JP5302822B2 - 壁体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、両面繊維ネット張りセメントボードを用いた壁体、及びその製造方法に関する。
内壁や外壁等の壁体には、セメントボードが広く使用されている。セメントボードとしては、1980年代初めに世界最大の石膏ボードメーカーであるUSG社(米国)により開発された、無機軽量骨材入りポルトランドセメントモルタルを芯材とし、その両面にガラス繊維ネットを取り付けて補強した両面ガラス繊維ネット張りセメントボード(以下、「繊維補強セメントボード」という。)が知られている。
繊維補強セメントボードは、1990年に国土交通省(旧建設省)が新素材、新材料の研究を推進するために設置した「総合技術開発プロジェクト」にて詳細に調べられ、物性、防火性、耐水性、耐久性、施工性が優れていることが判明した。そして、日本の気候風土や住環境に適した新材料であると結論付けられている。
繊維補強セメントボードを用いた壁体は、木製躯体又は鉄骨等の不燃躯体に複数枚の繊維補強セメントボードをビス等で張り付け、それら繊維補強セメントボード間の目地をセメントモルタル及び繊維メッシュテープで処理し、さらにその全面にセメントモルタルを塗り付けて下地調整することにより作製される。このように作製された壁体は、塗り物、タイル、擬石等の貼り物といった各種仕上げ材と組み合わせることができ、また目地の少ない大壁とすることができる利点を有する。更に、曲面加工や通気構法に対応できる点でも有利である。
なお、目地処理はセメントモルタルのみで行うと目地部分でクラック(ひび割れ)が生じやすくなる。そのため、前記方法では目地部分でのクラックを防ぐ目的で繊維メッシュテープを用いている。
このような繊維メッシュテープを用いた目地処理の具体例としては、例えば、セメントモルタルと水を混練して得られたセメントモルタルスラリーを、繊維補強セメントボード等のサイディング材の目地に、繊維メッシュテープを伏せ込むように塗布して目地処理を行う方法が示されている(特許文献1)。また、該方法では、繊維メッシュテープとして耐アルカリガラス繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維等を使用できることが示されている。
また、目地処理を迅速かつ確実に行う方法として、目地部分に山部を形成するようにセメントモルタルスラリーを塗布した後、該山部上にセメントモルタルスラリーでガラス繊維メッシュテープを伏せ込む方法が示されている(特許文献2)。該方法では、ガラス繊維メッシュテープにより目地部が引張り力に対して補強され、ジョイント部に沿ってセメントモルタル層にクラックが発生することが抑制される。
さらに、繊維補強セメントボードを用いた壁体では、そのボード内に予めマイクロクラックを発生させておくことにより、ボード内部にて外部応力を分散・吸収させ、目地及びセメントモルタル面への応力の集中・伝達を少なくしてクラックの発生を抑制することが行われている。
特開2000−290055号公報 特開2002−161623号公報
しかし、壁体の建築現場においては、特許文献1及び2のような方法やマイクロクラックを形成する方法を用いても、躯体のひずみ等によりクラックが発生する場合がある。そのため、より一層の耐クラック性の向上が求められている。また、繊維メッシュテープを多重に伏せ込むことにより、耐クラック性を向上させることも考えられるが、該方法は施工性に劣る。
本発明は、繊維補強セメントボードを用いた、施工性に優れ、かつ、より耐クラック性に優れた壁体、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]躯体と、該躯体に張り付けられた、両面に繊維ネットが取り付けられた複数枚の両面繊維ネット張りセメントボードと、前記両面繊維ネット張りセメントボード間の目地を塞ぐように1重に留め付けられた繊維メッシュテープと、を有する壁体であって、前記繊維メッシュテープの前記目地に直行する方向の引っ張り強度が、前記両面繊維ネット張りセメントボードに取り付けられた繊維ネットの引っ張り強度の1.5倍以上である壁体。
[2]前記繊維メッシュテープの繊維がガラス繊維である前記[1]に記載の壁体。
