JP2007146605A - 建築物の外断熱工法、断熱性セメント組成物、断熱性ポリマーセメントモルタル及び外断熱積層構造 - Google Patents

建築物の外断熱工法、断熱性セメント組成物、断熱性ポリマーセメントモルタル及び外断熱積層構造 Download PDF

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喜佳 沖野
Kazumitsu Hirabayashi
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Abstract

【課題】 作業者が作業現場においてモルタルを調製し、コテ塗り作業によって建物の外壁に直接塗り付けて断熱性被覆層を形成する工法を提供する。
【解決手段】 建築物の躯体外面に、繊維類好ましくは無機繊維類及び中空ガラスビーズ類を含有する断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを塗り、乾燥、固化させて断熱層を形成する工程、該断熱層面に、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルを用いて補強用クロス体を貼り付け、乾燥、固化させて補強層を形成する工程、を有することを特徴とする建築物の躯体外面の外断熱工法。該断熱層形成工程に先立って、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルよりなる下地調整材により下地層を形成する工程及び/又は該補強層面に前記下地調整材を薄塗りし、乾燥、固化させて仕上げ塗り層を形成する工程を有することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、現場施工により建築物の外側に断熱用積層構造を形成ための外断熱工法、該外断熱工法用のポリマーセメントモルタル、該モルタル調製用のセメント組成物及び該外断熱工法によって形成される外断熱積層構造に関する。
わが国は、北緯25度から45度の間に細長く連なる島国であるため、殆どの地域で四季があって寒暖の差が大きく、防寒、防暑に対応できる何らかの断熱対策は不可欠である。通常、住環境と外気温は建物の外壁や屋根に影響されることから、省エネ対策として外壁や屋根に遮熱、断熱などの工法が普及しつつある。
高断熱の住宅はやや施工費用が高くなるものの、内部温度差が少なくて快適であり、結露も起きにくいので、省エネ意識の高まりを背景にユーザー、住宅メーカー、工務店、建築士の間では、高断熱住宅に対する関心が高まってきている。
たとえば、コンクリート建築物の場合、コンクリート躯体の外側を断熱材で覆う場合を「外断熱」、内側を断熱材で覆う場合を「内断熱」と称しており、外断熱の場合は、熱を貯めやすいコンクリート壁の劣化を防ぐことができるという利点もある。
一方、木造建築物では、柱や壁の外側を断熱材で覆うことがあり、この工法は「外張り断熱工法」と呼ばれており、柱などの部材の間にグラスウールのような断熱材を詰める工法は「充填断熱」と称されている。
本発明は、上記のような各種の断熱工法のうち、特にコンクリート建築物のような躯体の外側を断熱材で覆うタイプの外断熱工法に属する工法に関するものであり、従来に例を見ないタイプの外断熱工法とそれによって形成される外断熱積層構造と、該外断熱積層構造を形成するために使用される断熱性ポリマーセメントモルタル、及び該断熱性ポリマーセメントモルタル調製用の断熱性セメント組成物に関するものである。
外断熱工法としては、断熱性の構造体、たとえば、断熱性素材によって製造されている板状体を、コンクリート面、コンクリートボード面、窯業系サイディングボード面などの躯体外面に張り付け固定する工法や、躯体外面から離間して遮蔽体を固定配置し、躯体外面と遮蔽体の間に断熱材を充填する工法、躯体外面と遮蔽体の間に空気流の通路を形成する工法等がある(非特許文献1)。しかし、いずれも外壁部分を複雑な2重構造とするものであるために施工や保守管理に多大のコストがかかるものであるし、地震等による躯体のひずみや外気温による断熱性素材からなる板状体や遮蔽板の膨張、収縮によって外壁との間の固定手段にかかる応力変化に対応できる特性を備えた固定手段を必要とすることなどから、コスト高となるという問題がある。
野池 政宏著[じっくり派]のための「家づくり講座1 断熱・省エネ編」株式会社 エクスナレッジ発行、82頁〜108頁(II 断熱)の項等
