JP2009084595A - 耐応力緩和特性に優れた銅合金板 - Google Patents

耐応力緩和特性に優れた銅合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を満たし、他の端子・コネクタとしての要求特性にも優れたCu−Ni−Sn−P系銅合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】特定組成のCu−Ni−Sn−P系の銅合金板であって、この銅合金板表面のX線回折強度比I(200)/I(220)を一定量以下とするとともに、結晶粒径を微細化させ、端子・コネクタ3としての要求特性である、圧延と直角方向の耐応力緩和特性を向上させ、圧延と平行方向の耐応力緩和特性との差(異方性)を小さくする。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐応力緩和特性に優れた銅合金板に関し、特に、自動車用端子・コネクタなどの接続部品用として適する、耐応力緩和特性に優れた銅合金板に関する。
近年の自動車用端子・コネクタなどの接続部品には、エンジンルームのような高温環境下で信頼性を確保できる性能が求められる。この高温環境下での信頼性において最も重要な特性のひとつは、接点嵌合力の維持特性、いわゆる耐応力緩和特性である。
図2に、自動車用端子・コネクタなどの接続部品として、代表的な箱形コネクタ(メス端子3)の構造を示す。図2(a)は正面図、図2(b)は断面図を示す。この図2において、メス端子3は、上側ホルダー部4に押圧片5が片持ち支持されている。そしてホルダー内にオス端子(タブ)6が挿入されると、押圧片5が弾性変形し、その反力によりオス端子(タブ)6が固定される。なお、図2において、7はワイヤ接続部、8は固定用舌片である。
この図2のように、銅合金板からなるばね形状部品に定常の変位を与え、オス端子(タブ)6 をメス端子のばね形状をした接点(押圧片)5で嵌合しているような場合には、エンジンルームのような高温環境下に保持されていると、時間の経過とともに、その接点嵌合力を失っていく。したがって、耐応力緩和特性とは、これら接続部品が高温環境下に保持されても、銅合金板からなるばね形状部品の接点嵌合力が大きく低下しない、高温に対する抵抗特性である。
図1(a)、(b)に、この規格による耐応力緩和特性の試験装置を示す。この試験装置を用い、短冊状に切り出した試験片1の一端を剛体試験台2に固定し、他端を片持ち梁式に持ち上げて反らせ(反りの大きさd)、これを所定の温度及び時間で保持した後、室温下で除荷し、除荷後の反りの大きさ(永久歪み)をδとして求める。ここで、応力緩和率(RS)は、RS=(δ/d)×100で表される。
このような耐応力緩和特性に優れる銅合金としては、従来から、Cu−Ni−Si系銅合金、Cu−Ti系銅合金、Cu−Be系銅合金などが広く知られているが、最近では、添加元素量が比較的少ないCu−Ni−Sn−P系銅合金が使用されている。このCu−Ni−Sn−P系銅合金は、大気中への開口部が広く開いた大規模溶解炉であるシャフト炉での造塊が可能で、その高生産性ゆえに大幅な低コスト化が可能となる。
このCu−Ni−Sn−P系銅合金自体の耐応力緩和特性の向上策も、従来から種々提案されている。例えば、下記特許文献1、2には、Cu−Ni−Sn−P系銅合金マトリックス中にNi−P金属間化合物を均一微細に分散させ、導電率を向上させると同時に耐応力緩和特性等を向上させることが開示されている。
また、下記特許文献2、3には、Cu−Ni−Sn−P系銅合金のP含有量を下げて、Ni−P化合物の析出を抑えた固溶型銅合金とすることが開示されている。更に、下記特許文献4には、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板製造の際の仕上げ焼鈍の実体温度と保持時間とを規定して、導電率を向上させると同時に耐応力緩和特性等を向上させることが開示されている。
特許第2844120号公報 特許第3871064号公報 特開平11−293367号公報 特開2002−294368号公報
ところで、圧延された(圧延によって得られた)銅合金板の応力緩和率には異方性があり、前記図2におけるメス端子3の長手方向が、素材銅合金板の圧延方向に対しどの方向を向いているかによって、応力緩和率が異なった値となる。これは、前記応力緩和率測定でも同様で、試験片の長手方向が、素材銅合金板の圧延方向に対しどの方向を向いているかによって、測定応力緩和率が異なった値となる。この点で、銅合金板の圧延方向に対して直角方向の方が、平行方向よりも応力緩和率が低くなりやすい。
