JP2007169492A - インクジェット記録用油性インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、従来は溶解させることが困難であったアクリル樹脂を可溶化させて使用することにより、良好な印字乾燥性と耐擦過性と再溶解性を得ることの出来る
インクジェット記録用油性インク組成物の提供を課題とする。
【解決手段】本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、グリコールエーテルジアルキルエーテル類を主溶剤とする油性インク組成物中に、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合したアクリル樹脂を含有するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用油性インク組成物に関する。
インクジェット記録方式としては、静電誘引力を利用してインクを吐出させる方式(電界制御方式)、ピエゾ素子の駆動圧力を利用してインクを吐出させる方式(ドロップ・オン・デマンド方式または圧力パルス方式)、さらには高熱によって気泡を形成し、成長させることによって生じる圧力を利用してインクを吐出させる方式(バブルまたはサーマルジェット方式)等の各種インクジェット記録方式があり、これらの各方式によれば極めて高精度な画像を得ることができることが知られている。
また、これらのインクジェット記録方式に使用されるインクとしては、主溶媒として水を用いる水性インクと、主溶媒として有機溶媒を用いる油性インクとが一般に用いられている。水性インクを用いて形成された印刷画像は、一般的に耐水性に劣り、耐水表面を有する記録媒体への印刷が困難であるのに対して、油性インクは耐水性に優れた印刷画像を提供することができると共に、耐水性表面を有する記録媒体や上質紙への印刷も容易になるなどの利点を有し、特に色材に顔料を用いた油性インクは耐光性にも優れている。
しかしながら、従来の油性インクでは、有機溶媒として、一般に、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサンや灯油等の脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、あるいはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低沸点溶剤が使用されているが、これらの有機溶媒からなるインクを使用して印字した場合、これらの有機溶媒は沸点や引火点が低く、乾燥が過度に速いためにノズルが詰まりやすいという問題点がある。
また、インク保存容器やプリンタなどの装置や部品に使用されているプラスチック(例えば、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等)に対する溶解・膨潤性の理由からプリンター仕様にコストがかかるという問題があり、また、ポリ塩化ビニル基材に印字した場合、印字品質、印字の乾燥性に関して満足しうるものではない。
ところで、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤は、高沸点、低蒸気圧、低臭気で安全性が高く、作業環境に優れる点で、インク組成物用の溶剤として汎用されてきた低沸点溶剤よりも優れていると言える。しかし、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤は、従来使用されてきた低沸点の溶剤に比べると樹脂溶解性が低く、市販の固形樹脂を溶解して使用する場合、使用可能な樹脂が限られていた。このため、メタクリル酸メチルホモポリマーなど、ガラス転移温度(Tg)の高い樹脂を使用することが困難であり、そのようなアクリル樹脂を使用した場合には、インクの保存安定性や吐出安定性に問題があった。
そして、溶解性を高める効果のあるアクリル系モノマーを取り入れてTgを下げたり、また低分子量化することで溶解性を向上させたアクリル樹脂では十分な印字乾燥性や耐擦過性を得ることが困難であった。
本発明は、グリコールエーテルジアルキルエーテルを溶剤として用いると共に、従来はそのような溶媒には溶解させることが困難であったアクリル樹脂を可溶化させて使用することにより、良好な印字乾燥性と耐擦過性と再溶解性を得ることができるインクジェット記録用油性インク組成物を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するものである。
したがって、本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)を主溶剤とする油性インク組成物中に、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合させたアクリル樹脂(b成分)を含有すること、を特徴とするものである。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)が、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジエチルエーテルまたはポリオキシエチレングリコールエチルメチルエーテルであるもの、を包含する。
−(OC−OR (1)
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基を示し、nは2〜4の整数を示す)
