JP4361465B2 - 光コネクタ用工具、工具付き光コネクタ - Google Patents
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請求項1記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタ用の工具であって、前記クランプ部の外側から前記素子の間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材と、前記クランプ部の素子間に割り込ませた介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部と、この介挿部材駆動部の周方向の一部に形成され、前記光コネクタの前記クランプ部から介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるストッパ部とを有し、前記介挿部材は、前記介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部と連結された基端部から前記介挿部材駆動部を横切るように延在して、前記ストッパ部に形成されている介挿部材用窓に貫通され、前記ストッパ部よりも前記介挿部材駆動部の外側に突出された部分に前記素子間に挿入される先端部を有し、前記介挿部材駆動部は、介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部と前記ストッパ部との間に位置する部分に対向する両側から作用させた側圧によって、前記ストッパ部と前記可動端部との間の距離が増大するように変形されることで、前記介挿部材を前記可動端部が牽引して該介挿部材駆動部の内側に引き込む方向に移動させるようになっており、しかも、前記介挿部材駆動部は、該介挿部材駆動部の軸方向に沿って配列されてそれぞれ前記ストッパ部に連結された複数の分割駆動部に分割され、複数の分割駆動部は、前記軸方向に位置をずらして設けられ、各分割駆動部にそれぞれ設けられた前記介挿部材の前記素子間に割り込ませる位置が前記クランプ部の軸方向に異なる光コネクタ用工具を提供する。
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記複数の分割駆動部は、素子間に介挿部材を割り込ませる位置が前記クランプ部における光ファイバ同士の接続点から遠いもの程、前記クランプ部の軸方向に沿った方向の寸法が大きい光コネクタ用工具を提供する。
請求項3記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタ用の工具であって、前記クランプ部の外側から前記素子の間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材と、前記クランプ部の素子間に割り込ませた介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部と、この介挿部材駆動部の周方向の一部に設けられ、前記光コネクタの前記クランプ部から介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるストッパ部とを有し、前記介挿部材は、前記介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部と連結された基端部から前記介挿部材駆動部を横切るように延在して、前記ストッパ部に形成されている介挿部材用窓に貫通され、前記ストッパ部よりも前記介挿部材駆動部の外側に突出された部分に前記素子間に挿入される先端部を有し、前記介挿部材駆動部は、介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部と前記ストッパ部との間に位置する部分に対向する両側から作用させた側圧によって、前記ストッパ部と前記可動端部との間の距離が増大するように変形されることで、前記光コネクタの前記素子間に割り込ませる位置が前記クランプ部の軸方向に異なるようにして位置をずらして複数設けられた前記介挿部材を、前記光コネクタにおける光ファイバ同士の接続点に最も近いものから、順次、前記接続点から遠いものを対象として、前記可動端部が牽引して該介挿部材駆動部の内側に引き込む方向に移動させる時差抜去機構を構成し、前記介挿部材駆動部の前記接続点に最も近い介挿部材を移動させる部分は、他の部分に対し独立に前記変形が可能とされており、前記介挿部材駆動部に側圧を加えたときに、前記他の部分に比べて先行して側圧による変形が与えられるように構成されている光コネクタ用工具を提供する。
