JP3461774B2 - 結露防止機能を有する耐火被覆構造及び耐火被覆工法 - Google Patents

結露防止機能を有する耐火被覆構造及び耐火被覆工法

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JP3461774B2
JP3461774B2 JP2000012807A JP2000012807A JP3461774B2 JP 3461774 B2 JP3461774 B2 JP 3461774B2 JP 2000012807 A JP2000012807 A JP 2000012807A JP 2000012807 A JP2000012807 A JP 2000012807A JP 3461774 B2 JP3461774 B2 JP 3461774B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築物などの構
造物に適用される耐火被覆構造に係るものであり、詳し
くは構造物に発泡耐火塗料を塗布し、発泡耐火塗料層を
形成した後、結露防止を目的とした塗料を塗布し、結露
防止塗料層を形成する結露防止機能を有する耐火被覆構
造及び耐火被覆工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、火災等により建築物などの構造物
を構成する鉄骨等の部材が高温にさらされて強度が著し
く低下する。このため鉄骨等の部材には、被覆材を被覆
し、鉄骨等の部材の急激な温度上昇を被覆材の断熱効果
により抑制している。このような被覆材は、セメント等
の無機質結合材にロックウール、アスベスト、ガラス繊
維等を水と混合させたものがよく使用され、建設現場等
で直接構造物に被覆されている。
【0003】しかし、この被覆材が耐火機能を発揮する
ためにはある程度の被覆厚が必要である。要求される耐
火性能により異なるが、例えば、耐火性能を1時間耐火
とした場合には、この被覆材の被覆厚は20〜40mm
程度となり、また、この被覆材には、化粧仕上げをする
ことができない。そのため、建設現場等での施工性、コ
スト、美観上などの点で問題があり、また、被覆厚が大
きくなることにより、建築物などの構造物の外見上の圧
迫感が生じたり、室内容積が減るために居住空間の減少
にもなる。
【0004】また、この被覆材には、アスベストが含有
されているために人体に与える影響など環境に対する問
題がある。そこで、より薄い耐火被覆材として発泡耐火
塗料が提案されている。この発泡耐火塗料は、構造物の
鉄骨等の部材に塗布され、火災等の温度上昇により塗布
された塗膜が発泡することで、断熱層を形成し、その断
熱層の断熱効果と発泡耐火塗料が発泡する際の吸熱反応
によって耐火性能を得るものである。発泡耐火塗料の塗
布厚は8mm程度以下であり、その塗膜表面には塗料な
どにより化粧仕上げすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この発泡耐
火塗料は、水溶性である発泡剤や炭化剤を含有するもの
であることにより、結露水となる水蒸気を吸湿し、膜厚
が薄いために塗膜が含水状態になったとき、発泡剤又は
炭化剤成分が溶出又は偏析してしまい、耐火性能が低下
してしまうことがある。その発泡剤や炭化剤は、溶解し
た後同一場所に再凝固できないことが、その原因として
考えられる。つまり、結露水等の水の影響により、発泡
耐火塗料の耐火性能が低下するという問題があった。
【0006】この発明は、上記のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、構造物の鉄骨等の部材表面に結露の発生
を防止し、耐火性能を維持し、化粧仕上げすることが可
能な結露防止機能を有する耐火被覆構造及び耐火被覆工
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の結露防止機能を有する耐
火被覆構造は、構造物の鉄部表面に構造物側から発泡耐
火塗料より形成される発泡耐火塗料層と、結露防止塗料
より形成される厚さ0.5〜5.0mmの結露防止塗料