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記油性インク組成物中に、アクリル樹脂の末端に溶剤分子が結合した構造を持つ反応生成物が存在するもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記アクリル樹脂(b成分)が、ビニル芳香族化合物、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アラルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステルからなる群から選ばれたラジカル重合性モノマーから得られたもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記アクリル樹脂(b成分)が、メタクリル酸メチルエステルの重合体、またはメタクリル酸メチルエステル100重量部とメタクリル酸ブチルエステルまたはメタクリル酸エトキシエチルエステルまたはメタクリル酸ベンジルエステル0.01〜15重量部とからなる共重合体とからなるもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記アクリル樹脂(b成分)が、Tgが80℃以上のものであるもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記アクリル樹脂(b成分)が、重量平均分子量が10000〜100000であるもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記油性インク組成物が、色材(c成分)をさらに含有するもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記油性インク組成物中が、塩化ビニル共重合樹脂および繊維素系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分(d成分)をさらに含有するもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記油性インク組成物中が、さらにラクトン類(e成分)を含有するもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記油性インク組成物中に、さらに分散剤(f成分)を含有するもの、を包含する。
このような本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましい態様として、前記のラジカル重合開始剤が、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシカーボネート系、パーオキシケタール系、ケトンパーオキサイド系有機過酸化物から選ばれる1種類または2種類以上からなるもの、を包含する。
そして、本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物の製造方法は、グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)と、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合させたアクリル樹脂(b成分)とを、配合すること、を特徴とするものである。
本発明によれば、低蒸気圧、低臭気で安全性が高く、作業環境に優れるグリコールエーテルジアルキルエーテル類の溶剤中で、アルキル樹脂を重合することにより、従来は使用が困難であった組成のアクリル樹脂を得ることが可能となった。
本発明によるこのインクジェット用油性インク組成物は、ポリ塩化ビニル基材への印字に適し、発色性、印刷安定性、印字乾燥性、耐擦過性、再溶解性のいずれにも優れている。
次に、本発明を実施するための最良の形態を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
<グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)>
本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物におけるグリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)としては、好ましくは、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジエチルエーテルまたはポリオキシエチレングリコールエチルメチルエーテルを用いることができる。
−(OC−OR (1)
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基を示し、nは2〜4の整数を示す)
これらのグリコールエーテルジアルキルエーテルは、1種類を単独で用いることができ、また、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。このようなグリコールエーテルジアルキルエーテルは、高沸点、低蒸気圧のものであることから、作業環境に優れるものである。
上記(a成分)は、本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物の主溶剤として、油性インク組成物中の全溶剤量100重量%の、5〜100重量%、好ましくは10〜100重量%、を占めることができる。
<アクリル樹脂(b成分)>
本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物におけるアクリル樹脂(b成分)は、具体的には、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合させたアクリル樹脂である。このような本発明のアクリル樹脂(b成分)は、前記(a成分)と良好な相溶性を有するものであって、前記(a成分)との溶液を容易に調製できるものである。
このアクリル樹脂(b成分)を用いることにより、溶液を容易に調製でき、ポリ塩化ビニル基材への印字に適したインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
このような(b成分)は、好ましくは、ビニル芳香族化合物、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アラルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステルからなる群から選ばれたラジカル重合性モノマーから得ることができる。このような(b成分)は、発色性、印刷安定性、印字乾燥性、耐擦過性、再溶解性のいずれにも優れたインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
本発明におけるラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能なエチレン性二重結合を分子中に少なくとも一個有し、後述する溶媒中においてラジカル重合開始剤の共存下で重合可能なものであれば各種のモノマーを用いることができる。
そのようなラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(イ)スチレン、