請求項4記載の発明は、請求項3において、前記介挿部材駆動部は、該介挿部材駆動部の軸方向に沿って配列されてそれぞれ前記ストッパ部に連結された複数の分割駆動部に分割され、各分割駆動部には前記介挿部材が設けられ、複数の分割駆動部は、素子間に介挿部材を割り込ませる位置が前記クランプ部における光ファイバ同士の接続点から遠いもの程、前記クランプ部の軸方向に沿った方向の寸法が大きい光コネクタ用工具を提供する。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記光コネクタが、フェルールと、このフェルールの突き合わせ接続用の先端面とは反対側の後端側に組み立てられた前記クランプ部とを具備し、前記クランプ部が、前記フェルールに内装固定された光ファイバと該光ファイバに対して突き合わせ接続された別の光ファイバとを半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するものである光コネクタ用工具を提供する。
請求項6記載の発明は、請求項1、2、4、5のいずれかにおいて、前記クランプ部の半割りの素子は、半割りの一方であるベース側素子と、半割りの他方を構成し前記ベース側素子との間に光ファイバを挟み込む複数の蓋側素子とで構成されており、前記クランプ部の軸方向に沿って配列された複数の蓋側素子に対応させるように、各分割駆動部の前記介挿部材の前記素子間に割り込ませる位置がずらされている光コネクタ用工具を提供する。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかにおいて、記ストッパ部には、前記光コネクタを前記ストッパ部に保持するためのリテーナを介挿部材駆動部の外側から係合させて装着するためのリテーナ係合部が設けられている光コネクタ用工具を提供する。
請求項8記載の発明は、突き合わせ接続した光ファイバの対を半割りの素子の間にバネの弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部を具備する光コネクタの外側に請求項1〜7のいずれかに記載の光コネクタ用工具が取り付けられ、前記クランプ部の素子の間に、前記光コネクタ用工具の介挿部材が割り込ませてある工具付き光コネクタを提供する。
また、本発明では、介挿部材駆動部の、可動端部とストッパ部との間に位置する部分(以下、側部。リング状の介挿部材駆動部には、可動端部とストッパ部との間に位置する側部が、一対存在する)に、対向する両側から側圧を作用させて、介挿部材駆動部を該介挿部材駆動部の両側の側部同士を接近させるように弾性変形することで、可動端部とストッパ部との間の距離が増大する。介挿部材駆動部は、介挿部材駆動部に作用する側圧を、増圧(増力)しかつ前記側圧とは直交する方向の力(つまり、介挿部材を素子間から引き抜く力)に変換するトグル機構としての機能を果たすため、直接、素子間から介挿部材を引き抜く場合に比べて、軽い力で、素子間からの介挿部材の引き抜きを楽に行える。また、介挿部材駆動部は、非常に簡単な構成であるので、光コネクタ用工具、及び、工具付き光コネクタは、小型に形成することができる。
図1は本発明の一実施形態による工具付き光コネクタ1及び光コネクタ用工具2を示す斜視図、図2は光コネクタ用工具2を示す斜視図、図3は工具付き光コネクタ1を一部断面視して示す正面図、図4は光コネクタ用工具2の2本の介挿部材21(21A、21B)と光コネクタ3(光コネクタプラグ)との位置関係を示す側断面図、図5は図1の光コネクタ用工具の構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は(a)のA−A線断面矢視図、図6は工具付き光コネクタ1にリテーナを取り付けた状態を示す正面図である。
図1〜図3に示すように、前記工具付き光コネクタ1は、光コネクタプラグである光コネクタ3の外側に光コネクタ用工具2を装着した構成のものである。図示例の光コネクタ3は、所謂SC2形光コネクタである。ここで、SC2形光コネクタとは、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector。JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ(光コネクタプラグ)など)から、該SC形光コネクタのプラグフレーム33(図9、図13参照)の外側に装着されるつまみを省略したものである。なお、光コネクタ3としては、前述のSC2形光コネクタに限定されず、単心あるいは多心の各種の光コネクタプラグを採用可能である。
