JP7401979B2 - 耐火シート - Google Patents

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Description

本発明は、建築物、乗り物などに使用される耐火シートに関する。
建築物、各種乗り物などの構造物の耐火性を確保するために耐火シートが広く使用される。耐火シートは、エポキシ樹脂などの樹脂成分と、樹脂成分に配合された熱膨張性黒鉛とを含有する組成物をシート状に成形したものが知られている。このような耐火シートは、加熱されると熱膨張性黒鉛が膨張して断熱層を形成することで耐火性を確保している。
上記のような耐火シートとして、従来、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、リン化合物、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する耐火性樹脂組成物からなるシートが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
施工しやすさ、加工しやすさの観点から長尺の耐火シートも要望されている。しかしながら上記のような耐火シートは、一般に熱膨張性黒鉛等のフィラー成分を多量に含有しており、樹脂成分中にフィラー成分を分散させることが難しい。そのため、厚みばらつきによる性能差が生じたり、巻回体とした時の巻き姿の不具合、巻回体の展開性低下、美観の低下が生じたりするなどの問題があった。
上記課題を解決した耐火シート及び巻回体として、例えば特許文献3には、可塑剤を含むポリ塩化ビニル系樹脂を含み、かつ全長が2m以上である耐火シートを巻回してなる巻回体が開示されている。
特開2007-146169号公報 国際公開第2016/117699号 特開2017-155227号公報
樹脂成分としてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用し、かつ熱膨張性黒鉛等のフィラー成分を多量に含有する熱硬化性の耐火樹脂組成物は、通常、硬化前の粘度が高く成形が困難である。このような耐火樹脂組成物を成形して得られる耐火シートは、巻回体とした時の巻き姿に不具合が生じたり、建具などに貼付して使用する際にシート浮きが発生したりするなどの問題もあった。
そこで、本発明は、耐火性能を良好にしつつ、巻回体とした時の巻き姿が良好で、使用時のシート浮きも生じ難い耐火シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する耐火樹脂組成物から形成される耐火樹脂層を含み、かつ所定の厚み条件を満たす耐火シートとすることで上記課題が解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。本発明の要旨は、以下の[1]~[11]に示すとおりである。
[1]熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する耐火樹脂組成物から形成される耐火樹脂層を含む耐火シートであって、
前記耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの最大値及び最小値の割合が100±20%の範囲であり、
前記耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの標準偏差の割合が10%以下であり、
かつ、前記耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートを水平面に載置した時の波打ち高さの最大値の割合が140%以下である耐火シート。
[2]前記耐火樹脂組成物において、前記熱硬化性樹脂100質量部に対する前記熱膨張性黒鉛の含有量が10~300質量部、前記無機充填材の含有量が10~300質量部である上記[1]に記載の耐火シート。
[3]前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である上記[1]又は[2]に記載の耐火シート。
[4]前記耐火樹脂組成物がさらにリン化合物を含有し、該リン化合物がリン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の耐火シート。
[5]前記リン化合物が、シラン化合物により表面処理された、リン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む上記[4]に記載の耐火シート。
[6]前記無機充填材として、長周期表における原子番号が21以上の金属元素を含有する無機金属塩を含む上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の耐火シート。
[7]前記耐火樹脂組成物がさらに界面活性剤及び可塑剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の耐火シート。
[8]前記耐火シートの厚みの平均値が0.5~5mmである上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の耐火シート。
[9]全長が2m以上である上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の耐火シート。
[10]上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の耐火シートの製造方法であって、
熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を混合し、耐火樹脂組成物を調製する工程と、
前記耐火樹脂組成物をシート状に成形し、次いで養生を行う工程と、
前記養生を行った後に加熱する工程とを備える耐火シートの製造方法。
[11]上記[1]~[9]のいずれかに記載の耐火シートを備えた建具。
本発明によれば、耐火性能を良好にしつつ、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートを提供することができる。
耐火シートの厚み測定における測定箇所の説明図である。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
<耐火シート>
本発明の耐火シートは、熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する耐火樹脂組成物から形成される耐火樹脂層を含む耐火シートである。
本発明の耐火シートでは、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの最大値及び最小値の割合が100±20%の範囲であり、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの標準偏差の割合が10%以下である。さらに、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートを水平面に載置した時の波打ち高さの最大値の割合が140%以下である。
