JP2019050321A - 樹脂封止型電子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
リード線を屈曲させた状態で実装する場合を考慮すると、樹脂封止部から突出しているリード線の根元の強度が高いことが要求される。このため、例えば、筒状部材側を固定し、リード線の突出端部に5N(510g)の錘を保持させ、リード線を左右90°方向に屈曲させるリード線屈曲試験などを行って、リード線の根元強度を測定している。しかしながら、上記従来の技術では、溶融した樹脂材料を射出成形した際に、金型に接している表面の樹脂部分が急冷されて内部の柔らかい樹脂部分(以下、コア層という)よりも硬質化した層(以下、スキン層という)になるため、リード線の根元を屈曲させた際にリード線の根元に接触しているスキン層が硬いことで、リード線を曲げた際に根元に強い応力が集中して屈曲強度が弱くなってしまう不都合があった。
すなわち、この樹脂封止型電子部品では、基端樹脂部の内部でリード線が接触している部分が、先端樹脂部の表面層よりも柔らかいので、基端樹脂部の表面層だけでなく基端樹脂部の内部の柔らかいコア層でリード線の周囲が覆われていることで、よりリード線の根元に集中する応力が緩和される。
すなわち、この樹脂封止型電子部品では、リード線が、複数の導体線で構成された撚り線を備えているので、複数の導体線が撚られていることで、外力が線間摩擦によるすべり変位や熱に変換されることや曲げRが大きくなって、単線に比べて強い屈曲強度が得られる。特に、撚り線の撚りピッチを小さく設定することで、屈曲強度の向上効果をより得ることができる。
すなわち、この樹脂封止型電子部品では、電子部品本体が、サーミスタ素体であるので、リード線根元の屈曲強度に優れ、高い実装信頼性を有する温度センサが得られる。
すなわち、この樹脂封止型電子部品の製造方法では、射出成形工程が、射出後に基端樹脂部となる部分で少なくともリード線の根元の周囲に充填される樹脂材料の冷却速度を、先端樹脂部となる部分よりも低く設定した冷却工程を有しているので、射出後に基端樹脂部のリード線の根元周囲において樹脂材料の急冷が抑制され、部分的に硬質なスキン層の形成を防止して、リード線の根元周囲を柔らかい樹脂の層で保護することができる。なお、先端樹脂部では、樹脂材料の冷却速度が高いため、樹脂材料が急冷されて硬質なスキン層が形成され、高い強度を維持することができる。このように樹脂封止部の成形において、先端側の硬質性とリード線根元周囲の軟質性とを両立することができる。
すなわち、この樹脂封止型電子部品の製造方法では、熱源により射出成形金型のうち前記基端樹脂部に対応する部分の周囲を予め加温するので、熱源の加温によりリード線の根元周囲において樹脂材料の急冷が抑制されると共に冷却速度の制御も可能になる。また、基端樹脂部となる部分の近傍に配されたリード線自体も熱源により加温されることになり、基端樹脂部内でリード線に接触している部分も比較的柔らかいコア層となる。
すなわち、この樹脂封止型電子部品の製造方法では、射出成形金型が、キャビティの基端樹脂部に対応する部分の周囲に、先端樹脂部に対応する部分の周囲よりも熱伝導率の低い低熱伝導部を有しているので、キャビティ内に射出された樹脂材料が、低熱伝導部内では熱伝導が悪く、他の部分よりも冷却速度が低くなって、基端樹脂部となる部分の急冷を抑制することができる。
すなわち、この樹脂封止型電子部品の製造方法では、冷却工程において、リード線を予め加温する工程を有しているので、加温されたリード線に接触する部分の樹脂材料の冷却速度が低くなり、硬質な層の発生を抑制することができる。
すなわち、本発明に係る樹脂封止型電子部品によれば、基端樹脂部の表面層のうち少なくともリード線の周囲が、先端樹脂部の表面層よりも柔らかいので、比較的柔らかい層でリード線の根元が保護され、リード線を根元で屈曲させてもリード線根元に集中する応力が緩和され、強い屈曲強度を得ることができる。
また、本発明に係る樹脂封止型電子部品の製造方法によれば、射出成形工程が、射出後に基端樹脂部となる部分で少なくともリード線の根元の周囲に充填される樹脂材料の冷却速度を、先端樹脂部となる部分よりも低く設定した冷却工程を有しているので、射出後に基端樹脂部のリード線の根元周囲において樹脂材料の急冷が抑制され、部分的に硬質なスキン層の形成を防止して、容易に本発明の樹脂封止型電子部品を作製することができる。
上記樹脂封止部4は、筒状部材3内に電子部品本体2を挿入した状態で筒状部材3内に樹脂材料を射出成形により充填して形成されている。
この樹脂封止部4は、筒状部材3の先端開口部を覆って充填されている先端樹脂部4Aと、筒状部材3の基端開口部を覆って充填されている基端樹脂部4Bとを有している。
また、基端樹脂部4Bの内部でリード線5が接触している部分4cは、先端樹脂部4Aの表面層4aよりも柔らかい。
なお、上記樹脂封止部4及び筒状部材3は、例えば樹脂材料としてポリプロピレン(PP)等の汎用プラスチックで形成されている。