図9、図10は光コネクタ3の構造を示す図であり、図9は分解斜視図、図10は断面図である。図9、図10において、この光コネクタ3は、フェルール31と、このフェルール31の接合端面(符号31a。先端面)に対向する後端側に配置されたクランプ部32と、フェルール31を収納するようにしてその外側にフェルール31の軸回りの回転を規制して装着されるスリーブ状のプラグフレーム33と、プラグフレーム33の後端(図10右側)に係合して取付けられ、前記クランプ部32を収容するストップリング34と、このストップリング34内に内装されたスプリング35とを備えている。
なお、符号34a、34bは、光コネクタ用工具2の介挿部材21(図1、図3等参照)を差し込む差込口を示す。符号36は、ストップリング34の後端に装着されるブーツを示す。但し、ブーツ36は、光コネクタ3の後端側(図10右側)からクランプ部32に光ファイバ4を挿入する際に、光ファイバ4に予め通しておき、クランプ部32への光ファイバ4の挿入完了後にストップリング34に装着される。
クランプ部付きフェルール37のクランプ部32は、スリーブ状のストップリング34の軸方向に移動自在としてストップリング34に収納されている。スプリング35は、ストップリング34の後端部に反力を取ってクランプ部32を光コネクタ3の先端側(図10左側)に押圧することで、クランプ部付きフェルール37全体を光コネクタ3先端側に付勢するものである。このスプリング35は、例えば、光コネクタ3を光コネクタアダプタ等に挿入して別の光コネクタと接続する時に、フェルール31に、接続の相手側の光コネクタとの間の突き合わせ力を与える機能を果たす。
なお、クランプ部付きフェルール37は、フェルール31のフランジ部31bが、プラグフレーム33内に突設されているストッパ部33aに当接することで、ストップリング34に対する光コネクタ3先端側へのそれ以上の移動(ストップリング34に対する相対的な移動)が規制される。
図10〜図12に示すように、クランプ部32は、フェルール31のフランジ部31bから延びる延出部31cと、この延出部31cの合わせ面324a上に配置された蓋側素子321a、321bとを、断面C形のスリーブ状のバネ322(C形バネ)の内側に収容した構造になっている。延出部31cは、クランプ部32を構成する半割りの素子の一方(以下、素子31cと称する場合もある)、二つの蓋側素子321a、321bは、クランプ部32を構成する半割りの素子の他方(素子321)を構成している。クランプ部32は、一対の半割り素子31a、321の間で、光ファイバをクランプする構造になっている。二つの蓋側素子321a、321bは、一方(素子321a)が他方(素子321b)よりもフェルール31側となるようにして、光コネクタ3の前後方向(図10左右)に配列されている。バネ322は、二つの蓋側素子321a、321bの間の境界付近でバネ322に形成されているスリット322aによって、該バネ322の弾性を、二つの蓋側素子321a、321bに別個に作用させるようになっている。然るに、一方の蓋側素子321aと延出部31cの組、他方の蓋側素子321bと延出部31cの組は、それぞれ、独立のクランプ部としても機能し得る。
なお、バネ322の形状は、断面コ字形のものなど、各種採用可能である。
図1〜図5に示すように、光コネクタ用工具2は、光コネクタ3の外側に組み付けられるコネクタホルダ部22と、このコネクタホルダ部22が周方向の一部に組み込まれたリング状の介挿部材駆動部23と、この介挿部材駆動部23において前記コネクタホルダ部22とは逆の側の端部である可動端部24から前記コネクタホルダ部に向けて突設された介挿部材21とを有している。
ここで、光コネクタ用工具2は合成樹脂製の一体成形品であるが、本発明においては、これに限定されず、複数部品によって形成されたものであっても構わない。例えば、介挿部材21が、介挿部材駆動部23とは別部材になっているものであっても良い。
