JP2019199607A - 水性インクジェット用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の蛍光染料を含み、保存安定性と、乾燥によるヘッドフィルターやノズルの詰まりの生じにくさとを両立する水性インクジェット用組成物を提供すること。【解決手段】本発明の水性インクジェット用組成物は、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる群から選択される少なくとも1種である第1の成分と、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤である第2の成分と、クマリン骨格を有するとともに、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する第3の成分とを含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクジェット用組成物に関する。
近年、インクジェットプリントの用途が拡大しており、オフィス、家庭用の印刷機としてのほか、商業印刷、テキスタイルプリント等へも適用されている。
そして、蛍光染料を含むインクジェット用インクも用いられている。
蛍光強度に優れる蛍光染料としては、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184がある。
しかし、これらの蛍光染料をインクジェット用インクに適用しようとした場合、他の色材に比べて、インクジェット用インクの保存安定性が低く、保存時にインクジェット用インク中に異物が発生しやすいという問題があった。
上記蛍光染料の分散性を向上させる目的で、アニオン系分散剤とフィトステロールのエチレンオキサイド付加物、水添フィトステロールのエチレンオキサイド付加物、コレスタノールのエチレンオキサイド付加物、水添コレスタノールのエチレンオキサイド付加物からなる化合物とを含むインクが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記の蛍光染料を含むインクジェット用インクにおいては、長期保存や熱ストレスが加わる環境に置いた場合に増粒、増粘、異物発生の問題を十分に抑制することができず、ヘッドフィルターやノズルの詰まりによるインクジェット用インクの吐出不良を生じやすかった。
このような問題を解決するためには、上記のような蛍光染料の分散性を向上させる分散剤として、疎水性が比較的高い分散剤を用いることが考えられるが、このような分散剤は、背反的に、水溶性が低いため、例えば、ノズル空走時、長期の放置等のように、インクジェット用インクが乾燥しやすい状態に置かれると、インクジェット用インクの固形分が特に析出しやすい。固形分が析出すると、ヘッドフィルターやノズルの詰まりを生じ、インクジェット用インクの吐出不良に繋がる。
このような乾燥によるインクジェット用インクの固形分の析出やそれによる不具合の発生を抑制するためには、疎水性の低い分散剤、例えば、スルホ基を有する分散剤を用いることが有効であるが、この場合、上記のようなインクジェット用インクの保存安定性が低下する傾向がより顕著になる。
国際公開WO2005/121263号公報
すなわち、上記のような蛍光染料を含むインクジェット用インクにおいて、保存安定性と、乾燥によるヘッドフィルターやノズルの詰まりの生じにくさとを両立することは困難であった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
本発明の適用例に係る水性インクジェット用組成物は、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる群から選択される少なくとも1種である第1の成分と、
スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤である第2の成分と、
クマリン骨格を有するとともに、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する第3の成分とを含むことを特徴とする。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物では、前記第2の成分が、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、および、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物よりなる群から選択される少なくとも1種である。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物では、前記第3の成分は、C.I.Acid Yellow 184およびC.I.Acid Yellow 250よりなる群から選択される少なくとも1種である。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物は、前記第1の成分の含有率をX1[質量%]、前記第2の成分の含有率をX2[質量%]としたとき、0.2≦X2/X1≦5.0の関係を満足する。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物は、前記第1の成分の含有率をX1[質量%]、前記第3の成分の含有率をX3[質量%]としたとき、0.001≦X3/X1≦3.0の関係を満足する。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物は、前記第2の成分の含有率をX2[質量%]、前記第3の成分の含有率をX3[質量%]としたとき、0.001≦X3/X2≦3.0の関係を満足する。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物は、前記第1の成分の含有率が0.5質量%以上20質量%以下である。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物は、前記第2の成分の含有率が0.5質量%以上20質量%以下である。
また、本発明の他の適用例に係る水性インクジェット用組成物は、前記第3の成分の含有率が0.005質量%以上6.0質量%以下である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<水性インクジェット用組成物>
各種蛍光染料の中でも、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184は、蛍光強度に優れる等の特長を有する一方で、以下のような問題を有していた。すなわち、上記の蛍光染料は、従来、水性インクジェット用組成物の構成成分として用いたときに、水性インクジェット用組成物の保存安定性と、乾燥によるヘッドフィルターやノズルの詰まりの生じにくさとを両立することは困難であった。