本発明は、従来の断熱板や遮蔽板のような、予め工場生産されている構造体を躯体外面に固定配置する工法とは異なる工法であり、作業者が作業現場においてセメントモルタルを調製し、コテ塗り作業によって建物の外壁に直接塗り付けて断熱性被覆層を形成する工法と該工法を可能とする断熱性のポリマーセメントモルタル及び該モルタルの調製に使用されるセメント組成物を提供することを目的とした発明である。
また、本発明は、形成される断熱層の層厚が小さいにも拘わらず断熱性能が高く、かつ躯体外面との密着性にも優れていることから外気温の変化による膨張、収縮によっても躯体から剥離することがない、上記外断熱工法によって形成される断熱性被覆層を有する外断熱積層構造を提供することを目的とするものである。このような課題を解決することができる本発明は以下の各発明を包含する。
(1)建築物の躯体外面に、繊維類及び中空ガラスビーズ類を含有する断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを塗り、乾燥、固化させて断熱層を形成する工程、
該断熱層面に、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルを用いて補強用クロス体を貼り付け、乾燥、固化させて補強層を形成する工程、を有することを特徴とする建築物の躯体外面の外断熱工法。
(2)前記断熱層を形成する工程は、前記断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを2度に分けてコテ塗りする工程であることを特徴とする(1)項記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
(3)前記補強層を形成する工程は、前記断熱層面に繊維を含有するポリマーセメントモルタルを薄塗りし、直ちに補強用クロス体をコテにより押し付けて貼り付け、乾燥固化させる工程であることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
(4)前記補強用クロス体は、無機繊維類及び有機繊維類から選ばれる少なくとも1種によって形成されている二軸又は三軸タイプのメッシュ体であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
(5)前記断熱層を形成する工程に先立って、建築物の躯体外面に、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルよりなる下地調整材を塗り、乾燥、固化させて下地層を形成する工程を有することを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
(6)前記下地層を形成する工程は、躯体外面のV目地部・突合せ目地部に前記下地調整材を塗り込み、さらに不陸・段差部を該下地調整材により修正した後、全面に前記下地調整材をコテ塗りし、乾燥、固化させる工程である(5)項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
(7)前記補強層面に、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルを薄塗りし、乾燥、固化させて仕上げ塗り層を形成する工程、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
(8)前記各工程で使用されるポリマーセメントモルタルに使用されている繊維類は、ガラス繊維類及び炭素繊維類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
(9)前記(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の外断熱工法によって、建築物の躯体外面に、繊維類及び中空ガラスビーズ類を含有する断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを塗り、乾燥、固化させることによって形成されている断熱層を有する、建築物の外断熱用積層構造。
(10)セメント組成物中に無機繊維成分0.05〜1.5質量%、中空ガラスビーズ成分2.0〜15.0質量%及び珪砂成分30〜70質量%を含有することを特徴とする断熱性ポリマーセメントモルタル用の断熱性セメント組成物。
(11)前記(10)項に記載の断熱性セメント組成物に合成樹脂分散液を混合してなる断熱性ポリマーセメントモルタル。
本発明によれば、作業者が作業現場においてセメント組成物と合成樹脂分散液からなるポリマー混和液とを混合してモルタルを調製し、コテ塗り作業によって建物の外壁に直接塗り付けて断熱性被覆層を形成する安価な外断熱工法が提供される。