(ロ)スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体、
(ハ)(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−iso−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−iso−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸−iso−ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリル酸エステル類、
(ニ)(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸ブチルアミド、(メタ)アクリル酸ステアリルアミド、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミド、(メタ)アクリル酸フェニルアミド、(メタ)アクリル酸ベンジルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド、
(ホ)(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、酢酸ビニルなどのビニル化合物、
(ヘ)N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリンマレイミド、N−(4−ヒドキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド、
(ト)N−(メタ)アクリロイルフタルイミドなどのフタルイミド、を挙げることができる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の両者を意味するものである。
これらのモノマーのいくつかは、三菱レイヨン(株)、日本油脂(株)、三菱化学(株)、日立化成工業(株)等から入手することができる。
なお、本発明では、上記で例示したラジカル重合性モノマーの一種類を単独で用いることもできるし、上記で例示したラジカル重合性モノマーの二種類以上を組み合わせて用いることも出来る。また、上記ラジカル重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーを必要に応じて併用することができる。従って、本発明によって製造される重合体組成物には、上記ラジカル重合性モノマーの単独重合体および共重合体、ならびにこれらと他のモノマーとの共重合体からなるものが包含される。
特に好ましい共重合体は、メタクリル酸メチルエステル100重量部とメタクリル酸ブチルエステルまたはメタクリル酸エトキシエチルエステルまたはメタクリル酸ベンジルエステル0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜12重量部からなる共重合体である。このような共重合体は、特に良好な印字物物性を有するインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
アクリル樹脂(b成分)の分子量ならびにガラス転移温度(Tg)は任意であるが、本発明では重量平均分子量が500〜150000、特に10000〜100000、であるものが好ましく、また、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上、特に80℃以上、であるものが好ましい。重量平均分子量またはTgが上記範囲内であることにより、再溶解性と良好な印字物物性が得られるという効果が特に顕著になる。
<ラジカル重合開始剤>
本発明で使用されるラジカル重合開始剤は、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシカーボネート系、パーオキシケタール系、ケトンパーオキサイド系有機過酸化物が良く、具体的には下記化合物を挙げることができる。尚、下記において、化合物名の右肩に「*」が付されたものは本発明において特に好ましい化合物である。
(イ)ハイドロパーオキサイド類、例えばt−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなど、
(ロ)ジアルキルパーオキサイド類、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなど、
(ハ)パーオキシエステル類、例えば1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなど、
(ニ)ジアシルパーオキサイド類、例えばジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイドなど、
(ホ)パーオキシカーボネート類、例えばジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジ(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなど、
(ヘ)パーオキシケタール類、例えば2,2−ジ(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレートなど、
(ト)ケトンパーオキサイド類、例えばアセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなど、が挙げられる。
中でも、ジアルキルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ジアシルパーオキサイド系有機過酸化物が好ましい。
これらのラジカル重合開始剤は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
<他の成分>
本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、上記の必須成分(a成分)および(b成分)に加えて、必要に応じて他の成分を含むことができる。必要に応じて含むこととができる他の成分としては、例えば、色材(c成分)、塩化ビニル共重合樹脂および繊維素系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分(d成分)、ラクトン類(e成分)および分散剤(f成分)を挙げることができる。
