JP2022185705A - インクジェットインク組成物、およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインク組成物、およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低吸収性、非吸収性の記録媒体に対して、モットリングやブリーディングの発生を抑えるインクジェットインク組成物を提供すること。【解決手段】インクジェットインク組成物は、標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルと、アルカンジオールと、界面活性剤と、水と、を含み、アルカンジオールは、炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、または炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールを含み、界面活性剤は、インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.3質量%以下含む。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物、およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。近年のインクジェット記録方法の革新的な進歩により、印刷本紙のようなインクをほとんど吸収しない低吸収性記録媒体や非吸収性記録媒体に対しても、インクジェット記録方法が適用されるようになっている。特許文献1には、水と、顔料と、バインダー樹脂と、グリコールエーテル類および炭素原子数が4以上である1,2-アルカンジオール類の少なくとも1種から選ばれる水溶性有機溶剤とを含有するインクジェットインクが記載されている。
特開2013-193252号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットインクでは、モットリングやブリーディングが発生し易いという課題があった。詳しくは、特許文献1に記載のインクジェットインクは、グリコールエーテル類および炭素数が4以上である1,2-アルカンジオール類の少なくとも1種から選ばれる水溶性有機溶剤を含有することにより表面張力を低下させている。ところが、表面張力の低下が不十分であるため、低吸収性記録媒体、非吸収性記録媒体に対して、インク付着量を増やして印刷した場合、モットリングやブリーディングが発生することがあった。
また、印刷後の記録媒体を積み重ねて保管した場合、記録媒体の表面に残留していた界面活性剤が、当該記録媒体の上に重ねられた記録媒体の裏面に転移する可能性があった。界面活性剤が転移すると、当該裏面に印刷を行ったとき、印刷面の色濃度が不均一になる、いわゆる裏面印刷斑という現象が発生しやすくなる、という課題もあった。
すなわち、インク付着量が多い印刷領域でも、モットリングやブリーディングの発生を抑え、さらに裏面印刷斑の発生を抑えるインクジェットインク組成物が求められていた。
インクジェットインク組成物は、標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルと、アルカンジオールと、界面活性剤と、水と、を含むインクジェットインク組成物であって、前記アルカンジオールは、炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、または炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールを含み、前記界面活性剤は、前記インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.3質量%以下含む。
インクジェット記録方法は、上記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出させて記録媒体に付着させるインク付着工程を有する。
1.インクジェットインク組成物
本実施形態のインクジェットインク組成物(以下、「インク組成物」ともいう。)は、標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルと、アルカンジオールと、界面活性剤と、水と、を含むインク組成物であって、アルカンジオールは、炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、または炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールを含み、界面活性剤は、インク組成物の総質量に対して、0.3質量%以下含む。以下、インク組成物に含まれる成分について説明する。
1.1.カルボン酸エステル
インク組成物は、標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルを含む。カルボン酸エステルは、インク組成物の表面張力を低下させ、記録媒体との濡れ性を調整、向上させるために用いる。
カルボン酸エステルは、標準沸点が200℃以下である。標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルは、揮発性が比較的高いことから、インク滴が記録媒体に付着したときに、インク滴の乾燥が速やかに進む。
標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルとしては、酢酸-2-エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、α-ヒドロキシイソ酪酸メチル、α-ヒドロキシイソ酪酸エチル、α-ヒドロキシイソ酪酸イソプロピル、またはα-ヒドロキシイソ酪酸ブチルが挙げられる。特に、イソ酪酸イソブチル(標準沸点 147℃)を使用することが好ましい。カルボン酸エステルとしてイソ酪酸イソブチルを含むことにより、インク滴が記録媒体に付着したとき、インク滴の乾燥が速やかに進み、インク付着量が多い印刷領域でのモットリングやブリーディングの発生を抑えることができる。
