JP6696595B2 - インクジェット捺染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、オレンジインク、ブルーインク及びブラックインクの6色を備えるインクジェット捺染用インクセット、及び該インクセットを用いるインクジェット捺染方法に関する。
従来、布帛などに画像を印捺する方法として、スクリーン捺染法、ローラー捺染法、ロータリースクリーン捺染法、または転写捺染法等が用いられている。しかしながら、画像デザインの変更毎に、高価なスクリーン枠、彫刻ローラー、転写紙等を用意する必要があるため、多品種少量生産にはコスト的に不向きであり、ファッションの多様化に迅速に対応することが困難であった。
こうした従来の捺染方法の欠点を解消するために、スキャナーで見本を読み取り、コンピューターで画像処理を行い、その結果をインクジェット記録方式で印捺する技術(以下、「インクジェット捺染」ともいう。)が開発されている。インクジェット記録方式は、インク液滴をインクヘッドから記録媒体(例えば、紙や布帛)に向かって飛翔させ、その液滴を記録媒体に付着させる記録方式であり、その機構が比較的簡便で安価であり、かつ高精細で高品位な画像を形成できるものである。このようなインクジェット記録方式を適用すれば、従来の捺染方式で必要とされていた版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できることから、納期の短縮、多品種少量生産への対応等が可能になるといった利点が挙げられる。また、インクジェット捺染によれば、画像形成時に必要量のインクのみを使用するため、従来のスクリーン捺染等に比較して、廃液が少ない等の環境的利点も有する。
ところで、インクジェット捺染に各種染料を用いる場合、従来の捺染用の染料選択の基準である色調、堅牢性等の性能の他に、広い色再現域を確保できることや保存安定性に優れること等の性能が要求される。保存安定性の点では、例えばインク保存中に物性(例えば、粘度)の変化や固形分の析出などが生じると、ノズルの目詰まりやインクの吐出安定性が損なわれやすい。
このような観点から、インクの着色剤を適切に選択することによって、広い色再現域を備えると共に、形成した画像の堅牢性とインクの保存安定性に優れた6色のインクジェット捺染用インクセットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、C.I.アシッドイエロー79を含有するイエローインク、C.I.アシッドレッド249を含有するマゼンタインク、C.I.ダイレクトブルー87を含有するシアンインク、C.I.アシッドブラック52:1を含有するブラックインク、C.I.アシッドオレンジ95を含有するオレンジインク、及びC.I.アシッドブルー112を含有するブルーインクを備えるインクジェット捺染用インクセットが開示されている。
特開2007−238741号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているインクジェット捺染用インクセットは、オレンジインクに含有されるC.I.アシッドオレンジ95の耐光性や堅牢性が不十分であ
り、結果として形成された画像の耐光性や堅牢性があまり良好ではないという課題があった。特に、ブラックインクに含有されるC.I.アシッドブラック52:1の絹以外のナイロンやウール、更に絹やナイロンとウレタンとの混紡布に対する堅牢性(染着性)が不十分であった。また、色再現域の点においてもある程度改良されているものの、さらなる改善の余地があった。このように、特許文献1に開示されているインクジェット捺染用インクセットは、インクセットとしての性能が不十分であり、バランスが悪かった。
そこで、本発明に係る幾つか態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、絹だけでなくナイロンやウール、更に絹やナイロンとウレタンとの混紡布に対する堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成できると共に、広い色再現域を確保でき、かつ、保存安定性が良好なインクジェット捺染用インクセットを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット捺染用インクセットの一態様は、
着色剤としてC.I.アシッドイエロー79を含有するイエローインクと、
着色剤としてC.I.アシッドレッド138及びC.I.アシッドレッド289よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するマゼンタインクと、
着色剤としてC.I.ダイレクトブルー87を含有するシアンインクと、
着色剤としてC.I.アシッドオレンジ33及びC.I.アシッドオレンジ94よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するオレンジインクと、
着色剤としてC.I.アシッドブルー112及びC.I.アシッドブルー140よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するブルーインクと、
着色剤としてC.I.アシッドブラック172を含有するブラックインクと、
を備えることを特徴とする。
適用例1のインクジェット捺染用インクセットによれば、特定の着色剤を含有する6色のインクセットとすることで、絹だけでなくナイロンやウール、更に絹やナイロンとウレタンとの混紡布に対する堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成できると共に、広い色再現域を確保でき、かつ、保存安定性が良好となる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット捺染用インクセットにおいて、
