JP6315322B2 - インク組成物及び記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インク組成物及び記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、被記録媒体の性質に応じたインク組成物について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、ビニル媒体などのフィルムや、他の非多孔質基材に対して、優れた付着性を有するポリマーコロイド含有インクジェットインクを提供することを目的として、a)285℃以下の沸点をそれぞれ有する少なくとも1つの揮発性共溶媒を含む水性液体ビヒクルであって、インクジェットインク中の揮発性共溶媒の総量が5重量%〜50重量%である水性液体ビヒクルと、b)前記液体ビヒクル中に分散している、酸官能化ポリマーコロイド粒子と、c)前記液体ビヒクル中に分散している、ポリマーの結合している顔料着色剤と、を含む、インクジェットインクが開示されている。
特開2005−220352号公報
従来のインク組成物を用いて記録物のにじみを抑制するためには、比較的高温に加熱した被記録媒体にインク組成物を付着させて記録することが望ましい。一方で、記録速度の向上の観点からは、加温操作を簡略化できるため比較的低温に加熱した被記録媒体にインク組成物を付着させて記録することが望ましい。しかしながら、比較的低温に加熱した被記録媒体にインク組成物を付着させると、被記録媒体上でインク組成物中の水の乾燥が有機溶媒よりも急速に進み、インク組成物の濡れ広がりが完了する前に顔料の分散系が壊れてしまい、それにより、にじみが生じやすいという問題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、よりにじみムラが抑制された記録物を与えるインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の組成を有することにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
加熱された被記録媒体に付着させるインク組成物であって、
顔料と、顔料を分散させる分散剤と、該分散剤以外の酸性高分子分散剤と、水と、有機溶媒と、樹脂エマルジョンと、を含み、
前記酸性高分子分散剤が、NaOH0.04質量%水溶液に前記酸性高分子分散剤を1質量%添加したとき溶解せず、
前記有機溶媒に前記酸性高分子分散剤1質量%添加したとき溶解するものである、インク組成物。
〔2〕
前記酸性高分子分散剤が、アクリル系酸性高分子分散剤及びエステル系酸性高分子分散剤の少なくともいずれか一方を含む、前項〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕
前記NaOH0.040質量%水溶液を10質量%と、前記有機溶媒を90質量%と、を含む混合水溶液100%に、前記酸性高分子分散剤を1質量部添加したとき、
前記酸性高分子分散剤が、溶解しないものである、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕
前記酸性高分子分散剤の酸価が、10〜150mgKOH/gである、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔5〕
前記NaOH0.040質量%水溶液を40質量%と、前記有機溶媒を60質量%と、を含む混合水溶液100%に、前記酸性高分子分散剤を1質量部添加したとき、
前記酸性高分子分散剤が、溶解しないものである、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔6〕
前記被記録媒体が、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体である、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔7〕
55℃以下に加熱された前記被記録媒体に付着させるものである、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔8〕
前記有機溶媒の含有量が、前記インク組成物の総量に対して、5.0〜40質量%である、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔9〕
前記有機溶媒が、グリコール系溶媒と、非プロトン性極性溶媒と、を含む、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔10〕
前記酸性高分子分散剤の総含有量が、0.050〜2.5質量%である、
前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔11〕
被記録媒体を加熱する加熱工程と、
加熱された前記被記録媒体に、前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出して、付着させる吐出工程と、を有する、記録方法。
〔12〕
前記吐出工程において、前記被記録媒体の単位面積当たりの前記インク組成物の付着量の最大が10mg/inch2以上となるように、加熱された前記被記録媒体に前記インク組成物を吐出して、付着させる、前項〔11〕に記載の記録方法。

以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔インク組成物〕
本実施形態のインク組成物は、加熱された記録媒体に記録されるインク組成物であって、顔料と、顔料を分散させる分散剤と、該分散剤以外の酸性高分子分散剤と、水と、有機溶媒と、を含み、前記酸性高分子分散剤が、NaOH0.04質量%水溶液に前記酸性高分子分散剤を1質量%添加したとき溶解せず、前記有機溶媒に前記酸性高分子分散剤1質量%添加したとき溶解するものである。
〔インク組成物の用途〕