インク組成物は、カルボン酸エステルを、インク組成物の総質量に対して、0.2質量%以上含むことが好ましく、0.3質量%以上含むことがより好ましく、0.5質量%以上含むことがさらに好ましい。カルボン酸エステルの含有量を上記範囲内に調整することにより、インク付着量が多い印刷領域でのモットリングやブリーディングをさらに抑えることができる。また、カルボン酸エステルは、インク組成物の総質量に対して、1.0質量%以下含むことが好ましく、0.8質量%以下含むことがより好ましい。カルボン酸エステルの含有量の上限を上記範囲内に調整することによって、カルボン酸エステルがインク組成物から分離することを抑え、インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出が安定する。
1.2.アルカンジオール
インク組成物は、アルカンジオールを含み、該アルカンジオールは、炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、または炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールを含む。炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールは、インク組成物の主溶媒である水への溶解性が高い一方、カルボン酸エステルを溶解する。このため、難水溶性のカルボン酸エステルがインク組成物から分離することを抑え、インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出が安定する。
炭素数が6以下の1,2-アルカンジオールとしては、分枝を有してもよい炭素数が5または6の1,2-アルカンジオールが好ましく、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオールが挙げられる。これらの中でも特に、1,2-ヘキサンジオール、および4-メチル-1,2-ペンタンジオールを使用することが好ましい。
炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールとしては、分枝を有してもよい炭素数が3~6のアルカンジオールが好ましく、例えば、1,3-ブタンジオールや3-メチル-1,3-ブタンジオールが挙げられる。特に、3-メチル-1,3-ブタンジオールを使用することが好ましい。
インク組成物は、アルカンジオールを、インク組成物の総質量に対して、3質量%以上含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましく、12質量%以上含むことがさらに好ましい。また、インク組成物は、アルカンジオールを、インク組成物の総質量に対して、20質量%以下含むことが好ましく、18質量%以下含むことがより好ましい。アルカンジオールの含有量を上記範囲内とすることにより、難水溶性のカルボン酸エステルがインク組成物から分離することを抑えるとともに、インクの粘度の上昇も抑え、吐出が安定する。ここで、インク組成物が2種類以上のアルカンジオールを含む場合におけるアルカンジオールの含有量は、インク組成物に含まれる2種類以上のアルカンジオールのそれぞれの含有量の合計である。
インク組成物の、アルカンジオールの含有量とカルボン酸エステルの含有量との比は、50:1~30:1であることが好ましい。アルカンジオールの含有量とカルボン酸エステルの含有量との比を上記範囲内とすることにより、難水溶性のカルボン酸エステルがインク組成物から分離することを抑え、インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出が安定する。
1.3.界面活性剤
インク組成物は、界面活性剤を含む。界面活性剤は、インク組成物の表面張力を低下させ、記録媒体との濡れ性を調整、向上させるために用いることができる。
インク組成物の界面活性剤の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.00質量%を超え、0.30質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上0.20質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上0.15質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることにより、ブリーディングの発生を抑えるとともに、印刷後の記録媒体を積み重ねて保管した場合に、界面活性剤が直上に積み重ねられた記録媒体の裏面に転移することが原因で起こる、裏面印刷斑の発生を抑制する。
界面活性剤としては、下記式(1)で表されるポリシロキサン系界面活性剤を含むことが好ましい。
Figure 2022185705000001
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2~18の整数を表し、mは0~70の整数を表し、nは1~8の整数を表す。)
上記式(1)で表されるポリシロキサン系界面活性剤を使用することにより、ブリーディングの発生が抑えられる。
界面活性剤としては、例えば、特許第5359018号公報に記載の界面活性剤が挙げられる。より詳細には、界面活性剤は、上記式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(a)を満たす界面活性剤(a)、および/または下記条件(b)を満たす界面活性剤(b)を含むことが好ましい。これにより、インク組成物を記録媒体として低吸収性記録媒体や、非吸収性記録媒体に、インク付着量を増やして印刷した場合にも、インクのブリーディングをより抑制できる。
条件(a):式(1)中、aが2~13の整数であり、mが2~50の整数であり、nが1~8(好ましくは1~5)の整数である。
条件(b):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~18の整数であり、mが0であり、nが1である。
界面活性剤としては、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(c)を満たす界面活性剤(c)、下記条件(d)を満たす界面活性剤(d)、および下記条件(e)を満たす界面活性剤(e)からなる群より選ばれる1種を含むことが好ましい。これにより、インク組成物を記録媒体として低吸収性記録媒体や、非吸収性記録媒体に、インク付着量を増やして印刷した場合にも、インクのブリーディングをより抑制できる。