層とが積層され、前記結露防止塗料は、合成樹脂エマル
ションと粒径0.5〜50.0μmの無機多孔質充填材
を含有し、前記結露防止塗料の顔料体積濃度は、55〜
75%であるものである。
【0008】請求項2に記載の発明の結露防止機能を有
する耐火被覆構造は、請求項1に記載の発明において、
前記結露防止塗料がさらに吸水性ポリマーを含有する
のである。
【0009】請求項3に記載の発明の結露防止機能を有
する耐火被覆構造は、請求項1又は請求項2に記載の発
明において、前記吸水性ポリマーイソブチレン−マレ
イン酸系ポリマーであるものである。
【0010】請求項4に記載の発明の結露防止機能を有
する耐火被覆工法は、構造物の表面に発泡耐火塗料を塗
布して硬化されることにより発泡耐火塗料層を形成した
後、その表面に合成樹脂エマルションと粒径0.5〜5
0.0μmの無機多孔質充填材からなり、顔料体積濃度
が55〜75%である結露防止塗料層を厚さ0.5〜
5.0mmとなるよう形成することである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。結露防止機能を有する耐火被覆構造
は、構造物の表面に構造物側から発泡耐火塗料より形成
される発泡耐火塗料層と、結露防止塗料より形成される
結露防止塗料層とが積層されているものである。
【0012】発泡耐火塗料より形成される発泡耐火塗料
層は、構造物の鉄骨等の部材に発泡耐火塗料を塗布し、
乾燥硬化された塗膜である。発泡耐火塗料層は火災等の
温度上昇により発泡することで断熱層を形成し、その断
熱層により断熱効果を発現することにより発泡耐火塗料
層が形成された部材等の温度上昇を抑制し、かつ、吸熱
反応により発泡耐火塗料層が形成された部材温度を下げ
ることによって耐火性能を得るものである。この発泡耐
火塗料は、主に温度上昇により不燃性ガスを発生する発
泡剤と、炭化して多孔質の炭化層を形成する炭化剤と、
これらを結合する結合材とにより構成される。
【0013】まず、発泡剤としては、ポリリン酸アンモ
ニウム、リン酸アンモニウムなどのリン酸塩、リン、そ
の他のリン化合物、アミド、メラミン、尿素などが使用
される。これらは、加熱することによって、不燃性ガス
を発生して発泡し、断熱層を形成する。同時に発泡の際
の吸熱反応によって鉄骨などの部材の温度を引き下げ
る。しかし、この発泡剤は水溶性のため、発泡耐火塗料
層において、浸水後の耐火性能を低下させるものであ
る。
【0014】炭化層を形成する炭化剤としては、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタ
エリスリトール、ポリペンタエリスリトール、メラミン
などが使用される。これらは、加熱することによって、
リン酸塩系の発泡剤と脱水、縮合反応を起こし発泡剤は
分解ガスにより発泡耐火塗料層に炭化層を形成するもの
であり、その炭化層によって、さらに断熱効果を得るも
のである。
【0015】リン酸塩は、炭化剤であるペンタエリスリ
トール等との脱水、縮合反応を250〜300℃で生じ
る。メラミンは350〜400℃の間で分解する。いず
れも、水溶性である。
【0016】結合材としては、アクリル樹脂、ウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、
塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂などの樹脂を単独又は共重合したもの、
これら樹脂を有機溶媒に溶解させたものあるいはエマル
ションとして水に分散させたものが使用される。発泡耐
火塗料の使いやすさ、製造の容易さ、入手の容易さより
合成樹脂エマルションが好ましく用いられる。
【0017】発泡耐火塗料のその他の成分としては、炭
酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、シリ
カ、無機繊維、ロックウールなどの充填材、ハロゲン
系、リン系、三酸化アンチモン系化合物などの難燃剤、
消泡剤、分散剤、湿潤剤などとして用いられる界面活性
剤、造膜助剤、防凍剤などとして用いられる高沸点溶
剤、粘度、粘性調整のための増粘剤、着色顔料、酸化チ
