JP2019156945A - 樹脂シート - Google Patents

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俊隆 吉武
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Abstract

【課題】長尺化したエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる樹脂シートの提供。【解決手段】エポキシ樹脂100重量部に対して、無機粉体50〜500重量部、熱膨張性黒鉛50〜150部含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる、厚みが2.3mm以下、長さ5m以上かつ10℃における曲げ弾性率が30mPa以下であるの樹脂シート。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シート及び樹脂シートの製造方法に関する。
住宅分野、車輌分野、IT分野などに使われる熱膨張性耐火材として、樹脂成分に、リン化合物、熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成された熱膨張性耐火材が使用されている。中でも、例えば特許文献1に記載されるような、エポキシ樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなる耐火性樹脂組成物によれば、難燃性を有し、かつ燃焼後の残渣が十分な形状保持能力を有することにより、優れた耐火性能を発揮することができる。
特開平11-116776 特開2006-348229
従来の配合ではエポキシ樹脂が硬いという問題があり、シート生産を試みるとエポキシ樹脂が硬くて脆いため巻取り時比較的容易に折れたり割れたりするという欠点のため、従来技術では長尺化することが困難であった。このような欠点は、特に低温(例えば、10℃以下)で顕著に現れる。
本発明者らは、上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた。その結果、エポキシ樹脂100重量部に対して、無機充填材50〜500重量部、熱膨張性黒鉛50〜150部含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させることで、厚みが2.3mm以下、長さ5m以上かつ10℃における曲げ弾性率が30mPa以下である樹脂シートを製造することができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の態様を包含する。
項1、エポキシ樹脂100重量部に対して、無機充填材50〜500重量部、熱膨張性黒鉛50〜150部含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる、厚みが2.3mm以下、長さ5m以上かつ10℃における曲げ弾性率が30mPa以下である樹脂シート。
項2、10℃における曲げ伸度が20%以上であることを特徴とする、項1記載の樹脂シート。
項3、エポキシモノマーのエポキシ価(g/eq)と硬化剤の理論活性水素等量(g/eq)から計算されるエポキシモノマーと硬化剤の理論添加量において、硬化剤の添加量が主剤に対して理論当量量の80%〜170%であることを特徴とする項1又は2記載の樹脂シート。
項4、項1〜3に記載の樹脂シートを連続プロセスにより製造する事を特徴とする樹脂シートの製造方法。
本発明によれば、エポキシ樹脂組成物を硬化させて長尺の樹脂シートを提供することができる。かかる樹脂シートは容易に製造することができ、熱膨張性耐火材として使用することができる。
本発明の樹脂シートは、エポキシ樹脂100重量部に対して、無機粉体50〜500重量部、熱膨張性黒鉛50〜150部含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる、厚みが2.3mm以下、長さ5m以上かつ10℃における曲げ弾性率が30mPa以下である樹脂シートである。
本発明の樹脂シートを製造するためのエポキシ樹脂組成物は、マトリクス成分としてエポキシ樹脂を含有する。
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、特に限定されない。エポキシ樹脂は、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。上記エポキシ基をもつモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが例示される。
上記2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが例示される。
上記グリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが例示される。
上記多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが例示される。
これらのエポキシ基をもつモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。
上記エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。エポキシ基をもつモノマーと硬化剤との配合割合は、エポキシ基をもつモノマーのエポキシ価1に対する硬化剤の理論活性水素当量が1となる硬化剤の添加量である理論当量100質量%に対して、例えば10〜200質量%、好ましくは80〜170質量%、より好ましくは100〜170質量%、さらに好ましくは100〜120質量%とすることができる。エポキシ基をもつモノマーのエポキシ価1に対する硬化剤の理論活性水素当量が1である場合、エポキシ価:理論活性水素当量=1:1)となる。
なお、「エポキシ価」は(エポキシ基をもつモノマーの分子量)÷(エポキシ基をもつモノマーの分子内のエポキシ基の数)により計算される。「理論活性水素当量」は、(硬化剤の分子量)÷(硬化剤の分子内で反応に関与する活性水素基の数)により計算される。
例として、エポキシ価120(g/eq)のエポキシ基をもつモノマーと、理論活性水素当量が50(g/eq)の硬化剤とを使用する場合、理論当量を計算すると下記のとおりになる。すなわち、エポキシ基をもつモノマー100部に対する硬化剤の理論当量は50×100÷120=41.6部となる。