条件(c):式(1)中、aが2~5の整数であり、mが20~40の整数であり、nが2~4の整数である。
条件(d):式(1)中、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である。
条件(e):式(1)中、aが6~10の整数であり、mが10~20の整数であり、nが4~8の整数である。
界面活性剤としては、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(j)を満たす界面活性剤(j)を含むことが好ましい。これにより、インク組成物を記録媒体として低吸収性記録媒体や、非吸収性記録媒体に、インク付着量を増やして印刷した場合にも、インクのブリーディングをより抑制できる。
条件(j):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~12の整数であり、mが0であり、nが1である。
界面活性剤としては、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(k)を満たす界面活性剤(k)、下記条件(l)を満たす界面活性剤(l)、および下記条件(m)を満たす界面活性剤(m)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、インク組成物を記録媒体として低吸収性記録媒体や、非吸収性記録媒体に、インク付着量を増やして印刷した場合にも、インクのブリーディングをより抑制できる。
条件(k):式(1)中、Rが水素原子であり、aが7~11の整数であり、mが30~50の整数であり、nが3~5の整数である。
条件(l):式(1)中、Rがメチル基であり、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である。
条件(m):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~10の整数であり、mが10~20の整数であり、nが4~8の整数である。
界面活性剤としては、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(n)を満たす界面活性剤(n)、下記条件(o)を満たす界面活性剤(o)、および下記条件(p)を満たす界面活性剤(p)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、インク組成物を記録媒体として低吸収性記録媒体や、非吸収性記録媒体に、インク付着量を増やして印刷した場合にも、インクのブリーディングをより抑制できる。
条件(n):式(1)中、Rが水素原子であり、aが7~11の整数であり、mが30~50の整数であり、nが3~5の整数である。
条件(o):式(1)中、Rがメチル基であり、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である。
条件(p):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~10の整数であり、mが10~20の整数であり、nが4~8の整数である。
界面活性剤は、公知の方法により調製してもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、ビックケミー・ジャパン社のBYK(登録商標)-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349、信越シリコーン社のKF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、日信化学工業社のシルフェイス(登録商標) SAG002、005、503A、008が挙げられる。
インク組成物は、その他の界面活性剤、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジェミニ型界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、および両性界面活性剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
これらのうち、アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、または3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3オール、2,4-ジメチル-5-ヘキシン-3-オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用してもよく、例えば、日信化学工業株式会社のオルフィン(登録商標) E1010、STG、Y、エボニック・インダストリーズ社のサーフィノール(登録商標) 61、104,82,465,485あるいはTGが挙げられる。
1.4.水
インク組成物は、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射、または過酸化水素添加等により、減菌処理した水は、長時間にわたってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
1.5.「2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール」、「2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール」
インク組成物は、上記した標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルと、アルカンジオールと、界面活性剤を含有するとともに、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールを含むことが好ましい。2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールは、カルボン酸エステルをインク組成物に溶解することができる。
