JP5772089B2 - インク組成物およびインクセット - Google Patents

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本発明は、インク組成物およびこれを含むインクセットに関する。
一般に、イエローインクは耐候性に劣る場合が多い。そのため、それを使用した製品は屋外で使用された場合に退色しやすい傾向がある。記録物として得られたものは、1色でも他色に比べて耐候性が劣ってしまうと、画像の劣化度合いが顕著に現れてしまい、可能な限り各色の耐候性を合わせる必要がある。このインクの耐候性は、インク中に含まれる顔料種によるところが大きいといわれている。このような観点から、高耐候性および高発色性を両立できるイエロー顔料の開発が進められている。
たとえば、C.I.ピグメントイエロー150等の金属錯体イエロー顔料は、高耐候性および高発色性を兼ね備えたイエロー顔料として知られている。しかしながら、C.I.ピグメントイエロー150等の金属錯体イエロー顔料は、クロムやニッケル等の重金属を含むため、人体への安全性の点で問題があった。
一方、C.I.ピグメントイエロー213および他のイエロー有機顔料を有機溶媒中に分散させた油性インク組成物が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この油性インク組成物によれば、長期に亘り品質が保持されると共に、耐候性に優れた記録物を得ることができる。
特開2010−1478号公報
しかしながら、従来の油性インク組成物では、C.I.ピグメントイエロー213の作用により高耐候性を有する記録物が得られるものの、黄色の発色性に乏しい傾向があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、前記課題を解決することで、人体への安全性が高く、高耐候性および高発色性を両立した記録物が得られるインク組成物、およびこれを含むインクセットを提供するものである。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインク組成物の一態様は、
水と、イエロー顔料と、を含有し、
前記イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー213と、C.I.ピグメントイエロー155と、を含むことを特徴とする。
適用例1のインク組成物によれば、高耐候性を有するC.I.ピグメントイエロー213と、高発色性を有するC.I.ピグメントイエロー155と、を水を主成分とする溶媒に分散させたインク組成物とすることで、特にC.I.ピグメントイエロー213の分散性が良好となり、発色性が格段に向上する。これにより、高耐候性および高発色性を両立した記録物が得られる。
[適用例2]
適用例1のインク組成物において、前記水の含有量が50質量%以上であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のインク組成物において、前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量が1.5質量%以上であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインク組成物において、前記イエロー顔料の合計含有量が3.5質量%以上であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインク組成物において、前記C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が40nm以上350nm以下であることができる。
[適用例6]
適用例5のインク組成物において、前記C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が190nm以上であり、前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量(質量%)/前記C.I.ピグメントイエロー155の含有量(質量%)が1.3以下であることができる。
[適用例7]
適用例5のインク組成物において、前記C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が190nm未満であり、前記C.I.ピグメントイエロー155の含有量(質量%)/前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量(質量%)が1.3以下であることができる。
[適用例8]
本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインク組成物と、
シアン顔料としてフタロシアニン顔料を含有するシアンインク組成物と、
マゼンタ顔料としてキナクリドン顔料を含有するマゼンタインク組成物と、
を含むことを特徴とする。
適用例8のインクセットによれば、上述したインク組成物とほぼ同等の耐候性および発色性を有するシアンインク組成物ならびにマゼンタインク組成物を用いることにより、高耐候性および高発色性を両立した記録物が得られると共に、その記録物のカラーバランスが良好となる。
[適用例9]
適用例8のインクセットにおいて、前記キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントレッド122、202、およびC.I.ピグメントバイオレット19から選択される少なくとも1種であることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インク組成物
本発明の一実施形態に係るインク組成物は、水と、イエロー顔料と、を含有する。以下、本実施の形態に用いられる各成分について詳細に説明する。
1.1.イエロー顔料
本実施の形態に係るインク組成物は、イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー213およびC.I.ピグメントイエロー155を含有することを特徴とする。
