JP2018154736A - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録方法による記録の際に、VOC発生量を低減しながら、吐出安定性と画質とを両立させたインク組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係るインク組成物は、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと、水とを含有し、1,2−ヘキサンジオールを0.5質量%を超えて含有せず、質量基準で、(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)/(ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル)が13以上67以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物に関する。
インクジェット記録装置の記録ヘッドのノズルから微小なインク滴を吐出させて、記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録方法が知られており、近年では、インクの吸収性に優れた記録媒体(例えば、普通紙等)に対する画像の記録だけでなく、インクの吸収性の小さい(低吸収性)記録媒体(例えば、アート紙、コート紙等)や、インクをほとんど吸収しない(非吸収性)記録媒体(例えば、プラスチックフィルム等)に対する画像の記録にも用いられるようになってきている。また、インクジェット記録装置で用いるインクとして、地球環境及び安全性等の観点から、水をベースとした水系インクが用いられるようになってきている。
水系インクを用いたインクジェット記録方法では、吐出安定性と画質を両立させるために、浸透溶剤としてアルカンジオールが使用されている。例えば、特許文献1には、浸透剤として1,2−ヘキサンジオールを使用した水系インクが開示されている。浸透溶剤として1,2−ヘキサンジオールを用いると、インクジェットヘッドのフェイス面の固着が起こりにくくなり、吐出性に優れ、かつ、高画質で耐擦過性に優れた画像が得られる。
特開2015−199790号公報
しかしながら、1,2−ヘキサンジオールは標準沸点が低いため、記録された画像からの有機溶媒の揮発量(VOC:Volatile Organic Compounds)が多くなる場合がある。そこで、標準沸点が1,2−ヘキサンジオールよりも高い浸透剤を使用することにより、VOC発生量を低減することが考えられる。しかし、単に標準沸点が高い浸透剤を使用したインクジェットインクを用いた場合には、記録された画像からのVOC発生量は低減するものの、吐出が不安定となったり、記録媒体に付着したインクの乾燥性が低下して記録された画像に滲みが生じたり、画像の粒状感が増して画質が低下する場合がある。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、インクジェット記録方法による記録の際に、VOC発生量を低減しながら、吐出安定性と画質とを両立させたインク組成物を提供するものである。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインク組成物の一態様は、
3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと、水とを含有し、
1,2−ヘキサンジオールを0.5質量%を超えて含有せず、
質量基準で、(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)/(ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル)が13以上67以下であることを特徴とする。
上記適用例によれば、インク組成物が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと、水とを含有し、質量基準で、(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)/(ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル)が13以上67以下であることにより、インクジェット記録方法による記録の際にVOC発生量を低減することが可能であり、かつ、1,2−ヘキサンジオールを0.5質量%を超えて含有しなくても、吐出安定性と画質とを両立させたインク組成物を提供することができる。
[適用例2]
上記適用例において、
前記3−メチル−1,5−ペンタンジオールの含有量は、インク全質量に対して3質量%以上15質量%以下であることができる。
上記適用例によれば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの含有量がインク全質量に対して3質量%以上15質量%以下であることにより、さらに吐出安定性と画質が向上する。
[適用例3]
上記適用例において、
前記ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルの含有量は、インク全質量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下であることができる。
上記適用例によれば、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルの含有量が、インク全質量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下であることにより、さらに吐出安定性と画質が向上し、インクの保存安定性も向上する。
[適用例4]
上記適用例において、
標準沸点250℃未満の有機溶剤を含まないことが好ましい。
上記適用例によれば、標準沸点250℃未満の有機溶剤を含まないことにより、さらに、VOC発生量が低減する。
[適用例5]
上記適用例において、
シリコーン系界面活性剤をさらに含有することが好ましい。
上記適用例によれば、インクがシリコーン系界面活性剤を含有することにより、さらに吐出安定性が向上する。
[適用例6]
上記適用例において、
グリセリンをさらに含有することが好ましい。
上記適用例によれば、インクがグリセリンを含有することにより、インクジェット記録の際にノズルの目詰まりや吐出不良を抑制することができる。
[適用例7]
上記適用例において、
トリエチレングリコールをさらに含有することが好ましい。
上記適用例によれば、インクがトリエチレングリコールを含有することにより、インクジェット記録の際にノズルの目詰まりや吐出不良を抑制することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インク組成物
