JP2023100459A - 顔料分散剤、顔料分散体及びインクジェット用水性インク組成物 - Google Patents

顔料分散剤、顔料分散体及びインクジェット用水性インク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】マゼンタ顔料に対する凝集を良好に抑制し、インクジェット方式での印刷が可能な水性インクの実現を可能にする顔料分散剤、顔料分散体及びインクジェット用水性インク組成物を提供する。【解決手段】本発明の顔料分散剤は、マゼンタ顔料を分散させるための顔料分散剤であって、高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤が分散媒中に分散されており、前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体及び前記アクリル系分散剤が、酸価を有することを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は顔料分散剤、顔料分散体及びインクジェット用水性インク組成物に関し、より詳細には、例えば、インクジェット用水性インクに用いられるマゼンタ顔料の凝集を抑制し、分散性を向上させることが可能な顔料分散剤、顔料分散体及びインクジェット用水性インク組成物に関する。
インクジェット方式での印刷に使用される水性インクには、顔料の凝集に起因した水性インクの吐出不良を生じることなく、安定して水性インクを吐出することが可能な吐出安定性が求められている。また、顔料の凝集は水性インクを用いた記録媒体への印刷後にも生じる。すなわち、水性インクの液滴が記録媒体に着弾した後、顔料が凝集する結果、当該液滴が記録媒体上で十分に広がらず、印刷画像の印字濃度が低下し、色相が低下するという問題がある。
これらの問題に対し、例えば、特許文献1には、キナクリドン系顔料を分散させるための顔料分散剤として、スチレン-アクリル酸-メタクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13)を用いることが開示されている。この顔料分散剤は、キナクリドン系顔料の表面に吸着し、当該顔料分散剤の立体障害による斥力により、当該キナクリドン系顔料が凝集するのを抑制しようとするものであるが、インクジェット方式の印刷で用いる水性インクに於いては必ずしも満足できる分散レベルではない。
特開2000-186244号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、マゼンタ顔料に対する凝集を良好に抑制し、インクジェット方式での印刷が可能な水性インクの実現を可能にする顔料分散剤、顔料分散体及びインクジェット用水性インク組成物を提供することにある。
本発明に係る顔料分散剤は、前記の課題を解決するために、マゼンタ顔料を分散させるための顔料分散剤であって、高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤が分散媒中に分散されており、前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体及び前記アクリル系分散剤が、酸価を有することを特徴とする。
また前記の構成に於いては、前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体及び前記アクリル系分散剤が、アミン価を有しないことが好ましい。
前記の構成に於いては、前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体及び前記アクリル系分散剤の酸価が、10mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下であることが好ましい。
前記の構成に於いては、前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体が、ポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体であることが好ましい。
前記の構成に於いては、前記ポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体が、DISPERBYK(登録商標)-2096であることが好ましい。
前記の構成に於いては、前記アクリル系分散剤が、DISPERBYK(登録商標)-2015であることが好ましい。
本発明に係る顔料分散体は、前記の課題を解決するために、顔料分散剤と、前記分散媒中に分散する前記マゼンタ顔料とを含むことを特徴とする。
前記の構成に於いては、前記マゼンタ顔料がキナクリドン系顔料を含むことが好ましい。
前記の構成に於いては、前記キナクリドン系顔料がC.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントバイオレット19の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
また本発明のインクジェット用水性インク組成物は、前記の課題を解決するために、前記顔料分散体を含むことを特徴とする。
また、前記の構成に於いては、さらに保湿剤を含み、前記保湿剤が3価以上の多価アルコール及びグリコール系溶剤の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
前記の構成に於いては、さらに浸透剤を含み、前記浸透剤がグリコールエーテル及び複素環化合物の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
本発明によれば、高分子アルコール及びエステルの共重合体、又はアクリル系分散剤であって、酸価を有するものを顔料分散剤に含有させることで、従来の顔料分散剤と比較して、マゼンタ顔料に対する凝集の抑制効果を向上させることができる。その結果、前記構成の顔料分散剤を原料の1つに用いてインク化する場合には、マゼンタ顔料を凝集させることなく良好に分散させ、インクジェット方式での印刷に適したインクジェット用水性インク組成物の実現が可能になる。