前記各々のインクが、着色剤の総量を100質量%としたときに、それぞれ前記着色剤として含有する酸性染料を50質量%以上含有することができる。
適用例2のインクジェット捺染用インクセットによれば、堅牢性及び耐光性に優れた画像をより確実に形成することができ、広い色再現域を確保することができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のインクジェット捺染用インクセットにおいて、
前記各々のインクのうち少なくとも1色に、着色剤としてC.I.アシッドバイオレット48及びC.I.アシッドバイオレット97よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含有することができる。
適用例3のインクジェット捺染用インクセットによれば、マゼンタまたはブルーの色調を好みの色調に調色することができる。したがって、C.I.アシッドバイオレット48
やC.I.アシッドバイオレット97は、マゼンタインクまたはブルーインクに添加されることが好ましい。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記各々のインクの亜鉛含有量がそれぞれ50ppm以下であることができる。
適用例4のインクジェット捺染用インクセットによれば、インクの保存安定性をさらに良好とすることができる。特にブラックインク中に、C.I.アシッドブラック172の製造過程において産生される副生成物と亜鉛イオンとが存在する場合、インクの粘度が経時的に上昇するという現象が起こる。ブラックインク中の亜鉛含有量が50ppm以下であると、インクの粘度が経時的に上昇するのを防止することができる。
[適用例5]
本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットを用いて布帛の一方の面にインクを付着させるインクジェット印捺工程と、
前記インクを付着させた布帛面に浸透液を付着させる布帛表面処理工程と、
を含むことを特徴とする。
適用例5のインクジェット捺染方法によれば、様々な布帛に対して堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成できる。また、布帛に浸透液を付着させることにより、インクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後に、浸透液による布帛への浸透効果を付与できる。これにより、布帛の横方向への浸透が抑制され、インク滲みを低減することができる。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット捺染用インクセット
本実施形態に係るインクジェット捺染用インクセット(以下、単に「インクセット」ともいう。)は、着色剤としてC.I.アシッドイエロー79を含有するイエローインクと、着色剤としてC.I.アシッドレッド138及びC.I.アシッドレッド289よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するマゼンタインクと、着色剤としてC.I.ダイレクトブルー87を含有するシアンインクと、着色剤としてC.I.アシッドオレンジ33及びC.I.アシッドオレンジ94よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するオレンジインクと、着色剤としてC.I.アシッドブルー112及びC.I.アシッドブルー140よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するブルーインクと、着色剤としてC.I.アシッドブラック172を含有するブラックインクと、を備えることを特徴とする。このように、特定の着色剤を含有する6色のインクセットとすることで、絹だけでなくナイロンやウール、更には絹やナイロンとウレタンとの混紡布に対する堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成できると共に、広い色再現域を確保でき、かつ、保存安定性が良好となる。
本実施形態に係るインクセットを構成する各色インクは、着色剤、保湿剤、浸透剤、水、その他の添加剤を含有する。以下、各色インクに含まれる成分について説明する。
1.1.着色剤
本実施形態に係るインクセットを構成する各色のインクは、絹だけでなくナイロンやウ
ール、更に絹やナイロンとウレタンとの混紡布に対する堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成できると共に、広い色再現域を確保する観点から、着色剤として特定の酸性染料、すなわち、イエローインクにはC.I.アシッドイエロー79、マゼンタインクにはC.I.アシッドレッド138及びC.I.アシッドレッド289よりなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料、シアンインクにはC.I.ダイレクトブルー87、オレンジインクにはC.I.アシッドオレンジ33及びC.I.アシッドオレンジ94よりなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料、ブルーインクにはC.I.アシッドブルー112及びC.I.アシッドブルー140よりなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料、ブラックインクにはC.I.アシッドブラック172を含有することを特徴とする。本実施形態に係るインクセットは、2色以上のインクにより混色して広い色再現域を確保し、様々な布帛に対して堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成する観点から、使用する酸性染料同士間で特別な相性が要求される。そのため、本実施形態で規定するような酸性染料構成とすると共に、少なくとも6色のインクセットとすることが必要となる。