また、上記エポキシ樹脂は可撓性が付与されたものであってもよい。可撓性を付与するためには次の方法が用いられる。(1)架橋点間の分子量を大きくする。(2)架橋密度を小さくする。(3)軟質分子構造を導入する。(4)可塑剤を添加する。(5)相互侵入網目(IPN)構造を導入する。(6)ゴム状粒子を分散導入する。(7)ミクロボイドを導入する。
(1)は予め分子鎖の長いエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることで、架橋点の間の距離が長くなり可撓性を発現させる方法である(例:硬化剤としてポリプロピレンジアミン等を用いる)。(2)は官能基の少ないエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることにより、一定領域の架橋密度を小さくして可撓性を発現させる方法である(例:硬化剤として2官能アミン、エポキシモノマーとして1官能エポキシ等を用いる)。(3)は軟質分子構造をとるエポキシモノマー及び/又は硬化剤を導入して可撓性を発現させる方法である(例:硬化剤として複素環状ジアミン、エポキシモノマーとしてアルキレングリコールグルシジルエーテル等を用いる)。
(4)は可塑剤として非反応性の希釈剤を添加する方法である(例:可塑剤としてDOP、タール、石油樹脂等を用いる)。(5)はエポキシ樹脂の架橋構造に別の軟質構造をもつ樹脂を導入する相互侵入網目(IPN)構造で可撓性を発現させる方法である。(6)エポキシ樹脂マトリックスに液状又は粒状のゴム粒子を配合分散させる方法である(例:エポキシ樹脂マトリックスとしてポリエステルエーテル等を用いる)。(7)は1μm以下のミクロボイドをエポキシ樹脂マトリックスに導入させることで可撓性を発現させる(例:エポキシ樹脂マトリックスとして分子量1000〜5000のポリエーテルを添加する)。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、熱膨張性黒鉛を含む。熱膨張性黒鉛は、黒鉛を主原料とする物質であって、加熱時に膨張する。熱膨張性黒鉛は炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。
熱膨張製黒鉛の製造方法は特に限定されない。例えば、熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、強酸化剤を用いて電解処理することにより、グラファイト層間をインターカレートさせて得ることができる。
強酸化剤としては、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛は中和処理されてもよい。つまり、上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛を、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などで中和する。上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどが挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウムなどの水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられる。中和処理した熱膨張性黒鉛の具体例としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東ソー社製「GREP−EG」などが挙げられる。
熱膨張性黒鉛は、中和処理に換えて水洗処理されていてもよい。水洗処理の場合、熱膨張性黒鉛のpHを酸性に調整することができる。このような熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、エア・ウォーター社製「SS3」等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュかそれより値が小さいと、黒鉛の膨張度が膨張断熱層を得るのに十分であり、また粒度が20メッシュかそれより値が大きいと、樹脂に配合する際の分散性が良く、物性が良好である。
本発明のエポキシ樹脂組成物における熱膨張性黒鉛の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して10〜300質量部であり、好ましくは50〜150質量部、より好ましくは70〜115質量部、更に好ましくは85〜115質量部の範囲である。酸性の熱膨張性黒鉛の含有量が9部以下の場合、火災時の膨張性能が不足する。酸性の熱膨張性黒鉛の含有量が300部以上の場合は、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりシートへの成型が困難となる。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含む無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。なお、上記熱膨張性黒鉛は無機充填材には含まれないものとする。
無機充填剤は特に限定されない。無機充填剤としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物;
水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物;
塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;
難燃剤としての無機リン酸塩;
硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;
シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルーン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥、リン化合物等が挙げられる。これらの無機充填剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