本実施形態に係るインク組成物は、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと、水とを含有し、1,2−ヘキサンジオールを0.5質量%を超えて含有せず、質量基準で、(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)/(ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル)が13以上67以下であることを特徴とする。本実施形態に係るインク組成物は、このように、水と、有機溶剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと、を含有するものであり、その他、例えば、色材、樹脂成分、界面活性剤を含有してもよい。このようなインク組成物は、インクジェット記録方法による記録の際に、VOC発生量を低減しながら、吐出安定性と画質とを両立することができる。以下、本実施形態に係るインク組成物に含まれる成分について説明する。
1.1.1.色材
本実施形態に係るインク組成物は、色材を含有してもよい。色材としては、染料や顔料等を挙げることができ、光やガス等に対して退色しにくい性質を有していることから顔料を用いることが好ましい。そのため、顔料を用いてインク非吸収性または低吸収性の記録媒体上に形成された画像は、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、保存性が良好となる。
本実施形態において使用可能な顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。一方、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。
本実施形態で使用可能な顔料の具体例のうち、ブラック顔料としてはカーボンブラックが挙げられ、カーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、もしくはチャンネルブラック等(C.I.ピグメントブラック7)、また市販品としてNo.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA77、MA100、No.2200B等(以上全て商品名、三菱化学株式会社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等(以上全て商品名、デグサ社製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上全て商品名、コロンビアカーボン社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテック
ス12等(以上全て商品名、キャボット社製)が挙げられる。
ホワイト顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、及び酸化ジルコニウムの白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、白色の中空樹脂粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
イエローインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外のカラーインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
パール顔料としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
メタリック顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの単体又は合金からなる粒子が挙げられる。
インク組成物に含まれ得る色材の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることがさらに好ましい。
上記の顔料をインク組成物に適用するためには、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにする必要がある。その方法としては、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂等の樹脂分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により分散された顔料を「樹脂分散顔料」という。)、水溶性界面活性剤および/または水分散性界面活性剤の界面活性剤にて分散させる方法(以下、この方法により分散された顔料を「界面活性剤分散顔料」という。)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、上記の樹脂あるいは界面活
性剤等の分散剤なしで水中に分散および/または溶解可能とする方法(以下、この方法により分散された顔料を「表面処理顔料」という。)等が挙げられる。本実施形態において、インク組成物は、上記の樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできる。
樹脂分散顔料に用いられる樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を有するモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
上記の塩としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等の塩基性化合物との塩が挙げられる。これら塩基性化合物の添加量は、上記樹脂分散剤の中和当量以上であれば特に制限はない。
上記樹脂分散剤の分子量は、重量平均分子量として1,000以上100,000以下の範囲であることが好ましく、3,000以上10,000以下の範囲であることがより好ましい。分子量が上記範囲であることにより、色材の水中での安定的な分散が得られ、またインク組成物に適用した際の粘度制御等がしやすい。
以上述べた樹脂分散剤としては市販品を用いることもできる。詳しくは、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
また、界面活性剤分散顔料に用いられる界面活性剤としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルピリジウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
上記樹脂分散剤または上記界面活性剤の顔料に対する添加量は、顔料100質量部に対して好ましくは1質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上50質量部以下である。この範囲であることにより、顔料の水中への分散安定性が確保できる。
