JP6849532B2 - 耐火性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐火性エポキシ樹脂組成物に関する。
建築材料には、延焼を防ぐ観点から熱膨張性材料が用いられている。例えば熱膨張性材料は防火サッシまたは防火ドアに取り付けられ、加熱により燃焼、膨張して、燃焼残渣が耐火断熱層を形成する。熱膨張性材料は取り扱い性向上のために、長尺ロールの形態が求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の耐火性樹脂組成物からなるシートは、樹脂中に無機物材料を多量に含むため、柔軟性に乏しくロール化が困難であるという問題点があった。
特開2007−146169
本発明の目的は、柔軟性および耐火性に優れた耐火性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、エポキシ樹脂、熱膨張性黒鉛および無機充填剤を含有し、上記エポキシ樹脂に含まれるエポキシ化合物が、単官能エポキシ化合物であることを特徴とする、耐火性エポキシ樹脂組成物が、本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の項に記載の主題を包含する。
[1]エポキシ樹脂、熱膨張性黒鉛および無機充填剤を含有し、上記エポキシ樹脂が、単官能エポキシ化合物を含むことを特徴とする、耐火性エポキシ樹脂組成物。
[2]上記エポキシ樹脂が、単官能エポキシ化合物および多官能エポキシ樹脂の混合物を含むことを特徴とする、上記[1]に記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
[3]単官能エポキシ化合物が、分子中に少なくとも1つの芳香環を有することを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
[4]上記無機充填剤が、リン化合物および金属化合物を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
[5]上記熱膨張性黒鉛が上記エポキシ樹脂100質量部を基準として20〜350質量部の範囲である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
[6]上記無機充填剤が上記エポキシ樹脂100質量部を基準として50〜400質量部の範囲である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物を成形してなる、成形体。
[8]建具に使用する上記[7]に記載の成形体。
[9]98mm×98mm×1.5mmのエポキシ樹脂シートとしたときのJIS K 7161に準拠した引張り強さが50N未満である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物又は上記[7]又は[8]に記載の成形体。
本発明に係る耐火性エポキシ樹脂組成物の成形品は柔軟性と耐火性に優れる。
本発明に係る耐火性エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明に係る耐火性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、熱膨張性黒鉛と、無機充填剤とを含有する。
最初に、上記耐火性エポキシ樹脂組成物に使用するエポキシ樹脂について説明する。
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、エポキシ基をもつエポキシ化合物と硬化剤とを反応させることにより得られる。上記エポキシ化合物としては、上記耐火性エポキシ樹脂組成物の成型品に柔軟性を与えることから、分子中に一つのエポキシ基を有する単官能エポキシ化合物が用いられる。
上記単官能エポキシ化合物としては、特に限定はないが、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコール(EO)15グリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミドなどが挙げられる。
上記単官能エポキシ化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。
上記単官能エポキシ化合物の中でも、燃焼残渣の形状および強度が保持されやすいことから、分子中に少なくとも1つの芳香環を有する単官能エポキシ化合物を使用することが好ましく、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記エポキシ化合物は、単官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物の混合物との混合物を用いることができる。
上記多官能エポキシ化合物としては、特に限定はないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、それらの水素添加物、グリシジルエーテル型のエポキシ化合物、グリシジルエステル型のエポキシ化合物、グリシジルアミン型のエポキシ化合物などが挙げられる。上記グリシジルエーテル型のエポキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型等のモノマーが挙げられる。上記グリシジルエステル型のエポキシ化合物としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のエポキシ化合物、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが挙げられる。グリシジルアミン型のエポキシ化合物としては、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のモノマーが挙げられる。
上記多官能エポキシ化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。
上記単官能エポキシ化合物の上記多官能エポキシ化合物に対する混合比は特に限定はないが、上記混合比が、耐火性エポキシ樹脂組成物中のエポキシ化合物の官能基数の比で1/30以上の範囲であることが好ましい。
上記混合比の範囲が1/30以上の場合は本発明に係る耐火性エポキシ樹脂組成物の柔軟性が発現される。
エポキシ化合物の官能基数の比は以下の方法にて算出される。
エポキシ化合物の官能基数の比=(単官能エポキシ化合物の官能基数)÷(多官能エポキシ化合物の官能基数)
ここで、
単官能エポキシ化合物の官能基数=1×(単官能エポキシ化合物の使用部数)÷(単官能エポキシ化合物の分子量)
多官能エポキシ化合物の官能基数=(多官能エポキシ化合物の1分子当たりの官能基数)×(多官能エポキシ化合物の使用部数)÷(多官能エポキシ化合物の分子量)
である。
耐火性及び柔軟性の点で、エポキシ樹脂中の単官能エポキシ化合物は、エポキシ化合物の全量に対し、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。特には、単官能エポキシ化合物は、単官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物の合計量に対し、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、エポキシ樹脂中の単官能エポキシ化合物は、エポキシ樹脂100質量部に対し、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。
上記硬化剤としては、重付加型または触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、ポリメルカプタンなどが挙げられる。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール、ルイス酸錯体などが挙げられる。
硬化剤の配合は特に限定されないが、単官能エポキシ化合物及び多官能エポキシ化合物の合計100質量部に対して0.5〜100質量部であることが好ましい。エポキシ樹脂の硬化の促進の点で、0.5質量部以上であることが好ましく、硬化時間を十分に確保する点で、100質量部以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。
次に上記熱膨張性黒鉛について説明する。
上記熱膨張性黒鉛は加熱時に膨張するものであるが、その熱膨張開始温度が異なるものを市販品として入手することができる。
上記熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。
上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物および上記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
上記熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュの範囲のものが好ましい。
