防腐防黴剤、及びpH調整剤等が挙げられ、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
市販品の一例としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(E1004、E1010等)、エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(420、440、465等)、株式会社日本触媒製のソフタノールシリーズ(EP5035等)、花王株式会社製のエマルゲンシリーズ(A−60等)等が挙げられる。
前記インク組成物が含有する、水性分散液、水溶性有機溶剤、及びインク調製剤の含有量は、インクの総質量に対して、それぞれ以下の通りである。
水性分散液の含有量は通常2〜35%、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜30%である。
水溶性有機溶剤の含有量は通常0〜60%、好ましくは5〜50%である。
インク調製剤の含有量は、インク調製剤の合計で通常0〜25%、好ましくは0.01〜20%である。
また、D90としては通常160nm〜350nm、好ましくは160nm〜300nm程度である
被記録材としては、例えば紙、フィルム等の記録用メディア;繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等);皮革;カラーフィルター用基材;等の被記録材が好ましく挙げられる。
記録用メディアとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたもの、及び、インク受容層を特に設けていないものの両方が挙げられる。
被記録材が繊維のとき、繊維としては疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維としては、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維、木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、それらの混紡繊維が疎水性繊維を含有する限り、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。
これらの疎水性繊維としては、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような疎水性繊維も同様に、本明細書における疎水性繊維に含まれる。インク受容層の形成方法は公知技術であり、インク受容層を有する繊維も市販品として入手が可能である。インク受容層の材質や構造等は、特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
前記インク組成物は、繊維の捺染に使用するのが特に好ましい。
1つ目の方法は、ダイレクトプリント又はダイレクト捺染等と呼称される方法である。この方法は、前記インクジェット記録方法において、被記録材が繊維であるインクジェット記録方法が挙げられる。好ましくは、被記録材が繊維であり、且つ、下記する1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤を含有する水溶液が、予め該繊維に付与された繊維であるインクジェット記録方法が挙げられる。この1種類以上の糊材等を含有する水溶液を繊維に付与する工程は、一般に「繊維の前処理工程」等と呼ばれる。
より具体的には、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより繊維に付着させることにより、文字及び絵柄等の記録画像を繊維に形成する工程Aと、
前記工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、
繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、の3工程を少なくとも含む、繊維の捺染方法である。
工程Bは、一般的には公知のスチーミング又はベーキングによって行われる。
スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃で10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃で20分程度;の各条件で繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(湿熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。
ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃で60秒〜120秒程度の条件で繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(乾熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。
工程Cは、得られた繊維を、温水、及び必要に応じて水により洗浄する工程である。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含んでもよい。
洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。
より具体的には、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させることにより、文字及び絵柄等の記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に繊維を接触させ、熱処理することにより、中間記録媒体に記録された記録画像を繊維に転写する、繊維の捺染方法である。
中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着したインク組成物中の着色剤が、その表面で凝集せず、且つ繊維へ記録画像の転写を行うときに、着色剤の昇華を妨害しないものが好ましい。
そのような中間記録媒体の一例としては、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が表面に形成されている紙が挙げられ、インクジェット用の専用紙等を用いることができる。
中間記録媒体から繊維へ記録画像を転写するときの熱処理としては、通常170〜200℃程度での乾熱処理が挙げられる。
前処理を施す工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤の水溶液を前処理液として用い、繊維を前処理液に含浸させて付与するのが好ましい。
前記糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等があげられる。好ましくはアルギン酸ソーダがあげられる。
前記アルカリ性物質としては、例えば無機酸又は有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物が挙げられ、無機又は有機の、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム化合物及びカリウム化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機化合物のアルカリ金属塩;蟻酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム等の有機化合物のアルカリ金属塩;等が挙げられる。好ましくは、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