表面処理顔料としては、親水性官能基として、−OM、−COOM、−CO−、−SOM、−SONH、−RSOM、−POHM、−PO、−SONHCOR、−NH、−NR(ただし、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を示す。)等が挙げられる。これらの官能基は、顔料粒子表面に直接および/または他の基を介してグラフトされることによって、物理的および/または化学的に導入される。多価の基としては、炭素数が1〜12のアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいナフチレン基等を挙げることができる。
前記の表面処理顔料としては、硫黄を含む処理剤によりその顔料粒子表面に−SOMおよび/または−RSOM(Mは対イオンであって、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンを示す。)が化学結合するように表面処理されたもの、すなわち、前記顔料が、活性プロトンを持たず、スルホン酸との反応性を有せず、顔料が不溶ないしは難溶である溶剤中に、顔料を分散させ、次いでアミド硫酸、又は三酸化硫黄と第三アミンとの錯体によりその粒子表面に−SOMおよび/または−RSOMが化学結合するように表面処理され、水に分散および/または溶解が可能なものとされたものであることが好ましい。
前記官能基またはその塩を顔料粒子の表面に直接または多価の基を介してグラフトさせる表面処理手段としては、種々の公知の表面処理手段を適用することができる。例えば、市販の酸化カーボンブラックにオゾンや次亜塩素酸ソーダ溶液を作用し、カーボンブラックをさらに酸化処理してその表面をより親水化処理する手段(例えば、特開平7−258578号公報、特開平8−3498号公報、特開平10−120958号公報、特開平10−195331号公報、特開平10−237349号公報)、カーボンブラックを3−アミノ−N−アルキル置換ピリジウムブロマイドで処理する手段(例えば、特開平10−195360号公報、特開平10−330665号公報)、有機顔料が不溶又は難溶である溶剤中に有機顔料を分散させ、スルホン化剤により顔料粒子表面にスルホン基を導入する手段(例えば、特開平8−283596号公報、特開平10−110110号公報、特開平10−110111号公報)、三酸化硫黄と錯体を形成する塩基性溶剤中に有機顔料を分散させ、三酸化硫黄を添加することにより有機顔料の表面を処理し、スルホン基又はスルホンアミノ基を導入する手段(例えば、特開平10−110114号公報)等が挙げられるが、本発明で用いられる表面処理顔料のための作製手段はこれらの手段に限定されるものではない。
1つの顔料粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類及びその程度は、インク中での分散安定性、色濃度、及びインクジェットヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
以上述べた樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料を水中に分散させる方法としては、樹脂分散顔料については顔料と水と樹脂分散剤、界面活性剤分散顔料については顔料と水と界面活性剤、表面処理顔料については表面処理顔料と水、また各々に必要に応じて水溶性有機溶剤・中和剤等を加えて、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の従来用いられている分散機にて行うことができる。この
場合、顔料の粒径としては、平均粒径で20nm以上500nm以下の範囲になるまで、より好ましくは50nm以上200nm以下の範囲になるまで分散することが、顔料の水中での分散安定性を確保する点で好ましい。
1.1.2.樹脂成分
本実施形態において、インク組成物は、水溶性および/または非水溶性の樹脂成分を含有してもよい。該樹脂成分は、インクを固化させ、さらにインク固化物を記録媒体上に強固に定着させる作用を有する。樹脂成分は、インク組成物中に溶解された状態またはインク組成物中に分散された状態のいずれの状態であってもよい。溶解状態の樹脂成分としては、本実施形態に係るインク組成物の色材として顔料を分散させる場合に使用する、上記の樹脂分散剤を用いることができる。また、分散状態の樹脂としては、本実施形態に係るインク組成物の液媒体に難溶あるいは不溶である樹脂成分を、微粒子状にして分散させて(すなわちエマルジョン状態、あるいはサスペンジョン状態にして)含ませることができる。
上記の樹脂成分としては、上記の樹脂分散剤として用いられる樹脂の他、ポリアクリル酸エステルもしくはその共重合体、ポリメタクリル酸エステルもしくはその共重合体、ポリアクリロニトリルもしくはその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレンもしくはそれらの共重合体、石油樹脂、クロマン・インデン樹脂、テルペン樹脂、ポリ酢酸ビニルもしくはその共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニルもしくはその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、フッ素ゴム、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドンもしくはその共重合体、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブタジエンもしくはその共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、天然樹脂等が挙げられる。この中で、特に分子構造中に疎水性部分と親水性部分とを併せ持つものが好ましい。
上記の樹脂成分を微粒子状態で得るには、以下に示す方法で得られ、そのいずれの方法でもよく、必要に応じて複数の方法を組み合わせてもよい。その方法としては、所望の樹脂成分を構成する単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(すなわち乳化重合)する方法、親水性部分を持つ樹脂成分を水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を蒸留等で除去することで得る方法、樹脂成分を非水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を分散剤と共に水溶液中に混合して得る方法等が挙げられる。上記の方法は、用いる樹脂成分の種類・特性に応じて適宜選択することができる。樹脂成分を分散する際に用いることのできる分散剤としては、特に制限はないが、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩等)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)を挙げることができ、これらを単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