尚、従来の水性インク組成物では、記録媒体への印刷後でも顔料の凝集により印刷濃度が低下するという問題がある。すなわち、水性インクの液滴が記録媒体に着弾した後、顔料が凝集する結果、当該液滴が記録媒体上で十分に広がらず、印刷画像の印字濃度が低下し、色相が低下するという問題がある。しかし本発明の様に、酸価を有するだけでなく、さらにアミン価を有しない高分子アルコール及びエステルの共重合体やアクリル系分散剤を顔料分散剤に含有させることにより、印刷後に於いてもマゼンタ顔料が記録媒体上で凝集するのを抑制することができる。その結果、水性インク組成物の液滴のガマットが縮小するのを低減することができ、良好な印字濃度(発色性)で印刷することが可能な水性インク組成物の実現を可能にする。しかもマゼンタ顔料の種類を変更することなくガマットの縮小を抑制できるので、色相の変化も防止することができる。
実施例7及び比較例10に係るインクジェット用水性インク組成物を用いた印刷画像のL表色系色度図である。 実施例7及び比較例10に係るインクジェット用水性インク組成物を用いた印刷画像の測定値(L、C)を示したグラフである。 実施例9~11及び比較例7~9に係るインクジェット用水性インク組成物を用いた印刷画像のL表色系色度図である。 実施例9~11及び比較例7、8に係るインクジェット用水性インク組成物を用いた印刷画像の測定値(L、C)を示したグラフである。
(顔料分散剤)
本実施の形態に係る顔料分散剤について、以下に説明する。
本実施の形態の顔料分散剤は、高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤が、分散媒中に分散してなる。また、高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、及びアクリル系分散剤は酸価を有しており、マゼンタ顔料に対し凝集が抑制されるように作用するため、インクジェット方式での印刷に適用可能な、マゼンタ顔料が良好に分散したインクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という場合がある。)の実現が可能になる。ここで、本明細書に於いて「インクジェット方式」とは、水性インク組成物を、例えば、公知のピエゾ方式のインクジェットヘッドより液滴として吐出し、その液滴を記録媒体に定着させ、印刷画像等を形成させる印刷方式を意味する。尚、記録媒体の詳細については後述する。
高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、及びアクリル系分散剤の酸価は、75mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価を75mgKOH/g以下にすることにより、マゼンタ顔料の分散性を一層向上させた水性インク組成物の製造が可能になる。尚、高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤を2種以上併用する場合、酸価は各々の顔料分散剤の平均として求められる。また、本明細書に於いて「酸価」とは、例えば、アクリル系分散剤の場合、当該アクリル系分散剤の固形分1g中の遊離酸を中和するために必要な水酸化カリウム(KOH)の質量(単位:mg)を意味し、JIS K 0070に準じて電位差滴定法により求めることができる。
本実施の形態の高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、及びアクリル系分散剤は酸価を有しているものであれば特に限定されないが、さらにアミン価を有しないものが好ましい。これにより、インクジェット方式での印刷後の記録媒体上でもマゼンタ顔料が凝集するのを抑制する結果、色相を変化させることなく印刷画像の色域(ガマット)の縮小を低減することができる。尚、本明細書において「アミン価」とは、例えば、アクリル系分散剤の場合、当該アクリル系分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量(単位:mg)を意味し、JIS K 7237に準じて電位差滴定法により求めることができる。
酸価を有し、かつアミン価を有しない高分子アルコールとエステルとからなる共重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体等が挙げられる。さらにポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体としては、例えば、ビックケミー(株)製のDISPERBYK(登録商標)-2096(酸価40mgKOH/g)等の市販品を用いることができる。また、DISPERBYK(登録商標)-194N(酸価75mgKOH/g)も挙げられる。
また、酸価を有し、かつアミン価を有しないアクリル系分散剤としては、ポリアクリル酸(アクリル酸重合体)及びアクリル酸共重合体から選択される一種又は複数種を好適に用いることができる。ポリアクリル酸としてはモノマー成分としてアクリル酸を含むものが好ましい。また、アクリル酸共重合体としては当該アクリル酸の他、スチレン等の他のモノマー成分を共重合させたものが好ましい。
酸価を有し、かつアミン価を有しないアクリル系分散剤としては市販品を用いることができ、例えば、ビックケミー(株)製のDISPERBYK(登録商標)-2015(酸価10mgKOH/g)等が挙げられる。
高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、及びアクリル系分散剤の分子量は特に限定されないが、マゼンタ顔料に対する吸着率を高くする等の観点から設定されるのが好ましい。
本実施の形態に係る顔料分散剤に於いては、高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤を分散させるための分散媒が含まれる。分散媒としては水が挙げられ、より詳細には、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものが挙げられる。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間にわたってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、分散媒の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
