JP2019210365A - 水性インクジェット用組成物 - Google Patents
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そして、蛍光染料を含むインクジェット用インクも用いられている。
スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤であるスルホン酸系分散剤とを含むことを特徴とする。
前記特定黄色染料群全体に対するC.I.Solvent Yellow 160:1の含有率が、60.0質量%以上99.0質量%以下であり、
水性インクジェット用組成物中におけるC.I.Solvent Yellow 160:1の含有率が、0.5質量%以上25.0質量%以下である。
<水性インクジェット用組成物>
各種蛍光染料の中でも、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184は、蛍光強度に優れる等の特長を有する一方で、以下のような問題を有していた。すなわち、上記の蛍光染料は、従来、水性インクジェット用組成物の構成成分として用いたときに、水性インクジェット用組成物の保存安定性と、乾燥によるヘッドフィルターやノズルの詰まりの生じにくさとを両立することは困難であった。
例えば、1種の特定黄色染料のみを用い、2種以上の特定黄色染料を併用しなかった場合には、水性インクジェット用組成物の保存安定性が低く、保存時に水性インクジェット用組成物中に異物が発生しやすい。
水性インクジェット用組成物は、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる特定黄色染料群から選択される少なくとも2種の特定黄色染料を含んでいる。
本発明の水性インクジェット用組成物は、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤であるスルホン酸系分散剤を含んでいる。
水性インクジェット用組成物は、水を含んでいる。この水としては、例えば、RO水、蒸留水、イオン交換水等の純水を用いてもよい。
水性インクジェット用組成物は、水以外の溶剤を含んでいてもよい。
これにより、前述した水以外の溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
水性インクジェット用組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
本発明の水性インクジェット用組成物は、クマリン骨格を有するとともに、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有するスルホ基含有クマリン骨格化合物を含んでいてもよい。
水性インクジェット用組成物は、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
これにより、水性インクジェット用組成物の吐出安定性がより向上する。
本発明の水性インクジェット用組成物は、例えば、ダイレクトプリント法、熱転写プリント法(例えば、昇華捺染)等に適用することができる。特に、水性インクジェット用組成物がスルホ基含有クマリン骨格化合物を含む場合であっても、蛍光染料である特定黄色染料が昇華性を有しており、かつ、着色成分であるスルホ基含有クマリン骨格化合物が実質的に昇華性を有していない(言い換えると、特定黄色染料に比して昇華性が十分に低い)ことから、特定黄色染料の色調、蛍光強度に優れるという特徴を生かしつつ、スルホ基含有クマリン骨格化合物が最終的な記録物の色調に影響を与えることを効果的に防止することができる点から、熱転写プリント法に好適に適用することができる。
インク付着工程では、インクジェット方式により、水性インクジェット用組成物を中間転写媒体に付着させる。インクジェット方式による水性インクジェット用組成物の吐出は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。中でも、水性インクジェット用組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
中間転写媒体としては、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができる。中でも、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が設けられた紙が好ましい。これにより、中間転写媒体に付着した水性インクジェット用組成物が乾燥する過程で、滲み等が抑制された中間転写媒体を得ることができ、また、後の転写工程において、特定黄色染料の昇華がより円滑に進行する傾向にある。
その後、水性インクジェット用組成物が付着された中間転写媒体を加熱し、水性インクジェット用組成物の構成成分としての特定黄色染料を記録媒体に転写させる。これにより、記録物が得られる。
記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム、紙、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。また、記録媒体としては、シート状、球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
また、後処理工程としては、例えば、記録媒体を洗浄する工程等が挙げられる。
[1]インクジェットインク製造用原液(水性インクジェット用組成物)の調製
(実施例A1)
まず、蛍光染料である特定黄色染料としてのC.I.Solvent Yellow 160:1およびC.I.Disperse Yellow 82と、スルホン酸系分散剤としてのナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物と、純水とを、表1に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行い、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
特定黄色染料として、C.I.Solvent Yellow 160:1のみを用い、各成分の配合比を表1に示すようにした以外は、前記実施例A1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
[2−1]保存安定性(粒径変化)
前記実施例および比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後の特定黄色染料の平均粒径と、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の特定黄色染料の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の特定黄色染料の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の特定黄色染料の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低いといえる。
B:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
C:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
D:平均粒径の変動率が15%以上20%未満である。
E:平均粒径の変動率が20%以上である。
これらの結果を表2にまとめて示す。
(実施例B1)
前記実施例A1で調製したインクジェットインク製造用原液と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
インクジェットインク中における特定黄色染料の平均粒径は、150nmであった。