本実施の形態に係るインク組成物は、高耐候性を有するC.I.ピグメントイエロー213と、高発色性を有するC.I.ピグメントイエロー155と、を水を主成分とする溶媒に分散させたインク組成物とすることで、特にC.I.ピグメントイエロー213の分散性が良好となり、発色性が格段に向上する。これにより、高耐候性および高発色性を両立した記録物が得られる。なお、後述する実施例でも示すように、上記のイエロー顔料を有機溶媒中に分散させた非水系インク組成物とした場合、良好な発色性は得られない。この理由の一つとしては、有機溶媒中ではC.I.ピグメントイエロー213の分散性があまり良好でないことが考えられる。
本実施の形態に係るインク組成物中のイエロー顔料の合計含有量は、好ましくは3.5質量%以上8質量%以下、より好ましくは3.5質量%以上6質量%以下、特に好ましくは3.5質量%以上5.5質量%以下である。イエロー顔料の合計含有量が前記範囲にあると、高耐候性および高発色性を両立した記録物が特に得られやすい。
C.I.ピグメントイエロー213は、日化辞番号J1,817,318B、独立行政法人「科学技術振興機構」日化辞Web.には、下記構造式(1)と記載されている。
Figure 0005772089
上記構造式(1)で示されるように、C.I.ピグメントイエロー213は、その構造中にクロムやニッケル等の重金属を含有しない。また、C.I.ピグメントイエロー213は、高耐候性を有する一方で、発色性があまり良好ではないという特徴がある。
本実施の形態に係るインク組成物中のC.I.ピグメントイエロー213の含有量は、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上3.5質量%以下、特に好ましくは2質量%以上3質量%以下である。C.I.ピグメントイエロー213の含有量が前記範囲にあると、高耐候性および高発色性を両立した記録物が特に得られやすい。
C.I.ピグメントイエロー155は、日化辞番号J62.474H、独立行政法人「科学技術振興機構」日化辞Web.には、下記構造式(2)と記載されている。
Figure 0005772089
上記構造式(2)で示されるように、C.I.ピグメントイエロー155は、その構造中にクロムやニッケル等の重金属を含有しない。また、C.I.ピグメントイエロー155は、高発色性を有する一方で、耐候性があまり良好ではないという特徴がある。
本実施の形態に係るインク組成物中のC.I.ピグメントイエロー155の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上3.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以上3.5質量%以下である。C.I.ピグメントイエロー155の含有量が前記範囲にあると、高耐候性および高発色性を両立した記録物が特に得られやすい。
C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50は、高発色性を有する記録物が得られやすいという観点から、40nm以上350nm以下であることが好ましい。なお、本願発明における「個数平均粒子径d50」とは、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により個数基準の粒度分布測定を行なった場合に、粒子の累積存在確率が50%となったときの粒子径のことをいう。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、たとえばナノトラック(Microtrac製、形式「UPA−150」)が挙げられる。
また、本実施の形態に係るインク組成物は、C.I.ピグメントイエロー155の粒子径の相違に応じてその含有量をコントロールすることにより、得られる記録物の耐候性と発色性との良好なバランスを図ることができる。すなわち、C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が190nm未満である場合、耐候性が低下し発色性が良好となり、逆にC.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が190nm以上である場合、発色性が低下し耐候性が良好となる傾向が見出された。
以上のことから、C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が190nm未満である場合、インク組成物におけるC.I.ピグメントイエロー155の含有量(質量%)/C.I.ピグメントイエロー213の含有量(質量%)が、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.0以下、特に好ましくは1.0未満となるように調節することで、得られる記録物の耐候性と発色性との良好なバランスを図ることができる。
一方、C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が190nm以上である場合、インク組成物におけるC.I.ピグメントイエロー213の含有量(質量%)/C.I.ピグメントイエロー155の含有量(質量%)が、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.0以下、特に好ましくは1.0未満となるように調節することで、得られる記録物の耐候性と発色性との良好なバランスを図ることができる。
前記イエロー顔料をインク組成物に適用するためには、イエロー顔料が水中で安定的に分散保持できるようにする必要がある。その方法としては、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂等の樹脂分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「樹脂分散顔料」と記載する)、水溶性界面活性剤および/または水分散性界面活性剤の界面活性剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「界面活性剤分散顔料」と記載する)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、前記の樹脂あるいは界面活性剤等の分散剤なしで水中に分散および/または溶解可能とする方法(以下、この方法により処理された顔料を「表面処理顔料」と記載する)等が挙げられる。本実施の形態に係るインク組成物は、前記の樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできる。