上記のような樹脂成分として、微粒子状態(エマルジョン状態、サスペンジョン状態)で用いる場合、公知の材料・方法で得られるものを用いることも可能である。例えば、特公昭62−1426号公報、特開平3−56573号公報、特開平3−79678号公報、特開平3−160068号公報、特開平4−18462号公報等に記載のものを用いてもよい。また、市販品を用いることもでき、例えば、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE101
4(商品名、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)、ダイナフローシリーズ(商品名、JSR株式会社製)等が挙げられる。
樹脂成分を微粒子状態で用いる場合、インク組成物の保存安定性および吐出安定性を確保する観点から、その平均粒径は5nm以上400nm以下の範囲が好ましく、より好ましくは50nm以上200nm以上の範囲である。樹脂微粒子の平均粒子径が前記範囲にあることにより、成膜性に優れると共に、凝集しても大きな塊ができにくいのでノズルの目詰まりを低減することができる。なお、本明細書における平均粒子径は、特に明示がない限り体積基準のものである。測定方法としては、例えば、動的光散乱理論を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。このような粒度分布測定装置としては、例えば、日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製の「マイクロトラックUPA」等が挙げられる。
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、−20℃以上100℃以下であることが好ましく、−10℃以上80℃以下であることがより好ましい。
樹脂成分の含有量は、インク組成物全質量に対して、固形分換算で好ましくは0.1質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上7質量%以下であり、3質量%5質量%以下であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体上においても、インク組成物を固化・定着させることができる。
1.1.3.有機溶剤
本実施形態において、インク組成物は有機溶剤を含有する。インク組成物が有機溶剤を含有することにより、記録の際に吐出安定性に優れ、かつ、記録媒体上に吐出されたインク組成物の乾燥性が良好となり、耐擦性に優れた画像を得ることができる。
インク組成物に用いる有機溶剤としては、標準沸点が250℃以上であることが好ましい。また、標準沸点250℃未満の有機溶剤は、0.5質量%を超えて含有しないことが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以下であることがさらに好ましく、含有しないことが特に好ましい。これにより、VOC発生量が低減されたインク組成物を提供することができる。
インク組成物に用いる有機溶剤としては、水溶性有機溶剤であることが好ましい。水溶性有機溶剤を使用することにより、よりインク組成物の乾燥性が良好となり、耐擦性に優れた画像を得ることができる。
水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類(1,2−アルカンジオール類を除く。)、ピロリドン誘導体、グリコールエーテル類等が挙げられる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対するインク組成物の濡れ性を高めて均一に濡らす作用や、記録媒体に対する浸透溶剤としての作用に優れている。1,2−アルカンジオール類の含有量は、得られた画像からのVOC発生量を低減させるためには、1,2−ヘキサンジオールなどの標準沸点250℃未満の1,2−アルカンジオール類は、0.5質量%を超えて含有せず、0.4質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
多価アルコール類(1,2−アルカンジオール類を除く。)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、グリセリン等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、得られた画像からのVOC発生量を低減させる観点から、トリエチレングリコールやグリセリンを用いることが好ましい。これらの多価アルコール類は、インクジェットヘッドのノズル面でのインクの乾燥固化を抑制し、ノズルの目詰まりや吐出不良等を防止する作用を有する点で好ましく用いられる。
これらの多価アルコール類の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。また、得られた画像からのVOC発生量を低減させるために、標準沸点250℃未満の多価アルコール類は、0.5質量%を超えて含有しないことが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。ピロリドン誘導体は、樹脂の良好な溶解剤として作用し、耐擦性に優れた記録物を得たり、インクジェットヘッドやノズルの目詰まりを防止することができる。ピロリドン誘導体を使用する場合には、ピロリドン誘導体の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。なお、得られた画像からのVOC発生量を低減させるために、標準沸点250℃未満のピロリドン誘導体は0.5質量%を超えて含有しないことが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
グリコールエーテル類としては、例えば、ヘキシルグリコール、2−エチルヘキシルグリコール、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチ
ルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、インク組成物の記録媒体に対する濡れ性等を制御することできる。
グリコールエーテル類の含有量は、特に限定されるものではないが、インク組成物の全質量に対して、例えば、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。また、得られた画像からのVOC発生量を低減させるために、標準沸点250℃未満のグリコールエーテル類は0.5質量%を超えて含有しないことが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
上記の有機溶剤の中でも、本実施形態に係るインク組成物は、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下、「MPD」ともいう。)を含有することを特徴とする。MPDは標準沸点が250℃であり、記録媒体に対する浸透剤として従来より用いられている1,2−ヘキサンジオール(以下、「1,2−HD」ともいう。)の標準沸点(223℃)よりも高い。このため、MPDを1,2−HDと置き換えることにより、記録された画像からのVOC発生量が低減されたインク組成物を提供することができる。
