JP2007177274A - 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金およびその製造方法 - Google Patents

高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007177274A
JP2007177274A JP2005375454A JP2005375454A JP2007177274A JP 2007177274 A JP2007177274 A JP 2007177274A JP 2005375454 A JP2005375454 A JP 2005375454A JP 2005375454 A JP2005375454 A JP 2005375454A JP 2007177274 A JP2007177274 A JP 2007177274A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper alloy
grain size
crystal grain
cold rolling
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005375454A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3838521B1 (ja
Inventor
Takeshi Kudo
健 工藤
Yasuhiro Ariga
康博 有賀
Katsura Kajiwara
桂 梶原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2005375454A priority Critical patent/JP3838521B1/ja
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to US11/994,136 priority patent/US20090084473A1/en
Priority to KR20087000285A priority patent/KR100966287B1/ko
Priority to EP20110008840 priority patent/EP2439296B1/en
Priority to AT06766916T priority patent/ATE541953T1/de
Priority to KR1020107001619A priority patent/KR100997560B1/ko
Priority to CN2006800176835A priority patent/CN101180412B/zh
Priority to PCT/JP2006/312252 priority patent/WO2007007517A1/ja
Priority to EP20060766916 priority patent/EP1918390B1/en
Priority to MYPI20063079 priority patent/MY143815A/en
Priority to TW95123404A priority patent/TWI327172B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP3838521B1 publication Critical patent/JP3838521B1/ja
Publication of JP2007177274A publication Critical patent/JP2007177274A/ja
Priority to US13/428,013 priority patent/US20120175026A1/en
Priority to US14/583,894 priority patent/US9976208B2/en
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】高強度化、高導電率化とともに、優れた曲げ加工性を兼備したCu−Fe−P系合金を提供することを目的とする。
【解決手段】Fe:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.4%、Mg:0.1〜1.0%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金であって、電界放出型走査電子顕微鏡に後方散乱電子回折像システムを搭載した結晶方位解析法により測定した結晶粒径において、平均結晶粒径が5μm 以下、平均結晶粒径の標準偏差が1.5μm 以下、更に好ましくは、結晶方位の相違が5〜15°の小傾角粒界の割合が4%以上、30%以下であることとし、高強度と優れた曲げ加工性を兼備させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度、高導電率であり、かつ優れた曲げ加工性を備えた銅合金に関し、例えば、家電、半導体装置用リードフレーム等の半導体部品、プリント配線板等の電気・電子部品材料、開閉器部品、ブスバー、端子・コネクタ等の機構部品や産業用機器などに用いられる銅合金板条として好適な銅合金およびその製造方法に関する。
半導体リードフレーム用などを始めとする上記各種用途の銅合金としては、従来よりFeとPとを含有する、Cu−Fe−P系の銅合金(Cu−Fe−P系合金とも言う)が汎用されている。これらCu−Fe−P系の銅合金としては、例えば、Fe:0.05〜0.15%、P:0.025〜0.040%を含有する銅合金(C19210合金)や、Fe:2.1〜2.6%、P:0.015〜0.15%、Zn:0.05〜0.20%を含有する銅合金(CDA194合金)が例示される。これらのCu−Fe−P系の銅合金は、銅母相中にFe又はFe−P等の金属間化合物を析出させると、銅合金の中でも、強度、導電性および熱伝導性に優れていることから、国際標準合金として汎用されている。
近年、Cu−Fe−P系の銅合金の用途拡大や、電気、電子機器の軽量化、薄肉化、小型化などに伴い、これら銅合金にも、一段と高い強度や、電導性、優れた曲げ加工性が求められている。このような曲げ加工性としては、密着曲げあるいはノッチング後の90°曲げなどの厳しい曲げ加工ができる特性が要求される。
これに対して、従来から、成分組成と製造方法との組み合わせによって、結晶粒(平均結晶粒径)を微細化したり、晶・析出物の分散状態を制御することによって、曲げ加工性をある程度向上できることは知られている(特許文献1〜6参照)。
また、Cu−Fe−P系合金において、曲げ加工性などの諸特性を向上させるために、集合組織を制御することも提案されている。より具体的には、銅合金板の、(200)面のX線回折強度I(200)と、(220)面のX線回折強度I(220)との比、I(200)/I(220)が0.5以上10以下であることか、または、Cube方位の方位密度:D(Cube方位)が1以上50以下であること、あるいは、Cube方位の方位密度:D(Cube方位)とS方位の方位密度:D(S方位)との比:D(Cube方位)/D(S方位)が0.1以上5以下であることが提案されている(特許文献7参照)。
更に、銅合金板の、(200)面のX線回折強度I(200)と(311)面のX線回折強度I(311)との和と、(220)面のX線回折強度I(220)との比、〔I(200)+I(311)〕/I(220)が0.4以上であることが提案されている(特許文献8参照)。
特開平6−235035号公報 (全文) 特開2001−279347号公報 (全文) 特開2005−133185号公報 (全文) 特開平10−265873号公報 (全文) 特開2000−104131号公報 (全文) 特開2005−133186号公報 (全文) 特開2002−339028号公報 (段落0020〜0030) 特開2000−328157号公報 (実施例)
これまでの銅合金高強度化の手段である、SnやMgの固溶強化元素の添加や、冷間圧延の加工率増加による強加工による加工硬化量増大では、必然的に曲げ加工性の劣化を伴い、必要な強度と曲げ加工性を両立させることは困難である。しかしながら、近年の電気、電子部品の前記軽薄短小化に対応できるような、引張強度400MPa以上の高強度Cu−Fe−P系合金を得るためには、このような冷間圧延の強加工による加工硬化量の増大が必須となる。
このような高強度なCu−Fe−P系合金に対しては、上記特許文献1〜6などの結晶粒微細化や、晶・析出物の分散状態制御などの組織制御手段、更には、上記特許文献7、8などの集合組織の制御手段だけでは、前記密着曲げあるいはノッチング後の90°曲げなどの厳しい曲げ加工に対し、曲げ加工性を十分に向上させることができない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、高強度および優れた曲げ加工性を兼備したCu−Fe−P系合金およびその製造方法を提供することである。
この目的を達成するために、本発明の高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金の要旨は、質量%で、Fe:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.4%、Mg:0.1〜1.0%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金であって、電界放出型走査電子顕微鏡に後方散乱電子回折像システムを搭載した結晶方位解析法により測定した結晶粒径において、下記平均結晶粒径が5μm 以下、下記平均結晶粒径の標準偏差が1.5μm 以下であることとする。