また、分散媒としては、水と水溶性有機溶剤の混合溶液を用いてもよい。水溶性有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エチルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。さらに、分散媒に水溶性有機溶剤を併用する場合の配合量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤の含有量は、顔料分散剤の全質量に対し、50質量%以上、100質量%以下であることが好ましく、65質量%以上、100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上、100質量%以下であることが特に好ましい。含有量を50質量%以上にすることにより、彩度を向上させることができ、特に80質量%以上であるとその効果は一層顕著である。
(顔料分散体及びその製造方法)
次に、本実施の形態に係る顔料分散体について、以下に説明する。
本実施の形態の顔料分散体は、例えば、インクジェット方式での印刷に好適な水性インク組成物に用いることができ、前述の顔料分散剤と、分散媒中に分散するマゼンタ顔料からなる顔料とを少なくとも含む。
本実施の形態に於いて、顔料はインクジェット方式での印刷に使用されるマゼンタ顔料からなる。顔料を用いることにより、染料を色材として用いる場合と比較して、耐光性及び耐水性の向上が図れる。マゼンタ顔料としては特に限定されないが、本実施の形態では有機顔料としてのキナクリドン系顔料が好ましい。
また、キナクリドン系顔料としては特に限定されず、例えば、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。これらのキナクリドン系顔料のうち、彩度の特性の観点からは、C.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントバイオレット19が好ましい。
顔料の含有量は、画像濃度、水性インク組成物の保存性、粘度及びpH等に影響を及ぼす。従って、顔料の含有量は、これらの点を考慮して適宜設定するのが好ましい。より具体的には、顔料の含有量は、水性インク組成物の全質量に対し固形分換算で1質量%~10質量%の範囲が好ましく、3質量%~10質量%の範囲内がより好ましく、4.5質量%~7質量%の範囲が特に好ましい。色材の含有量を1質量%以上にすることにより画像濃度の低下を抑制することができ、特に4.5質量%以上であるとその効果は一層顕著である。その一方、色材の含有量を10質量%以下にすることによりノズルの目詰まりによる吐出性の低下を防止することができ、特に7質量%以下であるとその効果は一層顕著である。
顔料分散体に含まれる高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤の含有量は、マゼンタ顔料の分散性の向上等の観点から適宜設定することができる。本実施の形態の場合、これらの化合物の含有量は、マゼンタ顔料100質量%に対し1質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、25質量%以下であることがより好ましい。含有量を1質量%以上にすることにより、マゼンタ顔料の分散媒中での分散性を良好に維持することができる。その一方、含有量を50質量%以下にすることにより、例えば、本実施の形態の顔料分散体を水性インク組成物に用いた場合に、当該水性インク組成物の粘度が過度に増大するのを抑制し、良好な吐出安定性を維持することができ、特に25質量%以下であるとその効果は一層顕著である。
本実施の形態の顔料分散体の製造方法に於いて、マゼンタ顔料、顔料分散剤及び必要に応じて配合するその他の添加剤の混合方法や添加順序は、特に限定されない。例えば、マゼンタ顔料、顔料分散剤及び分散媒としての水等を一度に混合し、この混合液に対し通常の分散機を用いて分散処理を施してもよい。
分散処理に於ける分散時間は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。マゼンタ顔料の分散処理の際に使用される分散機としては、一般に使用される分散機であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、ナノマイザー等が挙げられる。
尚、本実施の形態の顔料分散体は、水性インク組成物(詳細については後述する)の形態のほか、当該水性インク組成物を調製するための顔料分散液の形態をも包含するものである。
(インクジェット用水性インク組成物及びその製造方法)
本実施の形態の水性インク組成物は、顔料分散体と水性媒体とを少なくとも含む水性インクである。
[顔料分散体]
顔料分散体の含有量は、水性インク組成物の全質量に対し10質量%以上、60質量%以下が好ましく、20質量%以上、50質量%以下がより好ましく、30質量%以上、40質量%以下が特に好ましい。顔料分散体の含有量を10質量%以上にすることにより、着色力を向上させることができ、特に30質量%以上であるとその効果は一層顕著である。また、顔料分散体の含有量を60質量%以下にすることにより、分散性を向上させることができ、特に40質量%以下であるとその効果は一層顕著である。
[水性媒体]
本実施の形態の水性インク組成物で使用する水性媒体としては、水が挙げられる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものを用いるのが好ましい。
また、水性媒体としては、水と水溶性有機溶剤との混合溶液を用いてもよい。水溶性有機溶剤としては特に限定されず、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2,6-へキサントリオール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール類;N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤のうち水性インク組成物の吐出性の向上及び印字濃度の低減防止の観点からは、エチレンオキシドの付加モル数が2~4のポリオキシエチレングリコール、より具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールが好ましく、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールがより好ましく、トリエチレングリコールが特に好ましい。水溶性有機溶剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