つまり、本発明に係る工具付き光コネクタ1では、介挿部材駆動部23の可動端部24から延びる介挿部材21の先端部21aが、コネクタホルダ部22(後述)の底壁22eに開口された介挿部材用窓(例えば、後述のスリット28)から、収容凹所22a内に突出されている。そして、この工具付き光コネクタ1では、光コネクタ用工具2の可動端部24から突出する2本の介挿部材21(21A、21B)の先端部21a(図1、図3等参照)を、光コネクタ3の外側からストップリング34の差込口34a、34bを介して、一対の素子31c、321の間(すなわち、延出部31cの素子321に対する合わせ面と、蓋側素子321、322の素子31cに対する合わせ面との間)に割り込ませてある。このため、工具付き光コネクタ1では、一対の素子31c、321の間が、介挿部材21によって、バネ322の弾性に抗して若干押し開かれた状態になっている。また、ストップリング34の2つの差込口34a、34bは、2つの蓋側素子321に対応する2つのクランプ部に対応する位置に開口されている。光コネクタ用工具2の2本の介挿部材21(21A、21B)は、ストップリング34の2つの差込口34a、34bを介して、素子31cと素子321aとの間、素子31cと素子321bとの間に、それぞれ挿入されている。
前記底壁22eは、光コネクタ3のクランプ部32から介挿部材21を引き抜く際に前記光コネクタ3が押し当てられるストッパ壁として機能する。また、この底壁22eを具備するコネクタホルダ部22は、リング状の介挿部材駆動部23の周方向の一部に形成され、前記光コネクタ3の前記クランプ部23から介挿部材21を引き抜く際に前記光コネクタ3が押し当てられるストッパ部として機能する。底壁22eは「ストッパ部」と読み替えることができる。スリット28は「介挿部材用窓」と読み替えることができる。
本発明に係る「コネクタホルダ部」は、光コネクタのクランプ部から介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるストッパ壁を有する点で、上述のストッパ部と同様の機能を有するものである。本明細書において「ストッパ部」との語は、コネクタホルダ部も含むものとする。
なお、以下、符号23Aの分割駆動部を前側駆動部、符号23Bの分割駆動部を後側駆動部と称して説明する場合がある。
なお、図示例の光コネクタ用工具2では、コネクタホルダ部22の底壁22eも、リング状の介挿部材駆動部23の軸方向(換言すれば、延在方向。駆動用構造体の軸方向と言うこともできる)に沿った方向において、介挿部材駆動部23に形成されたスリット23aと対応する位置に形成されたスリット22fによって分断されているが、このスリット23fは省略することが可能である。
分割駆動部23A、23Bは、具体的には、前記可動端部24と、この可動端部24と前記コネクタホルダ部22との間を連結する一対の側部25a、25b(以下、連結壁部)とを有して構成されている。連結壁部25a、25bは「く」字形であり、しかも、各連結壁部25a、25bは、「く」字の屈曲部の内角側が互いに対面する向き、すなわち、コネクタホルダ部22と可動端部24との間にて、前記屈曲部が両側(介挿部材駆動部23の外側)に張り出す向きで、コネクタホルダ部22と可動端部24との間を連結している。
一対の連結壁部25a、25bは、プレート状の可動端部24の両側から延出されており、可動端部24からの延出先端に、それぞれ、コネクタホルダ部22の側壁22b、22c及び底壁22eが形成されている。可動端部24は、一対の連結壁部25a、25bによって、コネクタホルダ部22のプレート状の底壁22eとほぼ平行となるように支持されている。
ここで、分割駆動部23A、23Bは、コネクタホルダ部22から突出する概略C字形になっているが、本発明において、分割駆動部23A、23Bの形状を指す「リング状」とは、円形、楕円形、菱形、C字形等、コネクタホルダ部22から膨出した形状全般を指すものである。また、分割駆動部23A、23Bとコネクタホルダ部22(具体的には底壁22e)とによって構成される駆動用構造体としても、円形、楕円形、菱形、C字形等の「リング状」である。
また、本発明では、駆動用構造体自体も介挿部材駆動部と見なせる。この場合、ストッパ部及びコネクタホルダ部は、介挿部材駆動部の一部を構成しているとも言うことができる。
分割駆動部23A、23Bは、4つの連結プレート部26a〜26dと、可動端部24とが一列に連結された構成になっている。4つの連結プレート部26a〜26dの内、符号26a、26bの連結プレートは一方の連結壁部25aを構成しており、符号26c、26dの連結プレートは他方の連結壁部25bを構成している。一列に連結された連結プレート部26a〜26d及び可動端部24の内、両端に位置する連結プレート26a、26dは、コネクタホルダ部22(詳細には底壁22e)の対向する両側に連結されている。これにより、介挿部材駆動部23と前記コネクタホルダ部22の底壁22eとによって、スリーブ状の駆動用構造体が構成されている。