[3]前記繊維メッシュテープの幅が200mm以下である前記[1]又は[2]に記載の壁体。
[4]前記両面繊維ネット張りセメントボードに取り付けられた繊維ネットがガラス繊維ネットである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の壁体。
[5]下記の工程を含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の壁体の製造方法。
(1)躯体にセメントボード張り付ける工程、
(2)前記躯体に張り付けたセメントボード間の目地に、セメントモルタルを充填する工程、
(3)前記セメントモルタルを充填した目地を塞ぐように、セメントボードに繊維メッシュテープを留め付ける工程、
(4)セメントボードの表面及び繊維メッシュテープの表面を覆うように、更にセメントモルタルを塗り付けて下地を調整する工程。
本発明の壁体は、繊維補強セメントボードを用いた壁体であって、施工性に優れ、また耐クラック性に特に優れている。
また、本発明の製造方法によれば、施工性に優れ、かつ、より耐クラック性に優れた壁体が得られる。
本発明の壁体の実施形態の一例を示した正面図(A)、及び(A)の直線I−I’で切断した断面図(B)である。 図1の壁体の製造工程を示した工程図である。 実施例2〜5及び比較例2〜4の試験体の製造工程を示した工程図である。
以下、本発明の壁体の実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態の壁体1は、図1(A)及び(B)に示すように、躯体11と、躯体11に張り付けられた、両面に繊維ネットが取り付けられた2枚の両面繊維ネット張りセメントボード12(以下、「セメントボード12」という。)と、セメントボード12間の目地21を塞ぐように留め付けられた繊維メッシュテープ13とを有する。
また、壁体1は、目地21にセメントモルタルが充填された目地充填部14が形成されている。また、セメントモルタルにより、セメントボード12及び繊維メッシュテープ13の全体を覆う下地調整層15が形成されている。
躯体11としては、壁体の躯体として通常用いられるものが使用でき、木材を使用して作製された木製躯体(例えば、軸組み工法、枠組み工法等により作製された外壁用躯体。)、鉄骨を使用して作製された不燃躯体が挙げられる。躯体11の形状及び厚みは、用途に応じて適宜選定すればよい。この例では、躯体11は合板である。
躯体11にセメントボード12を張り付ける際は、建物の耐久性の点から、木製躯体、不燃躯体のいずれについても通気胴縁を使用することが好ましい。
セメントボード12は、壁体の下地に用いられる通常の繊維補強セメントボード(両面繊維ネット張りセメントボード)が使用できる。例えば、水硬性を有するセメントに骨材及び必要に応じて各種添加材を添加したものを水と混練し、硬化して板状に成形する際に表裏の両面に繊維ネットを埋め込むことにより取り付け、補強したものが挙げられる。なかでも、無機軽量骨材入りポルトランドセメントモルタルを芯材にして、両面にガラス繊維ネットを埋め込んで取り付け、補強したものが好ましい。
セメントボードの製品例としては、例えば、商品名「デラクリート セメントボード」(MRCデラクリート(株)製)が挙げられる。
セメントボード12に取り付ける繊維ネットの引っ張り強度(TS)は、0.3〜2kN/25mmが好ましい。壁体の耐クラック性が向上するという観点から0.3kN/25mm以上が好ましく、セメントボード12に取り付ける繊維ネットの取り扱い性が向上し、セメントボード12の製造が容易になるという観点から2kN/25mm以下が好ましい。
引っ張り強度は、JIS R−3420に準拠した方法により、引っ張り速度200mm/分で測定できる(以下、同じ。)。なお、当該引っ張り強度(TS)は、セメントボード12に取り付ける前の測定値である。
セメントボード12には、セメントボード12内部で外部応力をある程度分散・吸収させ、目地充填部14及び下地調整層15への応力の集中・伝達を低減することでクラックの発生を抑制する目的で、予めマイクロクラックを形成しておいてもよい。
セメントボード12にマイクロクラックを形成する方法は、従来公知の方法を用いることができる。
