JP2018154739A - 水系インクジェットインク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐光性に優れ、かつ、吐出安定性が高くVOCの放散量が低いインク組成物を提供することを目的とする。【解決手段】X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅が0.7°以下であり長軸/短軸の長さ比の平均値が1.7以下である顔料と、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)、及び分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の標準沸点が225℃以上である有機溶剤Aと、を含有する、水系インクジェットインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水系インクジェットインク組成物に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。そのなかで、記録物の耐光性等については種々の検討がされている。例えば、特許文献1には、耐候(光)性等に優れた不溶性アゾ顔料を用いたインク組成物が開示されている。特許文献1のように、顔料として結晶性の高い顔料を用いることにより耐光性に優れる記録物の記録が可能となる。特に、従来、彩度が大きく色再現性の優れる顔料において耐光性が劣る顔料があり、色再現性が優れながらかつ耐光性に優れる顔料として結晶性の高い顔料が有用であることが知られている。
特許5815744号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような結晶性の高い顔料を用いたところ、吐出不良が発生することが分かってきた。この原因について詳細に調べたところ、ヘッドの圧力室内において気泡の存在が顕著に見られ、気泡による圧力損失が吐出不良の原因であることが分かってきた。
また、特許文献1においては、比較的に高い沸点を有するトリエチレングリコールモノブチルエーテルを溶剤として使用したインク組成物が開示されているが、このような溶剤を用いると結晶性の高い顔料を使う場合に、吐出不良の発生が顕著であることが分かってきた。一方で、比較的沸点の低い有機溶剤には、結晶性の高い顔料を使う場合でも吐出安定性が優れるものもあった。しかしながら、今般、環境対応のため環境規制基準を達成するために、VOC(揮発性有機化合物)の放散量が低いインク組成物が望まれるという背景があり、結晶性の高い顔料を用いた場合でも、吐出安定性に優れ、かつ低VOCを達成することが望まれる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、耐光性に優れ、かつ、吐出安定性が高くVOCの放散量が低いインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、比較的高い沸点を有する有機溶剤でありながら、結晶性の高い顔料を用いても吐出安定性が優れる有機溶剤を見出し、これを用いることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明はX線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅が0.7°以下であり長軸/短軸の長さ比の平均値が1.7以下である顔料と、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)と分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)とからなる群より選ばれる1種以上の標準沸点が225℃以上である有機溶剤Aと、を含有する、水系インクジェットインク組成物である。また、本発明の好ましい態様においては、顔料がアゾ系顔料であり、有機溶剤Aが245℃以上の標準沸点を有する有機溶剤を含むものであり、225℃未満の標準沸点を有する有機溶剤の含有量が、インク組成物の総量に対して、1質量%以下であり、有機溶剤Aの含有量が、インク組成物の総量に対して、0.5〜20質量%であり、顔料の含有量が、インク組成物の総量に対して、0.5〜15質量%であり、有機溶剤Aが、炭素数5〜15の有機溶剤を含むものであり、280℃超過の標準沸点を有する有機溶剤であって、有機溶剤A以外の有機溶剤をさらに含み、表面張力が34mN/m以下であり、
界面活性剤をさらに含み、該界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含み、有機溶剤Aとして、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)と、分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)と、を含有する。
本実施形態に用い得る記録装置の構成の一例を示すブロック図を示す 本実施形態における記録装置を示す斜視図を示す。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔水系インクジェットインク組成物〕
本実施形態の水系インクジェットインク組成物は、X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅が0.7°以下であり長軸/短軸の長さ比の平均値が1.7以下である顔料と、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)、及び分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の標準沸点が225℃以上である有機溶剤Aと、を含有する。
〔顔料〕
本実施形態で用いる顔料は、X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅が0.7°以下であり長軸/短軸の長さ比の平均値が1.7以下である。