そこで、本発明者は、上記の蛍光染料が有する優れた特徴を生かしつつ、当該蛍光染料を含む水性インクジェット用組成物の保存安定性と、乾燥によるヘッドフィルターやノズルの詰まりの生じにくさとを両立することを目的として、鋭意研究を行った結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の水性インクジェット用組成物は、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる群から選択される少なくとも1種である第1の成分と、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤である第2の成分と、クマリン骨格を有するとともに、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する第3の成分とを含むことを特徴とする。
このような構成により、第1の成分が有する優れた特徴を発揮させつつ、保存安定性と、乾燥によるヘッドフィルターやノズルの詰まりの生じにくさとを両立する水性インクジェット用組成物を提供することができる。
このような優れた効果が得られるのは、親水性の高いスルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有するスルホン酸系分散剤としての第2の成分を用いることにより、ノズル等における水性インクジェット用組成物の乾燥を効果的に防止することができるとともに、第1の成分との共通の化学構造であるクマリン骨格および第2の成分との共通の化学構造であるSO を有する第3の成分を含むことにより、第1の成分の分散安定性を向上させることができるためであると考えられる。
これに対し、上記のような条件を満たさない場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、前記第1の成分の代わりに他の蛍光染料を用いた場合には、水性インクジェット用組成物を用いて形成される記録部において、十分な蛍光強度を得ることが困難である。なお、本明細書においては、「記録部」とは、インクジェット法により水性インクジェット用組成物が付与された記録媒体の部位に加えて、水性インクジェット用組成物を昇華捺染等の熱転写プリント法に適用する場合における水性インクジェット用組成物の構成成分が転写された部位を含む概念である。
また、前記第2の成分を用いなかった場合には、水性インクジェット用組成物中における分散安定性を十分に優れたものとすることが困難となり、保存時に水性インクジェット用組成物中に異物が発生しやすい。
また、前記第2の成分の代わりに、例えば、カルボキシル基等のようにスルホ基に比べて疎水性の高い官能基を有する分散剤等、スルホン酸系分散剤以外の分散剤を用いた場合には、例えば、ノズル空走時、長期の放置等のように、水性インクジェット用組成物としてのインクジェット用インクが乾燥しやすい状態に置かれると、水性インクジェット用組成物の固形分が特に析出しやすく、ヘッドフィルターやノズルの詰まり等による水性インクジェット用組成物の吐出不良が生じやすい。
また、前記第3の成分を用いなかった場合、水性インクジェット用組成物の保存安定性が低く、保存時に水性インクジェット用組成物中に異物が発生しやすい。
なお、本明細書において、水性インクジェット用組成物とは、インクジェット法により吐出されるインクそのもののほか、当該インクの調製に用いられる原液を含む概念である。言い換えると、本発明の水性インクジェット用組成物は、そのまま、インクジェット法により吐出に供されるものであってもよいし、希釈等の処理の後にインクジェット法により吐出に供されるものであってもよい。
[第1の成分]
水性インクジェット用組成物は、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる群から選択される少なくとも1種である第1の成分を含んでいる。
第1の成分は、黄色系の蛍光染料である。そして、第1の成分は、水性インクジェット用組成物中において、その大部分が分散状態で存在する。
水性インクジェット用組成物中に含まれる第1の成分は、前記3種の染料の中でも、特に、C.I.Solvent Yellow 160:1であるのが好ましい。特に、水性インクジェット用組成物を構成する全第1の成分中に占めるC.I.Solvent Yellow 160:1の割合は、50質量%以上100質量%以下であるのが好ましく、70質量%以上100質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物を用いて形成される記録物の蛍光強度、色調をより好適なものとすることができる。
水性インクジェット用組成物中における第1の成分の平均粒径は、50nm以上250nm以下であるのが好ましく、75nm以上200nm以下であるのがより好ましく、100nm以上150nm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上する。また、水性インクジェット用組成物を用いて形成された記録部をより効果的に昇華させることができ、昇華捺染により好適に適用することができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指す。平均粒径は、例えば、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた測定により求めることができる。
水性インクジェット用組成物中における第1の成分の含有率は、0.5質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上18質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上15質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物を用いて形成される記録部においてより高い色濃度、蛍光強度を得ることができるとともに、水性インクジェット用組成物の保存安定性をさらに向上させることができる。
特に、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクそのものである場合、当該インク中における第1の成分の含有率は、0.5質量%以上13質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上12質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上9.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクの調製に用いられる原液である場合、当該原液中における第1の成分の含有率は、8.0質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、9.0質量%以上19質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以上18質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、水性インクジェット用組成物を構成する第1の成分が複数種の化合物を含む場合、前記含有率としては、これら複数種の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
