JP7017051B2 - インクセットおよび記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクセットおよび記録方法に関する。
インクジェット記録装置のインクジェットヘッドのノズルから微小なインク滴を吐出させて、記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録方法が知られており、サイン印刷分野、ラベル印刷分野での使用も検討されている。そして、インク低吸収性の記録媒体(例えば、アート紙やコート紙)またはインク非吸収性の記録媒体(例えば、プラスチックフィルム)に対して画像の記録を行う場合、インクとして、地球環境面および人体への安全性等の観点から、水系インクジェットインク組成物(以下、「水系インク」または、「インク」ともいう。)の使用が検討されている。
水系インクジェットインク組成物を用いた記録においては、高い階調性を有する高品質の画像を得ることを目的として、樹脂等の反応性を持った成分を含有した同色系インクの濃インクと淡インクと(以下、両者をまとめて「濃淡インク」ともいう。)を組み合わせて用いることにより、色差を抑制し、画質の粒状性を低減する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004-338259号公報
しかしながら、濃淡インクを用いる場合において、画質の向上とヘッドの吐出安定性を得ることを目的として反応液を用いると、特に淡インクを用いた低Duty領域において、インクの成分が十分に反応できず、画質形成が難しくなり、耐擦性が低下する場合がある。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題等の少なくとも一部を解決することで、濃淡インクを用いた記録方法において、耐擦性と目詰まり信頼性の両立が可能なインクセットおよび記録方法を提供するものである。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクセットの一態様は、
インク組成物の成分と反応して凝集させる反応液と共に記録媒体へ付着させて用いるものであり、
色材と、定着樹脂と、樹脂溶解性溶剤とを含む第1インク組成物と、
色材と、定着樹脂と、樹脂溶解性溶剤とを含み、前記第1インク組成物と互いに同色系インクである第2インク組成物と、を備え、
前記第2インク組成物の色材の含有量が前記第1インク組成物の色材の含有量より質量基準で少なく、
前記第2インク組成物の定着樹脂の含有量が前記第1インク組成物の定着樹脂の含有量
より質量基準で多く、
前記第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が前記第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より質量基準で多いことを特徴とする。
上記適用例によれば、色材の含有量が第1インク組成物よりも少ない第2インク組成物の定着樹脂の含有量を第1インク組成物よりも多くし、かつ、記録媒体上で樹脂を溶解する樹脂溶解性溶剤の含有量もが第1インク組成物より多くすることにより、第2インク組成を用いた低Duty領域の耐擦性を高めることができる。また、反応液を用いることにより、記録時の温度を高くすることなく画質形成が可能となるため、ヘッドの吐出安定性を確保することができ、濃淡インクを用いた記録方法において、耐擦性と目詰まり信頼性の両立が可能なインクセットを提供することができる。
[適用例2]
上記適用例において、
前記第2インク組成物に含まれる定着樹脂が、25℃の環境下で、0.3M硫酸マグネシウム水溶液と樹脂1質量%を水に分散させた樹脂液とを1:1の質量比で1分間攪拌させたときに、平均粒子径の変化が5倍未満である樹脂を含むことができる。
上記適用例によれば、第2インク組成物に含まれる定着樹脂が、25℃の環境下で、0.3M硫酸マグネシウム水溶液と樹脂1質量%を水に分散させた樹脂液とを1:1の質量比で1分間攪拌させたときに、平均粒子径の変化が5倍未満である反応性の低い樹脂であることにより、反応液と反応して画像を形成する際に平滑な造膜が可能となり、より耐擦性が向上する。また、色材が先に沈降(反応)した上に定着樹脂が被さるようにして造膜されるため、耐擦性の点で有利となる。
[適用例3]
上記適用例において、
前記第2インク組成物の定着樹脂の含有量が、前記第1インク組成物の定着樹脂の含有量より0.5質量%以上5質量%以下多くすることができる。
上記適用例によれば、第2インク組成物の定着樹脂の含有量が、第1インク組成物の定着樹脂の含有量より0.5質量%以上5質量%以下多く含有することにより、より耐擦性が向上する。
[適用例4]
上記適用例において、
前記第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が、前記第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より、0.5質量%以上10質量%以下多くすることができる。
上記適用例によれば、第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が、第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より、0.5質量%以上10質量%以下多く含有することにより、より耐擦性が向上する。
[適用例5]
前記第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が20質量%以下であることができる。
上記適用例によれば、第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が20質量%以下であることにより、より目詰まり信頼性が向上する。
[適用例6]
上記適用例において、
前記第1インク組成物および前記第2インク組成物は、それぞれ標準沸点が280℃超のアルキレンポリオール系の有機溶剤の含有量が1質量%未満であることができる。
上記適用例によれば、第1インク組成物および第2インク組成物は、それぞれ標準沸点が280℃超のアルキレンポリオール系の有機溶剤の含有量が1質量%未満であることにより、より耐擦性が向上する。
[適用例7]
上記適用例において、
前記第2インク組成物に含まれる、樹脂溶解性溶剤と定着樹脂とは、SP値の差が互いに5以内のものを含むことができる。
上記適用例によれば、第2インク組成物に含まれる、樹脂溶解性溶剤と定着樹脂とは、SP値の差が互いに5以内のものを含むことにより、より平滑な造膜化が可能となり、より耐擦性が向上する。
[適用例8]
本発明に係る記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例に記載のインクセットを用いた記録方法において、
前記反応液を記録媒体へ付着させる工程と、前記第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、前記第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、を備えることができる。
上記適用例によれば、色材の含有量が第1インク組成物よりも少ない第2インク組成物の定着樹脂の含有量を第1インク組成物よりも多くし、かつ、記録媒体上で樹脂を溶解する樹脂溶解性溶剤の含有量もが第1インク組成物より多くすることにより、第2インク組成を用いた低Duty領域の耐擦性を高めることができる。また、反応液を用いることにより、記録時の温度を高くすることなく画質形成が可能となるため、ヘッドの吐出安定性を確保することができ、濃淡インクを用いた記録方法において、耐擦性と目詰まり信頼性の両立が可能な記録方法を提供することができる。
[適用例9]
上記適用例において、
前記第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、前記第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程とにおける、記録媒体の表面温度が45℃以下であり、
各工程後に記録媒体を加熱する二次加熱工程において、記録媒体の表面温度が70℃以上であることができる。
上記適用例によれば、第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程とにおける、記録媒体の表面温度が45℃以下であり、各工程後に記録媒体を加熱する二次加熱工程において、記録媒体の表面温度が70℃以上であることにより、よりノズルの目詰まりが低減し、耐擦性と目詰まり信頼性の両立が可能となる。
[適用例10]
上記適用例において、
前記反応液に含まれる凝集剤として、多価金属塩、カチオン性樹脂または有機酸の何れ
かを含むことができる。
上記適用例によれば、凝集剤として、多価金属塩、カチオン性樹脂または有機酸の何れかを含むことにより、より耐擦性が向上する。
インクジェット記録装置を模式的に示す概略断面図。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本実施形態に係るインクセットの一態様は、インク組成物の成分と反応して凝集させる反応液と共に記録媒体へ付着させて用いるものであり、色材と、定着樹脂と、樹脂溶解性溶剤とを含む第1インク組成物と、色材と、定着樹脂と、樹脂溶解性溶剤とを含み、前記第1インク組成物と互いに同色系インクであって、前記色材の含有量が前記第1インク組成物よりも少ない第2インク組成物と、を備え、前記第2インク組成物の定着樹脂の含有量が前記第1インク組成物の定着樹脂の含有量より多く、前記第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が前記第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より多いことを特徴とする。
本実施形態に係る記録方法の一態様は、本実施形態に係るインクセットを用いた記録方法において、前記反応液を記録媒体へ付着させる工程と、前記第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、前記第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、を備えることを特徴とする。
以下、本実施形態に係るインクセットおよび記録方法の一例について、この記録方法を行う記録装置、インク組成物(以下、「インク」ともいう。)、反応液および記録媒体、記録方法の順に説明する。
なお、本明細書中において、「Duty」とは、下記式(1)で算出される値である。
Duty(%)={実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)}×100 …(1)
(式中、「実印字ドット数」は単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
1.各構成
1.1.記録装置
本実施形態に係る記録方法が実施される記録装置の一例について、インクジェット記録装置を挙げて説明する。なお、本実施形態に係る記録方法に使用できる記録装置の一例としては、インクジェット記録装置に限定されるものではない。
本実施形態で用いられるインクジェット記録装置の一例について図面を参照しながら説明する。図1は、インクジェット記録装置を模式的に示す概略断面図である。図1に示すように、インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド2と、IRヒーター3と、プラテンヒーター4と、硬化ヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、通気ファン8と、を備える。インクジェット記録装置1は、図示しない制御部を備え、制御部によりインクジェット記録装置1全体の動作が制御される。