樹脂分散顔料に用いられる樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、疎水性官能基を持つモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
前記の塩としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等の塩基性化合物との塩が挙げられる。これら塩基性化合物の添加量は、前記樹脂分散剤の中和当量以上であれば特に制限はない。
前記樹脂分散剤の分子量は、重量平均分子量として1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、3,000〜10,000の範囲であることがより好ましい。分子量が前記範囲であることにより、イエロー顔料が水中で安定的に分散し、またインク組成物に適用した際の粘度制御等がしやすい。
また、酸価としては50〜300の範囲であることが好ましく、70〜150の範囲であることがより好ましい。酸価がこの範囲であることにより、イエロー顔料の水中での分散性が安定的に確保でき、またこれを用いたインク組成物にて記録された記録物の耐水性が良好となる。
以上述べた樹脂分散剤としては市販品を用いることもできる。詳しくは、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
また、界面活性剤分散顔料に用いられる界面活性剤としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルピリジウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
前記樹脂分散剤または前記界面活性剤の顔料に対する添加量は、イエロー顔料100質量部に対して好ましくは1質量部〜100質量部であり、より好ましくは5質量部〜50質量部である。この範囲であることにより、イエロー顔料の水中への分散安定性が確保できる。
また、表面処理顔料としては、親水性官能基として、−OM、−COOM、−CO−、−SOM、−SONH、−RSOM、−POHM、−PO、−SONHCOR、−NH、−NR(但し、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を示す)等が挙げられる。これらの官能基は、イエロー顔料表面に直接および/または多価の基を介してグラフトされることによって、物理的および/または化学的に導入される。多価の基としては、炭素数が1〜12のアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいナフチレン基等が挙げられる。
また、前記の表面処理顔料としては、硫黄を含む処理剤によりそのイエロー顔料表面に−SOMおよび/または−RSOM(Mは対イオンであって、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または有機アンモニウムイオンを示す)が化学結合するように表面処理されたもの、すなわち、前記イエロー顔料が活性プロトンを持たず、スルホン酸との反応性を有せず、イエロー顔料が不溶ないしは難溶である溶剤中に、イエロー顔料を分散させ、次いでアミド硫酸、または三酸化硫黄と第三アミンとの錯体によりその粒子表面に−SOMおよび/または−RSOMが化学結合するように表面処理され、水に分散および/または溶解が可能なものとされたものであることが好ましい。
一つのイエロー顔料にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類およびその程度は、インク組成物中での分散安定性、色濃度、およびインクジェット記録用ヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
以上に述べた樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料を水中に分散させる方法としては、樹脂分散顔料についてはイエロー顔料と水と樹脂分散剤、界面活性剤分散顔料についてはイエロー顔料と水と界面活性剤、表面処理顔料については表面処理顔料と水、また各々に必要に応じて水溶性有機溶剤・中和剤等を加えて、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の従来用いられている分散機にて行なうことができる。
1.2.水
本実施の形態に係るインク組成物に含まれる水は主溶媒であり、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止してインク組成物の長期保存を可能にする点で好ましい。
なお、本実施の形態に係るインク組成物においては、水を50質量%以上含有することが好ましい。水を50質量%以上含有することで、インク組成物中のC.I.ピグメントイエロー213の分散性がより向上するため、高発色性を有する記録物が得られやすい。
1.3.その他の添加剤
本実施の形態に係るインク組成物には、必要に応じて以下に示すような添加剤を添加してもよい。
1.3.1.水溶性有機化合物