特に、本実施形態のサーミスタ素体は、例えばMn−Co系複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4系複合金属酸化物)又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cu、Alのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物)からなるスピネル系の複合金属酸化物膜を有したものである。
また、サーミスタ素体として、Mn,CoおよびFeの金属酸化物を含有するセラミックス焼結体、すなわちMn−Co−Fe系材料で形成されたものを採用しても構わない。
また、リード線5は、1本の銅線が被覆された単線が使用されている。
この冷却工程を行うために、キャビティ13cの基端樹脂部4Bに対応する部分の近傍に熱源14を備えた射出成形金型10を用いる。
すなわち、冷却工程において、熱源14により射出成形金型10のうち前記基端樹脂部4Bに対応する部分の周囲予め加温する。
上記射出成形金型10では、キャビティ13c内に溶融した樹脂材料を注入するためのスプール13a及びランナ13bが、熱源14とは反対側に配されており、筒状部材3の先端開口部側から溶融した樹脂材料が注入されるように配される。
なお、硬質なスキン層であるか、柔らかいコア層であるかは、X線回折等による分析で比較して判別することが可能である。
したがって、電子部品本体2をサーミスタ素体とすることで、リード線5根元の屈曲強度に優れ、高い実装信頼性を有する温度センサが得られる。
また、低熱伝導部24と低熱伝導部24以外の金型10の部分とを同じ材質で形成した場合、低熱伝導部24を樹脂コーティングし、低熱伝導部24以外の射出成形金型10の部分よりも熱伝導率を下げても構わない。
すなわち、第3実施形態の樹脂封止型電子部品31の製造方法では、冷却工程において、リード加温機構32によりリード線35を予め加温する工程を有している。
上記リード加温機構32は、例えば射出成形金型30から突出しているリード線35を直接加温するヒータ等で構成されている。
例えば、上記各実施形態では、電子部品本体にサーミスタ素体を採用したサーミスタ素子に適用したが、他の電子部品本体としてICチップ、チップ状のRFID、抵抗やコンデンサを採用した抵抗部品やコンデンサ部品等としても構わない。
Claims (8)
- チップ状の電子部品本体と、
前記電子部品本体に先端側が接続されたリード線と、
前記電子部品本体を内部に収納する筒状部材と、
前記リード線の基端側を外部に突出させた状態で前記電子部品本体と前記筒状部材との間に充填されて前記電子部品本体を樹脂材料で封止する樹脂封止部とを備え、
前記樹脂封止部が、前記筒状部材の先端開口部を覆って充填されている先端樹脂部と、前記筒状部材の基端開口部を覆って充填されている基端樹脂部とを有し、
前記基端樹脂部の表面層のうち少なくとも前記リード線の周囲が、前記先端樹脂部の表面層よりも柔らかいことを特徴とする樹脂封止型電子部品。 - 請求項1に記載の樹脂封止型電子部品において、
前記基端樹脂部の内部で前記リード線が接触している部分が、前記先端樹脂部の表面層よりも柔らかいことを特徴とする樹脂封止型電子部品。 - 請求項1又は2に記載の樹脂封止型電子部品において、
前記リード線が、複数の導体線で構成された撚り線と、
前記撚り線を覆った絶縁性の被覆部とを備えていることを特徴とする樹脂封止型電子部品。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂封止型電子部品において、
前記電子部品本体が、サーミスタ素体であることを特徴とする樹脂封止型電子部品。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂封止型電子部品の製造方法であって、
前記筒状部材内に、前記リード線が接続された前記電子部品本体を挿入し、この状態で射出成形金型のキャビティ内にセットする工程と、
溶融した前記樹脂材料を前記キャビティ内に射出して前記筒状部材内に充填すると共に前記樹脂封止部を成形する射出成形工程とを有し、
前記射出成形工程が、前記射出後に前記基端樹脂部となる部分で少なくとも前記リード線の根元の周囲に充填される前記樹脂材料の冷却速度を、前記先端樹脂部となる部分よりも低く設定した冷却工程を有していることを特徴とする樹脂封止型電子部品の製造方法。 - 請求項5に記載の樹脂封止型電子部品の製造方法において、
前記射出成形金型が、前記キャビティの前記基端樹脂部に対応する部分の近傍に熱源を備え、
前記冷却工程において、前記熱源により前記射出成形金型のうち前記基端樹脂部に対応する部分の周囲を予め加温することを特徴とする樹脂封止型電子部品の製造方法。 - 請求項5に記載の樹脂封止型電子部品の製造方法において、
前記射出成形金型が、前記キャビティの前記基端樹脂部に対応する部分の周囲に、前記先端樹脂部に対応する部分の周囲よりも熱伝導率の低い低熱伝導部を有していることを特徴とする樹脂封止型電子部品の製造方法。 - 請求項5に記載の樹脂封止型電子部品の製造方法において、
前記冷却工程において、前記リード線を予め加温する工程を有していることを特徴とする樹脂封止型電子部品の製造方法。
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