ここで、測定した結晶粒の数をn、それぞれの測定した結晶粒径をxとした時、平均結晶粒径は(Σx)/n、平均結晶粒径の標準偏差は〔nΣx2 −(Σx)2 〕/〔n/(n−1)1/2 〕で表される。
本発明では、曲げ加工性を向上させるために、更に、前記銅合金組織における、前記結晶方位解析法により測定した、結晶方位の相違が5〜15°と小さい結晶粒の間の粒界である小傾角粒界の割合が、これら小傾角粒界の結晶粒界全長の、結晶方位の相違が5〜180°の結晶粒界全長に対する割合として、4%以上、30%以下としても良い。
本発明では、曲げ加工性を向上させるために、前記銅合金の成分組成として、更に、質量%で、Ni、Coの一種または二種を合計で0.01〜1.0%か、Zn:0.005〜3.0%か、Sn:0.01〜5.0%か、Mn、Caのうち一種または二種を合計で0.0001〜1.0%か、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち一種または二種以上を合計で0.001〜1.0%、含有させても良い。また、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下としても良い。
また、本発明の銅合金の製造方法は、上記銅合金の板を製造する方法であって、銅合金の鋳造、熱間圧延、冷間圧延、再結晶焼鈍、析出焼鈍、冷間圧延を含む工程により銅合金板を得るに際し、熱間圧延の終了温度を550〜850℃とし、続く冷間圧延における冷延率を70〜98%とし、その後の再結晶焼鈍における平均昇温速度を50℃/s以上、再結晶焼鈍後の平均冷却速度を100℃/s以上と各々し、その後の最終の冷間圧延における冷延率を10〜30%の範囲とすることである。
本発明は、前提として、Cu−Fe−P系合金に対し、Mgを更に含有させて、Cu−Mg−P−Fe系合金として強度を向上させる。ただ、Mgを単に含有させるだけでは、強度は向上するものの、曲げ加工性を劣化させる。
本発明では、Cu−Fe−P系合金に対し、Mgを更に含有させて強度を向上させた上で、曲げ加工性を劣化させないために、銅合金組織の結晶粒を微細化するとともに、個々の結晶粒径のバラツキを抑制する。即ち、銅合金組織から、粗大な結晶粒を排除するとともに、個々の結晶粒径をできるだけ微細な側に揃える。
この結晶粒微細化と、結晶粒径のバラツキの尺度乃至目安として、上記した電界放出型走査電子顕微鏡に後方散乱電子回折像システムを搭載した結晶方位解析法により測定した結晶粒径において、平均結晶粒径が5μm 以下、下記平均結晶粒径の標準偏差が1.5μm 以下とする。これによって、本発明では、高強度および優れた曲げ加工性をバランスよく備えた銅合金を得る。
(銅合金の成分組成)
先ず、前記各種用途用として、必要強度や導電率、更には、高い曲げ加工性や耐応力緩和特性を満たすための、本発明Cu−Mg−P−Fe系合金における化学成分組成を、以下に説明する。
本発明では、高強度、高導電率、また、高い曲げ加工性を達成するために、質量%で、Fe:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.4%、Mg:0.1〜1.0%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金からなる基本組成とする。この組成は、銅合金組織の結晶粒を微細化するとともに、個々の結晶粒径のバラツキを抑制するために必要な、微細な(粗大化させない)析出粒子を析出させるための、成分組成からの重要な前提条件ともなる。なお、以下の各元素の説明において記載する%表示は全て質量%である。
この基本組成に対し、曲げ加工性を向上させるために、更に、Ni、Coの一種または二種を合計で0.01〜1.0%か、Zn:0.005〜3.0%か、Sn:0.01〜5.0%か、Mn、Caのうち一種または二種を合計で0.0001〜1.0%か、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち一種または二種以上を合計で0.001〜1.0%、含有させても良い。また、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下としても良い。
(Fe)
Feは、Fe−P系などの微細な析出物を形成して、強度や導電率を向上させるのに必要な元素である。0.01%未満の含有では、微細な析出物粒子が不足する。このため、析出粒子による、結晶粒成長の抑制効果が小さくなる。この結果、平均結晶粒径や平均結晶粒径の標準偏差が大きくなり過ぎ、強度が低下する。したがって、これらの効果を有効に発揮させるには、0.01%以上の含有が必要である。但し、3.0%を超えて過剰に含有させると、析出粒子の粗大化を招き、平均結晶粒径の標準偏差が大きくなり過ぎ、曲げ加工性が低下する。また、導電率も低下する。したがって、Feの含有量は0.01〜3.0%の範囲とする。
(P)
Pは、脱酸作用を有する他、Feと結合し、Fe−P系などの析出物を形成して、銅合金の強度や導電率を向上させるのに必要な元素である。また、Mgと結合し、Mg−P系などの析出物を形成して、銅合金の強度や導電率を向上させる。Pの含有が少な過ぎると、これらの作用乃至微細な析出物粒子が不足する。このため、析出粒子による、結晶粒成長の抑制効果が小さくなる。この結果、平均結晶粒径や平均結晶粒径の標準偏差が大きくなり過ぎ、強度が低下する。したがって、0.01%以上の含有が必要である。但し、0.4%を超えて過剰に含有させると、粗大な析出粒子が増加するのに伴い、平均結晶粒径の標準偏差が大きくなり過ぎ、曲げ加工性が低下する。また、導電率も低下する。したがって、Pの含有量は0.01〜0.4%の範囲とする。
(Mg)
Mgは、Pとの微細な析出物を形成して、強度や導電率を向上させるのに必要な元素である。Mgの含有が少な過ぎると、これらの作用乃至微細な析出物粒子が不足する。このため、析出粒子による、結晶粒成長の抑制効果が小さくなる。この結果、平均結晶粒径や平均結晶粒径の標準偏差が大きくなり過ぎ、強度が低下する。0.1%以上の含有が必要である。但し、1.0%を超えて過剰に含有させると析出粒子が粗大化して、平均結晶粒径の標準偏差が大きくなり過ぎ、曲げ加工性も低下する。また、導電率も低下する。したがって、Mgの含有量は0.1〜1.0%の範囲とする。
(Ni、Co)
銅合金に、更にNi、Coの一種または二種を合計で0.01〜1.0%含有しても良い。Ni、Coは、Mgと同様に、銅合金中に、(Ni、Co)−P系あるいは(Ni、Co)−Fe−P系、などの微細な析出物粒子として分散して、強度や導電率を向上させる。これらの効果を有効に発揮させるには0.01%以上の含有が必要である。但し、1.0%を超えて過剰に含有させると、析出粒子の粗大化を招き、平均結晶粒径の標準偏差が大きくなり過ぎ、曲げ加工性が低下する。また、導電率も低下する。したがって、選択的に含有させる場合のNi、Coの一種または二種の含有量は合計で0.01〜1.0%の範囲とする。
(Zn)
銅合金に、更にZn、Snの一種または二種を含有しても良い。Znは、電子部品の接合に用いる、Snめっきやはんだの耐熱剥離性を改善し、熱剥離を抑制するのに有効な元素である。この様な効果を有効に発揮させるには、0.005%以上含有することが好ましい。しかし、3.0%を超えて過剰に含有すると、却って溶融Snやはんだの濡れ広がり性を劣化させるだけでなく、導電率を大きく低下させる。したがって、Znは、耐熱剥離性改善効果と導電率低下作用との兼ね合いで、0.005〜3.0質量%の範囲で、選択的に含有させる。
(Sn)
Snは、銅合金中に固溶して強度向上に寄与する。この様な効果を有効に発揮させるには、0.01%以上含有することが好ましい。しかし、5.0%を超えて過剰に含有すると、その効果が飽和し、導電率を大きく低下させる。したがって、Snは、強度向上効果と導電率低下作用との兼ね合いで、0.01〜5.0質量%の範囲で、選択的に含有させる。
(Mn、Ca)
Mn、Caは、銅合金の熱間加工性の向上に寄与するので、これらの効果が必要な場合に選択的に含有される。Mn、Caの1種又は2種以上の含有量が合計で0.0001%未満の場合、所望の効果が得られない。一方、その含有量が合計で1.0%を越えると、粗大な晶出物や酸化物が生成して曲げ加工性を低下させるだけでなく、導電率の低下も激しくなる。従って、これらの元素の含有量は合計で0.0001〜1.0%の範囲で選択的に含有させる。
(Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Au、Pt量)
これらの成分は銅合金の強度を向上させる効果があるので、これらの効果が必要な場合に選択的に含有される。これらの成分の1種又は2種以上の含有量が合計で0.001%未満の場合、所望の効果か得られない。一方、その含有量が合計で1.0%を越えると、粗大な晶出物や酸化物が生成して曲げ加工性を低下させるだけでなく、導電率の低下も激しく、好ましくない。従って、これらの元素の含有量は合計で0.001〜1.0%の範囲で選択的に含有させる。
(Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタル量)
これらの成分は不純物元素であり、これらの元素の含有量の合計が0.1%を越えた場合、粗大な晶出物や酸化物が生成して曲げ加工性を低下させる。従って、これらの元素の含有量は合計で0.1%以下とすることが好ましい。
(銅合金組織)
本発明では、以上述べた強度を向上させた組成のCu−Mg−P−Fe系合金に対し、前記した通り、曲げ加工性を劣化させないために、銅合金組織の結晶粒を微細化するとともに、個々の結晶粒径のバラツキを抑制する。Cu−Mg−P−Fe系合金では、特に、平均結晶粒径だけではなく、結晶粒径のバラツキが曲げ加工性の大きく影響する。このため、本発明では、高強度および優れた曲げ加工性をバランスよく備えた銅合金を得るために、銅合金組織中の粗大な結晶粒を少なくし、個々の結晶粒径をできるだけ微細な方に揃える。
この尺度として、上記した電界放出型走査電子顕微鏡に後方散乱電子回折像システムを搭載した結晶方位解析法により測定した結晶粒径において、下記平均結晶粒径が5μm 以下、好ましくは4μm 以下、下記平均結晶粒径の標準偏差が1.5μm 以下、好ましくは0.9μm以下とする。
ここで、上記結晶方位解析法により測定した結晶粒の数をn、それぞれの測定した結晶粒径をxとした時、上記平均結晶粒径は(Σx)/n、上記平均結晶粒径の標準偏差は〔nΣx2 −(Σx)2 〕/〔n/(n−1)1/2 〕で表される。
上記平均結晶粒径が5μm を越え、上記平均結晶粒径の標準偏差が1.5μm を越えた場合、銅合金組織中の粗大な結晶粒が増し、個々の結晶粒径のバラツキも大きくなり、曲げ加工性が劣化する。
(平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差測定方法)
本発明で、これら平均結晶粒径と平均結晶粒径の標準偏差との測定方法を、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM )に、後方散乱電子回折像[EBSP: Electron Back Scattering (Scattered) Pattern]システムを搭載した結晶方位解析法と規定するのは、この測定方法が、高分解能ゆえに高精度であるためである。
EBSP法は、FESEM の鏡筒内にセットした試料に電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。コンピュータでは、この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などとともに記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行なわれるので、測定終了時には数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。
このように、EBSP法には、X 線回折法や透過電子顕微鏡を用いた電子線回折法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する、平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、あるいは方位解析の情報を、数時間以内で得られる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を任意の一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。なお、これらFESEM にEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)P66-70などに詳細に記載されている。
これらFESEM にEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法を用いて、本発明では、製品銅合金の板厚方向の表面部の集合組織を測定し、平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、小傾角粒界の測定を行なう。
ここで、通常の銅合金板の場合、主に、以下に示す如きCube方位、Goss方位、Brass 方位(以下、B方位ともいう)、Copper方位(以下、Cu方位ともいう)、S方位等と呼ばれる多くの方位因子からなる集合組織を形成し、それらに応じた結晶面が存在する。これらの事実は、例えば、長島晋一編著、「集合組織」(丸善株式会社刊)や軽金属学会「軽金属」解説Vol.43、1993、P285-293などの記載されている。
これらの集合組織の形成は同じ結晶系の場合でも加工、熱処理方法によって異なる。圧延による板材の集合組織の場合は、圧延面と圧延方向で表されており、圧延面は{ABC}で表現され、圧延方向は<DEF>で表現される(ABCDEFは整数を示す)。かかる表現に基づき、各方位は下記の如く表現される。
Cube方位 {001}<100>
Goss方位 {011}<100>
Rotated-Goss方位 {011}<011>
Brass 方位(B方位) {011}<211>
Copper方位(Cu方位) {112}<111>
(若しくはD方位{4 4 11}<11 11 8 >
S方位 {123}<634>
B/G方位 {011}<511>
B/S方位 {168}<211>
P方位 {011}<111>
本発明においては、基本的に、これらの結晶面から±15°以内の方位のずれのものは同一の結晶面(方位因子)に属するものとする。また、隣り合う結晶粒の方位差が5°以上の結晶粒の境界を結晶粒界と定義する。
その上で、本発明においては、上記結晶方位解析法により測定した結晶粒の数をn、それぞれの測定した結晶粒径をxとした時、上記平均結晶粒径を(Σx)/n、上記平均結晶粒径の標準偏差を〔nΣx2 −(Σx)2 〕/〔n/(n−1)1/2 〕と各々表す。
(小傾角粒界)
本発明では、上記結晶粒径の制御に加えて、曲げ加工性を更に向上させるために、好ましくは、小傾角粒界の割合を更に規定する。この小傾角粒界は、前記FESEM にEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法により測定した結晶方位の内、結晶方位の相違が5〜15°と小さい結晶粒の間の粒界である。本発明では、この小傾角粒界の割合が、前記FESEM にEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法により測定した、これら小傾角粒界の結晶粒界の全長(測定された全小傾角粒の結晶粒界の合計の長さ)の、同じく測定した、結晶方位の相違が5〜180°の結晶粒界の全長(測定された全結晶粒の結晶粒界の合計の長さ)に対する割合として、4%以上30%以下であることが好ましい。
即ち、小傾角粒界の割合(%)は、〔(5−15°の結晶粒界の全長)/(5−180°の結晶粒界の全長)〕×100として、4%以上、30%以下、好ましくは5%以上、25%以下とする。
本発明のCu−Mg−P−Fe系合金では、上記平均結晶粒径や平均結晶粒径の標準偏差だけでなく、小傾角粒界の割合も曲げ加工性に大きく影響する。したがって、確実に、Cu−Mg−P−Fe系合金の曲げ加工性を向上させるためには、このような結晶粒界の長さとしての、小傾角粒界の全結晶粒界に対する割合を4%以上、30%以下とすることが好ましい。この小傾角粒界の割合が4%未満と少なくなった場合には、曲げ加工性を向上できない場合が生じる可能性がある。この小傾角粒界の割合が30%以上と多くなった場合、強度が大きくなりすぎ、曲げ加工性を向上できない。
(製造条件)
次に、銅合金の組織を上記本発明規定の組織とするための、好ましい製造条件について以下に説明する。本発明銅合金は基本的に銅合金板であり、これを幅方向にスリットした条や、これら板条をコイル化したものが本発明銅合金の範囲に含まれる。
本発明でも、一般的な製造工程と同様に、特定成分組成に調整した銅合金溶湯の鋳造、鋳塊面削、均熱、熱間圧延、そして冷間圧延と、再結晶焼鈍、析出焼鈍などを含む焼鈍との繰り返しにより最終(製品)板が得られる。但し、上記製造工程の内、以下に説明する各製造条件を組み合わせて実施することで、本発明規定の組織、強度・高導電率及び曲げ加工性を得ることが可能となる。
先ず、熱間圧延の終了温度を550〜850℃とする。この温度が550℃より低い温度域で熱間圧延を行うと、再結晶が不完全なため不均一組織となり、標準偏差が大きくなりすぎる、曲げ加工性が劣化する。熱間圧延の終了温度が850℃より高いと、結晶粒が粗大化し、曲げ加工性が劣化する。この熱間圧延後は水冷する。
次に、この水冷後で、再結晶を目的とする焼鈍前の、冷間圧延における冷延率を70〜98%とする。冷延率が70%より低いと、再結晶核となるサイトが少なすぎる為に、本発明が得ようとする平均結晶粒径よりも必然的に大きくなり、曲げ性が劣化する。一方、冷延率が98%より高いと、結晶粒径のばらつきが大きくなるために、結晶粒が不均一となり、本発明が得ようとする平均結晶粒径の標準偏差より必然的に大きくなり、やはり曲げ性が劣化する。