本実施の形態に係るインク組成物は、以下に示すような水溶性有機化合物を含むことが好ましい。水溶性有機化合物としては、たとえば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール類;グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、尿素、尿素誘導体(ジメチル尿素等)等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等のグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;ホルムアルデヒド、アセトアミド;ジメチルスルホキシド;ソルビット、ソルビタン;アセチン、ジアセチン、トリアセチン;スルホラン等が挙げられる。これらの水溶性有機化合物は、一種単独もしくは二種以上混合して用いることできる。これらの水溶性有機溶剤は、インク組成物の適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保の観点から、インク組成物中に10〜50質量%含有することが好ましい。
1.3.2.界面活性剤
本実施の形態に係るインク組成物は、界面活性剤をさらに含んでもよい。インク組成物に界面活性剤を含有させることにより、表面張力および、ヘッドノズル面等のインクと接触するプリンター部材との界面張力を適正に保つことができる。したがって、これをインクジェット記録方式に適用した場合、吐出安定性を高めることができる。また、被記録媒体上でインクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に濡れ拡げる効果を有する。
このような効果を有する界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ノニオン系界面活性剤の中でも、シリコーン系界面活性剤および/またはアセチレングリコール系界面活性剤がより好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の含有量は、インク組成物全量に対して、好ましくは1.0質量%以下である。
アセチレングリコール系界面活性剤として、たとえばサーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、インク組成物全量に対して、好ましくは1.0質量%以下である。
1.3.3.樹脂粒子
本実施の形態に係るインク組成物は、樹脂粒子をさらに含んでもよい。インク組成物に樹脂粒子を含有させることにより、被記録媒体上に耐擦性に優れた画像を形成することができる。特に本実施の形態に係るインク組成物には、該樹脂粒子は微粒子状態(すなわち、エマルジョン状態またはサスペンジョン状態)で含有されていることが好ましい。樹脂粒子を微粒子状態で含有することにより、インク組成物の粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、また保存安定性・吐出安定性を確保しやすい。
樹脂粒子としては、たとえば樹脂皮膜を形成し被記録媒体上に定着させる効果を持つポリマー粒子が挙げられる。このような効果を持つポリマー粒子を構成する成分としては、たとえばポリアクリル酸エステルもしくはその共重合体、ポリメタクリル酸エステルもしくはその共重合体、ポリアクリロニトリルもしくはその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレンもしくはそれらの共重合体、石油樹脂、クロマン・インデン樹脂、テルペン樹脂、ポリ酢酸ビニルもしくはその共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニルもしくはその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、フッ素ゴム、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブタジエンもしくはその共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、天然樹脂等が挙げられる。この中で、特に分子構造中に疎水性部分と親水性部分とを併せ持つものが好ましい。
前記のようなポリマー粒子としては、公知の材料・方法で得られるものを用いることもできる。また、市販品を用いることもでき、たとえばマイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、DIC株式会社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
上記のポリマー粒子は、以下に示す方法で得られ、そのいずれの方法でもよく、必要に応じて複数の方法を組み合わせてもよい。その方法としては、所望のポリマー粒子を構成する成分の単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(すなわち乳化重合)する方法、親水性部分を持つポリマーを水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を蒸留等で除去することで粒子を得る方法、ポリマーを非水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を分散剤と共に水溶液中に混合して粒子を得る方法等が挙げられる。上記の方法は、用いるポリマーの種類・特性に応じて適宜選択することができる。ポリマーを微粒子状態に分散する際に用いることのできる分散剤としては、特に制限はないが、アニオン性界面活性剤(たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩等)、ノニオン性界面活性剤(たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)が挙げられ、これらを単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
樹脂粒子の平均粒子径は、インク組成物の保存安定性・吐出安定性を確保する点から、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜200nmの範囲である。
