JP2014200917A - インクジェット記録方法および記録物 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録された画像からのVOCの発生量を低減できるとともに、高速記録および高画質を両立できる記録方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録方法は、記録ヘッドを用いて吐出させたインク組成物の液滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールを3質量%以上20質量%以下含有し、前記インク組成物の液滴の体積は、一滴当たり5pl以上30pl以下であり、前記記録ヘッドは、シリアルヘッドまたはラインヘッドであり、前記記録ヘッドがシリアルヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録方法は、記録ヘッドを用いて吐出させたインク組成物の液滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールを3質量%以上20質量%以下含有し、前記インク組成物の液滴の体積は、一滴当たり5pl以上30pl以下であり、前記記録ヘッドは、シリアルヘッドまたはラインヘッドであり、前記記録ヘッドがシリアルヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下である。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録方法およびこれにより得られる記録物に関する。
インクジェット記録方式を用いた記録方法は、インクの微細な液滴(インク滴)を吐出・飛翔させて紙などの記録媒体上に付着(着弾)させることにより行なう。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで写真やオフセット印刷が用いられていた高精細な画像記録(画像印刷)の分野にもインクジェット記録方式を用いた記録方法が利用されている。
このインクジェット記録方式において、より高精細な記録を行なうために、吐出されるインク滴の量は数ピコリットルと極微量になり、インクを吐出するノズルの径やノズルの間隔はより小さくなっている。例えば、特許文献1には、高画質化に対応した記録ヘッド(個別流路が相対的に短い第1ノズルと相対的に長い第2ノズルとが30μm未満の配置間隔で交互に配置されてなる記録ヘッド(記録ヘッド))に適用できるとする、1,2−ヘキサンジオールのような特定のアルカンジオールを含むインクジェット用インクが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット用インクには、主として低沸点の浸透剤が用いられているため、記録された画像からの有機溶媒の揮発量(VOC:Volatile
Organic Compounds)が多くなってしまうという課題があった。そこで、標準沸点が高い浸透剤を使用することにより、VOC量を低減することが考えられる。しかし、単に標準沸点が高い浸透剤を使用したインクジェット用インクは、記録媒体に付着した際の乾燥性に優れていないため、記録媒体上でインクが溢れてしまって、画像の滲みが生じたり、画像の粒状感が増すことで、良好な画像が得られない場合がある。
Organic Compounds)が多くなってしまうという課題があった。そこで、標準沸点が高い浸透剤を使用することにより、VOC量を低減することが考えられる。しかし、単に標準沸点が高い浸透剤を使用したインクジェット用インクは、記録媒体に付着した際の乾燥性に優れていないため、記録媒体上でインクが溢れてしまって、画像の滲みが生じたり、画像の粒状感が増すことで、良好な画像が得られない場合がある。
一方で、記録の高速化を達成するために、ラインヘッドを使用したり、シリアルヘッドを用いる場合にそのパス数を減少させたり、吐出するインクの液滴の一滴あたりの量を増大させたりする等の方法が採用されている。しかしながら、上記のように記録媒体に付着したインクの乾燥性が低下すると、記録の高速化に伴って記録される画像の画質が一層低下してしまう傾向にある。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、記録された画像からのVOCの発生量を低減できるとともに、高速記録および高画質を両立できる記録方法を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
記録ヘッドを用いて吐出させたインク組成物のインク滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールを3質量%以上20質量%以下含有し、
前記インク組成物の液滴の体積は、一滴当たり5pl以上30pl以下であり、
前記記録ヘッドは、シリアルヘッドまたはラインヘッドであり、
前記記録ヘッドがシリアルヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下である。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
記録ヘッドを用いて吐出させたインク組成物のインク滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールを3質量%以上20質量%以下含有し、
前記インク組成物の液滴の体積は、一滴当たり5pl以上30pl以下であり、
前記記録ヘッドは、シリアルヘッドまたはラインヘッドであり、
前記記録ヘッドがシリアルヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下である。