次に、再結晶を目的とする焼鈍(溶体化)を行なう。この際、結晶粒の成長を抑制するために、再結晶焼鈍温度は、550〜850℃の範囲の内のより低温側の550〜700℃を選択することが好ましい。この再結晶焼鈍には、結晶粒の成長を抑制させるために、更に、昇温速度と冷却速度とを両方制御する必要がある。即ち、この焼鈍の際の昇温速度は50℃/s以上とする。昇温速度が50℃/sより小さいと、再結晶粒の核生成が不均一になる為に、平均結晶粒径の標準偏差が必然的に大きくなる。また、この焼鈍後の冷却速度は100℃/s以上とする。この冷却速度が100℃/sより小さいと、焼鈍時の結晶粒の成長が促進され、本特許が得ようとする平均結晶粒径よりも必然的に大きくなる。
この再結晶焼鈍後に、約300〜450℃の範囲の温度で析出焼鈍(中間焼鈍、二次焼鈍)を行ない、微細な析出物を形成させ、銅合金板の強度と導電率を向上(回復)させる。
これら焼鈍後の、最終の冷間圧延における冷延率は10〜30%の範囲とする。この最終冷延により、歪を導入することで、小傾角粒界の割合を増加させることができる。最終冷延率が10%より小さいと、十分な歪が導入されず、小傾角粒界の割合が前記4%以上に増加しない。一方、最終冷延率が30%より高いと、強度が大きくなりすぎるとともに、平均結晶粒径が大きくなりすぎ、曲げ性が劣化する。なお、この最終の冷間圧延前で、前記再結晶焼鈍後に、導電率を回復するための中間焼鈍を行なっても良い。
かくして得られる本発明の銅合金は高強度・高導電率及び、家電、半導体部品、産業用機器並びに、自動車用電機電子部品に幅広く有効に活用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以下に、本発明の実施例を説明する。組織中の平均結晶粒径や、平均結晶粒径の標準偏差などが異なる、Cu−Mg−P−Fe系合金の種々の銅合金薄板を製造し、強度、導電率、曲げ性などの特性を評価した。
具体的には、下記表1に示す化学成分組成の銅合金を、それぞれコアレス炉にて溶製した後、半連続鋳造法で造塊して、厚さ70mm×幅200mm×長さ500mmの鋳塊を得た。これら各鋳塊の表面を面削して950℃に2時間加熱後、熱間圧延を行って厚さ20mmの板とし、下記表2に示す種々の温度から水中に急冷した。
次に、酸化スケールを除去した後、下記表2に示す種々の冷延率で一次冷間圧延(中延べ)を行った。この板を面削後、一次焼鈍として下記表2に示す種々の昇温速度、冷却速度で、600℃の再結晶焼鈍を行った。その後400℃×10時間の導電率回復のための析出焼鈍(二次焼鈍)を行なった後に、下記表2に示す種々の冷延率で最終冷間圧延を行った。そして、ごく低温の歪み取り焼鈍を行って、厚さ0.2mmの製品銅合金板を得た。
なお、表1に示す各銅合金とも、記載元素量を除いた残部組成はCuであり、表1 に記載以外の他の元素として、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Au、Ptは、これらの総量で0.05質量%であった。また、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタル(MM)の元素も、これらの総量で0.1質量%以下であった。表1の各元素含有量において示す「−」は検出限界以下であることを示す。
(平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、小傾角粒界の割合)
これら製品銅合金板の平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、小傾角粒界を測定した。これらの測定については、前記した通りに、FESEM にEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法を用いて、製品銅合金板の板厚方向の表面部の集合組織を測定して行なった。これらの結果を表2に示す。
具体的には、製品銅合金の圧延面表面を機械研磨し、更に、バフ研磨に次いで電解研磨して、表面を調整した試料を用意した。その後、日本電子社製FESEM(JEOL JSM 5410)を用いて、EBSPによる結晶方位測定並びに結晶粒径測定を行った。測定領域は300 μm×300 μmの領域であり、測定ステップ間隔0.5 μmとした。EBSP測定・解析システムは、EBSP:TSL 社製 (OIM)を用いた。
また、各例とも、得た銅合金板から試料を切り出し、引張試験、導電率測定、曲げ試験を行った。これらの結果も表2に示す。
(引張試験)
引張試験は、長手方向を圧延方向としたJIS13号B試験片を用いて、5882型インストロン社製万能試験機により、室温、試験速度10.0mm/min、GL=50mmの条件で、引張強度、0.2%耐力(MPa) を測定した。
(導電率測定)
導電率は、試験片の長手方向を圧延方向として、ミーリングにより、幅10mm×長さ300mm の短冊状の試験片を加工し、ダブルブリッジ式抵抗測定装置により電気抵抗を測定して、平均断面積法により算出した。
(曲げ加工性の評価試験)
銅合金板試料の曲げ試験は、日本伸銅協会技術標準に従って行った。板材を幅10mm、長さ30mmに切出し、曲げ半径0.05mmでGood Way(曲げ軸が圧延方向に直角)の曲げを行い、曲げ部における割れの有無を50倍の光学顕微鏡で目視観察した。この際に、割れの無いものを○、肌荒れが生じたものを△、割れが生じたものを×と評価した。この曲げ試験に優れていれば、前記密着曲げあるいはノッチング後の90°曲げなどの厳しい曲げ加工性にも優れていると言える。
表1から明らかな通り、本発明組成内の銅合金である発明例1〜14は、一次冷間圧延(冷延率)、再結晶焼鈍(昇温速度、冷却速度)、最終冷間圧延(冷延率)が好ましい条件範囲内で、製品銅合金板を得ている。
このため、発明例1〜14の組織は、電界放出型走査電子顕微鏡に後方散乱電子回折像システムを搭載した結晶方位解析法により測定した、平均結晶粒径が5μm 以下、下記平均結晶粒径の標準偏差が1.5μm 以下、結晶方位の相違が5〜15°の小傾角粒界の割合が4%以上であるように制御されている。
この結果、発明例1〜14は、耐力が400MPa以上、導電率が60%IACS以上の高強度、高導電率であって、かつ、曲げ加工性に優れている。
これに対して、比較例15の銅合金は、Feの含有量が下限0.01%を低めに外れている。このため、製造方法は前記発明例と同様に好ましい条件内で製造されているにもかかわらず、微細な析出物粒子が不足し、平均結晶粒径と平均結晶粒径の標準偏差が高めに外れている。この結果、曲げ加工性は優れているものの、特に強度が低い。
比較例16の銅合金は、Feの含有量が上限3.0%を高めに外れている。このため、製造方法は前記発明例と同様に好ましい条件内で製造されているにもかかわらず、粗大な析出物粒子が多くなり、平均結晶粒径が上限近くとなり、平均結晶粒径の標準偏差が高めに外れている。この結果、特に曲げ加工性が劣る。
比較例17の銅合金は、Pの含有量が下限0.01%を低めに外れて、Pが少な過ぎるため、製造方法は前記発明例と同様に好ましい条件内で製造されているにもかかわらず、微細な析出物粒子が不足し、平均結晶粒径と平均結晶粒径の標準偏差が高めに外れている。この結果、曲げ加工性は優れているものの、特に強度が低い。
比較例18の銅合金は、Pの含有量が上限0.4%を高めに外れている。このため、製造方法は前記発明例と同様に好ましい条件内で製造されているにもかかわらず、粗大なMg−P析出粒子が増加するのに伴い、平均結晶粒径が上限近くとなり、平均結晶粒径の標準偏差が高めに外れている。この結果、特に曲げ加工性が劣る。
比較例19の銅合金は、Mgの含有量が下限0.1%を低めに外れている。このため、製造方法は前記発明例と同様に好ましい条件内で製造されているにもかかわらず、微細な析出物粒子が不足し、平均結晶粒径と平均結晶粒径の標準偏差が高めに外れている。この結果、曲げ加工性は優れているものの、特に強度が低い。
比較例20の銅合金は、Mgの含有量が上限1.0%を高めに外れている。このため、製造方法は前記発明例と同様に好ましい条件内で製造されているにもかかわらず、粗大なMg−P析出粒子が増加するのに伴い、平均結晶粒径の標準偏差が高めに外れている。この結果、特に曲げ加工性が劣る。
比較例21〜28の銅合金は、成分組成は範囲内であるのもかかわらず、各々製造条件が好ましい範囲から外れる。比較例21は熱間圧延の終了温度が低すぎる。比較例22は熱間圧延の終了温度が高すぎる。比較例23は一次冷間圧延の冷延率が小さ過ぎる。比較例24は一次冷間圧延の冷延率が大き過ぎる。比較例25は再結晶焼鈍の昇温速度が小さ過ぎる。比較例26は再結晶焼鈍の冷却速度が小さ過ぎる。比較例27は最終冷間圧延の冷延率が小さ過ぎる。比較例28は最終冷間圧延の冷延率が大き過ぎる。
このため、これら比較例の銅合金は、強度の高低にかかわらず、共通して曲げ加工性が劣る。
以上の結果から、高強度、高導電率化させた上で、曲げ加工性にも優れさせるための、本発明銅合金板の成分組成、組織、更には、組織を得るための好ましい製造条件の意義が裏付けられる。
Figure 2007177274
Figure 2007177274
以上説明したように、本発明によれば、高強度化、高導電率化とともに、優れた曲げ加工性を兼備したCu−Mg−P−Fe系合金を提供することができる。この結果、小型化及び軽量化した電気電子部品用として、半導体装置用リードフレーム以外にも、リードフレーム、コネクタ、端子、スイッチ、リレーなどの、高強度高導電率化と、厳しい曲げ加工性が要求される用途に適用することができる。