本発明によれば、従来は厚み制御が困難であった、熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する耐火樹脂組成物を用いた耐火シートにおいても、厚みのばらつきやシートの波打ちを少なくすることができ、耐火性能を良好にしつつ、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートとなる。
本発明の耐火シートは上記耐火樹脂層を少なくとも1層含んでいればよく、例えば、耐火樹脂層と基材とから構成される耐火シートでもよいし、耐火樹脂層のみから構成される(すなわち、基材レスの)耐火シートでもよい。また、必要に応じ粘着層等の他の層を含んでいてもよい。
耐火シートが基材を有する場合、基材としては、樹脂シート、紙基材、金属シート、織布又は不織布などが挙げられるが、これらの中では織布、不織布が好ましい。織布又は不織布に使用される繊維としては、特に限定はされないが、不燃性料又は準不燃材料が好ましく、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、熱硬化性樹脂繊維等が好ましい。基材の厚みは、例えば、0.01~1.5mm程度である。
[厚み]
本発明の耐火シートは、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの最大値及び最小値の割合が100±20%の範囲にある。
耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの最大値の割合は、[厚みの最大値/厚みの平均値]×100(%)で表される。耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの最小値の割合は、[厚みの最小値/厚みの平均値]×100(%)で表される。上記割合がいずれも100±20%の範囲であると、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートになる。
上記効果を得る観点から、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの最大値及び最小値の割合は、好ましくは100±15%の範囲であり、より好ましくは100±12%の範囲、さらに好ましくは100±10%の範囲である。
耐火シートの厚みの平均値、最大値及び最小値は、耐火シートを200mm×200mmの正方形に切出し、ノギスで9箇所の厚みを測定して、この測定値から平均値、最大値及び最小値を求めることができる。具体的には実施例に記載の方法により求められる。
本発明の耐火シートは、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの標準偏差の割合が10%以下である。当該割合は[厚みの標準偏差/厚みの平均値]×100(%)で表され、この割合が10%以下であると、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートになる。
上記効果を得る観点から、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの標準偏差の割合は、好ましくは9.5%以下、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8.5%以下、よりさらに好ましくは8%以下である。当該割合は、値が小さい(0%に近い)方が好ましい。
耐火シートの厚みの標準偏差は、前記と同様の方法で耐火シートを200mm×200mmの正方形に切出し、ノギスで9箇所の厚みを測定して、この測定値から標準偏差を算出することができ、具体的には実施例に記載の方法により求められる。
また本発明の耐火シートは、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートを水平面に載置した時の波打ち高さの最大値の割合が140%以下である。本明細書において耐火シートの「波打ち高さ」とは、耐火シートを水平面に載置した際の、水平面から耐火シートの上面までの高さを意味する。
耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートを水平面に載置した時の波打ち高さの最大値の割合は[波打ち高さの最大値/厚みの平均値]×100(%)で表され、この割合が140%以下であると、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートになる。
上記効果を得る観点から、耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの波打ち高さの最大値の割合は、好ましくは135%以下であり、より好ましくは130%以下、さらに好ましくは125%以下である。当該割合は、100%に近い方が好ましい。
耐火シートの波打ち高さの最大値は、耐火シートを200mm×200mmの正方形に切出し、ノギスで9箇所の波打ち高さを測定して、この測定値の最大値を採ることにより求められる。具体的には実施例に記載の方法により求められる。
本発明の耐火シートの厚みは用途等に応じて適宜選択できるが、前記厚みの平均値として、通常、0.2~10mmであり、本発明の効果の有効性の観点から、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは0.7~3.5mmの範囲である。
本発明では、耐火シートの厚みのうち、上記耐火樹脂層の厚みが大部分を占めることが好ましい。具体的には、耐火樹脂層の厚みは、耐火シートの厚みに対して、50%以上であることが好ましく、70%以上であることが好ましく、85%以上であることが好ましく、100%であることが最も好ましい。なお、耐火シートが、耐火樹脂層以外の他の層を有する場合、耐火樹脂層の厚みは、例えば、耐火シートの厚みから他の層の厚みを減ずることにより得ることができる。
本発明において、耐火シートの厚みの条件を上記範囲に調整する方法としては、耐火シートに用いる耐火樹脂組成物に含有させる熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材の種類及びの選択、後述するリン化合物及び添加剤の使用、耐火シートの製造方法の選択、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これらの詳細については後述するが、耐火樹脂組成物に含有させる成分の種類及び含有量を調整して耐火樹脂組成物を低粘度化すると、得られる耐火シートの厚み条件を上記範囲に調整しやすくなる。
本発明の耐火シートは、厚みのばらつきやシートの波打ちが少なく、巻回体とした時の巻き姿が良好で、使用時のシート浮きも生じ難いものとなる。そのため、例えば、本発明の耐火シートは全長を2m以上としても、巻き姿が良好な巻回体とすることができる。本発明の耐火シートの全長は、好ましくは2.5m以上、より好ましくは4m以上である。
[耐火樹脂組成物]
本発明の耐火シートは、熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する耐火樹脂組成物から形成される耐火樹脂層を含む。当該耐火樹脂組成物について、以下に説明する。
(熱硬化性樹脂)