適用例1のインクジェット記録方法によれば、記録された画像からのVOCの発生量を低減できるとともに、高速記録および高画質を両立できる。
[適用例2]
適用例1において、
前記記録ヘッドは、単位長さ当たりの解像度が200dpi以上800dpi以下であることができる。
適用例1において、
前記記録ヘッドは、単位長さ当たりの解像度が200dpi以上800dpi以下であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
記録媒体の搬送方向における画像の解像度が1200dpi以下であり、該搬送方向に交差する方向の画像の解像度が1200dpi以下であることができる。
適用例1または適用例2において、
記録媒体の搬送方向における画像の解像度が1200dpi以下であり、該搬送方向に交差する方向の画像の解像度が1200dpi以下であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記記録ヘッドがラインヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における搬送速度が30cm/s以上であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記記録ヘッドがラインヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における搬送速度が30cm/s以上であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記アルカンジオールが分岐構造を有することができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記アルカンジオールが分岐構造を有することができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記アルカンジオールが3−メチル−1,5−ペンタンジオールであることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記アルカンジオールが3−メチル−1,5−ペンタンジオールであることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
前記記録ヘッドは、複数のサイズのインク滴を吐出して前記画像を記録することができる。
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
前記記録ヘッドは、複数のサイズのインク滴を吐出して前記画像を記録することができる。
[適用例8]
本発明に係る記録物の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載のインクジェット記録方法を用いて得られる。
本発明に係る記録物の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載のインクジェット記録方法を用いて得られる。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本発明において「画像」とは、ドット群から形成される記録パターンを示し、テキスト記録、ベタ記録も含める。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録ヘッドを用いて吐出させたインク組成物の液滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールを3質量%以上20質量%以下含有し、前記インク組成物の液滴の体積は、一滴当たり5pl以上30pl以下であり、前記記録ヘッドは、シリアルヘッドまたはラインヘッドであり、前記記録ヘッドがシリアルヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下であることを特徴とする。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に使用するインク組成物について説明し、次にインクジェット記録方法について説明する。
1.インク組成物
1.1.アルカンジオール
本実施形態に係るインク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオール(以下、「特定アルカンジオール」ともいう。)を含有する。このような特定アルカンジオールの具体例としては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、(R)−(+)−2−メチル−1,4−ブタンジオール等が挙げられ、浸透性や濡れ性がより良好である点で分岐構造を有しているものがより好ましい。これらの中でも、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが特に好ましい。インク組成物にこれらの特定アルカンジオールを添加することにより、記録された画像からのVOC発生量を低減することが可能となる。
1.1.アルカンジオール
本実施形態に係るインク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオール(以下、「特定アルカンジオール」ともいう。)を含有する。このような特定アルカンジオールの具体例としては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、(R)−(+)−2−メチル−1,4−ブタンジオール等が挙げられ、浸透性や濡れ性がより良好である点で分岐構造を有しているものがより好ましい。これらの中でも、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが特に好ましい。インク組成物にこれらの特定アルカンジオールを添加することにより、記録された画像からのVOC発生量を低減することが可能となる。
