JP2009073963A - インクジェット捺染用インクセット、インクジェット捺染方法および捺染物 - Google Patents

インクジェット捺染用インクセット、インクジェット捺染方法および捺染物 Download PDF

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Abstract

【課題】分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛をインクジェット捺染するに際し、色再現性が良く、布帛のインク付与面と該インク付与面の反対面での色相差の発生を防止することのできるインクジェット捺染用インクセット、インクジェット捺染方法および該方法により捺染された捺染物を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、黄、青および赤の3原色インクからなるインクジェット捺染用インクセットであって、前記黄、青および赤インクが少なくとも色材、色材の分散剤および水性溶媒を含有し、前記色材が、150℃以上の融点をもつ分散染料であることを特徴とするインクジェット捺染用インクセット。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染用インクセット、分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛に対するインクジェット捺染方法および該方法により捺染された捺染物に関する。
近年においては、顧客の様々なニーズに応える目的で、分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛、たとえば、カチオン可染ポリエステル(CDP)繊維とポリウレタン繊維から構成される複合繊維布帛、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とナイロン繊維から構成される複合繊維布帛、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維から構成される複合繊維布帛を捺染する方法に対する需要が高まってきている。
ポリエチレンテレフタレート繊維単独で構成される布帛を対象とするインクジェット捺染方法についてはすでに多くの研究、開発がなされており、その成果についても多くの報告がなされている。たとえば、特許文献1には、特定の色素を含むイエロー、レッドおよびシアンの3色のインクを、インクジェット方式によって、分散染料で染色可能な繊維から構成される布帛上に付与してプリントする方法が開示されており、その効果として、高濃度で、鮮明であり、かつ、色再現範囲が格段に広いプリント物を得ることができると記載されている。しかしながら、上記の複合繊維布帛を対象とするインクジェット捺染方法については意外にも報告されていないのが実情である。
本発明者の実験によれば、分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛を対象としてインクジェット捺染をおこなう場合の最大の問題点は、インクジェット捺染後の発色工程において発生する布帛へのインクの浸透性のバラツキにより、色再現性不良や布帛のインク付与面と該インク付与面の反対面で色相差が生じることがあげられる。この問題は、特に、青インクおよび赤インクを使用し、グレー、ベージュ等の中間色を表現する際に顕著である。
上記問題は、発色工程において加えられる150〜180℃の熱によって、布帛上にインクジェット捺染された分散染料のうち、比較的融点が低い分散染料のみが溶解し、布帛内部へ浸透するが、この際に、分散染料により染色可能な繊維の中でより低いガラス転移点を有する繊維に浸透した分散染料が優先的に染着することが原因であると推測される。
上記問題を、従来の技術、たとえば特許文献1に開示された方法により解決することを試みたが、解決策として充分なものとはいえなかった。
特開平7−26475号公報
上記事情に鑑み、本発明は、分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛をインクジェット捺染するに際し、色再現性が良く、布帛のインク付与面と該インク付与面の反対面での色相差の発生を防止することのできるインクジェット捺染用インクセット、インクジェット捺染方法および該方法により捺染された捺染物を提供することを目的とする。
上記課題に対し、以下の構成により本発明の目的を達成することができた。すなわち本発明は、下記のインクジェット捺染用インクセット、インクジェット捺染方法および該方法により捺染された捺染物である。
1)少なくとも、黄、青および赤の3原色インクからなるインクジェット捺染用インクセットであって、前記黄、青および赤インクが少なくとも色材、色材の分散剤および水性溶媒を含有し、前記色材が、150℃以上の融点をもつ分散染料であることを特徴とするインクジェット捺染用インクセット。
2)色材として、前記黄インクがC.I.ディスパースイエロー1、64、65、114、163、231、232および235からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有し、前記青インクがC.I.ディスパースブルー56、60、77、165、183:1、214、257、284および301からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有し、前記赤インクがC.I.ディスパースレッド60、86、152、177、179、202および343からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有する請求項1記載のインクジェット捺染用インクセット。
