JP2007146169A - 耐火性樹脂組成物からなるシート - Google Patents

耐火性樹脂組成物からなるシート Download PDF

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Abstract

【課題】 難燃性を有し、しかも燃焼後の残渣が十分な形状保持力を有することにより、優れた耐火性能を発揮する耐火性樹脂組成物からなるシートの提供。
【解決手段】 可撓性を付与されたエポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤を含有する耐火性樹脂組成物からなるシートであって、それぞれの含有量が、該エポキシ樹脂100重量部に対して、リン化合物が50〜150重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛が15〜40重量部、及び無機充填剤が30〜500重量部であり、前記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤の合計量が200〜600重量部であることを特徴とする耐火性樹脂組成物からなるシートによる。
【選択図】 なし

Description

本発明は耐火性樹脂組成物からなるシートに関する。
従来から、建築材料の分野において耐火性が重要な性能の一つである。近年、建築材料の用途拡大に伴って、建築材料に樹脂材料が広く用いられてきているが、さらに耐火性能が付与された樹脂材料が求められている。
このような耐火性能としては、単に材料自体が燃え難いばかりでなく、火炎を材料の裏面に回すことがない性質等も要求されている。樹脂成分や有機成分は、本質的にそれ自体が燃焼したり、溶融する性質を有するので、いかに長時間このような状態にならないか、また、含有される無機成分がいかに長時間脱落しないか等が問題となる。
樹脂材料にこのような性質を付与する方法として、例えば特開平6−25476号公報には、ポリオレフィン樹脂に赤リン又はリン化合物と熱膨張性黒鉛とを添加する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、難燃性については十分な性能が付与されるが、シート状に成形して壁の裏打ち材等に使用した場合には、耐火・防火試験において脆い灰分だけが残り、残渣が脱落したり、裏面温度が基準値260℃以上に上昇する等の問題点があった。
本発明の目的は、上記に鑑み、難燃性を有し、しかも燃焼後の残渣が十分な形状保持能力を有することにより、優れた耐火性能を発揮する耐火性樹脂組成物からなるシートを提供することにある。
本発明の請求項1記載の発明(以下、本発明という)である耐火性樹脂組成物からなるシートは、可撓性を付与されたエポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤を含有し、それぞれの含有量が、該エポキシ樹脂100重量部に対して、リン化合物が50〜150重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛が15〜40重量部、及び無機充填剤が30〜500重量部であり、前記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤の合計量が200〜600重量部である耐火性樹脂組成物からなるシートであることを特徴とする。
また、本発明の請求項2記載の発明である耐火性樹脂組成物からなるシートは、前記エポキシ樹脂が、下記(1)〜(7)のいずれかの方法により、可撓性を付与される耐火性樹脂組成物からなるシートであることを特徴とする。
(1)架橋点間の分子量を大きくする。
(2)架橋密度を小さくする。
(3)軟質分子構造を導入する。
(4)可塑剤を添加する。
(5)相互浸入網目(IPN)構造を導入する。
(6)ゴム状粒子を分散導入する。
(7)ミクロボイドを導入する。
本発明の耐火性樹脂組成物は、上述の構成であり、加熱時に膨張断熱層を形成し、さらにその形状を保持することにより顕著な耐火性能を発現するため、幅広い用途に使用可能である。また、本発明の耐火性樹脂組成物自体、通常の設備で成形可能であり、例えば、シート状に成形して建築物の被覆用途等に好適に使用することができる。
本発明の耐火性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤を含有する。
上記エポキシ樹脂は、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤を反応させることにより得られる。上記エポキシ基をもつモノマーとしては、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のものが挙げられる。
上記2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが例示される。
上記グリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが例示される。また、多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが例示される。
上記エポキシ基をもつモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤は、重付加型、触媒型のものが挙げられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。
上記エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。
上記エポキシ樹脂には、可撓性が付与されてもよく、可撓性を付与する方法としては、次の方法が挙げられる。
(1)架橋点間の分子量を大きくする。
(2)架橋密度を小さくする。
(3)軟質分子構造を導入する。
(4)可塑剤を添加する。
(5)相互侵入網目(IPN)構造を導入する。
(6)ゴム状粒子を分散導入する。
(7)ミクロボイドを導入する。
(1)は、予め分子鎖の長いエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることにより、架橋点の間の距離が長くなり可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えばポリプロピレンジアミン等が用いられる。