また、3−メチル−1,5−ペンタンジオールは、記録ヘッドに存在する際には高沸点であることから保湿剤として機能を有する一方で、記録媒体に付着した際には水の水素結合を弱めることができるので、画像の乾燥性を高めるという機能を発揮する。これにより、高速記録が可能となる。
インク組成物中の特定アルカンジオールの含有量は、3質量%以上20質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。インク組成物中の特定アルカンジオールの含有量が前記範囲にあれば、インクの浸透性と乾燥性とのバランスに優れ、優れた画像が記録される。一方、特定アルカンジオールの含有量が上記範囲未満であると、記録媒体に対するインクの浸透性が低下することにより、記録媒体上でインクが溢れてしまい、記録される画像の滲み等が生じる場合がある。また、特定アルカンジオールの含有量が上記範囲を超えると、記録媒体に付着したインクの乾燥性が低下することにより、記録媒体上でインクが溢れてしまい、記録される画像の滲み等が生じる場合がある。
1.2.水
本実施形態に係るインク組成物は、水を含有していてもよい。水は主に後述する色材を分散または溶解させる媒体として機能する。インク組成物は、水を25質量%以上含む水系インクであっても、水の含有量が25質量%未満である非水系インクであってもよいが、本願発明の特定のアルカンジオールの効果より、水系インクがより好ましい。水系インクは好ましくは50質量%以上の水を含む。
本実施形態に係るインク組成物は、水を含有していてもよい。水は主に後述する色材を分散または溶解させる媒体として機能する。インク組成物は、水を25質量%以上含む水系インクであっても、水の含有量が25質量%未満である非水系インクであってもよいが、本願発明の特定のアルカンジオールの効果より、水系インクがより好ましい。水系インクは好ましくは50質量%以上の水を含む。
1.3.色材
本実施形態にインク組成物は、顔料や染料等の色材を含有してもよい。染料および顔料は、米国特許出願公開2010/0086690号明細書、米国特許出願公開2005/0235870号明細書、国際公開第2011/027842に記載されているもの等を好適に用いることができる。染料および顔料のうち、耐光性等の観点から顔料を含むことが好ましい。
本実施形態にインク組成物は、顔料や染料等の色材を含有してもよい。染料および顔料は、米国特許出願公開2010/0086690号明細書、米国特許出願公開2005/0235870号明細書、国際公開第2011/027842に記載されているもの等を好適に用いることができる。染料および顔料のうち、耐光性等の観点から顔料を含むことが好ましい。
顔料のうち無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等を使用することができる。
顔料のうち有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。上記顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
インク組成物中における色材の含有量は、その用途によって適宜設定することができ、例えば、通常のカラーインクとして用いる場合には1.5質量%以上とすることができ、通常のカラーインクよりも顔料濃度の低いライトカラーインクとして用いる場合には0.05質量%以上1.5質量%未満とすることができる。
1.4.その他の添加剤
インク組成物には、多価アルコール、グリコールエーテル等の有機溶剤、顔料を分散させるための樹脂、界面活性剤、その他の成分が含有されていてもよい。
インク組成物には、多価アルコール、グリコールエーテル等の有機溶剤、顔料を分散させるための樹脂、界面活性剤、その他の成分が含有されていてもよい。
<多価アルコール>
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
<グリコールエーテル>
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルを挙げることができる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルを挙げることができる。
なお、VOC発生量を低減する観点から、インク組成物には、標準沸点240℃未満のアルカンジオールを実質的に含んでいないことが好ましい。また、標準沸点が240℃未満の有機溶剤を実質的に含んでいないことがさらに好ましい。
ここで、実質的に含まないとは、インクの総質量(100質量%)に対して、例えば1.0質量%以上含有しないことであり、好ましくは0.5質量%以上含有しないことであり、より好ましくは0.1質量%以上含有しないことであり、さらに好ましくは0.05質量%以上含有しないことであり、さらにより好ましくは0.01質量%以上含有しないことであり、最も好ましくは0.001質量%以上含有しないことである。
<樹脂>
インク組成物に含まれる樹脂は、顔料を分散させる分散剤として機能する。樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、ポリイソブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ロジン系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