3)分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛をインクジェット捺染する方法であって、前記複合繊維布帛に対して上記1)または2)のインクジェット捺染用インクセットを使用してインクジェット捺染し、該インクジェット捺染した布帛を150〜180℃で熱処理することを特徴とするインクジェット捺染方法。
4)上記3)記載のインクジェット捺染方法により捺染された捺染物。
本発明のインクジェット捺染用インクセットおよび該インクセットを使用するインクジェット捺染方法により、分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛をインクジェット捺染した際に、色再現性が良く、布帛のインク付与面と該インク付与面の反対面での色相差の発生を防止した捺染物を得ることができる。
本発明のインクジェット捺染用インクセットに用いる黄、青および赤の3原色インクに含まれる色材は、150℃以上の融点を有する分散染料である。前記3原色のインクに含まれる分散染料の融点が150℃であることにより、インクジェット捺染後の発色工程における加熱時に発生する布帛へのインクの浸透性のバラツキを防止することができる。
分散染料の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いた熱分析により容易に測定することができる。
本発明のインクセットに使用する3原色インクに含有される色材として、黄インクがC.I.ディスパースイエロー1、64、65、114、163、231、232および235からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有することが好ましく、青インクがC.I.ディスパースブルー56、60、77、165、183:1、214、257、284および301からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有することが好ましく、赤インクがC.I.ディスパースレッド60、86、152、177、179、202および343からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有することが好ましい。
本発明のインクセットは、黄、青および赤の3原色インク以外に、グレー、ベージュ、茶色等の中間色インクや黒インク等を含んでもよいが、この場合についても、これらのインクに含まれるすべての分散染料の融点が150℃以上であればよい。
本発明のインクセットに使用するインク中の分散染料の含有量は、インク全体量に対し、0.05〜20重量%であることが好ましい。含有量が0.05重量%未満であると充分な着色が得られず、20重量%を超えると過剰となり、コスト高となる。
本発明に使用するインク中の分散染料の平均粒子径としては、0.01〜0.35μmであるのが好ましく、0.02〜0.3μmであるのがより好ましい。平均粒子径が0.01〜0.35μmであれば、インクジェットノズルからのインクの吐出が安定して可能となるためである。
本発明に使用するインクは、少なくとも色材、色材の分散剤および水性溶媒を含有する。
前記色材の分散剤としては、アニオン系界面活性剤を含むアニオン系化合物、ノニオン系界面活性剤を含むノニオン系化合物のいずれも使用できるが、たとえば、アニオン系化合物としては脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩およびこれらの置換誘導体等;ノニオン系化合物としてはポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマ−およびこれらの置換誘導体等があげられる。
本発明に使用するインク中の前記分散剤の含有量は、インク全体量に対し、0.1〜15重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましい。分散剤の含有量が0.1重量%未満であると、分散剤がインク中に存在する分散染料粒子全体に吸着されないため、分散染料粒子同士が凝集する。その結果、沈降性の粗大化粒子が生じ、インクジェットノズルからのインクの吐出を妨げるおそれがある。一方、分散剤の含有量が15重量%を超えると、分散染料粒子に吸着されないままに存在する分散剤がインク中に析出し、凝集することによってインクの安定性が低下するおそれがある。
前記水性溶媒には、水のほかに補助溶媒を含有させることができる。該補助溶媒としては、水と相溶性の有る有機溶媒があげられ、該有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類があげられる。
本発明に使用するインクには、さらに、防腐剤および消泡剤等を含有させることができる。
前記防腐剤としては、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチル等のイミダゾール系化合物、1,2−ベンツチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン等のチアゾール系化合物、また、ヨード系、ニトリル系、フェノール系、ハロアルキルチオ系、ピリジン系、トリアジン系、ブロム系等の各化合物があげられる。
前記消泡剤としては、低級アルコール、オレイン酸、ポリプロピレングリコール等の有機極性化合物、およびシリコーン樹脂があげられる。
本発明に使用する分散染料をインク化する際に使用する分散機には、従来公知のボールミル、サンドミル、ロールミル、ラインミル、サンドグラインダー等の各種分散機を使用することができる。
本発明に使用する分散染料により染色可能な繊維種には、カチオン可染ポリエステル(CDP)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維等のポリエステル系繊維やアセテート繊維、トリアセテート繊維、ポリウレタン繊維、ナイロン繊維等があげられる。