タンなどの白色顔料、防腐剤、防藻剤、防黴剤等のよう
に一般に塗料に配合されている成分が用いらる。これら
の成分は、発泡耐火塗料の性能を損なわない範囲で含有
することができる。
【0018】発泡耐火塗料の耐火性能を次のように測定
する。すなわち、JIS−G3466に規定する長さ1
mのSTKR400正方形一般構造用角形鋼管(一辺が
300mmで部材厚みが9mm)に発泡耐火塗料を2m
m厚で塗布し、硬化乾燥させ発泡耐火塗料層を形成し、
試験体を作成する。その試験体をJIS−A1304の
標準曲線にしたがって加熱試験を行い、試験体の裏面温
度が500℃に達した時間を測定する。
【0019】発泡耐火塗料層の厚みが2mmの試験体の
裏面温度が500℃に達した時間が45分以上のものが
好ましい耐火性能である。45分より短い場合は、発泡
耐火塗料としての耐火性能がやや劣ることになる。
【0020】次に、結露防止塗料より形成される結露防
止塗料層とは、前記発泡耐火塗料層の表面に結露防止塗
料を塗布し、硬化乾燥後に得られる塗膜である。その結
露防止塗料層は、その近傍の大気中の結露水となる水蒸
気を吸湿し、さらに吸湿されたものを放湿する調湿性の
あるものである。この結露防止塗料は、結露の防止機
能、塗膜の耐水性、入手の容易さより合成樹脂エマルシ
ョンと無機多孔質充填材からなるものが好ましく用いら
れる。また、より一層の結露の防止機能、結露防止塗料
層の耐水性を向上させるため吸水性ポリマーと併用する
ことが望ましい。
【0021】結露防止塗料に使われる合成樹脂エマルシ
ョンは、乳化重合のような通常の重合技術で製造できる
一般的なものであり、例えば、アクリル樹脂、スチレン
樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エ
ポキシ樹脂などの樹脂より製造された合成樹脂エマルシ
ョンなどが使用される。
【0022】無機多孔質充填材や吸水性ポリマーは、大
気中の結露水となる水蒸気を吸湿するためのものであ
り、結露防止塗料の重要な成分である。これらの粒径
は、0.5〜50.0μmが好ましい範囲である。0.
5μmより小さいものでは、結露防止塗料の製造が困難
になり、50.0μmより大きいものは、表面積が少な
くなるため、結露の防止機能の効率が悪くなり、また、
結露防止塗料層表面に粒子が露出するため好ましくな
い。
【0023】無機多孔質充填材としては、珪藻土、ゼオ
ライト、シリカゲル、アルミナ、石灰、アロフェン、カ
オリン、ハロイサイト、軽石、白土、シラス、セライ
ト、タルク、石膏、バーミキュライト、ベントナイト、
アスベスト、ポゾラン、セメント、セピオライト、アル
ミナシリケート、シリカアルミネート、カルシウムシリ
ケート、マグネシアシリケート、シリカマグネシアネー
トや活性炭などがある。
【0024】これらは、多孔質であるために、結露水と
なる水蒸気の吸湿を行うことができる。結露の防止機
能、塗料適性、塗膜の耐水性、入手の容易さなどより珪
藻土が好ましく用いられる。
【0025】珪藻土は、珪藻と呼ばれる単細胞藻類の化
石から構成されているものであり、主成分は二酸化珪素
である。その粒径は、数μmと小さいものであり、0.
5〜10.0μmの範囲が好ましい。0.5μmより小
さい場合には、結露防止塗料の製造が困難になり、10
μmより大きい場合には、表面積が少なくなるため、結
露の防止の効率が悪くなる。
【0026】珪藻土の含有量は、合成樹脂エマルション
の固形分の重量に対して、2〜6倍量が好ましい範囲で
あり、3〜5倍量がさらに好ましい範囲である。2倍量
より少ない場合には、結露の発生を十分に防止すること
ができない。また、6倍量より多い場合には、結露水と
なる水蒸気の吸湿量が多すぎて、結露防止塗料層の割れ
が発生したり、吸湿時の結露防止塗料層に負荷がかかる
ことになる。
【0027】さらに、吸水性ポリマーは、短時間に吸水
する性質のポリマーであり、多孔質化したもの、親水性
ポリマーをグラフト重合あるいは混合されたものがあ
る。具体的には、イソブチレン−マレイン酸系ポリマ
ー、変性デンプン、セルロース、アクリロニトリルグラ