X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅は、0.7°以下であり、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.42以下である。また、X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅の下限は、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.3以上である。半値幅が上記範囲内であることにより、シャープな回折スペクトルを示すことになり、顔料の結晶性が高いことを意味する。これにより、顔料の耐光性がより向上する傾向にある。なお、X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅は、Cu−Kα線に対するX線回折スペクトルの中の最大もしくはそれに準ずるピークのベースラインからのX線強度の1/2におけるピーク巾(角度)を意味する。なお、X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅は、後述する顔料調製方法において結晶性を制御することにより調整することができる。また、「最大もしくはそれに順ずるピーク」は、最大ピークからおおよそ3位までのピークであって、結晶性が高いほど半値幅が小さく(狭く)なる傾向の最も強いピークとする。具体的には、結晶性の高い顔料から低い顔料を用意してピークごとに半値幅を算出して結晶性の高い顔料ほど半値幅が小さくなる傾向の強いピークを決めることにより、「最大もしくはそれに順ずるピーク」を決定することができる。例えば、ピグメントイエロー74であれば11.8°付近のピークが「最大もしくはそれに順ずるピーク」である。半値幅の具体的な測定方法は実施例の記載に準ずる。
このような結晶性が高い顔料は針状等の形状をしている傾向がある。このような顔料は、その粒子(一次粒子)が、長軸/短軸の平均値が1より大きい形状を有する傾向がある。一次粒子は単一の粒からなる粒子であり、二次粒子は一次粒子が複数個集まって形成された粒子である。
顔料の長軸/短軸の長さ比の平均値は、1.7以下であり、好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.4以下である。また、顔料の長軸/短軸の長さ比の平均値の下限値は、1以上であり、好ましくは1.1以上である。針状もしくは、楕円球状乃至塊状の形状である傾向がある。顔料の長軸/短軸の長さ比の平均値が上記の範囲である場合、顔料を含むインク組成物が、顔料の粒径安定性、インクの保存安定性が向上する。また、顔料が入手しやすい点でも好ましい。顔料の長軸/短軸の長さ比の平均値は、後述する摩砕処理により調整することができる。
顔料の長軸/短軸の長さ比は、例えば、走査型電子顕微鏡を使用して顔料粒子を撮影し、顔料の一次粒子の短軸と長軸を測定し、短軸に対する長軸の比(長軸/短軸)を算出することで求めることができる。そして、同じ操作を、任意に選択した100個程度の顔料の一次粒子について算出し、それらの平均値を、各顔料の長軸/短軸の長さ比の平均値とする。顔料の長軸/短軸の長さ比は、上記の方法に限らず、顔料の一次粒子の短軸と長軸の比が測定できる方法で測定すればよい。透過型電子顕微鏡を用いてインク組成物や顔料分散液に含む状態の顔料の一次粒子の長軸/短軸の長さ比を測定することも可能である。
本実施形態で用いる顔料の種類としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、及びアゾメチン系顔料等が挙げられる。このなかでも、本発明の効果をより有効に発揮する観点からアゾ系顔料が好ましい。これら顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、150、151、153、154、155、167、172、180、185、213等が挙げられる。このなかでも、本発明の効果をより有効に発揮する観点からC.I.ピグメントイエロー74が好ましい。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
オレンジインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、13、16、34、36、60、61、62、64、67、72等が挙げられる。
なお、グリーンインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。
また顔料のうちアゾ系顔料としては、限るものでは無いが例えばイエローインクに用いられる顔料として、C.I.ピグメントイエロー1、3、4、6、12、14、17、24、55、65、73、74、81、83、95、97、117、120、128、129、150、151、153、154、155、167、180、185、213、マゼンタインクに用いられる顔料として、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、9、12、23、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、114、144、146、166、175、176、184、185、オレンジインクに使用される顔料として、C.I.ピグメントオレンジ1、13、16、34、36、60、61、62、64、67、72等が挙げられる。
アゾ系顔料は、特に、結晶性が高い顔料とした場合に、針状等の形状をしている傾向があり、粒子(一次粒子)が、長軸/短軸の平均値が1より大きい形状を有する傾向があり、本実施形態が特に有用である点で好ましい。
顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。顔料の含有量が0.5質量%以上であることにより、色再現性がより向上する傾向にある。また、顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。顔料の含有量が15質量%以下であることにより、吐出安定性がより向上する傾向にある。
本実施形態で用いる顔料としてアゾ系顔料を用いる場合における当該アゾ系顔料の調製方法を以下に例示するが、顔料の調整方法は以下に限定されない。アゾ系顔料は、ジアゾ化・カップリング反応により得られた顔料スラリーを加熱することで顔料粒子を成長させることができる(熟成)。この加熱の際には、水溶性の有機溶剤、例えば、エチレングリコール、N−メチルピロリドン等を混合させてもよく、疎水性の有機溶剤、例えば、キシレン、ジクロロベンゼン等を界面活性剤と共にエマルジョンにし、これを添加して加熱させてもよい。熟成後、得られた顔料粒子は水洗、濾過、乾燥される。