本実施形態に係るインクセットを構成する各色インクは、着色剤としてそれぞれ上記で規定する酸性染料のみで構成されていてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の着色剤を併用することができる。各色インクにおいて、着色剤の総量を100質量%としたときに、上記で規定する酸性染料の含有割合が、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
本実施形態に係るインクセットを構成する各色インクにおいて、インク中の着色剤の含有量は、形成される画像の十分な発色性を得る観点及びヘッドからの吐出安定性、保存安定性の観点から、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るインクセットは、C.I.アシッドオレンジ33及びC.I.アシッドオレンジ94よりなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料を含有するオレンジインクを備える点に一つの特徴がある。従来のインクジェット捺染用インクセットは、着色剤としてC.I.アシッドオレンジ95を含有するオレンジインクを使用していた。C.I.アシッドオレンジ95は、耐光性が弱いため、形成される画像もそれに引っ張られて耐光性があまり良好ではなかった。また、本実施形態に係るインクセットは、C.I.アシッドブラック172を含有するブラックインクを備える点に一つの特徴がある。従来のインクジェット捺染用インクセットは、着色剤としてC.I.アシッドブラック52:1を含有するブラックインクを使用していた。従来のC.I.アシッドブラック52:1を用いて形成された画像は、堅牢性(染着性)が不十分であり、特に絹以外のナイロンやウール、更に絹やナイロンとウレタンとの混紡布に対する堅牢性が不十分であった。本実施形態に係るインクセットは、C.I.アシッドオレンジ33及びC.I.アシッドオレンジ94を含有するオレンジインクと、C.I.アシッドブラック172を含有するブラックインクを備えることで、様々な布帛に対して堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成することが可能となった。
また、本実施形態に係るインクセットは、C.I.アシッドブルー112及びC.I.アシッドブルー140よりなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料を含有するブルーインクを備える点にも一つの特徴がある。これらの酸性染料を含有するブルーインクを備えることで、より広い色再現域を確保でき、様々な布帛に対する堅牢性に優れた画像を形成することが可能となった。
本実施形態に係るインクセットを構成する各色インクにおいて、前記各々のインクのうち少なくとも1色に、着色剤としてC.I.アシッドバイオレット48及びC.I.アシッドバイオレット97よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含有することが
できる。これにより、マゼンタとブルーの色調を好みの色調に調色することができる。
調色の具体例を以下に示す。
マゼンタインクに含まれ得るC.I.アシッドレッド289は、色再現域が広いが、堅牢性がやや低いという性質がある。一方、マゼンタインクに含まれ得るC.I.アシッドレッド138は、色再現域はC.I.アシッドレッド289よりもやや狭いが、堅牢性が高いという性質がある。そして、C.I.アシッドレッド289とC.I.アシッドレッド138の色調は視認できる程度に異なっている。そのため、堅牢性を重要視する場合には、マゼンタインクの着色剤としてC.I.アシッドレッド138を選択することになるが、C.I.アシッドレッド138の色調が好みの色調でない場合には、該マゼンタインクにC.I.アシッドバイオレット48及びC.I.アシッドバイオレット97よりなる群から選択される少なくとも1種を添加して、マゼンタインクを好みの色調に調色して用いることができる。
同様に、ブルーインクに含まれ得るC.I.アシッドブルー112は、色再現域が広いが、堅牢性がやや低いという性質がある。一方、ブルーインクに含まれ得るC.I.アシッドブルー140は、色再現域はC.I.アシッドブルー112よりもやや狭いが、堅牢性が高いという性質がある。そして、C.I.アシッドブルー112とC.I.アシッドブルー140の色調は視認できる程度に異なっている。そのため、堅牢性を重要視する場合には、ブルーインクの着色剤としてC.I.アシッドブルー140を選択することになるが、C.I.アシッドブルー140の色調が好みの色調でない場合には、該ブルーインクにC.I.アシッドバイオレット48及びC.I.アシッドバイオレット97よりなる群から選択される少なくとも1種を添加して、ブルーインクを好みの色調に調色して用いることができる。
本実施形態に係るインクセットを構成する各色インクにおいて、各色インクの亜鉛含有量がそれぞれ50ppm以下であることが好ましい。各色インクの亜鉛含有量がそれぞれ50ppm以下であると、各色インクの保存安定性をさらに良好なものとすることができる。特に、C.I.アシッドブラック172は、絹以外のナイロンやウール、更に絹とウレタンの混紡布に対する堅牢性(染着性)に優れるが、インクの粘度が経時的に上昇する場合がある。これはC.I.アシッドブラック172を製造する際に産生される副生成物をブラックインクが含有する場合、当該副生成物と亜鉛イオンとが反応することによって、インクの粘度が経時的に上昇するという現象が起こり得る。そのため、ブラックインク中の亜鉛含有量を50ppm以下とすることで、この現象を効果的に抑制することができ、絹以外のナイロンやウール、更に絹やナイロンとウレタンとの混紡布に対する堅牢性(染着性)に優れるインクセットを構築できる。
