JP2007180523A - サーミスタ - Google Patents

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雷太 深山
Arata Yanagawa
新 柳川
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知博 山浦
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有己 宮原
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Abstract

【課題】 簡単な構成で薄く熱応答性が良く、耐久性も高いサーミスタを提供する。
【解決手段】 セラミック基板14上にサーミスタ抵抗体16が形成され、表面に保護膜18が設けられたチップ状のサーミスタ素子12を備える。サーミスタ素子12の両端の端面の外部電極24に接合された丸線から成る一対のリード線26と、サーミスタ素子12及びリード線26を挟持して積層された一対の樹脂フィルム30とから成る。サーミスタ抵抗体16は、厚膜サーミスタ組成物をセラミック基板14上に塗布して形成されたもので、絶縁性ガラスの保護膜18により被覆されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、温度変化に伴って抵抗値が変化し、温度センサ等に用いられるサーミスタに関する。
従来、特許文献1に開示されているように、サーミスタ素子を絶縁性シートで被覆したサーミスタは、サーミスタ組成物の塊を直方体形状に分割したバルク体のサーミスタ素子を備え、金属板を打ち抜いて形成したリードフレームの端子間にこのサーミスタ素子をハンダ付けされて形成されている。このサーミスタ素子とリードフレームの端子を被覆した絶縁性シートは、ポリイミド等の絶縁性フィルムであり、一対のリード端子の一部が露出して成るものである。
また、特許文献2に開示されているように、ポリイミドやポリエステルの可撓性のテープ表面に、サーミスタチップとリード線を設け、その表面を絶縁性樹脂でコーティングし、サーミスタチップの熱応答性を良くするために、テープ裏面に金属板やセラミック板等の高熱伝導材層を設けたものも提案されている。
特開平8−54292号公報 特開平8−68699号公報
しかしながら、前記特許文献のサーミスタの構造は、金属板を打ち抜いて形成した断面が矩形のリード端子を有したもので、端子の屈曲に対する耐久性が低く、信頼性も低いものであった。また、サーミスタ組成物のバルク体のサーミスタ素子は、電解液等の薬剤に対する耐久性が低く、例えば二次電池パックに収納され温度センサとして用いられた場合の、電解液の漏れに対する信頼性に問題があった。即ち、表面のフィルムや樹脂コーティングが破られると、サーミスタ素子が露出し、特性が変化したりするという問題があった。
この発明は、上記従来の技術に鑑みて成されたもので、簡単な構成で厚みが薄く熱応答性が良く、耐久性も高いサーミスタを提供することを目的とする。
この発明は、セラミック基板上にサーミスタ抵抗体が形成され、表面に保護膜が設けられたチップ状のサーミスタ素子と、このサーミスタ素子の両端の端面電極に接合された一対のリード線と、前記サーミスタ素子及びリード線を挟持して積層された一対の樹脂フィルムから成るサーミスタである。
前記樹脂フィルムは、難燃性の接着剤により前記サーミスタ素子及びリード線を密封して挟持し、前記一対のリード線端部が、前記樹脂フィルム端部から一部延出しているものである。
またこの発明は、セラミック基板上にサーミスタ抵抗体が形成され、表面に保護膜が設けられたチップ状のサーミスタ素子と、このサーミスタ素子の両端の端面電極に接合された一対のリード線と、前記サーミスタ素子及びリード線を被覆した絶縁性の樹脂被覆から成るサーミスタである。
前記樹脂被覆は、前記サーミスタ素子を、樹脂中に浸漬、粉体塗装、または樹脂成型のいずれかにより形成したものである。
前記サーミスタ抵抗体は、厚膜サーミスタ組成物を前記セラミック基板上に塗布して形成されたもので、絶縁性ガラス又はエポキシ樹脂の前記保護膜により密封されている。また、前記リード線は、銅の丸線にスズメッキ等のメッキコーティングを施した単線から成るものである。
