JP7069954B2 - 水性インクジェット用組成物 - Google Patents
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Description
そして、分散染料を含むインクジェット用インクも用いられている。
下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、トリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物および下記式(4)で示されるトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である物質Aと、
アニオン系分散剤とを含むことを特徴とする水性インクジェット用組成物。
<水性インクジェット用組成物>
ところで、各種分散染料の中でもC.I.Disperse Yellow 54は、発色性に優れる等の特長を有する一方で、以下のような問題を有していた。すなわち、C.I.Disperse Yellow 54は、従来、水性インクジェット用組成物の構成成分として用いたときに、当該水性インクジェット用組成物の保存安定性を十分に優れたものとすることができず、長期保存によりインクジェット法による吐出の際にヘッドフィルターやノズルに詰まりが生じるという問題が顕著に発生していた。
例えば、上記の物質Aを用いなかった場合には、水性インクジェット用組成物中でのC.I.Disperse Yellow 54の分散安定性が確保できず、水性インクジェット用組成物の長期保存時等に軟凝集体が発生しやすくなる。
本発明の水性インクジェット用組成物は、上記式(1)で示される化合物、上記式(2)で示される化合物、トリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物およびトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である物質Aを含んでいる。
本発明の水性インクジェット用組成物は、アニオン系分散剤を含んでいる。
水性インクジェット用組成物は、分散染料として、C.I.Disperse Yellow 54を含んでいる。
水性インクジェット用組成物は、水を含んでいる。
水性インクジェット用組成物は、水以外の溶剤を含んでいてもよい。
これにより、前述した水以外の溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
水性インクジェット用組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
水性インクジェット用組成物は、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
これにより、水性インクジェット用組成物の吐出安定性がより向上する。
本発明の水性インクジェット用組成物は、例えば、ダイレクトプリント法、熱転写プリント法(例えば、昇華捺染)等に適用することができるが、C.I.Disperse Yellow 54が昇華性を有していることから、熱転写プリント法に好適に適用することができる。
インク付着工程では、インクジェット方式により、水性インクジェット用組成物を中間転写媒体に付着させる。インクジェット方式による水性インクジェット用組成物の吐出は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。中でも、水性インクジェット用組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
中間転写媒体としては、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができる。中でも、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が設けられた紙が好ましい。これにより、中間転写媒体に付着した水性インクジェット用組成物が乾燥する過程で、滲み等が抑制された中間転写媒体を得ることができ、また、後の転写工程において、C.I.Disperse Yellow 54の昇華がより円滑に進行する傾向にある。
その後、水性インクジェット用組成物が付着された中間転写媒体を加熱し、水性インクジェット用組成物の構成成分としてのC.I.Disperse Yellow 54を記録媒体に転写させる。これにより、記録物が得られる。
記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム、紙、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。また、記録媒体としては、シート状、球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
また、後処理工程としては、例えば、記録媒体を洗浄する工程等が挙げられる。
[1]インクジェットインク製造用原液(水性インクジェット用組成物)の調製
(実施例A1)
まず、分散染料としてのC.I.Disperse Yellow 54と、物質Aとしてのトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物(式(4)中のR7がHであり、nの平均値が60(EO60)である物質)と、アニオン系分散剤としてのメチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na(式(3)中のR6が-CH3である物質)と、純水とを、表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行い、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
物質Aおよびアニオン系分散剤の種類、ならびに、各成分の配合比を表1、表2、表3に示すようにした以外は、前記実施例A1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
分散染料、物質Aおよびアニオン系分散剤の種類、ならびに、各成分の配合比を表1、表2、表3に示すようにした以外は、前記実施例A1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
[2-1]保存安定性(粒径変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後の分散染料の平均粒径と、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の分散染料の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低いといえる。
B:平均粒径の変動率が2%以上5%未満である。
C:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
D:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
E:平均粒径の変動率が15%以上である。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後の粘度と、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の粘度とを求め、これらの値から、製造直後の粘度に対する、60℃の環境で1週間放置した際の粘度の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、粘度の値としては、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s-1]から1000[s-1]に上げていき、Shear Rate200の時に読み取った値を採用した。粘度の変動率が大きいほど保存安定性が低いといえる。
B:粘度の変動率が2%以上5%未満である。
C:粘度の変動率が5%以上10%未満である。
D:粘度の変動率が10%以上15%未満である。