本実施形態に係るインクセットを構成する各色インクにおいて、特定の酸性染料を市販品のままの状態で使用してもよいが、各色インクの亜鉛含有量をそれぞれ50ppm以下とする観点から、精製処理を施すことが好ましい。なお、精製処理は、酸性染料そのものに施してもよく、また酸性染料を含有するインクを調製した後に精製処理を施してもよい。精製処理としては、特に制限されず、例えば公知の再結晶方法、洗浄等を用いることができる。
1.2.保湿剤
本実施形態に係るインクセットを構成する各色のインクには、インクジェットプリンターの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性を向上させる観点から、保湿剤を含有させることが好ましい。保湿剤としては、通常のインクジェット捺染用インクに保湿剤として使用されている化合物を用いることができ、例えばグリセリン、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、およびそのエーテルまたはエステル等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。前記保湿剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは4〜40質量%である。
1.3.浸透剤
本実施形態に係るインクセットを構成する各色のインクには、布帛への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める観点から、浸透剤(インクに浸透性を付与する物質)を含有させることが好ましい。そのような浸透性有機溶剤としては、通常のインクジェット捺染用インクに浸透性有機溶剤として使用されている化合物を用いることができ、例えばエタノール、プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビトール類;トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。浸透性有機溶剤(浸透剤)の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは2〜15質量%である。
さらに、同様の観点から、各色インクには、浸透剤として、浸透性有機溶剤に加えて、浸透性界面活性剤をさらに加えてもよい。このような浸透性界面活性剤としては、通常のインクジェット捺染用インクに浸透性界面活性剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤;ポリオルガノシロキサン系界面活性剤等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を加えることができる。さらに加えても良い前記界面活性剤(浸透剤)の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.2〜2質量%である。
なお、上記の界面活性剤は市販品を用いることが可能であり、例えばアセチレングリコール系界面活性剤として、サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等を用いることが可能である。
1.4.水
本実施形態に係るインクセットを構成する各色のインクは、上記した各成分に加えて、水を含有する。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
1.5.その他の添加剤
本実施形態に係るインクセットを構成する各色のインクには、さらに必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン等の3級アルカノールアミン)、または溶解助剤等のように、インクジェット捺染用インクにおいて通常用いることができる各種添加剤の一種または二種以上を含有させることができる。
1.6.各色インクの製造及び物性
本実施形態に係るインクセットを構成する各色のインクは、上記した各成分を、分散/混合機(例えばボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等)に供給し、分散させることにより調製することができる。また、上記した分散/混合機により得られたインク原液をメンブランフィルターやメッシュフィルター等のフィルターを用いて濾過し、粗大粒子を除去することが好ましい。
本実施形態に係るインクセットを構成する各色インクは、印捺品質とインクジェット捺染用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、表面張力が25〜40mN/mであることが好ましく、28〜35mN/mであることがより好ましい。また、同様の観点から、各色インクの20℃における粘度は、1.5〜10mPa・sであることが好ましく、2〜8mPa・sであることがより好ましい。表面張力及び粘度を前記範囲内とするには、前記酸性染料の濃度を調整する方法、前記保湿剤の種類や添加量等を調整する手段等を用いることができる。
2.インクジェット捺染方法
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、上述のインクジェット捺染用インクセットを用いて布帛の一方の面にインクを付着させるインクジェット印捺工程と、前記インクを付着させた布帛面に浸透液を付着させる布帛表面処理工程と、を含むことを特徴とする。本実施形態に係るインクジェット捺染方法によれば、様々な布帛に対して堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成できる。また、布帛に浸透液を付着させることにより、インクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後に、浸透液による布帛への浸透効果を付与できる。これにより、布帛の横方向への浸透が抑制され、インク滲みを低減することができる。