インクジェットヘッド2は、記録媒体Mに対してインク組成物や反応液を吐出して付着
させる手段である。
インクジェットヘッド2は、インク組成物や反応液を吐出するノズル(図示せず)を備える。インクをノズルから吐出させる方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極との間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式);小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式;インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式);インクを記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インクの液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
インクジェットヘッド2としては、ライン式インクジェットヘッド、シリアル式インクジェットヘッドのいずれも使用可能である。
ここで、シリアル式インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置とは、記録用のインクジェットヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させつつインク組成物を吐出させる走査(パス)を、複数回行うことによって記録を行うものである。シリアル型のインクジェットヘッドの具体例には、記録媒体の幅方向(記録媒体の搬送方向に交差する方向)に移動するキャリッジにインクジェットヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってインクジェットヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するものが挙げられる。
一方、ライン式インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置は、記録用のインクジェットヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させつつインク組成物を吐出させる走査(パス)を1回行うことにより記録を行うものである。ライン型のインクジェットヘッドの具体例には、インクジェットヘッドが記録媒体の幅よりも広く形成され、記録用ヘッドが移動せずに記録媒体上に液滴を吐出するものが挙げられる。
本実施形態では、インクジェット記録装置1として、シリアル式インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を用い、インクをノズルから吐出させる方式としてピエゾ方式を利用したインクジェットヘッド2を用いている。
インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド2からのインク組成物の吐出時に記録媒体Mを加熱するための、IRヒーター3及びプラテンヒーター4を備える(一次加熱または一次乾燥)。本実施形態において、後述するインク組成物付着工程で記録媒体Mを加熱する際には、IRヒーター3及びプラテンヒーター4の少なくとも1つを用いればよい。
なお、IRヒーター3を用いると、インクジェットヘッド2側から記録媒体Mを加熱することができる。これにより、インクジェットヘッド2も同時に加熱されやすいが、プラテンヒーター4等の記録媒体Mの裏面から加熱される場合と比べて、記録媒体Mの厚みの影響を受けずに昇温することができる。また、記録媒体Mを加熱する際にプラテンヒーター4を用いると、インクジェットヘッド2側と反対側から記録媒体Mを加熱することができる。これにより、インクジェットヘッド2が比較的加熱されにくくなる。
IRヒーター3及びプラテンヒーター4による、記録媒体Mの表面温度の上限は45℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、35℃以下であることがより好ましい。また、記録媒体Mの表面温度の下限は25℃以上であることが好ましく、28℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがより好ましい。これ
により、IRヒーター3及びプラテンヒーター4から受ける輻射熱が少ない又は受けなくなることから、インクジェットヘッド2内のインク組成物の乾燥及び組成変動を抑制でき、インクジェットヘッド2の内壁にインクや樹脂が溶着することが抑制される。また、インクを早期に固定することができ、画質を向上させることができる。
硬化ヒーター5は、記録媒体Mに付着されたインク組成物を乾燥及び固化させるものである(二次加熱または二次乾燥)。硬化ヒーター5が、画像が記録された記録媒体Mを加熱することにより、インク組成物中に含まれる水分等がより速やかに蒸発飛散して、インク組成物中に含まれる樹脂微粒子の樹脂によってインク膜が形成される。このようにして、記録媒体M上においてインク膜が強固に定着(接着)して造膜性が優れたものとなり、優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。硬化ヒーター5による記録媒体Mの表面温度の上限は120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがより好ましい。また、記録媒体Mの表面温度の下限は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがより好ましい。温度が前記範囲にあることにより、高画質な画像を短時間で得ることができる。
インクジェット記録装置1は、冷却ファン6を有していてもよい。記録媒体Mに記録されたインク組成物を乾燥後、冷却ファン6により記録媒体M上のインク組成物を冷却することにより、記録媒体M上に密着性よくインク塗膜を形成することができる。
また、インクジェット記録装置1は、記録媒体Mに対してインク組成物や反応液が付着される前に、記録媒体Mを予め加熱する(プレ加熱する)プレヒーター7を備えていてもよい。さらに、記録装置1は、記録媒体Mに付着したインク組成物や反応液がより効率的に乾燥するように通気ファン8を備えていてもよい。
1.2.インク組成物
次に、本実施形態に係るインクセットを構成するインク組成物について説明する。本実施形態に係るインクセットを構成する第1および第2インク組成物は、それぞれ、色材と、定着樹脂と、樹脂溶解性溶剤とを含む。
ここで、本実施形態において、色材の含有量が質量基準で多い方のインク組成物を第1インク組成物(濃インク)とし、第1インク組成物よりも色材の含有量が質量基準で少ないインク組成物を第2インク組成物(淡インク)とする。
また、本実施形態に係るインクセットにおいて、第1インク組成物と第2インク組成物は互いに同色系インクである。「同色系」とは、「実質的に同一の色相角を有する」ことを意味し、第1及び第2インク組成物によって白色の記録媒体上に記録された各々の記録画像の色相角∠H°の差が30°以内であることを意味する。色相角∠H°は、CIELAB色空間において定義され、∠H°=tan-1(b*/a*)+180(a*<0の場合)、又は∠H°=tan-1(b*/a*)+360(a*>0の場合)により求められる。
a*及びb*は、CIELAB色空間において定義される知覚色度指数を表す。このような同色系の濃インク及び淡インクの組み合わせは、例えば、シアンインクとライトシアンインク(フォトシアンインクとも称される)の組み合わせ、マゼンタインクとライトマゼンタインク(フォトマゼンタインクとも称される)の組み合わせ、イエローインクとライトイエローインクの組み合わせ等が挙げられる。また、同一の色材のみをそれぞれ含む濃インクと淡インクは、互いに同色系インクとみなすことができる。
また、本実施形態に係るインクセットを構成するインク組成物においては、第2インク組成物の定着樹脂の含有量が第1インク組成物の定着樹脂の含有量より質量基準で多く、第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より質量基準で多いことを特徴とする。
以下、本実施形態に係るインクセットを構成するインク組成物に含まれる成分および含まれ得る成分ついて、詳細に説明する。
なお、本実施形態に係るインクセットを構成するインク組成物は、水系インクジェットインク組成物であることが好ましい。ここで、本発明における「水系」インクジェットインク組成物とは、水を主要な溶媒として、有機溶剤を主要な溶媒としない組成物である。インク組成物中の有機溶剤の含有量は、その組成物100質量%に対して30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。インク組成物(100質量%)中の水の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
1.2.1.色材
本実施形態において、インク組成物は色材を含む。色材としては、染料と顔料のいずれも用いることができるが、顔料は、光やガス等に対して退色しにくい性質を有していることから、好ましく用いられる。顔料を用いて記録媒体上に形成された画像は、画質に優れるだけでなく、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、保存性が良好となる。この性質は、特にインク非吸収性または低吸収性の記録媒体上に形成された場合に顕著である。なお、本実施形態において、第1インク組成物と第2インク組成物は、それぞれ同一の色材を含んでもよいし、異なる色材を含んでもよい。
本実施形態において使用可能な顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。一方、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。
本実施形態で使用可能な顔料の具体例のうち、ブラック顔料としてはカーボンブラックが挙げられ、カーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、もしくはチャンネルブラック等(C.I.ピグメントブラック7)、また市販品としてNo.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA77、MA100、No.2200B等(以上商品名、三菱化学株式会社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等(以上商品名、デグサ社製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上商品名、コロンビアカーボン社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等(以上商品名、キャボット社製)が挙げられる。
ホワイト顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、および酸化ジルコニウムの白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、白色