また、本発明によれば、形成される断熱層の層厚が薄いにも拘わらず断熱性能が高く、微弾性で、かつ躯体外面との密着性にも優れていることから、外気温の変化による膨張、収縮によっても躯体面から剥離することがない断熱性被覆層からなる建築物の外断熱用積層構造体が提供される。
本発明の外断熱工法は、基本的には、躯体外面に断熱層を形成する工程、及び該断熱層面に補強用クロス体を含有する補強層を形成する工程から構成されている。
また、本発明の外断熱工法は、前記断熱層を形成するに先立って、前記躯体外面を下地処理して下地層を形成する工程を有することが好ましい。
また、前記補強用メッシュ体を含有する補強層上に、さらに仕上げ処理を施す工程を有していることが好ましい。
本発明の外断熱工法における下地層を形成する工程は、繊維含有セメント組成物に合成樹脂分散液を混合して調製した繊維含有ポリマーセメントモルタルよりなる下地調整材を躯体面にコテ塗りし、乾燥、固化させる工程である。また、該下地層を形成する工程で使用される下地調整材は、繊維類、好ましくは無機繊維類を含有するセメント組成物とポリマーセメントモルタル形成用の合成樹脂分散液(以下、「ポリマー混和液」という)とを、必要によりさらに水を添加し、混和して調製されている繊維含有ポリマーセメントモルタルよりなるものである。
下地層を形成する工程は、断熱処理対象躯体がコンクリートボードやデラクリートセメントボードである場合は、V目地・突合せ目地部に繊維含有ポリマーセメントモルタルよりなる下地調整材を塗り込み、不陸・段差を該モルタルで修正し、出隅、入り隅部を調整した後、全面に該モルタルをコテ塗りすることによって行うことが好ましい。
また、対象躯体が鉄骨造り外壁である場合は、全面に前記下地調整材を塗り付けた後、ガラスクロスをコテで押さえ付けて該下地調整材塗布面に貼り付け、乾燥、固化させて下地層とすることが好ましい。
下地層の厚さは任意に決定できるが、一般的には3mm程度の厚さを目安として設定される。下地層の乾燥固化には十分な時間をとることが重要であり、通常、コテ塗り後10時間以上、好ましくは15時間以上の乾燥固化時間が採用される。
本発明の前記断熱層を形成する工程は、前記下地層面に断熱層形成用ポリマーセメントモルタルをコテ塗りし、乾燥固化させる工程である。この断熱層の形成は、上記ポリマーセメント系モルタルをコテ塗りにより2度塗りして形成されることが好ましい。
断熱層の形成には、下地調整材に使用されるものと同じ種類のセメントに炭素繊維やガラス繊維のような無機繊維と中空ガラスビーズとを含有せしめたセメント組成物に、前記ポリマー混和液及び必要により水を加え、混和して調製されている断熱層用ポリマーセメントモルタルが使用される。
断熱層の厚さは、任意に決定し得るが、一般的には5mm程度の厚さを目安として設定される。この断熱層の乾燥固化にも十分な時間をとることが重要であり、通常、コテ塗り後10時間以上、好ましくは15時間以上の乾燥固化時間が採用される。
断熱層用ポリマーセメントモルタルをコテ塗りして乾燥固化させた層は、繊維類、特に無機繊維類を含有することから強度が高く、中空ガラスビーズを含有することによって付与される優れた断熱性と、ポリマーセメントモルタル層に特有の微弾性を備え、また、前記下地層への密着性も良好で、外気温度の変化による層の膨張、収縮応力を吸収し、剥離することがない断熱層である。
本発明の外断熱工法において、上記断熱層面に補強層を形成する工程は、乾燥固化された断熱層面に前記下地調整材と同じ繊維含有ポリマーセメントモルタルを吹き付け塗り、又はコテ塗りした後、モルタルが乾燥固化する前にクロス体をコテで押し付けて貼り付け、乾燥、固化させる工程である。この工程で形成される補強層を有することによって、本発明の断熱工法で形成される積層構造の強度は飛躍的に向上する。
補強層に使用されるクロス体としては、材質はビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の有機系繊維類及び炭素繊維やガラス繊維のような無機系繊維類のいずれの材質のものであってもよく、それらを単独又は混合して形成され、市販されているものを任意に選択し、使用することができるが、耐久性及び耐熱性の点から、無機系繊維が好ましい。クロス体はメッシュ状のものが好ましく、二軸タイプ及び三軸タイプのメッシュ体のいずれであってもよい。クロス体は、強度及び作業性から密度が40〜220g/mのものが選択される。