耐火樹脂層を構成する耐火樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する。本発明に用いる熱硬化性樹脂は、加熱により硬化して耐火樹脂層のマトリックスを形成し得る樹脂であれば特に制限なく用いることができる。熱硬化性樹脂は、2液型の熱硬化性樹脂でもよい。2液型の熱硬化性樹脂は、例えば、主剤と、硬化剤とからなる熱硬化性樹脂である。
本発明に用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら熱硬化性樹脂の中では、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましい。エポキシ樹脂を使用することで、熱膨張性黒鉛や無機充填材等の多量のフィラー成分を充填させた場合でもシートが脆くならず、靭性を保つことが可能である。
本発明に用いる熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂は、例えば、主剤であるエポキシ化合物と、硬化剤とからなる樹脂である。また、本発明に用いる熱硬化性樹脂としてのウレタン樹脂は、例えば、主剤であるポリオール化合物と、硬化剤であるポリイソシアネート化合物などの硬化剤とからなる樹脂である。
なお、本明細書では、特に断りの無い限り、熱硬化性樹脂の含有量とは、該熱硬化性樹脂を構成する成分の合計を意味する。例えば、2液型の熱硬化性樹脂であれば、主剤と硬化剤との合計量を「熱硬化性樹脂の含有量」とする。
〔エポキシ樹脂〕
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂は、特に限定されないが、例えば、エポキシ化合物単独、又は、主剤であるエポキシ化合物と、硬化剤とからなるものが挙げられる。エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、具体的には、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型が例示される。グリジシルエーテル型は、2官能でもよいし、3官能以上の多官能でもよい。また、グリシジルエステル型も同様である。エポキシ化合物は、架橋度を調整するためなどに1官能のものを含んでもよい。これらの中では、2官能のグリシジルエーテル型が好ましい。
上記2官能のグリシジルエーテル型のエポキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型などのアルキレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6-ヘキサンジオール型、水添ビスフェノールA型等の脂肪族エポキシ化合物が例示される。さらには、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、エチレンオキサイド-ビスフェノールA型、プロピレンオキサイド-ビスフェノールA型などの芳香族環を含む芳香族エポキシ化合物が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などの芳香族エポキシ化合物が好ましい。
上記グリシジルエステル型のエポキシ化合物としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p-オキシ安息香酸型等のエポキシ化合物が例示される。
3官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が例示される。
これらのエポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、ポリメルカプタン等が挙げられる。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。
また、上記エポキシ樹脂は可撓性が付与されたものであってもよい。可撓性を付与するためには次の方法が用いられる。
(1)架橋点間の分子量を大きくする。
(2)架橋密度を小さくする。
(3)軟質分子構造を導入する。
(4)可塑剤を添加する。
(5)相互侵入網目(IPM)構造を導入する。
(6)ゴム状粒子を分散導入する。
(7)ミクロボイドを導入する。
上記(1)は、エポキシ化合物及び硬化剤の少なくともいずれかに予め分子鎖の長いものを用いて、これらを反応させることで、架橋点間の距離が長くなり可撓性を発現させる方法である。例えば、硬化剤としてポリプロピレンジアミン等などのポリエーテル系ジアミンなどを使用するとよい。
(2)は、エポキシ化合物及び硬化剤の少なくともいずれかに官能基の少ないものを用いて、これらを反応させることにより、一定領域の架橋密度を小さくして可撓性を発現させる方法である。例えば、硬化剤として2官能アミン、エポキシ化合物の少なくとも一部に1官能エポキシ化合物等を用いるとよい。
(3)は、エポキシ化合物及び硬化剤の少なくともいずれかに軟質分子構造を有するものを用いて可撓性を発現させる方法である。例えば硬化剤として複素環状ジアミンを使用し、又は、エポキシ化合物としてアルキレングリコールグルシジルエーテル等を用いるとよい。
(4)は可塑剤を非反応性の希釈剤として添加する方法である。好ましい可塑剤については後述する。(5)はエポキシ樹脂の架橋構造に別の軟質構造をもつ樹脂を導入する相互侵入網目(IPN)構造で可撓性を発現させる方法である。(6)はエポキシ樹脂マトリックスに液状又は粒状のゴム粒子を配合分散させる方法である。(7)は1μm以下のミクロボイドをエポキシ樹脂マトリックスに導入させることにより、可撓性を発現させる方法である。
〔ウレタン樹脂〕
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としてのウレタン樹脂は、特に限定されないが、例えば、主剤であるポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物等の硬化剤とからなるものが挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらのポリオール化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記の中でも、主剤としてはポリオキシアルキレングリコールが好ましく、ポリオキシプロピレングリコールがより好ましい。
硬化剤であるポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)ポリイソシアネート等が挙げられる。また、上記ポリイソシアネート化合物の付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、ポリ(トリレンジイソシアネート)、ポリ(ジフェニルメタンジイソシアネート)も用いることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記の中でも、硬化剤としては芳香族ポリイソシアネート又はその多量体が好ましく、ポリ(ジフェニルメタンジイソシアネート)がより好ましい。
〔フェノール樹脂〕