樹脂粒子の含有量は、インク組成物全量に対して、固形分換算で0.5質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。この範囲内であることにより、被記録媒体上にインク組成物を固化・定着させることができる。
1.3.4.その他の添加剤
本実施の形態に係るインク組成物には、さらにその特性を向上させる観点から、以上に述べた成分の他に、必要に応じて浸透溶剤、保湿剤、防腐・防かび剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加することができる。
1.4.インク組成物の物性
インク組成物のpHは、中性ないしアルカリ性であることが好ましく、7.0〜10.0の範囲内であることがより好ましい。pHが酸性であると、インク組成物の保存安定性および分散安定性が損なわれることがある。また、インクジェット記録装置内のインク流路に用いられている金属部品の腐食等の不具合が発生しやすくなる。pHは、前述したpH調整剤を用いて中性ないしアルカリ性に調整することができる。
インク組成物の粘度は、20℃において1.5mPa・s〜15mPa・sの範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、インクジェット記録装置におけるインクの吐出安定性を確保することができる。
インク組成物の表面張力は、25℃において20mN/m〜40mN/mであることが好ましく、25mN/m〜35mN/mであることがより好ましい。この範囲内であれば、インクの吐出安定性を確保することができ、被記録媒体に対する適正な濡れ性を確保することができる。
1.5.インク組成物の製造方法
本実施の形態に係るインク組成物は、前述した材料を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。ここで、イエロー顔料は、あらかじめ水性媒体中に均一に分散させた状態に調製した上で混合した方が、取り扱いの簡便さ等から好ましい。
各材料の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
2.インクセット
本実施の形態に係るインクセットは、上述したイエローインク組成物と、シアン顔料としてフタロシアニン顔料を含有するシアンインク組成物と、マゼンタ顔料としてキナクリドン顔料を含有するマゼンタインク組成物と、を含むことを特徴とする。
本実施の形態に係るインクセットによれば、上述したイエローインク組成物とほぼ同等の耐候性および発色性を有する、シアンインク組成物ならびにマゼンタインク組成物を用いることにより、高耐候性および高発色性を両立した記録物が得られると共に、その記録物のカラーバランスが良好となる。
本実施の形態に係るインクセットに用いられるシアンインク組成物は、シアン顔料としてフタロシアニン顔料を含有するが、フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、15:6が好適に挙げられ、特に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3、15:4であり、最も好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3である。なお、銅フタロシアニンのβ結晶であるC.I.ピグメントブルー15:3、15:4は分散性が互いに異なるが、同一の銅フタロシアニンのβ結晶であり、実質的に同一の色相を表現可能な顔料である。
また、本実施の形態に係るインクセットに用いられるマゼンタインク組成物は、キナクリドン顔料を含有し、キナクリドン顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、15:1、112、122、123、168、184、202、209およびC.I.ピグメントバイオレット19が好適に挙げられ、特に好ましくはC.I.ピグメントレッド122、202およびC.I.ピグメントバイオレット19であり、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19であり、一層好ましくは、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19とを共に含む場合であり、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19の固溶体が最も好適である。なお、C.I.ピグメントレッド122、202およびC.I.ピグメントバイオレット19は良好な耐候性、発色性を有する顔料である。前記シアンインク組成物および前記マゼンタインク組成物は、非水系インクであっても問題無いが、上述したイエローインク組成物と同様に、水を含んでなることが好ましい。また、添加剤としては、上述したイエローインク組成物と同様のものを使用でき、これらの具体例およびその添加量はイエローインク組成物の場合と同様であってよい。
本実施の形態に係るインクセットは、上記した各インク組成物に加えて、他のインク組成物を含むカラー記録用インクセットとしてもよい。他のインク組成物としては、本発明によるインクセットとしての効果を損なわない限り、それらの種類等に特に制限されず、通常のインクジェット記録用に用いられるものが使用できる。
他のインク組成物としては、たとえばライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレットが挙げられる。ライトマゼンタおよびライトシアンの各インク組成物は、一般に濃度変調による印刷画像の画質向上を目的で、それぞれマゼンタインク組成物およびシアンインク組成物の顔料濃度を低くしたインク組成物である。また、ダークイエローのインク組成物は、シャドー部等の暗色に対する色再現性を向上させる目的で、イエローインク組成物よりも明度・彩度の低い顔料を用いたイエローインク組成物である。そして、レッド、オレンジ、グリーン、ブルーおよびバイオレットの各インク組成物は、色再現範囲を向上させるために、イエロー、マゼンタ、シアンの中間色を構成する要素として使用されるインク組成物である。