本実施形態の壁体1では、躯体11に、スクリュー16により2枚のセメントボード12が並べて張り付けられている。そしてこの2枚のセメントボード12の間に目地21が形成されている。ここで、目地とは、2枚以上のセメントボードを躯体に張り付けた際に生じる継ぎ目部分の隙き間のことである。
目地21の間隔は、セメントモルタルを充填しやすい点から、2〜3mmが好ましい。
目地21には、セメントモルタルが充填されることで目地充填部14が形成されている。
セメントモルタルとは、骨材とセメントと水とを適当な割合で練り混ぜたものである(第二版 建築用語辞典 編集委員会編、2版1刷、1995年4月10日)。
骨材としては、例えば、珪砂、山砂、川砂、海砂、パーライト等の軽量骨材が挙げられる。
セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、ジェットセメント等の各種セメントが挙げられる。
また、セメントモルタルは、さらに他成分を混合したものであってもよい。
他成分としては、例えば、シリカフューム、高炉スラグ、フライアッシュ等の混和材が挙げられる。また、分散剤、流動化剤、減水剤、高性能減水剤、AE剤、高性能AE減水剤、再乳化型粉末樹脂(例えば、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂等。)、樹脂エマルション(例えば、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂等。)、短繊維(例えば、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維等。)、硬化促進剤(例えば、蟻酸ソーダ等。)、増粘剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等。)、凝結調整剤、収縮低減剤、膨張剤、消泡剤、防凍剤、耐久性向上剤等の混和剤を混合してもよい。
セメントモルタルの具体例としては、例えば、特開2000−290055号公報、特開2001−39755号公報に記載のセメントモルタルが挙げられる。
セメントモルタルは、付着性向上の点から、再乳化型粉末樹脂、樹脂エマルションを含んでいることが好ましい。
繊維メッシュテープ13は、繊維をメッシュ状に固定したテープである。例えば、複数本の繊維を縦方向と横方向の2方向にそれぞれ平行に配置してメッシュ状としたテープが挙げられる。繊維メッシュテープ13は、繊維を接着剤で貼り付けて固定したものであってもよく、織物であってもよい。
繊維としては、例えば、耐アルカリガラス繊維、炭素繊維、ビニロン繊維、オレフィン繊維(例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等。)が挙げられる。なかでも、伸び、強度の点から、耐アルカリガラス繊維が好ましい。
耐アルカリガラス繊維としては、ガラス自体が耐アルカリ性を有する配合材料であるもの、及びガラス繊維表面をコーティングすることで耐アルカリ性を付与したものが挙げられる。ガラス繊維表面をコーティングする場合、施工性向上の点から、柔らかいコーティング剤をコーティングした柔軟性に優れた繊維とすることが好ましい。
繊維メッシュテープ13の目開きは、1〜10mmが好ましく、2〜5mmがより好ましい。目開きが1mm以上であれば、繊維メッシュテープ13の目開き部分にセメントモルタルスラリーが侵入しやすく、施工における繊維メッシュテープ13の伏せ込み不足を防止しやすい。また、目開きが10mm以下であれば、繊維メッシュテープ13を構成する繊維の数が増えるため強度を上げやすい。
繊維メッシュテープ13の幅の下限値は、50mm以上が好ましく、100mm以上がより好ましい。幅が50mm以上であれば、施工の際に目地21部分を塞ぎやすく、また繊維メッシュテープ13をセメントボード12に固定するのに充分な固定強度を得やすい。
また、繊維メッシュテープ13の幅の上限値は、250mm以下が好ましく、200mm以下がより好ましい。幅が250mm以下であれば、施工性が良好になり施工時間をより短くすることができ、目地21部分に留め付けた繊維メッシュテープ13によれ等の不具合が生じることを抑制しやすい。