補強層の厚さは、任意に決定し得るが、一般的には2mm程度の厚さを目安として選択される。この補強層の乾燥固化にも十分な時間をとることが重要であり、通常、クロス体をコテで貼り付けた後10時間以上、好ましくは15時間以上の乾燥固化時間が採用される。
本発明の外断熱工法は、前記補強層面にさらに仕上げ塗り層を形成する工程を有することが好ましい。仕上げ塗り工程としては、上記のようにクロス体等を貼り付けて形成された補強層面に前記下地調整材と同様のポリマーセメントモルタルを薄くコテ塗り、又は吹き付けによって塗り付け、乾燥固化させる工程が採用される。
仕上げ塗り層の厚さは、任意に決定し得るが、一般的には1mm程度の厚さを目安として設定される。この補強層の乾燥固化にも十分な時間をとることが重要であり、通常、コテ塗り後10時間以上、好ましくは15時間以上の乾燥固化時間が採用される。
さらに、仕上げ処理面には、高耐候性の水系アクリルシリコン樹脂、フッソ樹脂等と顔料分6%程度まで含有するクリヤー又はカラークリヤー材等を塗布することによって艶出しをしたり、耐久性をより向上させることができる。
本発明の外断熱工法で使用する前記下地調整材や断熱層形成用ポリマーセメントモルタルに使用されるセメント組成物に混合される繊維としては、無機系及び有機系のいずれの繊維も使用可能である。
無機系繊維としては、炭素繊維やガラス繊維が使用でき、その繊維長が3.0±0.5mmのものがポリマーセメント系樹脂への分散性が良好であることから好ましい。無機系繊維の例としては、たとえば、日東紡マテリアル株式会社製の商品名「チョップストランドCS3E−227」や、呉羽化学工業株式会社製の商品名「クレカチョップPUC−103FF−E1」等が挙げられる。
これらの無機系繊維は、下地調整材及び断熱層形成用モルタル、補強層用のポリマーセメントモルタルのいずれにおいても、ポリマーセメントモルタルにおける全固形分中、0.05〜1質量%の配合割合で使用される。この範囲を超えて配合量が多くなっても、少なくなっても断熱層の強度が不十分となるおそれがある。
また、断熱層形成用ポリマーセメントモルタルに使用される中空ガラスビーズとしては、断熱効果が十分に達成されるものである限り、特に制限はなく、市販品を任意に採用することができる。好ましい中空ガラスビーズとしては、住友スリーエム株式会社製の商品名「グラスバブルズ」(ソーダ石灰ホウケイ酸ガラス系、真密度:0.10〜0.60g/cm)などが挙げられる。この中空ガラスビーズはポリマーセメントモルタルにおける全固形分中、2〜15質量%の配合割合で使用される。この範囲を超えて配合量が多くなると形成される断熱層の強度が不十分となるし、少なくなると断熱効果が不十分となる。
本発明の外断熱工法で使用する前記下地調整材や断熱層形成用ポリマーセメントモルタルに使用されるポリマー混和剤としては、一般に市販されているポリマーセメントモルタル用のポリマー混和剤を使用することができる。ポリマー混和剤は、ポリマーセメント用の合成樹脂に水、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を加えて調製されている混和液である。混和液に使用される合成樹脂としては、ポリマーディスパージョンタイプ、再乳化型粉末樹脂タイプのもの等があり、本発明において使用されるものとして特に制限されるものではない。たとえば、ポリマーディスパージョンタイプのものとしては、ゴムラテックス、樹脂エマルション等が挙げられ、再乳化形粉末樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、スチレンアクリル酸エステル(SAE)、ポリアクリル酸エステル(PAE)等が挙げられる。
以下、実施例により本発明の外断熱工法を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断らない限り質量基準である。
実施例1
建築物の躯体に使用される、MRCデラクリート(株)社製のデラクリートセメントボード(厚さ12.5mm、幅910mm×1820mm、不燃材料)を用いた。