インク組成物に含まれる樹脂は、顔料を分散させる分散剤として機能する。樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、ポリイソブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ロジン系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
樹脂の顔料に対する添加量は、顔料100質量部に対して10質量部以上300質量部以下であることが好ましく、50質量部以上250質量部以下であることがより好ましい。この範囲であることにより、顔料の水中への分散安定性が一層良好になる。
<界面活性剤>
界面活性剤の種類としては、特に限定されないが、アセチレングリコール系界面活性剤又はポリシロキサン系界面活性剤であることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体などの記録面への濡れ性を高めてインク組成物の浸透性を高めることができる。
界面活性剤の種類としては、特に限定されないが、アセチレングリコール系界面活性剤又はポリシロキサン系界面活性剤であることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体などの記録面への濡れ性を高めてインク組成物の浸透性を高めることができる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
インク組成物中の界面活性剤の含有量は、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましい。
<その他の成分>
インク組成物は、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、pH調整剤、有機バインダー、尿素系化合物、糖類、アルカノールアミン(トリエタノールアミン等)などが挙げられる。
インク組成物は、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、pH調整剤、有機バインダー、尿素系化合物、糖類、アルカノールアミン(トリエタノールアミン等)などが挙げられる。
2.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録ヘッドを用いて吐出させた上記インク組成物の液滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法である。これにより、記録媒体上に画像が記録された記録物が得られる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録ヘッドを用いて吐出させた上記インク組成物の液滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法である。これにより、記録媒体上に画像が記録された記録物が得られる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、インク滴吐出装置(例えば公知のインクジェットプリンター等)を用いて行われる。このようなインク滴吐出装置としては、いわゆるシリアル型のインク滴吐出装置(記録ヘッドとしてシリアルヘッドを採用したプリンター)およびライン型のインク滴吐出装置(記録ヘッドとしてラインヘッドを採用したプリンター)のいずれでも使用することができる。これらの型のインク滴吐出装置には、記録ヘッドが搭載されており、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔からインク組成物のインク滴を所定のタイミングでかつ所定の体積(質量)で吐出させ、記録媒体にインク組成物を付着させて所定の画像を記録することができる。
ここで一般に、シリアル型のインク滴吐出装置では、記録媒体の搬送方向と記録ヘッドの往復動作の方向とが交差しており、記録ヘッドの往復動作と記録媒体の搬送動作(往復動作も含む)との組み合わせによって、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。またこの場合、一般的には、記録ヘッドには複数のノズル孔(インク組成物を吐出する孔)が配置され、記録媒体の搬送方向に沿ってノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。また、記録ヘッドには、インク組成物の種類数に応じて、複数のノズル列が形成される場合もある。
また、一般に、ライン型のインク滴吐出装置では、記録ヘッド又は記録媒体の一方は往復動作を行わず、記録媒体の搬送によって記録媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。この場合においても、一般的には、記録ヘッドには、ノズル孔が複数配置され、記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って該ノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。ノズル列は、記録媒体の搬送方向に交差する方向、すなわち記録媒体の幅方向に渡って形成されているので、特に記録媒体の幅方向における画像の形成速度が速くなる。そのため、ライン型のインク滴吐出装置によれば、高速な記録が可能となる。この場合、さらなる記録の高速化を図るために、記録媒体の搬送方向における搬送速度を30cm/s以上とすることが好ましく、より好ましくは50cm/s以上、一層好ましくは80cm/s以上、最も好ましくは1m/s以上50m/s以下とすることである。
