JP2007160340A - ロウ材 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉛フリーを実現しつつ、リフロー温度に溶融せず、接合のための温度が高すぎて、例えば接着剤や部品自体に損傷を与えることがない電気・電子部品の接合に好適なロウ材を提供すること。
【解決手段】Au/Ge/Snを含む3元合金のロウ材であり、液相が発生しだす温度をTs、完全に液相になる温度をTlとした場合に、Tl−Ti<50度であるロウ材。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉛を使用しないで、電子部品の電気的接続や機械的接合を可能にするロウ材(ハンダ材料)の改良に関する。
従来、このような電子部品の接続用とに用いられるロウ材には、鉛(Pb)を用いたロウ材が広く用いられてきた。
すなわち、鉛(Pb)は、密度が高く、軟らかくて靱性が高く、融点が低くて潤滑特性が良く、耐腐食性に優れるなどの多くの利点を持っているために、単体として、あるいは種々の合金として、長年にわたり、機械的接合および電気的接続の用途に今日されるロウ材あるいはハンダ材料に用いられてきたものである。
特にSn−Pb系のハンダは、融点が200度(「摂氏」、なお以下で用いる温度表示は全て摂氏)以下であり、低いことから、電気、電子部品を低温でハンダ接合することができ、これら部品に熱的悪影響を与えにくいことから長年にわたり多用されてきた。
しかしながら、近年、鉛を含有したロウ材やハンダ材料を用いた電子部品による環境汚染が問題とされている。
すなわち、地球温暖化や酸性雨などとともに、鉛を用いた電子部品が廃棄されることが問題となっている。鉛を含んだ電子部品が廃棄されると、酸性雨によって、鉛の主成分が地下水を汚染し、体内に取り込まれることで、鉛は人々に強い毒性による被害を与える。
このような問題を背景として、例えば、電子部品を封止するロウ材として、金を用いた金錫などの鉛を含まないロウ材が使用されている(特許文献1参照)。
特開2000−149790
ところが、従来の鉛を含有しない鉛フリーのロウ材では、金錫(AuSn)が多用されており、この場合、その融点は200度ないし220度程度から280度と低い。
このため、電子部品をパッケージなどの収容体に接合して、蓋体を当該ロウ材で封止して、完成した部品を実装のため、リフロー工程に送ると、リフロー温度と融点が近いために、接合がとれてしまう恐れがある。
さらに、金錫で電子部品を接合後に、その部品をリペアーするためにハンダ用の加熱コテを用いると、通常コテの温度は上記融点より高いために、接合が外れるおそれがある。
一方、金ゲルマニウム(AuGe)を用いた場合には、その融点は金錫より高い温度で、360度付近となるが、今度は温度が高すぎて、例えば、パッケージ内に導電性接着剤などで既に部品を接合している場合に、その後に、AuGeにより蓋体の封止などを行うと、このような接着剤は、通常330度程度で分解するため、接合がはずれてしまうおそれがある。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、鉛フリーを実現しつつ、リフロー温度に溶融せず、接合のための温度が高すぎて、例えば接着剤や部品自体に損傷を与えることがない電気・電子部品の接合に好適なロウ材を提供することを目的とする。
上述の目的は、第1の発明にあっては、Au/Ge/Snを含む3元合金のロウ材であ
り、液相が発生しだす温度をTs、完全に液相になる温度をTlとした場合に、Tl−Ts<50度であるロウ材により、達成される。
第1の発明の構成によれば、ロウ材(もしくはハンダ材料)として、3つの金属、すなわち、金、ゲルマニウム、錫(Au/Ge/Sn)を含んだ3元合金を使用しているのは、以下の理由による。
以前より、2元の合金、すなわち、金錫と、金ゲルマニウムなどの2元の合金をロウ材に使用することは知られており、異なる2元合金の各ロウ材は、それぞれ個別の融点を有している。
しかしながら、一般に、2つの金属を混ぜて合金化した場合に、各金属のもつ融点と、合金の融点とは、これらの配合比に対して、線形性を示さないことが知られている。このため、特定の融点を狙って配合比を決めて合金を作ることは、比較的困難であり、度重なる試行の結果、狙う融点を得るためには、2元合金が限度であった。
すなわち、3元合金の場合には、未知のいかなる相が出現するかがわからないので、当該合金の融点を知ることは難しい。