また、MPDは、記録媒体に対する浸透性や濡れ性が良好であり、標準沸点が高いことから、インクジェットヘッドに対する保湿剤として機能する。その一方で、インクがMPDを含有することにより、インクの動的表面張力が上がり、吐出安定性が損なわれ得るという課題がある。そこで、インク組成物が、MPDを含有し、さらに後述するジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルに対し、質量基準で、(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)/(ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル)が13以上67以下となるように含有することにより、VOC発生量を低減しながら、吐出安定性の確保と、得られた画像の画質の向上を両立させることができる。
MPDの含有量は、インク組成物の全質量に対して、下限値は3質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、インク組成物中のMPDの含有量の上限値は、15質量%以下であることが好ましく、13質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。インク組成物中のMPDの含有量が前記範囲にある場合には、VOC発生量を低減することができる。また、インクの動的表面張力が上がりすぎないことにより埋まり性が向上して吐出安定性が向上し、着弾ズレが減少する。さらに、粒状性が良好な、画質に優れた画像が記録される。
また、上記の有機溶剤の中でも、本実施形態に係るインク組成物は、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(以下、「EHDG」ともいう。)を含有することを特徴とする。EHDGは標準沸点が272℃であるため、EHDGを含有することにより、記録された画像からのVOC発生量が低減されたインク組成物を提供することができる。
インクがEHDGを含有することにより、MPDの含有に伴って上がったインクの動的
表面張力を調整することが可能となる。インクの動的表面張力を調整することにより、埋まり性が向上して吐出安定性が向上し、着弾ズレが減少する。このため、インク中のMPDとEHDGの量比を最適化することで、VOC発生量を低減しながら、画質と吐出安定性を両立させることが可能となる。
インク中のMPDとEHDGの質量基準による量比は、MPD/EHDGが13以上67以下であり、20以上60以下であることが好ましく、25以上50以下であることがさらに好ましい。インクが、前記範囲となるようにMPDとEHDGを含有することにより、VOC発生量を低減しながら、吐出安定性の確保と、得られた画像の画質の向上を両立させることができる。
なお、EHDGの含有量が高すぎると、EHDGがインク中に溶解せずに吐出安定性が低下したり、インクの保存安定性が低下する傾向がある。したがって、EHDGの含有量は、インク組成物の全質量に対して、下限値は0.1質量%以上であることが好ましく、0.15質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましい。また、インク組成物中のEHDGの含有量の上限値は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.45質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以下であることがさらに好ましい。EHDGの含有量が前記範囲にある場合には、さらに吐出安定性と画質が向上し、インクの保存安定性も向上する。
また、標準沸点が280℃以上の有機溶剤は、インク組成物の水分を吸収して、インクジェットヘッド付近のインク組成物を増粘させる場合があり、これにより、インクジェットヘッドの吐出安定性を低下させる場合がある。このため、本実施形態において、インク組成物は、標準沸点が280℃以上の有機溶剤の含有量が20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、13質量%以下であることがさらに好ましい。この場合には、記録媒体上でのインク組成物の乾燥性が高くなるので、ブリードの発生が抑制された優れた画像を形成できる。また、得られた記録物のベタツキが低減され、耐擦性に優れたものとなる。標準沸点が280℃以上の有機溶剤としては、例えば、トリエチレングリコールやグリセリンを挙げることができる。
1.1.4.水
本実施形態において、インク組成物は、水を含有する。水は、インク組成物の主となる媒体であり、乾燥によって蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、顔料分散液およびこれを用いたインク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。
水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
1.1.5.界面活性剤
本実施形態において、インク組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの少なくとも1種を含有することが好ましく、これらの中でもシリコーン系界面活性剤を含有することがより好ましい。インクがシリコーン系界面活性剤を含有することにより、インクの動的表面張力を下がり、吐出安定性をさらに向上させることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばサーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、エアープロダクツジャパン株式会社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができ、0.5質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
1.1.6.その他の含有成分
本実施形態において、インク組成物は、さらに、pH調整剤、ポリオレフィンワックス、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。これらの材料を添加すると、インク組成物の有する特性をさらに向上させることができる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造したワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。ポリオレフィンワックスとしては、市販されているものを利用することができ、具体的には、ノプコートPEM17(商品名、サンノプコ株式会社製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学株式会社製)、AQUACER515、AQUACER593(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等を用いることができる。