[第2の成分]
本発明の水性インクジェット用組成物は、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤である第2の成分を含んでいる。
第2の成分は、主に、インクジェット法による記録装置に適用した場合において乾燥によるインクジェット用インクの固形分の析出を効果的に防止しつつ、第1の成分の分散性を向上させる機能を有している。
スルホン酸系分散剤である第2の成分は、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有するもの、すなわち、電離して−SO となる構造を有していれば特に限定されないが、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、および、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物よりなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、および、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物よりなる群から選択される少なくとも1種であるのがより好ましい。特に、水性インクジェット用組成物を構成する全第2の成分中に占めるナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物の割合とスチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物の割合との和は、50質量%以上100質量%以下であるのが好ましく、70質量%以上100質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、乾燥によるインクジェット用インクの固形分の析出の防止、および、第1の成分の分散性の向上を、より高いレベルで両立することができる。
水性インクジェット用組成物中における第2の成分の含有率は、0.5質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上18質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上15質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、第1の成分、第3の成分の含有率が低くなりすぎることを効果的に防止し、これらの機能をより確実に発揮させつつ、前述したような第2の成分を含むことによる効果をさらに顕著に発揮させることができる。
特に、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクそのものである場合、当該インク中における第2の成分の含有率は、0.5質量%以上13質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上12質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上9.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクの調製に用いられる原液である場合、当該原液中における第2の成分の含有率は、8.0質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、9.0質量%以上19質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以上18質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、水性インクジェット用組成物を構成する第2の成分が複数種の化合物を含む場合、前記含有率としては、これら複数種の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
[第3の成分]
本発明の水性インクジェット用組成物は、クマリン骨格を有するとともに、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する第3の成分を含んでいる。
当該第3の成分は、第1の成分が分子内に有する化学構造であるクマリン骨格、および、第2の成分が分子内に有する化学構造であるスルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造をともに備えているため、第1の成分および第2の成分に対する親和性に優れている。このような第3の成分を含むことにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性を優れたものとすることができる。特に、前述したような第1の成分の機能および第2の成分の機能を十分に発揮させつつ、水性インクジェット用組成物の保存安定性を優れたものとすることができる。また、当該第3の成分は、昇華捺染における悪影響を生じにくい成分である。
第3の成分は、分子内に、クマリン骨格を有するとともに、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する成分であればよいが、C.I.Acid Yellow 184およびC.I.Acid Yellow 250よりなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
これにより、前述したような第1の成分の機能および第2の成分の機能をより効果的に発揮させつつ、水性インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとすることができる。
なお、C.I.Acid Yellow 184は、下記式(1)で示される化学構造を有し、C.I.Acid Yellow 250は、下記式(2)で示される化学構造を有する。
Figure 2019199607
Figure 2019199607
水性インクジェット用組成物中における第3の成分の含有率は、0.005質量%以上6.0質量%以下であるのが好ましく、0.04質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上4.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、第1の成分、第2の成分の含有率が低くなりすぎることを効果的に防止し、これらの機能をより確実に発揮させつつ、前述したような第3の成分を含むことによる効果をさらに顕著に発揮させることができる。