2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの含有量は、インク組成物の総質量に対して、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの含有量は、インク組成物の総質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの含有量が上記範囲であることにより、インク組成物に溶解するカルボン酸エステルの量を増やすことができ、インク組成物の表面張力をさらに低減できる。結果、インク付着量が多い印刷領域において、ブリーディングの発生をより抑えることができる。
1.6.その他の添加物
インク組成物は、色材、その他の各種添加剤を含有してもよい。
インク組成物は、色材を含有してもよい。
色材としては、顔料、染料のいずれを用いてもよく、顔料と染料とを併用してもよい。色材として顔料を用いる場合は、インクにより得られる画像の耐候性を向上できる場合がある。顔料は、無機顔料、および有機顔料のいずれを使用してもよい。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン、およびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、カーボンブラック、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
ブラック顔料としては、三菱化学社のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等、コロンビアカーボン社のRaven(登録商標) 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等、キャボット社のRegal(登録商標) 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul(登録商標) L、Monarch(登録商標) 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等、デグッサ社のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ackS150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4等、が挙げられる。
イエロー顔料としては、C.I.(Colour Index、以下同じ)ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、およびC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66等が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、およびイエロー以外のカラー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、およびC.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、およびC.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
ホワイト顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。
上記顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、顔料は、顔料が水に分散した、顔料分散液としてインク組成物に添加されてもよい。
インク組成物は、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料を分散するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー、およびコポリマー、アクリル系ポリマー、およびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。
分散剤を用いる場合の含有量は、顔料50.0質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上25.0質量部以下、さらにより好ましくは1.0質量部以上20.0質量部以下、よりさらに好ましくは1.5質量部以上15.0質量部以下である。分散剤の含有量が顔料50.0質量部に対して0.1質量部以上であることにより、顔料の分散安定性をさらに高めることができる。また、分散剤の含有量が顔料50.0質量部に対して30.0質量部以下であれば、インクジェットインク組成物の粘度をより小さく抑えることができる。
分散剤としては、顔料の分散性の観点から、例えば、オキシエチル骨格を含有する樹脂(「オキシエチル骨格含有樹脂」ともいう。)、フルオレン骨格を含有する樹脂(「フルオレン骨格含有樹脂」ともいう。)、スチレン-アクリル酸系共重合体樹脂、ウレタン系樹脂が好ましく、オキシエチルアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、フルオレン骨格含有樹脂が好ましく、特に、分散樹脂は、オキシエチルアクリレート系樹脂またはフルオレン骨格含有樹脂であることが好ましい。これらの樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
オキシエチル骨格含有樹脂としては、例えば、オキシエチルアクリレート骨格を含有する樹脂が挙げられ、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。オキシエチル骨格含有樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
Figure 2022185705000002
(式(2)中、R1およびR3は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、R2は、アルキル基またはアリール基であり、nは、1以上の整数である。)