ポリオレフィンワックスを添加すると、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体上に形成された画像の物理的接触に対する滑り性を向上させることができ、画像の耐擦性を向上できる点から好ましい。ポリオレフィンワックスの含有量は、インク組成物の全質量に
対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。ポリオレフィンワックスの含有量が、上記範囲にあると、上述の効果が十分に発揮される。
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
1.1.7.インク組成物の調製方法
本実施形態に係るインク組成物は、前述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
1.1.8.インク組成物の物性
本実施形態に係るインク組成物は、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインク組成物の20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.1.9.用途
本実施形態に係るインク組成物は、1,2−ヘキサンジオールを0.5質量%を超えて含有しないため、記録の際および記録物からのVOC発生量が低減し、インクジェット記録方法による記録の際に吐出安定性に優れ、画質が確保されたインク組成物である。このため、種々の記録媒体に対するインクジェット記録に用いることができる。
本実施形態において、印刷対象となる記録媒体は特に制限されず、インク吸収性の高い綿、絹、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン等の布地や、普通紙、インクジェット専用紙、中程度の吸収性の上質紙、コピー用紙だけでなく、低吸収性あるいは非吸収性の塗工紙やプラスチックフィルムにも用いることができる。
低吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に塗料を塗布して塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、ア
ート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
非吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。なお、本明細書中において、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体を、単に「プラスチックメディア」ともいう。
ここで、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
なお、インクジェット記録方法による記録媒体に対する記録は、インクジェット方式の記録ヘッドから、本実施形態に係るインク組成物を吐出して記録媒体に記録するものである。
インクジェット記録装置としては、特に限定されないが、ドロップオンデマンド型のインクジェット記録装置が好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェット記録装置には、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があるが、いずれの記録方法も採用することができる。また、本実施形態に係るインク組成物は、例えば、撥インク処理された吐出ノズル表面を有するインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させるインクジェット記録方法に有利に用いることができる。
本実施形態に係るインク組成物は、上述したように、VOC発生量を低減しながら、吐出安定性と画質とを両立させたインク組成物であるため、このようなインクを用いて記録することにより、得られた記録物からのVOC発生量が低減する。また、本実施形態に係るインク組成物は所定の有機溶剤の構成であるため、記録の際に吐出安定性に優れると共に、得られた画像の画質が確保される。
なお、インクジェット記録方法による記録の際に、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤として、多価金属塩、カチオン性化合物(カチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等)、有機酸等を含む反応液を用いて記録してもよい。この場合には、凝集剤によりインク中の色材や樹脂が凝集し、この凝集物が色材の記録媒体への浸透を阻害するため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなる。
2.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
2.1.インク組成物の調製
表1の配合割合になるように各成分を混合攪拌し、さらに孔径5μmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例1〜7および比較例1〜10を得た。なお、表1中
の数値は、インク中での含有量(質量%)を表し、水はインク組成物の全質量が100質量%となるように添加した。
Figure 2018154736
なお、用いた材料の詳細は以下の通りである。また、EO鎖の数は、化合物中に含まれる、エチレンオキサイドの数を表している。
<顔料>
・ピグメントブルー15:3(シアン(Cy)顔料)
・ピグメントイエロー74(イエロー(Y)顔料)
<浸透剤>
・MPD:3−メチル−1,5−ペンタンジオール(標準沸点250℃)
・EHD:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(標準沸点244℃)
・EHDG:ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(標準沸点272℃)・HeDG:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(標準沸点259℃)
・EHG:2−エチルヘキシルグリコール(標準沸点229℃)
・HeG:ヘキシルグリコール(標準沸点208℃)
・PhDG:フェニルジグリコール(ジエチレングリコールモノフェニルエーテル;標準沸点283℃)
・TetraEGmBE:テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(標準沸点304℃)
・1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール(標準沸点223℃)
<界面活性剤>