特に、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクそのものである場合、当該インク中における第3の成分の含有率は、0.005質量%以上2.5質量%以下であるのが好ましく、0.04質量%以上2.0質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上1.8質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクの調製に用いられる原液である場合、当該原液中における第3の成分の含有率は、1.0質量%以上6.0質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上4.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、水性インクジェット用組成物を構成する第3の成分が複数種の化合物を含む場合、前記含有率としては、これら複数種の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
水性インクジェット用組成物中における、第1の成分の含有率をX1[質量%]、第2の成分の含有率をX2[質量%]としたとき、0.2≦X2/X1≦5.0の関係を満足するのが好ましく、0.4≦X2/X1≦2.5の関係を満足するのがより好ましく、0.5≦X2/X1≦2.0の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物を用いて形成される記録物の蛍光強度、色調、乾燥によるインクジェット用インクの固形分の析出防止の効果、インクジェット用インク中における第1の成分の分散性等をより優れたものとすることができる。
水性インクジェット用組成物中における、第1の成分の含有率をX1[質量%]、第3の成分の含有率をX3[質量%]としたとき、0.001≦X3/X1≦3.0の関係を満足するのが好ましく、0.01≦X3/X1≦2.0の関係を満足するのがより好ましく、0.1≦X3/X1≦1.0の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物を用いて形成される記録物の蛍光強度、色調と、水性インクジェット用組成物の保存安定性とを、より高いレベルで両立することができる。
水性インクジェット用組成物中における、第2の成分の含有率をX2[質量%]、第3の成分の含有率をX3[質量%]としたとき、0.001≦X3/X2≦3.0の関係を満足するのが好ましく、0.01≦X3/X2≦2.0の関係を満足するのがより好ましく、0.1≦X3/X2≦1.0の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、乾燥によるインクジェット用インクの固形分の析出をより効果的に防止しつつ、水性インクジェット用組成物の保存安定性をより優れたものとすることができる。
[水]
水性インクジェット用組成物は、水を含んでいる。この水としては、例えば、RO水、蒸留水、イオン交換水等の純水を用いてもよい。
水性インクジェット用組成物中における水の含有率は、特に限定されないが、30質量%以上85質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上80質量%以下であるのがより好ましく、40質量%以上75質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の粘度をより確実に好適な値に調整することができ、インクジェット法による吐出安定性をより向上させることができる。
[水以外の溶剤]
水性インクジェット用組成物は、水以外の溶剤を含んでいてもよい。
これにより、水性インクジェット用組成物の粘度を好適に調整したり、水性インクジェット用組成物の保湿性を高めたりすることができる。その結果、インクジェット法による液滴吐出をより安定的に行うことができる。
水性インクジェット用組成物中に含まれる水以外の溶剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、2−ピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤を含むことにより、優れた保湿能により蒸発速度を緩やかにし、より安定的な液滴吐出を行うことができる。
水性インクジェット用組成物中に含まれる水以外の溶剤の含有率は、0質量%以上45質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上43質量%以下であるのがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した水以外の溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
[界面活性剤]
水性インクジェット用組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
これにより、記録媒体(基材)に対する水性インクジェット用組成物の濡れ性をより好適なものとすることができ、より良好な画質を得る上で有利である。
水性インクジェット用組成物中に含まれる界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。
より具体的には、水性インクジェット用組成物中に含まれる界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
水性インクジェット用組成物がシリコーン系界面活性剤を含んでいると、記録媒体(基材)に対する水性インクジェット用組成物の濡れ性をさらに好適なものとすることができ、より優れた諧調性の画像(記録部)を形成することができる。
水性インクジェット用組成物がシリコーン系界面活性剤を含んでいる場合、水性インクジェット用組成物中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量は、第1の成分:100質量部に対して、5.0質量部以上150質量部以下であるのが好ましく、7.0質量部以上140質量部以下であるのがより好ましく、10質量部以上70質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したシリコーン系界面活性剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−378(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学社製)等が挙げられる。
[その他の成分]