Claims (9)

  1. 質量%で、Fe:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.4%、Mg:0.1〜1.0%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金であって、電界放出型走査電子顕微鏡に後方散乱電子回折像システムを搭載した結晶方位解析法により測定した結晶粒径において、下記平均結晶粒径が5μm 以下、下記平均結晶粒径の標準偏差が1.5μm 以下であることを特徴とする高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金。
    ここで、測定した結晶粒の数をn、それぞれの測定した結晶粒径をxとした時、上記平均結晶粒径は(Σx)/n、上記平均結晶粒径の標準偏差は〔nΣx2 −(Σx)2 〕/〔n/(n−1)1/2 〕で表される。
  2. 前記銅合金組織における、前記結晶方位解析法により測定した、結晶方位の相違が5〜15°と小さい結晶粒の間の粒界である小傾角粒界の割合が、これら小傾角粒界の結晶粒界全長の、結晶方位の相違が5〜180°の結晶粒界全長に対する割合として、4%以上、30%以下である請求項1に記載の銅合金。
  3. 前記銅合金が、更に、質量%で、Ni、Coの一種または二種を合計で0.01〜1.0%含有する請求項1または2に記載の銅合金。
  4. 前記銅合金が、更に、質量%で、Zn:0.005〜3.0%を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の銅合金。
  5. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Sn:0.01〜5.0%を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の銅合金。
  6. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Mn、Caのうち一種または二種を合計で0.0001〜1.0%含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の銅合金。
  7. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち一種または二種以上を合計で0.001〜1.0%含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の銅合金。
  8. 前記銅合金板が、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下とした請求項1乃至7のいずれか1項に記載の銅合金。
  9. 請求項1乃至8のいずれかの銅合金の板を製造する方法であって、銅合金の鋳造、熱間圧延、冷間圧延、再結晶焼鈍、析出焼鈍、冷間圧延を含む工程により銅合金板を得るに際し、熱間圧延の終了温度を550℃〜850℃とし、続く冷間圧延における冷延率を70〜98%とし、その後の再結晶焼鈍における平均昇温速度を50℃/s以上、再結晶焼鈍後の平均冷却速度を100℃/s以上と各々し、その後の最終の冷間圧延における冷延率を10〜30%の範囲とすることを特徴とする銅合金の製造方法。
JP2005375454A 2005-07-07 2005-12-27 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金およびその製造方法 Active JP3838521B1 (ja)