このようにして得られるアゾ顔料は、一般に5〜10μm程度の平均粒子径を有しており、一次粒子が凝集した所謂二次粒子といわれるものである。この比較的粗大な粒子の顔料は微細化してインク用途に用いることができる。微細化方法の一態様としては、乾燥顔料を塩化ナトリウムや硫酸ナトリウムなどの水溶性無機塩、分散剤、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの水溶性有機溶剤を適切な割合でニーダーに仕込み、温度をコントロールしながら、一定時間内容物を混練した後、加温した希硫酸水溶液中に投入攪拌し、次いで濾過、水洗を行い水溶性無機塩、水溶性有機溶剤を除去、更に温風で乾燥した後に摩砕して得る、所謂ソルベントソルトミリング法が挙げられる。アゾ顔料の中には、上記溶剤で結晶成長し易いものもあり、上記溶剤を用いないソルトミリングを行う場合もある。また、ボールミルや振動ミルを用いるドライミリング法もあり、スチールボール、スチールロッド等の粉砕媒体が使用され、必要により無機塩が摩砕助剤として使用される。摩砕処理を行うと、加圧下に内容物に強力な剪断力が作用することから摩擦発熱が大きく、顔料が結晶成長する場合があるため、本実施形態においては、アゾ顔料のスルホン酸誘導体やアントラキノン系顔料に脂肪族のN置換アルキルアミン残基を導入した顔料誘導体を、母体顔料に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%添加することで、結晶成長を抑制することが好ましい。
(顔料分散体)
本実施形態の顔料は、水などの分散媒に分散した顔料分散体としてインク組成物に含んでいても良い。顔料分散体は前述の顔料を調整して得た粒子を分散工程により分散媒中に分散した粒子である。
顔料分散体としては、前記顔料が水等の分散媒中で安定的に分散保持できるよう、顔料分散剤として、水溶性樹脂、水分散性樹脂、その間の性質を有する樹脂等の樹脂分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「樹脂分散顔料」と記載する)、顔料分散剤として水溶性界面活性剤、水分散性界面活性剤、その間の性質を有する界面活性剤等の界面活性剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「界面活性剤分散顔料」と記載する)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、前記の樹脂あるいは界面活性剤等の分散剤なしで水中に分散および/又は溶解可能とする方法(以下、この方法により処理された顔料を「表面処理顔料」と記載する)等が挙げられる。本実施の形態に係るインク組成物は、前記の樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできる。
樹脂分散顔料に用いられる樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
前記の塩としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等の塩基性化合物との塩が挙げられる。これら塩基性化合物の添加量は、前記樹脂分散剤の中和当量以上であれば特に制限はない。
前記樹脂分散剤の分子量は、重量平均分子量として1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、3,000〜10,000の範囲であることがより好ましい。分子量が前記範囲であることにより、顔料が水中で安定的に分散し、またインク組成物に適用した際の粘度制御等がしやすい。
また、酸価としては20〜300の範囲であることが好ましく、40〜150の範囲であることがより好ましい。酸価がこの範囲であることにより、顔料粒子の水中での分散性が安定的、これを用いたインク組成物にて記録された記録物の耐水性、及び発色性が良好となる。
以上述べた樹脂分散剤としては市販品を用いることもできる。詳しくは、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤分散顔料に用いられる界面活性剤としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルピリジウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
前記樹脂分散剤又は前記界面活性剤の顔料に対する添加量は、顔料100質量部に対して好ましくは1質量部〜100質量部であり、より好ましくは5質量部〜50質量部である。この範囲であることにより、顔料の水中への分散安定性が確保できる。
表面処理顔料としては、親水性官能基として、−OM、−COOM、−CO−、−SO3M、−SO2NH2、−RSO2M、−PO3HM、−PO32、−SO2NHCOR、−NH3、−NR3(但し、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を示す)等が挙げられる。これらの官能基は、顔料粒子表面に直接および/又は多価の基を介してグラフトされることによって、物理的および/又は化学的に導入される。多価の基としては、炭素数が1〜12のアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいナフチレン基等が挙げられる。
また、前記の表面処理顔料としては、硫黄を含む処理剤によりその顔料粒子表面に−SO3Mおよび/又は−RSO2M(Mは対イオンであって、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンを示す)が化学結合するように表面処理されたもの、すなわち、前記顔料が活性プロトンを持たず、スルホン酸との反応性を有せず、顔料が不溶ないしは難溶である溶剤中に、顔料を分散させ、次いでアミド硫酸、又は三酸化硫黄と第三アミンとの錯体によりその粒子表面に−SO3Mおよび/又は−RSO2Mが化学結合するように表面処理され、水に分散および/又は溶解が可能なものとされたものであることが好ましい。
一つの顔料粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類およびその程度は、インク中での分散安定性、色濃度、およびインクジェット記録用ヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
以上に述べた樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料を水等の分散媒に分散させる方法としては、樹脂分散顔料については顔料と水と樹脂分散剤、界面活性剤分散顔料については顔料と水と界面活性剤、表面処理顔料については表面処理顔料と水、また各々に必要に応じて水溶性有機溶剤・中和剤等を加えて、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の従来用いられている分散機にて行なうことができる。こうして得た顔料分散体を含む顔料分散液を用いてインク組成物を調整すればよい。