次に、記録媒体に記録される画像の解像度と、記録ヘッドに配置されるノズル孔のノズル列の長さあたりの個数(以下、「ヘッド解像度」ということがある。)の関係について説明する。ヘッド解像度が、例えば、1インチあたり360個(すなわち360dpi(ドット/インチ))である場合には、各ノズル孔から記録媒体に対してインク組成物を吐出すると、記録媒体上には、ノズル列におけるノズルの配置に対応する360dpiのドットの列が形成される。記録ヘッドと記録媒体とを、ノズル列の延びる方向に交差する方向に相対的に移動させながら各ノズル孔から、インク組成物のインク滴を吐出した場合であっても、記録媒体上にはノズル列の方向に沿う方向のドットは360dpiの解像度で形成されることになる。すなわち、この場合には、画像の、ノズル列の延びる方向に沿う方向における解像度(画像解像度)は、360dpiである。
なお、記録媒体上の記録ヘッドのノズル列の方向に交差する方向におけるインク滴の間隔は、ノズル孔からインク滴が吐出される時間間隔(吐出周波数)に依存する。記録ヘッドと記録媒体とを、ノズル列に直交する方向に相対的に移動させる場合の、画像解像度と、ヘッド解像度との関係は、シリアル型およびライン型のインク滴吐出装置において共通している。
また、シリアル型のインク滴吐出装置においては、記録ヘッドの往復動作の方向に対して交差する方向に記録媒体を移動させることができるため、記録ヘッドの解像度が例えば360dpiであっても、記録媒体を移動させることにより記録媒体上に形成される画像における、ノズル列に沿う方向のドットの間隔を小さくすることができる。すなわち、記録媒体に対して、記録ヘッドをノズル列に直交する方向に移動させて記録を行った後、記録媒体を記録ヘッドのノズル列に沿う方向に、例えばドット間隔の1/2の距離だけ移動させ、再度、記録媒体に対して、記録ヘッドをノズル列に直交する方向に移動させて記録を行えば、記録媒体上に形成される画像の、ノズル列に沿う方向の解像度を2倍すなわち720dpi相当とすることができる。さらに、記録媒体を記録ヘッドのノズル列に沿う方向への移動距離は、ドット間隔の1/3、1/4、1/8などと設定することができるため、ヘッド解像度よりも高い解像度の画像を形成することが容易である。ただし、このような手法によって画像解像度を高める場合には、画像解像度と、画像記録に要する時間とがトレードオフの関係にあることに注意する。
インク滴吐出装置を用いたインクジェット記録方法において、インク滴(液滴)のサイズを大きくすれば記録の高速化を図ることができるが、記録媒体に付着したインクの乾燥性が低下することから、記録媒体上でインクの溢れが生じたり、画像の粒状感が増したりして、得られる画像の画質が低下する場合がある。このような問題に対して、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上述した乾燥性と浸透性のバランスに優れたインク組成物を使用するので、インク滴サイズの大きい場合であっても、溢れや粒状感の少ない優れた画質の画像を記録できる。具体的には、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、5pl以上30pl以下のインク滴を用いた画像の記録に好適に使用される。すなわち、記録ヘッドから吐出されるインク組成物のインク滴体積は、一滴当たり5pl以上30pl以下であり、乾燥性を重視する場合の好ましいインク滴は7pl以上20pl以下であり、高速性を重視する場合の好ましいインク滴は10pl以上30pl以下である。なお、画像を形成する際の全ての液滴が上述の範囲に含まれている必要はないが、画像を記録する際に吐出するインク滴のうち、50%以上が上述の範囲に含まれると好ましい。また、マルチサイズのインク滴、すなわち複数のサイズのインク滴(例えば1pl〜40plの範囲)を吐出して画像を形成すると、画像記録中において高速性を重視する場合と乾燥性を重視する場合とを自在に切り替えることが可能になる。なお、マルチサイズのインク滴は、圧電素子を用いたインクジェット方式を採用する場合において、例えば吐出波形を変化させることで吐出することができる。
なお、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、5pl未満のインク滴を用いて画像の記録を行うものに適用可能であるが、5pl未満というインク滴サイズが小さいと、付着したインク滴の乾燥性の低下という不具合がそもそも生じにくいが、記録速度が低下してしまう。
なお、本明細書において、一滴あたりのインク滴の体積は、例えば、インクジェット液滴自動計測装置(商品名「JetMeasure」、株式会社マイクロジェット製)を用いて、インク滴の飛翔時を基準として測定できる。液滴の飛翔時とは、ノズルから吐出させた液滴が記録媒体に付着(接触)するまでのことをいう。なお、ノズルから一滴ずつ吐出させたはずの液滴が、ノズルから離れるときや飛翔中に、複数に分かれる場合がある。このような場合には、複数に分かれた液滴のうち、最も体積(pl)の多い液滴を基準とする。
シリアル型のインク滴吐出装置を用いたインクジェット記録方法において、記録媒体の搬送方向における画像解像度(R1)と、記録媒体の搬送方向におけるヘッド解像度(R2)と、の比(R1/R2)が小さくなると、記録ヘッドの動作を少なくできるので、高速な記録が可能となる。例えば、従前のシリアル型のインク滴吐出装置を用いたインクジェット記録方法においては、記録媒体の搬送方向における画像の解像度を、該搬送方向におけるヘッド解像度の8倍程度としていた。これに対して、本実施形態に係るインクジェット記録方法でシリアル型のインク滴吐出装置を用いる場合には、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が、該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下(好ましくは1倍以上4倍以下)である。また、記録ヘッドの走査(主走査)と記録媒体の搬送(副走査)が交互に繰り返される記録方法も好ましい。このように記録の高速化を図っても、上述の乾燥性と浸透性のバランスに優れたインク組成物を使用するので、溢れや粒状感の少ない優れた画質の画像が得られる。