式(2)で表される化合物としては、例えば、モノマーとして、CAS No.72009-86-0のオルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレートを45mol%以上55mol%以下と、CAS No.79-10-7のアクリル酸を20mol%以上30mol%以下と、CAS No.79-41-4のメタクリル酸を20mol%以上30mol%以下とを、オルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレート、アクリル酸、およびメタクリル酸の総質量が100mol%となるように含む樹脂が挙げられる。上記モノマー構成比は、CAS No.72009-86-0のオルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレートが70質量%以上85質量%以下、CAS No.79-10-7のアクリル酸が5質量%以上15質量%以下、CAS No.79-41-4のメタクリル酸が10質量%以上20質量%以下であり、オルト-ヒロキシエチル化フェニルフェノールアクリレート、アクリル酸、およびメタクリル酸の総質量が100質量%であってもよい。
上記式(2)で表される化合物としては、好ましくはノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、およびポリプロピレングリコール#700アクリレートが挙げられる。
インク組成物中のオキシエチル骨格含有樹脂の含有量は、顔料の分散性の観点から、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。また、オキシエチル骨格含有樹脂の含有量は、同様の観点から、色材100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上25質量部以下であることがさらに好ましい。
フルオレン骨格含有樹脂としては、例えば、下記のモノマー単位を共重合することにより得ることができる。
5-イソシアネート-1-(イソシアネートメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(CAS No.4098-71-9)
2,2’-[9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ)]ビスエタノール(CAS No.117344-32-8)
3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸(CAS No.4767-03-7)
N,N-ジエチル-エタンジアミン(CAS No.121-44-8)
フルオレン骨格含有樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
フルオレン骨格含有樹脂の上記モノマー構成比は、5-イソシアネート-1-(イソシアネートメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(CAS No.4098-71-9)が35質量%以上45質量%以下、2,2’-[9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ)]ビスエタノール(CAS No.117344-32-8)が40質量%以上60質量%以下、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸(CAS No.4767-03-7)が0を超え、15質量%以下、N,N-ジエチル-エタンアミン(CAS No.121-44-8)が0を超え、15質量%以下であり、5-イソシアネート-1-(イソシアネートメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、2,2’-[9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ)]ビスエタノール、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸、およびN,N-ジエチル-エタンアミンの総質量が100質量%であることが好ましい。
フルオレン骨格含有樹脂の架橋前の数平均分子量(Mn)は、インク組成物の初期粘度および保存安定性をより両立させる観点からは、好ましくは2000~5000であり、より好ましくは3000~4000である。Mnは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
インク組成物中のフルオレン骨格含有樹脂の含有量は、顔料の分散性の観点から、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましい。また、フルオレン骨格含有樹脂の含有量は、同様の観点から、色材100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上25質量部以下であることがさらに好ましい。
高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社のアジスパー(登録商標)シリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパース(登録商標)シリーズ(Solsperse36000等)、BYK Additives&Instruments社のディスパービックシリーズ、楠本化成社のディスパロン(登録商標)シリーズが挙げられる。
インク組成物が染料を含む場合、染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料が使用可能である。染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35等が挙げられる。
色材のインクジェットインク組成物全量に対する含有量は、合計で0.1質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
インク組成物は、有機アミンをさらに含有してもよい。記録画像を形成する際に記録媒体等の被記録面への濡れ性を高め、インク組成物の浸透性を高めることができ、かつ、インク組成物のpHを容易に好適な範囲に調整することができる。有機アミンとしては、三級アミンが好ましく使用できる。