また、本発明では、目地部補強方法の改良により、セメントボードに伏せ込まれた繊維ネットを有効に活用できる。これにより、耐クラック性を向上させるとともに、使用する繊維メッシュテープ量を減らし、施工性を大幅に改善できるという観点から、繊維メッシュテープ13の幅は200mm以下が更に好ましい。例えば、メッシュテープ幅を広げることで壁全体を繊維メッシュで覆うことも可能であるが、これにより材料が増えるとともに、施工性が大幅に低下することとなる。
目地21を塞ぐように留め付けられた繊維メッシュテープ13の目地21に直行する方向(図1(A)の方向X)の引っ張り強度(TS)は、セメントボード12に取り付けられた繊維ネットの引っ張り強度(TS)に対して、下限値は1.5倍以上が好ましく、1.7倍以上がより好ましく、1.8倍以上が更に好ましい。上限値は、5倍以下が好ましく、3場合以下がより好ましい。なお、ここでの引っ張り強度(TS及びTS)も、セメントボード12に取り付ける前の測定値である。
引っ張り強度(TS)が引っ張り強度(TS)の1.5倍以上であれば、繊維メッシュテープ13による応力の分散能力が充分に大きくなり、壁体1にクラックが発生することを抑制できる。また、引っ張り強度(TS)が引っ張り強度(TS)の5倍を超えても繊維メッシュテープ13による応力の分散能力は大きく変化しない。そのため、引っ張り強度(TS)を引っ張り強度(TS)の5倍以下とすれば、繊維メッシュテープ13を構成する繊維が太くなりすぎたり、繊維の本数が多くなりすぎたりすることを抑制できるため、施工性が向上する。より好ましくは、3倍以下である。
繊維メッシュテープ13の目地21に直行する方向Xの引っ張り強度(TS)は、セメントボード12に取り付けられた繊維ネットの引っ張り強度(TS)に応じて前記条件を満たすように選定すればよい。引っ張り強度(TS)は、0.45〜4kN/25mmが好ましく、0.8〜4kN/25mmがより好ましく、0.8〜1.2kN/25mmがさらに好ましい。
繊維メッシュテープ13の引っ張り強度(TS)が0.45kN/25mm以上であれば、繊維メッシュテープ13による応力の分散能力が充分に大きくなり、壁体1にクラックが発生することを抑制しやすいという観点から好ましい。また、繊維メッシュテープ13の引っ張り強度(TS)が4kN/25mm以下であれば、繊維メッシュテープ13を構成する繊維が太くなりすぎたり、繊維の本数が多くなりすぎたりすることを抑制できるため、施工性が向上するという観点から好ましい。
繊維メッシュテープの繊維太さは、施工性、モルタルとの一体化という観点から幅1mm以下が好ましい。
繊維メッシュテープ13は、セメントモルタル、糊等を接着成分として使用してセメントボード12に接着固定することができる。繊維メッシュテープ13は、表面に予め糊等の接着成分が塗布されていないものであってもよく、該接着成分が予め塗布されたものであってもよい。
なお、繊維メッシュテープ13は、1枚での使用で1重に留め付ける。2枚以上のテープを使用することは、施工に手間がかかることとなる。
壁体1の躯体11上には、セメントモルタルにより、セメントボード12及び繊維メッシュテープ13全体を覆う下地調整層15が形成されている。
下地調整層15を形成するセメントモルタルは、目地充填部14を形成するセメントモルタルと同じものが使用でき、好ましい態様も同じである。目地充填部14に用いるセメントモルタルと下地調整層15に用いるセメントモルタルは同じであることが好ましい。
下地調整層15の厚みは、0.5〜6mmが好ましい。下地調整層15の厚みが0.5mm以上であれば、セメントボード12と繊維メッシュテープ13との段差を容易になくすことができる。また、下地調整層15の厚みが6mm以下であれば、セメントモルタルの塗り付けが容易になり施工性が向上する。
従来の壁体では、繊維補強セメントボードに予めマイクロクラックを形成したり、繊維メッシュテープを用いて目地処理を行ったりしても、得られる壁体にクラックが発生することがあった。
これに対し、本発明者が耐クラック性を向上させるために様々な検討を行った結果、前述のように、セメントボード12に留め付ける繊維メッシュテープ13の目地21に直行する方向Xの引っ張り強度TSを、セメントボード12に取り付けられたガラス繊維ネットの引っ張り強度TSの1.5倍以上とすることにより、耐クラック性が著しく向上することを見い出した。