白色セメント(太平洋マテリアル株式会社製)30.0部に、炭素繊維(呉羽化学工業株式会社製の商品名「クレカチョップPUC−103FF−E1」)0.5部、セルロース系増粘剤(信越化学株式会社製の商品名「Hiメトローズ90SH4000」)0.2部、珪砂(瑞浪シリカ協同組合製、7号珪砂)50.0部及び珪砂(瑞浪シリカ協同組合製、8号珪砂)19.3部の割合で混合調製した下地調整材用セメント組成物18kgに、エチレン−酢ビエマルジョン(電気化学工業株式会社製、商品名「エバテック100」)85.0部、セルロース系増粘剤(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「HECダイセルSP−800」)0.3部、消泡剤(旭電化工業株式会社製、商品名「アデカネートB−943」)0.2部及び水14.5部の割合で混合調製したポリマー混和液2kgを加えて混合してポリマーセメントモルタルを調製し、下地調整材とした。
この下地調整材を3mmの厚さ(4.0kg/m)で前記デラクリートセメントボード面にコテ塗りし、16時間乾燥固化させて下地層を形成した。
白色セメント(太平洋マテリアル株式会社製)61.0部に、炭素繊維(呉羽化学工業株式会社製の商品名「クレカチョップPUC−103FF−E1」)0.5部、セルロース系増粘剤(信越化学株式会社製の商品名「Hiメトローズ90SH4000」)0.2部、珪砂(瑞浪シリカ協同組合製、7号珪砂)15.0部と珪砂(瑞浪シリカ協同組合製、8号珪砂)18.3部、及び中空ガラスビーズ(住友スリーエム株式会社製、商品名「グラスバブルズ K−1」)5.0部の割合で混合調製したセメント組成物15kgに、エチレン−酢ビエマルジョン(電気化学工業株式会社製、商品名「エバテック100」)85部、セルロース系増粘剤(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「HECダイセルSP−800」)0.3部、消泡剤(旭電化工業株式会社製、商品名「アデカネートB−943」)0.2部及び水14.5部の割合で混合調製したポリマー混和液2kg及び水5リッターを加えて混合して断熱層用ポリマーセメントモルタルを調製した。
この断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを前記下地層面に2回に分けて5mmの厚さ(6.0kg/m)にコテ塗りし、16時間乾燥固化させて断熱層を形成した。
次に、上記断熱層面に、前記下地層の形成に用いたものと同様のポリマーセメントモルタルを2.0kg/mの量でコテ塗りし、直ちに該コテ塗り面にガラスクロス(商品名、「ネットTD5×5」、密度150g/cm、日本電気硝子株式会社製)をコテで押し付けてしっかりと貼り付け、16時間乾燥後、固化させて補強層を形成した。
次に、前記補強層面に、前記下地層の形成に使用したと同様の組成を有するポリマーセメントモルタルを厚さ1mm(1.7kg/m)の層を形成するようにコテ塗りし、16時間以上乾燥固化させて仕上げ塗り層を形成した。
上記のように形成した断熱性積層構造を有するデラクリートセメントボード(断熱5mm)の仕上げ塗り層表面とボード裏面に温度センサーを配置し、周囲の温度を一定に保持し、仕上げ塗り層表面から20cmの高さに設置した熱源によって断熱性積層構造表面とボード裏面における温度差の経時変化をグラフに記録した。比較のために、ボードそのまま(無処理)の状態におけるボードの表裏面の経時における温度差の変化と、前記実施例における5mmの断熱層の代わりに、前記下地調整材を5mmの厚さで設けたボード(5mm)の表裏面の温度差経時変化をグラフに記録した。
図1から明らかなように、本発明の断熱層を形成したボードは、室温が23℃においても、5℃においても、表裏面の温度差が比較例の「無処理」及び「5mm」に比べて大きく、断熱効果に優れていた。
また、実施例で製造した断熱層を有するボードについて、JIS A69091995 6.9による乾燥後のひび割れ試験結果は「異常なし」の評価であり、JIS A69091995 6.19による付着強さ試験結果は、「標準状態」で1.4N/mm(14.3kg/cm)、浸水後で1.8N/mm(18.2kg/cm)であり、いずれもJISの規格を満たすものであり、JIS A69091995 6.11による温冷くり返し作用に対する抵抗性試験結果は「異常なし」の評価であり、JIS A69091995 6.15による耐衝撃性試験結果は「異常なし」の評価であった。
なお、実施例で調製した炭素繊維と中空ガラスビーズとを含有する断熱層用ポリマーセメントモルタルによって厚さ3mmの板状体を形成し、23℃、50%RHで7日間養生したものを試験体「断熱板」とし、前記下地調整材により同様の厚さの板状体とした「下地板」や、石膏から形成した「せっこうボード」、通常の白色セメントモルタルから形成した「セメント板」及び白色セメントに粗骨材を加えたモルタルから形成した「コンクリート板」の各板状体について、ANTER社製、「UNITHERM2022」(定常法円盤熱流計方式の熱伝導率測定装置)を用いて熱伝導率を測定すると、以下の表1に示されるようになり、本発明の断熱層用ポリマーセメントモルタルから形成されているボードの熱伝導度はきわめて低く、断熱性に優れていることが確認された。