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としてのフェノール樹脂は、分子内に2以上のフェノール性水酸基を含む樹脂であれば特に限定されないが、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。より低粘度の耐火樹脂組成物を得る観点からは、室温(25℃)で液状のフェノール樹脂が好ましく、液状のレゾール型フェノール樹脂がより好ましい。フェノール樹脂は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱硬化性樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができ、例えば上記エポキシ樹脂又はウレタン樹脂であれば、主剤と硬化剤とを混合して加熱することで硬化できる。
耐火樹脂組成物及び耐火シート中の熱硬化性樹脂の含有量は、例えば12~80質量%である。下限値以上の熱硬化性樹脂を使用することで、耐火シートの形状保持性が良好となる。また、上限値以下とすることで、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を一定量以上配合することが可能になる。これら観点から、熱硬化性樹脂の含有量は、12~60質量%が好ましく、12~50質量%がより好ましく、15~40質量%がより好ましい。
(熱膨張性黒鉛)
耐火樹脂層を構成する耐火樹脂組成物及び耐火シートは、熱膨張性黒鉛を含有する。熱膨張性黒鉛は、加熱時に膨張するものであり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては、濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。また、強酸化剤としては、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
また、上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和してもよい。脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。アルカリ金属化合物及び上記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
なお本発明において、熱膨張性黒鉛として、シラン化合物により表面処理された熱膨張性黒鉛を用いてもよい。シラン化合物により表面処理された熱膨張性黒鉛を用いると、耐火樹脂組成物をより低粘度化することができ、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくなる。
表面処理に用いられるシラン化合物としては特に制限はなく、例えば、アルコキシシラン類、クロロシラン類、シラン系オリゴマーが挙げられる。上記の中でも、アルコキシシラン類が好ましい。
アルコキシシラン類としては、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリル基、アミノ基、ビニル基、ウレイド基、メルカプト基からなる群から選ばれる基を有するアルコキシシランが挙げられる。
エポキシ基を有するアルコキシシランとしては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランとしては、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基を有するシラン化合物としては、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基を有するアルコキシシランとしては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基を有するアルコキシシランとしては、3-ウレイドプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
また上記以外のアルコキシシランとして、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシランも用いることができる。
シラン化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記の中でも、シラン化合物としてはエポキシ基を有するアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
シラン化合物による表面処理方法にも特に制限はなく、公知の方法、例えば、乾式処理法、湿式処理法を用いることができる。乾式処理法としては例えば、熱膨張性黒鉛にシラン化合物を混合しミキサー等で攪拌し、必要に応じ50~170℃程度に加熱処理する方法が挙げられる。湿式処理法としては例えば、シラン化合物を分散又は溶解した溶液中に熱膨張性黒鉛を添加混合しスラリー状にした後、必要に応じて加熱、攪拌した後、乾燥する方法が挙げられる。
シラン化合物の使用量は、熱膨張性黒鉛に対して好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~25質量%、さらに好ましくは1~20質量%である。シラン化合物の使用量が熱膨張性黒鉛に対して0.1質量%以上であれば耐火樹脂組成物の低粘度化が容易であり、30質量%以下であれば熱膨張性黒鉛の性能を十分に維持できる。
シラン化合物により表面処理された熱膨張性黒鉛を用いる場合、熱膨張性黒鉛全量中の、シラン化合物により表面処理された熱膨張性黒鉛の含有割合は、耐火樹脂組成物を低粘度化する観点から、好ましくは10~100質量%、より好ましくは15~100質量%、さらに好ましくは30~100質量%である。
(無機充填材)
耐火樹脂層を構成する耐火樹脂組成物及び耐火シートは、熱膨張性黒鉛以外に、さらに無機充填材を含有する。無機充填材は、骨材的役割を果たして、加熱され膨張した後における耐火シート(すなわち、膨張残渣)の機械強度を向上させ、かつ耐火シートの熱容量を増大させる。
無機充填材の具体例としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム等の金属硫酸塩、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、シリカ、珪藻土、ドーソナイト、タルク、カオリン、ドロマイト、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填材は、1種もしくは2種以上を使用することができる。
上記の中でも、耐火シートの機械強度を向上させる観点から、無機金属塩が好ましく、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、及び金属硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、金属炭酸塩及び金属硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
さらに本発明においては、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくする観点から、無機充填材として、長周期表における原子番号が21以上の金属元素を含有する無機金属塩を含むことがより好ましい。当該金属元素を含有する無機金属塩は比重が大きいことから、機械強度を向上させるとともに耐火樹脂組成物を低粘度化することが可能となる。