この点、前記図2において、素材銅合金板をプレス加工してメス端子3を製造する際には、メス端子3の長手方向(押圧片5の長手方向)が圧延方向に対し直角方向を向くように板取りされる場合がある。高い耐応力緩和特性が要求されるのは、通常は、押圧片5の長さ方向への曲げ(弾性変形)に対してである。したがって、このように圧延方向に対し直角方向を向くように板取りされる場合には、銅合金板の圧延方向に対しては、平行方向ではなく、直角方向に高い耐応力緩和特性を有することが要求される。
このため、圧延方向に対して平行方向とともに、圧延方向に対して直角方向の応力緩和率が高ければ、素材銅合金板の板取り方向によらず、圧延方向に対して平行方向や直角方向のいずれの方向に板取りされた場合でも、端子・コネクタとしての耐応力緩和特性を満たすことができる。
この点に鑑み、本発明は、端子・コネクタとして、圧延方向に対して平行方向とともに、圧延方向に対して直角方向の応力緩和率が高い、耐応力緩和特性に優れたCu−Ni−Sn−P系銅合金板を提供することを目的とする。
この目的を達成するための、本発明耐応力緩和特性に優れた銅合金板の要旨は、質量%で、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金板であって、板表面の(200)面からのX線回折強度I(200)と、板表面の(220)面からのX線回折強度I(220)との比、I(200)/I(220)が0.25以下であるとともに、平均結晶粒径を5.0μm以下とする。
ここで、前記銅合金板が、更に、質量%で、Fe:0.5%以下、Zn:1%以下、Mn:0.1%以下、Si:0.1%以下、Mg:0.3%以下に抑制することが好ましい。また、前記銅合金が、更に、Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptの含有量を、これらの元素の合計で1.0質量%以下とすることが好ましい。更に、前記銅合金が、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素の合計で0.1質量%以下とすることが好ましい。
本発明で、上記X線回折強度比、I(200)/I(220)を規定しているのは、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板のCube方位の発達を抑制するとともに、Cube方位以外の特定の結晶方位を発達させるためである。また、本発明では、これと合わせて、平均結晶粒径を5.0μm以下と微細にする。これらによって、本発明では、圧延方向に対して平行方向あるいは直角方向などの特定の方向に対する異方性を小さくして、圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を向上させるとともに、圧延方向に対して平行方向と直角方向との耐応力緩和特性の差を小さくする。
これに対して、本発明とは逆に、Cube方位を発達させるか、Cube方位以外の特定の結晶方位の発達を抑制するか、平均結晶粒径を粗大化させた場合には、いずれの場合にも、圧延方向に対して平行方向などの特定の方向に対する異方性が強くなって、却って、直角方向の耐応力緩和特性が向上しない。また、圧延方向に対して平行方向と直角方向との耐応力緩和特性の差を小さくできず、両方向間の異方性(耐応力緩和特性の差)が大きくなる。
(X線回折強度比)
本発明のX線回折強度比は、通常のX線回折法を用いて、板表面における、Cube方位である(200)面からのX線回折強度I(200)と、Cube方位以外の方位である(220)面からのX線回折強度I(220)とを測定する。そして、これらのX線回折強度比(X線回折ピーク比)、I(200)/I(220)から求めることができる。
通常の銅合金板の集合組織は、かなり多くの方位因子からなるが、これらの構成比率が変化すると、板材の塑性異方性が変化し、耐応力緩和特性が変化する。この中でも、特にCube方位の方位密度〔D(Cube)ともいう〕と、それ以外の特定の結晶方位密度とを適正範囲に制御することにより、圧延方向に対して平行方向あるいは直角方向などの特定の方向に対する異方性を小さくする。
即ち、Cube方位の発達を抑制するとともに、Cube方位以外の特定の結晶方位の発達を強くする。これによって、圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を向上させるとともに、圧延方向に対して平行方向と直角方向との耐応力緩和特性の差を小さくする。そして、素材銅合金板の板取り方向によらず、圧延方向に対して平行方向や直角方向のいずれの方向に板取りされた場合でも、圧延方向に対して平行方向とともに、圧延方向に対して直角方向の応力緩和率が高くし、端子・コネクタとしての耐応力緩和特性を満たす。
このため、本発明では、板表面における、Cube方位である(200)面からのX線回折強度I(200)と、Cube方位以外の方位である(220)から面のX線回折強度I(220)との比、I(200)/I(220)が0.25以下、好ましくは0.20以下であることとする。