水性インクジェット用組成物は、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、前記以外の着色剤、前記以外の分散剤、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール等の浸透剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤等が挙げられる。防腐剤・防かび剤としては、例えば、分子内にイソチアゾリン環構造を有する化合物を好適に用いることができる。
その他の成分の含有率(その他の成分として複数種の成分を含む場合は、これらの含有率の総和)は、6質量%以下であるのが好ましく、4質量%以下であるのがより好ましい。
特に、本発明の水性インクジェット用組成物が、前記以外の分散剤(その他の分散剤)を含む場合、当該分散剤(その他の分散剤)の含有率は、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下であるのがより好ましい。
水性インクジェット用組成物の20℃における表面張力は、20mN/m以上50mN/m以下であるのが好ましく、21mN/m以上40mN/m以下であるのがより好ましく、23mN/m以上30mN/m以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット方式による吐出装置のノズルの詰まり等がより生じにくくなり、水性インクジェット用組成物の吐出安定性がより向上する。また、ノズルの詰まりを生じた場合でも、ノズルにキャップをすること(キャッピング)による回復性をより優れたものとすることができる。
なお、表面張力としては、ウィルヘルミー法により測定した値を採用することができる。表面張力の測定は、表面張力計(例えば、協和界面科学社製、CBVP−7等)を用いることができる。
水性インクジェット用組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましく、4mPa・s以上10mPa・s以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の吐出安定性がより向上する。
なお、粘度は、20℃にて、粘弾性試験機(例えば、Pysica社製、MCR−300)を用いて、Shear Rateを10[s−1]から1000[s−1]に上げていき、Shear Rate200の時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
本発明の水性インクジェット用組成物は、通常、カートリッジ、袋、タンク等の容器に収納された状態で、インクジェット法による記録装置に適用される。言い換えると、本発明に係る記録装置は、本発明の水性インクジェット用組成物を収納する容器(インクカートリッジ等)を備えるものである。
本発明の水性インクジェット用組成物は、インクジェット法により吐出されるインクまたは当該インクの調製に用いられる原液であればよく、液滴吐出を行う装置の具体的構成は限定されないが、本発明の水性インクジェット用組成物は、大気開放系記録装置(より具体的には、例えば、インクを補充可能なインク注入口を備えるインク収容容器と、前記インクを吐出するノズル孔を有する記録ヘッドとを備えるインクジェット記録装置)に適用されるもの(原液を含む)であるのが好ましい。
このような記録装置では、C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる群から選択される少なくとも1種を含むインクを適用した場合に、インクが大気と接触することにより、気液界面での異物の発生が特に生じやすいという問題があったが、本発明によれば、このような記録装置に適用した場合でも、上記のような問題の発生を効果的に防止することができる。すなわち、大気開放系記録装置に適用されるものである場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
<記録方法>
本発明の水性インクジェット用組成物は、例えば、ダイレクトプリント法、熱転写プリント法(例えば、昇華捺染)等に適用することができる。特に、蛍光染料である第1の成分が昇華性を有しており、かつ、着色成分である第3の成分が実質的に昇華性を有していない(言い換えると、第1の成分に比して昇華性が十分に低い)ことから、第1の成分の色調、蛍光強度に優れるという特徴を生かしつつ、第3の成分が最終的な記録物の色調に影響を与えることを効果的に防止することができる点から、熱転写プリント法に好適に適用することができる。
以下、本発明の水性インクジェット用組成物を用いた記録方法として、熱転写プリント法(昇華捺染)の一例について説明する。
本実施形態に係る記録方法は、インクジェット方式により、水性インクジェット用組成物を中間転写媒体に付着させるインク付着工程と、水性インクジェット用組成物が付着された中間転写媒体を加熱し、水性インクジェット用組成物中に含まれる昇華性染料としての第1の成分を記録媒体に転写させる転写工程とを有している。
[インク付着工程]
インク付着工程では、インクジェット方式により、水性インクジェット用組成物を中間転写媒体に付着させる。インクジェット方式による水性インクジェット用組成物の吐出は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。中でも、水性インクジェット用組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インク付着工程では、本発明に係る水性インクジェット用組成物以外のインクを併用してもよい。
[中間転写媒体]
中間転写媒体としては、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができる。中でも、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が設けられた紙が好ましい。これにより、中間転写媒体に付着した水性インクジェット用組成物が乾燥する過程で、滲み等が抑制された中間転写媒体を得ることができ、また、後の転写工程において、第1の成分の昇華がより円滑に進行する傾向にある。
[転写工程]
その後、水性インクジェット用組成物が付着された中間転写媒体を加熱し、水性インクジェット用組成物の構成成分としての第1の成分を記録媒体に転写させる。これにより、記録物が得られる。
特に、蛍光染料である第1の成分が昇華性を有しており、かつ、着色成分である第3の成分が実質的に昇華性を有していない(言い換えると、第1の成分に比して昇華性が十分に低い)ことから、第3の成分が記録媒体に転写してしまうことを効果的に防止しつつ、第1の成分を記録媒体に転写させることができる。したがって、得られる記録物は、第1の成分の色調、蛍光強度に優れるという特徴が発揮されつつ、第3の成分の色調による影響の発生が効果的に防止されたものとなる。