(2)は、官能基の少ないエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることにより、一定領域の架橋密度を小さくして可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば2官能アミン、エポキシモノマーとして、例えば1官能エポキシ等が用いられる。
(3)は、軟質分子構造をとるエポキシモノマー及び/又は硬化剤を導入して可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば複素環状ジアミン、エポキシモノマーとして、例えばアルキレンジグリコールジグリシジルエーテル等が用いられる。
(4)は、可塑剤として非反応性の希釈剤、例えば、DOP、タール、石油樹脂等を添加する方法である。
(5)は、エポキシ樹脂の架橋構造環に別の軟質構造をもつ樹脂を導入する相互侵入網目(IPN)構造で可撓性を発現させる方法である。
(6)は、エポキシ樹脂マトリックスに液状又は粒状のゴム粒子を配合分散させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとしてポリエステルエーテル等が用いられる。
(7)は、1μm以下のミクロボイドをエポキシ樹脂マトリックスに導入させることにより、可撓性を発現させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとして、分子量1000〜5000のポリエーテルが添加される。
上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、さらに、性能、安全性、コスト等の面から、ポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
Figure 2007146169
式中、R、Rは、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。Rは、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
上記ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、特に難燃性、安全性、コスト等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、ヘキスト社製「AP422」、「AP462」;住友化学社製「スミセーフP」;チッソ社製「テラージュC60」等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
上記リン化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、上記中和処理された熱膨張性黒鉛が得られる。
上記脂肪族低級アミンとしては特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が、200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、また、20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、エポキシ樹脂と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東ソー社製「GREP−EG」等が挙げられる。
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
一般的に、上記無機充填剤は、骨材的な働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。上記無機充填剤は、単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。上記無機充填剤の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、上記範囲のなかでも粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
上記無機充填剤の中で、特に水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
上記含水無機物の粒径は、小さくなると嵩が大きくなって高充填化が困難となるので、脱水効果を高めるために高充填するには粒径の大きなものが好ましい。具体的には、粒径が18μmでは、1.5μmの粒径に比べて充填限界量が約1.5倍程度向上することが知られている。さらに、粒径の大きいものと小さいものとを組合わせることによって、より高充填化が可能となる。
上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、上記リン化合物としてポリリン酸アンモニウムを使用した場合、ポリリン酸アンモニウムとの反応で膨張を促進すると考えられる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
上記無機充填剤の市販品では、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「H−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「H−31」(昭和電工社製);炭酸カルシウムとして、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「BF300」(白石カルシウム社製)等が挙げられる。また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせることによって、さらに高充填化が可能となる。
上記耐火性樹脂組成物において、リン化合物の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して50〜150重量部である。リン化合物の含有量が、50重量部未満では十分な形状保持性が得られず、150重量部を超えると機械的物性の低下が大きく使用に耐えられなくなる。
上記耐火性樹脂組成物において、中和処理された熱膨張性黒鉛の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して15〜40重量部である。中和処理された熱膨張性黒鉛の含有量が、15重量部未満では十分な熱膨張性が得られず、40重量部を超えると機械的物性の低下が大きく使用に耐えられなくなる。
上記耐火性樹脂組成物において、無機充填剤の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して30〜500重量部である。中和処理された無機充填剤の含有量が、30重量部未満では十分な耐火性能が得られず、500重量部を超えると機械的物性の低下が大きく使用に耐えられなくなる。