〔有機溶剤A〕
有機溶剤Aは、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)、及び分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)からなる群より選ばれる少なくとも1種で標準沸点が225℃以上である。
本実施形態で用いる前述の結晶性の高い顔料は、顔料の内部に存在する隙間に空気が残りやすく、これが気泡核となってインクに気泡の発生を促進する傾向があると推測するが、インク組成物が有機溶剤Aを含む場合、有機溶剤Aが顔料に浸透し顔料に残る空気を除去し、このため吐出安定性が優れたものとなると推測する。
また、インク組成物が有機溶剤Aを含む場合、インクの表面張力を低下させインクジェットヘッドからの吐出をしやすくする点で好ましい。
(分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1))
分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)としては、特に限定されないが、例えば、2−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−エチル−1,3−ブタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−エチル−2,4−ペンタンジオール、3−エチル−1,3−ヘキサンジオールが挙げられる。このなかでも、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが好ましい。
アルカンジオール類(1)におけるアルキル骨格の炭素数は、好ましくは5以上であり、より好ましくは6以上である。また、アルカンジオール類(1)におけるアルキル骨格の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。
(アルキレングリコールアルキルエーテル類(2))
上述のアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ブチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジブチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、トリブチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルのようなアルキレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、ブチレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、ジブチレングリコール−ジエチルヘキシルエーテル、トリブチレングリコール−ジエチルヘキシルエーテルのようなアルキレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。このなかでも、アルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルがより好ましい。
アルキレングリコールアルキルエーテル類(2)におけるアルキル骨格の炭素数は、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。また、アルキレングリコールアルキルエーテル類(2)におけるアルキル骨格の炭素数は、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下である。
アルキレングリコールアルキルエーテル類(2)におけるアルキル基の炭素数は、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。また、アルキレングリコールアルキルエーテル類(2)におけるアルキル基の炭素数は、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下である。
有機溶剤Aとして、炭素数5〜15の有機溶剤を含むことが好ましい。このような有機溶剤の炭素数は、好ましくは6以上である。また、有機溶剤の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。
有機溶剤Aは、225℃以上の標準沸点を有する有機溶剤である。このような有機溶剤の標準沸点は、好ましくは230℃以上であり、より好ましくは240℃以上であり、さらに好ましくは245℃以上であり、特に好ましくは250℃以上である。標準沸点が225℃以上である有機溶剤Aを用いることにより、VOC(揮発性有機化合物)の放散量がより低下する傾向にある。また、このような有機溶剤の標準沸点は、好ましくは280℃以下であり、好ましくは270℃以下である。標準沸点が280℃以下である有機溶剤Aを用いることにより、吐出安定性がより向上する傾向にある。
有機溶剤Aの含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、よりさらに好ましくは7質量%以上である。有機溶剤Aの含有量が0.5質量%以上であることにより、吐出安定性がより向上する傾向にある。また、有機溶剤Aの含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下である。有機溶剤Aの含有量が20質量%以下であることにより、VOC(揮発性有機化合物)の放散量がより低下する傾向にある。
有機溶剤Aの中でも、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)は、上述のアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)と比べて水への溶解性が高く、インクに比較的多く含有させることができ、インクの表面張力を低下させやすい点で好ましい。また、上述のアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)は、吐出安定性が特に優れる点で好ましい。
インク組成物が、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)と上述のアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)とを共に含む場合、吐出安定性を十分に優れたものにし、インクの保湿性や、記録媒体への浸透性や、保存安定性なども優れたものにできる点で好ましい。