このI(200)/I(220)が0.25を越えた場合、Cube方位が発達し、Cube方位以外の特定の結晶方位の発達が抑制され、圧延方向に対して平行方向などの特定の方向に対する異方性が強くなって、却って、直角方向の耐応力緩和特性が向上しない。また、圧延方向に対して平行方向と直角方向との耐応力緩和特性の差を小さくできず、両方向間の異方性(耐応力緩和特性の差)が大きくなる。
(平均結晶粒径)
本発明では、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板の上記集合組織の制御と、平均結晶粒径を小さくする制御との合わせ技によって、圧延方向に対して平行方向あるいは直角方向などの特定の方向に対する異方性を小さくして、圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を向上させるとともに、圧延方向に対して平行方向と直角方向との耐応力緩和特性の差を小さくする。
このために、本発明では、平均結晶粒径を5.0μm以下と微細にする。平均結晶粒径を5.0μmを超えて、平均結晶粒径を粗大化させた場合には、上記集合組織の制御を行っても、圧延方向に対して平行方向などの特定の方向に対する異方性が強くなって、却って、直角方向の耐応力緩和特性が向上しない。また、圧延方向に対して平行方向と直角方向との耐応力緩和特性の差を小さくできず、両方向間の異方性(耐応力緩和特性の差)が大きくなる。
この平均結晶粒径は、FESEM/EBSPを用いた結晶方位解析方法による特定方位の方位分布密度測定の中で測定できる。即ち、この結晶方位解析方法は、試料表面に斜めに電子線を当てたときに生じる後方散乱電子回折パターン(菊地パターン)に基づき、結晶方位を解析する。そして、この方法は、高分解能結晶方位解析法(FESEM/EBSP法)として、ダイヤモンド薄膜や銅合金などの結晶方位解析でも公知である。本発明と同じく銅合金の結晶方位解析をこの方法で行なっている例は、特開2005−29857号公報、特開2005−139501号公報などにも開示されている。
この結晶方位解析方法による解析手順は、まず、測定される材料の測定領域を通常、六角形等の領域に区切り、区切られた各領域について、試料表面に入射させた電子線の反射電子から、菊地パターン(特定方位マッピング)を得る。この際、電子線を試料表面に2次元で走査させ、所定ピッチ毎に結晶方位を測定すれば、試料表面の方位分布を測定できる。
次に、得られた上記菊池パターンを解析して、電子線入射位置の結晶方位を知る。即ち、得られた菊地パターンを既知の結晶構造のデータと比較し、その測定点での結晶方位を求める。同様にして、その測定点に隣接する測定点の結晶方位を求め、これら互いに隣接する結晶の方位差が±10°以内(結晶面から±10°以内のずれ)のものは同一の結晶面に属するものとする(見なす)。また、両方の結晶の方位差が±10°を超える場合には、その間(両方の六角形が接している辺など)を粒界とする。このようにして、試料表面の結晶粒界の分布を求める。
より具体的には、製造した銅合金板から組織観察用の試験片を採取し、機械研磨およびバフ研磨を行った後、電解研磨して表面を調整する。このように得られた試験片について、例えば日本電子社製のFESEMと、TSL社製のEBSP測定・解析システムOIM(Orientation Imaging Macrograph)を用い、同システムの解析ソフトと(ソフト名「OIM Analysis」)を用いて、各結晶粒の平均粒径を測定できる。測定視野範囲は、例えば500μm×500μm程度の領域とし、これを試験片の適当箇所数か所で測定を行い平均化する。
(銅合金成分組成)
次に、本発明銅合金の成分組成につき、以下に説明する。本発明では、銅合金の成分組成を、前提として、前記した通り、シャフト炉造塊が可能で、その高生産性ゆえに大幅な低コスト化が可能なCu−Ni−Sn−P系銅合金とする。
そして、前記高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応し、自動車用端子・コネクタなどの接続部品としての要求特性をも満たす、強度、耐応力緩和特性、導電率にも優れさせるために、基本的に、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金とする。なお、各元素の含有量の%表示は、全て質量%の意味である。以下に銅合金の合金元素につき、その添加理由や抑制理由について説明する。
(Ni)
Niは、銅合金マトリックス中に固溶あるいはPなどの他の合金元素と微細な析出物や化合物を形成して、強度や耐応力緩和特性を向上させるのに必要な元素である。Niが0.1%未満の含有量では、最適な本発明製造方法によっても、0.1μm 以下の微細なNi化合物量やNiの固溶量の絶対量が不足する。このため、これらNiの効果を有効に発揮させるには、0.1%以上の含有が必要である。