本実施形態のインク組成物は、加熱された被記録媒体に付着させるものである。加熱温度は、好ましくは40℃から80℃であり、より好ましくは40℃から60℃であり、さらに好ましくは40℃から50℃である。本実施形態のインク組成物であれば、60℃以下(より好ましくは55℃以下、さらに好ましくは50℃以下)に加熱された被記録媒体に付着させた場合であっても、記録物のにじみムラを抑制することができる。加熱温度を低下させることが出来るので、加熱によるヘッド周辺のインク固着物の発生を抑制でき、インク固着物の除去に必要なクリーニング頻度も低減することができる。加熱温度の下限は、特に限定されないが、40℃が好ましい。
被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、吸収性、低吸収性、又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。低吸収性又は非吸収性の被記録媒体に記録する場合には、記録物のにじみムラの発生がより顕著となるが、本発明のインク組成物であれば、にじみムラがより抑制された記録物が得られる傾向にある。
ここで、「低吸収性被記録媒体」及び「非吸収性被記録媒体」とは、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
また、非吸収性又は低吸収性の被記録媒体は、記録面の水に対する濡れ性によっても分類することができる。例えば、被記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって被記録媒体を特徴付けることができる。より具体的には、被記録媒体の性質としての、非吸収性とは上記の低下率が1%未満のことを指し、低吸収性とは上記の低下率が1%以上5%未満のことを指し、吸収性とは上記の低下率が5%以上のことを指す。なお、接触角はポータブル接触角計 PCA−1(協和界面科学株式会社製)等を用いて測定することができる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インク組成物の浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
さらに上記の被記録媒体以外にも、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、ガラスなどのインク非吸収性又は低吸収性の記録媒体を用いることもできる。
〔顔料〕
顔料としては、特に限定されないが、例えば、以下に列記するものが挙げられる。
ブラックインクに使用される顔料としては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6(酸化チタン)、18、21が挙げられ、その他、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、及び酸化ジルコニウム等の白色無機顔料も挙げられる。上記顔料以外に、白色の中空樹脂粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:2、48:4、57、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外のカラーインクに使用される顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、必要な発色性に応じて含有量を調整することができる。また、顔料の含有量が10質量%以下であることにより、被記録媒体を40℃以上に加熱した印刷であっても、ヘッド周辺のインク乾燥固着物を抑制できる傾向にある。顔料の含有量は、より好ましくは0.1~6質量%である。
〔顔料分散剤〕
顔料分散剤は、例えば、樹脂分散剤、界面活性剤系分散剤が挙げられる。顔料分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、アクリルニトリル類、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸エステル共重合体等が挙げられる。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
以上述べた樹脂分散剤としては市販品を用いることもできる。具体的には、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
また、界面活性剤系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルピリジウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
樹脂分散剤及び界面活性剤系分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して、好ましくは50〜150質量部であり、より好ましくは75〜125質量部である。樹脂分散剤及び界面活性剤系分散剤の含有量が上記範囲であることにより、顔料の分散安定性がより向上する傾向にある。
顔料の分散方法としては、特に限定されないが、例えば、顔料と水と樹脂分散剤とを分散機を用いて混合する方法;顔料と水と界面活性剤とを分散機を用いて混合する方法が挙げられる。なお、混合の際、必要に応じて水溶性有機溶剤及び中和剤等を加えてもよい。また、分散機としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等が挙げられる。
〔酸性高分子分散剤〕
酸性高分子分散剤としては、顔料の分散で使用したもの以外であり、例えば、アクリル系酸性高分子分散剤及びエステル系酸性高分子分散剤の少なくともいずれか一方が好ましい。また、酸性高分子分散剤の有する酸性基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、及びスルフィン酸基が挙げられる。酸性高分子分散剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
酸性高分子分散剤は、水に対して不溶で、有機溶媒に対して可溶な、顔料分散剤として作用する。そのため、吐出前の水性インク組成物中においては、顔料の分散安定性に影響は小さい。一方、被記録媒体に付着した後において、水が急激に減少し、有機溶媒の割合が上昇した場合では、インク組成物中での顔料の凝集によるインクの不均一化を抑制し、にじみムラを低減することができる。