フト化デンプン加水分解物、ポリアクリロニトリル誘導
体などがある。吸水性ポリマーは、吸水性能、結露の防
止機能、塗料適性、塗膜の耐水性により適宜選択される
ものであり、特にその種類を限定するものではない。
【0028】吸水性ポリマーの含有量は、結露防止塗料
の固形分に対して0.1〜10.0重量%が好ましい範
囲であり、0.1〜5.0重量%がより好ましい範囲で
ある。0.1重量%より少ない場合には、結露の発生を
十分に防止することができない。また、10.0重量%
より多い場合には、結露水となる水蒸気の吸湿量が多す
ぎて、結露防止塗料層の割れが発生したり、吸湿時の結
露防止塗料層に負荷がかかることになる。
【0029】この結露防止塗料には、着色顔料、酸化チ
タンなどの白色顔料を含有することが可能であるため
に、任意の色調に着色ができる。そのために、発泡耐火
塗料層の仕上げにおいて、任意の色調で化粧仕上げする
ことができる。
【0030】結露防止塗料に用いられるその他の成分と
しては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリ
カ、無機繊維、ロックウールなどの充填材、消泡剤、分
散剤、湿潤剤などとして用いられる界面活性剤、造膜助
剤、防凍剤などとして用いられる高沸点溶剤、粘度、粘
性調整のための増粘剤、防腐剤、防藻剤、防黴剤等のよ
うに一般に塗料に配合されている成分が用いられ、結露
防止塗料の性能を損なわない範囲で含有される。
【0031】また、結露防止塗料は、塗料の顔料体積濃
度が、55〜75%の範囲が好ましい。55%より少な
い場合には、塗料中の合成樹脂エマルションなどの結合
材が多くなり、その結合材により結露の防止効果を低減
してしまうことがある。75%より多い場合には、結露
防止塗料層の耐水性、耐候性などの物性が低下してしま
う。
【0032】結露防止機能については、JIS−A69
09に規定されている防露性試験に準じて測定する。試
験方法は、規定されている箱状の防露試験装置に、水を
半分ぐらい入れ、50℃に調整する。そして、試験装置
の内部上面に試験体の結露防止塗料の結露防止塗料層面
を下にして、水蒸気を吸湿するように試験装置に静置す
る。そのままの装置温度を50℃に保って6時間経過さ
せる。
【0033】試験前の試験体の重量と試験後の試験体の
重量との差により、1cm3当たりの水蒸気の吸湿量を
求めることができる。防露性試験を行う際に、比較する
塗料の種類によって適性の塗膜の厚みで試験体を作成す
る。そのために、塗料層の厚みにより吸湿条件が異なる
ため求められた吸湿量を単位面積当たりに換算して評価
を行う。これにより、吸湿量が多いものほど結露防止機
能があることがわかる。この発明では、結露防止塗料層
の厚みを1mmとしたときのm2当たりの換算数値によ
り比較を行った。
【0034】吸湿量としては、250g/m2以上であ
ればよいが、好ましい範囲としては、300〜1200
g/m2である。250g/m2より少ない場合は、結露
の防止の効果が期待できない。また、1200g/m2
より大きい場合は、吸放湿のバランスを崩すものとなっ
て良くなく、吸湿時に結露防止塗料層全体が重くなり、
塗料層の密着力維持に負担が生じる。
【0035】発泡耐火塗料、結露防止塗料は、刷毛、ロ
ーラー、スプレー、鏝、へらなどの通常の塗布方法によ
り塗布することにより発泡耐火塗料層及び結露防止塗料
層を形成することができ、その塗布方法は、必要に応じ
て適宜選択し、特に限定されるものではない。
【0036】次に、前記のように構成された結露防止機
能を有する耐火被覆構造を得るための耐火被覆工法につ
いて説明する。発泡耐火塗料を塗布する前に、建築物な
ど構造物等の部材にプライマー処理を行う場合がある。
これは、部材と発泡耐火塗料との接着性を向上させるた
めである。また、鉄骨などの鉄部では、鉄部の錆の発生
を抑制するために防錆塗料を塗布する場合もある。防錆
塗料の塗布方法は、刷毛、ローラー、スプレー等により
行われる。
【0037】その後、発泡耐火塗料を構造物等の部材に
塗布し、発泡耐火塗料層を形成する。その厚みは、必要
とされる耐火性能に応じて選択されるが、0.5〜8.