インク組成物が分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)を含む場合、その含有量はインクに対して0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜13質量%がさらに好ましい。
インク組成物が上述のアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)を含む場合、その含有量はインクに対して0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.3〜1質量%がさらに好ましい。
本実施形態の水系インクジェットインク組成物は、低い標準沸点を有する有機溶剤(以下、便宜上「有機溶剤B」ともいう。)を含んでいてもよいが、含まれないことが好ましい。このような有機溶剤Bの標準沸点は、好ましくは225℃未満であり、より好ましくは230℃未満であり、さらに好ましくは250℃未満である。また、有機溶剤Bの含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、実質上含まれないことが好ましい。有機溶剤Bの含有量が上記範囲内であることにより、VOC(揮発性有機化合物)の放散量がより低下する傾向にある。
有機溶剤Bとしては、前述の分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)や分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)であって標準沸点が225℃未満のものや、前述の分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)や分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)以外のものであって標準沸点が225℃未満のものがあげられる。
本実施形態の水系インクジェットインク組成物は、280℃超過の標準沸点を有する有機溶剤であって、有機溶剤A以外の有機溶剤(以下、便宜上「有機溶剤C」ともいう。)を含んでいてもよい。有機溶剤Cの含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。また、このような有機溶剤Cの含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは、15質量%以下である。有機溶剤Cの含有量が上記範囲内であることにより、吐出安定性がより向上する傾向にある。
有機溶剤Cとしては、グリセリンなどトリオール以上のポリオール化合物や、アルキレングリコール類やアルカンジオール類などのジオール化合物、グリコールモノエーテル類やグリコールジエーテル類などのグリコールエーテル化合物、など(ただし有機溶剤A以外のもの)が挙げられる。
本実施形態の水系インクジェットインク組成物の表面張力は、好ましくは34mN/m以下であり、より好ましくは32mN/m以下であり、さらに好ましくは30mN/m以下である。また、水系インクジェットインク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m以上である。本実施形態の水系インクジェットインク組成物の表面張力が上記範囲内であることにより吐出安定性がより向上する傾向にある。なお、表面張力の測定方法としては、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定する方法が例示できる。
〔水〕
本実施形態で用いる水系インクジェットインク組成物は、さらに水を含む。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。
水の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは55〜85質量%であり、より好ましくは60〜80質量%であり、さらに好ましくは65〜75質量%である。
〔界面活性剤〕
本実施形態で用いる水系インクジェットインク組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール465やサーフィノール61(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)などが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S−144、S−145(旭硝子株式会社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総質量に対し、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、吐出安定性がより向上する傾向にある。
(pH調整剤)
本実施形態で用いる水系インクジェットインク組成物は、pH調整剤を含むことが好ましい。pH調整剤は、インクのpH値の調整を容易にすることができる。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸等)、無機塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等)、有機塩基(トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン)、有機酸(例えば、アジピン酸、クエン酸、コハク酸等)等が挙げられる。pH調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。pH調整剤の標準沸点は、50℃以上が好ましく、100℃以上がさらに好ましく、200℃以上がより好ましい。上限は限るのもではないが、400℃以下が好ましい。pH調整剤の標準沸点が上記範囲の場合、VOC放散量が一層低減する点で好ましい。
〔記録方法〕
本実施形態の水系インクジェットインク組成物を用いたインクジェット記録方法は、上記水系インクジェットインク組成物を、ヘッドのノズルから吐出し、被記録媒体に付与させる工程を有し、適宜乾燥工程等を有していてもよい。
〔被記録媒体〕