アクリル系酸性高分子分散剤としては、酸性基を有するものであり、顔料の分散に使用したもの以外である。例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。アクリル系酸性高分子分散剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、DISPERBYK194、2015(以上、ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
アクリル系酸性高分子分散剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.050〜2.50質量%であり、より好ましくは0.10〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.20〜1.0質量%である。アクリル系酸性高分子分散剤の含有量が0.050質量%以上であることにより、にじみムラがより抑制される傾向にある。また、アクリル系酸性高分子分散剤の含有量が2.5質量%以下であることにより、インク組成物のアクリル系酸性高分子分散剤の分離が防止できる傾向にある。
エステル系酸性高分子分散剤としては、酸性基を有するものであり、顔料の分散に使用したもの以外である。例えば、置換モノカルボン酸とヒドロキシカルボン酸ポリエステル類との縮合物等が挙げられる。エステル系酸性高分子分散剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、DISPERBYK2095、2096(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
エステル系酸性高分子分散剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.050〜2.5質量%であり、より好ましくは0.10〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.20〜1.0質量%である。エステル系酸性高分子分散剤の含有量が0.050質量%以上であることにより、にじみムラがより抑制される傾向にある。また、エステル系酸性高分子分散剤の含有量が2.5質量%以下であることにより、インク組成物のポリエステル系酸性高分子分散剤の分離が防止できる傾向にある。
酸性高分子分散剤の総含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.050〜2.5質量%であり、より好ましくは0.10〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.20〜1.0質量%である。酸性高分子分散剤の含有量が0.050質量%以上であることにより、にじみムラがより抑制される傾向にある。また、酸性高分子分散剤の含有量が2.5質量%以下であることにより、インク組成物の酸性高分子分散剤の分離が防止できる傾向にある。
酸性高分子分散剤の数平均分子量は少なくとも400g/mol、好ましく、は少なくとも800g/mol、より好ましくは、少なくとも2000g/molを有するポリマーである。最大分子量は、有効には100,000g/mol、好ましくは50,000g/mol、より好ましくは25,000g/molである。酸性高分子分散剤の数平均分子量は少なくとも400g/molであることにより、インク組成物が被記録媒体に付着して、水が急激に減少し、有機溶媒の割合が上昇した場合でも、インク組成物中での顔料の凝集を抑制することができる。一方、酸性高分子分散剤の数平均分子量が100000g/molであることにより、インク組成物の酸性高分子分散剤の分離が防止できる傾向にある。
酸性高分子分散剤の酸価は、好ましくは10〜150mgKOH/gであり、より好ましくは35〜150mgKOH/gであり、さらに好ましくは35〜100mgKOH/gである。酸性高分子分散剤の酸価が10mgKOH/g以上であることにより、インク組成物が被記録媒体に付着して、水が急激に減少し、有機溶媒の割合が上昇した状態での顔料の凝集を抑制することができる。また、酸性高分子分散剤の酸価が150mgKOH/g以下であることにより、インク組成物中での顔料の分散安定性に影響せず、インク組成物の安定性がより向上する傾向にある。酸価は、京都電子工業社製のAT610を用いて測定を行い、以下の数(1)式に数値をあてはめて算出した値を採用するものとする。
酸価(mg/g)=(EP1−BL1)×FA1×C1×K1/SIZE (1)
EP1:滴定量(mL)、BL1はブランク値(0.0mL)、FA1は滴定液のファクター(1.00)、C1は濃度換算値(5.611mg/mL)(0.1mo1/L KOH 1mLの水酸化カリウム相当量)、K1は係数(1)、SIZEは試料採取量(g)をそれぞれ表す。
(酸性高分子分散剤の溶解性)
酸性高分子分散剤は、NaOH0.040質量%水溶液に酸性高分子分散剤を1質量%添加したとき溶解せず、有機溶媒に酸性高分子分散剤を1質量%添加したとき溶解するものである。このような溶解性を有することにより、にじみムラがより抑制される。
なお、NaOH0.040質量%水溶液に酸性高分子分散剤を1質量%添加したときの溶解性(以下、「溶解性1」ともいう)、及び、有機溶媒に酸性高分子分散剤を1質量%添加したときの溶解性(以下、「溶解性2」ともいう)は、実施例に記載された方法により求めることができる。なお、この場合の有機溶媒は、インク組成物中の混合有機溶媒の事を示す。また、NaOHはインク組成物中の必須成分ではない。
NaOH0.040質量%水溶液を40質量%と、有機溶媒を60質量%と、を含む混合水溶液100%に、前記酸性高分子分散剤を1質量%添加したとき、酸性高分子分散剤が、溶解しないものであることが好ましい。また、NaOH0.040質量%水溶液を10質量%と、有機溶媒を90質量%と、を含む混合水溶液100質量%に、酸性高分子を1質量%添加したとき、酸性高分子分散剤が、溶解するものであることが好ましい。