この発明のサーミスタは、熱応答性が良く、耐電圧性能、機械的耐久性及び耐薬品性が高いものである。また、異常電圧により確実に絶縁し、異常電流による発煙、発火の恐れが無く、安全なものである。これにより、二次電池等の温度センサとして、応答性良く正確に温度を検知することができ、しかも薄型化が容易であり、電子機器の小型化、軽量化にも寄与する。
以下、この発明の第一実施の形態について、図1〜図3に基づいて説明する。この実施形態のサーミスタ10は、例えば図1に示すような、表面実装型のチップ型サーミスタ素子12から成る。サーミスタ素子12は、高純度アルミナ基板等のセラミック基板14上に、金属酸化物等から成るサーミスタ組成物を塗布したサーミスタ抵抗体16を備える。
サーミスタ抵抗体16は、セラミック基板14の両端の内部電極20間に形成され、内部電極20の外側には、さらに中間電極22が形成され、中間電極22及びその周囲の内部電極20の表面は、Niメッキ層等による外部電極24で覆われている。そして、サーミスタ抵抗体16の表面は、絶縁性ガラスによる保護膜18で被覆されている。
サーミスタ抵抗体16の成分は、例えばMnとCoの2成分を含有する混合水溶液、或いはさらに、Ni、Cu、Zn等のうちの1成分または2成分(以下A、Bと表す)を混合した混合水溶液にシュウ酸水溶液を加え、次の化学式
Mnp Coq Ar Bs O
(ここで、p+q+r+s=3、1≦p、1<q≦2、0≦r+s≦1)
で示される組成となる割合に共沈させ、この沈殿物を精製し、熱分解して得られるスピネル構造の酸化物粉末と、バインダガラス、導体粉末を混練した組成物から成る。導体粉末としては、Au、或いはAgとPdの化合物を1〜30質量%用いる。
サーミスタ素子12の両端の外部電極24には、両端面に各々銅の丸線の単線に1μm程度の厚みでスズメッキ等のメッキコーティングを施した一対のリード線26がハンダ付けされている。そして、サーミスタ素子12と所定長さの一対のリード線26は、臭素系難燃剤を含む熱可塑性樹脂から成る絶縁性の接着剤28により、2枚の絶縁性の樹脂フィルム30に挟持されて密封されている。樹脂フィルム30はPET(ポリエチレンテレフタレート)等であり、リード線26の基端部は、樹脂フィルム30の端縁から延出している。
次に、この実施形態のサーミスタの製造方法について説明する。まず、サーミスタ素子12は、セラミック基板14の両端の内部電極20を印刷し焼成する。次に、厚膜サーミスタ組成物のペーストを用いて、セラミック基板14表面に厚膜サーミスタ抵抗体材料を印刷し、焼成する。
厚膜サーミスタ組成物のペーストの製造は、MnCl・4HO、CoCl・6HO、及びNiCl・6HOを、それぞれスピネル構造の所定の組成物となるように秤量し、水に溶かして0.5mol/lの水溶液とする。これに、0.2mol/lのシュウ酸アンモニウム水溶液を所定量加え、室温で攪拌し、シュウ酸塩を共沈させる。
次に、この沈殿物を吸引濾過して120℃で乾燥した後、空気中900℃で2時間熱分解し、スピネル構造酸化物を得る。なお、この組成物は上記組成の他、サーミスタ定数により、MnCl・4HO、CoCl・6HO単体、或いはNiCl・6HOをCuCl・2HO、さらにZnCl等の組成物としても良い。
得られたスピネル構造酸化物を、乾式・湿式粉砕し、所定の粒子サイズに揃える。例えば平均粒径が粉砕後、0.5〜1.8μm径の粒子サイズに設定する。このスピネル構造酸化物粉末と、バインダガラス粉末を所定量秤量する。バインダガラス粉末は、サーミスタ酸化物とほぼ同粒子サイズで、ガラス転移点が、500℃〜700℃であって、SiO:30質量%、B:25質量%、BaO:20質量%、CaO:10質量%、Al:6.5質量%、NaO:5.5質量%、MgO:3.0質量%、を組成とするガラスフリットである。
この混合物に、有機ビヒクル(エチルセルロースとターピネオールを主成分とする)を加えて、ボールミル内に投入し、各成分粉末を攪拌・分散させ、この後、自動混合機で混練し、印刷可能な厚膜サーミスタ組成物のペーストを作り上げる。
そして、厚膜サーミスタ抵抗体材料を印刷し、焼成してサーミスタ抵抗体16を形成した後、内部電極20、中間電極22、及び保護膜18を適宜形成して焼成し、分割してチップ状の個々のサーミスタ素子12にする。
個々のチップ状のサーミスタ素子12には、その両端の外部電極24の各端面に、各々銅の丸線の単線から成る一対のリード線26をハンダ付けする。そして、樹脂フィルム30の表面に接着剤28を塗布し、サーミスタ素子12がハンダ付けされたリード線26を載せ、さらにその上に接着剤28が塗布された樹脂フィルム30を貼り合わせて、サーミスタ素子12とリード線26を密封する。