無機充填剤が固体の場合の平均粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集が起こり分散性が悪くなるため、0.5μm以上であることが好ましい。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましいが、粒径が100μmを超えると、成形体の表面性や樹脂組成物の力学的性能が低下するため、平均100μm以下であることが望ましい。
無機充填剤の平均粒径は例えば電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて一定数(通常10個)以上の粒子の粒径を測定し、これを平均することにより求めることができる。
無機充填剤のうち、水酸化アルミニウムの具体例としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムの具体例としては、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
無機充填剤のうち、リン化合物は、特に限定されない。例えばリン化合物としては、
赤リン;
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウムリン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルミニウムから選択される金属を含有するリン酸金属塩;
ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ポリリン酸ピペラジン等のポリリン酸塩;
リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ピペラジン、エチレンジアミンリン酸塩、亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム等の金属を含有しないモノマーである低級リン酸塩;
下記化学式(1)で表される化合物
Figure 2019156945
[式(1)中、R1およびR3は、同一又は異なって、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を示す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。]
等が挙げられる。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができる。特に、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム塩は特に限定されない。例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
式(1)で表される化合物としては特に限定されない。例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。リン化合物は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
無機充填材は、一種単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
無機充填剤の中でも金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、ポリリン酸アンモニウム塩及び低級リン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、含水無機物、ポリリン酸アンモニウム塩及び、低級リン酸塩からなるから選択される無機充填剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いることもできる。このうち、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸塩から選ばれる1種類以上の成分と、ポリリン酸アンモニウム塩及び低級リン酸塩からなる群から選ばれる1種類以上の成分とを併用することがより好ましい。
特に好ましい例として、リン化合物と金属化合物との併用が挙げられる。このような併用の例として、ポリリン酸アンモニウムと水酸化アルミニウムとの併用が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して50〜500質量部であり、好ましくは120〜250質量部、より好ましくは130〜220部、更に好ましくは140〜210、最も好ましくは160〜180部である。
また、熱膨張性黒鉛および無機充填剤の合計含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、50〜500質量部の範囲が好ましい。50質量部以上では燃焼後の残渣量を満足して十分な耐火性能が得られ、500質量部以下であると機械的物性が維持される。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂、成型補助材等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
上記エポキシ樹脂組成物は、上記各成分を、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて混練することにより得ることができる。
本発明の樹脂シートは、エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる樹脂シートである。エポキシ樹脂組成物を用いて射出成形、押出成形、カレンダー成形、プレス成形等の公知の方法により、樹脂シートに成形することができる。
本発明の樹脂シートの好ましい製造方法として、例えば連続プロセスによる製造方法が例示される。連続プロセスによる製造方法としては、
(1)主剤であるエポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材及び熱膨張性黒鉛を混練(ブレンド)しエポキシ樹脂組成物を得る工程、
(2)エポキシ樹脂組成物を例えばポンプ等で押出し表面紙等の基材に塗工する工程、
(3)塗工したエポキシ樹脂組成物を例えば2枚の表面紙等で挟み込み、ロールなどで厚みを整え成形する成形工程、
(4)成形工程後のエポキシ樹脂組成物を例えばラインや養生炉等で硬化させる工程
を含む製造方法が例示される。
本発明の樹脂シートは、厚みが2.3mm以下である。本発明の樹脂シートの厚みは、好ましくは0.5〜1.8mmであり、より好ましくは1.0〜1.7mmである。