・BYK348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
<樹脂>
・ダイナフローK201(商品名、JSR株式会社製、スルホン化イソプレン樹脂)
2.2.評価試験
2.2.1.VOC発生量の評価
実施例及び比較例のインクについて、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「SC−T7250」)を用い、公益財団法人日本環境協会 エコマーク商品類型No.155 認定基準書「複写機・プリンタなどの画像機器(Version1.2)」に従って測定し、以下の基準で評価した。なお、評価の際は、各実施例及び比較例のインク組成物について、顔料以外の組成を同一にして顔料のみを変更したインク組成物を別途調製することにより、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインク組成物からなるインクセットを用意し、該インクセットを用いて評価した。
(評価基準)
A:VOC発生量が18mg/h未満。
B:VOC発生量が18mg/h以上、55mg/h未満。
C:VOC発生量が55mg/h以上。
2.2.2.粒状性の評価
実施例及び比較例のインクについて、インクジェットプリンターEP−803A(セイコーエプソン株式会社製)を用い、インクジェット専用記録媒体(写真用紙<光沢>:型番KA450PSK(セイコーエプソン株式会社製)、60°光沢度=41)に対してDuty30%または50%で印刷を行い、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:Duty30%でも画像のざらつきがない。
B:Duty30%だと画像のざらつきが認められるが、Duty50%では画像のざらつきがない。
C:Duty50%でも画像のざらつきが認められる。
2.2.3.吐出安定性の評価
実施例及び比較例のインクをインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、形式PX−B700)のカートリッジに導入し、当該カートリッジに連通する複数のノズルからの吐出を確認してから、連続でA4用紙30枚にテストパターンを印刷し、30枚印刷後にノズルチェックを行い、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:ノズル抜けなし。
B:ノズル抜け5本以内、クリーニング1回で回復。
C:ノズル抜け10本以内、クリーニング2回以上で回復。
2.2.4.保存安定性の評価
実施例及び比較例のインクをそれぞれサンプル瓶に入れ、完全に密閉した。このサンプル瓶を70℃で1日間保存した後、インクの分離の有無を目視で観察することにより、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:分離無し。
B:常温では分離無し、70℃で分離。
C:常温で分離有り。
2.3.評価結果
評価試験の結果を表1の下方に示す。
表1に示すように、いずれの実施例においても、VOC発生量が低く、かつ、粒状性と吐出安定性の評価も高い結果となった。特に、標準沸点が250℃未満の有機溶剤である1,2−HDを含まない実施例1〜5、7では、VOC発生量が低く、評価が高い結果となった。これに対し、MPDまたはEHDGを含まなかったり(比較例5−9)、MPD/EHDGが13未満または67超の場合には(比較例1−4)、VOC発生量を低減しながら、吐出安定性と画質とを両立させることができず、1,2−HDを0.5質量%を超えて含有する比較例10は、吐出安定性と画質とを両立させることはできるものの、VOC発生量が高い結果となった。
なお、実施例3および比較例2の結果より、MPDの含有量が高くなると吐出安定性がやや低下し、比較例1、8の結果より、MPDの含有量が低過ぎると画像のざらつきが認められ、画質が低下する傾向にあった。また、実施例4および比較例3の結果より、EHDGの含有量が低くても、画質が低下する傾向にあり、一方、実施例5および比較例4の結果より、EHDGの含有量が高いと保存安定性が低下する傾向にあった。さらに、比較例5、6、8および10より、標準沸点が250℃未満の有機溶剤を含む場合には、VOC発生量が高い結果となった。
以上により、実施例1〜7では、インク組成物が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと、水とを含有し、質量基準で、(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)/(ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル)が13以上67以下であることにより、インクジェット記録方法による記録の際に、VOC発生量を低減しながら、1,2−ヘキサンジオールを0.5質量%を超えて含有しない場合であっても、吐出安定性と画質とを両立させたインク組成物を提供することができた。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (7)

  1. 3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと、水とを含有し、
    1,2−ヘキサンジオールを0.5質量%を超えて含有せず、
    質量基準で、(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)/(ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル)が13以上67以下である、インク組成物。
  2. 前記3−メチル−1,5−ペンタンジオールの含有量は、インク全質量に対して3質量%以上15質量%以下である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルの含有量は、インク全質量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下である、請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
  4. 標準沸点250℃未満の有機溶剤を含まない、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. シリコーン系界面活性剤をさらに含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. グリセリンをさらに含有する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. トリエチレングリコールをさらに含有する、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインク組成物。
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