Priority Applications (13)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005375454A JP3838521B1 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金およびその製造方法
PCT/JP2006/312252 WO2007007517A1 (ja) 2005-07-07 2006-06-19 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金および銅合金板の製造方法
EP20110008840 EP2439296B1 (en) 2005-07-07 2006-06-19 Copper alloy having high strength and superior bending workability, and method for manufacturing copper alloy plates
AT06766916T ATE541953T1 (de) 2005-07-07 2006-06-19 Verfahren zur herstellung eines kupferlegierungsblechs mit hoher festigkeit und hervorragender biegeverarbeitbarkeit
KR1020107001619A KR100997560B1 (ko) 2005-07-07 2006-06-19 고강도 및 우수한 굽힘 가공성을 갖춘 구리 합금 및 구리 합금판의 제조 방법
CN2006800176835A CN101180412B (zh) 2005-07-07 2006-06-19 具备高强度和优异的弯曲加工性的铜合金及铜合金板的制造方法
US11/994,136 US20090084473A1 (en) 2005-07-07 2006-06-19 Copper alloy with high strength and excellent processability in bending and process for producing copper alloy sheet
EP20060766916 EP1918390B1 (en) 2005-07-07 2006-06-19 Process for producing copper alloy plate with high strength and excellent processability in bending
KR20087000285A KR100966287B1 (ko) 2005-07-07 2006-06-19 고강도 및 우수한 굽힘 가공성을 갖춘 구리 합금 및 구리합금판의 제조 방법
MYPI20063079 MY143815A (en) 2005-07-07 2006-06-28 Copper alloy having high strength and superior bending workability, and method for manufacturing copper alloy plates
TW95123404A TWI327172B (en) 2005-07-07 2006-06-28 Copper alloy having high strength and superior bending workability, and method for manufacturing copper alloy plates
US13/428,013 US20120175026A1 (en) 2005-07-07 2012-03-23 Copper alloy with high strength and excellent processability in bending and process for producing copper alloy sheet
US14/583,894 US9976208B2 (en) 2005-07-07 2014-12-29 Copper alloy with high strength and excellent processability in bending and process for producing copper alloy sheet