以上のように、本実施形態の壁体1では、特定の条件を満たす繊維メッシュテープによる目地処理によって、セメントボード間での応力伝達能力が大きく向上する。これにより、セメントボードに取り付けられた繊維メッシュの能力を有効に活用し、目地へ集中し易い応力をセメントボード全体、壁全体へ分散させることで、下地調整層の目地に対応する部分の耐クラック性が飛躍的に向上する。また、これにより、壁体全体の耐クラック性が向上することとなる。このように、本発明の壁体は耐久性に優れているため、様々な建物の壁体として好適に使用できる。
以下、本発明の壁体の製造方法の一例として、前述の壁体1の製造方法について説明する。
本実施形態の壁体1の製造方法は、躯体11にセメントボード12を張り付ける張り付け工程と、躯体11に張り付けたセメントボード12間の目地21にセメントモルタルを充填する充填工程と、セメントモルタルを充填した目地21を塞ぐようにセメントボード12に繊維メッシュテープ13を留め付ける留め付け工程と、セメントボード12表面及び繊維メッシュテープ13表面を覆うように、更にセメントモルタルを塗り付けて下地調整する下地調整工程とを有する。
まず、張り付け工程において、躯体11に、スクリュー16を用いて2枚のセメントボード12を張り付ける(図2(A))。
次に、充填工程において、目地21にセメントモルタルを充填して目地充填部14を形成する。セメントモルタルの充填は、セメントモルタルを水と混練することにより得られるセメントモルタルスラリーを用いて行う。
セメントモルタルと水の混練方法としては、例えば、ハンドミキサー、タライミキサー等のミキサー類を用いる混練方法、煉瓦コテ、練りスコ等を用いたいわゆる手練りによる混練方法が挙げられる。
セメントモルタルスラリーを目地21に充填する方法としては、例えば、コテ、ヘラを用いる方法、シーリング・コーキング用のガンを使用する方法、ケーキの生クリーム絞りのように、先端に穴を開けたビニール袋からスラリーを押し出して詰める方法が挙げられる。
セメントモルタルスラリーは、目地21に対応する下地調整層15に圧縮力が加わった場合に、その圧縮力を隣接するセメントボード12に効率的に伝達できるようにして壁体1の耐クラック性をより向上させる点から、目地21に隙間なく充填することが好ましい。
次に、留め付け工程において、目地21を塞ぐようにしてセメントボード12に繊維メッシュテープ13を留め付ける(図2(B))。
繊維メッシュテープ13の留め付けは、接着成分としてセメントモルタルを使用してもよく、繊維メッシュテープ13に糊を塗布して行ってもよい。また、予め糊付きの繊維メッシュテープ13を用いて行ってもよい。
次に、下地調整工程において、セメントボード12表面及び繊維メッシュテープ13表面を覆うようにセメントモルタルを塗り付けて下地調整を行う。下地調整とは、平坦化する処理、吸水性を均一化する処理のことである。下地調整は、充填工程と同様にセメントモルタルスラリーを用いて行う。
下地調整工程では、まず繊維メッシュテープ13上にセメントモルタルスラリーを塗り付けて繊維メッシュテープ13を留め付けた状態で伏せ込んだ後に、さらにセメントボード12を覆うようにセメントモルタルスラリーを塗り付けて下地調整を行うことが好ましい。
セメントボード12及び繊維メッシュテープ13上にセメントモルタルスラリーを塗り付ける方法としては、例えば、コテ、ヘラ等を用いる方法、吹き付け機等により吹き付ける方法が挙げられる。なかでも、セメントボード12と繊維メッシュテープ13との段差を容易になくすことができる点から、コテを用いる方法が好ましい。
下地調整工程の後は、外観や耐久性をより向上させる点から、塗料の塗布、タイルの張り付け等の仕上げ処理を行うことが好ましい。塗料を塗布する場合は、耐クラック性の点から、樹脂の弾性が高い塗料を用いることが好ましく、塗膜を厚くすることが好ましい。また、タイルの張り付けに際しては、弾性が高い有機接着剤を使用することが好ましい。
尚、本発明の壁体は、前述の条件を満たすように目地処理が行われているものであれば前述の壁体1には限定されない。例えば、壁体に張り付ける繊維補強セメントボードは2枚には限定されず、3枚以上であってもよい。