三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。なお、本実施形態のインク組成物は、そのpHが8~12、特に8~10であることが好ましい。pHがかかる範囲内にあると、インク組成物と接触する部材の劣化を防止することができる。
インク組成物の総質量に対する有機アミンの含有量は、0.1質量%以上である。記録画像を形成する際に記録媒体等の被記録面への濡れ性を高め、インク組成物の浸透性を高めることができ、かつ、インク組成物の吐出安定性、保存安定性、および高速印刷の観点から、上記含有量は、好ましくは0.1質量%~8.0質量%、より好ましくは0.5質量%~5.0質量%、さらに好ましくは1.0質量%~3.0質量%である。
また、インク組成物は、上記成分に加えて、浸透剤を含むことが好ましい。浸透剤として、グリコールエーテル類を好適に使用される。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコール-iso-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノールなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上の混合物が好適に用いられる。
上記グリコールエーテル類のなかでも、多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、またはトリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルが好ましい。より好ましくは、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルである。
上記浸透剤の含有量は適宜決定されてよいが、0.1質量%~30.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0質量%~20.0質量%である。
また、インク組成物は、湿潤剤を含むことが好ましい。湿潤剤としては、多価アルコール類、および/または糖類を好適に使用される。
多価アルコール類としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパンが挙げられる。
糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、および四糖類を含む)、および多糖類が挙げられる。特に、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースを使用することが好ましい。
ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α-シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、n=2~5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖など)があげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビトール、キシリトールなどが挙げられる。糖類として、市販品を使用することもでき、HS500(林原商事製)が好適に使用される。ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液(分子量350000)として市販されているものを使用してもよい。特に、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサトリオールを用いてもよい。
湿潤剤の含有量は適宜決定されて良いが、0.1質量%~30.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0質量%~20.0質量%、さらに好ましくは6.0質量%~16.0質量%である。なお、上記した浸透剤の一部は、湿潤剤としても作用することは、当業者にとって明らかである。
インク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加してもよい。
pH調整剤、溶解助剤、または酸化防止剤の例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN-メチル-2-ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L-アスコルビン酸、およびその塩を挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。色材に顔料を用いる場合には、好ましくは、まず顔料と高分子分散剤と水とを適当な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な顔料分散液を調製し、次いで、別途調製した樹脂(樹脂エマルジョン)、水、湿潤剤、糖、pH調製剤、防腐剤、防かび剤等を加えて十分攪拌してインク溶液を調製する。十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒径、および異物を除去するためにろ過を行って、目的のインク組成物を得ることができる。
2.インクジェット記録方法
本実施形態のインクジェット記録方法は、上記のインク組成物の液滴をインクジェットヘッドから吐出させ、該液滴をインクジェットヘッドに対向して配置された記録媒体に付着させるインク付着工程を有する。本実施形態の記録方法においては、上記のインク組成物を使用することにより、記録媒体として印刷本紙やコートボード紙のような、低吸収性、非吸収性の記録媒体に対して、インク付着量を増やして印刷した場合にも、モットリングやブリーディングの発生を抑えた良好な画像を実現できる。また、記録媒体に付着されたインク組成物に対し、加温機能を備えたプラテンヒーター、温風ヒーター、IRヒーター等を用いてインク組成物の乾燥を促進し、またはインク組成物に対して送風を行って乾燥を促進することにより、モットリングやブリーディングの発生をより抑えることができる。
3.実施例、および比較例
以下、本実施形態を実施例によって具体的に説明する。なお、評価は、特に断りがない場合は、温度25.0℃、相対湿度40.0℃の環境下で行った。