本実施形態に係るインク組成物は、吸収性被記録媒体、低吸収性被記録媒体、及び非吸収性被記録媒体に対して広く用いることができる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)に代表される親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インク組成物の浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙に代表される印刷本紙が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙に代表される基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
ここで、「低吸収性被記録媒体」及び「非吸収性被記録媒体」とは、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
〔インクジェット記録装置〕
図1に、本実施形態に用い得る記録装置の構成の一例を示すブロック図を示す。コンピューター130にはプリンタドライバーがインストールされており、プリンタ1に画像を記録させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。プリンタ1は、「記録装置」に相当する。プリンタ1は、インク供給ユニット10、搬送ユニット20、ヘッドユニット30、乾燥ユニット40、メンテナンスユニット50、検出器群110、メモリー123、インターフェース121、及びコントローラー120を有する。コントローラー120は、CPU122とユニット制御回路124とを有する。外部装置であるコンピューター130から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラー120によって各ユニットを制御して、種々の記録条件を制御し、印刷データに従い、被記録媒体上に画像を記録する。プリンタ1内の状況は検出器群110によって監視されており、検出器群110は、検出結果をコントローラー120に出力する。コントローラー120は、検出器群110から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御し、インターフェース121を介して入力した印刷データをメモリー123に記憶する。メモリー123には、各ユニットを制御するための制御情報も記憶されている。乾燥ユニット40は、ヒーターや送風手段などを備え、被記録媒体に付着したインクなどの組成物を乾燥させるものである。
図2は、本実施形態における記録装置(プリンタ1)の構成を示す斜視図である。図2に示すプリンタ1は、シリアルプリンタである。シリアルプリンタとは、所定の方向に移動するキャリッジにヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するもののことをいう。
図2に示すように、プリンタ1は、ヘッド2を搭載するキャリッジ3と、キャリッジ3を記録媒体Pの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構4と、記録媒体Pを媒体送り方向に搬送する媒体送り機構5を有するものである。また、プリンタ1は、当該プリンタ1全体の動作を制御する制御部6を有している。なお、上記媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)である。上記媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
図2に示すように、ヘッド2は、インク供給管20(インク流路)を介して、記録インクや置換インクを個々に収容するインク収容部10と接続されている。記録インクおよび置換インクは、切り替え手段によって、各インクをヘッド2に供給可能な構成となっている。
本実施形態に係るプリンタ1としては、インク収容部10をプリンタ1の筐体等に装着して、インク供給管20を介してヘッド2にインクを供給する、いわゆるオフキャリッジタイプのプリンタを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、インクカートリッジをキャリッジに搭載した、いわゆるオンキャリッジタイプのプリンタを使用してもよい。また、キャリッジを有さない、ラインヘッドタイプのプリンタに使用してもよい。
また、ヘッド2の移動範囲のうち記録媒体Pが搬送される領域の外側には、ヘッド2の走査起点となるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、キャップ部材を含むメンテナンスユニット7が設けられている。
メンテナンスユニット7は、保湿動作、フラッシング動作、ヘッドクリーニング動作等を実行する構成となっている。具体的には、保湿動作とは、記録動作以外においてヘッド2をキャップ部材でキャッピングして、ヘッド2のノズル孔(図示せず)の乾燥を抑制するものである。また、フラッシング動作とは、ヘッド2のノズル孔から記録インクをキャップ部材に予備吐出させることで、ノズル孔の目詰まり等を防止させるものである。ヘッドクリーニング動作とは、キャップ部材でヘッド2をキャッピングした後に、吸引ポンプ(図示せず)を駆動させて各ノズル孔からインクを排出させつつ、インク流路の記録インク又は置換インクを相互に置き換えるものである。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[インク組成物用の材料]
下記の実施例、比較例、及び参考例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
Pigment Yellow 74 (表1A)
Pigment Yellow 74 (表1B)
Pigment Yellow 74 (表1C)
Pigment Yellow 74 (表1D)
Pigment Yellow 155(商品名:Ink Jet Yellow 4 G、Clariant社製)
〔有機溶剤A〕
3−メチル−1,5−ペンタンジオール(標準沸点:250℃)(東京化成工業社製)
エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(標準沸点:229℃)(日本乳化剤社製)
ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(標準沸点:272℃)(東京化成工業社製)
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(標準沸点:244℃)日本乳化剤社製)
〔その他の有機溶剤〕
グリセリン(標準沸点:290℃)(東京化成工業社製)
トリエチレングリコール(標準沸点:287℃)(東京化成工業社製)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(標準沸点:271℃)(東京化成工業社製)