本実施の形態に係るインクセットは、従来公知のインクセットと同様に構成することができ、従来公知の各種の記録方法用インクとして利用することができる。特に、本発明においては、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速で印刷可能である点で、インクジェット記録用、すなわちインクの小滴を飛翔させ、紙等の被記録媒体上に付着させて印刷を行なう用途に好適である。
3.実施例
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1.インク組成物の調製
3.1.1.顔料分散液の調製
まず、撹拌装置、還流管、温度センサー、滴下ロートを備えた2000mlのセパラブルフラスコ内を充分に窒素置換した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部をセパラブルフラスコに入れて攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、滴下ロートにジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部、シクロヘキシルアクリレート(以下、「CHA」と呼ぶ)483.0質量部、メタクリル酸(以下、「MAA」と呼ぶ)66.6質量部、アクリル酸(以下、「AA」と呼ぶ)50.4質量部及びt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(以下、「BPEH」と呼ぶ)4.8質量部を入れ、80℃で4時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下した。滴下終了後、80℃で1時間保持した後、BPEH0.8質量部を加え、さらに80℃で1時間反応を行った。熟成を終了させた後、減圧蒸留によりジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した。その後、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と呼ぶ)600.0質量部を加え、樹脂固形分50%のインクジェットインク用ポリマー組成物溶液を得た。このようにして得られたインクジェットインク用ポリマー組成物溶液の一部を取り、105℃の強熱乾燥機で1時間乾燥した後、得られたインクジェットインク用ポリマー組成物の固形物の酸価は130mgKOH/gであり、重量平均分子量は34,000であった。次に、インクジェットインク用ポリマー組成物溶液120.0質量部に対して30%水酸化ナトリウム水溶液6.0質量部を加えて、高速ディスパーで5分間攪拌し、さらに顔料濃度25質量%のC.I.ピグメントイエロー213を含む分散液を、480.0質量部を加えて、高速ディスパーで1時間攪拌し、顔料分散液を得た。
なお、C.I.ピグメントイエロー155、180、185、C.I.ピグメントブルー15:3、およびC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19との固溶体についても上記と同様にして顔料分散液を得た。
得られた顔料分散液について、ナノトラック(Microtrac製、形式「UPA−150」)を用いて個数平均粒子径d50を測定した。具体的な測定条件は、以下の通りである。
・測定時間 :120sec
・測定回数 :Avg of 3
・粒子屈折率:1.51
・粒子形状 :非球形
・溶媒屈折率:1.333
3.1.2.インク組成物の調製
上記「3.1.1.顔料分散液の調製」で調製された顔料分散液を用いて、下記表1〜表3に示す材料組成にてイエロー色の材料組成の異なるインク組成物を調製した。各インク組成物は、表中に示す材料を容器中に入れ、マグネチックスターラーにて2時間混合撹拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより調製した。なお、表1〜表3中の数値は、全て質量%を示す。また、表3に示した比較例8〜10のインク組成物は、特開2010−1478号公報に記載されているインク組成例に準じて作製した。
Figure 0005772089
Figure 0005772089
Figure 0005772089
なお、表1〜表3において商品名で記載した各材料は、以下の通りである。
・SAE1014(日本ゼオン株式会社製、スチレン−アクリル酸共重合体)
・BYK−348(ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
・PD−002W(日信化学株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・ソルスパース32000(ルブリソール社製、顔料分散剤)
・パラロイドB60(ローム&ハース社製、アクリル系バインダー樹脂)
3.2.インク組成物の評価
3.2.1.OD値の測定および評価
調製した各イエローインク組成物を用いて、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「PX−G930」)によりベタ印刷を行った。被記録媒体には、Xerox4200を使用した。得られたサンプルを一般環境下で1時間放置した。放置後そのベタ部分についてグレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてOD値を測定し、下記基準に基づき判定した。その結果を表1〜表3に併せて示す。
A:OD値が1.66以上
B:OD値が1.64以上1.66未満
C:OD値が1.62以上1.64未満
D:OD値が1.62未満
3.2.2.彩度の測定および評価
調製した各イエローインク組成物についてDuty100%のパッチを、前記「3.2.1.OD値の測定および評価」と同様にして記録した。出力されたパターンについて分光光度計(グレタグ社製、「グレタグマクベスSPM50」)を用いて測定し、CIEで規定されている色差表示法のL表色系の座標を求めた。その際の条件は、光源D50、光源フィルターなしで、視野角は2°とし、白色標準は絶対白とした。得られた値から、パッチの彩度Cを下記式(3)により求め、下記基準に基づき判定した。その結果を表1〜表3に併せて示す。