の中空樹脂粒子および高分子粒子等の白色有機顔料を使用することもできる。
イエローインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、およびイエロー以外のカラーインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
インク組成物に含まれる顔料の含有量は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上7質量%以下であることがさらに好ましい。
上記の顔料をインク組成物に適用するためには、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにする必要がある。その方法としては、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂等の分散剤樹脂にて分散させる方法(以下、この方法により分散された顔料を「樹脂分散顔料」という。)、水溶性界面活性剤および/または水分散性界面活性剤の界面活性剤にて分散させる方法(以下、この方法により分散された顔料を「界面活性剤分散顔料」という。)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、上記の樹脂あるいは界面活性剤等の分散剤なしで水中に分散および/または溶解可能とする方法(以下、この方法により分散された顔料を「表面処理顔料」という。)等が挙げられる。本実施形態において、インク組成物は、上記の樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできる。
樹脂分散顔料に用いられる分散剤樹脂としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α―メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン
-α―メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を有するモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
上記の塩としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ-iso-プロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等の塩基性化合物との塩が挙げられる。これら塩基性化合物の添加量は、上記分散剤樹脂の中和当量以上であれば特に制限はない。
上記分散剤樹脂の分子量は、重量平均分子量として1,000~100,000の範囲であることが好ましく、3,000~10,000の範囲であることがより好ましい。分子量が上記範囲であることにより、色材の水中での安定的な分散が得られ、またインク組成物に適用した際の粘度制御等がしやすい。
以上述べた分散剤樹脂としては市販品を用いることもできる。詳しくは、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
また、界面活性剤分散顔料に用いられる界面活性剤としては、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルピリジウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
上記分散剤樹脂または上記界面活性剤の顔料に対する添加量は、顔料100質量部に対して好ましくは1質量部~100質量部であり、より好ましくは5質量部~50質量部である。この範囲であることにより、顔料の水中への分散安定性が確保できる。
また、表面処理顔料としては、親水性官能基として、-OM、-COOM、-CO-、-SOM、-SONH、-RSOM、-POHM、-PO、-SONHCOR、-NH、-NR(但し、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Rは、炭素数1~12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を示す。)等が挙げられる。これらの官能基は、顔料粒子表面に直接および/または他の基を介してグラフトさ
れることによって、物理的および/または化学的に導入される。多価の基としては、炭素数が1~12のアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいナフチレン基等を挙げることができる。
また、前記の表面処理顔料としては、硫黄を含む処理剤によりその顔料粒子表面に-SOMおよび/または-RSOM(Mは対イオンであって、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンを示す。)が化学結合するように表面処理されたもの、すなわち、前記顔料が、活性プロトンを持たず、スルホン酸との反応性を有さず、顔料が不溶ないしは難溶である溶剤中に、顔料を分散させ、次いでアミド硫酸、又は三酸化硫黄と第三アミンとの錯体によりその粒子表面に-SOMおよび/または-RSOMが化学結合するように表面処理され、水に分散および/または溶解が可能なものとされたものであることが好ましい。
前記官能基またはその塩を顔料粒子の表面に直接または多価の基を介してグラフトさせる表面処理手段としては、種々の公知の表面処理手段を適用することができる。例えば、市販の酸化カーボンブラックにオゾンや次亜塩素酸ソーダ溶液を作用し、カーボンブラックをさらに酸化処理してその表面をより親水化処理する手段(例えば、特開平7-258578号公報、特開平8-3498号公報、特開平10-120958号公報、特開平10-195331号公報、特開平10-237349号公報)、カーボンブラックを3-アミノ-N-アルキル置換ピリジウムブロマイドで処理する手段(例えば、特開平10-195360号公報、特開平10-330665号公報)、有機顔料が不溶又は難溶である溶剤中に有機顔料を分散させ、スルホン化剤により顔料粒子表面にスルホン基を導入する手段(例えば、特開平8-283596号公報、特開平10-110110号公報、特開平10-110111号公報)、三酸化硫黄と錯体を形成する塩基性溶剤中に有機顔料を分散させ、三酸化硫黄を添加することにより有機顔料の表面を処理し、スルホン基又はスルホンアミノ基を導入する手段(例えば、特開平10-110114号公報)等が挙げられるが、本発明で用いられる表面処理顔料のための作製手段はこれらの手段に限定されるものではない。
1つの顔料粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類およびその程度は、インク中での分散安定性、色濃度、およびインクジェットヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
以上述べた樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料を水中に分散させる方法としては、樹脂分散顔料については顔料と水と分散剤樹脂、界面活性剤分散顔料については顔料と水と界面活性剤、表面処理顔料については表面処理顔料と水、また各々に必要に応じて水溶性有機溶剤・中和剤等を加えて、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の従来用いられている分散機にて行うことができる。この場合、顔料の粒径としては、平均粒径で20nm~500nmの範囲になるまで、より好ましくは50nm~200nmの範囲になるまで分散することが、顔料の水中での分散安定性を確保する点で好ましい。
1.2.2.定着樹脂
本実施形態において、インク組成物は定着樹脂を含有し、第2インク組成物の定着樹脂の含有量が第1インク組成物の定着樹脂の含有量より多い。定着樹脂は、インク組成物を固化させ、さらにインク固化物を記録媒体上に強固に定着させる作用を有する。本実施形態において、定着樹脂は、本実施形態で使用するインク組成物の溶剤に難溶あるいは不溶である樹脂を、微粒子状にして分散させて(すなわちエマルジョン状態、あるいはサスペンジョン状態にして)含ませることができ、「バインダー固形分」や「樹脂エマルジョン
」ともいう。
本実施形態において用いられる定着樹脂としては、特に限定されないが、上記の分散剤樹脂として用いられる樹脂の他、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、および塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、および天然樹脂が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレートなどの(メタ)アクリル系モノマーの少なくとも何れかの単独重合体又は共重合体であるアクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂の中でも、(メタ)アクリル系モノマーとビニル系モノマーとの共重合体が好ましい。ビニル系モノマーとしては、限るものでは無いがスチレンなどが挙げられ、(メタ)アクリル系モノマーとスチレンとの共重合体であるスチレン-アクリル共重合体系樹脂が特に好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、およびグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。また、樹脂としては、上記以外にもポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂も好ましく用いられる。
また、定着樹脂は直鎖又は分岐状の高分子であっても、3次元に架橋した高分子であってもよく、3次元に架橋した高分子が好ましい。
上記の樹脂を微粒子状態で得るには、以下に示す方法で得られ、そのいずれの方法でもよく、必要に応じて複数の方法を組み合わせてもよい。その方法としては、所望の樹脂を構成する単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(すなわち乳化重合)する方法、親水性部分を持つ樹脂を水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を蒸留等で除去することで得る方法、樹脂を非水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を分散剤と共に水溶液中に混合して得る方法等が挙げられる。上記の方法は、用いる樹脂の種類・特性に応じて適宜選択することができる。樹脂を分散する際に用いることのできる分散剤としては、特に制限はないが、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩等)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)を挙げることができ、これらを単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