当該金属元素の中でも、チタン、亜鉛、鉄、及びバリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、鉄もしくはバリウムがより好ましい。長周期表における原子番号が21以上の金属元素を含有する無機金属塩の例としては、好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられ、酸化鉄もしくは硫酸バリウムがより好ましい。
長周期表における原子番号が21以上の金属元素を含有する無機金属塩を用いる場合、無機充填材中の該無機金属塩の含有量は、耐火樹脂組成物を低粘度化する観点から、好ましくは5~100質量%、より好ましくは10~100質量%、さらに好ましくは15~100質量%である。
無機充填材は、粒状であることが好ましい。粒状の無機充填材の平均粒子径は、0.5~200μmの範囲が好ましく、1~50μmの範囲がより好ましい。平均粒子径は、空気透過法により求めるとよい。
なお本発明において、無機充填材として、シラン化合物により表面処理された無機充填材を用いてもよい。シラン化合物により表面処理された無機充填材を用いると、耐火樹脂組成物をより低粘度化することができ、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくなる。
表面処理に用いられるシラン化合物の種類、表面処理方法、使用量並びにその好適範囲は、前記熱膨張性黒鉛の項で記載した範囲と同様である。
シラン化合物により表面処理された無機充填材を用いる場合、無機充填材全量中の、シラン化合物により表面処理された無機充填材の含有割合は、耐火樹脂組成物を低粘度化する観点から、好ましくは10~100質量%、より好ましくは15~100質量%、さらに好ましくは30~100質量%である。
耐火樹脂組成物及び耐火シート中、熱硬化性樹脂100質量部に対する熱膨張性黒鉛の含有量が10~300質量部であり、かつ無機充填材の含有量が10~300質量部であることが好ましい。
熱膨張性黒鉛の含有量を10質量部以上とすることで、耐火シートの膨張倍率を高くして耐火性能が良好になる。熱膨張性黒鉛を300質量部以下とすることで、柔軟性を維持するとともに、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制し、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくする。
また、無機充填材を10質量部以上とすることで、熱膨張後の膨張残渣でも耐火シートの機械強度が良好となる。300質量部以下とすることで柔軟性を維持するとともに、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制し、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくする。
これら観点から、熱膨張性黒鉛の含有量が30~300質量部であり、かつ無機充填材の含有量が50~300質量部であることがより好ましく、熱膨張性黒鉛の含有量が50~200質量部であり、かつ無機充填材の含有量が100~300質量部であることがより好ましい。
さらに、熱膨張性黒鉛と無機充填材の合計含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、柔軟性、機械強度、耐火性能、及び耐火樹脂組成物の粘度の観点から、好ましくは20~500質量部、より好ましくは50~400質量部である。
〔リン化合物〕
耐火樹脂組成物及び耐火シートは、さらにリン化合物を含有することが好ましい。リン化合物を含有することで、耐火シートの耐火性能が向上する。当該リン化合物は、リン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
リン酸塩としては、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム等のリン酸金属塩が挙げられる。中でも、リン酸アルミニウムが好ましい。
ポリリン酸塩としては、例えばポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸アンモニウムアミド等のポリリン酸アンモニウム塩類、ポリリン酸アルミニウム等のポリリン酸金属塩が挙げられる。中でも、難燃性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好ましい。
亜リン酸塩としては、例えば亜リン酸ナトリウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩が挙げられ、中でも、亜リン酸アルミニウムが好ましい。
また次亜リン酸塩としては、例えば次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸アルミニウム等の次亜リン酸金属塩が挙げられる。
本発明に用いるリン化合物は、シラン化合物により表面処理された、リン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。シラン化合物により表面処理された上記リン化合物を用いると、耐火樹脂組成物をより低粘度化することができ、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくなる。
表面処理に用いられるシラン化合物の種類、表面処理方法、使用量並びにその好適範囲は、前記熱膨張性黒鉛の項で記載した範囲と同様である。
シラン化合物により表面処理された上記リン化合物を用いる場合、リン化合物全量中の、シラン化合物により表面処理された、リン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩の含有割合は、耐火樹脂組成物を低粘度化する観点から、好ましくは10~100質量%、より好ましくは15~100質量%、さらに好ましくは30~100質量%である。
上記以外に使用し得るリン化合物としては、赤リン、縮合リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、含ハロゲン縮合型リン酸エステル、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は以下の通りである。

式(1)中、R1及びR3は、同一又は異なって、水素、炭素数1~16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6~16のアリール基を示す。R2は、水酸基、炭素数1~16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1~16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6~16のアリール基、又は、炭素数6~16のアリールオキシ基を示す。
上記化学式で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2-メチルプロピルホスホン酸、t-ブチルホスホン酸、2,3-ジメチル-ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