上記耐火性樹脂組成物において、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤の合計量は、エポキシ樹脂100重量部に対して200〜600重量部である。合計量が、200重量部未満では加熱後の残渣量が不十分となり、十分な耐火性が得られず、600重量部を超えると機械的物性の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物とを組合わせることによって、燃焼時の膨張性黒鉛の飛散を抑え、形状保持性の向上を図ることができる。上記耐火性樹脂組成物において、熱膨張性黒鉛が多すぎると、燃焼時に膨張して黒鉛が飛散して加熱時に十分な膨張断熱層が得られず、逆にリン化合物が多くなっても加熱時に十分な膨張断熱層が得られないため、熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比は、9:1〜1:100が好ましい。
また、燃焼時の形状保持性という点からは、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比は、1:3〜1:100が好ましく、より好ましくは1:5〜1:60、特に好ましくは1:10〜1:40である。耐火性樹脂組成物自身が難燃性であっても形状保持性が不十分であると、脆くなった残渣が崩れ落ち、火炎を貫通させてしまうため、形状保持性が十分か否かにより、耐火性樹脂組成物の用途形態が大きく異なる。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比を、上記した範囲とすることにより、形状保持性の要請が大きい用途形態に使用することができる。
上記耐火性樹脂組成物に、その物性を損なわない範囲で、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
上記耐火性樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができ、得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成形、押出し成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法により、シート成形体に成形することができる。
(作用)
本発明の耐火性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤の各成分が、それぞれの性能を発揮することにより、耐火性能を発揮する。具体的には、加熱時に熱膨張性黒鉛が膨張性断熱層を形成して熱の伝達を阻止する。その際、エポキシ樹脂を用いているため樹脂分もチャー(炭化)層を形成し、膨張性断熱層として寄与する。また、無機充填剤は、その際に熱容量を増大させ、リン化合物は、膨張性断熱層及び充填剤の形状保持能力を発現する。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
表1に示した配合量の、ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製「E807」)又はウレタン変性ビスフェノールA型エポキシモノマー(油化シェル社製「E292」)、ジアミン系硬化剤(油化シェル社製「EKFL052」)、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)、ポリリン酸アンモニウム(ヘキスト社製「AP−422」)、t−ブチルホスホン酸(和光純薬社製)、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「H−31」)、及び、炭酸カルシウム(備北粉化社製「ホワイトンBF−300」)を混練ロールで混練して、耐火性樹脂組成物を得た。得られた耐火性樹脂組成物を、150℃で15分間プレス成形して硬化させ、評価用板状試料を得た。
上記で得られた評価用板状試料につき、下記の性能評価を行い、その結果を表1に示した。
(1)耐火性
上記板状試料を100mm×100mm×3mm厚に切断して試験片を作製した。この試験片を水平に設置した状態でコーンカロリーメーター(ATLAS社製「CONE2A」)を用いて、35kW/cmの照射熱量を30分間与えて燃焼させた後、試験片の裏面(照射側と反対側)の温度を測定し、260℃以下を○、260℃を越えるものを×と、判定した。
(2)形状保持性
上記耐火性評価後の試験片(残渣)に、50mm×50mm×1mm厚の金属板を載せ、この金属板上にさらに10g、50gの分銅を別々に載せて残渣の状態を観察した。10g、50gともに残渣に崩れ(めりこみ、ひび等)が生じなかったものを◎、50gでは崩れが生じたが10gでは崩れが生じなかったものを○、10gで崩れが生じたものを×と、判定した。
Figure 2007146169
尚、形状保持性の評価で×と判定されたものは非常に脆く、試験片を長手方向に立てるだけで崩れるため、実際に耐火材料として用いる際には、燃焼中に脱落して耐火性能が発現するのは短時間であると予想される。

Claims (2)

  1. 可撓性を付与されたエポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤を含有する耐火性樹脂組成物からなるシートであって、それぞれの含有量が、該エポキシ樹脂100重量部に対して、リン化合物が50〜150重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛が15〜40重量部、及び無機充填剤が30〜500重量部であり、前記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤の合計量が200〜600重量部であることを特徴とする耐火性樹脂組成物からなるシート。
  2. 前記エポキシ樹脂は、下記(1)〜(7)のいずれかの方法により、可撓性を付与されることを特徴とする請求項1に記載の耐火性樹脂組成物からなるシート。
    (1)架橋点間の分子量を大きくする。
    (2)架橋密度を小さくする。
    (3)軟質分子構造を導入する。
    (4)可塑剤を添加する。
    (5)相互浸入網目(IPN)構造を導入する。
    (6)ゴム状粒子を分散導入する。
    (7)ミクロボイドを導入する。

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