JP2007156331A - 光コネクタ用工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ファイバ収納溝131が全長にわたって形成された棒状の治具本体130に沿ってスライド移動可能に設けたスライダ150を、治具本体130の拡幅部分である弾性変形可能な変形開閉部136に挿脱することで、変形開閉部136のファイバ収納溝131が開閉されて、閉じたときにファイバ収納溝131内の光ファイバ4を固定できる光ファイバ用治具120を採用した光コネクタ用工具100を提供する。
【選択図】図1
Description
この光コネクタは、予め光ファイバ(以下、内部光ファイバとも言う)が内挿固定されたフェルールの後端側(コネクタ接続用の接合端面とは反対の側)に、前記内部光ファイバのフェルール後端から突出した後端と、光コネクタに後端側から挿入して前記内部光ファイバ後端に突き合わせた光ファイバ(以下、挿入光ファイバとも言う)とを、C形あるいはコ字形のバネの内側に収納された二つ割り構造の素子間に挟み込んで、光ファイバ同士の突き合わせ接続状態を維持するクランプ部を備えている。
このため、従来、楔状の介挿部材を光コネクタの側部の楔挿入孔からクランプ部の一対の素子間に割り込ませて、素子間を開放する専用の工具(光コネクタ用工具)も提供されている(例えば特許文献2)。
この光コネクタ用工具としては、光コネクタを着脱自在に保持する光コネクタ保持部と、この光コネクタに挿入する光ファイバ(挿入光ファイバ)を保持したファイバホルダが載せられるホルダ載せ台と、介挿部材を支持して光コネクタ保持部に保持された光コネクタ対して進退動させる介挿部材移動機構とを具備した構成が一般的である。そして、この工具では、介挿部材の圧入によって一対の素子間を開放した状態で、ホルダ載せ台上のファイバホルダを光コネクタに接近するようにスライド移動させることで、ファイバホルダに保持された挿入光ファイバの先端を光コネクタに挿入して、クランプ部の一対の素子間にて、内部光ファイバの後端に突き合わせ接続できる。
ファイバホルダは、光ファイバの被覆材を除去するストリッパーや、光ファイバの切断を行なうファイバカッタといった光ファイバ加工機器(例えば、特許文献3参照)における光ファイバの加工にも用いられる。すなわち、ストリッパー、ファイバカッタといった光ファイバ加工機器に、ファイバホルダを着脱可能に装着できるホルダ載せ台を設けておき、ファイバホルダを、挿入光ファイバを保持したまま、各光ファイバ加工機器のホルダ載せ台に移設して、光ファイバの加工(被覆除去、切断等)を行う。そして、光コネクタ用工具のホルダ載せ台上にファイバホルダを載せるときには、挿入光ファイバの先端部に裸光ファイバが口出しされている。
また、挿入光ファイバをファイバホルダに固定した後、ファイバホルダの蓋板に不用意に触れたり、ファイバホルダを落としてしまうと、光ファイバの固定位置がずれてしまうことがある。このため、作業中に、ファイバホルダの扱いに留意する必要があり、作業性に影響するといった不満があった。
請求項1に係る発明は、光コネクタに該光コネクタの後端側から光ファイバを挿入して、前記光コネクタのフェルールに内挿固定された内部光ファイバの後端に突き合わせ接続し、前記光ファイバの先端に前記光コネクタを取り付けるための光コネクタ用工具であって、光コネクタを着脱自在に保持する光コネクタ保持部を有する工具本体と、この工具本体に着脱可能であり、前記光コネクタに挿入する光ファイバを保持した状態で、前記工具本体に設けられている案内部によって案内されて、前記光コネクタ保持部に保持された光コネクタに対して進退動する光ファイバ用治具とを具備し、前記光ファイバ用治具は、前記光ファイバを収納するファイバ収納溝が全長にわたって形成された棒状の治具本体と、前記ファイバ収納溝から治具本体先端側に延出する前記光ファイバを、前記治具本体の先端に設けられたヘッド部と該ヘッド部に枢着された開閉自在の蓋との間に挟み込むファイバ押さえ部と、前記治具本体を収納する凹形あるいはリング状に形成され、前記治具本体の外側に該治具本体の長手方向に沿って移動自在に装着されたスライダとを具備し、前記治具本体は、前記ファイバ収納溝の両側の側壁部が側圧によって前記ファイバ収納溝の溝幅を狭めるように弾性変形可能になっている変形開閉部を有し、前記変形開閉部は、前記ファイバ収納溝の両側あるいは片側の側壁部に外側に膨出する膨出部を有しており、前記治具本体に沿って移動する前記スライダの該変形開閉部に対する挿脱によって開閉され、閉じられたときに前記ファイバ収納溝内の光ファイバを挟み込んで固定できるようになっていることを特徴とする光コネクタ用工具を提供する。
請求項2に係る発明は、前記変形開閉部の前記膨出部は、前記治具本体の長手方向一端側から他端側に行くほど前記側壁部外側への突出寸法が大きくなるように形成されたテーパ部を有することを特徴とする請求項1記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項3に係る発明は、前記変形開閉部が、一対の側壁部を連結する底壁に、前記治具本体の長手方向に沿って形成されたスリットによって2分割されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項4に係る発明は、前記治具本体の前記変形開閉部を介して長手方向両側に、前記スライダが当接される移動規制用のスライダストッパが設けられ、一方又は両方のスライダストッパと前記変形開閉部との間に、治具本体に沿った移動によって前記変形開閉部から抜き出した前記スライダが設置されるスライダ待機領域が確保されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項5に係る発明は、前記ファイバ押さえ部のヘッド部に、前記工具本体から離脱させた光ファイバ用治具を光ファイバ加工機器の治具載せ台に載せる際に、前記治具載せ台の位置決め突起に挿入して位置決めするための位置決め凹所が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項6に係る発明は、前記光コネクタ保持部に保持された光コネクタに光ファイバを挿入した前記光ファイバ用治具を、前記光コネクタの内部光ファイバに突き合わせられた前記光ファイバに撓みを確保できる位置に保持するための治具保持手段が前記工具本体に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項7に係る発明は、前記治具保持手段が、前記光ファイバ用治具に係脱可能に係合するラッチであることを特徴とする請求項6記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項8に係る発明は、前記工具本体は、前記光ファイバ用治具が載せられて前記光コネクタ保持部に対して進退動する上面に、前記光ファイバ用治具に保持された光ファイバの前記ファイバ押さえ部からの突出長を確認するための確認用表示が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項9に係る発明は、光ファイバ用治具の前記ファイバ押さえ部のヘッド部は、前記治具本体から両側に張り出すプレート状に形成されており、前記工具本体には、前記光ファイバ用治具に保持された光ファイバの前記ファイバ押さえ部からの突出長を前記確認用表示によって確認する際に、前記ヘッド部の後端面を押し当てて光ファイバ用治具を位置決めするための確認用治具当接部が設けられていることを特徴とする請求項8記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項10に係る発明は、前記工具本体上に、前記光ファイバ用治具の治具本体を収納する治具本体収納溝が形成された治具支持壁が突設され、前記治具支持壁によって、前記光ファイバ用治具が、光コネクタ保持部に保持された光コネクタに対して進退動可能として支持されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
また、光ファイバ用治具を落としてしまっても、スライダが変形開閉部から離脱しない限り変形開閉部が開放されないため、光ファイバ用治具における光ファイバの固定状態を確実に維持できる。
また、本発明に係る光コネクタ用工具の光ファイバ用治具は、棒状の治具本体のファイバ収納溝に光ファイバを収納する構造であり、小型化、軽量化が容易である。軽量化によって、光ファイバを固定した光ファイバ用治具を落としてしまっても、光ファイバを傷めにくい、といった効果も得られる。
図中、符号1は工具付き光コネクタ、100は光コネクタ用工具である。
図1は本発明に係る光コネクタ用工具100を示す全体斜視図、図2は光コネクタ用工具100の工具本体110を示す図であって、(a)は光コネクタ保持部112側から見た斜視図、(b)は治具支持壁113側から見た斜視図、図3は前記工具本体110を示す平面図、図4は光コネクタ用工具100の光ファイバ用治具120を示す図であって、(a)は上側から見た斜視図、(b)は下側から見た斜視図である。
まず、介挿部材付き光コネクタ1について説明する。
図1に示すように、介挿部材付き光コネクタ1は、光コネクタプラグである光コネクタ3の外側に介挿部材ユニット2を装着した構成のものである。
図12〜図14に示すように、光コネクタ3は、フェルール31の後端側(接合端面31aとは反対の側)にクランプ部32(後述)が組み立てられているクランプ部付きフェルール37をハウジング33内に収納したものである。
但し、ここで採用可能な光コネクタとしては、フェルールの後端にクランプ部が組み立てられてなるクランプ部付きフェルールをハウジングに収納したものであれば良く、ハウジング構造などは図示例のものに限定されず、例えば、所謂SC2形光コネクタ等、単心あるいは多心の各種の光コネクタも採用可能である。
なお、SC2形光コネクタとは、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector。JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ(光コネクタプラグ)など)から、該SC形光コネクタのハウジングの外側に装着されるつまみを省略したものである。
なお、図13中、符号34a、34bは、介挿部材ユニット2の介挿部材21(図1、図10等参照)を差し込む差込口を示す。符号36は、ストップリング34の後端に装着されるブーツを示す。但し、ブーツ36は、光コネクタ3の後端側(図14右側)からクランプ部32に光ファイバ4を挿入する際に、光ファイバ4に予め通しておき、クランプ部32への光ファイバ4の挿入完了後にストップリング34に装着される。
クランプ部付きフェルール37のクランプ部32は、スリーブ状のストップリング34の軸方向に移動自在としてストップリング34に収納されている。
スペーサ35は、ストップリング34の後端部に反力を取ってクランプ部32を光コネクタ3の先端側(図14左側)に押圧することで、クランプ部付きフェルール37全体を光コネクタ3先端側に付勢するスプリングであってもよい。このスペーサ35は、例えば、光コネクタ3を光コネクタアダプタ等に挿入して別の光コネクタと接続する時に、フェルール31に、接続の相手側の光コネクタとの間の突き合わせ力を与える機能を果たす。
なお、クランプ部付きフェルール37は、フェルール31のフランジ部31bが、ハウジング33内に突設されているストッパ部33aに当接することで、ストップリング34に対する光コネクタ3先端側へのそれ以上の移動(ストップリング34に対する相対的な移動)が規制される。
図14〜図16に示すように、クランプ部32は、フェルール31のフランジ部31bから延びる延出部31cと、この延出部31cの合わせ面324a上に配置された蓋側素子321a、321bとを、断面C形のスリーブ状のバネ322(C形バネ)の内側に収容した構造になっている。延出部31cは、クランプ部32を構成する半割りの素子の一方(以下、素子31cと称する場合もある)、二つの蓋側素子321a、321bは、クランプ部32を構成する半割りの素子の他方(素子321)を構成している。クランプ部32は、一対の半割り素子31a、321の間で、光ファイバをクランプする構造になっている。二つの蓋側素子321a、321bは、一方(素子321a)が他方(素子321b)よりもフェルール31側となるようにして、光コネクタ3の前後方向(図14左右)に配列されている。バネ322は、該バネ322の軸方向中央部に形成されたスリット322aによって2分されている。前記スリット322aは、二つの蓋側素子321a、321bの間の境界付近に位置合わせされているため、バネ322のスリット322aを介して軸方向両側の各部分は、該バネ322の弾性を二つの蓋側素子321a、321bに別個に作用させる独立したバネとして機能するようになっている。然るに、一方の蓋側素子321aと延出部31cの組、他方の蓋側素子321bと延出部31cの組は、それぞれ、独立のクランプ部としても機能し得る。
なお、バネ322の形状は、断面コ字形のものなど、各種採用可能である。
この溝325a、325bのフェルール31側の端部は、調心溝323と連通されている。図示例の光コネクタ3では、溝325a、325bは、素子31cの合わせ面324aと、素子321bの合わせ面324bの両方(図14、図16等参照)に形成されている。この溝325a、325bは、一対の素子31c、321の間で丁度対面する位置(具体的には、素子31cと素子321bの丁度対面する位置)に形成されている。
なお、光ファイバ4は、裸光ファイバ4aの口出し長の設定によって、裸光ファイバ4aが調心溝323内で内部光ファイバ38に突き当てられた際に、溝325a、325bのほぼ全長にわたって被覆部分が収納されるようにしておく。
溝325a、325bは、光ファイバ4の被覆部分を収納し、かつ、バネ322の弾性(クランプ力)によってクランプ固定するための被覆収納溝を構成する。
また、光コネクタ3の後端側からクランプ部32の素子間に挿入する光ファイバ(別の光ファイバ。一例として、単心の光ファイバ心線である上述の光ファイバ4)としては、光ファイバ心線に限定されず、例えば光ファイバ素線、光ファイバコード等も採用可能である。この別の光ファイバ(詳細には裸光ファイバ4a)としては、例えば石英系光ファイバが採用される。
前記調心溝は、ここではV溝(図4参照)であるが、例えば、U溝、丸溝(断面半円形の溝)等、各種構成が採用可能である。
図17、図18に示すように、介挿部材ユニット2は、光コネクタ3のクランプ部32の素子31c、321間に介挿される先端部21aを有する介挿部材21と、素子31c、321間に割り込ませた介挿部材21をクランプ部32から引き抜くリング状の介挿部材駆動部23とを備えている。
図1、図17に示すように、介挿部材駆動部23は、介挿部材21の係合片213が係合される介挿部材係合部231と、介挿部材21の板状本体部211が遊挿される介挿部材挿通孔232とを有する。介挿部材係合部231と介挿部材挿通孔232とは、スリーブ状の介挿部材駆動部23の内側空間Sを介して、丁度、対向するところに位置する。
係合片213の、板状本体部211からの突出先端には、介挿部材係合部231に係合するための係合突起213aが突設されている。
なお、介挿部材駆動部23について、以下、図17中、上下を上下、左右を左右、として説明する。
図18に示すように、この介挿部材ユニット2は、スリーブ状の介挿部材駆動部23の軸方向(図18の左右方向)の2箇所に、介挿部材21を有する。
以下、説明の便宜上、2つの介挿部材21の一方に符号21A、他方に符号21Bを付して、区別して説明する場合がある。
2つの介挿部材21A、21Bは、光コネクタ3のクランプ部32に対する挿入位置が、二つの蓋側素子321a、321bに対応させてずらされている。すなわち、一方の介挿部材21Aは、先端部21aが素子31cと素子321aとの間に介挿され、他方の介挿部材21Bは、先端部21a素子31cと素子321aとの間に介挿されている。
一対の素子31c、321の間に割り込ませた介挿部材21は、クランプ部32のバネ322の弾性力によって、クランプ部32に強固に保持されるので、容易には引き抜かれない。
なお、介挿部材ユニット2には、光コネクタ3に対してガタ付かないように装着状態を安定にするために、例えば、光コネクタ3を離脱可能に保持するホルダを設けることも可能である。
介挿部材付き光コネクタ1は、介挿部材駆動部23を、左右両側からの側圧によって変形させることで、光コネクタ3のクランプ部32の一対の素子31c、321間に介挿されている介挿部材21を楽に引き抜くことができる。また、このとき、介挿部材駆動部23の内、介挿部材挿通孔232の周囲に存在する部分が、光コネクタ3に押し当てられて、光コネクタ3を押圧するコネクタ押圧壁233として機能する。これにより、クランプ部32からの介挿部材21の引き抜きを確実に実現できる。
この場合、介挿部材21A、21Bを、光コネクタ3の側部に開口する差込口34a、34bから押し込んで、クランプ部32の素子31c、321間に割り込ませれば良い。
図1に示すように、光コネクタ用工具100は、光コネクタ3を着脱自在に保持する光コネクタ保持部112を有する工具本体110と、この工具本体110に着脱される光ファイバ用治具120とを具備して構成されている。
図1〜図3に示すように、工具本体110は、細長プレート状の本体台部111と、この本体台部111の長手方向一端部(図3左側の端部。以下、前端部とも言う)に設けられた光コネクタ保持部112と、本体台部111の長手方向他端部(図3右側の端部。以下、後端部とも言う)にて本体台部111上に突設された治具支持壁113と、本体台部111の前端部から後端部に向けて突設され、本体台部111上に配置される前記光ファイバ用治具120に係脱可能に係合される弾性片であるラッチ114とを具備した概略構成になっている。
光コネクタ保持部112に保持する光コネクタ3は、コネクタ嵌合溝112aの後端(工具本体110の後端部の側)に、コネクタ嵌合溝112a内に張り出すように突出されたコネクタ位置決め壁112bに、該光コネクタ3の後端(具体的には、ストップリング34の後端。図14中、右端)を当接させて、コネクタ嵌合溝112aに嵌め込むことで、工具本体110(詳細には本体台部111)の長手方向に位置決めされて、工具本体110に装着される。
次に、光ファイバ用治具120を説明する。
図1に示すように、光ファイバ用治具120は、光コネクタ3に挿入する光ファイバ4を保持したまま工具本体110に装着して、光コネクタ3への光ファイバ4の挿入作業に用いることができる。
図1、図4(a)、(b)に示すように、光ファイバ用治具120は、光ファイバ4を収納するファイバ収納溝131(図5(a)〜(c)参照)が全長にわたって形成された棒状の治具本体130と、治具本体130の先端に設けられたファイバ押さえ部140と、治具本体130の外側に、治具本体130の長手方向に移動自在に装着されたスライダ150とを具備して構成されている。
但し、図4(a)、(b)は、治具本体130から、スライダ150、及び、ファイバ押さえ部140の蓋142を取り外した状態を示す。
ファイバ収納溝131は、一対の側壁部133の間の狭いスリット状の空間であり、溝幅(図5(a)〜(c)左右)に比べて、治具本体130側面からの切り込み深さが大きい。
治具本体130の底壁132と一対の側壁部133とは、一対の側壁部133の底壁132からの突出寸法に比べて、幅(厚み)が小さい、全体として外観薄板状を成す、チャンネル形の光ファイバ収納体を構成する。
図1等に示すように、ヘッド部141は、該ヘッド部141上に突設された一対の突壁141aの間に光ファイバ4を収納するV溝141bが形成されてなるVブロック部141cを有している。
蓋142は、具体的には、ヘッド部141の前端側のV溝ブロック部141cを構成する突壁141aと、ヘッド部141の後端部上に突設された支持壁141dとの間に確保された空間141s内に設けられ、突壁141a及び支持壁141dに突設されている支軸141eに枢支され、支軸141eを中心とする回転によって、ヘッド部141に対して開閉する。
なお、この蓋142は、突壁141aと支持壁141dとの間に圧入されており、突壁141a及び支持壁141dとの接触摩擦により、所望位置に停止させることができる。
図8に示すように、ヘッド部141上には、治具本体130のファイバ収納溝131と連続するファイバ溝141f(例えばV溝)が形成されている。
前記Vブロック部141cのV溝141bも、ファイバ溝141fの一部である。
但し、ファイバ押さえ部140の、蓋142よりも前側(光ファイバ用治具120の先端側。図9左側)では、ヘッド部141上での光ファイバ4の浮き上がりが許容される。
また、ヘッド部141が一体に形成された治具本体130は、樹脂製に限定されない。但し、後述する変形開閉部の弾性変形による開閉が可能な材質を選択する必要がある。
このスライダ150は、治具本体収納溝151に治具本体130を収納して、治具本体130の外側に、治具本体130の長手方向にスライド移動可能に装着される。
ここで、スライダ150は、治具本体130の両側壁部133の外面側に突設され治具本体130の長手方向に沿って延在する案内突条134を、治具本体収納溝151をその両側の壁部(支圧壁152)に拡張した部分である案内溝153に収納して、治具本体130からの脱落が防止される。また、スライダ150は、案内突条134に案内されながら、治具本体130に沿ってスライド移動する。
このスライダ150を治具本体130に対して着脱するには、治具本体収納溝151の両側の支圧壁152を、治具本体収納溝151を押し広げるように弾性変形させる。
但し、スライダ150は、スライダ150を後述の変形開閉部に外挿したときに殆ど変形せず、変形開閉部を弾性変形させることができる強度を有する。