2.1.インクジェット印捺工程
インクジェット印捺工程は、インクジェット方式により、上述のインクセットを構成する各色のインクを布帛の印捺面に付着させることにより行われる。具体的には、インクジェットプリンターのインクカートリッジに各色インクを充填して、記録ヘッドからインク滴を布帛に対して吐出することにより行われる。インクジェットプリンターとしては、コンティニュアス方式、ドロップオンデマンド方式等を適用することが可能であるが、ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターが好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターには、ピエゾ方式(記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う方法)、サーマル方式(記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等によって発生した気泡を用いて記録を行う方法)等があり、いずれのインクジェット方法を採用することもできるが、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット印捺工程において、各色インクの蒸発速度は、浸透液の布帛に対しての付着量や、捺染を行う環境によって影響を受けやすい。また、各色インクは、水を含有していることから蒸発しやすい。よって、インクジェット捺染工程は、21〜25℃で、45〜55%RHの環境下で実施されることが好ましい。
2.2.布帛表面処理工程
次いで、インクを付着させた印捺面に浸透液を付着させる布帛表面処理工程を行う。インクが布帛の厚み方向へ染み込んだ後に、インクを付着させた印捺面に浸透液を付着させ
ることにより、インク滲みを低減することができる。
布帛表面処理工程は、インクジェット印捺工程において布帛に付着したインクが布帛から完全に蒸発する前に行うことが好ましい。なお、「完全に蒸発する」とは、インク中の酸性染料を溶解する液体成分が布帛上に残存していない状態を意味する。
本実施形態においては、浸透液の布帛に対する付着量は、布帛に対するインク塗布量の70〜130%であることが好ましい。浸透液の付着量を上記範囲内とすることにより、インク滲みを効果的に低減することができる。
本実施形態で用いられる浸透液には、浸透剤の他、水、pH調整剤、その他の添加剤を含有することができる。
浸透剤としては、インクジェット捺染インクにおいて通常用いられる浸透性有機溶剤や浸透性界面活性剤を好適に用いることができる。このような浸透性有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社製:ニューコール1006)、テトラエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社製:ニューコール1004)等の多価アルコールのアルキルエーテル類;尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。また、多価アルコールのアルキルエーテル類としては、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルを一種または二種以上を組み合わせて用いてもよい。浸透液は、上記した浸透性有機溶剤を、浸透液の全質量に対して10〜30質量%含むことが好ましい。
また、浸透性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)、オルフィンE1010、オルフィンSTG、オルフィンY(何れも商品名、日信化学工業株式会社製)等のアセチレングリコール系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤;KF−353A、KF6017、X−22−6551、AW−3(何れも商品名、信越化学工業株式会社製)等のオルガノポリシロキサン系界面活性剤等を挙げることができる。浸透液は、上記した浸透性界面活性剤を0.1〜3質量%含むことが好ましい。
本実施形態において用いられる浸透液は、各色インクとのpHの調整を行うために、pH調整剤としての有機アミンを含有してもよい。有機アミンとしては、三級アミンが好ましく使用でき、例えばトリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。有機アミンの含有量は、浸透液の全質量に対して、0.05〜3質量%である。
本実施形態において用いられる浸透液は、上記した各成分に加えて水を含有する。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本実施形態において用いられる浸透液は、さらに必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、溶解助剤等、インクジェット捺染用インクにおいて通常用いることができる各種添加剤の一種または二種以上を含有することができる。
本実施形態においては、布帛表面処理工程についてもインクジェット方式で行うことが好ましい。すなわち、上述のインクジェット印捺工程と同様に、浸透液をカートリッジに充填して、プリンターヘッドから浸透液の液滴をインクを付着させた印捺面に対して吐出することにより行われることが好ましい。なお、その場合には、インクジェット印捺工程と同様のインクジェット方式、実施環境とすることが好ましい。布帛表面処理工程についてもインクジェット方式で行うことにより、布帛のインクを付着させた印捺面にオンデマンドで浸透液を吐出することができ、またプロセスが簡素となって生産性が向上する点で好ましい。