記録ヘッドの単位長さあたりの解像度が低い場合には、通常、インク滴サイズを大きくしなければ、記録速度が遅くなってしまう傾向にあるが、インク滴サイズを大きくすると、上述したような画質の低下の問題が生じやすい。このような問題に対して、本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、インク滴サイズを大きくしたとしても、優れた画質の画像を記録できるので、記録ヘッドの単位長さあたりの解像度が200dpiという低いものにも好適に使用できる。具体的には、記録ヘッドは、単位長さ当たりの解像度が200dpi以上であることが好ましく、200dpi以上800dpi以下であることがより好ましい。なお、ヘッド解像度が600dpiを超える場合にも使用可能であるが、800dpiを超える高密度ヘッドの場合には、吐出されるインク滴サイズが小さいので、付着したインク滴の乾燥性の低下という不具合がそもそも生じにくい。
解像度の高い画像、すなわち、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が1200dpiを超え、かつ、該搬送方向に交差する方向の画像の解像度が1200dpiを超えるような画像を記録したい場合には、記録ヘッドから吐出されるインク滴サイズを小さくする必要がある。しかしながら、インク滴サイズの小さくすると、付着したインク滴の乾燥性の低下がそもそも生じにくい。したがって、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が1200dpi以下であり、該搬送方向に交差する方向の画像の解像度が1200dpi以下である、画像を記録するために使用することが好ましい。
ノズル孔の直径は、15μm以上30μm以下であることが好ましく、20μm以上30μm以下であることがより好ましい。ノズル孔の直径が上記範囲内にあることで、インクの吐出安定性が良好となり、かつ、上述のインク滴の吐出を容易に達成しやすくなり良好となる。
インクジェット記録方式は、上述したようなシリアル型またはライン型のインク滴吐出装置を用いるものであるが、方式としては、インク組成物を微細なノズル孔よりインク滴として吐出して該インク滴を記録媒体に付着させることができれば、特に制限されない。例えば、インクジェット記録方式としては、静電吸引方式、ポンプ圧力によりインク滴を噴射させる方式、圧電素子を用いる方式、インク液を微小電極で加熱発泡させインク滴を噴射させる方式、などを挙げることができる。これらの中でも、圧電素子を用いる方式を好ましく用いることができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、上述のインク組成物を用いるので、記録された画像からのVOCの発生量を低減できるとともに、高画質および高速記録の両立を達成できる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いる記録媒体としては、特に限定されず、例えば、紙、繊維製品、皮革、シートまたはフィルム、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等が挙げられる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
3.1.インク組成物の調製
下表1に、インク組成物の構成を示す。インク組成物としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各濃インク組成物(通常のカラーインク)と、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、グレー(Lk)、ライトグレー(LLk)の淡インク組成物(ライトカラーインク)と、を準備した。
下表1に、インク組成物の構成を示す。インク組成物としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各濃インク組成物(通常のカラーインク)と、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、グレー(Lk)、ライトグレー(LLk)の淡インク組成物(ライトカラーインク)と、を準備した。
イエロー(Y)の顔料にはピグメントイエロー74を、シアン(C)及びライトシアン(Lc)の顔料にはピグメントブルー15:3を、マゼンタ(M)及びライトマゼンタ(Lm)の顔料にはピグメントバイオレット19を、ブラック(K)、グレー(Lk)、ライトグレー(LLk)の顔料にはカーボンブラックを、それぞれ表1に示す含有量で用いた。
まず、上記の顔料、スチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量78,000、樹脂酸価100)、及びイオン交換水(一部)を混合攪拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所株式会社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータで分離することにより、顔料分散液を得た。