前記還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
前記ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等の尿素類等があり、好ましくは尿素が挙げられる。
前記糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単一の化合物を使用してもよいし、それぞれ複数の化合物を併用してもよい。
前処理液の総質量中における各前処理剤の混合比率は、例えば、糊剤が0.5〜5%、アルカリ性物質が0.5〜5%、還元防止剤が0〜5%、ヒドロトロピー剤が1〜20%、残部が水である。
前処理剤を繊維へ付与する方法としては、例えば、パディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
着色剤のλmaxは、着色剤の希釈倍率が下記表1になるように、着色剤をアセトンに溶解させてサンプルを調製し、株式会社島津製作所製のUV−2700を用いて測定した。下記表1中の「Abs.」は、吸光度を意味する。
下記表2に記載の各成分を混合し、0.2mmのビーズを加えた。得られた液をサンドミルに入れ、氷冷下に2000rpm、20時間の条件で分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加えて希釈することにより、着色剤の濃度を15%に調整した各分散液を得た。
式(1):前記式(1)で表され、X1〜X4が水素原子、X5がメトキシ基である水不溶性の着色剤。
DY54:C.I.Disperse Yellow 54。
DB359:C.I.Disperse Blue 359。
下記表3に記載の各成分を混合することにより、Y−3〜Y−8の第1インク組成物、及びB−1の第2インク組成物を調製した。得られたインク組成物を5μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、評価試験用のインク組成物を得た。また、比較用として、式(1)の着色剤のみを含有するY−1、及び、分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料のみを含有するY−2のインク組成物を調製した。
下記表3中、「D50」は平均粒子径を意味する。
Y−3〜Y−8の第1インク組成物と、B−1の第2インク組成物とを、下記表4のとおりに組み合わせて実施例1〜10のインクセットとした。得られたインクセットをそれぞれ使用し、インクジェットプリンタPX−105(セイコーエプソン社製)にて、表4に記載の割合でインクセットの各インク組成物を吐出したベタ柄を中間記録媒体である転写紙へ印刷した。得られた転写紙のインク組成物の付与面を10cm×10cmに裁断し、同じ大きさのポリエステル布(ポンジ)と重ね合わせた後、太陽精機株式会社製トランスファープレス機TP−600A2を用いて180℃×60秒の条件にて熱処理し、転写紙からポリエステル布へ転写捺染を行うことにより、染布1〜10を得た。
また、比較用のY−1及びY−2のインク組成物を第1インク組成物の代わりに用い、下記表5のとおりに組み合わせて比較例1〜4のインクセットとした。実施例のインクセットの代わりに、比較例1〜4のインクセットを用いる以外は前記と同様にして、比較用の比較染布1〜4を得た。
得られた各染布を試験染布とし、下記する評価試験を行った。
GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて各染布を測色し、反射濃度OD−C値とOD−Y値、a*値、及びb*値を測定した。a*値及びb*値から算出したC*値とL*値の結果を下記表6に示す。
反射濃度は数値の大きい方が印字(染色)濃度が高いことを示し、染色性能が優れる。またC*値については、大きい方が彩度が高いことを示し、画像品質として優れる。
Claims (14)
- 第1インク組成物が含有する着色剤の全てが、380nm〜580nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
- 第1インク組成物が含有する着色剤の全てが、400nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
- 第2インク組成物が含有する着色剤の全てが、550nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
- 第2インク組成物が含有する着色剤の全てが、610nm〜680nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤である請求項1に記載のインクセット。
- 第1インク組成物、及び第2インク組成物が含有する着色剤の全てが、水不溶性の着色剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクセット。
- 分子内にハロゲン原子を有しないキノリン染料が、C.I.Disperse Yellow 54である請求項1に記載のインクセット。
- アンスラキノン染料が、C.I.Disperse Blue 359である請求項1に記載のインクセット。
- 第1インク組成物、及び第2インク組成物のそれぞれが、分散剤、及び水溶性有機溶剤をさらに含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクセット。
- 第1インク組成物、及び第2インク組成物の25℃における粘度が、いずれも3〜20mPa・sである請求項9に記載のインクセット。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、及び第2インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 被記録材が繊維である、請求項11に記載のインクジェット記録方法。
- 被記録材が繊維であり、且つ、該繊維が1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤を含有する水溶液が付与された繊維である、請求項11に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセットの第1インク組成物、及び第2インク組成物の液滴を、それぞれ独立にインクジェットプリンタを用いて吐出させ、中間記録媒体に付着させることにより記録画像を得た後、該中間記録媒体における各インク組成物の液滴の付着面に繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を繊維に転写する、繊維の捺染方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015169214A JP6529032B2 (ja) | 2015-08-28 | 2015-08-28 | インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015169214A JP6529032B2 (ja) | 2015-08-28 | 2015-08-28 | インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017043737A true JP2017043737A (ja) | 2017-03-02 |