但し、3.0%を超えてNiを過剰に含有させると、Niの酸化物、晶出物、析出物などの化合物が粗大化、あるいは粗大なNi化合物が増大する。この結果、却って微細なNi化合物量やNiの固溶量が低下する。また、これらの粗大化したNi化合物は、破壊の起点となるため、強度や曲げ加工性も低下する。したがって、Niの含有量は0.1〜3.0%の範囲、好ましくは、0.3〜2.0%の範囲とする。
(Sn)
Snは、銅合金マトリックス中に固溶して強度を向上させる。更に固溶しているSnは焼鈍中の再結晶による軟化を抑制する。Sn含有量が0.01%未満では、Snが少な過ぎて、強度を向上できない。一方、Sn含有量が3.0%を超えると、導電率が著しく低下するだけでなく、前記固溶しているSnが結晶粒界に偏析して、強度や曲げ加工性も低下する。したがって、Snの含有量は0.01〜3.0%の範囲、好ましくは0.1〜2.0%の範囲とする。
(P)
Pは、Niと微細な析出物を形成して、強度や耐応力緩和特性を向上させるのに必要な元素である。また、Pは脱酸剤としても作用する。0.01%未満の含有ではP系の微細な析出物粒子が不足するため、0.01%以上の含有が必要である。但し、0.3%を超えて過剰に含有させると、Ni−P金属間化合物析出粒子が粗大化し、強度や耐応力緩和特性だけでなく、熱間加工性も低下する。したがって、Pの含有量は0.01〜0.3%の範囲とする。好ましくは、0.02〜0.2%の範囲とする。
(Fe、Zn、Mn、Si、Mg)
Fe、Zn、Mn、Si、Mgは、スクラップなどの溶解原料から混入しやすい不純物である。これらの元素は、各々の含有効果があるものの、総じて導電率を低下させる。また、含有量が多くなると、シャフト炉で造塊しにくくなる。したがって、高い導電率を得る場合には、各々、Fe:0.5%以下、Zn:1%以下、Mn:0.1%以下、Si:0.1%以下、Mg:0.3%以下と規制する。言い換えると、本発明では、これら上限値以下の含有は許容する。
Feは、Snと同様に、銅合金の再結晶温度を高める。しかし、0.5%を超えると導電率が低下する。好ましくは、0.3%以下とする。
Znは、錫めっきの剥離を防止する。しかし、1%を超えると導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊する場合は0.05%以下が望ましい。そして、自動車用端子として使用する温度領域(約150〜180℃)であれば、0.05%以下の含有でも錫めっきの剥離を防止できる効果がある。
Mn、Siには脱酸剤としての効果がある。しかし、0.1%を超えると、導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊する場合には、更に、Mn:0.001%以下、Si:0.002%以下と各々することが望ましい。
Mgは耐応力緩和特性を向上させる作用がある。しかし、0.3%を超えると、導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊する場合には、0.001%以下が望ましい。
(Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Pt)
本発明銅合金は、更に、不純物として、Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptを、これらの元素の合計で1.0%以下含有することを許容する。これらの元素は、結晶粒の粗大化を防止する作用があるが、これらの元素の合計で1.0%を越えた場合、導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊しにくくなる。
この他、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルも不純物であり、これらの元素の合計で0.1%以下に制限することが好ましい。
(銅合金板製造方法)
次に、本発明銅合金板の製造方法について以下に説明する。本発明銅合金板の製造工程自体は、仕上げ焼鈍工程の条件を除き、常法により製造できる。即ち、成分組成を調整した銅合金溶湯の鋳造、鋳塊面削、均熱、熱間圧延、そして冷間圧延と焼鈍の繰り返しにより最終(製品)板を得る。但し、本発明銅合金板が、強度、耐応力緩和特性などの必要な特性を得るためには、好ましい製造条件があり、以下に各々説明する。また、本発明銅合金板の組織とするためには、後述する通り、最終の冷間圧延と、この後の最終の低温焼鈍とを組み合わせて行う必要があり、かつ、これら各工程の条件を制御する必要がある。