なお、光ファイバ38(フェルール側光ファイバ)としては、例えば石英系光ファイバが採用される。
また、光コネクタ3の後端側からクランプ部32の素子間に挿入する光ファイバ(別の光ファイバ)としては、光ファイバ心線に限定されず、例えば光ファイバ素線、光ファイバコード等も採用可能である。この光ファイバ(別の光ファイバ。詳細には裸光ファイバ4a)としては、例えば石英系光ファイバが採用される。
すなわち、介挿部材駆動部23は、前記可動端部24とコネクタホルダ部22との間に位置する部分に、対向する両側から押圧力(側圧)を作用させて、両側の連結壁部25a、25b間を接近させると、全体の変形によって、前記可動端部24とコネクタホルダ部22との間の距離が増大するようになっている(図3仮想線参照)。これにより、介挿部材21が可動端部24に牽引されて、底壁22eから収容凹所22a内への突出量を減少(あるいは、底壁22eからの突出を解消)する方向、つまり、介挿部材駆動部23の内側に引き込む方向に移動するため、素子間に入っている前記介挿部材21を素子間から抜き出せる。このとき、底壁22eが、光コネクタ3が介挿部材21と一緒に移動することを規制するストッパ部として機能することで、素子間からの介挿部材21の引き抜きが円滑に実現される。
なお、介挿部材駆動部23は、両側から側圧が与えられたときに、薄肉部27が変形するが、連結プレート部26a〜26d及び可動端部24は変形しない。また、コネクタホルダ部22も変形しない。
図7、図8に示すリテーナ50は、樹脂一体成形品である。このリテーナ50は、略矩形板状のリテーナ本体51と、リテーナ本体51の両側に突設された一対のアーム52とを備えている。各アーム52は、リテーナ本体51の一端部51a(図7左手前側、図8左側)の両側部から、前記一端部51aとは反対側の他端部51bの方向に向けて、リテーナ本体51の側部に沿って延在するように突出されている弾性片である。また、各アーム52の、リテーナ本体51からの突出基端部には、多数の小突起を集合形成した把持部53が設けられている。
リテーナ51の下面には、複数(図示の形態では3個)の突起54が形成されている。
光コネクタ用工具2からのリテーナ50の引き抜きは、リテーナ50を、リテーナ本体51に形成されている離脱方向表示55(矢印)が示す方向、つまり、光コネクタ用工具2に対して図7、図8中、矢印Bの方向へ相対的に移動させる。
外側延出部222は、リテーナ50を介挿部材駆動部の外側から係合させて装着するためのリテーナ係合部として機能する。
また、リテーナ50は、工具付き光コネクタ1に組み付けておくことで、工具付き光コネクタ1の搬送中での光コネクタ用工具2からの光コネクタ3の脱落防止等の機能も果たす。
リテーナ50を介挿部材駆動部の外側から係合させて装着するためのリテーナ係合部としては、コネクタホルダ部22の両側の側壁22b、22cを介挿部材駆動部の外側に延長した部分である外側延出部222に限定されず、コネクタホルダ部において、側壁22b、22cとは別に介挿部材駆動部の外側に突出状態に形成された突起等であっても良い。また、本発明の光コネクタ用工具及び工具付き光コネクタは、コネクタホルダ部を有していない構成も含むが、コネクタホルダ部を有していない場合、リテーナ係合部として、ストッパ部から介挿部材駆動部の外側に突出状態に形成された突起等を採用できる。
図示例の工具付き光コネクタ1及び光コネクタ用工具2は、図1に示したように、介挿部材駆動部23を両側から、使用者が片手の2本の指(例えば、親指と人差し指)で挟み込むようにして押圧して変形させることで、クランプ部32からの介挿部材21の引き抜きを実現できる。2本の指からの押圧力が前側駆動部23Aと後側駆動部23Bの両方に作用した場合、後側駆動部23Bよりも変形しやすい前側駆動部23Aが後側駆動部23Bに先行して変形を開始し、前側駆動部23Aに設けられている介挿部材21(区別のため、図中、符号21Aを付す)のクランプ部32からの引き抜きが後側駆動部23Bに設けられている介挿部材21(区別のため、図中、符号21Bを付す)のクランプ部32からの引き抜きに先行して実現される。これにより、クランプ部32の内、光ファイバ4、38同士の接続点5(図10参照)をクランプする素子31c、321a間が閉じた後に、素子321aよりも接続点5からの位置が遠い素子31c、321b間が閉じられる。介挿部材駆動部23及び駆動用構造体は時差抜去機構として機能する。