本工程での加熱温度は、160℃以上220℃以下であるのが好ましく、170℃以上200℃以下であるのがより好ましい。
これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性をより向上させることができる。また、得られる記録物の発色性等をより向上させることができる。
本工程での加熱時間は、加熱温度にもよるが、30秒以上90秒以下であるのが好ましく、45秒以上80秒以下であるのがより好ましい。
これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性をより向上させることができる。また、得られる記録物の発色性等をより向上させることができる。
また、本工程は、水性インクジェット用組成物が付着した中間転写媒体の表面を、記録媒体と一定間隔で離間して対向させた状態で加熱することにより行ってもよいし、記録媒体の表面に密着させた状態で加熱することにより行ってもよいが、水性インクジェット用組成物が付着した中間転写媒体の表面を記録媒体の表面に密着させた状態で加熱することにより行うことが好ましい。
これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性をより向上させることができる。また、得られる記録物の発色性をより向上させることができる。
[記録媒体]
記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム、紙、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。また、記録媒体としては、シート状、球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
記録媒体が布帛である場合に、布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維およびこれらの繊維を2種以上用いた混紡品等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。
また、記録媒体が樹脂(プラスチック)フィルムである場合、当該樹脂(プラスチック)フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。
なお、樹脂(プラスチック)フィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の水性インクジェット用組成物は、インクジェット方式での吐出に用いられるものであればよく、上述したような記録方法に適用されるものでなくてもよい。
例えば、上述したような工程に加え、さらに他の工程(前処理工程、中間処理工程、後処理工程)を有する方法に適用されるものであってもよい。
この場合、前処理工程としては、例えば、記録媒体にコート層を塗布する工程等が挙げられる。
また、中間処理工程としては、例えば、記録媒体を予備加熱する工程等が挙げられる。
また、後処理工程としては、例えば、記録媒体を洗浄する工程等が挙げられる。
また、本発明の水性インクジェット用組成物は、中間転写媒体を用いない昇華転写にも好適に適用することができる。中間転写媒体を用いない昇華転写としては、例えば、剥離可能なインク受容層が設けられた記録媒体(フィルム製品等)のインク受容層に、インクジェット方式により水性インクジェット用組成物を付着させる工程と、水性インクジェット用組成物が付着したインク受容層が設けられた記録媒体をそのまま加熱して、インク受容層から、その下層側の記録媒体に昇華拡散染色する工程と、インク受容層を記録媒体から剥離して記録物を得る工程とを有する方法等が挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェットインク製造用原液(水性インクジェット用組成物)の調製
(実施例A1)
まず、蛍光染料である第1の成分としてのC.I.Solvent Yellow 160:1と、第2の成分としてのナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物と、純水とを、所定の割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行った。
撹拌分散を行った後、第3の成分としてのC.I.Acid Yellow 184を所定の割合で加えて、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、表1に示す組成の水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
インクジェットインク製造用原液中におけるC.I.Solvent Yellow 160:1の平均粒径は、150nmであった。
(比較例A1)
第3の成分を用いずに、各成分の配合比を表1に示すようにした以外は、前記実施例A1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
前記実施例および比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)の組成等を表1に示す。なお、表中、C.I.Solvent Yellow 160:1を「SY160:1」、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物を「C2−1」、C.I.Acid Yellow 184を「AY184」と示した。また、前記実施例および比較例のインクジェットインク製造用原液は、いずれも、粘度が2.0mPa・s以上30mPa・s以下の範囲内の値であり、表面張力が25mN/m以上50mN/m以下の範囲内の値であった。なお、粘度は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s−1]から1000[s−1]に上げていき、Shear Rate200の時の粘度を読み取ることにより測定した。また、表面張力は、表面張力計(協和界面科学社製、CBVP−7)を用いて、20℃にて、ウィルヘルミー法により測定した。
Figure 2019199607
[2]インクジェットインク製造用原液についての評価
[2−1]保存安定性(粒径変化)
前記実施例および比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後の第1の成分の平均粒径と、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の第1の成分の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の第1の成分の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の第1の成分の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低いといえる。