2.3.前処理工程
本実施形態に係るインクジェット捺染方法では、上記したインクジェット印捺工程、布帛表面処理工程を行う前に、予め布帛の前処理を行ってもよい。布帛の前処理には、公知の前処理剤を用いることができ、前処理剤は、一般に、糊剤、pH調整剤、及びヒドロトロピー剤を含み、更に場合によりシリカを含むことができる。
糊剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海草類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム、アルギン誘導体、あるいは、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊、エマルジョン等が用いられる。
また、pH調整剤としては、酸アンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウムが望ましい。更に、ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、又はジメチルチオ尿素等のアルキル尿素が挙げられる。
2.4.後処理工程
本実施形態に係るインクジェット捺染方法では、上記のインクジェット印捺工程を実施した後、染料固着処理を行うことが好ましい。染料固着処理は、例えば公知のスチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて定着操作を行うことができる。具体的には、例えば温度102℃の高加湿条件下で30分間スチーミング処理を行う。
その後、洗浄操作を行う。具体的には、布帛を水道水で揉み洗いした後に、50℃程度の温水中に、ノニオン性ソーピング剤を添加し、時々撹拌しながら15分間程度浸ける。浴比(印捺布質量/浴質量)は1/50であることが好ましい。更に洗浄液中に水道水を入れながら手揉み洗いをする。十分に水洗した後に布を乾燥させ、アイロンを掛けて印捺布を得ることができる。
2.5.プリンターヘッド
上記した通り、本実施形態におけるインクジェット捺染方法は、サーマル方式、コンティニュアス方式、又はピエゾ方式などの任意のインクジェット方式に適用することができるが、好適にはピエゾ方式である。
また、本実施形態において、各色インクや浸透液をプリンターヘッドに充填して吐出する際には、このプリンターヘッドのノズルプレート表層部分に撥インク処理を施してあることが望ましい。撥インク処理を施すことにより、インクの飛行曲がりが発生しにくく
なり、布帛上に再現性の優れた所望の画像を印捺することができる。
また、撥インク処理は、ノズル孔内面にも施すことが好ましい。内面に施すことにより、インクメニスカス位置が安定し、更に吐出安定性が向上する。また、ノズルプレート表面にインクが出にくくなり、ノズル表面の撥インク性を、より長時間維持することができる。
ノズルプレートには、所望の口径を有する孔を設けることができる。ノズルプレートの構成材料としては、金属、セラミックス、シリコン、硝子、又はプラスチック等を挙げることができ、好ましくはチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、錫、又は金等の単一材、若しくはニッケル−リン合金、錫−銅−リン合金、銅−亜鉛合金、又はステンレス鋼等の合金や、ポリカーボネート、ポリサルフォン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン、又は各種の感光性樹脂で形成されていることが望ましい。
これらの材料表面を撥インク処理する方法は、特に限定されないが、例えば、ニッケルイオンと撥水性高分子樹脂粒子を電荷により分散させた電解液中に浸漬し、電解液を攪拌しながら浸漬されているノズルプレート表面に共析メッキする方法が好ましい。この共析メッキに使用する撥水性高分子樹脂材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルコキシブタジエン、ポリフルオロビニリデン、ポリフルオロビニル、又はポリジパーフルオロアルキルフマレート等の樹脂を単独に又は混合して用いることが好適である。また、金属材料としては、ニッケルに限定する必要はなく、例えば銅、銀、錫、又は亜鉛等を適宜選択することができる。好ましくは、ニッケル、ニッケル−コバルト合金、又はニッケル−ホウ素合金等のように、表面硬度が大きく、対摩耗性に優れる材料が適している。
2.6.布帛
本実施形態によるインクジェット捺染方法において好適に使用される布帛としては、ポリアミド系繊維及び/又はセルロース系繊維からなる布帛(例えば、織物、網物、または不織布)が挙げられる。セルロース系繊維としては、例えば綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等が挙げられる。ポリアミド系繊維としては、例えば絹、ウール、ナイロンが挙げられる。本実施形態に係るインクジェット捺染方法によれば、上述のインクセットを用いるため、絹だけでなくナイロンやウール、及び絹やナイロンとウレタンとの混紡に対する堅牢性及び耐光性に優れた画像を形成することができる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
3.1.浸透液の調製
下記の表1に示した組成に従い、各成分を混合して浸透液を調製した。なお、表1中、TEG−m−BEとはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを表し、プロキセルX
L2は、ロンザジャパン株式会社製の防黴剤(防腐剤)を表す。表1中の数値は、質量%を表す。
Figure 0006696595
3.2.インクセット(各色インク)の調製