次いで、上記で得られた顔料分散液に、グリセリン、界面活性剤(製品名「BYK−348」、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)、トリエタノールアミン、表2に記載の浸透剤、及びイオン交換水を表1に記載の組成となるように添加した。その後、常温で1時間混合攪拌し、さらに孔径5μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インク組成物を調製した。なお、表1中の数値は、インク中での含有量(質量基準%)を表す。
なお、表2に記載の浸透剤の略称は、それぞれ以下の化合物を意味する。
・MPD :3−メチル−1,5−ペンタンジオール(標準沸点265℃)
・1,6−HD:1,6−ヘキサンジオール(標準沸点250℃)
・1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール(標準沸点223℃)
・1,3−PD:1,3−プロパンジオール(標準沸点210℃)
・MPD :3−メチル−1,5−ペンタンジオール(標準沸点265℃)
・1,6−HD:1,6−ヘキサンジオール(標準沸点250℃)
・1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール(標準沸点223℃)
・1,3−PD:1,3−プロパンジオール(標準沸点210℃)
3.2.評価方法
上記のように実施例および比較例に係る各インク組成物を供給したインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「PX−H8000」)を用いて、下記の記録条件1〜5にて各評価試験を実施した。
上記のように実施例および比較例に係る各インク組成物を供給したインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「PX−H8000」)を用いて、下記の記録条件1〜5にて各評価試験を実施した。
<記録条件1>
・インク滴のサイズ:45pl、30pl、15pl
・画像解像度:縦300dpi×横600dpi
<記録条件2>
・インク滴のサイズ:30pl、20pl、10pl
・画像解像度:縦600dpi×横600dpi
<記録条件3>
・インク滴のサイズ:15pl、10pl、5pl
・画像解像度:縦600dpi×横1200dpi
<記録条件4>
・インク滴のサイズ:7pl、4.7pl、2.4pl
・画像解像度:縦1200dpi×横1200dpi
<記録条件5>
・インク滴のサイズ:3pl、2pl、1pl
・画像解像度:縦1200dpi×横2400dpi
・インク滴のサイズ:45pl、30pl、15pl
・画像解像度:縦300dpi×横600dpi
<記録条件2>
・インク滴のサイズ:30pl、20pl、10pl
・画像解像度:縦600dpi×横600dpi
<記録条件3>
・インク滴のサイズ:15pl、10pl、5pl
・画像解像度:縦600dpi×横1200dpi
<記録条件4>
・インク滴のサイズ:7pl、4.7pl、2.4pl
・画像解像度:縦1200dpi×横1200dpi
<記録条件5>
・インク滴のサイズ:3pl、2pl、1pl
・画像解像度:縦1200dpi×横2400dpi
なお、画像解像度における「縦」とは、記録媒体の搬送方向における画像解像度を示し、「横」とは、記録媒体の搬送方向と交差する方向における画像解像度を示す。また、上記のインクジェットプリンターは、シリアル型のプリンターであり、記録媒体の搬送方向におけるヘッド解像度が360dpiである。
3.2.1.VOC発生量の評価
VOC発生量の評価は、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「PX−H8000」)を用い、ブルーエンジェル(ドイツ環境ラベル)による測定方法・評価条件に従って行った。判定の基準を以下に示す。
VOCの判定:良好「○」・・・VOC5mg/時間以下
不良「×」・・・VOC5mg/時間超
VOC発生量の評価は、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「PX−H8000」)を用い、ブルーエンジェル(ドイツ環境ラベル)による測定方法・評価条件に従って行った。判定の基準を以下に示す。
VOCの判定:良好「○」・・・VOC5mg/時間以下
不良「×」・・・VOC5mg/時間超
3.2.2.粒状性の評価
粒状性の評価は、日本画像学会論文「インクジェットの画質評価」(Japan hardcopy’99論文集(p291−294))に従って行った。具体的には、専用の粒状性評価画像(グラデーションパッチ)を実施例及び比較例に係るインクセットを用いて記録し、得られた記録物をスキャナーで電子データとして取り込み、専用ソフトにて粒状性指標値を算出することにより行った。記録媒体には、記録媒体(写真用紙<光沢>、セイコーエプソン株式会社製)を使用した。スキャナーには、GT−X770(セイコーエプソン株式会社製)を用い、解像度1200dpi、解析対象領域256×256pixelにて画像データを取り込み、解析データとした。粒状性の評価は、算出された粒状性指標値に対して以下の判定基準に従って行った。判定基準を以下に示す。
粒状性の判定:良好 「○」・・・粒状性指標が0.28未満
略良好「△」・・・粒状性指標が0.28以上0.30未満
不良 「×」・・・粒状性指標が0.30以上