なお、混合水溶液中に酸性高分子分散剤1質量%添加したときの溶解性(以下、「溶解性3」ともいう)は、実施例に記載された方法により求めることができる。
〔水〕
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。これにより貯蔵安定性がより向上する傾向にある。水の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは40〜80質量%である。
〔有機溶媒〕
有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノ(ジ)−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ(ジ)−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ(ジ)−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ(ジ)−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ(ジ)−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ(ジ)−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ(ジ)ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ(ジ)−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ(ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノ(ジ)エチルエーテル、プロピレングリコールモノ(ジ)−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ(ジ)−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ(ジ)−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ(ジ)−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(ジ)−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(ジ)−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(ジ)−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコール系溶媒;1,4−ジオキサン、N,N,−ジメチルアセトアミド、N,N,−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N-メチル−ピロリドン、N−メチルプロピオンアミド、β−ブチルラクトン、γ−ブチルラクトン、アジポニトリル、アセトニトリル、エチルセロソルブアセテート、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジグライム、ジブチルエーテル、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラグライム、テトラヒドロフラン、テトラメチルホスホリックアミド、トリグライム、ヘキサメチルホスホリックアミド、メチルセロソルブアセテート、メチルフェニルスルホキシド、モノグライム、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,1,3,3−テトラメチル尿素のような非プロトン性極性溶媒が挙げられる。有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このなかでも、有機溶媒は、グリコール系溶媒と、非プロトン性極性溶媒の少なくとも一方と、を含むことが好ましい。このような、有機溶媒を用いることにより、インク組成物の湿潤性がより向上する傾向にある。
非プロトン性極性溶媒としては、N−メチルプロピオンアミドに代表されるアルコキシプロピオンアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンが好ましく、2−ピロリドンが最も好ましい。これらの材料を用いることにより、インク組成物の湿潤性、吐出安定性が向上する傾向にある。また、当該材料をインク組成物中に含ませた場合、塩化ビニルを用いたプラスチックメディアに対して密着性が向上する。
非プロトン性極性溶媒のインク中における含有量は、特に限定されないが5質量%以上40質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
有機溶媒の標準沸点は、好ましくは100〜280℃であり、より好ましくは150〜250℃である。有機溶媒の沸点が100℃以上であることにより、インク組成物の湿潤性がより向上する傾向にある。また、有機溶媒の標準沸点が280℃以下であることにより、にじみムラが抑制される傾向にある。
有機溶媒の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは5.0〜40質量%であり、より好ましくは10〜35質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。有機溶媒の含有量が5.0質量%以上であることにより、インク組成物の湿潤性に優れる傾向にある。また、有機溶媒の含有量が40質量%以下であることにより、にじみムラが抑制される傾向にある。
〔塩基性化合物〕
塩基性化合物を添加してもよい。塩基性化合物としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基;ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基が挙げられる。塩基性化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