水性媒体の含有量は特に限定されないが、通常は、水性インク組成物の全質量に対し、5質量%以上、50質量%以下であり、好ましくは5質量%以上、45質量%以下である。また、水性媒体として、水と水溶性有機溶剤との混合溶液を用いる場合、水と水溶性有機溶剤との比率は、10:90~50:50の範囲が好ましく、20:80~40:60の範囲がより好ましく、30:70~40:60の範囲がさらに好ましい。
[添加剤]
本実施の形態の水性インク組成物に於いては、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、界面活性剤、結着剤、保湿剤、浸透(制御)剤、水溶性樹脂、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤、粘度調整剤、消泡剤、分散安定剤、還元防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。界面活性剤、結着剤、保湿剤及び浸透剤を除き、これらの添加剤の含有量は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる(界面活性剤、結着剤、保湿剤及び浸透剤の含有量については、それぞれ後述する。)。
1.界面活性剤
界面活性剤としては特に限定されず、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
フッ素系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、F-410、444、553(以上、DIC(株)製、商品名)、FS-65、34、35、31、30(以上、デュポン(株)製、商品名)、BYK-340(以上、ビックケミージャパン(株)製、商品名)等が挙げられる。これらのフッ素系界面活性剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
シリコーン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。また、シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349(以上、ビックケミージャパン(株)製、商品名)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上、信越化学(株)製、商品名)等が挙げられる。これらのシリコーン系界面活性剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
アセチレンジオール系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アセチレンジオール骨格を有する化合物や、アセチレンジオール系化合物にエチレンオキサイドを付加して得られる化合物等が挙げられる。また、アセチレンジオール系界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフィノール(登録商標)104PA、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465(以上、エアプロダクツ(株)製、商品名)、オルフィン(登録商標)E1010、オルフィンSTG(以上、日信化学工業(株)製、商品名)等が挙げられる。これらのアセチレンジオール系界面活性剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
以上に説明した界面活性剤のうち、水性インク組成物の吐出性及び環境面等の観点からは、シリコーン系界面活性剤及びアセチレンジオール系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の含有量は、水性インク組成物の全質量に対し、0.1質量%以上、5質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.5質量%以上、4質量%以下の範囲内であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.1質量%以上であると、インクジェット方式で印刷を行う際に、インクジェットヘッドに於けるノズルでのメニスカス形成不良等による吐出不良を防止し、当該ノズルの目詰まりが発生するのを一層防止することができ、特に0.5質量%以上であるとその効果は一層顕著である。これにより、吐出性の向上が図れる。その一方、界面活性剤の含有量が5質量%以下であると、界面活性剤の不溶分や乳化不良による水性インク組成物の吐出への悪影響を抑制することができ、特に4質量%以下であるとその効果は一層顕著である。
2.結着剤
結着剤としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂分散体、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。結着剤を含有することにより、吐出性を向上させると共に、耐擦過性及び耐水性にも優れた印刷画像の印刷を可能にする。尚、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂及びポリウレタン樹脂は結着剤として機能するものであり、顔料分散剤として配合されるものではない。
ポリオレフィン樹脂分散体は、ポリオレフィン樹脂がエマルジョン(ラテックス又はディスパージョン)の形態で水中に分散した樹脂分散体である。ポリオレフィン樹脂をエマルジョンの樹脂分散体の形態で水に添加することにより、水に溶解しないポリオレフィン樹脂が沈降するのを防止する。例えば、粉体状のポリオレフィン樹脂を水に加えた場合には、当該ポリオレフィン樹脂が水に溶解することなく沈降した組成物となる。その結果、当該組成物をインクジェットヘッドから吐出させることができず、インクジェット方式での印刷は困難となる。