本発明者は、このような試行を繰り返し行い、Au/Ge/Snの配合比を適切にすることで、液相が発生しだす温度をTs、完全に液相になる温度をTlとした場合に、Tl−Ts<50度の範囲として、きわめて扱いやすいロウ材を得ることができた。
さらに、融点以外に次のような各事項において、従来の封止材(ハンダ)を改善する合金を得ることができた。
すなわち、金錫と、金ゲルマニウムという従来のロウ材は、その加工性、ロウ材として使用した場合の濡れ性、酸化のされやすさなどの点で、それぞれ異なる特性を持っている。
1.加工性
薄く圧延したロウ材を抜き型で希望形状にして使用したい場合において、金錫の薄板は、プレス性が良好であるが、金ゲルマニウムの薄板は粘性が強く、希望形状にしにくい。2.濡れ性
金錫よりも金ゲルマニウムのほうが濡れ性が良い。このことにより、接合時に金錫は濡れ不足、金ゲルマニウムは流れ過ぎの弊害が生じる場合もある。
3.酸化されやすさ
金錫よりも金ゲルマニウムの方が酸化されやすい。このことは、所定温度以上の融点が求められる接合工程では、不活性ガスや還元ガスを導入して品質を向上させる工夫が必要とされる弊害もある。
本発明で利用するAu/Ge/Snを含む3元合金のハンダでは、上記1ないし3の点について、意外にも、中間的物性を得ることができ、これら各課題の解決にもつながるものである。
第2の発明は、第1の発明の構成において、金(Au)の含有量を65at%から75at%として、残りをGeとSnを含有させたことを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明の構成において、ゲルマニウム:錫の原子量における比を100:1から1:100としたことを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明の構成において、前記ゲルマニウム:錫の原子量における比を15:1から1:15としたことを特徴とする。
図1は金(Au)とゲルマニウム(Ge)の(二元)合金状態図であり、28対72の組成比(原子量比)において共晶点を持つ。図2は金(Au)と錫(Sn)の(二元)合金状態図であり、20対80の組成比(原子量比)において共晶点を持つ。
図1では、AuGe(金ゲルマニウム合金)において、液相が発生しだす温度がTs(固相線=完全固相領域と、液相と固相の混合領域との境界線)により、また、完全に液相になる温度がTl(液相線=加熱により固相の融解が開始する温度を表す線)により示されている。
図示されているように、AuGeによるロウ材では、その融点eは361度となる。
このため、AuGe合金によって、部品のハンダ付けをして、実装しようとする場合には、そのリフロー温度は361度を上回ることになる。
この場合、ハンダ付けを行う部品が、例えば圧電デバイスのように、パッケージ部品、あるいはケースを伴う部品であって、内部に圧電振動片が、導電性接着剤などにより接合されていた場合には、リフロー時の熱で該導電性接着剤からガスが生成され、圧電振動片に付着して、性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
図2では、AuSn(金錫合金)において、加熱していく際に液相が発生しだす温度がTs(固相線=完全固相領域と、液相と固相の混合領域の境界線)により、また、加熱していく際に完全に液相になる温度がTl(液相線=加熱により固相の融解が終了する温度を表す線)により示されている。
この場合、融点eは278度となる。しかしながら、上記圧電デバイスのような製品では、圧電振動片を導電性接着剤でパッケージに接合後、パッケージに対して、蓋体をこの278導電性接着剤の融点を持つロウ材で封止して、完成した該圧電デバイスを実装のため、リフロー工程に送ると、リフロー温度と融点が近いために、接合がとれてしまう恐れがある。
さらに、金錫で電子部品を接合後に、その部品をリペアーするためにコテを用いると、通常コテの温度は上記融点より高いために、接合が外れるおそれがある。
図3は、この状態を示しており、鉛の使用を排して、金を用いることとし、錫との合金とすると、融点が278度となり、ゲルマニウムとの合金とすると、融点が361度となる。
しかしながら、いずれの融点でも実用上問題が出てきているので、融点が278度から361度のロウ材もしくはハンダ材料が望まれる。
そこで、本発明者の試行によれば、3つの金属、すなわち、Au/Ge/Snの配合比を適切にすることで、280度から360度の融点を必要により調整設定できる好都合なハンダを得ることができる。