1,2−ヘキサンジオール(標準沸点:223℃)(東京化成工業社製)
1,2−ブタンジオール(標準沸点:193℃)(東京化成工業社製)
1,7−ヘプタンジオール(標準沸点:262℃)(東京化成工業社製)
〔pH調整剤〕
トリエチルアミン(標準沸点:90℃)(東京化成工業社製)
トリエタノールアミン(標準沸点:335℃)(東京化成工業社製)
〔界面活性剤〕
アセチレンジオール系界面活性剤:オルフィンE1010(日新化学工業社製)
シリコン系界面活性剤:BYK348(ビッグケミー・ジャパン社製)
〔Pigment Yellow 74 Aの調製〕
2−メトキシ−4−ニトロアニリンを常法に従いジアゾ化し、2−メトキシアセトアセトアニライドとカップリング及び熟成して得られる乾燥顔料(PY−74)120部、塩化ナトリウム600部及びジエチレングリコール165部を加圧蓋を装着するニーダーに仕込み、均一に湿潤された塊ができるまで予備混練をし、次いで加圧蓋を下げて圧力6Kg/cm2で内容物を押さえ込みながら混練摩砕を開始した。内容物温度が40〜45℃になるように冷却温度・冷媒量を管理しながら4時間混練摩砕処理を行った。
得られた摩砕物を40℃に加温した300部の2%硫酸水溶液中に投入して1時間攪拌処理を行った後、ろ過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去し、次いで80℃の熱風乾燥機で24時間乾燥して黄色の顔料粉末を得た。電子顕微鏡写真から求めた顔料の平均粒子径は長軸が117nm、短軸が90nmであった。X線回折スペクトルの11.8°のピークから求めた半値幅は0.416°であり、結晶粒子の長軸と短軸の長さ比の平均値は1.3であった。
〔Pigment Yellow 74 Bの調製〕
2−メトキシ−4−ニトロアニリンを常法に従いジアゾ化し、2−メトキシアセトアセトアニライド及びこれの3%アセトアセト−4−スルファニル酸カリウム塩を加えたものとカップリング及び熟成して得られた乾燥顔料を実施例1と同様ニーダーで処理し、黄色の顔料粉末を得た。顔料の平均粒子径は長軸が96nm、短軸が80nm、11.7°のピークの半値幅は0.424°であった。結晶粒子の長軸と短軸の長さ比の平均値は1.2であった。
〔Pigment Yellow 74 Cの調製〕
2−メトキシ−4−ニトロアニリンを常法に従いジアゾ化し、2−メトキシアセトアセトアニライドとカップリングして得られた顔料スラリーを2つに分け、その一方を90℃まで昇温し、更に90℃で1時間熟成すると黄色の顔料が得られた。これをろ過、水洗し、熱風乾燥機で90℃で24時間乾燥し、黄色の顔料粉末を得た。顔料は針状の結晶粒子であり、結晶粒子から求めた長軸と短軸の長さ比の平均値は3.2であった。平均粒子径は、長軸が280nm、短軸が90nm、11.7°の半値幅は0.375°であった。
〔Pigment Yellow 74 Dの調製〕
比較例1で得られたアゾ顔料のスラリーの残り半分を70℃まで昇温し、更に70℃で1時間熟成すると黄色の顔料が得られた。これをろ過、水洗し、熱風乾燥機で70℃で24時間乾燥し、黄色の顔料粉末を得た。顔料は棒状の結晶粒子であり、結晶粒子から求めた長軸と短軸の長さ比の平均値は1.3であった。平均粒子径は、長軸が65nm、短軸が50nm、11.5°のピークの半値幅は0.863であった。
〔長軸/短軸の長さ比の平均値〕
走査型電子顕微鏡(商品名「JSM−7800FPRIME」日本電子株式会社製)を使用して顔料粒子を撮影した。そして、顔料の一次粒子の短軸と長軸を測定し、短軸に対する長軸の比(長軸/短軸)を算出した。任意に選択した100個程度の顔料の一次粒子について算出した「長軸/短軸」の平均値を、各顔料の長軸/短軸の長さ比の平均値とした。
〔X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅〕
各顔料粉末のCu−Kα線に対するX線回折スペクトルの11.8°のピークから半値幅を求めた。
[インク組成物の調製]
上述の調製により得た顔料とスチレンと、アクリル酸とアクリレート系モノマーの共重合体である樹脂分散剤(表2中には記載しない)とを、3:1の質量比で水に混合させ、ボールミルにより1時間撹拌して顔料分散液を得た。次に、顔料分散液と残りの各材料を下記の表2に示す組成で混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。なお、下記の表1中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
〔表面張力〕
各インク組成物の表面張力は、表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した。
〔記録試験〕
インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「SC−T7250」)を用い、各インク組成物をヘッドに充填して記録を行った。被記録媒体としてはインクジェット写真用紙(光沢)(セイコーエプソン社製)を用いた。
後述の屋内耐光性評価に用いる記録物の作成には、表2の各例のインクの他に下記の表3に示すブラックインク、シアンインク、マゼンタインクを用いて記録をおこなった。ブラックインク、シアンインク、マゼンタインクは、顔料及びその他の成分として表3のものを用いたこと以外は、実施例のインク組成物と同様にして調整した。
〔屋内耐光性〕
JEITA CP3901Bに準拠し評価した。印刷メディアは、写真用紙 光沢(セイコーエプソン社製)測色は分光光度計(グレタグ社製、「グレタグマクベスSPM50」)を用いて行った。下記評価基準に基づき各インク組成物の耐光性を評価した。
(評価基準)
1: 屋内耐光性60年以上
2: 屋内耐光性40年以上60年未満
3: 屋内耐光性40未満
〔彩度〕
写真用紙 光沢(セイコーエプソン社製)に最大解像度1440×720dpiの混色階調パターンを記録して記録物を得た。パターンは、表2に示すインク組成物と表3に示すシアンインクを用いて、記録媒体への2つのインク組成物の付着量比(質量比)を1:1で固定し、最大のインク付着量を100%とし、その5%(質量)の付着量まで、5%の間隔で付着量を順次減らした階調パターンとした。最大のインク付着量は10mg/inch2とした。
次いで、C*を測定した。具体的には、分光光度計(グレタグ社製、「グレタグマクベスSPM50」)を用いてパターンWP測色し、CIEで規定されている色差表示法のL***表色系の座標を求めた。その際の条件は、光源D50、光源フィルターなしで、視野角は2°とし、白色標準は絶対白とした。得られた値から、パターンの彩度C*を下記式により求めた。