なお、前側駆動部23Aを変形操作して、この前側駆動部23Aの可動端部24に突設されている介挿部材21をクランプ部32から引き抜いた後に、後側駆動部23Bを変形操作して、後側駆動部23Bの可動端部24に突設されている介挿部材21のクランプ部32からの引き抜きを行うといったことも可能である。
ヒンジ部としては、前述の薄肉部27に限定されず、例えば、ピン等を利用した構成のものであっても良い。介挿部材駆動部としては、前述の実施形態に例示した工具付き光コネクタの一部としてコネクタホルダ部とともに樹脂で一体成形された構成以外、例えば、複数の板状部材と、この板状部材同士を枢着するピンとを含む複数の部材によってリング状に組み立てた構成等も採用できる。
また、前述の実施形態に例示した光コネクタ用工具では、2つの分割駆動部23A、23Bの介挿部材21A、21Bの先端位置(可動端部からの突出寸法)が同じに揃えられており、コネクタホルダ部に保持された光コネクタのクランプ部に対する挿入深さも同じになっているが、本発明ではこれに限定されず、複数の介挿部材の、可動端部からの突出寸法が異なっている構成も採用可能である。
例えば、断面C形あるいはコ字形(図示例では断面コ字形)のスリーブ状のバネの内側に収容した半割りの素子の間に、対向する両側から光ファイバ心線等である光ファイバが挿入されて素子間にて突き合わせ接続され、突き合わせ接続した光ファイバの対をバネの弾性によって素子間にクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持する構成のメカニカルスプライス等も含まれる。
例えば、リング状の介挿部材駆動部の、前記クランプ部における光ファイバ同士の接続点に最も近い部分の両側(両側から側圧が作用される部分)に突部あるいは厚肉部が設けられて、他の部分に比べて、先行して側圧による変形が与えられるようにした構成や、リング状の介挿部材駆動部の前記クランプ部における光ファイバ同士の接続点に最も近い部分を他の部分に比べて変形しやすく形成したもの(例えば、前述の実施形態に例示した合成樹脂製の介挿部材駆動部において、接続点に最も近い部分の、ヒンジ部の肉厚を薄くした構造など)等も採用できる。
Claims (8)
- 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタ(3)用の工具であって、
前記クランプ部の外側から前記素子の間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材(21、21A、21B、211、212)と、
前記クランプ部の素子間に割り込ませた介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部(23、23A、23B)と、
この介挿部材駆動部の周方向の一部に形成され、前記光コネクタの前記クランプ部から介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるストッパ部(22)とを有し、
前記介挿部材は、前記介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部(24)と連結された基端部(21b)から前記介挿部材駆動部を横切るように延在して、前記ストッパ部に形成されている介挿部材用窓(28)に貫通され、前記ストッパ部よりも前記介挿部材駆動部の外側に突出された部分に前記素子間に挿入される先端部(21a)を有し、
前記介挿部材駆動部は、介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部と前記ストッパ部との間に位置する部分に対向する両側から作用させた側圧によって、前記ストッパ部と前記可動端部との間の距離が増大するように変形されることで、前記介挿部材を前記可動端部が牽引して該介挿部材駆動部の内側に引き込む方向に移動させるようになっており、
しかも、前記介挿部材駆動部は、該介挿部材駆動部の軸方向に沿って配列されてそれぞれ前記ストッパ部に連結された複数の分割駆動部(23A、23B)に分割され、
複数の分割駆動部は、前記軸方向に位置をずらして設けられ、各分割駆動部にそれぞれ設けられた前記介挿部材の前記素子間に割り込ませる位置が前記クランプ部の軸方向に異なることを特徴とする光コネクタ用工具(2)。 - 前記複数の分割駆動部は、素子間に介挿部材を割り込ませる位置が前記クランプ部における光ファイバ同士の接続点(5)から遠いもの程、前記クランプ部の軸方向に沿った方向の寸法が大きいことを特徴とする請求項1記載の光コネクタ用工具。