この実施形態のサーミスタ10は、二次電池に取り付けられ過充電時の発熱を検知し、回路を遮断するためのセンサ等として用いられる。
この実施形態のサーミスタ10は、耐久性の高いチップ状のサーミスタ素子12に丸線の単線のリード線26をハンダ付けし、樹脂フィルム30により挟んで密封して成るものであり、電解液等の耐薬品性が高く、リード線30の屈曲耐久性も高く、断線等の不良が生じにくいものである。また、サーミスタ素子12は薄型化され、樹脂フィルム30により積層された構造であり、薄く熱応答性も高いものである。リード線26は、メッキコートしてあるので、ハンダ濡れ性が良く、確実なハンダ付けが可能となる。
さらに、セラミック基板14票面にサーミスタ抵抗体16が形成されているので、サーミスタ素子12の体積が小さいわりには、サーミスタ抵抗体16の表面積が大きく、熱放散性が良い。さらに、セラミック基板14の両端の外部電極24に銅の単線のリード線26がハンダ付けされ、リード線26の熱伝導率が高く、リード線26を介しての熱の放散性も良い。従って、このサーミスタ10が取り付けられた電子部品に異常電流が流れても、発火や発煙がし難いものである。しかも、従来のサーミスタと比較して、過電圧に対して熱暴走し難く、耐電圧値が高く、簡単に異常発熱したり燃焼したりすることが無く、安全性が高い。また、サーミスタ抵抗体16は過電圧に達すると断線して、電気的に不導通状態となり、確実に電流を遮断し、発熱を防ぐ。
また、銅の丸線の単線のリード線26は、Fe-Niの単線のリード線と比較して、繰り返しの曲げに対しては、耐久性が高く、繰り返しの曲げ伸ばしに対して容易に断線することがない。
次にこの発明の第二実施形態について図4を基にして説明する。ここで、上記実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のサーミスタ31は、サーミスタ素子12が、銅の撚り線32から成るリード線34にハンダ付けされているものである。リード線34は、撚り線32を絶縁性樹脂チューブ36により被覆したもので、さらに撚り線32の表面はハンダ付け性を高めるために予め予備ハンダによるコーティングを施したものが好ましい。
この実施形態のサーミスタ素子12は、リード線34の先端部の絶縁性樹脂チューブ36を剥離した撚り線32の先端部にハンダ付けされている。そして、サーミスタ素子12及び絶縁性樹脂チューブ36を剥離した部分の撚り線32を覆うように、絶縁性樹脂被覆38が設けられている。絶縁性樹脂被覆38は、エポキシ樹脂等であり、サーミスタ素子12の部分を液体のエポキシ樹脂中に浸漬し、乾燥固化して形成する。
この実施形態のサーミスタ31も、上記実施形態と同様の効果を有するものである。
次にこの発明の第三実施形態について図5を基にして説明する。ここで、上記実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のサーミスタ41は、サーミスタ素子12が、上記第一実施形態と同様に、銅の丸線の単線のリード線26の先端部にハンダ付けされたものである。そして、サーミスタ素子12及びリード線26の先端部を覆うように、粉体塗装により絶縁性樹脂被覆42が設けられている。絶縁性樹脂被覆42は、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等であり、サーミスタ素子12の部分に粉体塗料を付着させ、焼き付けして形成する。
この実施形態のサーミスタ41も、上記実施形態と同様の効果を有するものである。
次にこの発明の第四施形態について図6を基にして説明する。ここで、上記実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のサーミスタ43も、サーミスタ素子12が、上記第一実施形態と同様に、銅の丸線の単線のリード線26の先端部にハンダ付けされたものである。そして、サーミスタ素子12及びリード線26の先端部を覆うように、絶縁性樹脂の成型体による樹脂被覆44が設けられている。樹脂成型被覆44は、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等であり、サーミスタ素子12の部分を金型に配置して樹脂を流し込み成型する。
この実施形態のサーミスタ43も、上記実施形態と同様の効果を有するものである。