色材(c成分)としては、従来の油性インク組成物に通常用いられている無機顔料または有機顔料等の顔料、染料の単独、または混合して用いることができる。顔料としては、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、ジケトピロロピロール、アンスラキノン、ベンズイミダゾロン、アンスラピリミジン、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、または金属錯体顔料等を用いることができる。染料としては、例えばアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンチン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニ卜ロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、または金属フタロシアニン染料を用いることができ、特に油溶性染料が好ましい。これらの顔料または染料を単独で用いるか、あるいはそれらの2種またはそれ以上の組み合わせで使用することもできるが、耐候性の観点からは顔料が好ましい。
塩化ビニル共重合樹脂および繊維素系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分(d成分)としては、例えばスチレンアクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロースアセテートブチレート等の繊維素系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂等の単独、またはそれらの混合物を用いることができる。これらの(d成分)を用いることによって、油性インク組成物の粘度調整、また、記録媒体として用いられる塩化ビニル基材への定着性をさらに改善することができる。
ラクトン類(e成分)としては、五員環構造のγ‐ラクトンや、六員環構造のδ‐ラクトン、七員環構造のε‐ラクトン等があり、例えばγ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、γ‐ヘキサラクトン、γ‐ヘプタラクトン、γ‐オクタラクトン、γ‐ノナラクトン、γ‐デカラクトン、γ‐ウンデカラクトン、δ‐バレロラクトン、δ‐ヘキサラクトン、δ‐ヘプタラクトン、δ‐オクタラクトン、δ‐ノナラクトン、δ‐デカラクトン、δ‐ウンデカラクトン、ε‐カプロラクトンの単独、またはそれらの混合物を用いることができる。ラクトン系溶剤は、本発明の好ましい態様においては、5員環のγ‐ラクトン類であり、さらに好ましい態様においては、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンである。ラクトン類(e成分)を用いることによって、ポリ塩化ビニル基材に対する印刷品質をさらに改善することができる。
分散剤(f成分)としては、インクジェット記録用油性インク組成物において用いられている任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、有機溶媒の溶解度パラメーターが8〜11であるときに有効に作用する分散剤を用いることが好ましい。こうした分散剤としては、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000EL(武生ファインケミカル(株)製)等のポリエステル系高分子化合物、solsperse 20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200(ルブリゾール社製)、disperbyk-161、162、163、164、166、180、190、191、192(ビック・ケミー社製)、フローレンDOPA−17、22、23、G−700(共栄社化学(株)社製)、アジスパーPB 821、PB711(味の素ファインテクノ(株)社製)、LP4010、LP4050、LP4055,POLYMER400、401、402、403、450、451、453(EFKAケミカルズ社製)の単独、またはそれらの混合物を用いることができる。
本発明の油性インク組成物における分散剤の含有量は、インク組成物中の色材(特には顔料)の含有量に対して、5〜200重量%、好ましくは30〜120重量%であり、分散すべき色材によって適宜選択するとよい。
また、本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物には、必要に応じて、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、界面活性剤等を添加することができる。好ましい酸化防止剤としては、BHA(2,3−ジブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)等を挙げることができ、その配合量は油性インク組成物中0.01〜3.00重量%が好ましい。また、紫外線吸収剤としては。ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物を挙げることができ、その配合量は油性インク組成物中0.01〜0.5重量%が好ましい。また、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、両性または非イオン系のいずれの界面活性剤も用いることができる。界面活性剤の配合量は油性インク組成物中の0.5〜4.0重量%が好ましい。
<インクジェット記録用油性インク組成物の製造方法>
本発明による重合体組成物の製造方法は、グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)と、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合させたアクリル樹脂(b成分)とを配合すること、からなるものである。
本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物が、(a成分)および(b成分)以外の成分、例えば前記の(c成分)〜(f成分)等からなる場合にはこれらの各成等を配合することによって製造することができる。