- 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタ(3)用の工具であって、
前記クランプ部の外側から前記素子の間に割り込ませることによって前記素子間を押し開いた状態に保ち、素子間への前記光ファイバの挿脱が可能な状態を維持する介挿部材(21、21A、21B、211、212)と、
前記クランプ部の素子間に割り込ませた介挿部材を前記クランプ部から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部(23、23A、23B)と、
この介挿部材駆動部の周方向の一部に設けられ、前記光コネクタの前記クランプ部から介挿部材を引き抜く際に前記光コネクタが押し当てられるストッパ部(22)とを有し、
前記介挿部材は、前記介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部(24)と連結された基端部(21b)から前記介挿部材駆動部を横切るように延在して、前記ストッパ部に形成されている介挿部材用窓(28)に貫通され、前記ストッパ部よりも前記介挿部材駆動部の外側に突出された部分に前記素子間に挿入される先端部(21a)を有し、
前記介挿部材駆動部は、介挿部材駆動部において前記ストッパ部とは反対の側に位置する可動端部と前記ストッパ部との間に位置する部分に対向する両側から作用させた側圧によって、前記ストッパ部と前記可動端部との間の距離が増大するように変形されることで、前記光コネクタの前記素子間に割り込ませる位置が前記クランプ部の軸方向に異なるようにして位置をずらして複数設けられた前記介挿部材を、前記光コネクタにおける光ファイバ同士の接続点(5)に最も近いものから、順次、前記接続点から遠いものを対象として、前記可動端部が牽引して該介挿部材駆動部の内側に引き込む方向に移動させる時差抜去機構を構成し、
前記介挿部材駆動部の前記接続点に最も近い介挿部材を移動させる部分は、他の部分に対し独立に前記変形が可能とされており、前記介挿部材駆動部に側圧を加えたときに、前記他の部分に比べて先行して側圧による変形が与えられるように構成されていることを特徴とする光コネクタ用工具(2)。 - 前記介挿部材駆動部は、該介挿部材駆動部の軸方向に沿って配列されてそれぞれ前記ストッパ部に連結された複数の分割駆動部に分割され、
各分割駆動部には前記介挿部材が設けられ、複数の分割駆動部は、素子間に介挿部材を割り込ませる位置が前記クランプ部における光ファイバ同士の接続点(5)から遠いもの程、前記クランプ部の軸方向に沿った方向の寸法が大きいことを特徴とする請求項3記載の光コネクタ用工具。 - 前記光コネクタが、フェルール(31)と、このフェルールの突き合わせ接続用の先端面(31a)とは反対側の後端側に組み立てられた前記クランプ部とを具備し、前記クランプ部が、前記フェルールに内装固定された光ファイバ(38)と該光ファイバに対して突き合わせ接続された別の光ファイバ(4)とを半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
- 前記クランプ部の半割りの素子は、半割りの一方であるベース側素子(31c)と、半割りの他方を構成し前記ベース側素子との間に光ファイバを挟み込む複数の蓋側素子(321a、321b)とで構成されており、
前記クランプ部の軸方向に沿って配列された複数の蓋側素子に対応させるように、各分割駆動部の前記介挿部材の前記素子間に割り込ませる位置がずらされていることを特徴とする請求項1、2、4、5のいずれかに記載の光コネクタ用工具。 - 前記ストッパ部には、前記光コネクタを前記ストッパ部に保持するためのリテーナ(50)を介挿部材駆動部の外側から係合させて装着するためのリテーナ係合部(222)が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光コネクタ用工具。
- 突き合わせ接続した光ファイバ(4、38)の対を半割りの素子(31c、321)の間にバネ(322)の弾性によってクランプして光ファイバ同士の接続状態を維持するクランプ部(32)を具備する光コネクタの外側に請求項1〜7のいずれかに記載の光コネクタ用工具が取り付けられ、前記クランプ部の素子の間に、前記光コネクタ用工具の介挿部材が割り込ませてあることを特徴とする工具付き光コネクタ(1)。
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