0mmが好ましい範囲であり、0.5〜5.0mmがよ
り好ましい範囲である。0.5mmより薄い場合には、
耐火性能が劣ることがあり、8.0mmより厚い場合に
は、塗料の乾燥に時間がかかるなど生産性が低下し、ま
た、建築物などの構造物の室内容積が減る。発泡耐火塗
料は、前記塗布方法のいずれかの方法により塗布され、
常温下での自然乾燥により硬化乾燥し、発泡耐火塗料層
を形成する。
【0038】発泡耐火塗料が硬化乾燥後に、その上に結
露防止塗料を塗布し、結露防止塗料層を形成する。その
厚みは、必要とされる結露防止性能に応じて選択される
が、0.5〜5.0mmの範囲が好ましく、0.5〜
3.0mmの範囲がより好ましい。0.5mmより薄い
場合には、結露防止効果が少なく、5.0mmより厚い
場合には、吸湿量が多くなり結露防止塗料層に負荷がか
かることになる。また、発泡耐火塗料層の上に0.5〜
5.0mmの範囲の結露防止塗料層があることにより、
発泡耐火塗料層を外部からの衝撃から保護することがで
きる。結露防止塗料は、前記塗布方法のいずれかの方法
により塗布され、常温下での自然乾燥により硬化乾燥
し、結露防止塗料層を形成する。
【0039】このようにして結露防止機能を有する耐火
被覆構造は形成され、前記防露試験後において、耐火性
能を維持することができる。また、発泡耐火塗料より形
成される厚みが0.5〜8.0mmの発泡耐火塗料層
と、結露防止塗料より形成される厚みが0.5〜5.0
mmの結露防止塗料層とにより積層されている構造物
は、耐火性能と結露防止性能が向上するとともに、積層
されることにより常温での断熱性が向上する。
【0040】以上のように、この実施形態によれば次の
ような効果が発揮される。 ・ 構造物の表面に構造物側から発泡耐火塗料より形成
される発泡耐火塗料層と、結露防止塗料より形成される
結露防止塗料層とが積層されていることにより、結露の
防止を行うとともに、耐火性能を維持することができ
る。
【0041】・ 前記結露防止塗料が合成樹脂エマルシ
ョンと無機多孔質充填材からなることにより、容易に結
露の防止機能が得られ、耐火性能を維持することができ
る。 ・ 前記結露防止塗料がさらに吸水性ポリマーを含有す
ることにより、より一層の結露の防止機能があり、耐火
性能を維持することができる。
【0042】・ 発泡耐火塗料が合成樹脂エマルション
からなることにより、発泡耐火塗料が使いやすく、製造
が容易なものとすることができる。 ・ 前記無機多孔質充填材が珪藻土であることにより、
塗料適性、塗膜の耐水性のよい塗料が容易に得られ、結
露の防止ができることにより、耐火性能を維持すること
ができる。
【0043】・ 吸水性ポリマーの含有量が結露防止塗
料の固形分に対し0.1〜10.0重量%であることに
より、十分な結露の防止機能があり、吸湿時に結露防止
塗料層の割れが発生することなく、結露防止塗料層に負
荷がかからず、耐火性能を維持することができる。
【0044】・ 結露防止塗料を任意の色調で着色する
ことにより、発泡耐火塗料層を容易に化粧仕上げするこ
とができる。 ・ 発泡耐火塗料層の厚みが、0.5〜8.0mmであ
ることにより、耐火性能が劣ることがなく、構造物の内
容積の減少量が少なくすることができる。
【0045】・ 結露防止塗料層の厚みが、0.5〜
5.0mmであることにより、結露防止効果が十分あ
り、吸水時に結露防止塗料層に負荷がかかることが少な
いものとなる。
【0046】
【実施例】以下、前記実施形態を実施例に基づいて、さ
らに詳細に説明する。JIS−G3131に規定するS
PHC鋼材で一辺が300mm、厚みが3.2mmの基
材に発泡耐火塗料を2mm厚で塗布し、硬化乾燥させ発
泡耐火塗料を形成させた後、実施例1及び2、比較例1
及び2の塗料を塗布し、硬化乾燥させ塗料層を形成さ
せ、試験体を作成した。その試験体に屋内用耐火塗料の
促進劣化試験、JIS−A6909に規定の防露試験を
各々行った。その後、それぞれの試験体をJIS−A1
304の標準曲線にしたがって加熱試験を行う。試験体
の裏面温度が500℃に達するまでの時間を測定し、耐
火性能とした。
【0047】屋内用耐火塗料の促進劣化試験は、40℃
で相対湿度が95%の雰囲気下に48時間静置した後、
−20℃の雰囲気下に4時間静置し、次に20℃の雰囲
気下に4時間静置する。これを1サイクルとして、21
サイクル行った。試験終了した後、試験体を目視で確認