Figure 2007146605
以上に述べたように、本発明の外断熱工法によって形成される積層断熱構造は、断熱性に優れるのみならず、十分な強度を備えており、かつ、作業現場において作業手順にしたがって簡単に調製できるモルタルを使用して左官作業によって建築物の外面に形成できるものであり、木造建築物、鉄骨建築物、コンクリート建築物及びその他の幅広い躯体に対する断熱工法として適用可能である。
本発明の断熱層を有するボードと断熱層と有していないボードの断熱性の比較結果を示すグラフ。

Claims (11)

  1. 建築物の躯体外面に、繊維類及び中空ガラスビーズ類を含有する断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを塗り、乾燥、固化させて断熱層を形成する工程、
    該断熱層面に、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルを用いて補強用クロス体を貼り付け、乾燥、固化させて補強層を形成する工程、を有することを特徴とする建築物の躯体外面の外断熱工法。
  2. 前記断熱層を形成する工程は、前記断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを2度に分けてコテ塗りする工程であることを特徴とする請求項1記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
  3. 前記補強層を形成する工程は、前記断熱層面に繊維を含有するポリマーセメントモルタルを薄塗りし、直ちに補強用クロス体をコテにより押し付けて貼り付け、乾燥固化させる工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
  4. 前記補強用クロス体は、無機繊維類及び有機繊維類から選ばれる少なくとも1種によって形成されている二軸又は三軸タイプのメッシュ体であることを特徴とする請求項1〜3項のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
  5. 前記断熱層を形成する工程に先立って、建築物の躯体外面に、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルよりなる下地調整材を塗り、乾燥、固化させて下地層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
  6. 前記下地層を形成する工程は、躯体外面のV目地部・突合せ目地部に前記下地調整材を塗り込み、さらに不陸・段差部を該下地調整材により修正した後、全面に前記下地調整材をコテ塗りし、乾燥、固化させる工程である請求項3〜5のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
  7. 前記補強層面に、繊維類を含有するポリマーセメントモルタルを薄塗りし、乾燥、固化させて仕上げ塗り層を形成する工程、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
  8. 前記各工程で使用されるポリマーセメントモルタルに使用されている繊維類は、ガラス繊維類及び炭素繊維類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の建築物の躯体外面の外断熱工法。
  9. 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の外断熱工法によって、建築物の躯体外面に、繊維類及び中空ガラスビーズ類を含有する断熱層形成用ポリマーセメントモルタルを塗り、乾燥、固化させることによって形成されている断熱層を有する、建築物の外断熱用積層構造。
  10. セメント組成物中に無機繊維成分0.05〜1.5質量%、中空ガラスビーズ成分2.0〜15.0質量%及び珪砂成分30〜70質量%を含有することを特徴とする断熱性ポリマーセメントモルタル用の断熱性セメント組成物。
  11. 請求項10に記載の断熱性セメント組成物に合成樹脂分散液を混合してなる断熱性ポリマーセメントモルタル。
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