本実施の形態のポリオレフィン樹脂分散体は、水性インク組成物中に於いてバインダーとして機能する。ポリオレフィン樹脂分散体を配合することで、本実施の形態の水性インク組成物を用いて印刷されたインク層に於いては、例えば、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂又はポリウレタン樹脂(以下、「スチレンアクリル酸樹脂等」という。)のみを結着剤として用いた水性インク組成物の場合と比較して、造膜温度を低下させることができる。これにより、本実施の形態の水性インク組成物を用いたインク層では、例えば、乾燥温度80℃、乾燥時間10分で乾燥させた場合でも十分に乾燥させることができ、乾燥性に優れる。また、同じ乾燥条件に於いての耐擦過性も、スチレンアクリル酸樹脂等のみを用いた場合と比較して向上させることができる。
ポリオレフィン樹脂分散体に於けるポリオレフィン樹脂としては、アニオン系ポリオレフィン樹脂、ノニオン系ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの内、本発明では、耐擦過性及び耐水性の観点からアニオン系ポリオレフィン樹脂が好ましい。
アニオン系ポリオレフィン樹脂としては特に限定されず、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂等の酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、非塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂エマルジョンとしては市販品を用いることも可能である。その様な市販品としては、例えば、ハードレン(登録商標)NZ-1004(固形分濃度:30質量%)、ハードレンNZ-1015(固形分濃度:30質量%)(以上、東洋紡(株)製、商品名)、アローベース(登録商標)DA-1010(固形分濃度:25質量%)、アローベースDB-4010(固形分濃度:25質量%)(以上、ユニチカ(株)製、商品名)、スーパークロン(登録商標)E-415(固形分濃度:30質量%)、スーパークロンE-480T(固形分濃度:30質量%)、スーパークロンE-604(固形分濃度:40質量%)(以上、日本製紙(株)製、商品名)等が挙げられる。
スチレンアクリル酸樹脂としては特に限定されず、例えば、その構成成分として分子内に、スチレン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種のスチレン系モノマー成分と、(メタ)アクリル酸及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種のアクリル酸系モノマー成分とを含む重合体が挙げられる。また、スチレンアクリル酸樹脂には、スチレン系モノマー成分及びアクリル酸系モノマー成分以外のモノマー成分が含まれていてもよい。
スチレンマレイン酸樹脂としては特に限定されず、例えば、その構成成分として分子内に、スチレン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種のスチレン系モノマー成分と、マレイン酸及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種のマレイン酸系モノマー成分とを含む重合体が挙げられる。また、スチレンマレイン酸樹脂には、スチレン系モノマー成分及びマレイン酸系モノマー成分以外のモノマー成分が含まれていてもよい。
ポリウレタン樹脂としては特に限定されず、例えば、その構成成分にポリイソシアネートやポリオール等を含む重合体が挙げられる。
スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂及び/又はポリウレタン樹脂を配合する場合、その含有量は、水性インク組成物の全質量に対し、固形分換算で0.75質量%以下、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。スチレンアクリル酸樹脂等の含有量を固形分換算で0.75質量%以下にすることにより、本実施の形態の水性インク組成物による印刷で形成されるインク層の造膜温度が過度に高くなるのを抑制することができる。これにより、良好な乾燥性の維持が図られる。また、耐擦過性も、スチレンアクリル酸樹脂等のみを用いた場合と比較して向上させることができる。また、例えば、スチレンアクリル酸樹脂及びスチレンマレイン酸樹脂では、分子中のエステル結合が加水分解されやすく、ポリウレタン樹脂では、分子中のウレタン結合が加水分解されやすい。そのため、これらの樹脂が多く配合された水性インク組成物では、当該水性インク組成物を用いて印刷したインク層の耐水性及び耐溶剤性が良好でない。しかし、本実施の形態のように、スチレンアクリル酸樹脂等の含有量を、水性インク組成物の全質量に対し0.75質量%以下に抑制することで、インク層の耐水性が低下するのを抑制又は防止することができる。
また本実施の形態に於いて、結着剤はポリオレフィン樹脂分散体のみからなることが好ましい。これにより、本実施の形態の水性インク組成物で形成されるインク層の造膜温度を低減させ、通常の乾燥条件下でも十分に乾燥が可能となり、かつ耐擦過性を一層向上させることができる。また、スチレンアクリル酸樹脂等を含有しないため、インク層の耐水性も一層向上させることができる。
ポリオレフィン樹脂分散体の含有量は、水性インク組成物の全質量に対し、固形分換算で1.2質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以上、6質量%以下、より好ましくは3質量%以上、4.5質量%以下である。ポリオレフィン樹脂分散体の固形分換算での含有量を1.2質量%以上にすることにより、耐擦過性を良好に維持することができる。尚、ポリオレフィン樹脂エマルジョンの固形分換算での含有量を6質量%以下にすることにより、インクジェットヘッドからの水性インク組成物の吐出性を良好に維持することができる。
3.保湿剤
保湿剤としては特に限定されず、例えば、3価以上の多価アルコールが挙げられる。3価以上の多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。これらのうち、ノズル表面の乾燥防止の観点からは、グリセリン及びポリグリセリン等の高沸点水溶性多価アルコールが好ましい。これらの保湿剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