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005375454A JP3838521B1 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3838521B1 JP3838521B1 (ja) 2006-10-25
JP2007177274A true JP2007177274A (ja) 2007-07-12

Family

ID=37416167

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005375454A Active JP3838521B1 (ja) 2005-07-07 2005-12-27 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3838521B1 (ja)

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2056056A1 (en) 2007-10-23 2009-05-06 Kobelco & Materials Copper Tube, Ltd. Copper alloy tube for heat exchanger excellent in fracture strength
JP2009275286A (ja) * 2008-04-16 2009-11-26 Kobe Steel Ltd 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金および銅合金板の製造方法
WO2010013790A1 (ja) * 2008-07-31 2010-02-04 古河電気工業株式会社 電気電子部品用銅合金材料とその製造方法
JP2010059543A (ja) * 2008-08-05 2010-03-18 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金材料
EP2246448A1 (en) * 2008-02-26 2010-11-03 Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. High-strength high-conductive copper wire rod
WO2011096632A3 (ko) * 2010-02-08 2011-10-20 주식회사 풍산 고강도, 고전도성을 갖는 동합금 및 그 제조방법
JP2012062498A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Mitsubishi Materials Corp 電子部品用銅又は銅合金圧延板及びその製造方法
WO2012132713A1 (ja) * 2011-03-30 2012-10-04 Jx日鉱日石金属株式会社 放熱性及び繰り返し曲げ加工性に優れた銅合金板
JP2013231224A (ja) * 2012-05-01 2013-11-14 Sh Copper Products Co Ltd 曲げ加工性に優れた電気・電子部品用銅合金材
JP2014114464A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金材料およびその製造方法
WO2015029986A1 (ja) * 2013-08-30 2015-03-05 Dowaメタルテック株式会社 銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品
JP5688178B1 (ja) * 2014-06-27 2015-03-25 株式会社Shカッパープロダクツ 銅合金材、銅合金材の製造方法、リードフレームおよびコネクタ
JP2015134955A (ja) * 2014-01-18 2015-07-27 株式会社神戸製鋼所 強度、耐熱性及び曲げ加工性に優れたFe−P系銅合金板
JP2015175056A (ja) * 2014-03-18 2015-10-05 株式会社神戸製鋼所 強度、耐熱性及び曲げ加工性に優れたFe−P系銅合金板
JP2016079472A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 Dowaメタルテック株式会社 銅合金板材の製造方法並びにその板材および通電部品
WO2020209175A1 (ja) * 2019-04-11 2020-10-15 株式会社 東芝 セラミックス銅回路基板およびそれを用いた半導体装置
CN115735014A (zh) * 2020-06-30 2023-03-03 三菱综合材料株式会社 铜合金塑性加工材、铜合金棒材、电子电气设备用组件及端子

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109055808A (zh) * 2018-10-26 2018-12-21 浙江星康铜业有限公司 一种铜锌合金
WO2021111908A1 (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 日鉄マイクロメタル株式会社 半導体装置用銅ボンディングワイヤ及び半導体装置
EP4116449A4 (en) * 2020-03-06 2024-03-20 Mitsubishi Materials Corp PURE COPPER PLATE, COPPER AND CERAMIC BONDED BODY, AND INSULATED CIRCUIT BOARD
CN114990377B (zh) * 2022-06-09 2023-05-05 宁波兴敖达金属新材料有限公司 一种电连接器用高强高导铁青铜合金
CN116005033A (zh) * 2022-12-06 2023-04-25 北京科技大学 一种高超弹性Cu-Ni-Ga形状记忆合金微丝及其制备方法