また、セメントボード12の張り付けは、セメントボード12をしっかりと躯体11に張り付けることができる方法であれば、スクリュー16を用いる方法には限定されない。
また、外観や耐久性をより向上させるため、下地調整層上に塗料を塗布したり、タイルを張り付けたりする等の仕上げ処理が行われた壁体であってもよい。この場合、耐クラック性の点から、塗料は樹脂の弾性が高いものが好ましく、塗膜はできるだけ厚いことが好ましい。また、タイルは、弾性が高い有機接着剤により張り付けられていることが好ましい。
また、繊維補強セメントボード間の目地の間隔が、該目地にセメントモルタルを充填しなくても充分な耐クラック性が得られる程度に狭い場合には、目地にセメントモルタルが充填されていない壁体であってもよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。ただし、本実施例における「部」は「質量部」を意味する。
[引っ張り強度の測定]
本実施例における引っ張り強度は、JIS R−3420に準拠した方法により、TYPE3の試験体を用い、引っ張り速度200mm/分で測定した。
[実施例1]
商品名「デラクリートファイバーベースコート」(MRCデラクリート(株)製)を用い、JIS R 5201の11.2(フロー値の測り方)に規定されるフロー値が160〜170になる量の水を加え、JIS R 5201に規定されるモルタルミキサーを用いて3分30秒間混練してセメントモルタルスラリーを得た。
(張り付け工程、充填工程)
次いで、躯体11である合板(縦(D):300mm、横(D):455mm、商品名「デラクリート セメントボード」、MRCデラクリート(株)製)に、セメントボード12として2枚の「デラクリート セメントボード」(商品名、MRCデラクリート(株)製)を、目地21の間隔dが2mmとなるようにスクリュー16により張り付け(図2(A))、目地21に前記セメントモルタルスラリーを充填して目地充填部14を形成した。
(留め付け工程)
次いで、繊維メッシュテープ13を留め付ける幅にセメントモルタルスラリーを薄く塗りつけ、図2(B)に示すように、繊維メッシュテープ13として横幅dが100mmのガラス繊維メッシュテープ(目開き4mm、サンゴバン(株)製をカットして作成)を、該繊維メッシュテープ13の幅方向の中心が目地21の幅方向の中心と一致するように貼着して留め付け、セメントモルタルスラリーを充填した目地21を塞いだ。留め付けた繊維メッシュテープ13の目地21と直行する方向Xの引っ張り強度(TS)は1.1kN/25mmであり、セメントボード12のガラス繊維ネットの引っ張り強度(TS)は0.55kN/25mmであり、それらの比(TS/TS)は2.0であった。
(下地調整工程)
次いで、セメントボード12、12の表面及び繊維メッシュテープ13の表面に、3mmの塗布厚になるように、前記セメントモルタルスラリーをコテで塗り付けて下地調整を行い、下地調整層15を形成した。
以上の工程により得られた試験体(壁体1)を、温度20℃、相対湿度60%で1日間養生した後、屋外に1ヵ月間暴露した。その後、クラックの発生状況を調べた。
[比較例1]
比(TS/TS)が1.0となるガラス繊維メッシュテープ(目開き2mm、サンゴバン(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、クラックの発生状況を調べた。
実施例1及び比較例1におけるクラック発生状況の結果を表1に示す。
Figure 0005302822
表1に示すように、引っ張り強度(TS)と引っ張り強度(TS)の比(TS/TS)が2.0の繊維メッシュテープにより目地処理した実施例1の試験体は、クラックが発生しておらず、優れた耐クラック性を有していた。
一方、比(TS/TS)が1.0の繊維メッシュテープにより目地処理した比較例1の試験体は、下地調整層15における目地21に相当する部分にクラックが発生しており、実施例1に比べて耐クラック性が劣っていた。
[実施例2〜5]
縦(D)260mm、横(D)60mm×の「デラクリート セメントボード」(商品名、MRCデラクリート(株)製、セメントボード32)を作製した(図3(A))。そして、目地部分のモデルとして、該セメントボード32の長手方向の中心(長手方向の端からの距離dが130mm。)に、ボード内に埋め込まれたガラス繊維ネットが切断されるように切込み41を入れた。