保湿剤の添加量は、水性インク組成物の全質量に対し、1質量%以上、20質量%以下の範囲内であることが好ましく、5質量%以上、15質量%以下の範囲内であることがより好ましい。保湿剤の含有量を1質量%以上にすることにより、インクジェット方式で印刷を行う際に、インクジェットヘッドのノズル近傍での目詰まりを防止し、吐出性能の一層の向上が図れ、特に5質量%以上であるとその効果は一層顕著である。その一方、保湿剤の含有量を20質量%以下にすることにより、水性インク組成物の粘度を適性に制御することができ、特に15質量%以下であるとその効果は一層顕著である。
4.浸透剤
浸透(制御)剤としては特に限定されず、例えば、炭素数が2~5のグリコール系溶剤、複素環化合物等が挙げられる。炭素数が2~5のグリコール系溶剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、複素環化合物としては特に限定されず、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン等の含窒素複素環化合物が挙げられる。例示した浸透(制御)剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
浸透(制御)剤の添加量は、水性インク組成物の全質量に対し、1質量%以上、20質量%以下の範囲内であることが好ましく、5質量%以上、15質量%以下の範囲内であることがより好ましい。浸透(制御)剤の含有量を1質量%以上にすることにより、水性インク組成物の記録媒体への十分な浸透性を保持することができ、特に5質量%以上であるとその効果は一層顕著である。その一方、浸透(制御)剤の含有量を20質量%以下にすることにより、色材が記録媒体に過度に浸透して表層部分に残存せず、印刷画像の印字濃度が低下するのを抑制することができる。また、水性インク組成物の粘度が過度に大きくなるのを抑制し、水性インク組成物の安定性も維持することができる。これらの効果は、特に15質量%以下で一層顕著である。
5.pH調整剤
pH調整剤は、水性インク組成物のpHを調整する目的で添加される。pH調整剤としては特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の有機塩基;アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸等の有機酸等が挙げられる。例示したpH調整剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
[その他]
本実施の形態の水性インク組成物の粘度は、インクジェットノズルからの吐出性を考慮すると、インクジェットノズル吐出時に於いて、3mPa・s~6mPa・sが好ましく、3.5mPa・s~5.7mPa・sがより好ましい。水性インク組成物の粘度を前記数値範囲内にすることにより、インクジェットノズルでの目詰まりの発生を一層抑制して良好な吐出性の維持が図られる。尚、水性インク組成物の粘度は、例えば、粘度計(商品名:VISCOMATE MODEL VM-10A、(株)セコニック製)を用いて、測定温度25℃の条件下で測定することにより得られる。
本実施の形態の水性インク組成物は、記録媒体の表面にインク層を形成して印刷画像を形成することが可能な水性インク組成物として用いることができる。また、本実施の形態の水性インク組成物は、最終製品たるインクジェット用水性インクに含まれるものである場合の他、当該インクジェット用水性インクそのものとしても用いることができる。
[インクジェット用水性インク組成物の製造方法]
本実施の形態の水性インク組成物は、前述の各成分を適宜な方法で混合することよって製造することができる。即ち、例えば、顔料分散体に、別途前述した添加剤等を加え、さらに水性媒体にて希釈する。その後、十分に撹拌し、必要に応じて目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するための濾過を行う。これにより、本実施の形態に係る水性インク組成物を得ることができる。
尚、各材料の混合方法としては特に限定されず、例えば、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合を行う。また、濾過方法としては特に限定されず、例えば、遠心濾過、フィルター濾過等を採用することができる。
(記録媒体)
記録媒体としては特に限定されず、従来公知のものを採用することができる。具体的には、例えば、コート紙、アート紙、及びマット紙等の印刷用紙、並びにフィルム等が挙げられる。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、以下の実施例に記載されている材料や含有量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(実施例1)
本実施例に於いては、マゼンタ顔料としてのC.I.ピグメントレッド122(PR122、Cinquasia(登録商標) Magenta D 4550 J、BASFジャパン(株)製)19.2g、アクリル系分散剤(商品名:DISPERBYK-2015、ビックケミー(株)製、酸価10mgKOH/g)5.16g、及びプロピレングリコール7.2gを容器に添加し、さらに及び純水88.44gを加えた。続いて、容器中の混合液を分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工(株)製)にて、常温下で2時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズ(平均粒径0.5mm)210gを混合して行った。これにより、本実施例に係る顔料分散体Aを作製した。尚、アクリル系分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、26.875質量%とした。
(実施例2)
本実施例に於いては、マゼンタ顔料としてのC.I.ピグメントバイオレット19(PV19、Cinquasia(登録商標) Red L 4105 HD、BASFジャパン(株)製)18g、アクリル系分散剤(商品名:DISPERBYK-2015、ビックケミー(株)製、酸価10mgKOH/g)6.6g、及びプロピレングリコール7.2gを容器に添加し、さらに及び純水88.2gを加えた。続いて、容器中の混合液を分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工(株)製)にて、常温下で2時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズ(平均粒径0.5mm)210gを混合して行った。これにより、本実施例に係る顔料分散体Bを作製した。尚、アクリル系分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、36.667質量%とした。