〔界面活性剤〕
インク組成物は、界面活性剤を含んでもよい。当該界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤のうち少なくともいずれかが好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール465やサーフィノール61、DF110D(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)などが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S−144、S−145(旭硝子株式会社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総質量に対し、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
〔その他の成分〕
インク組成物は、バインダー成分としての樹脂エマルジョン、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜含んでもよい。
〔記録方法〕
本実施形態の記録方法は、被記録媒体を加熱する加熱工程と、加熱された前記被記録媒体に、上記インク組成物を吐出して、付着させる吐出工程と、を有する。
〔加熱工程〕
加熱工程は、被記録媒体を加熱する工程である。加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、ヘッドの上方に設けられたヒーター、ヘッド下方の被記録媒体下方に被記録媒体に接する様に設けられたヒーター、又は温風機構を用いて加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、好ましくは40℃から80℃であり、より好ましくは40℃から60℃であり、さらに好ましくは40℃から50℃である。本実施形態のインク組成物を用いれば、60℃以下(好ましくは55℃以下であり、さらに好ましくは50℃以下)に加熱された被記録媒体に付着させた場合であっても、記録物のにじみを抑制することができる。加熱温度が60℃以下であれば、ヘッド周辺のインク固着物の発生を抑制でき、インク固着物の除去に必要なクリーニング頻度も低減することができる。加熱温度の下限は、特に限定されないが、40℃が好ましい。また、吐出工程後にインク組成物を乾燥させるための加熱工程を設けることができる。なお、被記録媒体の加熱温度は、被記録媒体の表面の温度を測定することによって得ることが出来る。
〔吐出工程〕
吐出工程は、加熱された被記録媒体に、上記インク組成物を吐出して、付着させる工程であり、加熱工程と吐出工程は同時に行われてもよい。インクジェット方式によるインク組成物の吐出は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。このなかでも、インク組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
被記録媒体の単位面積当たりのインク組成物の最大付着量(以下、「最大記録濃度」ともいう。)は、好ましくは10mg/inch2以上であり、より好ましくは12mg/inch2以上であり、さらに好ましくは13mg/inch2以上である。非吸収性記録媒体の場合、被記録媒体の単位面積当たりのインク組成物の付着量が10mg/inch2以上であることにより、にじみムラがより発生しやすい傾向にあるため、本発明が特に有用である。被記録媒体の単位面積当たりのインク組成物の付着量の上限は特に限定されないが、例えば、20mg/inch2が好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔インク組成物用の材料〕
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔顔料〕
ピグメントブルー15:3
〔顔料分散剤〕
スチレン‐アクリル酸系樹脂分散剤(水溶性樹脂分散剤、重量平均分子量:25,000、酸価:180)
〔酸性高分子分散剤〕
DISPERBYK194(エチレンオキシ基を有するアクリル系ブロックポリマー、ビックケミー・ジャパン社製、酸価75)
DISPERBYK2095(ポリエステル系酸性高分子、ビックケミー・ジャパン社製、酸価36)
DISPERBYK2096(ポリエステル系酸性高分子、ビックケミー・ジャパン社製、酸価40)
DISPERBYK187(多官能ポリマーのアルキロールアンモニウム塩、ビックケミー・ジャパン社製、酸価35)
DISPERBYK190(多官能ポリマーのアルキロールアンモニウム塩溶液を主成分とする酸性高分子分散剤、ビックケミー・ジャパン社製、酸価10)
DISPERBYK2015(アクリル系ブロックポリマー、ビックケミー・ジャパン社製、酸価10)
〔界面活性剤〕
BYK349(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー株式会社製)
DF110D(アセチレン系界面活性剤、日信化学工業社製)
〔有機溶媒〕
1,3−ブチレングリコール(グリコール系溶媒)
2−ピロリドン(非プロトン性極性有機溶媒)
〔塩基性化合物〕
水酸化ナトリウム
〔インク組成物の調製〕
下記の表1に示す組成において、本実施例で用いる水性インク組成物は、あらかじめ該顔料を水溶性樹脂分散剤で分散させた顔料分散液を使用した。顔料分散液は、まず、アンモニア水溶液を溶解させたイオン交換水に、下記の表1の水溶性樹脂分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量:25,000、酸価:180)を加えて溶解させ、そこに、下記の表1の顔料を加えて分散処理をおこなった。
上記の顔料分散液とその下記の表1に示す他材料を混合して水性インク組成物を調製した。なお、下記の表1中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