上記のような樹脂として、微粒子状態(エマルジョン状態、サスペンジョン状態)で用いる場合、公知の材料・方法で得られるものを用いることも可能である。例えば、特公昭62-1426号公報、特開平3-56573号公報、特開平3-79678号公報、特開平3-160068号公報、特開平4-18462号公報等に記載のものを用いてもよい。また、市販品を用いることもでき、例えば、マイクロジェルE-1002、マイクロジェルE-5002(以上商品名、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK-200(商品名、サイデン化学株式会社製)、ジュリマーAT-613(商品名、東亜合成株式会社製)、ビニプラン700(商品名、日信化学工業株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC-1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、
ジョンクリルPDX-7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX-7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
定着樹脂は、複合樹脂を含むものであってもよい。複合樹脂は、定着を構成する樹脂として、樹脂を構成するモノマー成分の構成(種類、含有量比の少なくとも何れか)が互いに異なる2種以上の樹脂からなり、この2種以上の樹脂は、定着樹脂のどの部位を構成するかは問わないものである。2種以上の樹脂はその境界で樹脂の構成が不連続に区別できるものに限られず、連続的にモノマー成分の構成が異なるものであっても良い。
特に、定着樹脂として、2種以上の樹脂の1つをコア樹脂、他の1つをシェル樹脂とし、コア樹脂を主に樹脂微粒子の中央部を構成する樹脂とし、シェル樹脂を主に樹脂微粒子の周辺部を構成する樹脂としたコアシェル樹脂を用いる場合、樹脂の周辺部と中央部でそれぞれ樹脂の特性を変えられる点で好ましい。この場合、シェル樹脂は定着樹脂の周辺部の少なくとも一部を構成するものであればよい。ここで、複合樹脂の1例としてコアシェル樹脂に関し記載するが、コアシェル樹脂に限らず複合樹脂であれば、同様の効果を奏する。コアシェル樹脂は、コアとシェルを独立してその架橋の程度やガラス転移温度を制御することができるため、樹脂の溶解性を調整しやすいという観点から好ましい。
また、コアシェル樹脂ではない樹脂においても、樹脂のガラス転移温度や架橋の程度で溶解時間を調整することが可能である。さらに、ガラス転移温度や架橋の程度に限らず、樹脂合成に使用するモノマーの種類や量などの組成で調整することもできる。
定着樹脂を微粒子状態で用いる場合、インク組成物の保存安定性・吐出信頼性を確保する観点から、その平均粒径は5nm以上400nm以下の範囲が好ましく、より好ましくは50nm以上200nm以上の範囲である。樹脂微粒子の平均粒子径が前記範囲にあることにより、成膜性に優れると共に、凝集しても大きな塊ができにくいため、ノズルの目詰まりを低減することができる。なお、本明細書における平均粒子径は、特に明示がない限り体積基準のものである。測定方法としては、例えば、動的光散乱理論を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。このような粒度分布測定装置としては、例えば、日機装株式会社製の「マイクロトラックUPA」等が挙げられる。
定着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、-20℃以上100℃以下であることが好ましく、-10℃以上80℃以下であることがより好ましく、0℃以上76℃以下であることがさらに好ましい。
定着樹脂の含有量の合計の下限は、固形分換算でインク組成物の全質量(100質量%)に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上であり、特に好ましくは4質量%以上である。また、樹脂の含有量の合計の上限は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。定着樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、記録時の目詰まり信頼性を確保し、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体上においても、耐擦性に優れた画像を形成することができる。
なお、本実施形態において、色材の含有量が第1インク組成物よりも少ない第2インク組成物の定着樹脂の含有量は、第1インク組成物よりも多いものであり、具体的には、第2インク組成物の定着樹脂の含有量は、第1インク組成物の定着樹脂の含有量より0.5質量%以上5質量%以下多いことが好ましく、1.0質量%以上4質量%以下多いことが
より好ましく、1.5質量%以上3.5質量%以下多いことがさらに好ましい。前記範囲にあることにより、特に第2インク組成を用いた低Duty領域における、印刷物の耐擦性を高めることができる。また、色材の含有量が多い第1インク組成物における記録時の目詰まり信頼性を確保することができる。
また、色材の含有量が第1インク組成物よりも少ない第2インク組成物において、第2インク組成物に含まれる定着樹脂が、25℃の環境下で、0.3M硫酸マグネシウム水溶液と樹脂1質量%を水に分散させた樹脂液とを1:1の質量比で1分間攪拌させたときに、平均粒子径の変化が5倍未満である、反応性の低い樹脂であることが好ましい。第2インク組成物において反応性の低い樹脂を用いることにより、インク成分が反応液と反応して画像を形成する際に、色材が先に沈降(反応)した上に定着樹脂が被さるようにして造膜されるため、平滑な造膜化が可能となり、より耐擦性が向上する。なお、本明細書における平均粒子径は、特に明示がない限り体積基準のものである。測定方法としては、例えば、動的光散乱理論を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。このような粒度分布測定装置としては、例えば、日機装株式会社製の「マイクロトラックUPA」等が挙げられる。
さらに、第2インク組成物において、定着樹脂として、後述する樹脂溶解性溶剤とのSP値の差が5以内のものを含むことが好ましく、SP値の差が4以内のものを含むことがより好ましく、SP値の差が3以内のものを含むことがさらに好ましく、SP値の差が2以内であるものを含むことが特に好ましい。定着樹脂のSP値が樹脂溶解性溶剤のSP値と差が小さいほど、定着樹脂が樹脂溶解性溶剤に溶解しやすくなり、記録時の目詰まり信頼性を確保することができる。また、記録媒体上で平滑な造膜性に優れるため、耐擦性が優れた画像が形成できる。
なお、樹脂溶解性溶剤とのSP値の差が5以内の定着樹脂が含まれていれば、SP値の差が互いに5超の樹脂を含んでいても構わないが、記録時の目詰まり信頼性を確保する点により、定着樹脂の全てが、樹脂溶解性溶剤とのSP値の差が5以内であることが好ましい。
ここで、本明細書において、「SP値」とは、相溶化パラメーター(Solubility Parameter)といい、溶解度パラメーターとも言うことができる。SP値は、溶剤については、式Iに示すHildebrandの計算SP値(δ)を用いて計算により算出することができ、樹脂についてはSP値がわかっている溶剤に、液中の樹脂固形分濃度が0.5質量%になるように樹脂を添加し、樹脂の分散安定性を目視確認し、分散可能なSP値の低い値を樹脂SP値とすることができる。
Figure 0007017051000001
1.2.3.樹脂溶解性溶剤
本実施形態において、インク組成物は樹脂溶解性溶剤を含み、第2インク組成物(淡インク)の樹脂溶解性溶剤の含有量が、第1インク組成物(濃インク)の樹脂溶解性溶剤の含有量より質量基準で多いことを特徴とする。本実施形態において、インク組成物が樹脂溶解性溶剤を含むことにより、記録媒体上で記録媒体の樹脂を溶解して造膜化を促進し、耐擦性と画質に優れた画像を形成することができる。また、インク組成物を吐出する際の目詰まりの低減が可能となる。
本明細書において、樹脂溶解性溶剤は樹脂を溶解する特性を有する溶剤であるが、具体的には、溶剤100グラムに対して、本実施形態のインク組成物が含有する定着樹脂を1グラム添加し、80℃において1時間撹拌したときに定着樹脂が溶解し、目視による観察で定着樹脂が塊状や粒子として見えないものをいう。
樹脂溶解性溶剤としては、インク中に含まれる水に対しても相溶性をもつものが好ましい。具体的には、25℃での、水の100質量部に対して溶解する溶剤の質量部である溶解度が0.5質量%以上であるものが好ましい。
より詳細には、アルコール類としては、例えば、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-(ベンジルオキシ)エタノール等が挙げられる。
エーテル類としては、例えば、プロピレンオキシド、フラン等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、2-ヘキサノン、2-メチル-4-ペンタノン、メシチルオキシドイソホロン等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、蟻酸n-プロピル、蟻酸n-ブチル、蟻酸イソブチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸sec-ヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、2-ブトキシエチルアセタート等が挙げられる。
含窒素化合物としては、例えば、1-ニトロプロパン、2-ニトロプロパン等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、例えば、硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン等が挙げられる。
環状エステル類としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007017051000002
(式(1)中、Rは水素又は炭素数1~4のアルキル基を表し、dは0~3の整数を表す。また係るアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。)
式(1)で表される化合物としては、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1~4のアルキル基によって置換された化合物等が挙げられる。
アルコキシアルキルアミド類としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
O-CHCH-CO-NR ・・・(2)
(式(2)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~2のアルキル基を表す。)
式(2)で表される化合物はβ-アルコキシプロピオンアミド化合物であり、例えば、
3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド等が挙げられる。
さらに、複素環式化合物、環状アミド類、含窒素環式化合物等を含んでもよい。
環状アミド類としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007017051000003
(式(3)中、Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基を表し、eは、0~3の整数を表す。また係るアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。)
式(3)で表される化合物としては、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