(実施例3)
本実施例に於いては、顔料分散剤であるアクリル系分散剤の含有量を3.6gに変更し、純水の含有量を90gに変更した。それら以外は実施例1と同様の方法にて本実施例に係る顔料分散体Cを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、18.75質量%とした。
(実施例4)
本実施例に於いては、マゼンタ顔料としてのC.I.ピグメントバイオレット19(PV19、Cinquasia(登録商標) Red L 4105 HD、BASFジャパン(株)製)18g、顔料分散剤としてのアクリル系分散剤(商品名:DISPERBYK-2015、ビックケミー(株)製、酸価10mgKOH/g)3.6g、及びプロピレングリコール7.2gを容器に添加し、さらに及び純水91.2gを加えた。続いて、容器中の混合液を分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工(株)製)にて、常温下で2時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズ(平均粒径0.5mm)210gを混合して行った。これにより、本実施例に係る顔料分散体Dを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、20質量%とした。
(実施例5)
本実施例に於いては、マゼンタ顔料としてのC.I.ピグメントバイオレット19(PV19、Cinquasia(登録商標) Red L 4105 HD、BASFジャパン(株)製)15g、DISPERBYK-194N(商品名、ビックケミー(株)製、酸価75mgKOH/g)9.4g、及びプロピレングリコール7.2gを容器に添加し、さらに及び純水68.3gを加えた。続いて、容器中の混合液を分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工(株)製)にて、常温下で2時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズ(平均粒径0.5mm)175gを混合して行った。これにより、本実施例に係る顔料分散体Eを作製した。尚、DISPERBYK-194Nのマゼンタ顔料に対する含有量は、63.3質量%とした。
(実施例6)
本実施例に於いては、DISPERBYK-194Nに代えてポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体(商品名:DISPERBYK-2096、ビックケミー(株)製、酸価40mgKOH/g)を用い、その含有量を0.1gに変更した。また、純水の含有量を77.7gに変更した。それら以外は実施例13と同様の方法にて本実施例に係る顔料分散体Fを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、0.7質量%とした。
(比較例1)
本比較例に於いては、マゼンタ顔料としてのC.I.ピグメントレッド122(PR122、Cinquasia(登録商標) Magenta D 4550 J、BASFジャパン(株)製)16g、顔料分散剤(商品名:DISPERBYK-193、ビックケミー(株)製、酸価なし、アミン価なし)0.8g、及びプロピレングリコール7.2gを容器に添加し、さらに及び純水76gを加えた。続いて、容器中の混合液を分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工(株)製)にて、常温下で2時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズ(平均粒径0.5mm)175gを混合して行った。しかし、本比較例に於いては、マゼンタ顔料が凝集してペースト状となり、顔料分散体は得られなかった。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、5.0質量%とした。
(比較例2)
本比較例に於いては、DISPERBYK-193に代えてDISPERBYK-2061(商品名、ビックケミー(株)製、アミン価3mgKOH/g)を用い、その含有量を4gに変更した。また、純水の含有量を72.8gに変更した。それら以外は比較例1と同様の方法にて本比較例に係る顔料分散体Gを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、25質量%とした。
(比較例3)
本比較例に於いては、DISPERBYK-193に代えてDISPERBYK-2055(商品名、ビックケミー(株)製、アミン価40mgKOH/g)を用い、その含有量を3.5gに変更した。また、純水の含有量を73.3gに変更した。それら以外は比較例1と同様の方法にて本比較例に係る顔料分散体Hを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、21.9質量%とした。
(比較例4)
本比較例に於いては、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19(PV19、Cinquasia(登録商標) Red L 4105 HD、BASFジャパン(株)製)を用い、その含有量を15gに変更した。また、純水の含有量を77gに変更した。それら以外は比較例1と同様の方法にて本比較例に係る顔料分散体Iを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、5.3質量%とした。
(比較例5)
本比較例に於いては、DISPERBYK-193に代えてDISPERBYK-2061(商品名、ビックケミー(株)製、アミン価3mgKOH/g)を用い、その含有量を4gに変更した。また、純水の含有量を73.8gに変更した。それら以外は比較例4と同様の方法にて本比較例に係る顔料分散体Jを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、26.7質量%とした。