各成分の配合順序および配合の仕方は任意であって、例えば製造工程の各段階における配合物の性状や製造上の容易さ等を考慮して定めることができる。例えば、各成分は、一種類ずつ独立して配合することもできるし、各成分の供給ならびに配合をまとめて行って各成分の配合物を一度に得ることも可能である。また、2種または3種以上の成分を予め配合した後に、残りの他の成分と配合することもできる。この際、2種または3種以上の成分を予め配合しておく場合には、予め配合する成分の量は各成分の全量であっても、各成分の所要量の一部分であってもよい。
特に、顔料(c成分)の分散状態が良好なインクジェット記録用油性インク組成物を容易に製造するには、顔料(c成分)と分散剤(f成分)とグリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)の所要量の一部分とを配合し、その後、グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)の残部ならびに他の成分と配合することが好ましい。ここで、顔料(c成分)と分散剤(f成分)とグリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)の所要量の一部分とを配合する際は、ボールミル、ビーズミル、超音波またはジェットミル等で混合を行って、これらからなる顔料分散液を調製することが好ましい。
<インクジェット記録用油性インク組成物>
本発明の油性インク組成物は、20℃における粘度が2〜10mPa・s、好ましくは3〜5mPa・s、になるように調製することが好ましい。そして、表面張力が好ましくは20〜50mN/mとなるように調製することが好ましい。表面張力が20mN/m未満になるとインク組成物がインクジェット記録用プリンタヘッドの表面に濡れ広がるか、または潜み出してしまい、インク滴の吐出が困難になることがある。また、表面張力が50mN/mを越えると記録媒体の表面において濡れ広がらず、良好な印刷ができないことがある。
本発明の油性インク組成物は、撥インク処理された吐出ノズル表面に対して不活性であるという利点を有するので、例えば、撥インク処理された吐出ノズル表面を有するインクジェット記録用プリンタヘッドから吐出させるインクジェット記録方法に有利に用いることができる。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、記録媒体の種類を特に問わないが、本発明の効果が特に顕著に得られるのは、プラスチック基材、特に硬質または軟質ポリ塩化ビニル基材である。ポリ塩化ビニル基材としては、フィルム、シート等が例示される。本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、従来の油性インク組成物では難しかったポリ塩化ビニル基材における無処理表面への印字を可能とするものであって、従来の受容層を有する記録媒体のごとく高価な記録媒体の使用を不要とする優れた効果を示す。なお、本発明によるインクジェット記録用油性インク組成物は、勿論インク受容性樹脂により表面処理された記録媒体に対しても優れた印刷性を有する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
分析には、樹脂溶液から樹脂のみをヘキサンにて精製したサンプルを使用した。
東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」にて、ポリスチレンを標準としたゲル浸透クロマトグラフ(GPC)により分子量測定を行った。
〔 重合体の合成 〕
下記において、製造された重合体1〜6の分析には、樹脂溶液から樹脂のみをヘキサンにて精製したサンプルを使用した。また、分子量測定は、ポリスチレンを標準としたGPC測定を行った。島津製作所(株)製の示差走査熱量計「DSC−50」にて、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
重合体1の合成
100℃に保たれたジエチレングリコールジエチルエーテル300g中に、メタクリル酸メチル200gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3.6gとの混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で2時間反応させた後冷却して、無色透明のメタクリル酸メチルの重合体溶液を得た。Tgは105℃であった。
GPC測定を行ったところ、重合体1の重量平均分子量は30000であった。
重合体1について、MALDI TOF−MS(レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置)(島津製作所(株)製 AXIMA−CFR plus、マトリックス;ジチラノール、カチオン化剤;NaI)にて質量数を測定したところ、以下のような結果を得た(図1)。
検出ピークの一部を示す。
質量数 1085、 1123、 1185、 1223、 1285、 1323
(これらの数値は、Naでイオン化したポリマーの質量を表す)
これらの検出ピークのうち、「1085、1185、1285」が、溶媒由来構造を末端に有する重合体のNaイオンの質量数と一致する。また、「1123、1223、1323」は、ラジカル重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート由来構造を末端に有する重合体がNaでイオン化された化合物の質量数と一致する。
重合体2の合成
メタクリル酸メチル200gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.8gとの混合物を使用し、重合体1と同様の合成方法により、無色透明のメタクリル酸メチルの重合体溶液を得た(Tg105℃、分子量50000)。
重合体3の合成
メタクリル酸メチル180gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.9gとの混合物を使用し、重合体1と同様の合成方法により、無色透明のメタクリル酸メチルの重合体溶液を得た(Tg105℃、分子量90000)。
重合体4の合成