3.1.インク組成物の調製
表1~表3の分散液の欄に記載の各成分を混合し、公知の分散技術(例えば特許第4727418号、および特許第446122号)により色材である顔料を分散して、分散液を得た。イエロー顔料は、C.I.ピグメントイエロー74、マゼンタ顔料は、C.I.ピグメントヴァイオレット19、シアン顔料は、C.I.ピグメントブルー15:3、ブラック顔料は、C.I.ピグメントブラック7を用いた。なお、表1~表3中のオキシエチルアクリレート樹脂は、CAS No.72009-86-0で示されるオキシエチルアクリレート構造を有するモノマーをモノマー構成比率略75質量%含有する、分子量6900の樹脂である。また、フルオレン樹脂は、CAS No.117344-32-8で示されるフルオレン骨格を有するモノマーをモノマー構成比率略50質量%含有する、分子量3300の樹脂である。
Figure 2022185705000003
Figure 2022185705000004
Figure 2022185705000005
得られた顔料分散液を用いて、下記表1~表3に従い各成分を混合し、攪拌した後に、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。表1、表2中の数値はインク中の含有量(質量%)を表す。また、樹脂は固形分の(質量%)を表す。
さらに、用いた界面活性剤は、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤であり、下記の式(3)において、Rがメチル基であり、aが6~18の整数であり、mが0の整数であり、nが1の整数である化合物と、下記の式(3)において、Rが水素原子であり、aが7~11の整数であり、mが30~50の整数であり、nが3~5の整数である化合物と、下記の式(3)において、Rがメチル基であり、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である化合物とからなる界面活性剤である。
Figure 2022185705000006
3.2.評価
3.2.1.モットリング(濃度斑)の評価
上記で得られたイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各インク組成物からなるインクセットについて、記録媒体を加熱できるように加熱ユニットを付加する改造を行ったインクジェットプリンター「PX-G920」(セイコーエプソン株式会社製、商品名)を使用して、モットリングの評価を行った。着弾時のドットサイズが概ね11ngになるように圧電素子に印加する電圧を調整し、一走査あたり、主走査方向720dpi(Dots Per Inch、以下同じ。)、副走査方向360dpiで走査し、720×720dpiの単色のベタ画像(上下端余白15mm、左右端余白10mm)を記録媒体に印刷した。印刷は、双方向印刷と単方向印刷との2種類の方法で実施した。常温、常湿度環境下において印刷を行い、加熱ユニットは、記録媒体の印刷面の温度が40℃になるようにヒーターの出力を調整した。インク付着量は、概ね5.6mg/inch2であった。記録媒体は、コートボール紙のOKボール(230g/平米、王子マテリア社)を用いた。
上記により得た印刷物について、目視評価にて、以下の基準により評価した。評価結果を表4に記載した。
A:単方向印刷でも、双方向印刷でも、モットリングは発生しなかった。
B:双方向印刷ではモットリングが発生したが、単方向印刷ではモットリングは発生しなかった。
C:単方向印刷でも、双方向印刷でも、モットリングが発生した。
3.2.2.ブリーディングの評価
上記で得られたイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各インクからなるインクセットについて、記録媒体を加熱できるように加熱ユニットを付加する改造を行ったインクジェットプリンター「PX-G920」(セイコーエプソン株式会社製、商品名)を使用して、ブリーディングを評価した。
一走査あたり、主走査方向720dpi(Dots Per Inch)、副走査方向360dpiで走査し、720×720dpiのブリーディング評価用の画像を印刷した。ブリーディング評価用の画像は、インクの色、およびインク付着量が異なる領域が接する部分を有する画像である。インクの色は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの単色4色、インク付着量は、5.6mg/inch2と2.8mg/inch2の2水準である。印刷は、双方向印刷と単方向印刷との2種類の方法で実施した。常温、常湿度環境下において印刷を行い、加熱ユニットは、記録媒体の印刷面の温度が40℃、または60℃になるようにヒーターの出力を調整した。記録媒体は、モットリング評価と同じ、コートボール紙を使用した。
上記のようにして得られた印刷物の画像について、目視評価にて、以下の基準により評価した。評価結果を表4に記載した。
A:双方向印刷の場合、コートボール紙の印刷面の温度が40℃でもブリーディングが発生しない。
B:双方向印刷の場合、コートボール紙の印刷面の温度が40℃ではブリーディングが発生するが、60℃ではブリーディングが発生しない。
C:単方向印刷の場合、コートボール紙の印刷面の温度が40℃、60℃の両方でブリーディングが発生する。
3.2.3.裏面印刷斑の評価
上記で得られたイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各インクからなるインクセットについて、インクジェットプリンター「PX-G920」(セイコーエプソン株式会社製、商品名)を使用して、第1の記録媒体に所定の画像を印刷した。所定の画像とは、インク付着量が概ね5.6mg/inch2である第1領域と、インク付着量が概ね2.8mg/inch2である第2領域とを含み、上下端余白15mm、左右端余白10mmの領域を残して、インクジェットヘッドの走査方向に沿って、第1領域、第2領域、第1領域が上記順に配置された画像である。
印刷後、印刷面を触ってもインク組成物が転写されないことを確認した後、印刷を行っていない記録媒体(以下、「第2の記録媒体」)を、第1の記録媒体の印刷面に重ね、0.1kg/inch2の荷重をかけて、1日放置した。