A:平均粒径の変動率が5%未満である。
B:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
C:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
D:平均粒径の変動率が15%以上20%未満である。
E:平均粒径の変動率が20%以上である。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2019199607
表2から明らかなように、本発明では優れた結果が得られた。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[3]インクジェットインク(水性インクジェット用組成物)の調製
(実施例B1)
前記実施例A1で調製したインクジェットインク製造用原液と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
インクジェットインク中におけるC.I.Solvent Yellow 160:1の平均粒径は、150nmであった。
(実施例B2)
まず、蛍光染料である第1の成分としてのC.I.Solvent Yellow 160:1と、第2の成分としてのスチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを、所定の割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行った。
撹拌分散を行った後、第3の成分としてのC.I.Acid Yellow 184を所定の割合で加えて、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、表3に示す組成の水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
インクジェットインク中におけるC.I.Solvent Yellow 160:1の平均粒径は、150nmであった。
(実施例B3〜B10)
第1の成分、第2の成分および第3の成分の種類、ならびに、各成分の配合比を表3に示すようにした以外は、前記実施例B2と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
(比較例B1)
前記比較例A1で調製したインクジェットインク製造用原液と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。すなわち、本比較例のインクジェットインクは、第3の成分を含んでいない。
インクジェットインク中におけるC.I.Solvent Yellow 160:1の平均粒径は、150nmであった。
(比較例B2)
まず、蛍光染料である第1の成分としてのC.I.Solvent Yellow 160:1と、グリセリンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを、所定の割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行った。
撹拌分散を行った後、第3の成分としてのC.I.Acid Yellow 184を所定の割合で加えて、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、表3に示す組成の水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。すなわち、本比較例のインクジェットインクは、第2の成分を含んでいない。
インクジェットインク中におけるC.I.Solvent Yellow 160:1の平均粒径は、150nmであった。
(比較例B3〜B6)
インクジェットインクの調整に用いる成分の種類および各成分の配合比を表3に示すようにした以外は、前記実施例B2と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)の条件を表3にまとめて示す。なお、表中、C.I.Solvent Yellow 160:1を「SY160:1」、C.I.Disperse Yellow 82を「DY82」、C.I.Disperse Yellow 184を「DY184」、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物を「C2−1」、リグニンスルホン酸ナトリウムを「C2−2」、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物を「C2−3」、C.I.Acid Yellow 184を「AY184」、C.I.Acid Yellow 250を「AY250」、グリセリンを「Gly」、プロピレングリコールを「PG」、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK348」、その他の成分としてのC.I.Disperse Yellow 54を「DY54」、その他の成分としてのC.I.Acid Yellow 54を「AY54」、その他の成分としてのスチレン−アクリル酸ナトリウムの共重合物を「C2’」と示した。また、前記実施例B1〜B10のインクジェットインクは、いずれも、粘度が2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下の範囲内の値であり、表面張力が20mN/m以上35mN/m以下の範囲内の値であった。なお、粘度は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s−1]から1000[s−1]に上げていき、Shear Rate200の時の粘度を読み取ることにより測定した。また、表面張力は、表面張力計(協和界面科学社製、CBVP−7)を用いて、20℃にて、ウィルヘルミー法により測定した。
Figure 2019199607
[4]インクジェットインクについての評価
[4−1]保存安定性(粒径変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後の第1の成分(ただし、比較例B3については、第1の成分の代わりに用いたC.I.Disperse Yellow 54)の平均粒径と、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の第1の成分(ただし、比較例B3については、第1の成分の代わりに用いたC.I.Disperse Yellow 54)の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の第1の成分(ただし、比較例B3については、第1の成分の代わりに用いたC.I.Disperse Yellow 54)の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の第1の成分(ただし、比較例B3については、第1の成分の代わりに用いたC.I.Disperse Yellow 54)の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低く、吐出安定性に与える悪影響が大きいといえる。