メタクリル酸メチル180gとメタクリル酸n−ブチル20gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3.6gとの混合物を使用し、重合体1と同様の合成方法により、無色透明のメタクリル酸メチルとメタクリル酸n−ブチルとの共重合体溶液を得た(Tg94℃、分子量30000)。
重合体5の合成
メタクリル酸メチル180gとメタクリル酸2−エトキシエチル20gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3.6gとの混合物を使用し、重合体1と同様の合成方法により、無色透明のメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−エトキシエチルとの共重合体溶液を得た(Tg85℃、分子量30000)。
重合体6の合成
メタクリル酸メチル180gとメタクリル酸ベンジル20gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3.6gとの混合物を使用し、重合体1と同様の合成方法により、無色透明のメタクリル酸メチルとメタクリル酸ベンジルとの共重合体溶液を得た(Tg91℃、分子量30000)。
重合体7の合成
溶媒をトルエンとした以外は重合体1の合成方法と同様に行い、無色透明のメタクリル酸メチルの重合体溶液を得た(Tg105℃、分子量30000)。
〔 実施例 〕
下記の実施例および比較例において、色材としては、「Pigment Red 122」を用いた。分散剤は、ルブリソール社製「ソルスパース32000」(ポリエステル系化合物)を使用した。バインダー樹脂(アクリル樹脂)として、本発明の樹脂を使用した。
また、粘度は、アントンパール社製「AMVn」粘度計を使用して測定した。顔料粒子の粒径は、日機装(株)製「マイクロトラックUPA150」を使用した。
<実施例1>
下記組成の溶媒を使用した。
・ジエチレングリコールジエチルエーテル 41.5重量部
・テトラエチレングリコールジメチルエーテル 25.0重量部
・γ−ブチロラクトン 25.0重量部
上記組成の溶媒の一部に色材3.0重量部と分散剤1.5重量部とを添加し、ディゾルバーで3000rpmにて1時間攪拌した後、ジルコニアビーズ(2mm)を充填したビーズミルで予備分散した。得られた顔料粒子の平均粒径は5μm以下であった。
更に、ジルコニアビーズ(0.3mm)を充填したナノミルで本分散を行ない、顔料分散液を得た。この本分散により得られた顔料粒子の平均粒径は150nμmであった。
得られた顔料分散液を4000rpmで攪拌しながら、バインダー樹脂として重合体1を4.0重量部と上記で作製した混合溶媒の残部とを添加して、本発明のインクジェット記録用インク組成物V1(粘度:4.0mPa・s(20℃))を調製した。
<実施例2>
実施例1における重合体1に代えて、重合体2を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用インク組成物V2(粘度:4.2mPa・s(20℃))を調製した。
<実施例3>
実施例1における重合体1に代えて、重合体3を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用インク組成物V3(粘度:4.5mPa・s(20℃))を調製した。
<実施例4>
実施例1における重合体1に代えて、重合体4を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用インク組成物V4(粘度:3.8mPa・s(20℃))を調製した。
<実施例5>
実施例1における重合体1に代えて、重合体5を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用インク組成物V5(粘度:3.8mPa・s(20℃))を調製した。
<実施例6>
実施例1における重合体1に代えて、重合体6を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用インク組成物V6(粘度:3.8mPa・s(20℃))を調製した。
<比較例1>
実施例1における重合体1に代えて、重合体7を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、インクジェット記録用インク組成物Y1(粘度:4.1mPa・s(20℃))を調製した。
<比較例2>
実施例1における重合体1に代えて、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールBR83」を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、インクジェット記録用インク組成物Y2(粘度:4.3mPa・s(20℃))を調製した。
<比較例3>
実施例1における重合体1に代えて、ローム&ハース社製「パラロイドB60」を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、インクジェット記録用インク組成物Y3(粘度:3.8mPa・s(20℃))を調製した。
<比較例4>
実施例1における重合体1に代えて、ローム&ハース社製「パラロイドB99N」を使用した以外は、実施例1同様の方法によって、インクジェット記録用インク組成物Y4(粘度:3.7mPa・s(20℃))を調製した。
〔インクジェット記録用インク組成物の評価〕
上記の実施例で得られたインク組成物V1〜V6および比較例で得られたインク組成物Y1〜Y4について、下記の評価法にて評価を行った。
得られた結果は、表1に示される通りである。
発色性 セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター「MJ−8000C」にてマックタック社製塩化ビニルフィルム「JT5829R」にベタ印字を実施し、その濃度を反射濃度計で測定した。
評価A:OD値≧1.6
評価B:OD値<1.6
評価C:塗膜白化
乾燥性 ベタ印字を行い、乾燥するまでに時間を計測した。
評価A:1分以内
評価B:3分以内
評価C:3分以上
再溶解性 インク組成物をシャーレに採り、60℃で1週間放置し、乾燥固化しているインクに再度インクを滴下し、その再溶解(分散)性を確認した。
評価A:速やかに再溶解する(5分以内)
評価B:再溶解するが、時間がかかる(5分以上)
評価C:再溶解しない部分が残る
耐擦過性 ベタ印字を行い、印字面を JIS L0849 摩擦試験機I型にて100往復後の外観を観察した。