JP6529032B2 JP6529032B2 (ja) | 2019-06-12 |
Family
ID=58211394
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015169214A Active JP6529032B2 (ja) | 2015-08-28 | 2015-08-28 | インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6529032B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018115287A (ja) * | 2017-01-20 | 2018-07-26 | セイコーエプソン株式会社 | インク組成物、および記録物 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012073696A1 (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | 日本化薬株式会社 | 分散染料及びそれを用いる疎水性繊維材料の染色法 |
JP2015093957A (ja) * | 2013-11-13 | 2015-05-18 | セイコーエプソン株式会社 | 昇華転写用インクジェットインク組成物、インクセット、及び染色物の製造方法 |
-
2015
- 2015-08-28 JP JP2015169214A patent/JP6529032B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012073696A1 (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | 日本化薬株式会社 | 分散染料及びそれを用いる疎水性繊維材料の染色法 |
JP2015093957A (ja) * | 2013-11-13 | 2015-05-18 | セイコーエプソン株式会社 | 昇華転写用インクジェットインク組成物、インクセット、及び染色物の製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018115287A (ja) * | 2017-01-20 | 2018-07-26 | セイコーエプソン株式会社 | インク組成物、および記録物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6529032B2 (ja) | 2019-06-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2016190932A (ja) | インク組成物、インクジェット捺染方法及び染色された繊維 | |
JP2016190936A (ja) | インクセット及びそれを用いた染色方法 | |
JP2016190937A (ja) | インクセット及びそれを用いた染色方法 | |
JP2017043739A (ja) | インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 | |
JP2017043736A (ja) | インク組成物、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 | |
JP6781668B2 (ja) | インクセット及びインクジェット記録方法。 | |
JP6158011B2 (ja) | インクジェット捺染用オレンジインク組成物及び繊維の捺染方法 | |
JP2016190933A (ja) | インクジェット捺染用マゼンタインク及びそれを用いた繊維の捺染方法 | |
JP2019001871A (ja) | インクセット及びインクジェット記録方法 | |
JPWO2020017431A1 (ja) | インクジェット捺染用インク組成物及び疎水性繊維の捺染方法 | |
JP2017132843A (ja) | インクジェット捺染用マゼンタインク及びそれを用いた繊維の捺染方法 | |
JP2017043737A (ja) | インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 | |
JP2017043738A (ja) | インクセット、インクジェット記録方法及び繊維の捺染方法。 | |
WO2020184302A1 (ja) | 捺染用インクセット及び繊維の捺染方法 | |
JP7491913B2 (ja) | 着色分散液、記録メディア、及び疎水性繊維の捺染方法 | |
JP2017160345A (ja) | インクジェット捺染用オレンジインク及びそれを用いた繊維の捺染方法 | |
JP7479342B2 (ja) | 染料分散液及び疎水性繊維の捺染方法 | |
JPWO2012060343A1 (ja) | アゾ染料インク組成物及びそれを用いるインクジェット捺染用インクセット | |
JP2021038391A (ja) | インクセット及びインクジェット記録方法。 | |
JP7349431B2 (ja) | インクジェット捺染用ブラックインク組成物及び疎水性繊維の捺染方法 | |
WO2022075025A1 (ja) | 着色液、着色液セット、記録物及び疎水性繊維の捺染方法 | |
WO2022025034A1 (ja) | 着色液、インクセット、記録メディア、及び疎水性繊維の捺染方法 | |
JPWO2020017430A1 (ja) | インクジェット捺染用ブラックインク組成物及び疎水性繊維の捺染方法 | |
JP2022026915A (ja) | 着色液及び繊維の捺染方法 | |
JP2017160346A (ja) | インクジェット捺染用オレンジインク及びそれを用いた繊維の捺染方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180313 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20181130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190104 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190227 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190508 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190508 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6529032 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |