JP5364387B2 - 光コネクタ用工具、工具付き光コネクタ、光ファイバ接続方法 - Google Patents

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本発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対をクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持する機構を具備する光コネクタに適用される光コネクタ用工具、工具付き光コネクタ、光ファイバ接続方法に関する。
近年、光ファイバ先端への組立作業を、工場以外の接続現場にて行うことができる光コネクタ(現場付け光コネクタ)の一例として、予め光ファイバを内挿固定して先端面に研磨を施したフェルールと、このフェルールの後端部(先端面とは反対の側)に配置したクランプ部とを具備したものがある。
この光コネクタでは、クランプ部の半割りの素子間に楔を割り込ませて開放した状態で、コネクタ後端側からクランプ部に光ファイバを挿入でき、クランプ部内でフェルール側の光ファイバと突き合わせ接続することができる。そして、クランプ部から楔を引き抜くと、クランプ部の半割りの素子間に、突き合わせ状態の光ファイバがクランプされて、突き合わせ接続状態が維持される。したがって、短時間で簡単に、光ファイバの先端に光コネクタを組み立てることができる(例えば、特許文献1、2)。
また、フェルールを具備しておらず、半割りの素子間への光ファイバの挿脱をクランプ部の両側から行えるようにした構成の光コネクタも提案されている(例えば特許文献3)。この光コネクタ及び前記現場付け光コネクタについて、以下、クランプ式光コネクタとも言う
上述のようなクランプ式光コネクタのクランプ部の素子はサイズが小さいため、例えば既述の特許文献1、2のように、素子の開閉操作を行う専用の工具(光コネクタ組立工具)も提案されている。
また、上述のクランプ式光コネクタにあっては、クランプ部の半割りの素子間に素子間の開放状態を維持するための介在物(例えば、薄板、樹脂シート。以下、介挿部材とも言う)を予め割り込ませておき、現場にて素子間を開放する作業を行うことなく素子間への光ファイバの挿入を行える構成としたものも提案されている(例えば特許文献4)。このクランプ式光コネクタの場合、素子間に光ファイバを挿入した後にクランプ部から介挿部材を抜き去るだけで、クランプ部内の光ファイバが素子間に把持固定されることになり、これにより光ファイバ同士の突き合わせ接続状態を維持することができる。
また、クランプ式光コネクタのクランプ部の素子間に介挿された介挿部材は、クランプ部の半割りの素子を一括保持する断面C形(あるいはコ字形)のスリーブ状に形成されたばねの弾性によって素子間に挟み込まれる結果、素子間からの引き抜きに比較的強い力を要する。これに鑑みて、本出願人は、例えば既述の特許文献4のように、現場付け光コネクタのクランプ部の半割り素子間への楔の挿脱を楽に行える、小型、低コストの光コネクタ用工具をすでに提案している。この光コネクタ用工具は、リング状の介挿部材駆動部と、この介挿部材駆動部の外側に突設された一対の突壁の間に光コネクタ(現場付け光コネクタ)を収容するホルダ本体と、介挿部材駆動部において前記ホルダ本体とは反対の側(可動端部)からホルダ本体側に突出された楔状の介挿部材とを具備し、ホルダ本体の収容凹所内に介挿部材の先端が突出されている。そして、コネクタ収容部の収容凹所に収容した光コネクタのクランプ部の素子間に、介挿部材の先端を割り込ませた状態で、介挿部材駆動部を両側からの側圧によって変形させ、可動端部とホルダ本体との間の離隔距離を増大させることで、クランプ部から素子を引き抜くことができる。この光コネクタ用工具によれば、側圧によって介挿部材駆動部を変形させることで、介挿部材の引き抜きを楽に行える。
特開2002−23006号公報 特開2002−55259号公報 特開平9−297242号公報 特開2005−99706号公報
ところで、上述のように予め素子間に介挿部材を介挿した構成のクランプ式光コネクタ(例えば特許文献4。以下、介挿部材付き光コネクタとも言う)は、既述のようにクランプ部から介挿部材を抜き去るだけでクランプ部内の光ファイバを素子間に把持固定できるという利点がある。また、介挿部材付き光コネクタにあっては、介挿部材の光コネクタからの抜き去りを容易にするために、介挿部材として、光コネクタ内に挿入される先端部とは反対側の後端部に抜き去り操作部(例えば既述の特許文献4の光コネクタ用工具の介挿部材駆動部や、作業者が手指で直接把持して引っ張るためのハンドル)が設けられたものを採用する。
しかしながら、このような介挿部材付き光コネクタの場合、抜き去り操作部が光コネクタの側部に突出することになるため、前記クランプ式光コネクタを素子間に介挿部材を割り込ませたままの状態で搬送すると、搬送中の振動やそれによる搬送物同士の接触等によって、介挿部材の位置ずれや抜けを生じる可能性があった。しかしながら、介挿部材付き光コネクタについて、介挿部材の位置ずれを抑え、抜けを防止できる好適な技術がこれまでになく、その開発が求められていた。
例えば、紐等を用いて介挿部材と光コネクタとをバインド固定する場合、紐を切断するためのニッパ等が必要となり、現場に搬入する工具が多くなり、現場作業の点で好ましくない。また、紐の切断を介挿部材に位置ずれや無用な傾動を与えないように注意して行う必要があり、作業性の確保も容易でない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、搬送中の振動等が作用しても、光コネクタに対する介挿部材の位置ずれを抑え、抜けを防止でき、しかも、クランプ部での光ファイバ同士の接続作業の作業性を良好に確保できる光コネクタ用工具、工具付き光コネクタ、光ファイバ接続方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
請求項1記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタ用の工具であって、前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材及び前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた前記介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部を有する介挿部材付き工具と、前記光コネクタに対して前記介挿部材付き工具を保持して前記介挿部材の先端部を前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた状態を維持するための保持用治具とを具備し、前記介挿部材付き工具は、前記介挿部材駆動部に設けられている介挿部材支持部に突設された前記介挿部材が、前記介挿部材駆動部において介挿部材支持部に対向する位置に形成され前記光コネクタの前記クランプ部から前記介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるコネクタ受け壁に開口された介挿部材挿通穴を貫通して前記介挿部材駆動部から外側に突出され、前記介挿部材駆動部の周方向において前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間に位置する一対の連結壁部に両側から側圧が与えられることで、前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間の距離が増大するように前記介挿部材駆動部が変形されて、前記介挿部材の前記コネクタ受け壁から外側への突出量を縮小するように構成され、前記保持用治具は、ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出され前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の前記連結壁部に開口された治具挿通用窓に通して前記介挿部材、前記介挿部材支持部、前記光コネクタの両側に配置される複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部に設けられている治具係止部に係合させることで、前記介挿部材付き工具の前記コネクタ受け壁を介して介挿部材支持部とは反対の方向への該保持用治具の移動を規制する工具係合爪とを具備し、前記連結用延出部を前記介挿部材付き工具の前記治具挿通用窓に通して前記ベース板部を前記介挿部材付き工具の前記介挿部材の先端部が挿入された前記光コネクタの前記介挿部材駆動部とは反対の側に配置し、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部の前記治具係止部に前記工具係合爪を係合することで前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込むように構成され、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部の前記コネクタ受け壁とは反対の側に配置した前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで四角枠状となって前記一側連結用延出部と前記他側連結用延出部との間の距離が固定され、前記開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合が解除された状態にて、前記介挿部材駆動部の前記治具係止部に対する前記工具係合爪の係脱及び前記治具挿通用窓に対する連結用延出部の挿脱が可能となることを特徴とする光コネクタ用工具を提供する。
請求項2記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタ用の工具であって、前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材及び前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた前記介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部を有する介挿部材付き工具と、前記光コネクタに対して前記介挿部材付き工具を保持して前記介挿部材の先端部を前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた状態を維持するための保持用治具とを具備し、前記介挿部材付き工具は、前記介挿部材駆動部に設けられている介挿部材支持部に突設された前記介挿部材が、前記介挿部材駆動部において介挿部材支持部に対向する位置に形成され前記光コネクタの前記クランプ部から前記介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるコネクタ受け壁に開口された介挿部材挿通穴を貫通して前記介挿部材駆動部から外側に突出され、前記介挿部材駆動部の周方向において前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間に位置する一対の連結壁部に両側から側圧が与えられることで、前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間の距離が増大するように前記介挿部材駆動部が変形されて、前記介挿部材の前記コネクタ受け壁から外側への突出量を縮小するように構成され、前記保持用治具は、ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出され前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の前記連結壁部に開口された治具挿通用窓に通して前記介挿部材、前記介挿部材支持部、前記光コネクタの両側に配置される複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部に設けられている治具係止部に係合させることで、前記介挿部材付き工具の前記コネクタ受け壁を介して介挿部材支持部とは反対の方向への該保持用治具の移動を規制する工具係合爪と、前記連結用延出部に前記工具係合爪よりも先端側にて突設され、前記光コネクタに係合されることで、前記ベース板部が前記光コネクタから離隔する方向への該保持用治具の移動を規制するコネクタ係合爪とを具備し、前記連結用延出部を前記介挿部材付き工具の前記治具挿通用窓に通して前記ベース板部を前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部の前記コネクタ受け壁とは反対の側に配置し、前記介挿部材支持部の前記治具係止部に前記工具係合爪を係合し、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材の先端部が挿入された前記光コネクタに前記コネクタ係合爪を係合させることで前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込むように構成され、前記介挿部材駆動部とは反対の側に配置した前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで四角枠状となって前記一側連結用延出部と前記他側連結用延出部との間の距離が固定され、前記工具側開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合が解除された状態にて、前記光コネクタに対する前記コネクタ係合爪の係脱及び前記治具挿通用窓に対する連結用延出部の挿脱が可能となることを特徴とする光コネクタ用工具を提供する。
請求項3記載の発明は、前記介挿部材支持部は、前記介挿部材駆動部の内側空間に向けて突出された突壁部を有し、前記介挿部材は前記突壁部の先端から突出されており、前記治具係止部が前記突壁の両側に突設された係止突起であることを特徴とする請求項1又は2記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項4記載の発明は、前記治具挿通用窓は、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の一対の連結壁部の前記介挿部材支持部側の端部と前記コネクタ受け壁側の端部とに開口されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項5記載の発明は、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の介挿部材支持部には、前記請求項1記載の光コネクタ用工具の保持用治具の前記開閉板部あるいは前記請求項2記載の光コネクタ用工具の保持用部材の前記ベース板部を収納するための治具板部収納用凹所が、該介挿部材支持部の前記コネクタ受け壁とは反対の側の面から窪む溝状に形成されており、前記治具板部収納用凹所は、前記介挿部材支持部の両側の前記連結壁部にそれぞれ形成されている前記治具挿通用窓と連通されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項6記載の発明は、前記介挿部材付き工具は、前記コネクタ受け壁から前記介挿部材駆動部の外側に突設された複数のコネクタ保持片の間に前記光コネクタを保持するコネクタホルダ部を具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項7記載の発明は、前記コネクタ受け壁は、該コネクタ受け壁にスリット状に形成された前記介挿部材挿通穴を介して両側の受け板部に2分されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項8記載の発明は、前記コネクタ受け壁は、さらに、前記介挿部材駆動部の周方向において前記介挿部材挿通穴を介して両側に位置する前記受け板部を橋絡する橋絡部を具備して構成されていることを特徴とする請求項7記載の光コネクタ用工具を提供する。
請求項9記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタの外側に請求項1〜8のいずれかに記載の光コネクタ用工具が取り付けられ、前記クランプ部の素子の間に、前記光コネクタ用工具の介挿部材が割り込ませてあることを特徴とする工具付き光コネクタを提供する。
請求項10記載の発明は、前記光コネクタは、フェルールと、このフェルールに内挿固定された内部光ファイバと、前記フェルールの突き合わせ接続用の接合端面とは反対の側である後側に設けられた前記クランプ部とを具備し、前記クランプ部の前記半割りの素子間に前記内部光ファイバの前記フェルールの後端から突出された部分が挿入されており、前記クランプ部にて前記内部光ファイバと該クランプ部にその後側から挿入される光ファイバとを接続可能とされていることを特徴とする請求項9記載の工具付き光コネクタを提供する。
請求項11記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタと、この光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に介挿された介挿部材及び前記介挿部材を前記クランプ部から抜き去るための外力が与えられる外力付与部を有する介挿部材付き工具とを有し、前記介挿部材によって素子間が押し開かれて素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態が維持された介挿部材付き光コネクタを用いて光ファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出された複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合させることで、前記光コネクタを介して前記介挿部材付き工具の前記外力付与部とは反対の方向への前記連結用延出部の移動を規制する工具係合爪とを具備する保持用治具を用い、この保持用治具の前記ベース板部を前記光コネクタの前記介挿部材付き工具とは反対の側に配置し、前記ベース板部の両側の前記連結用延出部を前記光コネクタの両側に配置し、前記開閉板部を前記介挿部材付き工具の前記光コネクタとは反対の側に配置し、前記工具係合爪を前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合させ、前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで、前記工具係合爪が係合された前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込み前記介挿部材付き工具の前記光コネクタからの脱落を規制したものを現場に搬入し、前記光コネクタの前記クランプ部の素子間へ光ファイバを挿入するとともに、前記保持用治具の前記開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合及び前記工具係合爪の前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に対する係合を解除した後、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材を前記光コネクタの前記クランプ部から抜き去ることを特徴とする光ファイバ接続方法を提供する。
請求項12記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタと、この光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に介挿された介挿部材及び前記介挿部材を前記クランプ部から抜き去るための外力が与えられる外力付与部を有する介挿部材付き工具とを有し、前記介挿部材によって素子間が押し開かれて素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態が維持された介挿部材付き光コネクタを用いて光ファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出された複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合させることで、前記光コネクタを介して前記介挿部材付き工具の前記外力付与部とは反対の方向への前記連結用延出部の移動を規制する工具係合爪と、前記連結用延出部に前記工具係合爪よりも先端側にて突設され、前記光コネクタに係合されることで、前記ベース板部が前記光コネクタから離隔する方向への前記連結用延出部の移動を規制するコネクタ係合爪とを具備する保持用治具を用い、この保持用治具の前記ベース板部を前記介挿部材付き工具の前記光コネクタとは反対の側に配置し、前記ベース板部の両側の前記連結用延出部を前記光コネクタの両側に配置して前記工具係合爪を前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合するとともに前記コネクタ係合爪を前記光コネクタに係合し、前記光コネクタの前記介挿部材付き工具の外力付与部とは反対の側に配置した前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで、前記工具係合爪が係合された前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込み前記介挿部材付き工具の前記光コネクタからの脱落を規制したものを現場に搬入し、前記光コネクタの前記クランプ部の素子間へ光ファイバを挿入するとともに、前記保持用治具の前記開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合を解除した後、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材を前記光コネクタの前記クランプ部から抜き去ることを特徴とする光ファイバ接続方法を提供する。
請求項13記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の光コネクタ用工具を用いる請求項11又は12記載の光ファイバ接続方法であって、前記介挿部材付き工具が前記光コネクタ用工具の介挿部材付き工具、前記介挿部材付き工具の前記外力付与部が前記光コネクタ用工具の前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の両側の連結壁部、前記保持用治具が前記光コネクタ用工具の保持用治具であることを特徴とする光ファイバ接続方法を提供する。
請求項14記載の発明は突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタと、この光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に介挿された介挿部材及び前記介挿部材を前記クランプ部から抜き去るための外力が与えられる外力付与部を有する介挿部材付き工具とを有し、前記介挿部材によって素子間が押し開かれて素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態が維持された介挿部材付き光コネクタを用いて光ファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、枠状体の周方向の一部に設けられた不連続部が該不連続部を介して前記枠状体の周方向における両側に位置する端部同士の係脱によって開閉される開閉部とされた構成の保持用治具を用い、この保持用治具の前記開閉部を閉じて、保持用治具の内側に配置した前記介挿部材付き光コネクタの光コネクタに対して前記介挿部材付き工具を押さえ込んだものを現場に搬入し、前記光コネクタの前記クランプ部の素子間へ光ファイバを挿入するとともに、前記保持用治具の前記開閉部を開放した後、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材を前記光コネクタの前記クランプ部から抜き去ることを特徴とする光ファイバ接続方法を提供する。
本発明によれば、保持用治具の開閉板部を他側連結用延出部に係合して四角枠状とすることで、前記一側連結用延出部と前記他側連結用延出部との間の距離が固定され、工具係合爪を係合した介挿部材付き工具を、該介挿部材付き工具の介挿部材の先端を挿入した光コネクタに対して押さえ込むことができるため、これにより、介挿部材の光コネクタからの抜けを防止でき、光コネクタのクランプ部に対する介挿部材の位置ずれも抑えることができる。また、他側連結用延出部に係合された開閉板部の係合を解除することで、前記光コネクタに対する前記コネクタ係合爪の係脱及び前記治具挿通用窓に対する連結用延出部の挿脱が可能となる。他側連結用延出部に係合された開閉板部の係合解除は、保持用治具に設けられているヒンジ部を中心とする開閉板部の回転操作によって行うことができるので、係合解除のための工具を使用する必要が無い。他側連結用延出部に対する開閉板部の係合操作も、別途工具を使用することなく、開閉板部の回転操作によって行うことができる。
また、本発明によれば、介挿部材付き工具の光コネクタに対する押さえ込みは、介挿部材付き工具に係合した保持用治具の工具係合爪とベース部材との間にて光コネクタと介挿部材付き工具とが拘束されること(第1、11の発明)、あるいは、介挿部材付き工具に係合した保持用治具の工具係合爪と光コネクタに係合したコネクタ係合爪との間にて光コネクタと介挿部材付き工具とが拘束されること(第2、12の発明)によって実現される。このため、保持用治具の開閉板部の他側連結用延出部に対する係合は強固である必要は無く、開閉板部の他側連結用延出部に対する係合構造を、他側連結用延出部に対して開閉板部を弱い力で係脱できる構成とすることができ、これにより、保持用治具の開閉板部の他側連結用延出部に対する係脱を楽に行えるようになる。また、開閉板部を他側連結用延出部に対して弱い力で係脱できる構成であれば、開閉板部の他側連結用延出部に対する係脱操作(開閉板部の開閉操作)の際に、介挿部材付き工具に光コネクタに対する位置ずれや傾動を生じさせてしまうといった不都合を容易に防止できる。
本発明の第1実施形態による工具付き光コネクタ及び光コネクタ用工具を示す全体斜視図である。 図1の工具付き光コネクタ及び光コネクタ用工具を示す正断面図である。 図1の光コネクタ用工具の介挿部材付き工具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 図3の介挿部材付き工具を示す側断面図である。 図3の介挿部材付き工具の介挿部材を示す斜視図である。 図1の光コネクタ用工具の保持用治具を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態による工具付き光コネクタ及び光コネクタ用工具を示す全体斜視図である。 図7の工具付き光コネクタ及び光コネクタ用工具を示す正断面図である。 図7の光コネクタ用工具の保持用治具を示す斜視図である。 本発明に係る光コネクタの一例を示す分解斜視図である。 図10の光コネクタに内蔵されているクランプ部付きフェルールを示す断面図である。 クランプ部付きフェルールを示す斜視図である。 クランプ部付きフェルールのクランプ部を構成する2つの蓋側素子、及び、ベース側素子(延出部)の、合わせ面を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1、図2は本発明の一実施形態による工具付き光コネクタ1及び光コネクタ用工具2の構成を示す図であって、図1は全体斜視図、図2は正断面図である。
図1、図2に示すように、前記工具付き光コネクタ1は、光コネクタプラグである光コネクタ3に光コネクタ用工具2を取り付けた構成のものである。
前記光コネクタ用工具2は、介挿部材付き工具20と、この介挿部材付き工具20を光コネクタ3に対して保持するための保持用治具50とを具備して構成されている。
まず、光コネクタ3について説明する。
図10、図11は光コネクタ3の構造を示す図であり、図10は分解斜視図、図11は断面図(但し、つまみ39(後述)の図示を省略している)である。図10、図11において、図示例の光コネクタ3は、所謂SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector。JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ(光コネクタプラグ)など)である。
なお、図11は、光コネクタ3のクランプ部32にその後端側(図11右側)から挿入した光ファイバ4を光コネクタ3の内部光ファイバ38に接続した状態を示す。
図10、図11に示すように、この光コネクタ3は、フェルール31と、このフェルール31の接合端面(符号31a。先端面)に対向する後端側に配置されたクランプ部32と、フェルール31を収納するようにしてその外側にフェルール31の軸回りの回転を規制して装着されるスリーブ状のプラグフレーム33と、プラグフレーム33の後端(図11右側)に係合して取付けられ、前記クランプ部32を収容するストップリング34と、このストップリング34内に内装されたスプリング35と、前記プラグフレーム33の外側に装着されるスリーブ状のつまみ39とを備えている。つまみ39は、プラグフレーム33に対してその軸心方向に沿って若干の移動が可能として設けられる。
図10中、符号34a、34bは、介挿部材付き工具20の介挿部材21(図1、図5等参照)を差し込むためにストップリング34に形成された差込口、39a、39bは前記介挿部材21を差し込むためにつまみ39に形成された差込口を示す。
符号36は、ストップリング34の後端に装着されるブーツを示す。但し、ブーツ36は、光コネクタ3の後端側(図11右側)からクランプ部32に光ファイバ4を挿入する際に、光ファイバ4に予め通しておき、クランプ部32への光ファイバ4の挿入完了後にストップリング34に装着される。
クランプ部32は、フェルール31のフランジ部31bから光コネクタ3の後端側へ向かって延びる延出部31cに複数の部材を組み付けた構成になっている。以下、クランプ部32が組み立てられているフェルール31を、「クランプ部付きフェルール37」と称して説明する場合がある。
クランプ部付きフェルール37のクランプ部32は、スリーブ状のストップリング34の軸方向に移動自在としてストップリング34に収納されている。スプリング35は、ストップリング34の後端部に反力を取ってクランプ部32を光コネクタ3の先端側(図11左側)に押圧することで、クランプ部付きフェルール37全体を光コネクタ3先端側に付勢するものである。このスプリング35は、例えば、光コネクタ3を光コネクタアダプタ等に挿入して別の光コネクタと接続する時に、フェルール31に、接続の相手側の光コネクタとの間の突き合わせ力を与える機能を果たす。
なお、クランプ部付きフェルール37は、フェルール31のフランジ部31bが、プラグフレーム33内に突設されているストッパ部33aに当接することで、ストップリング34に対する光コネクタ3先端側へのそれ以上の移動(ストップリング34に対する相対的な移動)が規制される。
図12は、クランプ部付きフェルール37を示す斜視図、図13は、クランプ部付きフェルール37のクランプ部32を構成する2つの蓋側素子321a、321b、及び、ベース側素子(延出部31c)の、合わせ面を示す図である。
図11〜図13に示すように、クランプ部32は、フェルール31のフランジ部31bから延びる延出部31cと、この延出部31cの合わせ面324a上に配置された蓋側素子321a、321bとを、断面C形のスリーブ状のバネ322(C形バネ)の内側に収容した構造になっている。延出部31cは、クランプ部32を構成する半割りの素子の一方(以下、素子31cと称する場合もある)、二つの蓋側素子321a、321bは、クランプ部32を構成する半割りの素子の他方(素子321)を構成している。
クランプ部32は、一対の半割り素子31a、321の間で、光ファイバをクランプする構造になっている。二つの蓋側素子321a、321bは、一方(素子321a)が他方(素子321b)よりもフェルール31側となるようにして、光コネクタ3の前後方向(図11左右)に配列されている。バネ322は、該バネ322の軸方向中央部に形成されたスリット322aによって2分されている。前記スリット322aは、二つの蓋側素子321a、321bの間の境界付近に位置合わせされているため、バネ322のスリット322aを介して軸方向両側の各部分は、該バネ322の弾性を二つの蓋側素子321a、321bに別個に作用させる独立したバネとして機能するようになっている。然るに、一方の蓋側素子321aと延出部31cの組、他方の蓋側素子321bと延出部31cの組は、それぞれ、独立のクランプ部としても機能し得る。
なお、バネ322の形状は、断面コ字形のものなど、各種採用可能である。
フェルール31には、光ファイバ38(ここでは裸光ファイバ。以下、内部光ファイバとも言う)が内挿固定されている。この内部光ファイバ38は、フェルール31後端から突出されている。この内部光ファイバ38のフェルール後端から突出された部分である突出部38aは、クランプ部32の一対の素子31c、321の間に挿入されており、クランプ部32の一対の素子31c、321の一方又は両方の合わせ面(ここでは、素子31cの合わせ面324aのみ)に形成されている調心溝323に収納されて精密に位置決め調心される。
また、クランプ部32には、該クランプ部32の後端部から一対の素子31c、321の間に挿入される光ファイバ4(ここでは、一例として単心の光ファイバ心線)の先端を調心溝323に導く溝325a、325bが形成されている。前記溝325a、325bは、調心溝323よりもクランプ部32の後端側にずれた位置にて、クランプ部32の一対の素子31c、321の一方又は両方の合わせ面に形成されている。この溝325a、325bは、クランプ部32の後端部に開口する開口部325cを有し、この開口部325cから、フェルール31に向かって延在するように形成されている。
この溝325a、325bのフェルール31側の端部は、調心溝323と連通されている。図示例の光コネクタ3では、溝325a、325bは、素子31cの合わせ面324aと、素子321bの合わせ面324bの両方(図11、図13等参照)に形成されている。この溝325a、325bは、一対の素子31c、321の間で丁度対面する位置(具体的には、素子31cと素子321bの丁度対面する位置)に形成されている。
クランプ部付きフェルール37は、バネ322の弾性に抗してクランプ部32の一対の素子31c、321間を押し広げる(例えば、介挿部材付き工具20の介挿部材21を素子31c、321間に挿入した状態。以下、開放状態とも言う)ことで、ストップリング34の後端部の開口部34cから一対の素子31c、321間に光ファイバ4を挿脱することができる。上述のようにクランプ部32を開放状態として、光ファイバ4の裸光ファイバ4aが露出されている先端を、ストップリング34の後端部の開口部34cに挿入していくと、光ファイバ4を開口部34cから、クランプ部32の後端部に開口する開口部325c(溝325a、325bの開口部)に挿入することができる。そして、光ファイバ4は、フェルール31側への押し込みによって、クランプ部32の後端部の開口部325cから溝325a、325bに押し込まれる。また、光ファイバ4は、さらなる押し込みによって、その先端の裸光ファイバ4aを、溝325a、325bから調心溝323に押し込んで、内部光ファイバ38と突き合わせ接続することができる。内部光ファイバ38は、調心溝323のフェルール31側の端部から長手方向中央部までの範囲に収納されており、光ファイバ4先端の裸光ファイバ4aは、調心溝323に挿入されることで、調心溝323の調心精度によって精密に位置決め調心した状態で、内部光ファイバ38(詳細には突出部38aの先端)に対して突き合わせ接続させることができる。
なお、光ファイバ4は、裸光ファイバ4aの口出し長の設定によって、裸光ファイバ4aが調心溝323内で内部光ファイバ38に突き当てられた際に、溝325a、325bのほぼ全長にわたって被覆部分が収納されるようにしておく。
光ファイバ4先端の裸光ファイバ4aと内部光ファイバ38との突き合わせ状態を保ったまま、一対の素子31c、321間の押し広げを解除すると(例えば、素子31c、321間に介挿されている介挿部材21の素子31c、321間からの引き抜き)、バネ322の弾性によって素子31c、321間が閉じられ、一対の素子31c、321間に、内部光ファイバ38と光ファイバ4とがクランプ固定される。これにより、光ファイバ4先端の裸光ファイバ4aと内部光ファイバ38との突き合わせ状態が維持される。また、光ファイバ4の被覆部分が溝325a、325b内にクランプ固定され、クランプ部32からの光ファイバ4の引き抜きが規制される。
溝325a、325bは、光ファイバ4の被覆部分を収納し、かつ、バネ322の弾性(クランプ力)によってクランプ固定するための被覆収納溝を構成する。
なお、光ファイバ38(内部光ファイバ)としては、例えば石英系光ファイバが採用される。
また、光コネクタ3の後端側からクランプ部32の素子間に挿入する光ファイバ(別の光ファイバ。一例として、単心の光ファイバ心線である上述の光ファイバ4)としては、光ファイバ心線に限定されず、例えば光ファイバ素線、光ファイバコード等も採用可能である。この別の光ファイバ(詳細には裸光ファイバ4a)としては、例えば石英系光ファイバが採用される。
前記調心溝は、ここではV溝(図2参照)であるが、例えば、U溝、丸溝(断面半円形の溝)等、各種構成が採用可能である。
次に、光コネクタ用工具2の介挿部材付き工具20を図1〜図5を参照して説明する。
図1、図2に示すように、介挿部材付き工具20は、前記光コネクタ3の前記クランプ部32の前記素子31c、321間に割り込ませることによって前記素子31c、321間を押し開いた状態に保ち、素子31c、321間への前記光ファイバ4の挿脱が可能な状態を維持する介挿部材21と、前記素子31c、321間に割り込ませた前記介挿部材21を前記クランプ部32から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部23とを具備した概略構成とされている。
前記介挿部材付き工具20の前記介挿部材21は、前記介挿部材駆動部23の周方向の一部に設けられている介挿部材支持部241に突設されている。また、前記介挿部材21は、前記介挿部材駆動部23において介挿部材支持部241に対向する位置に形成されたコネクタ受け壁242に開口された介挿部材挿通穴28を貫通して前記介挿部材駆動部23の外側に突出されている。介挿部材付き工具20は、前記介挿部材駆動部23の外側に突出された前記介挿部材21を前記光コネクタ3の前記クランプ部32の素子31c、321間に割り込ませるようになっている。
前記介挿部材付き工具20は、前記介挿部材駆動部23の周方向において前記介挿部材支持部241と前記コネクタ受け壁242との間に位置する一対の連結壁部25a、25bに両側から与えられた側圧によって前記介挿部材駆動部23が前記介挿部材支持部241と前記コネクタ受け壁242との間の距離が増大するように変形されることで、前記介挿部材21の前記コネクタ受け壁242から外側への突出量を縮小するように構成されている。前記コネクタ受け壁242は、上述のように前記介挿部材駆動部23をその両側から作用させた側圧によって変形させて前記光コネクタ3の前記クランプ部32の素子31c、321間に割り込ませた介挿部材21をクランプ部32から引き抜く際に、前記光コネクタ3に押し当てられて前記光コネクタ3に押圧力を作用させることで、前記介挿部材21をクランプ部32から抜き去るための力を発生するための構成である。
前記コネクタ受け壁242の両側(介挿部材駆動部23の周方向における両端部)にはコネクタ保持用突壁221が、介挿部材駆動部23の内側空間Sとは反対の外側に向けて突設されており、両側のコネクタ保持用突壁221の間に光コネクタ3を嵌め込むことができるようになっている。コネクタ保持用突壁221は弾性変形可能であり、両側のコネクタ保持用突壁221の間への光コネクタ3の嵌め込み、嵌め込んだ光コネクタ3の取り出しを自在に行える。
コネクタ受け壁242及びコネクタ保持用突壁221は光コネクタ3が取り出し可能に嵌合されるコネクタホルダ部22を構成している。
介挿部材付き工具20は、前記コネクタホルダ部22に光コネクタ3を嵌め込んで保持した状態とすることで、光コネクタ3に組み付けられる。
なお、介挿部材付き工具20は、前記コネクタホルダ部22に光コネクタ3を保持することで、その内側空間Sの中心軸線(リング状の介挿部材駆動部23の中心軸線)が光コネクタ3のクランプ部付きフェルール37の長手方向に延在する向きで光コネクタ3に組み付けられる。
前記介挿部材21の前記先端部21aとは反対の側の端部である基端部21bは、介挿部材駆動部23において該介挿部材駆動部23内側の内部空間Sを介して前記コネクタホルダ部22とは逆の側に位置する介挿部材支持部241に取り付けられている。
前記介挿部材21は、介挿部材駆動部23に複数本(ここでは2本)設けられている。
各介挿部材21(21A、21B)の介挿部材駆動部23における設置位置は、リング状の介挿部材駆動部23の軸線方向にずらされている。
ここで、介挿部材駆動部23は、コネクタホルダ部22を含む全体が合成樹脂で一体成形された1部品になっている。但し、本発明においては、これに限定されず、例えば、介挿部材駆動部23に、これとは別体のコネクタホルダ部を組み付けたもの等、複数部品によって形成されたものであっても構わない。また、介挿部材駆動部23自体、コネクタホルダ部自体も、それぞれ、1部品によって形成されたものに限定されず、複数部品で組み立てたものであっても良い。
プレート状のコネクタ受け壁242は、介挿部材駆動部23の中心軸線に沿って延在するスリット状の介挿部材挿通穴28によって、2つの受け板部242aに2分されている。
前記介挿部材挿通穴28は2つの介挿部材21に対応して、コネクタ受け壁242に2つ形成されている。2つの介挿部材挿通穴28はコネクタ受け壁242に介挿部材駆動部23の中心軸線に沿う方向(以下、単に駆動部軸線方向とも言う)における両端から該方向における中央部まで延在するスリット状に形成されている。コネクタ受け壁242の駆動部軸線方向における中央部には、介挿部材挿通穴28が形成されていない部位である橋絡部242bが確保されている。この橋絡部242bは、介挿部材挿通穴28の両側の受け板部242aを橋絡する。
工具付き光コネクタ1において、介挿部材付き工具20は、収容凹所22aに光コネクタ3を収容し、さらに、介挿部材21をクランプ部32の素子31c、321間に割り込ませた状態とすることで、光コネクタ3に組み付けられて、工具付き光コネクタ1の一部を構成する。ここで、介挿部材付き工具20は、コネクタ受け壁242の両側のコネクタ保持用突壁221の間に光コネクタ3を保持することで、光コネクタ3に離脱可能に組み付けられる。また、コネクタ保持用突壁221の先端には、両側のコネクタ保持用突壁221の間に嵌め込まれた光コネクタ3に係合する係合爪221aが突設されている。
介挿部材付き工具20は、光コネクタ3に組み付けることで、光コネクタ3のクランプ部32の中心軸線(調心溝323の調心軸線)と、介挿部材駆動部23の中心軸線との向きとが揃うようになっている。
前述したように、図示例の介挿部材付き工具20は、複数本の介挿部材21(ここでは2本。区別のため、符号21A、21Bを付す)を具備している。各介挿部材21は、コネクタ受け壁242に開口された介挿部材挿通穴28から介挿部材駆動部23の外側に突出された部分の先端が、光コネクタ3のクランプ部32に挿入される前記先端部21aとされている。
本発明に係る工具付き光コネクタ1では、介挿部材付き工具20の各介挿部材21(21A、21B)の先端部21a(図1、図4等参照)を、光コネクタ3の外側から、つまみ39の差込口39a、39b、ストップリング34の差込口34a、34b(図10参照)を介して、一対の素子31c、321の間に割り込ませてある。このため、工具付き光コネクタ1では、一対の素子31c、321の間が、介挿部材21によって、バネ322の弾性に抗して若干押し開かれた状態になっている。また、つまみ39の差込口39a、39b及びストップリング34の2つの差込口34a、34bは、2つの蓋側素子321に対応する2つのクランプ部に対応する位置に開口されている。介挿部材付き工具20の複数本(2本)の介挿部材21(21A、21B)は、ストップリング34の2つの差込口34a、34bを介して、素子31cと素子321aとの間、素子31cと素子321bとの間に、それぞれ挿入されている。
但し、介挿部材付き工具20は、光コネクタ3から分離した状態で現場等に供給して、必要に応じて光コネクタ3に組み付けて、光ファイバ先端への光コネクタ3の組み立てに利用することも可能である。また、介挿部材付き工具20は、すでに光ファイバ先端に組み立てられている光コネクタに組み付けて、光コネクタを光ファイバから離脱させる作業等にも利用できる。
なお、図示例の光コネクタ3では、クランプ部付きフェルール37は、図10において、ベース側素子31cが上側、蓋側素子321が下側となる向きで、光コネクタ3内に組み込まれている。クランプ部付きフェルール37は、図2において、フェルール31側から見て、ベース側素子31cが、ベース側素子31cと蓋側素子321との間に介挿された介挿部材21の先端部の右、蓋側素子321が前記介挿部材21の先端部の左に配置されるようになっている。但し、光コネクタ3としては、図2において、一対の素子31c、321の配置が左右逆になる構成であっても構わない。
図5に示すように、介挿部材21は、ブロック状の本体部211と、この本体部211に突設された板状突起212と、本体部211から前記板状突起212とは反対の側に突設された一対の弾性爪213とを具備している。
板状突起212の本体部211からの突出先端(介挿部材21の先端)は、光コネクタ3のクランプ部32の一対の素子31c、321の間に割り込まされる先端部21a(挿入先端)となっている。図示例の介挿部材21では、前記先端部21a(挿入先端)は、板状突起212に比べて厚さを薄く形成された楔状になっている。
図5に例示した介挿部材21の先端部21aは、断面三角形状であるが鋭く尖った形状ではなく、先端の頂点付近は、湾曲面を有する形状(素子を傷めにくくすることが目的)になっている。また、図示例の介挿部材21は、先端部21aも含めて全体が合成樹脂製の一体成形品であり、先端部21aが樹脂製であることも、クランプ部32の一対の素子31c、321を傷めにくくする点で有利である。
楔状の先端部21aとしては、先端が鋭く尖った形状のものであっても良いことは言うまでも無い。
また、先端部21aの形状は図示例のものに限定されない。例えば、一対の素子31c、321の間からの引き抜きのみを考慮する場合は、介挿部材21としては、一対の素子31c、321の間に割り込ませることにより、一対の素子31c、321をバネ322の弾性に抗して若干押し開かれた状態に保持できれば良い。この点、介挿部材21の先端部21aは、例えば、単純な板状、ピン状等、他の形状であってもよい。
図4、図5に示すように、一対の弾性爪213は、介挿部材21を介挿部材支持部241に取り付けるための基端部21bとして機能する。
具体的には、弾性爪213は、本体部211から延出する細長の弾性本体213aと、この弾性本体213aの本体部211からの突出方向先端部の側部に突設されている突起状の係合受け部213b(爪部)とで構成されている。各弾性爪213の係合受け部213bは、弾性本体213aにおいて、本体部211から延びる一対の弾性爪213の間に確保された隙間213cとは反対の側の側部に突設されている。
図5に示すように、介挿部材21は、介挿部材駆動部23の前記介挿部材支持部241のコネクタ受け壁242側(すなわち、介挿部材駆動部23の内部空間S側)に突設された突壁部243に穿設されている基端部収納穴244に、一対の弾性爪213からなる基端部21bが収納される。介挿部材21は、基端部収納穴244に収納された一対の弾性爪213と突壁部243との係合によって、突壁部243からコネクタ受け壁242側への引き抜きを規制して、介挿部材支持部241に取り付けられている。
なお、突壁部243は、樹脂成形によって、介挿部材支持部241のプレート状のベース壁部241aから突出する形状に形成された突起であり、介挿部材支持部241の一部である。
介挿部材21は、基端部21bが介挿部材支持部241に取り付けられた状態で、介挿部材駆動部23の内部空間Sを横切るようにして介挿部材駆動部23に設けられている。
図4、図5を参照して、基端部21bを構成する一対の弾性爪213と、突壁部243との係合構造について具体的に説明する。
突壁部243の基端部収納穴244に収納された各弾性爪213の側部の係合受け部213bは、前記基端部収納穴244のコネクタ受け壁242とは反対側の端部を拡張した部分である拡張穴245に収納されている。弾性爪213と突壁部243との係合は、弾性爪213の係合受け部213bが、基端部収納穴244における前記拡張穴245と該拡張穴245以外の部分(弾性本体収納孔247)との間の段差246に係合することにより実現される。前記段差246を形成する突壁部243の内壁、すなわち、拡張穴245よりも狭い弾性本体収納孔247の内壁面を形成する壁部は、弾性爪213の係合受け部213bが係合される引き抜き用係合部248(図4参照)を形成している。引き抜き用係合部248には、弾性爪213の係合受け部213bが、コネクタ受け壁242とは反対の側から係合される。これにより、基端部21bの突壁部243からの抜け出しが規制される。
基端部収納穴244は、基端部21bを、該基端部収納穴244の軸方向(中心軸線に沿った方向)への移動を許容して収納する。突壁部243は、介挿部材21の基端部収納穴244の軸方向に沿った姿勢を維持しつつ、介挿部材21の移動をガイドするガイド部材としての機能を果たす。介挿部材支持部241と、コネクタ受け壁242の介挿部材挿通穴28とは、基端部収納穴244の中心軸線及びその延長(以下、介挿部材移動直線とも言う)上に位置している。介挿部材21は、側圧によって介挿部材駆動部23が変形されたときに、図2においてリング状の介挿部材駆動部23の中心軸線を通る上下方向(図2において上下方向)の直線(介挿部材移動直線P)上を移動する。
介挿部材21は、介挿部材移動直線に沿った移動によって、前記コネクタ受け壁242側の介挿部材挿通穴28から前記介挿部材駆動部23外側への突出寸法が変動するように変位できる。但し、介挿部材21のコネクタホルダ部22側への移動は、弾性爪213の係合受け部213bが引き抜き用係合部248に係合したところ(係合位置)が、移動限界位置(突出限界位置)である。また、介挿部材21の、介挿部材支持部241側への押し込み方向の移動は、介挿部材21の本体部211(具体的には、本体部211の底面211a。一対の弾性爪213は、本体部211の底面211aの一部から延出している。)が突壁部243に突き当たったところが、移動限界位置(押し込み限界位置)である。
介挿部材21は、突出限界位置と押し込み限界位置との間で移動できる。
前記突壁部243は、介挿部材21の本体部211がコネクタ受け壁242側から突き当てられることで、介挿部材21の前記介挿部材支持部241側への押し込み方向の移動を規制する押し込みストッパ部を兼ねる。また、介挿部材21の本体部211は、押し込みストッパ部として機能する突壁部243に当接されるストッパ当接部としての機能を果たす。
介挿部材21のストッパ当接部(本体部211)が当接される突壁部243は、例えば、光コネクタ3のクランプ部32の素子31c、321間に介挿部材付き工具20の介挿部材21の先端部21aを押し込むようにして割り込ませる際には、押し込み力を支圧する受圧部材としての機能を果たすことになり、割り込ませる作業を容易に行える、といった利点がある。
図示例の介挿部材付き工具20では、突出限界位置と押し込み限界位置との間での介挿部材21の移動に伴い、弾性爪213の係合受け部213bが拡張穴245内で移動する。
拡張穴245は、介挿部材21が押し込み限界位置にあるときでも、引き抜き用係合部248からコネクタ受け壁242とは反対の側へ離隔された係合受け部213bを収納できる大きさになっている。但し、これに限定されず、介挿部材駆動部23の外周面側に開口する拡張穴245から介挿部材駆動部23の外側への、介挿部材21(具体的には、基端部21b)の突出を許容しても良い。
また、図示例の介挿部材付き工具20では、基端部収納穴244は、突壁部243を貫通する貫通穴であり、拡張穴245は介挿部材駆動部23の外周面側に開口しているが、これに限定されず、介挿部材駆動部23の外周面側に開口していない拡張穴245を採用することも可能である。但し、この場合、拡張穴245は、介挿部材21が押し込み限界位置にあるときでも、引き抜き用係合部248からコネクタ受け壁242とは反対の側へ離隔された係合受け部213bを収納できる大きさである必要がある。
なお、突壁部243に当接されるストッパ当接部は、必ずしも、介挿部材21の本体部211自体である必要はなく、例えば、介挿部材21の側部に突設された小突起等であっても良い。また、押し込みストッパ部としても、突壁部がこれを兼ねる構造に限定されず、例えば、介挿部材支持部241に突壁部とは別に突設された突片であっても良い。押し込みストッパ部としては、突壁部の基端部収納穴内に突設された突起等であっても良い。
また、突壁部としては、介挿部材支持部241から介挿部材駆動部23の内部空間S側に突出する突起状のものに限定されない。基端部収納穴としては、板状の介挿部材支持部241に開口された貫通穴であっても良く、介挿部材支持部自体が、突壁部として機能する構造も採用可能である。
また、図示例の介挿部材付き工具20では、一つの基端部収納穴243に基端部収納穴244が2つ形成されて、2本の介挿部材21A、21Bの取り付けに対応できるようになっているが、これに限定されず、基端部収納穴毎に独立した突壁部を介挿部材支持部に設けることも可能である。
基端部21bが複数本の弾性爪213によって構成される構造では、基端部21bを、突壁部243の基端部収納穴244に、コネクタ受け壁242側から押し込むだけで、介挿部材21を簡単に突壁部243に装着できるといった利点がある。また、介挿部材21の構造も非常に単純で済み、低コスト化できるといった利点がある。
複数本の弾性爪213からなる基端部21bの、基端部収納穴244への押し込みは、基端部21bを、突壁部243のコネクタ受け壁242側の端部(すなわち、突壁部243の介挿部材支持部241からの突出先端部)における基端部収納穴244の開口部から基端部収納穴244に押し込んでいく。ここで、複数本の弾性爪213は、弾性爪213同士が互いに接近するように弾性変形させた状態で、基端部収納穴244の弾性本体収納孔247に押し込んで行く。そして、先端の係合受け部213bが拡張穴245に到達したところで、弾性爪213が弾性爪213同士間の間隔を開けるように弾性復帰して、係合受け部213bが拡張穴245に入り込む。拡張穴245に入り込んだ係合受け部213bは、弾性爪213の弾性によって拡張穴245に押し込まれており、拡張穴245からの離脱が防止される。
つまり、この介挿部材付き工具20では、基端部収納穴244への基端部21bの押し込みだけで、介挿部材21を介挿部材駆動部23に組み付けて、簡単に組み立てることができる。また、光コネクタ3のクランプ部32の構造に対応して、適切なサイズや形状の介挿部材21を選択して、介挿部材駆動部23に組み付けるといったことも簡単に行うことができ、光コネクタ3の構造に対応する構成の介挿部材付き工具20を簡単に得ることができる。
なお、図示例の介挿部材21では、2本の弾性爪213からなる基端部21bを例示したが、基端部21bとしては、3本以上の弾性爪213からなる構造も採用可能である。
本発明に係る介挿部材付き工具20では、介挿部材21の本体部211が突壁部243に当接された状態において、介挿部材21の係合受け部213bと引き抜き用係合部248との間にクリアランス(離間距離。図4の寸法cを参照)が確保されるが、このクリアランスの大きさ(離間距離)は、介挿部材21毎に異なっている。図示例の介挿部材付き工具20では、各介挿部材21A、21Bの本体部211が突壁部243に当接された状態において、クランプ部付きフェルール37のクランプ部32の長手方向の2箇所に介挿される介挿部材21A、21Bの内、フェルール31側の介挿部材21Aの係合受け部213bと引き抜き用係合部248との間に確保されるクリアランスc1よりも、クランプ部付きフェルール37の後端側に介挿される介挿部材21Bの係合受け部213bと引き抜き用係合部248との間のクリアランスc2の方が大きい。
なお、2本の介挿部材21A、21Bは、クランプ部32における内部光ファイバ38と、光ファイバ4先端の裸光ファイバ4aとの突き合わせ接続の接続点5からの距離が互いに異なるように配置されていると言える。符号21Aの介挿部材は、接続点5に対応させて配置された介挿部材21であり、この介挿部材21Aに比べてクランプ部付きフェルール37の後端側にずれた位置にある介挿部材21Bの方が、前記クリアランスcが大きい、という関係になっている。
介挿部材21を介挿部材駆動部23から外側に突出させるための構成(介挿部材挿通穴)としては、コネクタ受け壁242を2分するスリット状の介挿部材挿通穴28に限定されず、例えば、コネクタホルダ部22の両側壁22b、22c間を連結する構成とした受け板部22eに穿孔した小孔等であっても良い。介挿部材挿通穴28としては、後述のように介挿部材駆動部23の変形に伴う介挿部材21の移動を妨げない大きさを確保する。
コネクタホルダ部22のコネクタ受け壁242は、光コネクタ3のクランプ部32から介挿部材21を引き抜く際に、前記光コネクタ3(詳細には、ハウジング。具体的にはプラグフレーム33)に押し当てられる。
本発明に係る「コネクタ受け壁」は、介挿部材駆動部を操作(両側から側圧を作用させて、ストッパ部と前記介挿部材支持部との間の距離が増大するように変形させる)して光コネクタのクランプ部の素子間から介挿部材を引き抜く際に、光コネクタが介挿部材に追従して移動することを防いで、素子間からの介挿部材の円滑な引き抜きを実現する機能を果たすものである。
前記介挿部材駆動部23はスリーブ状に形成されている。
介挿部材駆動部23は、具体的には、前記介挿部材支持部241と、前記コネクタ受け壁242と、介挿部材支持部241(具体的には、ベース壁部241a)とコネクタ受け壁242との間を連結する一対の側部25a、25b(以下、連結壁部)と、前記コネクタ受け壁242とを有して構成されている。介挿部材支持部241は、ベース壁部241aと、このベース壁部241aから突出された突壁部243とを具備して構成されている。
図2等に示すように、各連結壁部25a、25bは、具体的には、3つの連結プレート部26a〜26cを一列に連結した構造になっている。隣り合う連結プレートの間は、ヒンジ部27を介して連結している。一対の連結壁部25a、25bは、介挿部材支持部241の両側から延出されており、介挿部材支持部241からの延出先端に、それぞれ、コネクタ受け壁242の一対の受け板部242aが形成されている。各連結壁部25a、25bの一端部に位置する連結プレート部26aと介挿部材支持部241との間、及び、各連結壁部25a、25bの他端部に位置する連結プレート部26cとコネクタ受け壁242との間も、ヒンジ部27で連結されている。
介挿部材駆動部23は、各連結壁部25a、25bを構成する合計6つの連結プレート部と、介挿部材支持部241(具体的には、ベース壁部241a)と、プレート状のコネクタ受け壁242とによって、8角形状に構成されている。
連結壁部25a、25bは、内部空間Sを介して両側に対向配置されている。各連結壁部25a、25bは、3つの連結プレート部26a〜26cの内、中央の連結プレート26bを頂部とする概略「く」字形に形成されている。そして、概略「く」字形の屈曲部の内角側が互いに対面する向き、すなわち、コネクタホルダ部22と介挿部材支持部241との間にて、前記屈曲部が両側(介挿部材駆動部23の外側)に張り出すように設けられている。
介挿部材支持部241のベース壁部241aは、一対の連結壁部25a、25bによって、介挿部材駆動部23のコネクタ受け壁242を構成する一対の受け板部242aと平行となるように支持されている。
すでに述べたように、図示例の介挿部材付き工具20の介挿部材駆動部23は、コネクタホルダ部22とともに合成樹脂で一体成形されている。連結壁部25a、25bを構成している隣り合う連結プレート部同士を連結するヒンジ部27は、具体的には、連結プレート26a〜26dや介挿部材支持部241、コネクタ受け壁242に比べて薄く変形容易な薄肉部である。また、各連結壁部25a、25bの一端部に位置する連結プレート部26aと介挿部材支持部241との間を連結するヒンジ部27、及び、各連結壁部25a、25bの他端部に位置する連結プレート部26cとコネクタ受け壁242との間を連結するヒンジ部27も、薄肉部である。
ヒンジ部27は、隣り合う連結プレート部同士の間、連結プレート部26aと介挿部材支持部241との間、連結プレート部26cとコネクタ受け壁242との間を、それぞれ、介挿部材駆動部23の中心軸線に向きを揃えた軸線回りの回転を可能として連結するものである。ヒンジ部27である薄肉部は、該薄肉部の変形によって、隣り合う連結プレート部同士の間、連結プレート部26aと介挿部材支持部241との間、連結プレート部26cとコネクタ受け壁242との間を、それぞれ、回転可能に連結する。
介挿部材駆動部23の形状(断面形状)を指す「リング状」とは、円形、楕円形、五角形や六角形等の多角形、菱形等を含む。また、C字形のように、一部に不連続部分が存在するものも含む。
介挿部材駆動部23は、介挿部材支持部241とコネクタ受け壁242の間にて、該介挿部材駆動部23の内部空間Sを介して両側に張り出すように設けられた連結壁部25a、25bに、対向する両側(図2左右)から押圧力(側圧)を作用させ、連結壁部25a、25b同士を互いに接近させることで、介挿部材支持部241とコネクタ受け壁242との間の距離が増大するようになっている。これにより、介挿部材駆動部23の突壁部243の引き抜き用係合部248(図4参照)が、コネクタ受け壁242側から、介挿部材21の係合受け部213bに係合して、介挿部材21が介挿部材支持部241に引き留められることで、介挿部材21がコネクタ受け壁242に対して相対的に、コネクタ受け壁242からの突出寸法を減少(あるいは突出を解消)する方向、つまり、介挿部材21を内側に引き込む方向に移動される。
両側の連結壁部25a、25bにおいて、介挿部材駆動部23の内部空間Sを介して左右(図2左右)への張り出しが最も大きい部位(図示例の介挿部材駆動部23では連結プレート部26b)は、介挿部材駆動部23を変形させる側圧を作用させるための側圧作用部25pとして機能する。介挿部材駆動部23は、左右対称に構成されており、両側の連結壁部25a、25bの側圧作用部25pは、介挿部材駆動部23の内部空間Sを介して対向する位置にある。
介挿部材駆動部23の左右両側の側圧作用部25pに側圧を作用させて、側圧作用部25p同士を接近させると、介挿部材支持部241とコネクタ受け壁242とが介挿部材駆動部23の断面中央部(一対の側圧作用部25pの中間位置)から離隔するように、介挿部材移動直線Pに沿って移動して、介挿部材支持部241とコネクタ受け壁242との間の距離が増大する。介挿部材支持部241は、該介挿部材支持部241に設けられている突壁部243(詳細には引き抜き用係合部248)と介挿部材21との係合によって、介挿部材21を牽引するようにして、収容凹所22aへの突出寸法を減少(あるいは突出を解消)する方向、つまり、介挿部材21を内側に引き込む方向に移動させる。一方、コネクタ受け壁242は、介挿部材駆動部23の断面中央部から離隔する方向への変位によって、介挿部材21に対する相対的に位置変動することで、収容凹所22aへの介挿部材21の突出寸法を減少(あるいは突出を解消)せしめる。両側からの側圧による介挿部材駆動部23の変形によって「介挿部材を前記介挿部材用窓から該介挿部材駆動部の外側への突出寸法が減少する方向に移動させる」ことは、介挿部材支持部241の変位に伴う介挿部材21の移動と、コネクタ受け壁242の介挿部材21に対する相対的な移動、の両方によって実現される。
介挿部材駆動部23は、必ずしも、左右対称に形成されていることに限定されない。但し、図2等に示すように、介挿部材駆動部23が左右対称(特に両側部。連結壁部25a、25bが左右対称)に形成されている構成であれば、介挿部材駆動部23の変形に伴う介挿部材21の直線的な移動を安定に保つ点で有利である。
また、介挿部材21と介挿部材駆動部23とは、互いに異なる材質からなることが好ましい。
介挿部材21をクランプ部32の一対の素子31c、321の間に挿入した状態、すなわち、その先端部21aに常に圧力が加えられた状態で、介挿部材21が繰り返しの温度変化に曝されると、クリープ現象により、先端部21aの形状が変形し、その厚みが現象することがある。このように先端部21aの厚みが減少すると、介挿部材21によって押し開かれた素子31cと素子321と間が狭くなり、クランプ部32へ光ファイバ4、38を挿入し難くなり、結果として、クランプ部32内で光ファイバ4、38を接続する機能が損なわれるおそれがある。そこで、介挿部材付き工具20全体をクリープ現象が生じ難い硬質な材質とすると、介挿部材駆動部23が弾性変形し難くなり、介挿部材21をクランプ部32に対して抜去する機能が損なわれるおそれがある。
このようなことから、介挿部材21の材質を、介挿部材駆動部23の材質よりもクリープ現象が生じ難い硬質なものとする一方、介挿部材駆動部23の材質を弾性変形し易い軟質の材質とすることが好ましい。
介挿部材21の材質、介挿部材駆動部23の材質としては、特に限定されるものではなく、上記の両者の関係を満たしていれば、如何なる金属、樹脂なども用いられる。また、介挿部材21の材質、介挿部材駆動部23の材質としては、成形が容易であることなどから樹脂が好適に用いられるが、この場合、介挿部材21と介挿部材駆動部23とは互いに異なる樹脂で形成される。さらに、介挿部材21と介挿部材駆動部23とが互いに異なる樹脂で形成される場合、例えば、介挿部材21の材質としては、ポリカーボネートが挙げられ、介挿部材駆動部23の材質としては、ポリアセタールが挙げられる。
工具付き光コネクタ1では、図2等に示すように、介挿部材付き工具20の複数の介挿部材21A、21Bを、コネクタホルダ部22に収容された光コネクタ3のクランプ部32の一対の素子31c、321間に割り込ませてある。2本の介挿部材21A、21Bの内、介挿部材付き工具20のハウジング嵌合溝22h側の介挿部材21Aは、クランプ部32の延出部31cとフェルール31側の蓋側素子321aとの間に介挿される。コネクタ後端部配置溝22j側の介挿部材21Bは、クランプ部32の延出部31cとフェルール31から遠い側の蓋側素子321bとの間に介挿される。延出部31cと蓋側素子321との間は、介挿部材21A、21Bによって、バネ322の弾性に抗して僅かに押し開かれた状態になっている。
この工具付き光コネクタ1は、本発明に係る介挿部材付き光コネクタとしても機能するものである。
介挿部材21は、クランプ部32の側部に開口する介挿部材挿入凹所325d(図2以外では図示略)に挿入される。介挿部材挿入凹所325dは、一対の素子31c、321の接合境界に形成されている。この介挿部材挿入凹所325dは、具体的には、蓋側の二つの蓋側素子321a、321b(図11等参照)に対応する位置にそれぞれ形成されている。各介挿部材挿入凹所325dの形成位置は、光コネクタ3のストップリング34の差込口34a、34bの位置に対応している。各介挿部材挿入凹所325dには、光コネクタ3のストップリング34の差込口34a、34bに通された介挿部材21の先端部21aが挿入される。
図2に示すように、素子31c、321間に介挿部材21が割り入れられた状態では、光コネクタ3後端側から、クランプ部32の一対の素子31c、321の間に対する光ファイバ4(図11、図12参照)の挿脱が可能である。
クランプ部32内で光ファイバ4、38同士を接続して光ファイバ4(ここでは単心の光ファイバ心線)の先端に光コネクタ3を取り付けるには、まず、光コネクタ3の後端側からクランプ部32の素子31c、321間の溝325a、325bに光ファイバ4の先端を挿入して、調心溝323に押し込んでいく。この押し込みより、光ファイバ4先端の裸光ファイバ4aをクランプ部32内の調心溝323にて内部光ファイバ38と突き合わせ接続する。光ファイバ4の被覆部は、溝325a、325b内に収納される。
次いで、光ファイバ4と内部光ファイバ38との突き合わせ接続状態を保ったまま、介挿部材付き工具20の介挿部材駆動部23に左右両側から側圧を掛け、介挿部材駆動部23を変形させる。これにより、介挿部材駆動部23の外側への介挿部材21の突出寸法(コネクタホルダ部22の収容凹所22aへの突出寸法)が減少していき、光コネクタ3のクランプ部32から介挿部材21が引き抜かれる。このとき、コネクタ受け壁242に設けられているコネクタ受け壁242とハウジング受け台22iとが、光コネクタ3が介挿部材21に追従移動することを規制するストッパ部として機能することで、素子31c、321間からの介挿部材21の引き抜きが円滑に実現される。
クランプ部32から介挿部材21が引き抜かれれば、クランプ部32のバネ322の弾性によって、一対の素子31c、321間に、光ファイバ4と内部光ファイバ38とがクランプされ、光ファイバ4と内部光ファイバ38との突き合わせ接続状態が維持される。光ファイバ4の被覆部が、溝325a、325b内に収納されたまま、一対の素子31c、321間にしっかりとクランプ固定されることで、クランプ部32からの光ファイバ4の引き抜きが規制される。これにより、光ファイバ4先端への光コネクタ3の取り付けが完了する。
(時差抜去機構)
前述したように、図示例の介挿部材付き工具20では、2本の介挿部材21A、21Bの内、ハウジング嵌合溝22hに先端部21aが配置される介挿部材21Aに比べて、コネクタ後端側配置溝22jに先端部21aが配置される介挿部材21Bの方が、介挿部材21の係合受け部213bと突壁部243の引き抜き用係合部248との間のクリアランスcが大きい(図4参照)。このため、光コネクタ3のクランプ部32から介挿部材21を引き抜くために、介挿部材駆動部23を対向する両側からの側圧で変形させると、光コネクタ3のクランプ部32における光ファイバ4、38同士の接続点5(図11参照)に対応する位置にある介挿部材21Aが、介挿部材21Bよりも先行してクランプ部32から引き抜かれる。介挿部材21Aがクランプ部32から引き抜かれた後に、介挿部材21Bがクランプ部32から引き抜かれる(時差抜き去り)。つまり、クリアランスcの大きさの違いによって、介挿部材21A、21Bの係合受け部213bと突壁部243の引き抜き用係合部248との係合タイミングが異なっており、係合受け部213bと引き抜き用係合部248との係合が、光ファイバ4、38同士の接続点5から近い介挿部材から、順次、接続点5から遠い介挿部材について実現されることで、複数の介挿部材21のクランプ部32からの抜き去りが、光ファイバ4、38同士の接続点5から近い側から順に実現される。
介挿部材駆動部23と介挿部材21とは、クランプ部32に挿入されている複数の介挿部材21のクランプ部32からの抜き去りを、光ファイバ4、38同士の接続点5から近い側から順に実現する、時差抜去機構を構成する。
このように、介挿部材21Aがクランプ部32から引き抜かれた後に、介挿部材21Bがクランプ部32から引き抜かれる構成であれば、クランプ部32の内、光ファイバ4、38同士の接続点5(図11参照)をクランプする素子31c、321a間が閉じた後に、素子321aよりも接続点5からの位置が遠い素子31c、321b間が閉じられる。つまり、クランプ部32の素子31c、321間が、介挿部材21の引き抜きによって、光ファイバ4、38同士の接続点5に近い側から閉じられることになる。この場合、突き合わせ接続時の突き当て力によって一対の光ファイバ4、38の一方又は両方に生じた撓みが、介挿部材21の引き抜きによるクランプ部32での光ファイバ4、38のクランプに伴って、クランプ部32の外に逃がされて、クランプ部32内に残留することを防止できるといった利点がある。このため、クランプ部32内に残留した光ファイバの曲げや撓みが光ファイバ4、38の光伝送特性や、光ファイバ4、38間の接続損失等の光学特性に影響を与えるといった不都合を防止できる。また、クランプ部にクランプした光ファイバの光学特性の安定維持、接続損失等の特性安定を図れ、光コネクタ3の長期信頼性を向上できる。
図示例の介挿部材付き工具20の介挿部材駆動部23は、使用者が片手の手指で保持できる大きさに形成してある。また、使用者が片手の手指を使って介挿部材駆動部23を握るようにすることで、介挿部材駆動部23に左右両側からの側圧を作用させて介挿部材駆動部23を変形させ、光コネクタ3からの介挿部材21の引き抜きを実現できるようになっている。このため、介挿部材付き工具20は、操作性に優れており、光コネクタ3のクランプ部32の素子31c、321間からの介挿部材21の引き抜きに比較的強い力を要する場合でも、楽に、介挿部材21の引き抜き作業を行える。
また、図示例の介挿部材付き工具20の介挿部材駆動部23は、両側からの側圧による左右両側の側圧作用部25p間の離間距離の変動量に対して、介挿部材支持部241とコネクタ受け壁242との間の離間距離の増加量が小さい構造になっている。この構造は、介挿部材駆動部23を構成する、介挿部材支持部241、コネクタ受け壁242、両側の連結壁部25a、25bの各連結プレート部26a〜26cの寸法調整によって実現されている。これにより、介挿部材駆動部23が、両側からの側圧を増力して、素子間から介挿部材21を引き抜く引き抜き力に変換する増力機構(トグル機構)として機能することとなり、軽い力で、介挿部材21の引き抜き作業を行える。介挿部材21の引き抜き作業に要する側圧が弱い力で済み、手指で介挿部材駆動部23に側圧を与えて、介挿部材21の引き抜き作業を行う場合、軽い力で楽に作業を行える。
なお、介挿部材駆動部23は、両側から側圧が与えられたときに、ヒンジ部27である薄肉部が変形するが、連結プレート部26a〜26c及び介挿部材支持部241、コネクタ受け壁242は変形しない。また、コネクタホルダ部22も変形しない。
クランプ部32に対する介挿部材21の移動は、一対の素子31c、321の境界の延長上での直線的な移動であるため、介挿部材21の引き抜き途中で、介挿部材21が一対の素子31c、321に変形力等を与えるといった不都合を生じにくい。さらに、一対の素子31c、321からの介挿部材21の引き抜き抵抗を無用に増大するといった不都合も生じにくい。
ヒンジ部27として採用した薄肉部は、介挿部材駆動部23に作用された側圧によって弾性変形するようになっているため、側圧を解除すると、薄肉部の弾性によって、介挿部材駆動部23が側圧を作用させる前の形状、すなわち、図4実線に例示した形状に復帰する。したがい、再度、光コネクタをコネクタホルダ部に組み付けて、工具付き光コネクタを組み立てることに利用することも、容易である。
なお、本発明は、ヒンジ部27が弾性を有しておらず、変形後に弾性復帰しない構成とすることも可能である。
介挿部材付き工具20の介挿部材支持部241の突壁部243の両側には、保持用治具50に突設されている工具係合爪55(後述)が係合される治具係止突起249(治具係止部)が突設されている。
また、介挿部材駆動部23の連結壁部25a、25bの両端の連結プレート部26a、26cには、保持用治具50の連結用延出部521、522を通すための治具挿通用窓29が開口されている。
(保持用治具)
次に保持用治具50について説明する。
図6に示すように、前記保持用治具50は、ベース板部51と、このベース板部51の両側に立設されて互いに並行に延出された連結用延出部52(一側連結用延出部521及び他側連結用延出部522)と、両側の前記連結用延出部52の一方である一側連結用延出部521の先端にヒンジ部53を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部53とは反対の側の端部(以下、先端部)が、両側の前記連結用延出部52の他方である他側連結用延出部522の先端に係脱可能に係合される開閉板部54と、一対の連結用延出部52のそれぞれの先端部にそれぞれ突設された工具係合爪55とを具備して構成されている。
この保持用治具50は合成樹脂製の一体成形品である。
図示例の保持用治具50においては、連結用延出部52は、ベース板部51の両側に1本ずつ立設されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、連結用延出部がベース板部51の両側にそれぞれ複数本立設されている構成も採用可能である。
図2に示すように、この保持用治具50は、前記連結用延出部52を前記介挿部材付き工具20の前記治具挿通用窓29に通して、前記ベース板部51を工具付き光コネクタ1の前記光コネクタ3に対して前記介挿部材付き工具20の前記介挿部材駆動部23とは反対の側から当接させて配置するとともに、連結用延出部521、522に突設されている工具係合爪55を前記介挿部材駆動部23の前記介挿部材支持部241に設けられている治具係止突起249に係合させて介挿部材付き工具20に設けられる。
保持用治具29の連結用延出部52は、前記介挿部材付き工具20の前記治具挿通用窓29に通すことで、前記介挿部材21、前記介挿部材支持部241、前記コネクタ受け壁242、前記光コネクタ3の両側に配置される。
保持用治具50の工具係合爪55は前記介挿部材付き工具20の治具係止突起249に対して該治具係止突起249を介して光コネクタ3とは反対の側に配置されて治具係止突起249に係合される。保持用治具50は、工具係合爪55を前記介挿部材付き工具20の治具係止突起249に係合させることで、前記介挿部材付き工具1の前記コネクタ受け壁242を介して介挿部材支持部241とは反対の方向(図2下側)への移動が規制される。
これによりベース板部51の位置が拘束され、その結果、工具係合爪55を係合した前記介挿部材付き工具20が光コネクタ3に対して押さえ込まれる。
また、介挿部材付き工具20を保持用治具50を用いて光コネクタ3に固定する場合、保持用治具50の開閉板部54を前記他側連結用延出部522の先端に係合する。この係合は、具体的には、図6に示すように、開閉板部54の先端部を他側連結用延出部522の先端に押し付けて、開閉板部54の先端部に形成されている切り欠き部541に、前記他側連結用延出部522の先端に突設されている突起523を収納し、この突起523の側面に突設されている係止爪524に開閉板部54の先端部を係合させる。これにより、保持用治具50が四角枠状となって前記一側連結用延出部521先端と前記他側連結用延出部522先端との間の距離が固定される。その結果、前記介挿部材付き工具20の治具係止突起249に係合されている工具係合爪55が治具係止突起249から脱落して係合が解除されることを防ぐことができ、工具係合爪55の治具係止突起249に対する係合状態を安定に保つことができる。
光コネクタ3のクランプ部32から介挿部材21を抜き去り、介挿部材付き工具20を光コネクタ3から取り外す際には、介挿部材21の抜き去り作業(介挿部材付き工具20の介挿部材駆動部23に両側から側圧を作用させる)を行う前に、前記開閉板部54の前記他側連結用延出部522に対する係合を解除し、一対の連結用延出部521、522の間を押し拡げて工具係合爪55の治具係止突起249に対する係合を解除する。この状態であれば、連結用延出部52の治具挿通用窓29からの抜き去り、すなわち、介挿部材付き工具20からの保持用治具50の抜き去りが可能となるため、介挿部材付き工具20を光コネクタ3から離隔させることが可能である。これにより、前記介挿部材21の抜き去り作業を行うことが可能となる。
なお、開閉板部54の先端には、該開閉板部54の回転操作用のレバー542が突設されているため、この開閉板部54の他側連結用延出部522に対する開閉操作を楽に行える。開閉板部54の他側連結用延出部522に対する係合位置が、枠状(枠状体)となった保持用治具50の開閉部として機能する。
また、保持用治具50は、上述のように、工具係合爪55を前記介挿部材付き工具20に係合させることで、介挿部材付き工具20を光コネクタ3に対して押さえ込む構成であり、開閉板部54が介挿部材付き工具20を光コネクタ3に対して押さえ込む力を負担する訳ではないので、前記開閉板部54の前記他側連結用延出部522に対する係合は強固である必要な無い。前記開閉板部54の前記他側連結用延出部522に対する係合構造は、弱い力で係脱を実現できるもので良く、これにより前記開閉板部54の前記他側連結用延出部522に対する係脱の作業性を向上できる。
前記介挿部材付き工具20の前記介挿部材駆動部23の介挿部材支持部241には、前記保持用部材50の前記開閉板部54を収納するための治具板部収納用凹所241bが、該介挿部材支持部241の前記コネクタ受け壁242とは反対の側の面から窪む溝状に形成されている。また、この治具板部収納用凹所241bは、連結壁部25a、25bの介挿部材支持部241側の端部に位置する連結プレート部26aに開口されている介挿部材用窓29と連通されている。
前記開閉板部54(但しレバー部542を除く)は治具板部収納用凹所241bに収納されることで、介挿部材駆動部23の外側へ突出しないため、衝突物の衝突の回避に有利である。このことは工具付き光コネクタ1の搬送中等での保持用治具50の位置ずれ防止に有効に寄与し、結果的に、介挿部材21のクランプ部32に対する位置ずれ防止にも有効に寄与する。
なお、開閉板部54の先端のレバー部542は、介挿部材駆動部23の外側に僅かに突出が突設されているため、この開閉板部54の他側連結用延出部522に対する開閉操作を楽に行える。
上述の光コネクタ用工具2を使用して組み立てた工具付き光コネクタ1を現場に搬入し、光ファイバ4先端への光コネクタ3の取り付け(光ファイバ接続方法)に使用する場合、保持用治具50の開閉板部54を前記他側連結用延出部522の先端に係合して、介挿部材付き工具20を保持用治具50を用いて光コネクタ3に固定した状態で、工具付き光コネクタ1を搬送して現場に搬入することで、光コネクタ3に対する介挿部材付き工具20の脱落を確実に防止でき、光コネクタ3のクランプ部32に対する介挿部材21の位置ずれも容易に抑えることができる。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態を説明する。
図7、図8において、符号1Aは工具付き光コネクタ、2Aは光コネクタ用工具である。
前記光コネクタ用工具2Aは、第1実施形態の光コネクタ用工具2について保持用治具50を変更し、図9に示した保持用治具60を採用したものである。
図9の保持用治具60を採用した点以外に変更点は無い。
なお、工具付き光コネクタ1Aは、本発明に係る介挿部材付き光コネクタとしても機能するものである。
図8、図9を参照して保持用治具60を説明する。
図8、図9に示すように、この保持用治具60は、ベース板部61と、このベース板部61の両側に立設されて互いに並行に延出された連結用延出部62(一側連結用延出部621及び他側連結用延出部622)と、両側の前記連結用延出部62の一方である一側連結用延出部621の先端にヒンジ部63を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部63とは反対の側の端部(以下、先端部)が、両側の前記連結用延出部62の他方である他側連結用延出部622の先端に係脱可能に係合される開閉板部64と、一対の連結用延出部62のそれぞれのベース板部61の端部(基端部)にそれぞれ突設された工具係合爪65と、前記連結用延出部621、622の先端部にそれぞれ突設されたコネクタ係合爪66とを具備して構成されている。
この保持用治具60は合成樹脂製の一体成形品である。
図示例の保持用治具60においては、連結用延出部62は、ベース板部61の両側に1本ずつ立設されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、連結用延出部がベース板部61の両側にそれぞれ複数本立設されている構成も採用可能である。
図8に示すように、この保持用治具60は、前記連結用延出部62を前記介挿部材付き工具20の前記治具挿通用窓29に通して、前記ベース板部61を工具付き光コネクタ1の前記介挿部材付き工具20の前記介挿部材駆動部23の介挿部材支持部241の治具板部収納用凹所241bに収納して、介挿部材支持部241の該介挿部材支持部241を介して光コネクタ3とは反対の側に配置するとともに、連結用延出部621、622に突設されている工具係合爪65を前記介挿部材駆動部23の前記介挿部材支持部241に設けられている治具係止突起249に係合させて介挿部材付き工具20に設けられる。
保持用治具29の連結用延出部62は、前記介挿部材付き工具20の前記治具挿通用窓29に通すことで、前記介挿部材21、前記介挿部材支持部241、前記コネクタ受け壁242、前記光コネクタ3の両側に配置される。
保持用治具60の工具係合爪65は前記介挿部材付き工具20の治具係止突起249に対して該治具係止突起249を介して光コネクタ3とは反対の側に配置されて治具係止突起249に係合される。保持用治具60は、工具係合爪65を前記介挿部材付き工具20の治具係止突起249に係合させることで、前記介挿部材付き工具1の前記コネクタ受け壁242を介して介挿部材支持部241とは反対の方向(図2下側)への移動が規制される。
また、この保持用治具60は、コネクタ係合爪66を光コネクタ3に係合させる。コネクタ係合爪66は、光コネクタ3の該光コネクタ3を介して介挿部材付き工具20の前記介挿部材駆動部23とは反対の側に係合される。
この保持用治具60は、上述のように、工具係合爪65を前記介挿部材付き工具20に係合し、コネクタ係合爪66を光コネクタ3に係合させることで、介挿部材付き工具20を光コネクタ3に対して押さえ込むことができる。
また、介挿部材付き工具20を保持用治具60を用いて光コネクタ3に固定する場合、保持用治具60の開閉板部64を前記他側連結用延出部622の先端に係合する。この係合は、具体的には、図8に示すように、開閉板部64の先端部を他側連結用延出部622の先端に押し付けて、開閉板部64の先端部に形成されている切り欠き部641に、前記他側連結用延出部622の先端に突設されている突起623を収納し、この突起623の側面に突設されている係止爪624に開閉板部64の先端部を係合させる。これにより、保持用治具60が四角枠状となって前記一側連結用延出部621先端と前記他側連結用延出部622先端との間の距離が固定される。その結果、一対の連結用延出部62の間が離隔することが防がれるため、コネクタ係合爪66の光コネクタ3に対する係合状態及び工具係合爪65の治具係止突起249に対する係合状態を安定に保つことができる。
光コネクタ3のクランプ部32から介挿部材21を抜き去り、介挿部材付き工具20を光コネクタ3から取り外す際には、介挿部材21の抜き去り作業(介挿部材付き工具20の介挿部材駆動部23に両側から側圧を作用させる)を行う前に、前記開閉板部64の前記他側連結用延出部622に対する係合を解除し、一対の連結用延出部621、622の間を押し拡げてコネクタ係合爪66の光コネクタ3に対する係合を解除する。この状態であれば、介挿部材付き工具20を光コネクタ3から離隔させることが可能であるため、これにより、前記介挿部材21の抜き去り作業を行うことが可能となる。
なお、開閉板部64の先端には、該開閉板部64の回転操作用のレバー642が突設されているため、この開閉板部64の他側連結用延出部622に対する開閉操作を楽に行える。開閉板部64の他側連結用延出部622に対する係合位置が、枠状(枠状体)となった保持用治具60の開閉部として機能する。
また、保持用治具60は、上述のように、工具係合爪65を前記介挿部材付き工具20に係合し、コネクタ係合爪66を光コネクタ3に係合させることで、介挿部材付き工具20を光コネクタ3に対して押さえ込む構成であり、開閉板部64が介挿部材付き工具20を光コネクタ3に対して押さえ込む力を負担する訳ではないので、前記開閉板部64の前記他側連結用延出部622に対する係合は強固である必要な無い。前記開閉板部64の前記他側連結用延出部622に対する係合構造は、弱い力で係脱を実現できるもので良く、これにより前記開閉板部64の前記他側連結用延出部622に対する係脱の作業性を向上できる。
前記ベース板部61は治具板部収納用凹所241bに収納されることで、介挿部材駆動部23の外側へ突出しないため、衝突物の衝突の回避に有利である。このことは工具付き光コネクタ1の搬送中等での保持用治具60の位置ずれ防止に有効に寄与し、結果的に、介挿部材21のクランプ部32に対する位置ずれ防止にも有効に寄与する。
上述の光コネクタ用工具2Aを使用して組み立てた工具付き光コネクタ1Aを現場に搬入し、光ファイバ4先端への光コネクタ3の取り付け(光ファイバ接続方法)に使用する場合、保持用治具60の開閉板部64を前記他側連結用延出部522の先端に係合して、介挿部材付き工具20を保持用治具50を用いて光コネクタ3に固定した状態で、工具付き光コネクタ1を搬送して現場に搬入することで、光コネクタ3に対する介挿部材付き工具20の脱落を確実に防止でき、光コネクタ3のクランプ部32に対する介挿部材21の位置ずれも容易に抑えることができる。
なお、本発明に係る光コネクタ用工具並びに工具付き光コネクタの具体的構成は、前述の実施形態に限定されず、各種変更が可能である。
一つの介挿部材駆動部に設けられる介挿部材の本数は2本に限定されず、3本以上であっても良い。
介挿部材付き工具としては、時差抜き去りが可能な構成のものに限定されず、時差抜き去りを行えない構成のものであっても良い。例えば、介挿部材が介挿部材支持部に固定(一体も含む)されている構成のものであっても良い。
また、光コネクタ用工具の複数の介挿部材は、光コネクタのクランプ部に挿入される部分(先端)の厚みが一定に揃えられている構成に限定されず、素子に挿入したときの素子の開度等に対応して異ならせている構成も採用可能である。素子に介挿部材を挿入したときの開度は、素子間に挿入される光ファイバの太さに対応させて、光ファイバの挿入が可能なように決める。例えば、前述の実施形態で例示した光ファイバ4の先端の被覆を除去して口出しした裸光ファイバ4aと、裸光ファイバ4aを口出ししていない部分(被覆部)とでは、光ファイバの太さが異なるため、複数の介挿部材について、光コネクタのクランプ部に挿入される部分(先端)の厚みを光ファイバの太さに対応して異ならせることで、光ファイバの部分的な太さの違いにも対応して素子の開度を決めることができる。
なお、光コネクタ3としては、前述のSC形光コネクタに限定されず、単心あるいは多心の各種の光コネクタプラグを採用可能である。多心用の場合、クランプ部の素子に形成される調心溝が複数本である構成が採用される。
また、光コネクタとしては、例えばいわゆるドロップケーブルのように、樹脂中に抗張力体と光ファイバ(光ファイバ素線、あるいは、光ファイバ心線)が埋め込まれた構成の光ファイバケーブルの先端に光ファイバを露出させ、この光ファイバをクランプ部の後端側からクランプ部に挿入して接続し、光ファイバケーブルの先端に該光コネクタを取り付け可能とするために、その後端側にケーブルを引き留める引留め具を具備した構成のものとしても良い。
本発明において、「光コネクタ」は、光ファイバ同士の突き合わせ接続(必ずしも、光ファイバ同士の端面同士を接触させる接続に限定されず、光ファイバ同士が微小な隙間を介して対面状態で光接続されることも含む)に用いられる光部品全般のことを指し、必ずしも、フェルールを用いたものに限定されない。本発明に係る光コネクタは、突き合わせ接続した光ファイバをクランプして、接続状態を維持するクランプ部を有するものであり、このようなクランプ部を有するものであれば、本発明に係る「光コネクタ」と称することができる。
例えば、断面C形あるいはコ字形のスリーブ状のバネの内側に、前記バネの弾性によって光ファイバをクランプする半割りの素子を収容した構成の、いわゆるメカニカルスプライス等も、本発明に係る光コネクタに含まれる。このメカニカルスプライスタイプの光コネクタとしては、半割りの素子の合わせ面に形成された位置決め溝を有し、対向する両側から素子間に挿入された光ファイバ同士を、前記位置決め溝によって高精度に位置決めした状態で突き合わせ接続できる。また、突き合わせ接続した光ファイバの対は、バネの弾性によって素子間にクランプして接続状態を維持する。このタイプの光コネクタとしては、例えば、図10、図11に例示した光コネクタからフェルールを省略したもの、すなわち、クランプ部32と同様の機構のものでも良い。
ここで、メカニカルスプライスタイプの光コネクタは、断面C形あるいはコ字形のスリーブ状のバネと、このバネの内側に収容した半割りの素子とによって構成されるクランプ部自体が光コネクタとして機能するものと言える。半割りの素子は、図10、図11に例示した光コネクタのクランプ部のように、半割りの素子の片方が2つに分割されている構成のものに限定されず、素子の片方が3部品からなる半割り構造のものであっても良い。
なお、本発明では、介挿部材21と介挿部材駆動部23とが、互いに異なる材質からなるという概念は、介挿部材21と、介挿部材駆動部23とが別体からなる場合だけでなく、介挿部材21と、介挿部材駆動部23とが一体の場合にも適用できる。
光ファイバ先端への光コネクタのコネクタ付けを簡便かつ迅速に行うこと等を目的として、各種光コネクタに適用可能である。また、装置、機器に組み込まれた既設の光コネクタ等に対しても、適用可能である。
1、1A…工具付き光コネクタ、2、2A…光コネクタ用工具、20…介挿部材付き工具、3…光コネクタ、31…フェルール、31a…先端面(接合端面)、31c,321…素子、32…クランプ部、322…バネ、38…内部光ファイバ、4…光ファイバ、5…接続点、21、21A、21B…介挿部材、21a…(介挿部材の)先端部、21b…(介挿部材の)基端部、23…介挿部材駆動部、23…介挿部材駆動部、241…介挿部材支持部、242…コネクタ受け壁、243…突壁部、249…治具係止突起、25a、25b…連結壁部、27…ヒンジ部(薄肉部)、28…介挿部材用窓(スリット)、29…治具挿通窓、50、60…保持用治具。

Claims (14)

  1. 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタ(3)用の工具であって、
    前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材(21、21A、21B)及び前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた前記介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部(23)を有する介挿部材付き工具(20)と、前記光コネクタに対して前記介挿部材付き工具を保持して前記介挿部材の先端部(21a)を前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた状態を維持するための保持用治具とを具備し、
    前記介挿部材付き工具は、前記介挿部材駆動部に設けられている介挿部材支持部(241)に突設された前記介挿部材が、前記介挿部材駆動部において介挿部材支持部に対向する位置に形成され前記光コネクタの前記クランプ部から前記介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるコネクタ受け壁(242)に開口された介挿部材挿通穴(28)を貫通して前記介挿部材駆動部から外側に突出され、前記介挿部材駆動部の周方向において前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間に位置する一対の連結壁部(25a、25b)に両側から側圧が与えられることで、前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間の距離が増大するように前記介挿部材駆動部が変形されて、前記介挿部材の前記コネクタ受け壁から外側への突出量を縮小するように構成され、
    前記保持用治具は、ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出され前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の前記連結壁部に開口された治具挿通用窓に通して前記介挿部材、前記介挿部材支持部、前記光コネクタの両側に配置される複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部に設けられている治具係止部に係合させることで、前記介挿部材付き工具の前記コネクタ受け壁を介して介挿部材支持部とは反対の方向への該保持用治具の移動を規制する工具係合爪とを具備し、前記連結用延出部を前記介挿部材付き工具の前記治具挿通用窓に通して前記ベース板部を前記介挿部材付き工具の前記介挿部材の先端部が挿入された前記光コネクタの前記介挿部材駆動部とは反対の側に配置し、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部の前記治具係止部に前記工具係合爪を係合することで前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込むように構成され、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部の前記コネクタ受け壁とは反対の側に配置した前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで四角枠状となって前記一側連結用延出部と前記他側連結用延出部との間の距離が固定され、前記開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合が解除された状態にて、前記介挿部材駆動部の前記治具係止部に対する前記工具係合爪の係脱及び前記治具挿通用窓に対する連結用延出部の挿脱が可能となることを特徴とする光コネクタ用工具。
  2. 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタ(3)用の工具であって、
    前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材(21、21A、21B)及び前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた前記介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部(23)を有する介挿部材付き工具(20)と、前記光コネクタに対して前記介挿部材付き工具を保持して前記介挿部材の先端部(21a)を前記光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に割り込ませた状態を維持するための保持用治具とを具備し、
    前記介挿部材付き工具は、前記介挿部材駆動部に設けられている介挿部材支持部(241)に突設された前記介挿部材が、前記介挿部材駆動部において介挿部材支持部に対向する位置に形成され前記光コネクタの前記クランプ部から前記介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるコネクタ受け壁(242)に開口された介挿部材挿通穴(28)を貫通して前記介挿部材駆動部から外側に突出され、前記介挿部材駆動部の周方向において前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間に位置する一対の連結壁部(25a、25b)に両側から側圧が与えられることで、前記介挿部材支持部と前記コネクタ受け壁との間の距離が増大するように前記介挿部材駆動部が変形されて、前記介挿部材の前記コネクタ受け壁から外側への突出量を縮小するように構成され、
    前記保持用治具は、ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出され前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の前記連結壁部に開口された治具挿通用窓に通して前記介挿部材、前記介挿部材支持部、前記光コネクタの両側に配置される複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部に設けられている治具係止部に係合させることで、前記介挿部材付き工具の前記コネクタ受け壁を介して介挿部材支持部とは反対の方向への該保持用治具の移動を規制する工具係合爪と、前記連結用延出部に前記工具係合爪よりも先端側にて突設され、前記光コネクタに係合されることで、前記ベース板部が前記光コネクタから離隔する方向への該保持用治具の移動を規制するコネクタ係合爪とを具備し、前記連結用延出部を前記介挿部材付き工具の前記治具挿通用窓に通して前記ベース板部を前記介挿部材駆動部の前記介挿部材支持部の前記コネクタ受け壁とは反対の側に配置し、前記介挿部材支持部の前記治具係止部に前記工具係合爪を係合し、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材の先端部が挿入された前記光コネクタに前記コネクタ係合爪を係合させることで前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込むように構成され、前記介挿部材駆動部とは反対の側に配置した前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで四角枠状となって前記一側連結用延出部と前記他側連結用延出部との間の距離が固定され、前記工具側開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合が解除された状態にて、前記光コネクタに対する前記コネクタ係合爪の係脱及び前記治具挿通用窓に対する連結用延出部の挿脱が可能となることを特徴とする光コネクタ用工具。
  3. 前記介挿部材支持部は、前記介挿部材駆動部の内側空間(S)に向けて突出された突壁部(243)を有し、前記介挿部材は前記突壁部の先端から突出されており、前記治具係止部が前記突壁の両側に突設された係止突起であることを特徴とする請求項1又は2記載の光コネクタ用工具。
  4. 前記治具挿通用窓は、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の一対の連結壁部の前記介挿部材支持部側の端部と前記コネクタ受け壁側の端部とに開口されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
  5. 前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の介挿部材支持部には、前記請求項1記載の光コネクタ用工具の保持用治具の前記開閉板部あるいは前記請求項2記載の光コネクタ用工具の保持用部材の前記ベース板部を収納するための治具板部収納用凹所が、該介挿部材支持部の前記コネクタ受け壁とは反対の側の面から窪む溝状に形成されており、前記治具板部収納用凹所は、前記介挿部材支持部の両側の前記連結壁部にそれぞれ形成されている前記治具挿通用窓と連通されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
  6. 前記介挿部材付き工具は、前記コネクタ受け壁から前記介挿部材駆動部の外側に突設された複数のコネクタ保持片(22b、22c)の間に前記光コネクタを保持するコネクタホルダ部(22)を具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
  7. 前記コネクタ受け壁は、該コネクタ受け壁にスリット状に形成された前記介挿部材挿通穴(28)を介して両側の受け板部(242a)に2分されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
  8. 前記コネクタ受け壁は、さらに、前記介挿部材駆動部の周方向において前記介挿部材挿通穴を介して両側に位置する前記受け板部を橋絡する橋絡部(242b)を具備して構成されていることを特徴とする請求項7記載の光コネクタ用工具。
  9. 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタの外側に請求項1〜8のいずれかに記載の光コネクタ用工具が取り付けられ、前記クランプ部の素子の間に、前記光コネクタ用工具の介挿部材が割り込ませてあることを特徴とする工具付き光コネクタ(1)。
  10. 前記光コネクタは、フェルールと、このフェルールに内挿固定された内部光ファイバと、前記フェルールの突き合わせ接続用の接合端面とは反対の側である後側に設けられた前記クランプ部とを具備し、前記クランプ部の前記半割りの素子間に前記内部光ファイバの前記フェルールの後端から突出された部分が挿入されており、前記クランプ部にて前記内部光ファイバと該クランプ部にその後側から挿入される光ファイバとを接続可能とされていることを特徴とする請求項9記載の工具付き光コネクタ。
  11. 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタ(3)と、この光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に介挿された介挿部材(21、21A、21B)及び前記介挿部材を前記クランプ部から抜き去るための外力が与えられる外力付与部を有する介挿部材付き工具とを有し、前記介挿部材によって素子間が押し開かれて素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態が維持された介挿部材付き光コネクタ(1)を用いて光ファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、
    ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出された複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合させることで、前記光コネクタを介して前記介挿部材付き工具の前記外力付与部とは反対の方向への前記連結用延出部の移動を規制する工具係合爪とを具備する保持用治具を用い、この保持用治具の前記ベース板部を前記光コネクタの前記介挿部材付き工具とは反対の側に配置し、前記ベース板部の両側の前記連結用延出部を前記光コネクタの両側に配置し、前記開閉板部を前記介挿部材付き工具の前記光コネクタとは反対の側に配置し、前記工具係合爪を前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合させ、前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで、前記工具係合爪が係合された前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込み前記介挿部材付き工具の前記光コネクタからの脱落を規制したものを現場に搬入し、前記光コネクタの前記クランプ部の素子間へ光ファイバを挿入するとともに、前記保持用治具の前記開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合及び前記工具係合爪の前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に対する係合を解除した後、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材を前記光コネクタの前記クランプ部から抜き去ることを特徴とする光ファイバ接続方法。
  12. 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタ(3)と、この光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に介挿された介挿部材(21、21A、21B)及び前記介挿部材を前記クランプ部から抜き去るための外力が与えられる外力付与部を有する介挿部材付き工具とを有し、前記介挿部材によって素子間が押し開かれて素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態が維持された介挿部材付き光コネクタ(1)を用いて光ファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、
    ベース板部と、このベース板部の両側に立設されて互いに並行に延出された複数の連結用延出部と、両側の前記連結用延出部の一方である一側連結用延出部の先端にヒンジ部を介して回転自在に設けられ、前記ヒンジ部とは反対の側の端部が、両側の前記連結用延出部の他方である他側連結用延出部の先端に係脱可能に係合される開閉板部と、前記連結用延出部に突設され、前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合させることで、前記光コネクタを介して前記介挿部材付き工具の前記外力付与部とは反対の方向への前記連結用延出部の移動を規制する工具係合爪と、前記連結用延出部に前記工具係合爪よりも先端側にて突設され、前記光コネクタに係合されることで、前記ベース板部が前記光コネクタから離隔する方向への前記連結用延出部の移動を規制するコネクタ係合爪とを具備する保持用治具を用い、この保持用治具の前記ベース板部を前記介挿部材付き工具の前記光コネクタとは反対の側に配置し、前記ベース板部の両側の前記連結用延出部を前記光コネクタの両側に配置して前記工具係合爪を前記介挿部材付き工具の前記外力付与部に係合するとともに前記コネクタ係合爪を前記光コネクタに係合し、前記光コネクタの前記介挿部材付き工具の外力付与部とは反対の側に配置した前記開閉板部を前記他側連結用延出部に係合することで、前記工具係合爪が係合された前記介挿部材付き工具を前記光コネクタに対して押さえ込み前記介挿部材付き工具の前記光コネクタからの脱落を規制したものを現場に搬入し、前記光コネクタの前記クランプ部の素子間へ光ファイバを挿入するとともに、前記保持用治具の前記開閉板部の前記他側連結用延出部に対する係合を解除した後、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材を前記光コネクタの前記クランプ部から抜き去ることを特徴とする光ファイバ接続方法。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載の光コネクタ用工具を用いる請求項11又は12記載の光ファイバ接続方法であって、
    前記介挿部材付き工具が前記光コネクタ用工具の介挿部材付き工具、前記介挿部材付き工具の前記外力付与部が前記光コネクタ用工具の前記介挿部材付き工具の前記介挿部材駆動部の両側の連結壁部、前記保持用治具が前記光コネクタ用工具の保持用治具であることを特徴とする光ファイバ接続方法。
  14. 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして前記光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタ(3)と、この光コネクタの前記クランプ部の前記素子間に介挿された介挿部材(21、21A、21B)及び前記介挿部材を前記クランプ部から抜き去るための外力が与えられる外力付与部を有する介挿部材付き工具とを有し、前記介挿部材によって素子間が押し開かれて素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態が維持された介挿部材付き光コネクタ(1)を用いて光ファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、
    枠状体の周方向の一部に設けられた不連続部が該不連続部を介して前記枠状体の周方向における両側に位置する端部同士の係脱によって開閉される開閉部とされた構成の保持用治具を用い、この保持用治具の前記開閉部を閉じて、保持用治具の内側に配置した前記介挿部材付き光コネクタの光コネクタに対して前記介挿部材付き工具を押さえ込んだものを現場に搬入し、前記光コネクタの前記クランプ部の素子間へ光ファイバを挿入するとともに、前記保持用治具の前記開閉部を開放した後、前記介挿部材付き工具の前記介挿部材を前記光コネクタの前記クランプ部から抜き去ることを特徴とする光ファイバ接続方法。
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