する。その後、加熱試験を行い耐火性能を測定した。目
視では、塗料層のふくれ、われ、はがれがの有無、錆の
発生の確認を行った。
【0048】防露試験は、JIS−A6909に規定さ
れた試験方法により試験を行った。その試験結果より単
位面積当たりの水蒸気の吸湿量を換算する。吸湿量が多
いものほど結露の防止機能があることになる。その後、
加熱試験を行い耐火性能を測定した。
【0049】発泡耐火塗料は、結合材として酢酸ビニル
−アクリル共重合樹脂エマルション、炭化剤にはメラミ
ン、ペンタエリスリトール、発泡剤にはポリリン酸アン
モニウム、充填剤には酸化チタンを用いたものである。
配合割合は、以下のようである。
【0050】 酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂エマルション(固形分)29.2重量% メラミン 8.3重量% ペンタエリスリトール 8.3重量% ポリリン酸アンモニウム 37.5重量% 酸化チタン 16.7重量% 合計 100.0重量% (実施例1)結露防止塗料は、アクリル系合成樹脂エマ
ルションと、珪藻土と、充填剤として酸化チタンと、分
散剤、消泡剤などその他の成分とからなるものである。
配合割合は下記のようである。塗料の顔料体積濃度は6
2%である。
【0051】 アクリル系合成樹脂エマルション(固形分) 22.0重量% 珪藻土 66.1重量% 酸化チタン 11.0重量% その他の成分(固形分) 0.9重量% 合計 100.0重量% (実施例2)結露防止塗料は、スチレン−アクリル系合
成樹脂エマルションと、珪藻土と、イソブチレン−マレ
イン酸系ポリマーの吸水性ポリマーと、充填剤として炭
酸カルシウム、酸化チタンと、分散剤、消泡剤などその
他の成分からなるものである。配合割合は下記のようで
ある。塗料の顔料体積濃度は60%である。
【0052】 スチレン−アクリル系合成樹脂エマルション(固形分)20.6重量% 珪藻土 33.5重量% 吸水性ポリマー 0.3重量% 酸化チタン 6.1重量% 炭酸カルシウム 39.2重量% その他の成分(固形分) 0.3重量% 合計 100.0重量% (比較例1)軽量骨材入り塗材は、エチレン−酢酸ビニ
ル系合成樹脂エマルションと、軽量骨材として蛭石と、
分散剤、消泡剤などその他の成分からなるものである。
配合割合は下記のようである。
【0053】 エチレン−酢酸ビニル系合成樹脂エマルション(固形分)39.3重量% 蛭石 59.3重量% その他の成分(固形分) 1.4重量% 合計 100.0重量% (比較例2)一般市販されている合成樹脂エマルション
塗料である。
【0054】前記鋼材に発泡耐火塗料を塗布し、乾燥さ
せたものの耐火性能は、60分である。耐火性能が60
分より短くなった場合は、耐火性能が低下したことにな
る。各測定結果を表1にまとめて示す。
【0055】
【表1】 表1に示したように、促進劣化試験及び防露試験後の加
熱試験の結果から比較例1の軽量骨材入り塗材層は、結
露水となる水蒸気などを遮断する効果がなく、発泡耐火
塗料層へ水が浸透したために耐火性能が低下したことが
わかる。また、防露試験では、150g/m2と防露性
が小さく、結露の防止はできないことがわかる。
【0056】比較例2では、各試験後の加熱試験の結果
より、耐火性能は維持されていることがわかる。これ
は、一般市販されているエナメル塗料層が、結露水とな
る水蒸気などを遮断する効果があり、発泡耐火塗料層へ
の水の浸透を抑制しているためである。しかし、防露試
験では、50g/m2と防露性がなく、結露の防止はで
きないことがわかる。
【0057】これに対し、実施例1及び実施例2では、
促進劣化試験、防露試験後の加熱試験での耐火性能の低
下がなく、耐火性能が維持されている。この結露防止塗
料層は、発泡耐火塗料層への結露水となる水蒸気などの
浸透を防止しているからである。また、防露試験では、
600g/m2以上と十分な防露性能があることが確認
され、十分な結露の防止機能があることわかる。
【0058】次に、前記実施形態から把握できる技術的
思想について以下に記載する。 ・ 前記無機多孔質充填材が珪藻土であることを特徴と
する請求項2又は請求項3に記載の結露防止機能を有す
る耐火被覆構造。このようにした場合、塗料適性、塗膜
の耐水性のよい結露防止塗料が容易に得られ、結露の防
止ができるため、耐火性能を維持することができる。