下記の表2〜表5に従って各成分を混合し、6色の各色インクを調製し、これをインクセットとした。なお、表2中、TEG−m−BE及びプロキセルXL2は、表1と同様のものを表し、EDTAはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを表す。表2〜表5中の数値は、質量%を表す。
Figure 0006696595
Figure 0006696595
Figure 0006696595
表4において、“Acid Orange 33”は、以下のようにして精製されたものを使用した。すなわち、未精製のアシッドオレンジ33染料(Haihang Industry社製)7.0gを水100gに溶解し、これに50gの活性炭素(粒状)を入れ、1日攪拌した。濾過で活性炭を除いた後、エバポレーターと減圧乾燥により染料固体を得た。
Figure 0006696595
3.3.インクジェット捺染及び評価方法
<ガマット体積>
実施例及び比較例の各インクセットをインクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)を用いて、解像度1440×720dpiで、布帛の表面(印捺する面)に印捺した。この際、単色のDuty100%を13mg/inchとし、混合色のDutyを120%、16mg/inchとした。これらの各Dutyを最高Dutyとし、各単色インクのDutyが0%〜100%の範囲内で、Dutyを3%ごとに変化させ、かつ、各インクの総組合せを行うことによって、各インクセットで再現可能な色を全て印捺し、各記録物を得た。なお、布帛には、絹、羊毛、ナイロンとウレタンの混紡の3種類を使用した。
この各記録物の各色を、グレタグ社製グレタグマクベスSPM50を用いて、視野角2
度、D50光源で測定し、CIEで規定する、Lを得た。
このようにして得られた値から、CIEで規定する、L値が全て1であるときをガマット体積1として、ガマット体積(=色再現性)を求めた。この値から、以下のように判定した。
A:ガマット体積が、35,000以上。
B:ガマット体積が、25,000以上、35,000未満。
C:ガマット体積が、20,000以上、25,000未満。
D:ガマット体積が、20,000未満。
<洗濯堅牢性>
インクジェット印捺工程として上記した6色のインクセットを8列(8色分)のノズル列を有するインクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)のヘッド6列にそれぞれ充填し、残りの2列の内の1列に浸透液をセットし、布帛の表面(印捺する面)に1440×720dpiの解像度で色インク100%dutyと浸透液100%duty(合計200%duty)のベタ印刷(布帛の単位面積あたり1インクの塗布量が20mg/inch)を行った。このようにして、ベタ印刷を行った捺染物を各色ごとに用意した。なお、布帛には、絹、羊毛、ナイロンとウレタンの混紡の3種類を使用した。次いで、スチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて102℃の高加湿条件下で30分間スチーミング処理を行い得られたた捺染物を、ISO 105−C10:2006に準じた方法で洗濯堅牢性評価を実施した。評価基準は、以下の通りである。
A:インクセットの洗濯堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が4級以上である。B:インクセットの洗濯堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が3級以上、4級未満である。
C:インクセットの洗濯堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が2級以上、3級未満である。
D:インクセットの洗濯堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が2級未満である。
<汗堅牢性>
インクジェット印捺工程として上記した6色のインクセットを8列(8色分)のノズル列を有するインクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)のヘッド6列にそれぞれ充填し、残りの2列の内の1列に浸透液をセットし、布帛の表面(印捺する面)に1440×720dpiの解像度で色インク100%dutyと浸透液100%duty(合計200%duty)のベタ印刷(布帛の単位面積あたり1インクの塗布量が20mg/inch)を行った。このようにして、ベタ印刷を行った捺染物を各色ごとに用意した。なお、布帛には、絹、羊毛、ナイロンとウレタンの混紡の3種類を使用した。次いで、スチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて102℃の高加湿条件下で30分間スチーミング処理を行い得られたた捺染物を、ISO 105−E04:1994に準じた方法で汗堅牢性(酸性汗耐性、アルカリ性汗耐性)評価を実施した。評価基準は、以下の通りである。
A:インクセットの汗堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が4級以上である。
B:インクセットの汗堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が3級以上、4級未満である。
C:インクセットの汗堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が2級以上、3級未満である。
D:インクセットの汗堅牢性について、最もレベルが低い色の結果が2級未満である。
<耐光性>
インクジェット印捺工程として上記した6色のインクセットを8列(8色分)のノズル