放置後、インクジェットプリンター「PX-G920」を使用して、第2の記録媒体の、第1の記録媒体の印刷面に接していた面に、裏面印刷斑評価用の画像を印刷した。具体的には、第1の記録媒体に使用したインクセットと同じインクセットを使用し、着弾時のドットサイズが概ね5ngになるように圧電素子に印加する電圧を調整し、一走査あたり、主走査方向720dpi、副走査方向360dpiで走査し、720×720dpiの単色のベタ画像(上下端余白15mm、左右端余白10mm)を、印刷した。評価用画像の印刷は、常温、常湿度環境下において印刷を行い、加熱ユニットは、記録媒体の印刷面の温度が40℃になるよう、ヒーターの出力を調整した。第1の記録媒体、および第2の記録媒体には、上記と同じ、コートボール紙を使用した。
上記方法で得られた第2のコートボード紙の裏面印刷斑評価用の画像について、目視評価にて、以下の基準により評価した。評価結果を表4に記載した。
A:第2の記録媒体に印刷した画像は、第1の記録媒体に印刷した画像のインク付着量の影響を受けておらず、均一な色濃度の画像が形成できた。
B:第2の記録媒体に印刷した画像は、第1の記録媒体に印刷した画像のインク付着量が影響を受けており、均一な色濃度の画像が形成できなかった。
C:第2の記録媒体に印刷した画像は、モットリングの模様が反映され、均一な色濃度の画像が形成できなかった。
Figure 2022185705000007
本発明は、上述した実施形態、および実施例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態、および実施例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明のインク組成物は、標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルと、アルカンジオールと、界面活性剤と、水と、を含むインク組成物であって、アルカンジオールは、炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、または炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールを含み、界面活性剤は、インク組成物の総質量に対して、0.3質量%以下含む。
本発明のインク組成物によれば、インク付着量が多い印刷領域のモットリングやブリーディングの発生を抑制することができる。詳しくは、インク組成物に、標準沸点が200℃以下のカルボン酸エステルを含ませることにより、インク組成物の表面張力を従来よりも低下させる。
従来の高浸透性のインク組成物には、表面張力を低下させ、滲みを改善するために、1,2-ヘキサンジオール等の水溶性のアルカンジオールが好ましく用いられていた。しかし、表面張力の低減が不十分であるため、低吸収性記録媒体や非吸収性記録媒体に対して、インク付着量を増やして印刷を行った場合、モットリングやブリーディングが発生することがあった。
本実施形態のインク組成物は、水溶性のアルカンジオールである、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオールに加え、標準沸点が200℃以下のカルボン酸エステルを含む。標準沸点が200℃以下のカルボン酸エステルを含むことにより、インク組成物の表面張力が水溶性のアルカンジオールのみを含むインク組成物より低下し、記録媒体に対する濡れ性が向上する。
本実施形態のインク組成物は、記録媒体に対する濡れ性が高いので、記録媒体の濡れ性が不均一であっても、記録媒体に付着したインク滴がより均一に記録媒体に浸透する。この結果、低吸収性、非吸収性の記録媒体に、インク付着量を増やして印刷した場合にも、モットリングやブリーディングの発生を抑えることができる。
また、炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールを含有させることによって、難水溶性のカルボン酸エステルをインク組成物中へ適度に乳化溶解または完全溶解させる。そのため、カルボン酸エステルがインク組成物から分離することを抑え、インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出が安定する。
さらに、界面活性剤の含有量が、インク組成物の総質量に対して0.3質量%以下であることにより、印刷後の記録媒体を積み重ねて保管した場合に、界面活性剤が直上に積み重ねられた記録媒体の裏面に転移する、裏面印刷斑の発生を抑えることができる。

Claims (7)

  1. 標準沸点200℃以下のカルボン酸エステルと、アルカンジオールと、界面活性剤と、水と、を含むインクジェットインク組成物であって、
    前記アルカンジオールは、炭素数が6以下の1,2-アルカンジオール、または炭素数が6以下の1,3-アルカンジオールを含み、
    前記界面活性剤は、前記インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.3質量%以下含む、インクジェットインク組成物。
  2. 前記カルボン酸エステルは、イソ酪酸イソブチルを含む、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記カルボン酸エステルは、前記インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.3質量%以上含む、請求項1または2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記アルカンジオールは、前記インクジェットインク組成物の総質量に対して、3.0質量%以上含まれている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記アルカンジオールの含有量と前記カルボン酸エステルの含有量との比が、50:1~30:1である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出させて記録媒体に付着させるインク付着工程を有する、インクジェット記録方法。
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