以上挙げたこれら樹脂溶解性溶剤は、1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。上記の樹脂溶解性溶剤の中でも、環状アミド類、アルコキシアミド類、環状エステル類およびエステル類からなる群から選択される何れか1種以上を用いることが好ましい。この場合には、より耐擦性、耐張り付き性や画質が向上する。
樹脂溶解性溶剤の含有量の上限は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。また、樹脂溶解性溶剤の含有量の下限は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、7質量%以上であることが特に好ましい。樹脂溶解性溶剤の含有量が前記範囲にあることにより、より耐擦性と目詰まり信頼性が向上する。
また、本実施形態において、第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量は、第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より、0.5質量%以上10質量%以下多いことが好ましく、1.0質量%以上8質量%以下多いことがより好ましく、3.0質量%以上7.0質量%以下多いことがさらに好ましい。前記範囲にあることにより、特に第2インク組成を用いた低Duty領域における、印刷物の耐擦性を高めることができる。また、色材の含有量が多い第1インク組成物における記録時の目詰まり信頼性を確保することができる。
1.2.4.水
本実施形態において、インク組成物は水を含有することが好ましい。水は、インク組成物の主となる媒体であり、加熱によって蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、顔料分散液およびこれを用いたインク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。
水の含有量は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
1.2.5.有機溶剤
本実施形態に係るインク組成物は、上記の樹脂溶解性溶剤以外の有機溶剤を含有してもよい。インク組成物が有機溶剤を含有することにより、記録媒体上に吐出されたインク組成物の乾燥性が良好となり、耐擦性に優れた画像を得ることができる。
インク組成物に用いる有機溶剤としては、水溶性有機溶剤であることが好ましい。水溶性有機溶剤を使用することにより、よりインク組成物の乾燥性が良好となり、耐擦性に優れた画像を得ることができる。
樹脂溶解性溶剤以外の有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの水酸基を持つアミン類;グリセリンが挙げられる。インク組成物の乾燥性を向上させる点では、これらの中でも、プロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ブタンジオール等を用いることが好ましい。
樹脂溶解性溶剤以外の有機溶剤の含有量は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。有機溶剤の標準沸点は、180℃以上が好ましく、180℃以上300℃以下がより好ましく、200℃以上270℃以下がさらに好ましく、210℃以上250℃以下が特に好ましい。有機溶剤の含有量や標準沸点が上記範囲である場合、インク組成物の吐出信頼性や耐擦性がより優れ、好ましい。
なお、標準沸点が280℃超のアルキレンポリオール系の有機溶剤は、インクの水分を吸収して、インクジェットヘッド付近のインクを増粘させる場合があり、これにより、インクジェットヘッドの吐出安定性を低下させる場合がある。また、インクの乾燥性が大幅に低下する。このため、本実施形態において、インク組成物は、標準沸点が280℃超のアルキレンポリオール系の有機溶剤の含有量が、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、3質量%未満であることが好ましく、2質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.5質量%未満であることがさらに好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。この場合には、記録媒体上でのインク組成物の乾燥性が高くなるので、特に低吸収性記録媒体または非吸収記録媒体への記録に適するものとなり、ブリードの発生が抑制された優れた画像を形成できる。また、得られ
た印刷画像のベタツキが低減され、耐水性や耐擦性に優れたものとなる。
標準沸点が280℃超のアルキレンポリオール系の有機溶剤としては、例えば、グリセリンを挙げることができる。グリセリンは吸湿性が高く、沸点が高いため、インクジェットヘッドの目詰まりや、動作不良の原因となる場合がある。また、グリセリンは、防腐性が乏しく、カビや菌類を繁殖させやすいので、インク組成物に含有しないことが好ましい。
1.2.6.界面活性剤
本実施形態において、インク組成物は界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの少なくとも1種を含有することが好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールおよび2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールおよび2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される1種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(商品名、エアープロダクツ社製)、サーフィノール465やサーフィノール61やサーフィノールDF110D(商品名、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、サーフロンS144、S145(以上商品名、AGCセイミケミカル株式会社製);FC-170C、FC-430、フロラード-FC4430(以上商品名、住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300(以上商品名、Dupont社製);FT-250、251(以上商品名、株式会社ネオス製)が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349(以上商品名、BYK Additives & Instruments社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
これらの中でも、アセチレングリコール系界面活性剤は、ノズルの目詰まり回復性をさらに向上させることができる。一方、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤は、記録媒体上でインクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有してい
る点で好ましい。したがって、本実施形態において、インク組成物は、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤の少なくとも一方と、アセチレングリコール系界面活性剤と、を含有することがより好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の含有量の下限は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。一方、含有量の上限は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が前記範囲にあると、ノズルの目詰まり回復性が向上する効果が得られやすい。
フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の含有量の下限は、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましい。一方、含有量の上限は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の含有量が前記範囲にあると、記録媒体上でインクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有している点で好ましい。
1.2.7.その他の含有成分
本実施形態において、インク組成物には、その保存安定性およびインクジェットヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインクの劣化を防止するため、消泡剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、有機溶剤ではない保湿剤、および分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤等の、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ジベンジソチアゾリン-3-オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS-500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
有機溶剤ではない保湿剤としては、トリメチロールプロパンや糖等の常温で固体の保湿剤が挙げられる。
1.2.8.インク組成物の調製方法
本実施形態において、インク組成物は、前述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
1.2.9.インク組成物の物性
本実施形態において、インク組成物は、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が18mN/m以上40mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましく、22mN/m以上33mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP-Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインク組成物の20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR-300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.3.反応液
次に、記録方法で用いられる反応液について説明する。
なお、本実施形態において、反応液とは、色材の含有量が0.2質量%以下であり、記録媒体に着色するために用いる上述の水系インクジェットインク組成物ではなく、水系インクジェットインク組成物を付着する前または後に記録媒体へ付着させて用いる補助液である。
1.3.1.凝集剤
本実施形態で用いられる反応液は、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有することが好ましい。反応液が凝集剤を含むことにより、後述するインク組成物付着工程において、凝集剤とインク組成物に含まれる樹脂とが速やかに反応する。そうすると、インク組成物中の顔料や樹脂の分散状態が破壊され、顔料や樹脂が凝集し、この凝集物が顔料の記録媒体への浸透を阻害するため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。