各突片135a、135bは、スライダ150を当接可能な位置に形成されており、両突片135a、135bの間の可動範囲を移動するスライダ150は、突片135a、135bを乗り越えることはできない。
この突片135a、135bは、使用者が手指で把持するための把持部として機能を有するものであるが、スライダ150の移動規制用のストッパ(スライダストッパ)としても機能する。
前記変形開閉部136は、治具本体130の両側壁部133の厚みが大きく、前記側壁部133が外側に膨出するように形成(つまり、両側壁部133の外面間の距離(換言すれば、治具本体130の幅寸法)が増大するように形成)された膨出部である。
治具本体130の変形開閉部136における幅寸法は、スライダ15の両支圧壁152間の距離(換言すれば、治具本体収納溝151の溝幅)よりも大きい。そして、変形開閉部136は、スライダ15を、治具本体130の長手方向に沿ったスライド移動によって変形開閉部136の外側に押し込む(外嵌めする)ことで、該変形開閉部136の両側壁部133が、ファイバ収納溝131の溝幅を縮小するように(つまり、互いに接近するように)弾性変形される。その結果、ファイバ収納溝131に収納されている光ファイバ4を、しっかりと挟み込んで固定できる。
つまり、変形開閉部136は、スライダ150の挿脱によって、開閉できる。
また、変形開閉部136の開閉によって、光ファイバ用治具120による光ファイバ4の固定と、固定解除とを切り替えることができる。
変形開閉部136が開いた状態にあるとき、ファイバ収納溝140に対する光ファイバ4の収納及び取り出しが可能である。
このスリット138は、スライダ150の挿脱による変形開閉部136の変形を容易にする。
図示例では、スリット138は、長手方向一端がスライダ待機領域137に達している。スリット138の長手方向他端は、治具本体130の後端側の突片135bに達しているが、突片135bを貫通してはいない。ファイバ収納溝140に収納される光ファイバ4は、治具本体130の底壁132の内、スリット138よりも治具本体130の先端側(ヘッド部141側)に位置する部分、及び、治具本体130の後端側の突片135bの上に載る。
この光コネクタ用工具100を利用して、光ファイバ4の先端に光コネクタ3を取り付ける作業(コネクタ取り付け作業)の一例を説明する。
まず、光ファイバ4の先端部を、光ファイバ用治具120に取り付ける。
このとき、光ファイバ4を治具本体130のファイバ収納溝131に収納し(変形開閉部136は予め開放しておく)、次いで、スライダ150を操作して、変形開閉部136を閉じることで、光ファイバ4が光ファイバ用治具120にしっかりと固定される。
光ファイバ4の被覆除去(裸光ファイバ4aの口出し)及び切断は、被覆除去器、切断機といった光ファイバ加工機器180(図11参照)を用いて行うが、このとき、図10に示すように、光ファイバ用治具120の外側に、ホルダ160(以下、アタッチメントホルダとも言う)を装着し、図11に示すように、ホルダ付き治具170を光ファイバ加工機器180のホルダ載せ台181に載せる(本明細書では、ホルダ載せ台181のホルダ収納溝181aに嵌め込むことを指す)ことで、光ファイバ4の位置決めを、既存のホルダの場合と同様に行うことができる。
アタッチメントホルダ160は、ベース161と、このベース161に枢着された開閉自在の押さえ蓋162とを備え、ベース161と押さえ蓋162との間に、光ファイバ用治具120のヘッド部141付近を収納して、挟み込むようにして保持する。
光ファイバ加工機器180のホルダ載せ台181を変更する必要が無いことは言うまでも無い。
なお、図11において、符号182は、光ファイバ加工機器180の加工用工具(例えば、被覆除去器の被覆除去用のカッタ、切断機のカッタ)を示す。
ホルダ載せ台は、本発明に係る治具載せ台としての機能を果たす。
これにより、光ファイバ4の、光ファイバ用治具120先端からの突出長、被覆除去長の調整を行えるようにする。
例えば、光ファイバ4が、φ0.5mmの光ファイバ心線の場合に、図11(a)、(b)に比べて、光ファイバ用治具120先端からの突出長、被覆除去長を長く確保できる、図11(c)、(d)の位置決めを行う。
光ファイバ用治具120は、治具本体130を、ファイバ収納溝131が開口されている側面が上になる向きで、工具本体110の治具支持壁113に形成されている治具本体収納溝113aに挿入することで、治具支持壁113によって、工具本体110の長手方向に移動可能に支持される。