〔酸性高分子分散剤の溶解性1〕
酸性高分子分散剤1質量%(固形分)を、NaOH0.040質量%水溶液に添加した。その水溶液を目視にて観察し下記評価基準により、酸性高分子分散剤のNaOH0.040質量%水溶液に対する溶解性(溶解性1)を評価した。
(評価基準)
分離:溶媒に溶解しないことで透明にならず分離する。
溶解:溶媒に溶解して透明になる。
分散:溶媒が白濁しているが分離しない。
〔酸性高分子分散剤の溶解性2〕
酸性高分子分散剤1質量%(固形分)を、1,3−ブチレングリコール(グリコール系溶媒)及び2−ピロリドン(非プロトン性極性溶媒)を等量混合した有機溶媒に添加した。その有機溶媒を目視にて観察し下記評価基準により、酸性高分子分散剤の有機溶媒に対する溶解性(溶解性2)を評価した。
(評価基準)
分離:溶媒に溶解しないことで透明にならず分離する。
溶解:溶媒に溶解して透明になる。
分散:溶媒が白濁しているが分離しない。
〔酸性高分子分散剤の溶解性3〕
1,3−ブチレングリコール(グリコール系溶媒)及び2−ピロリドン(非プロトン性有機)を等量混合した有機溶媒、及び、NaOH0.040質量%水溶液の混合水溶液を調整した。なお、混合水溶液は、有機溶媒の含有量を、0(すなわち有機溶媒を含有しない。)、5、10、15、20、25、30、40、45、50、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%(すなわちNaOH0.040質量%水溶液を含有しない。)としたものをそれぞれ用意した。この混合水溶液に、有機溶媒の含有量の少ないほうから、酸性高分子分散剤1質量%(固形分)を添加した。その混合水溶液を目視にて観察し、酸性高分子分散剤が初めてすべて溶解した混合水溶液の有機溶媒の含有量を、混合水溶液に対する溶解性(溶解性3)として評価した。
Figure 0006315322
〔実施例1〜3、比較例1〜4〕
〔にじみムラの評価〕
ノズル密度が180dpiのノズル列を2列使用して360dpiの密度とした記録装
置(セイコーエプソン社製のPX−G930の改造機、)を用いて、記録解像度720dpi×720dpi、被記録媒体の単位面積当たりのインク組成物の付着量(記録濃度)
5〜15mg/inch2の条件で、50℃及び40℃に加熱した被記録媒体(LLJetSPEX、桜井株式会社製)それぞれに対して、インク組成物を吐出し、付着させた後、70℃10分乾燥して各記録物を得た。
得られた記録物に対して、下記評価基準でにじみムラを評価した。表2に、記録濃度を5mg/inch2から増大させたときに初めてにじみムラが生じた記録濃度と、にじみムラの評価を示す。
(評価基準)
○:記録濃度12mg/inch2以上で初めてにじみムラが生じた。
△:記録濃度11mg/inch2でにじみムラが生じた。
×:記録濃度10mg/inch2未満でにじみムラが生じた。
Figure 0006315322
※1:初めてにじみムラが生じた記録濃度

Claims (12)

  1. 加熱された被記録媒体に付着させるインク組成物であって、
    顔料と、顔料を分散させる分散剤と、該分散剤以外の酸性高分子分散剤と、水と、有機溶媒と、樹脂エマルジョンと、を含み、
    前記酸性高分子分散剤が、NaOH0.04質量%水溶液に前記酸性高分子分散剤を1質量%添加したとき溶解せず、
    前記有機溶媒に前記酸性高分子分散剤1質量%添加したとき溶解するものである、インク組成物。
  2. 前記酸性高分子分散剤が、アクリル系酸性高分子分散剤及びエステル系酸性高分子分散剤の少なくともいずれか一方を含む、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記NaOH0.040質量%水溶液を10質量%と、前記有機溶媒を90質量%と、を含む混合水溶液100%に、前記酸性高分子分散剤を1質量部添加したとき、
    前記酸性高分子分散剤が、溶解するものである、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記酸性高分子分散剤の酸価が、10〜150mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記NaOH0.040質量%水溶液を40質量%と、前記有機溶媒を60質量%と、を含む混合水溶液100%に、前記酸性高分子分散剤を1質量部添加したとき、
    前記酸性高分子分散剤が、溶解しないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記被記録媒体が、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 55℃以下に加熱された前記被記録媒体に付着させるものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 前記有機溶媒の含有量が、前記インク組成物の総量に対して、5.0〜40質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. 前記有機溶媒が、グリコール系溶媒と、非プロトン性極性溶媒と、を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物。
  10. 前記酸性高分子分散剤の総含有量が、0.050〜2.5質量%である、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク組成物。
  11. 被記録媒体を加熱する加熱工程と、
    加熱された前記被記録媒体に、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出して、付着させる吐出工程と、を有する、記録方法。
  12. 前記吐出工程において、前記被記録媒体の単位面積当たりの前記インク組成物の付着量の最大が10mg/inch2以上となるように、加熱された前記被記録媒体に前記インク組成物を吐出して、付着させる、請求項11に記載の記録方法。
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