なお、この発明のサーミスタは上記実施形態に限定されるものではなく、サーミスタ素子の形状や樹脂フィルムの形状、厚さは適宜設定可能なものである。また、保護膜も絶縁性ガラスの他、エポキシ樹脂による被膜やその他樹脂系の保護被膜でも良い。
次に、この発明のサーミスタの実施例について行った試験結果を以下に述べる。まず、このサーミスタの二次電池の電解液に対する耐薬品性について試験した。薬品は、二次電池用のアルカリ電解液を用い、樹脂フィルム30内に積層されたサーミスタ10を24時間電解液に浸漬させ、水洗、自然乾燥したものについて試験を行った。比較例として、従来のフィルム被覆サーミスタについても、同様に試験した。
この結果、この実施例のサーミスタは、いずれも抵抗値及びB定数もほとんど変化が無く、高い耐久性を有することが確かめられた。一方、比較例は、抵抗値及びB定数ともに、100%前後の変化が現れ、電解液に対する耐久性が低いものであった。この試験結果を表1に示す。
Figure 2007180523
次に、本発明の実施例について、リード線の屈曲耐久性試験を行った。樹脂フィルムに積層した状態で、2mm間隔でリード線を挟持し、左右に90°折り曲げて、断線するまでの屈曲回数を数えた。
この結果、本発明の実施例の場合、平均10回の耐久性があったのに対して、比較例である従来のサーミスタの断面が矩形のリード線端子の場合、7回で断線した。従って、本願発明の端子構造の場合、屈曲に対する耐久性も高いことが確かめられた。この結果を、表2に示す。
Figure 2007180523
次に、この実施例のサーミスタと、特許文献1に開示されたタイプの従来品の印加電圧に対する電流値と温度の関係を図7,図8のグラフに示す。本発明の実施例においては、図7に示すように、破壊に至る電圧が13.2Vであり、温度上昇はほとんど無く、破壊した後は絶縁状態となり、電流値は0となった。これに対して、従来品の場合、図8に示すように、破壊電圧が8.5Vであり、破壊した後は短絡状態となり、電流及び温度が急激に上昇し、発煙し発火状態となった。
これにより、本発明のサーミスタの安全性が高いことが証明された。
この発明の第一実施形態のサーミスタを示す部分破断斜視図である。 この発明の第一実施形態のサーミスタの樹脂フィルムの一方を除いた状態の平面図(a)と、断面図(b)である。 この発明の一実施例のサーミスタの斜視図である。 この発明の第二実施形態のサーミスタを示す平面図である。 この発明の第三実施形態のサーミスタを示す平面図である。 この発明の第四実施形態のサーミスタを示す平面図である。 この発明の実施例の、サーミスタの過電圧により破壊に至るまでの、印加電圧と電流及び温度の関係を示すグラフである。 従来のサーミスタの、過電圧により破壊に至るまでの、印加電圧と電流及び温度の関係を示すグラフである。
符号の説明
10 サーミスタ
12 サーミスタ素子
14 セラミック基板
16 サーミスタ抵抗体
18 保護膜
20 内部電極
22 中間電極
24 外部電極
26 リード線
28 接着剤
30 樹脂フィルム

Claims (6)

  1. セラミック基板上にサーミスタ抵抗体が形成され、表面に保護膜が設けられたチップ状のサーミスタ素子と、このサーミスタ素子の両端の端面電極に接合された一対のリード線と、前記サーミスタ素子及びリード線を挟持して積層された一対の樹脂フィルムから成ることを特徴とするサーミスタ。
  2. 前記樹脂フィルムは、接着剤により前記サーミスタ素子及びリード線を密封して挟持し、前記一対のリード線端部が、前記樹脂フィルム端部から一部延出している請求項1記載のサーミスタ。
  3. セラミック基板上にサーミスタ抵抗体が形成され、表面に保護膜が設けられたチップ状のサーミスタ素子と、このサーミスタ素子の両端の端面電極に接合された一対のリード線と、前記サーミスタ素子及びリード線を被覆した絶縁性の樹脂被覆から成ることを特徴とするサーミスタ。
  4. 前記樹脂被覆は、前記サーミスタ素子を、樹脂中に浸漬、粉体塗装、または樹脂成型のいずれかにより形成したものである請求項3記載のサーミスタ。
  5. 前記サーミスタ抵抗体は、厚膜サーミスタ組成物を前記セラミック基板上に塗布して形成され、絶縁性ガラス又はエポキシ樹脂の前記保護膜により密封されている請求項1または3記載のサーミスタ。
  6. 前記リード線は、銅の丸線にメッキコーティングを施した単線から成る請求項1,2,または3記載のサーミスタ。

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