また、前記上面111aにおいて、曲がりチェック用表示115の横に付設されている突出長チェック表示116a、116bを利用して、光ファイバ用治具120先端から突出する光ファイバ4の突出長が、適正になっているかどうかを確認できる。
突出長の確認は、前記治具本体130先端から両側(左右)に張り出すプレート状に形成されているヘッド部141の後端面141hを、治具支持壁113に、工具本体110の前端側(光コネクタ保持部112の側)から押し当てて、光ファイバ4の先端位置を、突出長チェック表示116a、116bと対比する。
なお、治具支持壁113からの距離が異なる2箇所に設けられている突出長チェック表示116a、116bは、例えば、治具支持壁113から遠い方の突出長チェック表示116aをφ0.5光ファイバ心線用、治具支持壁113から近い方の突出長チェック表示116bをφ0.25光ファイバ心線用というように、要求突出長に応じた使い分けを可能にする。
治具支持壁113は、前記ヘッド部141の後端面を押し当てて光ファイバ用治具120を位置決めするための確認用治具当接部として機能する。
ここで、光ファイバ用治具120は、ヘッド部141の後端面141hにラッチ114が係脱可能に係合することで、後述のように、該光ファイバ用治具120先端から突出する光ファイバ4に、光コネクタ3の内部光ファイバ38に対する突き合わせ力発生用の撓みを形成できる位置に引き留める。
ラッチ114は、具体的には、本体台部111の前端部から後端部に向けて突設されて本体台部111上に配置された細長の弾性片であるラッチ本体114aの前記本体台部111の前端部からの突出先端の側部に、前記ヘッド部141の後端面141hに係合される係止突片114bが突設された構造であり、ラッチ本体114aの弾性変形によって、ヘッド部141に対して係止突片114bを係脱させることができる。なお、ラッチ本体114aは、光コネクタ3への光ファイバ4の挿入作業の支障とならないように、光コネクタ3に接近させた光ファイバ用治具120のヘッド部141と干渉しない所に設けられている。
光ファイバ用治具120先端からの光ファイバ4の突出長は、ヘッド部141にラッチ114を係合したときに、内部光ファイバ38に対する光ファイバ4(詳細には裸光ファイバ4a)の突き合わせ力を確保できる撓みが光ファイバ4に形成されるように設定する。
光ファイバ4の撓みは、光ファイバ4をヘッド部141に押さえ込んだ蓋142と、光コネクタ3との間に形成される。
発明者の検討の結果、光ファイバ用治具120を、φ0.5mm光ファイバ心線、及び、φ0.25mm光ファイバ心線の両方に適用する場合の、光ファイバ4の適正な突出長の確保に鑑みて、蓋142から光ファイバ4の先端までの長さを38〜40mmとすることが、突き合わせ力の確保と、光ファイバ4の光特性維持の両条件を満たせる最適範囲であることが判明した。
これにより、光ファイバ4の先端への光コネクタ3の取り付けが完了する。
また、光ファイバ用治具120のスライダ150を操作して変形開閉部136からスライダ待機位置に移動させることで、治具本体130のファイバ収納溝131から光ファイバ4を取り出せる。
変形開閉部136をスライダ150の外嵌めによって閉じれば、スライダ150は、意図的にスライド操作しない限り、変形開閉部136から離脱しにくいため、作業中の作業員が手指で不用意に触れたり、落下させたりしても、変形開閉部136が変形開閉部136から離脱して、変形開閉部136が開放されてしまう、といった不都合は生じにくく、変形開閉部136が閉じた状態、すなわち、光ファイバ4を一対の側壁部133の間で挟み込んで固定した状態を安定に維持することができる。
このため、光ファイバ用治具120及び光コネクタ用工具100の取り扱いに、特別な注意を払う必要が無くなり、光ファイバ4の先端に光コネクタ3を取り付ける作業の作業効率を大幅に向上できる。
軽量化によって、例えば、光ファイバ4に固定した光ファイバ用治具120を作業中に落としても、光ファイバ4を、過度な曲げを与えるなどして傷めてしまうといった不都合が生じる可能性を低減できる。
また、光コネクタ用工具100全体についても、小型化、軽量化を容易に実現できる。
Claims (10)
- 光コネクタに該光コネクタの後端側から光ファイバを挿入して、前記光コネクタのフェルールに内挿固定された内部光ファイバの後端に突き合わせ接続し、前記光ファイバの先端に前記光コネクタを取り付けるための光コネクタ用工具であって、