上記リン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
リン化合物は、前述した炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩と反応して、金属炭酸塩の膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、前記ポリリン酸アンモニウム類を使用した場合に、高い膨張効果が得られやすくなる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い膨張残渣を形成する。
リン化合物を用いる場合、その含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは20~300質量部、より好ましくは40~250質量部である。リン化合物の含有量をこれら下限値以上とすることで、耐火シートの耐火性能をより向上させるとともに、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制し、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくなる。また、上限値以下とすることで耐火シートの柔軟性、形状保持性などを確保しやすくなる。
(添加剤)
耐火樹脂組成物及び耐火シートは、さらに界面活性剤及び可塑剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することができる。これらの添加剤を含有することで、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制し、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくなる。
上記添加剤は、耐火性能の観点から、リン原子を含有する化合物であることが好ましい。また、熱硬化性樹脂との反応性を持たない、非反応性の界面活性剤、又は非反応性の可塑剤であることが好ましい。
〔界面活性剤〕
耐火樹脂組成物及び耐火シートは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、耐火シートにおいて、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材の分散性を良好にする。そのため、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を耐火シートに多量に含有させやすくなる。また、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制し、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくなる。
界面活性剤としては、親水基部分と、樹脂成分と相溶性を有する疎水基部分を有するとよい。具体的には、ポリエーテルリン酸エステル又はそのアミン塩、ポリエーテルポリオールポリエステル酸又はそのアミン塩、ポリエステルのアミン塩、ポリカルボン酸のアミン塩、ポリアミノアマイドとリン酸との燐酸塩、ポリエステル酸アミド又はそのアミン塩、スチレン化フェノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタンなどの脂肪酸エステル系界面活性剤などが挙げられる。これら界面活性剤において使用されるアミンはポリアミンであってもよい。これらの中では、ポリエーテルリン酸エステルが好ましい。
界面活性剤を用いる場合、その含有量は、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制する観点から、熱硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3~15質量部、より好ましくは0.5~10質量部である。
〔可塑剤〕
耐火樹脂組成物及び耐火シートは、可塑剤を含有してもよい。可塑剤を含むことで、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制し、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくなる。また、耐火シートの柔軟性や加工性を高めやすくなり、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に可撓性を付与することが可能になる。
可塑剤としては、熱硬化性樹脂との反応性を持たない、非反応性の可塑剤であることが好ましく、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等のアジピン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル系可塑剤、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル系可塑剤、タール、石油樹脂などが挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、リン酸エステル系可塑剤が好ましく、トリフェニルホスフェートがより好ましい。
可塑剤を用いる場合、その含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは1~50質量部、より好ましくは5~30質量部、さらに好ましくは8~20質量部である。可塑剤の含有量を上記範囲内とすることで、耐火樹脂組成物の高粘度化を抑制できる。また加工性を良好にしつつ、耐火シートに柔軟性を付与しやすくなる。
[その他の成分]
耐火樹脂組成物及び耐火シートは、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の上記した成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分の含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、50質量部以下、好ましくは30質量部以下である。
[耐火樹脂組成物の粘度]
本発明に用いる耐火樹脂組成物は、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすくする観点から、粘度が低い方が好ましい。例えば、耐火樹脂組成物の40℃における粘度は、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下である。耐火樹脂組成物の40℃における粘度の下限値は特に限定されないが、通常、1Pa・s以上である。
耐火樹脂組成物の40℃における粘度が100Pa・s以下であると、耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整しやすく、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートを得ることができる。
上記粘度はレオメータを用いて40℃、せん断速度60rpmで測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
<耐火シートの製造方法>
本発明の耐火シートは、例えば、下記第1工程~第3工程を有する製造方法により製造されるとよい。以下、耐火シートの製造方法について詳細に説明する。