凝集剤としては、例えば、多価金属塩、カチオン性化合物(カチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等)、有機酸が挙げられる。これらの凝集剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの凝集剤の中でも、インク組成物に含まれる樹脂との反応性に優れるという点から、多価金属塩及びカチオン性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の凝集剤を用いることが好ましい。
多価金属塩としては、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な化合物である。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオン;Al3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンが挙げられる。陰イオンとしては、Cl、I、Br、SO 2-、ClO3-、NO3-、およびHCOO、CHCOOなどが挙げられる。これらの多価金属塩の中でも、反応液の安定性や凝集剤としての反応性の観点から、カルシウム塩およびマグネシウム塩が好ましい。
有機酸としては、例えば、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェン
カルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。有機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性樹脂としては、例えば、カチオン性のウレタン樹脂、カチオン性のオレフィン樹脂、カチオン性のアリルアミン樹脂、ポリアミン樹脂、4級アンモニウム塩ポリマー等が挙げられる。
カチオン性のウレタン樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。カチオン性のウレタン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、ハイドラン CP-7010、CP-7020、CP-7030、CP-7040、CP-7050、CP-7060、CP-7610(以上商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、スーパーフレックス 600、610、620、630、640、650(以上商品名、第一工業製薬株式会社製)、ウレタンエマルジョン WBR-2120C、WBR-2122C(以上商品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性のオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。また、カチオン性のオレフィン樹脂は、水や有機溶剤等を含む溶媒に分散させたエマルジョン状態であってもよい。カチオン性のオレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、アローベースCB-1200、CD-1200(以上商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
カチオン性のアリルアミン樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン・ジメチルアリルアミンコポリマー、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミンアミド硫酸塩、ポリメチルジアリルアミン酢酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄コポリマー、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミドコポリマー等を挙げることができる。このようなカチオン性のアリルアミン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、PAA-HCL-01、PAA-HCL-03、PAA-HCL-05、PAA-HCL-3L、PAA-HCL-10L、PAA-H-HCL、PAA-SA、PAA-01、PAA-03、PAA-05、PAA-08、PAA-15、PAA-15C、PAA-25、PAA-H-10C、PAA-D11-HCL、PAA-D41-HCL、PAA-D19-HCL、PAS-21CL、PAS-M-1L、PAS-M-1、PAS-22SA、PAS-M-1A、PAS-H-1L、PAS-H-5L、PAS-H-10L、PAS-92、PAS-92A、PAS-J-81L、PAS-J-81(以上商品名、ニットーボーメディカル会社製)、ハイモ Neo-600、ハイモロック
Q-101、Q-311、Q-501、ハイマックス SC-505、SC-505(以上商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第1級、第2級および第3級アミン塩型化合物、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン、ヤシアミン、ロジンアミン等の塩酸塩
、酢酸塩等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジメチルエチルラウリルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルオクチルアンモニウムエチル硫酸塩、トリメチルラウリルアンモニウム塩酸塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミン、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
反応液の凝集剤の濃度は、反応液1kg中において、0.03mol/kg以上であってもよい。また、反応液1kg中において、0.1mol/kg以上1.5mol/kg以下であってもよく、0.2mol/kg以上0.9mol/kg以下であってもよい。また、凝集剤の含有量は、例えば、反応液の全質量(100質量%)に対し、0.1質量%以上25質量%以下であってもよく、1質量%以上20質量以下であってもよく、3質量%以上10質量以下であってもよい。
1.3.2.水
本実施形態で用いられる反応液は、水を主溶媒とする水系であることが好ましい。この水は、反応液を記録媒体に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、反応液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止できるので好適である。反応液に含まれる水の含有量は、反応液の全質量(100質量%)に対して、例えば、40質量%以上とすることができ、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。
1.3.3.有機溶剤
本実施形態で用いられる反応液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより、記録媒体に対する反応液の濡れ性を向上させたりすることができる。有機溶剤としては、上述の水系インクジェットインク組成物で例示する有機溶剤と同様のものを使用できる。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量(100質量%)に対して、例えば、10質量%以上80質量%以下とすることができ、好ましくは15質量%以上70質量%以下である。
有機溶剤の標準沸点は、前述のインク組成物に含有してもよい有機溶剤の標準沸点の好ましい範囲の温度に、インク組成物に含有してもよい有機溶剤の標準沸点とは独立して含有することができる。あるいは、有機溶剤の標準沸点は、180℃以上が好ましく、180~300℃がより好ましく、190~270℃がさらに好ましく、200~250℃が特に好ましい。
なお、反応液は、有機溶剤として、上述のインク組成物と同様に、標準沸点が280℃超の水溶性有機溶剤の含有量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。前記場合には、反応液の乾燥性が良いため、反応液の乾燥が迅速に行われるほか、得られた記録物のベタツキ低減や耐擦性に優れる。
1.3.4.界面活性剤
本実施形態で用いられる反応液には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加
することにより、反応液の表面張力を低下させ、記録媒体との濡れ性を向上させることができる。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーンン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、後述の水系インクジェットインク組成物で例示する界面活性剤と同様のものを使用できる。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上5質量%以下とすることができる。
1.3.5.その他の成分
本実施形態で用いられる反応液には、必要に応じて、上記のようなpH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を添加してもよい。
1.3.6.反応液の調製方法
本実施形態で用いられる反応液は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。上記の各成分を十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するためにろ過を行って、目的の反応液を得ることができる。
1.3.7.反応液の物性
本実施形態で用いられる反応液は、インクジェットヘッドで吐出させる場合には、20℃における表面張力が18mN/m以上40mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましく、22mN/m以上33mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP-Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを反応液で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態で用いられる反応液の20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR-300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.4.記録媒体
上述のインク組成物は、インク乾燥性を有し、インク吸収性、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対する記録において、画質や耐擦性に優れた画像を得ることができる。中でも、上述のインク組成物は、上述の反応液と共に用いることにより、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対して、好適に用いることができる。