光コネクタを着脱自在に保持する光コネクタ保持部を有する工具本体と、前記光コネクタに挿入する光ファイバを保持して、前記工具本体に着脱可能に装着される光ファイバ用治具とを具備し、
前記光ファイバ用治具は、
前記光ファイバを収納するファイバ収納溝が全長にわたって形成された棒状の治具本体と、
前記ファイバ収納溝から治具本体先端側に延出する前記光ファイバを、前記治具本体の先端に設けられたヘッド部と該ヘッド部に枢着された開閉自在の蓋との間に挟み込むファイバ押さえ部と、
前記治具本体を収納する凹形あるいはリング状に形成され、前記治具本体の外側に該治具本体の長手方向に沿って移動自在に装着されたスライダとを具備し、
前記治具本体は、前記ファイバ収納溝の両側の側壁部が側圧によって前記ファイバ収納溝の溝幅を狭めるように弾性変形可能になっている変形開閉部を有し、
前記変形開閉部は、前記ファイバ収納溝の両側あるいは片側の側壁部に外側に膨出する膨出部を有しており、前記治具本体に沿って移動する前記スライダの該変形開閉部に対する挿脱によって開閉され、閉じられたときに前記ファイバ収納溝内の光ファイバを挟み込んで固定できるようになっていることを特徴とする光コネクタ用工具。 - 前記変形開閉部の前記膨出部は、前記治具本体の長手方向一端側から他端側に行くほど前記側壁部外側への突出寸法が大きくなるように形成されたテーパ部を有することを特徴とする請求項1記載の光コネクタ用工具。
- 前記変形開閉部が、一対の側壁部を連結する底壁に、前記治具本体の長手方向に沿って形成されたスリットによって2分割されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光コネクタ用工具。
- 前記治具本体の前記変形開閉部を介して長手方向両側に、前記スライダが当接される移動規制用のスライダストッパが設けられ、
一方又は両方のスライダストッパと前記変形開閉部との間に、治具本体に沿った移動によって前記変形開閉部から抜き出した前記スライダが設置されるスライダ待機領域が確保されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光コネクタ用工具。 - 前記ファイバ押さえ部のヘッド部に、前記工具本体から離脱させた光ファイバ用治具を光ファイバ加工機器の治具載せ台に載せる際に、前記治具載せ台の位置決め突起に挿入して位置決めするための位置決め凹所が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
- 前記光コネクタ保持部に保持された光コネクタに光ファイバを挿入した前記光ファイバ用治具を、前記光コネクタの内部光ファイバに突き合わせられた前記光ファイバに撓みを確保できる位置に保持するための治具保持手段が前記工具本体に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
- 前記治具保持手段が、前記光ファイバ用治具に係脱可能に係合するラッチであることを特徴とする請求項6記載の光コネクタ用工具。
- 前記工具本体は、前記光ファイバ用治具が載せられて前記光コネクタ保持部に対して進退動する上面に、前記光ファイバ用治具に保持された光ファイバの前記ファイバ押さえ部からの突出長を確認するための確認用表示が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
- 光ファイバ用治具の前記ファイバ押さえ部のヘッド部は、前記治具本体から両側に張り出すプレート状に形成されており、
前記工具本体には、前記光ファイバ用治具に保持された光ファイバの前記ファイバ押さえ部からの突出長を前記確認用表示によって確認する際に、前記ヘッド部の後端面を押し当てて光ファイバ用治具を位置決めするための確認用治具当接部が設けられていることを特徴とする請求項8記載の光コネクタ用工具。 - 前記工具本体上に、前記光ファイバ用治具の治具本体を収納する治具本体収納溝が形成された治具支持壁が突設され、前記治具支持壁によって、前記光ファイバ用治具が、光コネクタ保持部に保持された光コネクタに対して進退動可能として支持されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
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