第1工程:熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を混合し、耐火樹脂組成物を調製する工程
第2工程:上記耐火樹脂組成物をシート状に成形し、次いで養生を行う工程
第3工程:上記養生を行った後に加熱する工程
[第1工程]
第1工程では、熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を混合して耐火樹脂組成物を調製する。耐火樹脂組成物に上記したリン化合物、添加剤等の任意の成分を配合する場合には、熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材に加えて、任意の成分も合わせて配合し、混合すればよい。
耐火樹脂組成物の調製において、上記各成分の混合に使用される装置は、特に限定されないが、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機、攪拌翼を備える攪拌機等、公知の混練機を使用することができる。
主剤と硬化剤とからなる熱硬化性樹脂を用いる場合は、主剤と硬化剤とを別々に混練しておき、成形直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練してもよい。
さらに、耐火樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法、有機溶剤に分散してスラリーを調製する等の方法も採ることができるが、有機溶剤を除去する工程が不要なため、有機溶剤を使用しないことが好ましい。
[第2工程]
第2工程では、第1工程で調製した耐火樹脂組成物をシート状に成形し、次いで養生を行う。本発明では、第2工程において養生を行うと、得られる耐火シートの厚み条件を所定の範囲に調整し、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートを製造しやすい。
耐火樹脂組成物の成形方法は、特に限定されないが、例えば、型枠に流し込まれてシート状にされるとよい。また、混練機として、単軸押出機、二軸押出機などを使用する場合には、押出機から耐火樹脂組成物をシート状に押し出すとよい。さらに、基材上、又は離型処理を施した離型フィルム上に耐火樹脂組成物を所望の厚みとなるよう塗工し、シート状に成形する方法も挙げられる。また、シート状に成形した耐火樹脂組成物の上に、適宜基材などをさらに積層させてもよい。
上記のようにしてシート状に成形した耐火樹脂組成物の養生は、例えば10~40℃、好ましくは15~35℃の温度で、0.5~24時間、好ましくは0.5~12時間静置することにより行うことができる。
[第3工程]
第3工程では、前記第2工程においてシート状に成形した耐火樹脂組成物について、養生を行った後に加熱する。これによりシート状に成形した前記耐火樹脂組成物を硬化等して、耐火樹脂層を形成する。
加熱温度は、使用する熱硬化性樹脂の種類などによって適宜調整すればよいが、例えば、40~150℃、好ましくは45~130℃である。また、加熱時間は、特に限定されないが、例えば1~15時間程度である。
上記第1工程~第3工程を順に有する製造方法により、巻回体とした時の巻き姿が良好で、シート浮きが生じ難い耐火シートを容易に製造できる。
<耐火シートの使用方法>
本発明の耐火シートは、一戸建住宅、集合住宅、高層住宅、高層ビル、商業施設、公共施設等の各種の建築物、自動車、電車などの各種車両、船舶、航空機などの各種乗り物に使用できるが、これらの中では建築物に使用されることが好ましい。
耐火シートは、上記建築物、車両、船舶、航空機などを構成する部材に取り付けられて使用される。例えば、建築物では、窓、障子、ドア、戸、ふすま等の建具、柱、鉄骨コンクリート等の壁、床、屋根等に取り付けられて、火災や煙の侵入を低減又は防止することができる。これらの中では、建具に使用することが好ましい。すなわち、好ましい態様において、建具は上記した本発明の耐火シートを備える。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例における測定及び評価方法は以下の通りである。
[耐火樹脂組成物の粘度]
各例で調製した耐火樹脂組成物の粘度は、レオメータ(TAインスツルメント社製、型番「Discovery HR-2」)を用いて40℃にて測定した。せん断速度60rpmでの値を粘度測定値とし、下記基準により評価した。なお、粘度測定は、耐火樹脂組成物を調製後30分以内に行った。
A:粘度が50Pa・s以下
B:粘度が50Pa・s超、100Pa・s以下
C:粘度が100Pa・s超
[耐火シートの厚み]
各例で作製した耐火シートを200mm×200mmの正方形に切出し、ノギスで9箇所の厚みを測定した。測定箇所は上記耐火シートの四隅(4点)、耐火シートの中央(1点)、及び耐火シートの四辺の各々の中点(4点)である。
図1は上記厚み測定における測定箇所の説明図であり、「1」は200mm×200mmの正方形に切出した耐火シートの平面概略図、「2」は厚みの測定箇所である。上記9箇所の厚み測定の値の平均値、最大値及び最小値、並びに標準偏差を求めた。
[耐火シートの波打ち高さ]
各例で作製した耐火シートを200mm×200mmの正方形に切出し、水平面に載置して、水平面から耐火シートの上面までの高さをノギスで9箇所測定した。測定箇所は図1に示した、上記耐火シートの四隅(4点)、耐火シートの中央(1点)、及び耐火シートの四辺の各々の中点(4点)である。上記9箇所の波打ち高さの測定値のうち最大値を表1に示した。
[耐火性能]
各例で作製した耐火シートを60mm×60mmの正方形に切出し、上部に開口部を有する金属製の箱に入れて、400℃のオーブン内で10分加熱した。加熱後の耐火シートについて、テンシロン万能材料試験機(オリエンテック社製)にて、25℃において50mm/分の歪み速度で圧縮試験を行った。該加熱後の耐火シートの上端から30mm時点での圧縮強さから、下記基準により耐火性能を評価した。当該圧縮強さの値が大きい方が耐火性能に優れることを意味する。
A:圧縮強さが10N以上
B:圧縮強さが5N以上、10N未満
C:圧縮強さが5N未満
[耐火シートの浮き]
各例で作製した耐火シートを200mm×200mmの正方形に切出し、SUS板に貼付して2kgのロールで押圧し、浮きが発生するかどうかを目視観察して、下記基準により評価した。
A:浮いている箇所が2個未満である
B:浮いている箇所が2~5個である
C:浮いている箇所が6個以上である
[耐火シートの巻き姿]
各例で作製した耐火シートを300mm×200mmの長方形に切出し、直径10cmの紙芯に上記耐火シートの長辺が両側となるように巻き付け、巻き終わりの端部の中心を15mm×15mmのビニールテープ(商品名「オリエンテープNo.830」、セキスイ・パック社製)で留めた。紙芯の中心から、巻いた耐火シートの外周表面までの距離を4箇所測定して平均値を求め、下記基準により評価した。
A:51~53mm
B:53mm超、55mm以下
C:51mm未満もしくは55mm超
[実施例1]