インク吸収性の記録媒体としては、例えば、インク吸収性が高い、綿、絹、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン等の布地や、普通紙、インクジェット専用紙、中程度の吸収性の上質紙や再生紙等の普通紙、コピー用紙、インク吸収能を有するインク受容層を設けたインクジェット専用紙等が挙げられる。
インク非吸収性の記録媒体として、例えば、インクジェット記録用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
インク低吸収性の記録媒体としては、表面にインクを受容するための塗工層が設けられ
た記録媒体が挙げられ、例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。これらの記録媒体は、透明な記録媒体であってもよい。
ここで、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙-液体吸収性試験方法-ブリストー法」に述べられている。
また、エンボスメディア等の、表面に凹凸を有するインク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対しても、好適に用いることができる。
2.記録方法
本実施形態に係る記録方法は、上述の本実施形態に係るインクセットを用いた記録方法において、反応液を記録媒体へ付着させる工程と、第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、を備えることを特徴とする。以下、本実施形態に係る記録方法について、上述のインクジェット記録装置を用いて記録した例を挙げて説明する。
2.1.反応液付着工程
反応液付着工程は、インク組成物と反応する上述の反応液を記録媒体へ付着させる工程である。反応液を記録媒体へ付着させることにより、得られた印刷画像の耐擦性や画質を向上させることができる。
反応液付着工程は、インク組成物の付着より前であっても、インク組成物の付着より後であっても良く、また、インク組成物の付着と同時であっても良い。インク組成物の付着より前に反応液を付着させる場合には、反応液付着工程の前に図1に示すプレヒーター7により、または反応液付着工程の際に、図1に示すIRヒーター3またはプラテンヒーター4により記録媒体Mが加熱されていることが好ましい。加熱された記録媒体M上に反応液を付着させることにより、記録媒体M上に吐出された反応液が記録媒体M上で塗れ広がりやすくなり、反応液を均一塗布することができる。このため、後述のインク組成物付着工程で付着されたインクと反応液が十分に反応し、優れた画質が得られるようになる。また、反応液は記録媒体M上で均一に塗布されるため、塗布量を減らすことができ、得られた画像の耐擦性低下を防止することができる。
ここで、反応液を付着させる際の記録媒体Mの表面温度は、後述するインクを付着させる際の記録媒体Mの表面温度(一次加熱温度)の好ましい範囲の温度とは独立して設定することができる。例えば、反応液を付着させる際の記録媒体Mの表面温度は、45℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、38℃以下であることがさらに好ましい。また、反応液を付着させる際の記録媒体Mの表面温度の下限値は、25℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましい。反応液を付着させる際の記録媒体Mの表面温度が前記範囲にある場合には、反応液を記録媒体Mに均一に塗布することができ、耐擦性や画質を向上させることができる。また、インクジェットヘッド2への熱による影響を抑えることができる。
なお、反応液の付着は、インクジェットヘッド2による吐出により行ってもよく、それ以外の方法、例えば、反応液をロールコーター等で塗布する方法や、反応液を噴射する方法等が挙げられる。
2.2.インク組成物付着工程
インク組成物付着工程は、上述のインク組成物をインクジェットヘッド2から吐出させて付着させる工程であり、この工程により、記録媒体Mの表面にインク組成物からなる画像が形成される。
本実施形態において、「画像」とは、ドット群から形成される記録パターンを示し、テキスト印字、ベタ画像も含める。なお、「ベタ画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録し、通常、記録媒体の記録領域がインクで覆われ記録媒体の地が見えていないような画像であるべき画像パターンを意味する。
ここで、本実施形態において、インク組成物付着工程は、第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程とを含むものであり、第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程は、同時であっても、同時に行われなくてもよい。
記録媒体Mへの単位面積当たりのインク組成物の最大付着量は、好ましくは5mg/inch以上であり、より好ましくは7mg/inch以上であり、さらに好ましくは10mg/inch以上である。記録媒体の単位面積当たりインク組成物の付着量の上限は、特に限定されないが、例えば、20mg/inch以下が好ましく、好ましくは18mg/inch以下であり、特に好ましくは16mg/inch以下である。なお、前記インク組成物の最大付着量は、第1インク組成物と第2インク組成物の付着量の合計である。
インク組成物付着工程は、インク組成物付着工程の前またはインク組成物付着工程と同時に、IRヒーター3やプラテンヒーター4により記録媒体Mを加熱する加熱工程を備えるものであってもよく、加熱工程により加熱された記録媒体Mへ行うことが好ましい。これにより、記録媒体M上でインクを迅速に乾燥させることができ、ブリードが抑制される。また、耐擦性や耐張り付き性および画質に優れた画像を形成できると供に、上述のインクを用いることにより、吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供することができる。
インクを付着させる際の記録媒体Mの表面温度(一次加熱温度)の上限は、45℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、38℃以下であることがさらに好ましい。インクを付着させる際の記録媒体の表面温度が前記範囲にあることにより、インクジェットヘッド2への熱による影響を抑制し、インクジェットヘッド2やノズルの目詰まりを防止することができる。また、インクジェット記録の際の記録媒体Mの表面温度の下限は25℃以上であることが好ましく、28℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがさらに好ましく、32℃以上であることが特に好ましい。インクジェット記録の際の記録媒体Mの表面温度が上記の範囲であることにより、記録媒体M上でインクを迅速に乾燥させて早期に固定することができ、ブリードが抑制され、耐擦性や画質に優れた画像を形成することができる。
2.3.二次加熱工程
本実施形態に係る記録方法は、上記インク組成物付着工程の後、図1に示す硬化ヒータ
ー5によりインク組成物が付着した記録媒体Mを加熱する二次加熱工程を有していてもよい。これにより、記録媒体M上のインク組成物に含まれる定着樹脂等が溶融してインク膜が形成され、記録媒体M上においてインク膜が強固に定着(接着)して造膜性が優れたものとなり、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。
硬化ヒーター5による記録媒体Mの表面温度の上限は120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがより好ましい。また、記録媒体Mの表面温度の下限は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがより好ましい。温度が前記範囲にあることにより、高画質な画像を短時間で得ることができる。
なお、二次加熱工程の後に、図1に示す冷却ファン6により、記録媒体M上のインク組成物を冷却する工程を有していてもよい。
2.4.その他の工程
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、インクを吐出して記録するための圧力発生手段以外の手段により、つまり、インクジェットヘッド2が備える記録のためにインクを吐出するための機構ではない他の機構により、インク組成物や反応液を排出させるクリーニング工程を備えていてもよい。
インクジェットヘッド2が備える記録のためにインクを吐出するための機構としては、圧力室21に備えられてインクに圧力を付与するピエゾ素子やヒーター素子が挙げられる。このクリーニング工程は、インクジェットヘッド2に外部から圧力を付与してノズルから、インク組成物や反応液を排出させる工程としてもよい。この工程を備えることで、インクジェットヘッド2の内壁に樹脂が溶着する懸念がある場合にも、これを抑制し、吐出安定性を一層優れたものとすることができる。
なお、上述の他の機構としては、吸引(負圧)の付与や、インクジェットヘッドの上流から正圧を付与すること、など圧力を付与する機構が挙げられる。これらは、インクジェットヘッド自身の機能によるインク排出(フラッシング)ではない。つまり、記録に際して、インクジェットヘッドからインクを吐出させる機能を用いての排出ではない。
以上示したように、本実施形態に係るインクセットおよび記録方法では、色材の含有量が第1インク組成物よりも少ない第2インク組成物の定着樹脂の含有量を第1インク組成物よりも多くし、かつ、記録媒体上で樹脂を溶解する樹脂溶解性溶剤の含有量もが第1インク組成物より多くすることにより、第2インク組成を用いた低Duty領域の耐擦性を高めることができる。また、反応液を用いることにより、記録時の温度を高くすることなく画質形成が可能となるため、ヘッドの吐出安定性を確保することができ、濃淡インクを用いた記録方法において、耐擦性と目詰まり信頼性の両立が可能なインクセットを提供することができる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.インクおよび反応液の調製
表1に記載の配合割合になるように各成分を混合攪拌して孔径5μmのメンブランフィルターで濾過し、反応液1~4、濃インク1~6および淡インク1~8を得た。表1中の数値は全て質量%を示し、水はインクの全質量が100質量%となるように添加した。また、顔料および樹脂については、固形分換算した値を示す。
Figure 0007017051000004
SP値は、溶剤については、式Iに示すHildebrandの計算SP値(δ)を用い、樹脂についてはSP値がわかっている溶剤に、液中の樹脂固形分濃度が0.5質量%
になるような樹脂を添加し、樹脂の分散安定性を目視確認し、分散可能なSP値の低い値を樹脂SP値とした。
Figure 0007017051000005
表1において記載した物質の詳細は、以下の通りである。
<凝集剤>
・多価金属塩:硫酸マグネシウム・7水和物
・カチオン性樹脂:カチオマスター PD-7(商品名、四日市合成株式会社製)
・有機酸:マロン酸
<顔料>
・シアン顔料:C.I.ピグメントブルー15:3(PB15:3)
<樹脂>
・樹脂A(SP値:17 反応性:低):エリーテルKT8701(商品名、ユニチカ株式会社製)
・樹脂B(SP値:20 反応性:低):エポクロスK-2030E(商品名、株式会社日本触媒製)
・樹脂C(SP値:17 反応性:高):AQUACER539(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