本発明の樹脂シートは、長さが5m以上である。本発明の樹脂シートの長さは、好ましくは5〜30mであり、より好ましくは5〜10mである。
本発明の樹脂シートは、10℃における曲げ弾性率が30mPa以下であり、10℃における曲げ弾性率は好ましくは0.3〜18mPaであり、より好ましくは0.5〜10mPaである。曲げ弾性率がこのような範囲にあることで、10℃以下の環境下でも樹脂シートが折れずに使用できる。
本発明の樹脂シートは、10℃における引張伸度が20%以上であることが好ましく、より好ましくは25〜100%であり、さらに好ましくは50〜100%である。引張伸度がこのような範囲にあることで、10℃以下の環境下でも樹脂シートを曲げて使用したとき(例えば、区画貫通において樹脂シートをパイプ等に巻きつけるとき)に基材への追従性がよく隙間なく施工できる。
曲げ弾性率及び引張伸度は、後述の実施例に示すように、JIS K 6251に準拠して、以下の条件で評価することができる。
試験片形状 :2号ダンベル 2mm厚
曲げ速度:5.0 mm/min
温度 :10℃。
本発明の樹脂シートの体積膨張率は、50kW/m2の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍のものであれば好ましい。体積膨張率が3倍以上であると、膨張体積がマトリクス成分の焼失部分を十分に埋めることができ、また50倍以下であると、膨張層の強度が維持され、火炎の貫通を防止する効果が保たれる。
本発明の樹脂シートは、耐火材として使用することができる。本発明の耐火材は、住宅(特に建具);船舶;車両;電子機器等の構造体に耐火性を付与するために使用することができる。住宅の建具等に耐火性を付与する用途の具体例としては、柱、梁、壁等の耐火被覆材の用途、防火サッシの用途、防火区画貫通部構造の用途、防火ドアの用途等が例示される。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、これらの構造体に塗布して耐火性コーティングを製造するために使用することもできる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、これらの構造体の開口部又は間隙の密封及び防火のための気密材として使用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(A)成分:エポキシモノマー
A−1:ビスフェノールF型エポキシモノマー(三菱化学(株)社製、製品名:JER E807)とトリメチロールプロパンのグリシジルエーテル化物(ナガセケムテックス社製、商品名:EX−321)を8:2でブレンドしたエポキシモノマー(エポキシ価164g/eq)。
(B)成分:硬化剤
B−1:変性ポリアミド系硬化剤(T&K TOKA社製、製品名:トーマイドTXE−524)と脂肪族アミンを6:4でブレンドした硬化剤(理論活性水素等量124g/eq)。
(C)成分:無機系充填剤
C−1:ポリリン酸アンモニウム(ブーテンハイム社製、製品名:TERRAJU C−70)
C−2:水酸化マグネシウム(協和化学社製「キスマ5A」)
C−3:熱膨張性黒鉛(東ソー社製、製品名:GREP−EG)。
製造例
下記の表1に記載の配合に従い、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を合計370gになるように、1000mlの3つ口フラスコに計りとった。その後、メカニカルスターラーを用いて、25℃、10分間撹拌した。撹拌後の混練物170gをエポキシ樹脂が30cm×30cm×2mmになるようにPETシートでサンドし、加熱電気プレスを使用して、40℃、30秒間加圧してシートを作成した。作成後のシートを90℃オーブンで12時間加熱することにより硬化させ、樹脂シートである実施例1〜3(本発明品No.1〜No.3)及び比較例1(比較品No.1)を得た。
得られた樹脂シートを下記の評価により評価した。結果を表1に示す。
[膨張倍率・破断点応力の測定]
・膨張倍率:製造例により得られた12時間加熱した実施例1〜3及び比較例1のそれぞれについて、98mm×98mm×2mmの試験片を作成し、電気炉にて600℃で30分間加熱した。膨張倍率を加熱後の厚みの、加熱前の厚みに対する比(加熱後の厚み/加熱前の厚み)として膨張倍率をそれぞれ算出した。
・破断点応力:破断点応力をエポキシ樹脂組成物の形状保持性の指標として測定した。製造例により得られた12時間加熱した実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれについて、加熱後のサンプルを圧縮試験機(カトーテック株式会社製「フィンガーフィーリングテスター」)を用いて、0.25cm2の圧子で0.1cm/sの圧縮速度にて破断点応力を測定した。
[引張試験条件]
実施例1〜3及び比較例1からPETシートを剥離して下記条件でORIENTEC社製「テンシロン」を使用して曲げ弾性率及び曲げ伸度を算出した。
・評価方法 :JIS K 6251準拠
試験片形状:2号ダンベル 2mm厚
曲げ速度:5.0 mm/min
温度:10℃ 。
Figure 2019156945

Claims (4)

  1. エポキシ樹脂100重量部に対して、無機充填材50〜500重量部、熱膨張性黒鉛50〜150部含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる、厚みが2.3mm以下、長さ5m以上かつ10℃における曲げ弾性率が30mPa以下である樹脂シート。
  2. 10℃における曲げ伸度が20%以上であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂シート。
  3. エポキシモノマーのエポキシ価(g/eq)と硬化剤の理論活性水素等量(g/eq)から計算されるエポキシモノマーと硬化剤の理論添加量において、硬化剤の添加量が主剤に対して理論当量量の80%〜170%であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂シート。
  4. 請求項1〜3に記載の樹脂シートを連続プロセスにより製造する事を特徴とする樹脂シートの製造方法。
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