A:平均粒径の変動率が5%未満である。
B:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
C:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
D:平均粒径の変動率が15%以上20%未満である。
E:平均粒径の変動率が20%以上である。
[4−2]目詰まり回復性
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、当該収容容器を、記録装置PX−H6000(セイコーエプソン社製)に装着した。なお、セイコーエプソン社製PX−H6000のインク収容容器(上記のインク収容容器)は、水性インクジェット用組成物を補充可能なインク注入口を備えており、記録装置に使用状態で装着した際に、大気開放されているものである。
全ノズルが正常に吐出することを確認した後、記録装置を正常な状態で電源OFFし、40℃の環境下で1ヶ月間放置した。
その後、吸引による回復動作で正常吐出に至るまでに要した回数を求め、以下の基準に従い評価した。
A:電源ON直後より清浄吐出した。または、回復動作1〜3回で正常化した。
B:回復動作4〜6回で正常化した。
C:回復動作7〜9回で正常化した。
D:回復動作9回の後、室温で12時間静置し、さらに、1〜3回の回復動作で正常化した。
E:回復動作9回の後、室温で12時間静置し、さらに、1〜3回の回復動作を行っても正常化しなかった。
[4−3]発色性(蛍光強度)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、当該収容容器を、記録装置PX−H6000(セイコーエプソン社製)に装着した。
全ノズルが正常に吐出することを確認した後、インクジェットインクを吐出し、中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社製)に、記録解像度1440×720dpiで打ち込み量10%のパターンを付着させた。なお、記録装置(プリンター)の動作環境は25℃とした。
その後、中間転写媒体の水性インクジェット用組成物の付着側を白色記録媒体である布帛(ポリエステル100%、アミーナ、東レ社製)と密着させ、この状態で、ヒートプレス機(TP−608M、太陽精機社製)を用いて、200℃、60秒の条件で加熱し、昇華転写を行い、各記録物を得た。
得られた各記録物について、蛍光発光強度の評価を行った。具体的には、分光光度計FD−7(コニカミノルタ社製)を用い、各記録物である布帛のインク打ち込み量10%パターン部について、蛍光増白強度を3回測定し、これらの平均値を求め、以下の基準に従い評価した。なお、測定条件は下記の通りである。
測色方法:反射測定
照明条件:M1[D50]
濃度白色基準:絶対値
観察視野:2°
観察光源:D50
偏向フィルター:非装着
A:蛍光増白強度が4以上である。
B:蛍光増白強度が3以上4未満である。
C:蛍光増白強度が2以上3未満である。
D:蛍光増白強度が1以上2未満である。
E:蛍光増白強度が1未満である。
これらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 2019199607
表4から明らかなように、本発明では優れた結果が得られた。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。また、本発明では、最終的な記録物(布帛)に第1の成分が好適に転写されているのに対し、第3の成分は中間転写媒体上に残存しており、記録物において、第3の成分が外観等に悪影響を与えておらず、第1の成分が有する優れた色調が反映されていた。

Claims (9)

  1. C.I.Solvent Yellow 160:1、C.I.Disperse Yellow 82およびC.I.Disperse Yellow 184よりなる群から選択される少なくとも1種である第1の成分と、
    スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する分散剤である第2の成分と、
    クマリン骨格を有するとともに、スルホ基およびスルホ基の塩のうちの少なくとも一方の化学構造を有する第3の成分とを含むことを特徴とする水性インクジェット用組成物。
  2. 前記第2の成分が、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、および、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合物よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の水性インクジェット用組成物。
  3. 前記第3の成分は、C.I.Acid Yellow 184およびC.I.Acid Yellow 250よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の水性インクジェット用組成物。
  4. 前記第1の成分の含有率をX1[質量%]、前記第2の成分の含有率をX2[質量%]としたとき、0.2≦X2/X1≦5.0の関係を満足する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  5. 前記第1の成分の含有率をX1[質量%]、前記第3の成分の含有率をX3[質量%]としたとき、0.001≦X3/X1≦3.0の関係を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  6. 前記第2の成分の含有率をX2[質量%]、前記第3の成分の含有率をX3[質量%]としたとき、0.001≦X3/X2≦3.0の関係を満足する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  7. 前記第1の成分の含有率が0.5質量%以上20質量%以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  8. 前記第2の成分の含有率が0.5質量%以上20質量%以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  9. 前記第3の成分の含有率が0.005質量%以上6.0質量%以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
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