先ず、前記した本発明銅合金組成の鋳造の際には、大規模溶解炉であるシャフト炉での高生産性な造塊が可能である。但し、銅合金溶解炉での合金元素の添加完了から鋳造開始までの所要時間を1200秒以内とし、更に、鋳塊の加熱炉より鋳塊を抽出してから熱延終了までの所要時間を1200秒以下と、できるだけ短時間とすることが好ましい。
このような、銅合金溶解炉での合金元素の添加完了から鋳造開始までの短時間化と、更に、鋳塊の加熱炉より鋳塊を抽出してから熱間圧延終了までの短時間化によって、粗大なNi化合物を抑制するとともに、微細なNi化合物量やNiの固溶量を確保することができる。この結果、銅合金板の、導電率、耐応力緩和特性、強度を確保できる。
なお、後段の主に冷延条件、焼鈍条件により、微細なNi化合物量やNiの固溶量を制御しようとしても、熱間圧延終了までの上記前段の工程において、微細なNi化合物量やNiの固溶量の絶対量が少なくなっている。更に、上記前段の工程において生成した粗大なNi化合物が多い場合には、冷延、焼鈍工程で析出した微細生成物は、この粗大生成物にトラップされてしまい、マトリックス中に独立して存在する微細生成物はますます少なくなる。このため、Niの添加量が多い割には、十分な強度と優れた耐応力緩和特性を得ることができなくなる可能性がある。
熱間圧延については、常法に従えばよく、熱間圧延の入り側温度は600〜1000℃程度、終了温度は600〜850℃程度とされる。熱間圧延後は水冷又は放冷する。
その後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し行なって、製品板厚の銅合金板などとする。焼鈍と冷間圧延は、最終(製品)板厚に応じて繰り返されても良い。冷間圧延は最終仕上げ圧延において30〜80%程度の加工率が得られるように、加工率を選択する。冷間圧延の途中に適宜中間の再結晶焼鈍を挟むことができる。
仕上げ焼鈍温度は、板の実体温度として、最高到達温度が500〜800℃の範囲で行い、この温度範囲での保持時間は好ましくは10〜60秒とすることが好ましい。
(最終冷間圧延)
最終冷間圧延では、圧延速度を200m/min以上に大きくする。また、これと合わせて、後述する通り、低温での最終焼鈍を行なう。最終冷間圧延での圧延速度を増加することによって、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板に導入される歪み速度が大きくなる。これにより、Cube方位以外の結晶方位が発達しやすくなり、Cube方位の発達が抑制されるため、耐応力緩和特性の異方性を小さくできる。また、結晶方位のランダム化が促進され、同一方位粒群(結晶方位が近い結晶粒が隣接して群をなす)が低減するため、個々の結晶粒径も微細化する。したがって、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板の、表面の前記X線回折強度比I(200)/I(220)を0.25以下とでき、平均結晶粒径を5.0μm以下と微細にできる。この結果、圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を向上させることができ、圧延方向に対して平行方向の応力緩和率との差も小さくできる。
一方、最終冷間圧延における圧延速度が200m/min未満と小さ過ぎると、歪み速度が小さいため、本発明のようなCu−Ni−Sn−P系銅合金板では、特に、Cube方位以外の結晶方位の発達が抑制され、また、同一方位粒群が形成されやすく、個々の結晶粒径が大きくなる。このため、上記X線回折強度比I(200)/I(220)を0.25以下とできなくなり、平均結晶粒径も5.0μmを超えて粗大化しやすくなる。
最終冷間圧延のパス数は、過少や過多のパス数を避けて、通常の3〜4回のパス数で行なうことが好ましい。また、1パス当たりの圧下率は50%を超える必要は無く、1パス当たりの各圧下率は、元の板厚、冷延後の最終板厚、パス数、この最大圧下率を考慮して決定される。
(最終焼鈍)
本発明では、最終冷間圧延後に、連続的な熱処理炉で、低温での最終焼鈍を行なう。連続的な熱処理炉における連続焼鈍工程では、炉内を通過する板の通板速度を制御して、最高到達温度が100〜400℃の範囲での低温の焼鈍を短時間行うことが可能となる。この点、前記最高到達温度が100〜400℃の範囲で、板の通板速度を10〜100m/minの範囲とすることで、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板のCube方位の発達を抑制するとともに、Cube方位以外の特定の結晶方位の発達を強くして、異方性を小さくできる。また、結晶粒の成長も抑制できる。したがって、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板の、表面の前記X線回折強度比I(200)/I(220)を0.25以下とでき、平均結晶粒径を5.0μm以下と微細にできる。この結果、圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を向上させることができ、圧延方向に対して平行方向の応力緩和率との差も小さくできる。