さらに、融点以外にも、加工性、濡れ性、酸化されやすさなどの諸点で、従来のハンダと比較して有利なものとなる。すなわち、加工性では、薄板にして、希望の形状に成形しやすく、ハンダのプリフォームが容易となる。また、濡れ性では、封止面に濡れ拡がり易く、かつ不必要に流れない。また、酸化されやすさの点では、接合工程で、場合によっては、不活性ガスや還元ガスを導入しなくても、酸化されにくく、高品質な製品が比較的簡単な工程で実現できる。
本発明の好適な実施例では、Au/Ge/Snを含む3元合金のロウ材でありTl−Ts<50度であることが好ましい。
それにより、278度から361度の融点をもつロウ材を得ることができる。しかもTl−Ts<50度であることで、溶けやすく溶けた際の流動性の点でも扱い易い利点がある。
さらに、金(Au)を65at%から75at%として、残りをGeとSnを含有させると好ましい。なぜならAu/Ge/Snの3元合金の共晶線がこの組成の中に存在し、該合金のTl(液相面=加熱により固相の融解が終了する温度を表す面)が278度から361度である融点をもつという利点があるからである。
さらに、ゲルマニウム:錫の原子量における比を100:1から1:100の範囲とすると好ましい。なぜならゲルマニウム:錫の原子量における比を100:1より大きくまたは1:100より大きくするとAu/GeまたはAu/Snの2元合金と概略同一な特性を示すからである。
さらにまた、ゲルマニウム:錫の原子量における比を15:1から1:4の範囲とすると好ましい。なぜならAu/Ge/Snの3元合金は組成67/6/27(at%)付近で3元共晶点がありゲルマニウム:錫の原子量における比を1:4よりも錫を多くするとその合金の融点が278度よりも低くなってしまうからである。
(実施例1)
図4は、実施例1を示している。すなわち、図4は3元合金の組成図であり、金(Au)を65at%ないし75at%として、残りをGeとSnを含有させるものである。
実際には、以下の工程を実行し、製造することができる。
1. 金(Au)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)を所定量真空炉もしくは還元炉で溶解しインゴットを作成した後ロールなどにより圧延しシート状に成型する。

2.金(Au)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)を所定量真空炉もしくは還元炉で溶解しアトマイズ法にて粉末を作成する。該粉末にビビクルを添加しペーストとする。

3.金(Au)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)を所定量真空炉もしくは還元炉で溶解しアトマイズ法にて粉末を作成する。該粉末を圧粉成型法にて成型しロウ材として使用する。
Au/Ge/Snの3元合金の好ましい組成比は、以下の通りである。
1)Au/Ge/Snについて、原子量%(at%)で、72/26/2。重量%では、87/11.5/1.5。その融点は358度である。
2)また、Au/Ge/Snについて、at%で、70/21/9。重量%では、84.2/9.3/6.5。その融点は350度である。
3)Au/Ge/Snについて、at%で、70/15/15。重量%では、83/6.5/10.5。その融点は325度である。
4)Au/Ge/Snについて、at%で、68/25.6/6.4。重量%では、79.3/2.7/18。その融点は265度である。
本発明の参考に供するAuGe合金の状態図。 本発明の参考に供するAuSn合金の状態図。 AuGe、AuSnの各合金の融点を表す図。 本発明の実施例を示す3元合金の組成図。
符号の説明
Ts・・・固相線温度、Tl・・・液層線温度、e・・・共晶温度

Claims (4)

  1. Au/Ge/Snを含む3元合金のロウ材であり、液相が発生しだす温度をTs、完全に液相になる温度をTlとした場合に、Tl−Ts<50度であることを特徴とするロウ材。
  2. 前記金(Au)の含有量を65at%(at%=「原子量%」、以下同じ)から75at%として、残りをGeとSnを含有させたことを特徴とする請求項1に記載のロウ材。
  3. 前記ゲルマニウム:前記錫の原子量における比を100:1ないし1:100としたことを特徴とする請求項2に記載のロウ材。
  4. 前記ゲルマニウム:前記錫の原子量における比を15:1ないし1:15としたことを特徴とする請求項3に記載のロウ材。
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