評価A:印字面の劣化がほとんどみられない。
評価B:印字面の劣化は若干あるが、意匠性は損なわれない。
評価C:濃度が低下し、劣化している。
印字安定性 室温下で連続印字を実施し、ドット抜け、飛行曲がり及びインクの飛び散りの有無を観察した。
評価A:連続48時間の連続試験期間内で、ドット抜け、飛行曲がり又はインクの飛び散りの発生が10回未満であった。
評価B:連続48時間の連続試験期間内で、ドット抜け、飛行曲がり又はインクの飛び散りの発生が10回以上20回未満であった。
評価C:連続48時間の連続試験期間内で、ドット抜け、飛行曲がり又はインクの飛び散りの発生が20回以上であった。
Figure 2007169492
表1から、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、評価項目の全てに良好であった。一方、比較例1、2は、発色性と再溶解性および印字安定性が劣っていた。また、比較例3、4は、乾燥性、再溶解性および耐擦過性が劣っていた。
上記の結果より、本発明のインクはこれまでの一般的な樹脂よりも溶解性が非常に優れ、しかも発色や乾燥性などの印字適性も良好であることが確認された。
従来は、高沸点、低蒸気圧、低臭気で安全性が高く、作業環境に優れる、グリコールエーテルジアルキルエーテル類では、溶解性が低いため使用が困難であった、メタクリル酸ホモポリマーなどTgの高い樹脂を使用することが可能となった。
本発明によれば、ポリ塩化ビニル基材への印字に適し、発色性、印刷安定性、印字乾燥性、耐擦過性、再溶解性に非常に優れたインクジェット記録用油性インク組成物として有効に使用することが出来る。
実施例により得られた重合体1を、レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置によって測定したときのデータを示す図。

Claims (13)

  1. グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)を主溶剤とする油性インク組成物中に、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合させたアクリル樹脂(b成分)を含有することを特徴とする、インクジェット記録用油性インク組成物。
  2. グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)が、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジエチルエーテルまたはポリオキシエチレングリコールエチルメチルエーテルである、請求項1に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
    −(OC−OR (1)
    (ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基を示し、nは2〜4の整数を示す)
  3. 前記油性インク組成物中に、アクリル樹脂の末端に溶剤分子が結合した構造を持つ反応生成物が存在する、請求項1または2に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  4. 前記アクリル樹脂(b成分)が、ビニル芳香族化合物、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アラルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステルからなる群から選ばれたラジカル重合性モノマーから得られたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  5. 前記アクリル樹脂(b成分)が、メタクリル酸メチルエステルの重合体、またはメタクリル酸メチルエステル100重量部とメタクリル酸ブチルエステルまたはメタクリル酸エトキシエチルエステルまたはメタクリル酸ベンジルエステル0.01〜15重量部とからなる共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  6. 前記アクリル樹脂(b成分)が、Tgが80℃以上のものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  7. 前記アクリル樹脂(b成分)が、重量平均分子量が10000〜100000である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  8. 前記油性インク組成物が、色材(c成分)をさらに含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  9. 前記油性インク組成物中に、塩化ビニル共重合樹脂および繊維素系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分(d成分)をさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  10. 前記油性インク組成物中に、さらにラクトン類(e成分)を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  11. 前記油性インク組成物中に、さらに分散剤(f成分)を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  12. 前記のラジカル重合開始剤が、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシカーボネート系、パーオキシケタール系、ケトンパーオキサイド系有機過酸化物から選ばれる1種類または2種類以上からなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  13. グリコールエーテルジアルキルエーテル類(a成分)と、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合させたアクリル樹脂(b成分)とを、配合することを特徴とする、インクジェット記録用油性インク組成物の製造方法。
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