板の通板速度が100m/minを超えた場合には、室温から前記最高到達温度範囲100〜400℃まで、板の温度変化が急激に生じるため、通板後の板に残る残留歪み量が増加して、転位の再配列や回復現象が起こりやすくなる。すなわち、圧延方向に対して直角方向および平行方向の両方とも耐応力緩和特性が低下する。一方、板の通板速度が10m/min未満の場合には、前記最高到達温度範囲100〜400℃では、処理時間が長すぎるだけでなく、昇温および降温速度が小さいため、本発明のようなCu−Ni−Sn−P系銅合金板では、特に、Cube方位以外の結晶方位の発達が抑制され、また、結晶粒の成長が促進される。このため、耐応力緩和特性の異方性が強まり、上記X線回折強度比I(200)/I(220)を0.25以下とできなくなり、平均結晶粒径も5.0μmを超えて粗大化しやすくなる。
また、焼鈍温度が100℃よりも低い温度や、この低温焼鈍をしない条件では、銅合金板の組織・特性は、最終冷延後の状態からほとんど変化しない可能性が高い。逆に、焼鈍温度が400℃を超える温度では、再結晶が生じ、転位の再配列や回復現象が過度に生じ、析出物も粗大化するため、強度が低下する可能性が高い。
以下に本発明の実施例を説明する。最終冷間圧延における圧延速度、この最終冷間圧延後の連続的な熱処理炉における低温最終焼鈍の際の通板速度、焼鈍温度を各々制御して、前記X線回折強度比I(200)/I(220)が種々異なる銅合金薄板を製造した。そして、これら各銅合金薄板の、導電率、引張強度、0.2%耐力、耐応力緩和特性などの諸特性を評価した。
具体的には、表1に示す各化学成分組成の銅合金(記載元素量を除いた残部組成はCu)を、それぞれコアレス炉にて溶製した後、半連続鋳造法(鋳造の冷却凝固速度2℃/sec)で造塊して、厚さ70mm×幅200mm×長さ500mmの鋳塊を得た。これら各鋳塊を、共通して、以下の条件にて圧延して銅合金薄板を製造した。各鋳塊の表面を面削して加熱後、加熱炉で960℃で加熱した後、直ちに熱延終了温度750℃で熱間圧延を行って厚さ16mmの板とし、650℃以上の温度から水中に急冷した。
この際、溶解炉での合金元素添加完了から鋳造開始までの所要時間は、各例とも共通して1200秒以下とし、加熱炉抽出から熱延終了までの所要時間は、各例とも共通して1200秒以下とした。
この板を、酸化スケールを除去した後、冷延→連続仕上げ焼鈍→冷延→歪み取り焼鈍を行なって、銅合金薄板を製造した。即ち、一次冷間圧延(粗冷間圧延、中延べ冷間圧延)後の板を面削した。この板の仕上げ焼鈍を、焼鈍炉にて、板の実体温度として、最高到達温度が600℃、この温度での保持時間60秒として行った。
この仕上げ焼鈍後に、圧下率を60%とした最終冷間圧延を行った。この最終冷間圧延における圧延速度を各々制御した。なお、最終冷間圧延では4パスとも同じロール径(60mm)、ロール長さ(500mm)のロールを使用し、1パス当たりの圧下率も30%と同じとした。
この最終冷間圧延後に、実体温度(最高到達温度)は350℃と一定にして、板の通板速度を表2に示すような値に種々変えた、低温の焼鈍を連続焼鈍炉で行って、厚さ0.25mmの銅合金薄板を得た。
なお、表1に示す各銅合金とも、記載元素量を除いた残部組成はCuであり、その他の不純物元素として、Aグループの元素である、Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptの含有量は、表1の発明例9(表2の発明例10)を除き、これらの元素の合計で1.0質量%以下であった。
また、Bグループの元素である、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量は、表1の発明例10(表2の発明例11)を除いて、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下であった。
このようにして得た銅合金板に対して、各例とも、銅合金板から試料を切り出し、各試料の導電率、引張強度、0.2%耐力、耐応力緩和特性などの諸特性を評価した。これらの結果を表2に各々示す。
(組織の測定)
銅合金板試料について、理学電機製X線回折分析装置(型式:RINT1500)を用いて、ターゲットにCoを用い、管電圧40kV、管電流200mA 、走査速度2°/min、サンプリング幅0.02°、測定範囲(2θ)30°〜115°の条件で、板表面の(200)面からのX線回折強度I(200)と、(220)面からのX線回折強度I(220)とを測定し、これらのX線回折強度比I(200)/I(220)を求めた。測定は2箇所行い、I(200)/I(220)はそれらの平均値とした。
(平均結晶粒径の測定)