E:粘度の変動率が15%以上である。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後、および、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した直後に、粒子径・粒度分布測定装置(シメックス社製、FPIA-3000S)を用いて、純水で100倍に希釈し、HPF測定モード/標準撮影ユニットで、粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数を測定し、これらの値から、製造直後から、60℃の環境で1週間放置した際の粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。この変動率が大きいほど軟凝集体の形成が進行しているといえる。
B:変動率が5%以上10%未満である。
C:変動率が10%以上30%未満である。
D:変動率が30%以上50%未満である。
E:変動率が50%以上である。
これらの結果を表4にまとめて示す。
(実施例B1)
前記実施例A1で調製したインクジェットインク製造用原液と、グリセリンと、2-ピロリドンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを表5に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
インクジェットインク製造用原液の種類を表5に示すものとするとともに、各成分の配合比を表5に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
インクジェットインク製造用原液の種類を表5に示すものとするとともに、各成分の配合比を表5に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
[4-1]保存安定性(粒径変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後の分散染料の平均粒径と、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の分散染料の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低く、吐出安定性に与える悪影響が大きいといえる。
B:平均粒径の変動率が2%以上5%未満である。
C:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
D:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
E:平均粒径の変動率が15%以上である。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後の粘度と、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の粘度とを求め、これらの値から、製造直後の粘度に対する、60℃の環境で1週間放置した際の粘度の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、粘度の値としては、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s-1]から1000[s-1]に上げていき、Shear Rate200の時に読み取った値を採用した。粘度の変動率が大きいほど保存安定性が低く、吐出安定性に与える悪影響が大きいといえる。
B:粘度の変動率が2%以上5%未満である。
C:粘度の変動率が5%以上10%未満である。
D:粘度の変動率が10%以上15%未満である。
E:粘度の変動率が15%以上である。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後、および、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した直後に、粒子径・粒度分布測定装置(シメックス社製、FPIA-3000S)を用いて、純水で100倍に希釈し、HPF測定モード/標準撮影ユニットで、粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数を測定し、これらの値から、製造直後から、60℃の環境で1週間放置した際の粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。この変動率が大きいほど軟凝集体の形成が進行しているといえる。
B:変動率が5%以上10%未満である。
C:変動率が10%以上30%未満である。
D:変動率が30%以上50%未満である。
E:変動率が50%以上である。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX-H6000)のインクカートリッジに充填した。そして、当該インクカートリッジをインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX-H6000)に装着し、当該インクジェットプリンターに充填した。
B:フィルター部材の被覆率が2%以上5%未満である。
C:フィルター部材の被覆率が5%以上10%未満である。
D:フィルター部材の被覆率が10%以上15%未満である。
E:フィルター部材の被覆率が15%以上である。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、60℃の環境で5日間放置した。
B:ノズル抜け本数が1本以上9本以下であった。
C:ノズル抜け本数が10本以上19本以下であった。
D:ノズル抜け本数が20本以上29本以下であった。
E:ノズル抜け本数が30本以上であった。
前記[4-5]でインクジェットインクを付着させた30枚目の中間転写媒体の水性インクジェット用組成物の付着側を白色記録媒体である布帛(ポリエステル100%、アミーナ、東レ社製)と密着させ、この状態で、ヒートプレス機(TP-608M、太陽精機社製)を用いて、180℃、60秒の条件で加熱し、昇華転写を行い、各記録物を得た。
B:OD値が1.45以上1.50未満である。
C:OD値が1.40以上1.45未満である。
D:OD値が1.35以上1.40未満である。
E:OD値が1.35未満である。
これらの結果を表6にまとめて示す。
Claims (9)
- C.I.Disperse Yellow 54と、
下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、トリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物および下記式(4)で示されるトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である物質Aと、
アニオン系分散剤とを含むことを特徴とする水性インクジェット用組成物。
- 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、前記物質Aの含有率をXA[質量%]としたとき、0.03≦XA/XD≦1.0の関係を満足する請求項1または2に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、前記アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.3≦XB/XD≦1.0の関係を満足する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記物質Aの含有率をXA[質量%]、前記アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.03≦XA/XB≦1.2の関係を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率が0.25質量%以上25質量%以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記物質Aの含有率が0.13質量%以上6.0質量%以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記アニオン系分散剤の含有率が0.13質量%以上25質量%以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
- 前記アニオン系分散剤の重量平均分子量が1000以上20000以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
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