表1に記載の配合の通りに原料を計量し、室温(25℃)の条件下でスリーワンモーターを用いて、攪拌速度1,000rpmで1分間混合し、耐火樹脂組成物を得た。この耐火樹脂組成物を、離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布し、室温(25℃)、10MPaの圧力でプレスして、厚み約2mmのシート状に成形した。成形後、20~23℃の温度下で1時間養生した後、90℃のオーブンで10時間加熱して熱硬化性樹脂を硬化させた。PETフィルムを剥離して、耐火シートを得た。
[実施例2~9、12~14]
表1に記載の通りに配合を変更した以外は、実施例1と同様に実施して耐火シートを得た。
[実施例10]
表1に記載の配合の通りに原料を計量し、室温(25℃)の条件下でスリーワンモーターを用いて、攪拌速度1,000rpmで1分間混合し、耐火樹脂組成物を得た。この耐火樹脂組成物を、離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布し、室温(25℃)、10MPaの圧力でプレスして、厚み約2mmのシート状に成形した。成形後、20~23℃の温度下で1時間養生した後、110℃のオーブンで10時間加熱して熱硬化性樹脂を硬化させた。PETフィルムを剥離して、耐火シートを得た。
[実施例11]
表1に記載の通りに配合を変更した以外は、実施例10と同様に実施して耐火シートを得た。
[比較例1]
養生を行わなかった以外は、実施例1と同様に実施して耐火シートを得た。
[比較例2~4]
表1に記載の通りに配合を変更した以外は、比較例1と同様に実施して耐火シートを得た。
[比較例5]
表1に記載の通りに配合を変更し、かつ養生を行わなかったこと以外は、実施例10と同様に実施して耐火シートを得た。
表1に記載の各原料は以下の通りである。なお、表1に示す配合量(質量部)はいずれも有効成分量である。
(熱硬化性樹脂)
エポキシ樹脂(主剤):ビスフェノールF型エポキシ化合物、商品名「E-807」、三菱ケミカル株式会社製
エポキシ樹脂(硬化剤):変性脂肪族ポリアミン、可撓性グレード、商品名「FL092」、三菱ケミカル株式会社製
ウレタン樹脂(主剤):ポリオキシプロピレングリコール、商品名「サンニックスPP-400」、三洋化成工業株式会社製
ウレタン樹脂(硬化剤):ポリ(ジフェニルメタンジイソシアネート)、商品名「ミリオネート MR-100」、株式会社東ソー製
フェノール樹脂:液状レゾール樹脂(不揮発分70%)、商品名「ST-611-LV」、DIC株式会社製
(熱膨張性黒鉛)
熱膨張性黒鉛(1):商品名「EXP-50S160」、富士黒鉛工業株式会社製
熱膨張性黒鉛(2):商品名「ADT-351」、ADT社製
熱膨張性黒鉛(3):商品名「CA60N」、エア・ウォーター株式会社製
熱膨張性黒鉛(4)商品名「EXP-50S120」、富士黒鉛工業株式会社製
熱膨張性黒鉛(5)商品名「EXP-50S150」、富士黒鉛工業株式会社製
熱膨張性黒鉛(6)商品名「QKG」、QKG社製
(無機充填材)
炭酸カルシウム:平均粒子径8μm(空気透過法)、商品名「BF300」、白石カルシウム株式会社製
硫酸バリウム:平均粒子径4.5μm(空気透過法)、商品名「W-6」、竹原化学工業株式会社製
(リン化合物)
リン酸塩:第三リン酸アルミニウム(AlPO)、商品名「タイポリーL2」、太平化学産業株式会社製
ポリリン酸塩:ポリリン酸アンモニウム、商品名「AP422」、クラリアントケミカルズ社製
亜リン酸塩(1):亜リン酸アルミニウム、商品名「APA-100」、太平化学産業株式会社製
亜リン酸塩(2):上記「APA-100」を、APA-100に対して10質量%のフェニルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「Z-6124」)を用い、湿式処理法により表面処理したもの
(添加剤)
界面活性剤:ポリエーテルリン酸エステル、商品名「ディスパロンDA-375」、楠本化成株式会社製
可塑剤:トリフェニルホスフェート、商品名「TPP」、大八化学工業株式会社製
表1の結果から明らかなように、各実施例では、耐火性能及び巻き姿が良好で、被着体に貼付した際のシート浮きが少ない耐火シートが得られた。

Claims (12)

  1. 熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材(但し、熱膨張性黒鉛を除く。)を含有する耐火樹脂組成物から形成される耐火樹脂層を含む耐火シートであって、
    前記耐火樹脂組成物において、前記熱硬化性樹脂100質量部に対する前記熱膨張性黒鉛の含有量が10~300質量部、前記無機充填材の含有量が10~300質量部であり、
    前記耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの最大値及び最小値の割合が100±20%の範囲であり、
    前記耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートの厚みの標準偏差の割合が10%以下であり、
    かつ、前記耐火シートの厚みの平均値に対する、該耐火シートを水平面に載置した時の波打ち高さの最大値の割合が140%以下である耐火シート。
  2. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1に記載の耐火シート。
  3. 前記耐火樹脂組成物がさらにリン化合物を含有し、該リン化合物がリン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の耐火シート。
  4. 前記リン化合物が、シラン化合物により表面処理された、リン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項に記載の耐火シート。
  5. 前記無機充填材として、長周期表における原子番号が21以上の金属元素を含有する無機金属塩を含む請求項1~のいずれか1項に記載の耐火シート。
  6. 前記耐火樹脂組成物がさらに界面活性剤及び可塑剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する請求項1~のいずれか1項に記載の耐火シート。
  7. 前記耐火シートの厚みの平均値が0.5~5mmである請求項1~のいずれか1項に記載の耐火シート。
  8. 全長が2m以上である請求項1~のいずれか1項に記載の耐火シート。
  9. 請求項1~のいずれかに記載の耐火シートを巻芯の周囲に巻回してなる巻回体。
  10. 硬化性樹脂100質量部に対して、熱膨張性黒鉛を10~300質量部、及び無機充填材(但し、熱膨張性黒鉛を除く。)を10~300質量部の割合で混合し、耐火樹脂組成物を調製する第一の工程と、
    前記耐火樹脂組成物をシート状に成形し、次いで硬化前の前記シート状の前記耐火樹脂組成物を、10~40℃の温度条件下で0.5~24時間養生を行う第二の工程と、
    前記養生を行った後に加熱して硬化する第三の工程とを備える耐火シートの製造方法。
  11. さらに、前記耐火シートを巻芯の周囲に巻き付けて巻回体とする第四の工程とを備える請求項10に記載の耐火シートの製造方法。
  12. 請求項1~のいずれかに記載の耐火シートを備えた建具。
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