【0059】・ 前記吸水性ポリマーの含有量が結露防
止塗料の固形分に対し、0.1〜10.0重量%である
ことを特徴とする請求項3に記載の結露防止機能を有す
る耐火被覆構造。このような場合、結露水となる水蒸気
の吸湿による結露防止塗料層の割れがなく、結露防止塗
料層にかかる負荷が少ない結露防止塗料が得られ、結露
の発生を十分に防止することができるため、耐火性能を
維持することができる。
【0060】・ 結露防止塗料は、着色顔料及び白色顔
料のうち少なくとも1つを含有するものであることを特
徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の結露防
止機能を有する耐火被覆構造。このようにした場合、結
露防止塗料が任意の色調に着色ができ、そのために、容
易に発泡耐火塗料層に任意の色調で化粧仕上げすること
ができ、結露の発生を十分に防止することができるた
め、耐火性能を維持することができる。
【0061】・ 発泡耐火塗料層の厚みが、0.5〜
8.0mmであることを特徴とする請求項1〜請求項3
のいずれかに記載の結露防止機能を有する耐火被覆構
造。このようにした場合、耐火性能が劣ることがなく、
構造物の室内容積の減少量が少なくすることができる。
【0062】・ 結露防止塗料層の厚みが、0.5〜
5.0mmであることを特徴とする請求項1〜請求項3
のいずれかに記載の結露防止機能を有する耐火被覆構
造。このようにした場合、吸湿量により結露防止塗料層
に負荷がかかることが少ない結露防止塗料が得られ、結
露の発生を十分に防止することができるため、耐火性能
を維持することができる。
【0063】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発
明の結露防止機能を有する耐火被覆構造によれば、構造
物の鉄骨等の部材表面に結露の発生を防止し、耐火性能
を維持し、化粧仕上げすることができる。また、容易に
結露の発生を防止し、耐火性能を維持し、化粧仕上げを
することができる。
【0064】請求項2に記載の発明の結露防止機能を有
する耐火被覆構造によれば、請求項1に記載の発明の効
果に加え、より一層の結露の発生を防止することができ
る。
【0065】請求項3に記載の発明の結露防止機能を有
する耐火被覆構造によれば、請求項1又は請求項2に記
載の発明の効果に加え、より一層の結露の発生を防止す
ることができる。
【0066】請求項4に記載の発明の結露防止機能を有
した耐火被覆工法によれば、構造物の鉄骨等の部材表面
に結露の発生を防止し、耐火性能を維持し、化粧仕上げ
を容易に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/62 E04B 1/94

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の鉄部表面に構造物側から発泡耐
    火塗料より形成される発泡耐火塗料層と、結露防止塗料
    より形成される厚さ0.5〜5.0mmの結露防止塗料
    層とが積層され、前記結露防止塗料は、合成樹脂エマル
    ションと粒径0.5〜50.0μmの無機多孔質充填材
    を含有し、前記結露防止塗料の顔料体積濃度は、55〜
    75%であることを特徴とする結露防止機能を有する耐
    火被覆構造。
  2. 【請求項2】 前記結露防止塗料がさらに吸水性ポリマ
    ーを含有することを特徴とする請求項1に記載の結露防
    止機能を有する耐火被覆構造。
  3. 【請求項3】 前記吸水性ポリマーイソブチレン−マ
    レイン酸系ポリマーであることを特徴とする請求項1又
    は請求項2に記載の結露防止機能を有する耐火被覆構
    造。
  4. 【請求項4】 構造物の表面に発泡耐火塗料を塗布して
    硬化されることにより発泡耐火塗料層を形成した後、そ
    の表面に合成樹脂エマルションと粒径0.5〜50.0
    μmの無機多孔質充填材からなり、顔料体積濃度が55
    〜75%である結露防止塗料を厚さ0.5〜5.0mm
    となるよう塗布して硬化させることにより結露防止塗料
    層を形成することを特徴とする結露防止機能を有する耐
    火被覆工法。
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