次いで、横幅dにセメントモルタルスラリーを薄く塗りつけた後、横幅dが140mmのガラス繊維メッシュテープ(目開き4mm、サンゴバン(株)製をカットして作成、繊維メッシュテープ33)を、繊維メッシュテープ33の幅方向の中心が切込み41に沿うように(セメントボード32の長手方向の端から繊維メッシュテープ33の幅方向の端までの距離d、dはそれぞれ60mm。)セメントボード32に貼着して留め付け、切込み41を塞いだ(図3(B))。留め付けた繊維メッシュテープ33の切込み41(目地モデル)に直行する方向Xの引っ張り強度(TS)、セメントボード32に取り付けられたガラス繊維ネットの引っ張り強度(TS)、及びそれらの比(TS/TS)は、表2に示す通りである。なお、留め付けた繊維メッシュテープ33の切込み41(目地モデル)に直行する方向Xの引っ張り強度(TS)は、直行する方向Xの繊維をカットすることにより調節した。
次いで、繊維メッシュテープ33の表面のみに、3mmの塗布厚になるように、実施例1に記載の前記セメントモルタルスラリーをコテで塗り付けて下地調整を行い、試験体を得た。
得られた試験体を、温度20℃、相対湿度60%で7日間養生した。その後、セメントモルタルスラリーを塗布していない部分32a、32a(セメントボード32のみの部分、縦60mm×横60mm)を、縦60mm×横60mmの平行締付型ジョウで挟み、テンシロン万能試験機RTC−1250A((株)エーアンド・デイ製)を用い、セメントボード32の縦方向に1mm/分の速度で破壊するまで引っ張り、その際の下地調整部分へのクラックの発生状況(発生の有無、クラックの全長)を調べた。
[比較例2〜4]
表2に示す比(TS/TS)を満たす繊維メッシュテープ33に変更した以外は、実施例2〜5と同様にして試験体を作製し、下地調整部分へのクラックの発生状況(発生の有無、クラックの全長)を調べた。
実施例2〜5及び比較例2〜4におけるクラックの発生状況の結果を表2に示す。
Figure 0005302822
表2に示すように、比(TS/TS)が1.5以上の実施例2〜5の試験体では、下地調整部分にクラックが発生しておらず、優れた耐クラック性が得られた。
一方、比(TS/TS)が1.5未満の比較例2〜4の試験体では、下地調整部分に全長60mm以上のクラックが形成されており、実施例2〜5に比べて耐クラック性が劣っていた。
1 壁体 11 躯体 12 両面繊維ネット張りセメントボード 13 繊維メッシュテープ 14 目地充填部 15 下地調整層 21 目地

Claims (5)

  1. 躯体と、該躯体に張り付けられた、両面に繊維ネットが取り付けられた複数枚の両面繊維ネット張りセメントボードと、前記両面繊維ネット張りセメントボード間の目地を塞ぐように1重に留め付けられた繊維メッシュテープと、を有する壁体であって、
    前記繊維メッシュテープの前記目地に直行する方向の引っ張り強度が、前記両面繊維ネット張りセメントボードに取り付けられた繊維ネットの引っ張り強度の1.5倍以上である壁体。
  2. 前記繊維メッシュテープの繊維がガラス繊維である請求項1に記載の壁体。
  3. 前記繊維メッシュテープの幅が200mm以下である請求項1又は2に記載の壁体。
  4. 前記両面繊維ネット張りセメントボードに取り付けられた繊維ネットがガラス繊維ネットである請求項1〜3のいずれかに記載の壁体。
  5. 下記の工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の壁体の製造方法。
    (1)躯体にセメントボード張り付ける工程、
    (2)前記躯体に張り付けたセメントボード間の目地に、セメントモルタルを充填する工程、
    (3)前記セメントモルタルを充填した目地を塞ぐように、セメントボードに繊維メッシュテープを留め付ける工程、
    (4)セメントボードの表面及び繊維メッシュテープの表面を覆うように、更にセメントモルタルを塗り付けて下地を調整する工程。
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