Cited By (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2056056A1 (en) 2007-10-23 2009-05-06 Kobelco & Materials Copper Tube, Ltd. Copper alloy tube for heat exchanger excellent in fracture strength
EP2246448A1 (en) * 2008-02-26 2010-11-03 Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. High-strength high-conductive copper wire rod
EP2246448A4 (en) * 2008-02-26 2014-07-02 Mitsubishi Shindo Kk HIGH-STRENGTH, HIGH-CONDUCTIVITY COPPER THREAD
JP2009275286A (ja) * 2008-04-16 2009-11-26 Kobe Steel Ltd 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金および銅合金板の製造方法
JP5224415B2 (ja) * 2008-07-31 2013-07-03 古河電気工業株式会社 電気電子部品用銅合金材料とその製造方法
WO2010013790A1 (ja) * 2008-07-31 2010-02-04 古河電気工業株式会社 電気電子部品用銅合金材料とその製造方法
JP2010059543A (ja) * 2008-08-05 2010-03-18 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金材料
WO2011096632A3 (ko) * 2010-02-08 2011-10-20 주식회사 풍산 고강도, 고전도성을 갖는 동합금 및 그 제조방법
CN102782168A (zh) * 2010-02-08 2012-11-14 株式会社豊山 具有高强度和高传导性的铜合金及其制备方法
JP2013518993A (ja) * 2010-02-08 2013-05-23 ポーンサン コーポレイション 高強度、高伝導性を有する銅合金及びその製造方法
JP2012062498A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Mitsubishi Materials Corp 電子部品用銅又は銅合金圧延板及びその製造方法
WO2012132713A1 (ja) * 2011-03-30 2012-10-04 Jx日鉱日石金属株式会社 放熱性及び繰り返し曲げ加工性に優れた銅合金板
JP2012211353A (ja) * 2011-03-30 2012-11-01 Jx Nippon Mining & Metals Corp 放熱性及び繰り返し曲げ加工性に優れた銅合金板
US9373425B2 (en) 2011-03-30 2016-06-21 Jx Nippon Mining & Metals Corporation Copper alloy sheet with excellent heat dissipation and workability in repetitive bending
JP2013231224A (ja) * 2012-05-01 2013-11-14 Sh Copper Products Co Ltd 曲げ加工性に優れた電気・電子部品用銅合金材
JP2014114464A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金材料およびその製造方法
KR20160051818A (ko) * 2013-08-30 2016-05-11 도와 메탈테크 가부시키가이샤 구리 합금 판재 및 이의 제조 방법 및 통전 부품
JP2015048503A (ja) * 2013-08-30 2015-03-16 Dowaメタルテック株式会社 銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品
WO2015029986A1 (ja) * 2013-08-30 2015-03-05 Dowaメタルテック株式会社 銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品
US10844468B2 (en) 2013-08-30 2020-11-24 Dowa Metaltech Co., Ltd. Copper alloy sheet material and current-carrying component
KR102196590B1 (ko) 2013-08-30 2020-12-31 도와 메탈테크 가부시키가이샤 구리 합금 판재 및 이의 제조 방법 및 통전 부품
JP2015134955A (ja) * 2014-01-18 2015-07-27 株式会社神戸製鋼所 強度、耐熱性及び曲げ加工性に優れたFe−P系銅合金板
JP2015175056A (ja) * 2014-03-18 2015-10-05 株式会社神戸製鋼所 強度、耐熱性及び曲げ加工性に優れたFe−P系銅合金板
JP5688178B1 (ja) * 2014-06-27 2015-03-25 株式会社Shカッパープロダクツ 銅合金材、銅合金材の製造方法、リードフレームおよびコネクタ
JP2016079472A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 Dowaメタルテック株式会社 銅合金板材の製造方法並びにその板材および通電部品
WO2020209175A1 (ja) * 2019-04-11 2020-10-15 株式会社 東芝 セラミックス銅回路基板およびそれを用いた半導体装置
CN115735014A (zh) * 2020-06-30 2023-03-03 三菱综合材料株式会社 铜合金塑性加工材、铜合金棒材、电子电气设备用组件及端子
CN115735014B (zh) * 2020-06-30 2024-01-26 三菱综合材料株式会社 铜合金塑性加工材、铜合金棒材、电子电气设备用组件及端子

Also Published As

Publication number Publication date
JP3838521B1 (ja) 2006-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3838521B1 (ja) 高強度および優れた曲げ加工性を備えた銅合金およびその製造方法
JP4006460B1 (ja) 高強度、高導電率および曲げ加工性に優れた銅合金およびその製造方法
JP5476149B2 (ja) 強度異方性が小さく曲げ加工性に優れた銅合金
EP2426225B1 (en) Copper alloy with high strength, high electrical conductivity, and excellent bendability
TWI327172B (en) Copper alloy having high strength and superior bending workability, and method for manufacturing copper alloy plates
JP4809935B2 (ja) 低ヤング率を有する銅合金板材およびその製造法
JP5525247B2 (ja) 高強度で曲げ加工性に優れた銅合金
JP5261500B2 (ja) 導電性と曲げ性を改善したCu−Ni−Si−Mg系合金
JP3962751B2 (ja) 曲げ加工性を備えた電気電子部品用銅合金板
WO2013018228A1 (ja) 銅合金
JP4006468B1 (ja) 高強度、高導電率および曲げ加工性に優れた銅合金
JP4006467B1 (ja) 高強度、高導電率および曲げ加工性に優れた銅合金
TWI429764B (zh) Cu-Co-Si alloy for electronic materials
JP2006233314A (ja) 高強度銅合金
JP5750070B2 (ja) 銅合金
JP2012177153A (ja) 銅合金
JP2008127605A (ja) 曲げ加工性に優れた高強度銅合金板
JP5690169B2 (ja) 銅合金
JP5981866B2 (ja) 銅合金
JP2009084595A (ja) 耐応力緩和特性に優れた銅合金板
JP5867859B2 (ja) 銅合金
JP2008248352A (ja) 熱間加工性に優れた高強度高導電性銅合金
JP6762453B1 (ja) 銅合金板材およびその製造方法
JP2012197503A (ja) Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法
JP5867861B2 (ja) 銅合金

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060727

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3838521

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130811

Year of fee payment: 7