*=((a*2+(b*21/2
得られたC*のうち最大値を算出し、下記評価基準に基づき各インク組成物の色再現性を評価した。
(評価基準)
1: C*の最大値が81以上
2: C*の最大値が79以上81未満
3: C*の最大値が79未満
〔吐出安定性〕
記録試験で用いた記録装置を用いて30分の連続印刷を行い、360個のノズル中の着弾位置ズレや不吐出の発生したノズル数を数え、下記評価基準に基づき各インク組成物の吐出安定性を評価した。
(評価基準)
1: 着弾位置ズレ又は不吐出の発生したノズル数が1個以内
2: 着弾位置ズレ又は不吐出の発生したノズル数が2個以上5個以下
3: 着弾位置ズレ又は不吐出の発生したノズル数が6個以上
〔VOC放散量〕
記録試験で用いた記録装置で記録を行い、記録中に、公益財団法人日本環境協会 エコマーク商品類型No.155 認定基準書「複写機・プリンタなどの画像機器(Version1.2)」に従ってVOC放散量を測定し、下記評価基準に基づき各インク組成物のVOC放散量を評価した。
(評価基準)
1: VOC放散量が18mg/h未満。
2: VOC放散量が18mg/h以上、25mg/h未満。
3: VOC放散量が25mg/h以上。
実施例の各インク組成物は、優れた耐光性と吐出安定性とVOC放散量低減を示していた。さらには彩度も優れていた。これに対し、比較例の各インク組成物は、耐光性と吐出安定性とVOC放散量低減の何れかが劣っていた。
詳細には、実施例2と実施例3の比較から、有機溶剤Aとしてジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルを含む場合、吐出安定性が特に優れることが分かった。なお、3−メチル−1,5−ペンタンジオールは、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルと比べて水への溶解性が高く、インクにより多く含有させることができ、インクの表面張力を十分に低下させ易いことがわかった。
実施例と比較例5,8の対比より、X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅が0.7°以下である顔料を用いない場合には、耐光性が劣ることが分かった。また、比較例4より、長軸/短軸の長さ比の平均値が1.7以下である顔料を用いない場合には、吐出安定性が劣ることが分かった。
また、有機溶剤Aを用いず比較的に低沸点の1,2−ヘキサンジオールを用いる比較例1及び1,2−へプタンジオールを用いる比較例3においては、吐出安定性には優れるが、VOC放散量の観点から問題があることがわかる。
さらに、低沸点の1,2−ヘキサンジオールに代えて、比較的に高沸点のトリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる比較例2及び1,7へプタンジオールを用いる比較例6においては、VOC放散量には優れるが、吐出安定性の観点から問題があることがわかる。
さらに、グリセリンとトリエチレングリコール以外の溶剤を用いない比較例7においては、吐出安定性の観点から問題があることがわかる。
また、1,2−へプタンジオールを用いた比較例8からは、結晶性が高くない顔料を用いた場合には、吐出安定性の問題が生じないことがわかる。
1…プリンタ、2…ヘッド、3…キャリッジ、4…キャリッジ移動機構、5…媒体送り機構、6…制御部、7…メンテナンスユニット、8…インク収容部、9…インク供給路、P…記録媒体、10…インク供給ユニット、20…搬送ユニット、30…ヘッドユニット、40…照射ユニット、50…メンテナンスユニット、110…検出器群、120…コントローラー、121…インターフェース、122…CPU、123…メモリー、124…ユニット制御回路、130…コンピューター

Claims (11)

  1. X線回析スペクトルの最大もしくはそれに順ずるピークの半値幅が0.7°以下であり長軸/短軸の長さ比の平均値が1.7以下である顔料と、
    分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)と分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)とからなる群より選ばれる1種以上の標準沸点が225℃以上である有機溶剤Aと、を含有する、水系インクジェットインク組成物。
  2. 前記顔料が、アゾ系顔料である、請求項1に記載の水系インクジェットインク組成物。
  3. 前記有機溶剤Aが、245℃以上の標準沸点を有する有機溶剤を含む、請求項1又は2に記載の水系インクジェットインク組成物。
  4. 225℃未満の標準沸点を有する有機溶剤の含有量が、インク組成物の総量に対して、1質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
  5. 前記有機溶剤Aの含有量が、インク組成物の総量に対して、0.5〜20質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
  6. 前記顔料の含有量が、インク組成物の総量に対して、0.5〜15質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
  7. 前記有機溶剤Aが、炭素数5〜15の有機溶剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
  8. 280℃超過の標準沸点を有する有機溶剤であって、有機溶剤A以外の有機溶剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
  9. 表面張力が34mN/m以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
  10. 界面活性剤をさらに含み、
    該界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
  11. 前記有機溶剤Aとして、分枝構造のアルキル骨格からなるアルカンジオール類(1)と、分枝構造のアルキル骨格を含むアルキレングリコールと分枝構造のアルキル基のエーテルの少なくとも何れかにより構成されるアルキレングリコールアルキルエーテル類(2)と、を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク組成物。
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