これらの繊維種の組み合わせとしては、たとえば、カチオン可染ポリエステル(CDP)繊維とポリウレタン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とトリアセテート繊維があげられる。
本発明によりインクジェット捺染する対象となる複合繊維布帛の形態は、織物、編物、不織布等いずれの形態でもよく、特に限定されない。
分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛を、本発明によりインクジェット捺染する前には、該複合繊維布帛を前処理することが好ましい。かかる前処理に用いる前処理剤としては、水溶性ポリマー、非水溶性不活性有機化合物、難燃剤、紫外線吸収剤、還元防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、ヒドロトロープ剤、消泡剤、浸透剤、ミクロポーラス形成剤等を例示することができる。
前記水溶性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、クリスタルビアガム、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、デンプン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子があげられる。
非水溶性不活性有機化合物で複合繊維布帛表面を前処理すると、複合繊維布帛の表面が平滑となり、繊維の表面を均一に疎水性化することができるため、インクを布帛表面に均一に付与することができる。このため、非水溶性不活性有機化合物はより好ましく用いることができる。
前記非水溶性不活性有機化合物としては、融点が40〜150℃である有機モノマー、オリゴマーまたは低分子量ポリマーが用いられる。これらの数平均分子量は、通常10000以下、好ましくは5000以下、さらに好ましくは100〜2000である。
かかる非水溶性不活性有機化合物としては、低分子量合成樹脂類、炭化水素系ワックス化合物、天然系ワックス化合物、高級脂肪酸アミド系化合物、高級アルコール系化合物、多価アルコール高級脂肪酸エステル系化合物等が例示され、好ましくは、ポリエチレン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の低級アルキレンポリマー系化合物、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックスなどの石油化学系合成ワックス類等の炭化水素系ワックス化合物、エチレンビスステアリンアミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メチロールステアリンアミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド系化合物、および、グリセリンオレイン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、エチレングリコールステアリン酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸エステル等の多価アルコ−ル高級脂肪酸エステル系化合物が例示される。これらのなかでは、炭化水素系ワックスとそのほかの1種類の混合物が、乳化分散性に優れる点等により特に好ましい。
前記難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤等があげられる。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等があげられる。
前記還元防止剤としては、ニトロベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸誘導体等があげられる。
前記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール等があげられる。
前記pH調整剤としては、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、クエン酸アンモニウム、リン酸二水素カリウム等の酸性調整剤や、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸ナトリウム等のアルカリ性調整剤があげられる。pH調整剤の添加量を変えることでpHを微調整することにより、複合繊維布帛を構成するそれぞれの繊維の染着性を細かくコントロールすることができるため好ましい。
前記ヒドロトロープ剤としては、尿素、ポリエチレングリコール、チオ尿素等があげられる。
前記消泡剤としては、低級アルコール、オレイン酸、ポリプロピレングリコール等の有機極性化合物およびシリコーン樹脂があげられる。
前記浸透剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム、オレイン酸ブチルエステル等のアニオン性界面活性剤、およびノニルフェノールエチレンオキシド付加物、ラウリルアルコールエチレンオキシド付加物等のノニオン性界面活性剤があげられる。
前記ミクロポーラス形成剤としては、水不溶性または難溶性であって沸点が105〜200℃の低沸点液体を、微粒子状態で水中に均一に乳化分散させたものが好ましく用いられる。かかる低沸点液体としては、炭化水素系のトルエン、キシレン、ハロゲン化炭化水素系のパークロルエチレン、モノクロルベンゼン、ジクロルペンタン、酢酸ブチル、アクリル酸ブチル等があげられる。
上記の成分を含む前処理剤を前記複合繊維布帛に付与する方法としては、パッド法、スプレー法、浸漬法、コーティング法、ラミネート法、グラビア法、インクジェット法などがあげられ、いずれの方法も使用することができる。
