JP6760408B2 - 樹脂封止型電子部品 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、導線被覆材に堅く密着するプラスチック材で、多段階射出工程によりサーミスタを被覆するサーミスタと電気導線との接合体の形成方法が記載されている。この形成方法では、サーミスタを2度の射出成形により第1の射出被覆材と第2の射出被覆材とで封止して一体成形することで、特許文献1の方法よりも短時間で作製が可能である。
すなわち、上記従来の技術では、キャップを用いた注型を行う方法では、キャップに電子部品を入れ、熱硬化樹脂等を注ぎ込み、加熱硬化させて封止する工程が必要であるため、封止工程に時間及び工数がかかり信頼性の確保が難しいという不都合があった。また、特許文献1のように射出成形で電子部品を封止する方法では、スライド機構等を設けるために金型構造が複雑でセンシティブな成形条件を必要とする不都合があった。
さらに、特許文献2のように、サーミスタを射出成形により樹脂封止する場合、サーミスタを直接覆う射出被覆材となる溶融樹脂が射出成形時に金型に直接接触するため、急冷されて硬質化することで、応力が加わるとクラックが生じ易くなる問題があった。例えば、プレッシャークッカー試験(121℃、2気圧、50時間)等の環境試験を行うと、応力によりクラックが発生してしまう。
特に、電子部品本体が、金型に触れずに射出成形された柔らかい封止材で覆われていることで、応力が加わっても封止材が緩和することでクラック等が発生し難い。また、筒状部材と封止材とが同じ樹脂材料で形成されているので、熱膨張や吸水率による膨張収縮に対して応力が発生し難い。さらに、電子部材本体と樹脂材料との熱膨張係数差による応力は、筒状部材と封止材との界面のせん断方向に働き、筒状部材にクラック等が生じ難く、筒状部材の破壊に至らない。なお、筒状部材の内部に射出成形される封止材は、直接金型に触れないため、柔らかく柔軟に変形し、応力は筒状部材と後成形の封止材との界面のせん断方向に働く。
また、筒状部材内への射出成形による一体成形で電子部品本体を覆うため、高い気密性及び水密性が得られると共に、比較的簡便な工法で作製でき、短時間かつ安価に作製可能である。
すなわち、この樹脂封止型電子部品では、電子部品本体が、サーミスタ素体であるので、環境耐性に優れ、簡便な構造で短時間にかつ安価で作製可能な温度センサとなる。
すなわち、本発明に係る樹脂封止型電子部品によれば、封止材が、筒状部材内に電子部品本体を挿入した状態で筒状部材内に樹脂材料を射出成形により充填して形成され、筒状部材が、両端に開口部を有しており、筒状部材の外周面が、封止材よりも硬い層となっていると共に、開口部から露出した封止材の表面が、封止材の内部よりも硬い層となっているので、膨張収縮に対して応力が発生し難く、たとえ応力が加わってもクラック等が発生し難い。したがって、過酷な温度環境変化に対しても密着性や機密性を確保できると共に、比較的簡便な工法で作製でき、短時間かつ安価に作製可能である。このように環境耐性に優れているため、高価で高強度・高靱性のエンジニアプラスチック等を使用しなくても、耐熱仕様にあった安価な汎用プラスチックを樹脂材料として採用することも可能になる。
上記筒状部材3と封止材4とは、同じ樹脂材料で形成されている。例えば、樹脂材料としてポリプロピレン(PP)等の汎用プラスチックが採用可能である。
上記筒状部材3は、外周面に露出した外周面層3aと、内周面に露出した内周面層3bと、外周面層3aと内周面層3bとの間に介在している内部層3cとを有している。
上記内部層3c及び封止材4は、外周面層3a及び内周面層3bよりも柔らかい。すなわち、外周面層3a及び内周面層3bは、内部層3c及び封止材4よりも緻密で硬質な層である。外周面層3a及び内周面層3bは、筒状部材3を成形する際に溶融樹脂が直接金型に接触する部分であるため、急冷されて内部層3cよりも緻密で硬い層となる。
また、筒状部材3の両端開口部では、外周面層3aと内周面層3b及び内部層3cとが一体となり、緻密で硬質な層が形成される。
開口部から露出した封止材4の表面も、外周面層3a、内周面層3bと同様に、溶融樹脂が直接金型に接触する部分のため、緻密で硬い層となる。
この封止材4は、筒状部材3のリード線5の他端側が突出している開口部からリード線の突出方向に凸状に形成されている。なお、本実施形態では、筒状部材3の両方の開口部において封止材4が凸状に成形されている。
特に、本実施形態のサーミスタ素体は、例えばMn−Co系複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4系複合金属酸化物)又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cu、Alのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物)からなるスピネル系の複合金属酸化物膜を有したものである。
また、サーミスタ素体として、Mn,CoおよびFeの金属酸化物を含有するセラミックス焼結体、すなわちMn−Co−Fe系材料で形成されたものを採用しても構わない。
次に、この筒状部材3内に、リード線5が接続されコーティング層6で覆われた電子部品本体2を挿入し、この状態で射出成形金型にセットし、筒状部材3と同じ樹脂材料で筒状部材3内と筒状部材3の両端開口部とを一体成形する。
この後、射出成形金型から取り出すことで、短時間で樹脂封止型電子部品1が作製される。
また、樹脂材料で予め成形された筒状部材3の外周面層3a及び内周面層3bが緻密で硬く伸び難いが、内部層3c及び封止材4が外周面層3a及び内周面層3bよりも柔らかいので、内部層3c及び封止材4が柔軟に応力を緩和することで、クラック等の発生を抑制することができる。
さらに、封止材4が、筒状部材3のリード線5の他端側が突出している開口部からリード線5の突出方向に凸状に形成されているので、筒状部材3の開口部から突出するリード線5を柔らかい封止材4で長く覆って保護することで、突出したリード線5を切れ難くすることができる。
したがって、本実施形態の樹脂封止型電子部品1は、電子部品本体2をサーミスタ素体とすることで、環境耐性に優れ、簡便な構造で短時間にかつ安価で作製可能な温度センサが得られる。
例えば、上記実施形態では、電子部品本体にサーミスタ素体を採用したサーミスタ素子に適用したが、他の電子部品本体としてICチップ、チップ状のRFID、抵抗やコンデンサを採用した抵抗部品やコンデンサ部品等としても構わない。
Claims (2)
- チップ状の電子部品本体と、
前記電子部品本体を内部に収納する筒状部材と、
前記電子部品本体と前記筒状部材との間に充填されて前記電子部品本体を封止する封止材とを備え、
前記筒状部材と前記封止材とが同じ樹脂材料で形成され、
前記封止材が、前記筒状部材内に前記電子部品本体を挿入した状態で前記筒状部材内に前記樹脂材料を射出成形により充填して形成され、
前記筒状部材が、両端に開口部を有しており、
前記筒状部材の外周面が、前記封止材よりも硬い層となっていると共に、前記開口部から露出した前記封止材の表面が、前記封止材の内部よりも硬い層となっており、
前記開口部から露出した前記封止材が、前記開口部から断面円弧状に突出していることを特徴とする樹脂封止型電子部品。 - 請求項1に記載の樹脂封止型電子部品において、
前記電子部品本体が、サーミスタ素体であることを特徴とする樹脂封止型電子部品。
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