まず、蛍光染料である特定黄色染料としてのC.I.Solvent Yellow 160:1およびC.I.Disperse Yellow 82と、スルホン酸系分散剤としてのスチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを、表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行い、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
インクジェットインク中における特定黄色染料の平均粒径は、150nmであった。
特定黄色染料およびスルホン酸系分散剤の種類、ならびに、各成分の配合比を表1に示すようにした以外は、前記実施例B2と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
前記比較例A1で調製したインクジェットインク製造用原液と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。すなわち、本比較例のインクジェットインクは、特定黄色染料を1種類しか含んでいない。
インクジェットインク中における特定黄色染料の平均粒径は、150nmであった。
まず、蛍光染料である特定黄色染料としてのC.I.Solvent Yellow 160:1およびC.I.Disperse Yellow 82と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを、表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行い、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。すなわち、本比較例のインクジェットインクは、スルホン酸系分散剤を含んでいない。
インクジェットインク中における特定黄色染料の平均粒径は、150nmであった。
インクジェットインクの調整に用いる成分の種類および各成分の配合比を表3に示すようにした以外は、前記実施例B2と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
[4−1]保存安定性(粒径変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後の染料の平均粒径と、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の染料の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の染料の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の染料の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低く、吐出安定性に与える悪影響が大きいといえる。
B:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
C:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
D:平均粒径の変動率が15%以上20%未満である。
E:平均粒径の変動率が20%以上である。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、当該収容容器を、記録装置PX−H6000(セイコーエプソン社製)に装着した。なお、セイコーエプソン社製PX−H6000のインク収容容器(上記のインク収容容器)は、水性インクジェット用組成物を補充可能なインク注入口を備えており、記録装置に使用状態で装着した際に、大気開放されているものである。
B:回復動作4〜6回で正常化した。
C:回復動作7〜9回で正常化した。
D:回復動作9回の後、室温で12時間静置し、さらに、1〜3回の回復動作で正常化した。
E:回復動作9回の後、室温で12時間静置し、さらに、1〜3回の回復動作を行っても正常化しなかった。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、当該収容容器を、記録装置PX−H6000(セイコーエプソン社製)に装着した。
照明条件:M1[D50]
濃度白色基準:絶対値
観察視野:2°
観察光源:D50
偏向フィルター:非装着
B:蛍光増白強度が3以上4未満である。
C:蛍光増白強度が2以上3未満である。
D:蛍光増白強度が1以上2未満である。
E:蛍光増白強度が1未満である。
これらの結果を表4にまとめて示す。
Claims (9)
- C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる特定黄色染料群から選択される少なくとも2種の染料成分と、
スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤であるスルホン酸系分散剤とを含むことを特徴とする水性インクジェット用組成物。 - 前記特定黄色染料群を構成する前記染料成分のうち最も高い含有率の1成分を第1の染料成分としたとき、前記特定黄色染料群全体に対する前記第1の染料成分の含有率が、50.0質量%以上99.9質量%以下である請求項1に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記特定黄色染料群を構成する前記染料成分のうち最も高い含有率の1成分を第1の染料成分とし、前記特定黄色染料群を構成する前記染料成分のうち前記第1の染料成分と同じ含有率であるかまたは前記第1の染料成分に次いで含有率が高い1成分を第2の染料成分とし、水性インクジェット用組成物中における前記第1の染料成分の含有率をX1[質量%]とし、水性インクジェット用組成物中における前記第2の染料成分の含有率をX2[質量%]としたとき、0.001≦X2/X1≦1.0の関係を満足する請求項1または2に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記特定黄色染料群を構成する前記染料成分のうち最も高い含有率の1成分がC.I.Solvent Yellow 160:1である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記スルホン酸系分散剤が、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、および、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記特定黄色染料群の含有率をXD[質量%]、前記スルホン酸系分散剤の含有率をXS[質量%]としたとき、0.2≦XS/XD≦5.0の関係を満足する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記特定黄色染料群の含有率が0.6質量%以上26質量%以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記特定黄色染料群を構成する前記染料成分のうち最も高い含有率の成分がC.I.Solvent Yellow 160:1であり、
前記特定黄色染料群全体に対するC.I.Solvent Yellow 160:1の含有率が、60.0質量%以上99.0質量%以下であり、
水性インクジェット用組成物中におけるC.I.Solvent Yellow 160:1の含有率が、0.5質量%以上25.0質量%以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。 - 前記スルホン酸系分散剤の含有率が0.5質量%以上20質量%以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
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