=((a+(b1/2 ・・・(3)
A:107以上
B:104以上107未満
C:101以上104未満
D:101未満
3.2.3.耐候性の評価
調製した各イエローインク組成物を用いて、初期OD値が0.5、1.0、最大値となるようにDutyを調整した以外は、前記「3.2.1.OD値の測定および評価」と同様にして記録物を得た。得られた記録物を、キセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)のチャンバー内に投入し、下記表4に示すような試験条件で「光照射40分間」→「光照射+水降雨20分間」→「光照射60分間」→「水降雨60分間」のサイクル試験を行った。このサイクル試験を4週間連続して行い、4週間後にその記録物を取り出した。取り出した各記録物についてOD値を前記「3.2.1.OD値の測定および評価」と同様にして測定しOD値の残存率(%)を求め、初期OD値が0.5、1.0、最大値の三種の記録物のうち残存率が最も低い記録物を評価の対象とした。耐候性は、下記基準に基づき判定した。その結果を表1〜表3に併せて示す。
A:OD値残存率が91%以上
B:OD値残存率が89%以上91%未満
C:OD値残存率が87%以上89%未満
D:OD値残存率が87%未満
Figure 0005772089
3.2.4.まとめ
以上の結果より、C.I.ピグメントイエロー213と、C.I.ピグメントイエロー155と、を水を主成分とする溶媒に分散させたインク組成物を用いることにより、高耐候性および高発色性を両立した記録物が得られることが判った。一方、C.I.ピグメントイエロー213と、C.I.ピグメントイエロー155と、を有機溶媒に分散させた非水系インク組成物では、耐候性は良好であるが発色性(OD値・彩度)に優れない記録物しか得られないことが判った。
3.3.インクセットの評価
3.3.1.インクセットの作製
上記「3.1.1.顔料分散液の調製」で調製された顔料分散液を用いて、下記表5に示す材料組成にてイエロー、シアン、マゼンタの各インク組成物を調製した。各インク組成物は、表中に示す材料を容器中に入れ、マグネチックスターラーにて2時間混合撹拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより調製した。このようにして、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の3色からなるインクセット1、2、3を作製した。なお、表5中の数値は、全て質量%を示す。
Figure 0005772089
3.3.2.インクセットにおける耐候性
得られたインクセット1のイエロー、シアン、マゼンタの3色を用い、初期OD値が1.0となるようにDutyを調整して得られたグレーパターンの記録物を使用した以外は、前記「3.2.3.耐候性の評価」と同様にして評価した。その結果を表5に併せて示す。この結果より、インクセットとして各色の耐候性が近似し、長期間良好な状態にある記録物を作製出来るインクセットとなった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (9)

  1. 水と、イエロー顔料と、樹脂分散剤と、を含有し、
    前記イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー213と、C.I.ピグメント
    イエロー155と、を含み、
    前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量が1.5質量%以上であり、
    前記C.I.ピグメントイエロー155の個数平均粒子径d50が190nm以上であり、
    前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量(質量%)/前記C.I.ピグメン
    トイエロー155の含有量(質量%)が1.0未満である、インク組成物。
  2. 前記水の含有量が50質量%以上である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量が2質量%以上3質量%以下である、請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
  4. 前記C.I.ピグメントイエロー155の含有量が1質量%以上3.5質量%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記イエロー顔料の合計含有量が3.5質量%以上である、請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 前記樹脂分散剤が、スチレンーアクリル酸共重合体である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 前記樹脂分散剤が、重量平均分子量1,000〜100,000であって、酸価が50〜300である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のインク組成物。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインク組成物と、
    シアン顔料としてフタロシアニン顔料を含有するシアンインク組成物と、
    マゼンタ顔料としてキナクリドン顔料を含有するマゼンタインク組成物と、
    を含む、インクセット。
  9. 前記キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントレッド122、202、およびC.I.
    ピグメントバイオレット19から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載のイ
    ンクセット。
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