<界面活性剤>
・シロキサン系界面活性剤:BYK348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
3.2.樹脂の反応性の評価
上記の樹脂A、B、Cについて、25℃の環境下、固形分濃度1質量%を水に分散させた樹脂液と、0.3Mの硫酸マグネシウム反応液を1:1で1分間攪拌した際の平均粒子径(D50)を確認し、以下の基準で樹脂の反応性を評価した。
(評価基準)
反応性低:平均粒子径の増大が5倍未満。
反応性高:平均粒子径の増大が5倍以上。
3.3.インクセットおよび記録方法の評価
次に、表1に記載の反応液および濃淡インクを用いて、評価試験を行った。
3.3.1.画像形成
インクジェットプリンター(商品名「PX-G930」、セイコーエプソン株式会社製)改造機を用意し、プラテンのヒーターを温度調整可能とした。記録媒体として、内外サイン用途用ポリ塩化ビニルフィルム(商品名「IJ180-10」、スリーエムジャパン株式会社製)を用いた。
まず、インクジェットプリンターのヘッドに反応液、濃インクおよび淡インクを充填し、反応液をインク打ち込み量比で10質量%となる量でインクジェット塗布した。次に、反応液付着面に、ヘッドに充填した濃淡インクを、インク付着量が12mg/inchの付着量(濃インク6mg/inch、淡インク6mg/inch)となる量でインクジェット塗布し、濃淡混合ベタ画像を作成した。インクジェット塗布の際にはプラテンヒーターを作動させて、記録媒体の表面温度が表2、3に記載の一次加熱温度となるように調整した。記録後、プリンターから記録媒体を排出し記録媒体の表面温度が、表2、3
に記載の二次加熱温度で乾燥させた。得られた画像について目視判断し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:ベタ面内に濃淡のムラや、淵のインクたまり無し。
B:ベタ面内に濃淡のムラはないが、淵のインクたまりが若干あり。
C:ベタ面内に濃淡のムラ、淵のインクたまりが共にあり。
Figure 0007017051000006
Figure 0007017051000007
3.3.2.耐擦性の評価
インクジェットプリンターのヘッドに反応液、濃インクおよび淡インクを充填し、反応液をインク打ち込み量比で10質量%となる量でインクジェット塗布した。次に、反応液付着面に、ヘッドに充填した濃淡インクを、インク付着量が6mg/inchの付着量(濃インク3mg/inch、淡インク3mg/inch)となる量でインクジェット塗布し、濃淡混合画像を作成した。インクジェット塗布の際にはプラテンヒーターを作動させて、記録媒体の表面温度が表2、3に記載の一次加熱温度となるように調整した。記録後、プリンターから記録媒体を排出し記録媒体の表面温度が、表2、3に記載の二次加熱温度で乾燥させた。
得られた印刷物について、耐擦性/耐湿摩擦性:学振型摩擦堅牢度試験機AB-301(商品名、テスター産業社製)を用いて耐擦性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録媒体の表面を、白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重500gをかけて10往復擦った。そして、記録媒体の表面における画像(塗膜)のはがれ具合を目視で観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:荷重500g10回擦った際に、剥がれが生じない。
B:荷重500g10回擦った際に、評価面積に対し1割以内の剥がれが生じた。
C:荷重500g10回擦った際に、評価面積に対し1割以上の剥がれが生じた。
3.3.3.目詰り回復性の評価
A4サイズの記録媒体に、上記3.3.1.の条件で画像記録を50枚連続して行い、記録後のノズル列のノズルの状態を、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:50枚印刷してもノズル抜け・曲がりが発生しない。
B:50枚印刷すると、ノズル曲がりが発生。
C:50枚印刷すると、ノズル抜けが発生。
3.4.評価結果
評価試験の結果を、表2、3の下方に示す。なお、3つの評価試験の評価において、A:非常に良好、B:良好(用途限定)、C:使用不可、と評価する。
いずれの実施例においても、画質が良好であり、耐擦性と目詰まり信頼性の結果も良好であった。特に、表2の実施例1では、濃インク、淡インクのいずれを用いて形成した画像においても、画質、耐擦性および目詰まり信頼性の全てにおいて優れていた。
詳細には、実施例1は、実施例2と比較して、標準沸点280℃超のアルキレンポリオール系の有機溶剤であるグリセリンを含有しないため、実施例2よりも耐擦性に優れていた。また、実施例1は、実施例3と比較して定着樹脂のSP値が低く、樹脂溶解性溶剤とのSP値の差が小さいため、記録媒体上での定着樹脂の溶解性が高く、実施例3よりも耐擦性に優れていた。さらに、実施例1は、実施例4と比較して淡インクの定着樹脂の含有量が適切であったため、実施例4よりも目詰まり信頼性に優れていた。また、実施例1は、実施例5と比較して淡インクの樹脂溶解性溶剤の含有量も適切であったため、やはり目詰まり信頼性に優れていた。そして、実施例1は、実施例6と比較して樹脂の反応性が低いため、実施例6よりも耐擦性に優れていた。
また、記録時および記録後の温度について、実施例1は、表3の実施例7と比較して記録時の温度が低いため、実施例7よりも目詰まり信頼性に優れていた。また、実施例1は、実施例8と比較して二次加熱温度が高いため、記録媒体上で定着樹脂が十分に溶けて造膜化され、実施例8よりも耐擦性にも優れていた。
反応液に含まれる凝集剤について、実施例1、9、10より、凝集剤として有機酸よりも多価金属塩またはカチオン性樹脂を用いた方が、画像形成と耐擦性の点で優れていた。
これらの実施例に対して、比較例1では、淡インクの定着樹脂の含有量が濃インクと比べて少なく、特に淡インクを用いて形成した画像において、ベタ面内に濃淡のムラ、淵のインクたまりが形成されたほか、特に淡インクを用いた領域において耐擦性が劣っていた。また、比較例2では、濃インクの樹脂溶解性溶剤の含有量が淡インクよりも多く、濃インク側のノズル内で樹脂が溶解して目詰りが発生した。比較例3では、反応液を用いなかったため、濃インク、淡インクのいずれを用いて形成した画像においても、画質が劣っていた。
以上により、いずれの実施例においても、反応液を用いて記録し、淡インクの定着樹脂の含有量が濃インクの定着樹脂の含有量より多く、淡インクの樹脂溶解性溶剤の含有量が濃インクの樹脂溶解性溶剤の含有量より多いことにより、画質が良好であり、耐擦性と目詰まり信頼性の結果も良好であった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…インクジェット記録装置、2…インクジェットヘッド、3…IRヒーター、4…プラテンヒーター、5…硬化ヒーター、6…冷却ファン、7…プレヒーター、8…通気ファン、M…記録媒体

Claims (10)

  1. インク組成物の成分と反応して凝集させる反応液と共に記録媒体へ付着させて用いるものであり、
    色材と、定着樹脂と、樹脂溶解性溶剤と、水とを含む第1インク組成物と、
    色材と、定着樹脂と、樹脂溶解性溶剤と、水とを含み、前記第1インク組成物と互いに同色系インクである第2インク組成物と、を備え、
    前記定着樹脂が、前記水に難溶あるいは不溶である樹脂を微粒子状にして分散させたものであり、
    前記樹脂溶解性溶剤が、該樹脂溶解性溶剤100gに対して、前記定着樹脂を1g添加し、80℃において1時間撹拌したときに、目視による観察で塊状や粒子として見えない有機溶剤であり、
    前記第2インク組成物の色材の含有量が前記第1インク組成物の色材の含有量より質量基準で少なく、
    前記第2インク組成物の定着樹脂の含有量が前記第1インク組成物の定着樹脂の含有量より質量基準で多く、
    前記第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が前記第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より質量基準で多い、インクセット。
  2. 前記第2インク組成物に含まれる定着樹脂が、25℃の環境下で、0.3M硫酸マグネシウム水溶液と樹脂1質量%を水に分散させた樹脂液とを1:1の質量比で1分間攪拌させたときに、平均粒子径の変化が5倍未満である樹脂を含む、請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記第2インク組成物の定着樹脂の含有量が、前記第1インク組成物の定着樹脂の含有量より0.5質量%以上5質量%以下多い、請求項1または請求項2に記載のインクセット。
  4. 前記第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が、前記第1インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量より、0.5質量%以上10質量%以下多い、請求項1ないし請求項3の
    いずれか一項に記載のインクセット。
  5. 前記第2インク組成物の樹脂溶解性溶剤の含有量が20質量%以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクセット。
  6. 前記第1インク組成物および前記第2インク組成物は、それぞれ標準沸点280℃超のアルキレンポリオール系の有機溶剤の含有量が1質量%未満である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクセット。
  7. 前記第2インク組成物に含まれる、樹脂溶解性溶剤と定着樹脂とは、SP値の差が互いに5(cal/cm 1/2 以内のものを含み、
    前記樹脂溶解性溶剤のSP値は、下記式(I)に示すHildebrandの計算SP値(δ)を用いて計算により算出したものであり、
    前記定着樹脂のSP値は、SP値がわかっている溶剤に、液中の樹脂固形分濃度が0.5質量%になるように該定着樹脂を添加し、該定着樹脂の分散安定性を目視確認し、分散可能なSP値の低い値としたものである、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクセット。
    Figure 0007017051000008
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクセットを用いた記録方法において、
    前記反応液を記録媒体へ付着させる工程と、前記第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、前記第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、を備える、記録方法。
  9. 前記第1インク組成物を記録媒体へ付着させる工程と、前記第2インク組成物を記録媒体へ付着させる工程とにおける、記録媒体の表面温度が45℃以下であり、
    各工程後に記録媒体を加熱する二次加熱工程において、記録媒体の表面温度が70℃以上である、請求項8に記載の記録方法。
  10. 前記反応液に含まれる凝集剤として、多価金属塩、カチオン性樹脂または有機酸の何れかを含む、請求項8または請求項9に記載の記録方法。
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