前記したFESEM/EBSPを用いた結晶方位解析方法により、平均結晶粒径を測定した。試験片の測定箇所は、共通して、任意の五箇所として、これら五箇所の各平均結晶粒径の測定値を平均化して、平均結晶粒径とした。
(引張試験)
前記銅合金薄板から試験片を採取し、試験片長手方向が板材の圧延方向に対し直角方向となるように、機械加工にてJIS5号引張試験片を作製した。そして、5882型インストロン社製万能試験機により、室温、試験速度10.0mm/min、GL=50mmの条件で、伸びを含めた、機械的な特性を測定した。なお、耐力は永久伸び0.2%に相当する引張り強さである。
(導電率測定)
前記銅合金薄板から試料を採取し、導電率を測定した。銅合金板試料の導電率は、ミーリングにより、幅10mm×長さ300mm の短冊状の試験片を加工し、JIS−H0505に規定されている非鉄金属材料導電率測定法に準拠し、ダブルブリッジ式抵抗測定装置により電気抵抗を測定して、平均断面積法により導電率を算出した。
(応力緩和特性)
前記銅合金薄板の、圧延方向に対して、平行方向と、平行方向より厳しい直角方向の応力緩和率を各々測定し、この方向の耐応力緩和特性を評価した。下記応力緩和率測定試験において、圧延方向に対して平行方向と直角方向の応力緩和率がいずれも10%未満で、この平行方向と直角方向の応力緩和率の差が3%以内のものが、耐応力緩和特性として合格となる。
応力緩和率は、具体的には、前記銅合金薄板から試験片を採取し、図1に示す片持ち梁方式を用いて測定した。幅10mmの短冊状試験片1(長さ方向が板材の圧延方向に対し直角方向になるもの)を切り出し、その一端を剛体試験台2に固定し、試験片1のスパン長Lの部分にd(=10mm)の大きさのたわみ量を与える。このとき、材料耐力の80%に相当する表面応力が材料に負荷されるようにLを決める。これを120℃のオーブン中に3000時間保持した後に取り出し、たわみ量dを取り去ったときの永久歪みδを測定し、RS=(δ/d)×100で応力緩和率(RS)を計算する。
表2から明らかな通り、表1の本発明組成内の銅合金(合金番号1〜10)である発明例1〜11は、最終冷間圧延における圧延速度と最終焼鈍における通板速度などの製造方法も各々好ましい条件内で製造されている。このため、表2の発明例は、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板表面の前記X線回折強度比I(200)/I(220)が0.25以下である。また、平均結晶粒径も5.0μm以下と微細である。
また、この他、発明例は、組成範囲が適切で、また上記した好ましい条件内で製造されているために、粗大なNiの酸化物、晶出物、析出物などのNi化合物が抑制され、微細なNi化合物などの量や、Niの固溶量を確保できているものと推考される。
この結果、発明例1〜9は、導電率が30%IACS以上で、圧延方向に対し直角方向のより厳しい応力緩和率が10%未満である端子・コネクタ特性を有している。また、圧延方向に対し直角方向と平行方向の応力緩和率の差も2〜3%程度と少ない。そして、その上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上である機械的特性を有する。即ち、発明例は、導電率、強度が高く、特に耐応力緩和特性に優れ、これら特性を兼備した銅合金板となっている。
ただ、表2の発明例の中でも、その他の元素量が前記した好ましい上限を越える発明例10、11(表1の合金番号9、10)は、導電率が比較的高い他の発明例に比して、導電率が低くなっている。発明例10は、元素Aグループ:Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptの元素の合計が、表1の合金番号9の通り、前記した好ましい上限1.0質量%を越えて高い。発明例11は、元素Bグループ:Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの合計が、表1の合金番号10の通り、前記した好ましい上限0.1質量%を越えて高い。
表2の発明例4(表1の合金番号3)はNi含有量が下限値0.1%である。発明例5(表1の合金番号4)はNi含有量が上限値3.0%である。発明例6(表1の合金番号5)はSn含有量が下限値0.01%である。発明例7(表1の合金番号6)はSn含有量が上限値3.0%である。発明例8(表1の合金番号7)はP含有量が下限値0.01%である。発明例9(表1の合金番号8)はP含有量が上限値0.3%である。
また、最終冷間圧延における圧延速度と最終焼鈍における通板速度などの製造条件が、下限側である発明例2は、発明例1よりも耐応力緩和特性、強度が比較的低い。