列を有するインクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)のヘッド6列にそれぞれ充填し、残りの2列の内の1列に浸透液をセットし、布帛の表面(印捺する面)に1440×720dpiの解像度で色インク100%dutyと浸透液100%duty(合計200%duty)のベタ印刷(布帛の単位面積あたり1インクの塗布量が20mg/inch)を行った。このようにして、ベタ印刷を行った捺染物を各色ごとに用意した。なお、布帛には、絹、羊毛、ナイロンとウレタンの混紡の3種類を使用した。次いで、スチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて102℃の高加湿条件下で30分間スチーミング処理を行った後、ラッコールSTA(明成化学株式会社製、界面活性剤)を0.2質量%含む水溶液を用いて55℃で10分間洗浄し、乾燥させ、得られたた捺染物を、Xenon耐光性試験機を用いて、ISO 105−B02:1994に準じて耐光性評価を実施した。耐光性の評価基準は、以下の通りである。A:インクセットの耐光性について、最もレベルが低い色の結果が5級以上である。
B:インクセットの耐光性について、最もレベルが低い色の結果が4級以上、5級未満である。
C:インクセットの耐光性について、最もレベルが低い色の結果が3級以上、4級未満である。
D:インクセットの耐光性について、最もレベルが低い色の結果が3級未満である。
<保存安定性>
表6に記載の各成分を混合・撹拌することにより、インクジェット捺染用ブラックインク1〜3を調製した。なお、表6中、PD002Wは、オルフィンPD002W(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)を表す。この各ブラックインクをインクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)のヘッド内に充填した。充填後、ノズルチェックパターンを印刷して、充填不良・ノズル目詰まりのないことを確認してから、プリンターの電源をOFFにして、ヘッドをホームポジションに戻した状態にして、温度40℃、湿度10〜20%RHの環境下で2週間放置した。放置後、必要に応じてクリーニング動作を行って、ノズルチェックパターンを30枚連続で印刷した。このときのノズル抜けの数を観察することにより、インクの保存安定性を評価した。その評価基準を以下に示す。
A:30枚連続で吐出したときのノズル抜けなし。
B:30枚連続で吐出したときのノズル抜けが1個以上5個未満。
C:30枚連続で吐出したときのノズル抜けが5個以上。
Figure 0006696595
3.4.評価結果
実施例及び比較例の各インクセットで使用した各インクの組成、並びに評価試験の結果を、表2〜表6に示した。
表3〜表5の結果より、実施例1〜3のインクセットにおいても、広い色再現域を確保できることが判った。また、実施例1〜3のインクセットにおけるオレンジのベタ画像は、比較例1のインクセットにおけるオレンジのベタ画像よりも洗濯堅牢性、汗堅牢性及び耐光性の点で優れており、全体としての洗濯堅牢性、汗堅牢性及び耐光性についても実施例1〜3のインクセットの方が優れていた。
また、表6の結果より、C.I.アシッドブラック172を含有するブラックインクにおいて、インク中に含まれる亜鉛量が50ppmを超える場合には、経時的に粘度が高くなり、ノズル抜け発生の数が増大することが判った。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (5)

  1. インクジェット捺染用インクセットを用いて布帛の一方の面にインクを付着させるインクジェット印捺工程と、
    前記インクと同時に布帛面に浸透液を付着させる布帛表面処理工程と、
    を含むインクジェット捺染方法であって、
    前記インクジェット捺染用インクセットが、
    着色剤としてC.I.アシッドイエロー79を含有するイエローインクと、
    着色剤としてC.I.アシッドレッド138及びC.I.アシッドレッド289よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するマゼンタインクと、
    着色剤としてC.I.ダイレクトブルー87を含有するシアンインクと、
    着色剤としてC.I.アシッドオレンジ33及びC.I.アシッドオレンジ94よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するオレンジインクと、
    着色剤としてC.I.アシッドブルー112及びC.I.アシッドブルー140よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するブルーインクと、
    着色剤としてC.I.アシッドブラック172を含有するブラックインクと、
    を備えるインクジェット捺染方法
  2. 前記各々のインクが、着色剤の総量を100質量%としたときに、それぞれ前記着色剤として含有する酸性染料を50質量%以上含有する、請求項1に記載のインクジェット捺染方法
  3. 前記各々のインクのうち少なくとも1色に、着色剤としてC.I.アシッドバイオレット48及びC.I.アシッドバイオレット97よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含有する、請求項1または請求項2に記載のインクジェット捺染方法
  4. 前記各々のインクの亜鉛含有量がそれぞれ50ppm以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法
  5. 前記浸透液がトリエチレングリコールを含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか
    一項に記載のインクジェット捺染方法。
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