本発明のインクジェット捺染用インクセットを用いることのできるインクジェット記録装置は、とくに限定されない。たとえば、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式およびインクミスト方式などの連続方式、ステムメ方式、パルスジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式および静電吸引方式などのオン・デマンド方式などを用いることができる。
さらに本発明のインクジェット捺染方法においては、布帛にインクジェット捺染した後、分散染料の染着および発色を目的として、該布帛を150〜180℃で熱処理する。150℃より低いと染料が発色不良となるおそれがあり、また180℃より高いと布帛の黄変や劣化のおそれがある。また熱処理の時間は、0.5〜60分である。0.5分より短いと発色むらとなるおそれがあり、また60分を超えると染料が退色するおそれがある。熱処理条件としては、160〜170℃で5〜30分間加熱することがより好ましい。
前記熱処理後、インクジェット捺染した布帛を一般的な洗浄および乾燥をすることにより、本発明の捺染物を得ることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
調製例1
下記表1に記載の分散染料を18重量部、分散剤(リグニンスルホン酸塩、アニオン性界面活性剤)を10重量部、防腐剤(サンアイバックIT20、三愛石油(株)製)を0.1重量部、消泡剤(信越シリコーンKM−70、日信化学工業(株)製)を0.05重量部、および純水71.85重量部を混合し、ガラスビーズの存在下、サンドミルで10時間湿式粉砕し微粒子化した後、吸引濾過によりガラスビーズを取り除き、下記表1に記載のインクジェット用インク(B1〜3、R1〜3、Y1およびY2)を調製した。
Figure 2009073963
表1に記載した分散染料の融点は、示差走査熱量計(ブルカーAXS(株)製)を用いて測定した。
調製例2
分散染料を10重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ノニオン性界面活性剤)を5重量部、防腐剤を0.1重量部、消泡剤を0.05重量部、および純水84.85重量部を混合したほかは、調製例1と同様にしてインクジェット用インクを調製した。分散染料として、C.I.ディスパースブルー56を用いた青インクをB4、C.I.ディスパースレッド177を用いた赤インクをR4,およびC.I.ディスパースイエロー232を用いた黄インクをY4とした。
調製例3
分散染料を0.08重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アニオン性界面活性剤)を0.5重量部、防腐剤を0.1重量部、消泡剤を0.05重量部、および純水99.27重量部を混合したほかは、調製例1と同様にしてインクジェット用インクを調製した。分散染料として、C.I.ディスパースブルー56を用いた青インクをB5、C.I.ディスパースレッド177を用いた赤インクをR5,およびC.I.ディスパースイエロー232を用いた黄インクをY5とした。
〔複合繊維布帛の前処理〕
インクジェット捺染する前の複合繊維布帛に対して、下記処方により調製した前処理剤をディップニップ法により付与した。ディップニップ処理後、複合繊維布帛をテンター方式の乾燥機により、120℃で130秒間乾燥した。
〔前処理剤の調製〕
カルボキシメチルセルロース(水溶性ポリマー、ファインガムHE、第一工業製薬(株)製)を5.0重量部、リンゴ酸(pH調整剤、扶桑化学工業(株)製)を0.3重量部、MS−リキッド(還元防止剤、明成化学工業(株)製)を2.0重量部、および純水92.7重量部を混合し、前処理剤を調製した。
〔インクジェット捺染方法〕
オン・デマンド方式シリアル走査型インクジェット方式を使用して、布帛に対するインク付与量が20nl/mm2になるように5×5cmのパターンをプリントした。
実施例1
カチオン可染ポリエステル繊維50重量部およびポリウレタン繊維50重量部からなり、上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)に対して、インクB1、R1およびY1の3種類のインクからなるインクセットを用い、上記インクジェット捺染方法により、3種類のインクを同一の印捺密度(各インク付与量6.66nl/mm2、合計インク付与量20nl/mm2)で、かつ重なるように付与した。ついで該布帛を160℃で15分間の湿熱処理し、その後、洗浄、乾燥して捺染物を得た。
実施例2
カチオン可染ポリエステル繊維50重量部およびポリウレタン繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびにインクB2、R2およびY2の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
実施例3
ポリエチレンテレフタレート繊維50重量部およびナイロン繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびにインクB1、R1およびY1の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
実施例4
ポリエチレンテレフタレート繊維50重量部およびナイロン繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびにインクB2、R2およびY2の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
実施例5
ポリエチレンテレフタレート繊維50重量部およびポリブチレンテレフタレート繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびに調製例2で作製したインクB4、R4およびY4の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