表2の比較例12〜17は、最終冷間圧延における圧延速度と最終焼鈍における通板速度などの製造方法も好ましい条件内で製造されている。このため、比較例12〜17は、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板表面の前記X線回折強度比I(200)/I(220)が0.25以下である異方性を有する。にもかかわらず、これら比較例は、表1の合金番号11〜16の本発明組成外の銅合金を用いているために、導電率、強度、耐応力緩和特性のいずれかが、発明例に比して著しく劣る。
比較例12はNiの含有量が下限を低めに外れている(表1の合金番号11)。このため、強度や耐応力緩和特性が低い。比較例13はNiの含有量が上限を高めに外れている(表1の合金番号12)。このため、強度と導電率のバランスが低い。
比較例14はSnの含有量が下限を低めに外れている(表1の合金番号13)ため、強度、耐応力緩和特性が低すぎる。比較例15の銅合金はSnの含有量が上限を高めに外れている(表1の合金番号14)ため、導電率が低い。
比較例16はPの含有量が下限を低めに外れている(表1の合金番号15)ため、強度、耐応力緩和特性が低い。比較例17はPの含有量が上限を高めに外れている(表1の合金番号16)ため、熱間圧延中に割れを生じて、特性評価ができなかった。
表2の比較例18、19は、表1の本発明組成内の銅合金(合金番号1、2)であり、他の製造条件も発明例と同じく好ましい範囲内である。にもかかわらず、最終冷間圧延における圧延速度と最終焼鈍における通板速度が好ましい範囲から外れる。比較例18は最終冷間圧延における圧延速度が遅すぎる。比較例19は最終冷間圧延における圧延速度が遅すぎ、かつ最終焼鈍における通板速度が遅すぎる。
この結果、比較例18、19は、Cu−Ni−Sn−P系銅合金板表面の前記X線回折強度比I(200)/I(220)が0.25を超えている。また、平均結晶粒径も5.0μmを超えて粗大化している。この結果、これら比較例は圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性が発明例に比して著しく劣る。また、圧延方向に対して直角方向の応力緩和率と、圧延方向に対して平行方向の応力緩和率との差も大きい。更に、強度も、発明例に比して低い。
以上の結果から、圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を満たし、圧延方向に対して平行方向の耐応力緩和特性とに差があまりなく、他の端子・コネクタとしての要求特性にも優れたCu−Ni−Sn−P系銅合金板を得るための、本発明銅合金板の成分組成、組織、更には、この組織を得るための好ましい製造条件の意義が裏付けられる。
Figure 2009084595
Figure 2009084595
以上説明したように、本発明によれば、圧延方向に対して直角方向の耐応力緩和特性を満たし、圧延方向に対して平行方向の耐応力緩和特性とに差があまりなく、他の端子・コネクタとしての要求特性にも優れたCu−Ni−Sn−P系銅合金板を提供することができる。この結果、特に自動車用端子・コネクタなどの接続部品用として好適である。
銅合金板の耐応力緩和試験を説明する断面図である。 箱形コネクタの構造を示す断面図である。
符号の説明
1:試験片、2:試験台、3:箱形コネクタ(メス端子)、4:上側ホルダー部、5:押圧片、6:オス端子、7:ワイヤ接続部、8:固定用舌片

Claims (4)

  1. 質量%で、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金板であって、板表面の(200)面からのX線回折強度I(200)と、板表面の(220)面からのX線回折強度I(220)との比、I(200)/I(220)が0.25以下であるとともに、平均結晶粒径を5.0μm以下とすることを特徴とする耐応力緩和特性に優れた銅合金板。
  2. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Fe:0.5%以下、Zn:1%以下、Mn:0.1%以下、Si:0.1%以下、Mg:0.3%以下とした請求項1に記載の耐応力緩和特性に優れた銅合金板。
  3. 前記銅合金板が、更に、Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptの含有量を、これらの元素の合計で1.0質量%以下とした請求項1または2に記載の耐応力緩和特性に優れた銅合金板。
  4. 前記銅合金板が、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素の合計で0.1質量%以下とした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐応力緩和特性に優れた銅合金板。
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