粒状性の評価は、日本画像学会論文「インクジェットの画質評価」(Japan hardcopy’99論文集(p291−294))に従って行った。具体的には、専用の粒状性評価画像(グラデーションパッチ)を実施例及び比較例に係るインクセットを用いて記録し、得られた記録物をスキャナーで電子データとして取り込み、専用ソフトにて粒状性指標値を算出することにより行った。記録媒体には、記録媒体(写真用紙<光沢>、セイコーエプソン株式会社製)を使用した。スキャナーには、GT−X770(セイコーエプソン株式会社製)を用い、解像度1200dpi、解析対象領域256×256pixelにて画像データを取り込み、解析データとした。粒状性の評価は、算出された粒状性指標値に対して以下の判定基準に従って行った。判定基準を以下に示す。
粒状性の判定:良好 「○」・・・粒状性指標が0.28未満
略良好「△」・・・粒状性指標が0.28以上0.30未満
不良 「×」・・・粒状性指標が0.30以上
3.2.3.溢れの評価
上記の粒状性の評価で得られた専用の粒状性評価画像(グラデーションパッチ)を目視にて観察することで、画像の溢れの有無を判断した。判定基準を以下に示す。
溢れの判定:良好 「○」・・・溢れが確認できず
不良 「×」・・・溢れが確認された
上記の粒状性の評価で得られた専用の粒状性評価画像(グラデーションパッチ)を目視にて観察することで、画像の溢れの有無を判断した。判定基準を以下に示す。
溢れの判定:良好 「○」・・・溢れが確認できず
不良 「×」・・・溢れが確認された
3.3.評価結果
上記試験の評価結果を表2に示す。
上記試験の評価結果を表2に示す。
実施例および比較例ともに、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下であり、高速な記録を行った。この場合、実施例によれば、インク滴サイズが30plと大きい場合であっても、溢れや粒状感の少ない優れた画質の画像を記録できることが示された。また、実施例では、インク組成物に含まれるアルカンジオールとして、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上ものを使用したので、VOC評価が良好であった。
一方、比較例1〜4においては、標準沸点が240℃未満のアルカンジオールを含むインク組成物を用いたので、VOC評価が不良となった。
また、比較例2および3においては、溢れの評価および粒状性評価の少なくとも一方が不良となったことから、高速な記録に適していないことがわかった。
比較例5においては、インク滴サイズが45plと大きすぎると、粒状性および溢れの評価が不良となることが示された。
比較例6においては、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールの含有量が少なすぎたので、粒状性および溢れの評価が不良となることが示された。
比較例7においては、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールの含有量が多すぎたので、粒状性および溢れの評価が不良となることが示された。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (8)
- 記録ヘッドを用いて吐出させたインク組成物のインク滴を記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インク組成物は、炭素数が6以下でありかつ標準沸点が240℃以上のアルカンジオールを3質量%以上20質量%以下含有し、
前記インク組成物のインク滴の体積は、一滴当たり5pl以上30pl以下であり、
前記記録ヘッドは、シリアルヘッドまたはラインヘッドであり、
前記記録ヘッドがシリアルヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における画像の解像度が該搬送方向におけるヘッド解像度の6倍以下である、インクジェット記録方法。 - 請求項1において、
前記記録ヘッドは、単位長さ当たりの解像度が200dpi以上800dpi以下である、インクジェット記録方法。 - 請求項1または請求項2において、
記録媒体の搬送方向における画像の解像度が1200dpi以下であり、該搬送方向に交差する方向の画像の解像度が1200dpi以下である、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記記録ヘッドがラインヘッドである場合には、記録媒体の搬送方向における搬送速度が30cm/s以上である、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記アルカンジオールが分岐構造を有する、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記アルカンジオールが3−メチル−1,5−ペンタンジオールである、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記記録ヘッドは、複数のサイズのインク滴を吐出して前記画像を記録する、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法を用いて得られる、記録物。
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- 2014-03-19 US US14/219,128 patent/US20140295147A1/en not_active Abandoned
Cited By (4)
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JP2018154739A (ja) * | 2017-03-17 | 2018-10-04 | セイコーエプソン株式会社 | 水系インクジェットインク組成物 |
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