実施例6
ポリエチレンテレフタレート繊維50重量部およびポリブチレンテレフタレート繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびに調製例3で作製したインクB5、R5およびY5の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
比較例1
カチオン可染ポリエステル繊維50重量部およびポリウレタン繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびにインクB3、R1およびY1の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
比較例2
カチオン可染ポリエステル繊維50重量部およびポリウレタン繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびにインクB2、R3およびY2の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
比較例3
ポリエチレンテレフタレート繊維50重量部およびナイロン繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびにインクB3、R1およびY1の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
比較例4
ポリエチレンテレフタレート繊維50重量部およびナイロン繊維50重量部からなる上記前処理を行なった複合繊維布帛(編物)、ならびにインクB2、R3およびY2の3種類のインクからなるインクセットを用い、実施例1と同様にして捺染物を得た。
〔評価方法〕
実施例1〜6および比較例1〜4にて得られた捺染物について、色再現性および色相差を評価した。
〔色再現性の評価〕
実施例1〜6および比較例1〜4を2回行い、各実施例および比較例で得られた2枚の捺染物について、捺染された色を測色機(CM2600,コニカミノルタセンシング(株)製)を用いて測色し、該2枚の捺染物の色差(ΔE)を算出した。ここで色差とは、L***表色系(JIS Z 8729)における色差のことで、下記式で定義される。
ΔE={(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
ここでL*は明度を表し、a*およびb*は色相と彩度を示す色度を表す。ΔL*ならびにΔa*およびΔb*は、それぞれの実施例および比較例ごとに得られた2枚の捺染物の間における明度差ならびに色度差を表す。
色再現性の評価は、下記の基準で行なった。評価結果を表2に示す。
○:ΔE<0.2
△:0.2≦ΔE≦0.5
×:0.5<ΔE
色差(ΔE)がより小さな値である場合は色再現性が良好であり、ΔEがより大きな値である場合は色再現性が不良であることを意味する。
〔色相差の評価〕
得られた捺染物のインク付与面と該インク付与面の反対面の色相差を目視で評価した。下記の基準による評価結果を表2に示す。
○:インク付与面とその反対面の色相差がない。
×:インク付与面の反対面に対する各インクの浸透差により、インク付与面とその反対面で色相差が生じている。
Figure 2009073963
表2によれば、インクセットを構成するインクに含まれる分散染料の融点がすべて150℃以上である実施例1〜6は色再現性に優れ、さらに、布帛のインク付与面とその反対面の間で色相差がないことがわかる。一方、インクセットを構成するインクに含まれる分散染料の融点が150℃未満であるものを含む比較例1〜4は、色再現性が劣っていることがわかる。さらに、融点が150℃未満の分散染料が青インクに含まれる比較例1および3では、インク付与面の反対面への青みの浸透が大きく、布帛の反対面ではインク付与面に比べて青みが強い色相となっていた。また、融点が150℃未満の分散染料が赤インクに含まれる比較例2および4では、インク付与面の反対面への赤みの浸透が大きいことにより、布帛の反対面ではインク付与面に比べて赤みが強い色相となっていた。

Claims (4)

  1. 少なくとも、黄、青および赤の3原色インクからなるインクジェット捺染用インクセットであって、前記黄、青および赤インクが少なくとも色材、色材の分散剤および水性溶媒を含有し、前記色材が、150℃以上の融点をもつ分散染料であることを特徴とするインクジェット捺染用インクセット。
  2. 色材として、前記黄インクがC.I.ディスパースイエロー1、64、65、114、163、231、232および235からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有し、前記青インクがC.I.ディスパースブルー56、60、77、165、183:1、214、257、284および301からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有し、前記赤インクがC.I.ディスパースレッド60、86、152、177、179、202および343からなる群より選ばれた1種以上の分散染料を含有する請求項1記載のインクジェット捺染用インクセット。
  3. 分散染料により染色可能な繊維を少なくとも2種類含む複合繊維布帛をインクジェット捺染する方法であって、前記複合繊維布帛に対して請求項1または2記載のインクジェット捺染用インクセットを使用してインクジェット捺染し、該インクジェット捺染した布帛を150〜180℃で熱処理することを特徴とするインクジェット捺染方法。
  4. 請求項3記載のインクジェット捺染方法により捺染された捺染物。
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