(比較例6)
本比較例に於いては、DISPERBYK-193に代えてDISPERBYK-2055(商品名、ビックケミー(株)製、アミン価40mgKOH/g)を用い、その含有量を3.5gに変更した。また、純水の含有量を74.3gに変更した。それら以外は比較例1と同様の方法にて本比較例に係る顔料分散体Kを作製した。尚、顔料分散剤のマゼンタ顔料に対する含有量は、23.3質量%とした。
Figure 2023100459000001
Figure 2023100459000002
(実施例7~11)
実施例7~11に於いてはそれぞれ、表3に示す顔料分散体を用いて、表4に示す配合割合となる様にその他の添加剤を加え、各実施例に係るインクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という。)を作製した。
(比較例7~10)
比較例7~10に於いてはそれぞれ表3に示す顔料分散体を用いて、表4に示す配合割合となる様にその他の添加剤を加え、各比較例に係る水性インク組成物を作製した。
Figure 2023100459000003
Figure 2023100459000004
(印刷画像の評価)
実施例7、9~11及び比較例7~10の水性インク組成物について、色域評価及びマゼンタ彩度評価を、以下の方法で行った。
各水性インク組成物を用いて、インクジェット上質紙上にインクジェット方式で印刷を行った。具体的には、インクジェットプリンタ(商品名:PX-105、エプソン(株)製)を用いてシングルパス(ワンパス)方式にて印刷を行った。
次に、各実施例及び比較例のサンプルに印刷された画像について、それぞれ色彩色差計(型番:X-Rite eXact、エックスライト(株)製)を用いて、L表色系におけるL、a、bの値をそれぞれ測定した。また、マゼンタ彩度(C)は色特性の測定値に基づき、以下の式により算出した(JIS Z 8729)。
={(a*2)+(b*2)}1/2
尚、L表色系では、明度をLで表し、色相及び彩度をa及びbで表す。マゼンタ彩度の評価については、Cの値が大きい程、印刷画像の彩度が良好であるといえる。結果を図1~図4に示す。図1は、実施例7及び比較例10に係る水性インク組成物を用いた印刷画像のL表色系色度図である。図2は、実施例7及び比較例10に係る水性インク組成物を用いた印刷画像の測定値(L、C)を示したグラフである。図3は、実施例9~11及び比較例7~9に係る水性インク組成物を用いた印刷画像のL表色系色度図である。図4は、実施例9~11及び比較例7、8に係る水性インク組成物を用いた印刷画像の測定値(L、C)を示したグラフである。
図1及び図3から分かる通り、各実施例に係る水性インク組成物を用いた印刷画像では、色相及び彩度が良好であり印刷濃度が高いことが確認された。特に、酸価が10mgKOH/g又は40mgKOH/gであり、アミン価を有しない顔料分散剤を用いた実施例7、9及び11に係る水性インク組成物では、酸価を有しない顔料分散剤を用いた比較例8~10に係る水性インク組成物と比較して印刷濃度が高く、凝集によるガマットの縮小が抑制されていることが確認された。
また、図2及び図4から分かる通り、各実施例に係る水性インク組成物を用いた印刷画像では、明度L及び彩度Cは良好な値を示した。特に、酸価が10mgKOH/g又は40mgKOH/gであり、アミン価を有しない顔料分散剤を用いた実施例7、9及び11に係る水性インク組成物では、酸価を有しない顔料分散剤を用いた比較例7や8に係る水性インク組成物と比較してマゼンタ彩度が良好であることが確認された。

Claims (12)

  1. マゼンタ顔料を分散させるための顔料分散剤であって、
    高分子アルコールとエステルとからなる共重合体、又はアクリル系分散剤が分散媒中に分散されており、
    前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体及び前記アクリル系分散剤が、酸価を有する顔料分散剤。
  2. 前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体及び前記アクリル系分散剤が、アミン価を有しない請求項1に記載の顔料分散剤。
  3. 前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体及び前記アクリル系分散剤の酸価が、10mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載の顔料分散剤。
  4. 前記高分子アルコールとエステルとからなる共重合体が、ポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体である請求項1~3の何れか1項に記載の顔料分散剤。
  5. 前記ポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体が、DISPERBYK(登録商標)-2096である請求項4に記載の顔料分散剤。
  6. 前記アクリル系分散剤が、DISPERBYK(登録商標)-2015である請求項1~3の何れか1項に記載の顔料分散剤。
  7. 請求項1~6の何れか1項に記載の顔料分散剤と、
    前記分散媒中に分散する前記マゼンタ顔料とを含む顔料分散体。
  8. 前記マゼンタ顔料がキナクリドン系顔料を含む請求項7に記載の顔料分散体。
  9. 前記キナクリドン系顔料がC.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントバイオレット19の少なくとも何れかを含む請求項8に記載の顔料分散体。
  10. 請求項7~9の何れか1項に記載の顔料分散体を含むインクジェット用水性インク組成物。
  11. さらに保湿剤を含み、
    前記保湿剤が3価以上の多価アルコール及びグリコール系溶剤の少なくとも何れかを含む請求項10に記載のインクジェット用水性インク組成物。
  12. さらに浸透剤を含み、
    前記浸透剤がグリコールエーテル及び複素環化合物の少なくとも何れかを含む請求項10又は11に記載のインクジェット用水性インク組成物。
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