粒度が20メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、充分な膨張残渣が得られにくく、また、粒度が200メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、上記エポキシ樹脂と混練する際に分散性が悪くなり、物性が低下し易い。
上記中和された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、UCAR CARBON社製の「GRAFGUARD#160」、「GRAFGUARD#220」、東ソー社製の「GREP−EG」等が挙げられる。
次に、無機充填剤について説明する。
上記無機充填剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物、特には金属水酸化物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;難燃剤としての無機リン酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。なお、上記金属酸化物、上記含水無機物、金属炭酸塩、上記カルシウム塩他、金属元素とその他の元素とを含む化合物を、金属化合物と称する。
また上記耐火性エポキシ樹脂組成物層に使用する上記無機充填剤は骨材的役割を果たして、加熱後に生成する膨張残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与するものが好ましい。
具体的には、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛で代表される金属炭酸塩、骨材的役割の他に加熱時に吸熱効果も付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムで代表される含水無機物が好ましく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および周期律表IIbの金属炭酸塩またはこれらと上記含水無機物との混合物が好ましい。
本発明に使用する無機充填剤が粒状の場合には、その平均粒径としては、0.5〜200μ mの範囲のものが好ましく、1〜50μmの範囲のものがより好ましい。
無機充填剤の添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、平均粒径の小さいものが好ましいが、平均粒径0.5μm以上では二次凝集を防止することができ、分散性が悪くなることを防ぐことができる。
また、無機充填剤の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることによって樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、上記範囲の中でも粒径の大きいものが好ましい。
なお、平均粒径が200μm以下であれば、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下することを防ぐことができる。
金属炭酸塩、同様に骨材的や各割を果たす酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、骨剤的役割の他に加熱時の吸熱効果を付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の含水無機物を使用することが好ましく、その中でも骨材としての効果が高いため金属炭酸塩または金属酸化物を使用することがより好ましく、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素を使用することが更に好ましく、炭酸カルシウムが最も好ましい。
上記含水無機物の粒径は、小さくなると嵩が大きくなって高充填化が困難となるので、脱水効果を高めるために高充填するには粒径の大きなものが好ましい。具体的には、平均粒径が18μmでは、1.5μmの平均粒径に比べて充填限界量が約1.5倍程度向上することが知られている。さらに、粒径の大きいものと小さいものとを組み合わせることによって、より高充填化が可能となる。
上記含水無機物の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「商品名:ハイジライトH−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「商品名:ハイジライトH−31」(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「商品名:ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「商品名:BF300」(備北粉化社製)等が挙げられる。
また、本発明に使用する耐火性エポキシ樹脂組成物には、無機充填剤として、リン化合物を添加することができる。
上記リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、PX−200(大八化学工業社製)、CR−733S(大八化学工業社製)等のビスフェノールA由来の縮合リン酸エステル、CR−741S(大八化学工業社製)等のキシレノール由来の縮合リン酸エステル等の縮合型リン酸エステル、上記のリン酸エステルおよび縮合型リン酸エステルの構造中に塩素等のハロゲンを含有する含ハロゲンリン酸エステルおよび含ハロゲン縮合型リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム類、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、低級リン酸塩、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006849532
化学式(1)中、R1およびR3は、同一又は異なって、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を示す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。
上記リン化合物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
これらのうち、防火性の観点から、赤リン、下記の化学式で表される化合物、および、ポリリン酸アンモニウム類が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
上記化学式で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えばポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸アンモニウムアミド、および上記ポリリン酸アンモニウム類に発泡剤としてメラミンおよび/またはペンタエリスリトール等を加えた物が挙げられるが、難燃性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好ましい。
市販品としては、例えば、クラリアント社製の「商品名:EXOLIT AP422」および「商品名:EXOLIT AP462」等が挙げられる。
上記リン化合物は、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩と反応して、金属炭酸塩の膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
上記耐火性エポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂100質量部に対し、リン化合物を25〜250質量部含むものが形状保持性及び機械的物性の点で好ましい。
次にエポキシ樹脂、無機充填剤(リン化合物を含む)、熱膨張性黒鉛等を含む耐火性エポキシ樹脂組成物等の配合について説明する。
上記耐火性エポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂100質量部に対し、上記熱膨張性黒鉛を20〜350質量部および上記無機充填剤を50〜400質量部の範囲で含むものが好ましい。また、上記熱膨張性黒鉛および上記無機充填剤の合計は、200〜600質量部の範囲が好ましい。
かかる耐火性エポキシ樹脂組成物は加熱によって膨張し膨張残渣を形成する。この配合によれば、上記耐火性エポキシ樹脂組成物は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することもでき、安定した防火性能を達成することができる。
上記熱膨張性黒鉛の量が20質量部以上であると、膨張倍率が向上し、充分な耐火、防火性能が得られる。一方、熱膨張性黒鉛の量が350質量部以下であると、擬集力が向上するため、成形品の強度が大きくなる。
また上記無機充填剤の量が50質量部以上であると、燃焼後の残体積量を確保することができるため、十分な膨張残渣が得られる。さらに可燃物の比率が減少するため、難燃性が向上する。一方、無機充填剤の量が400質量部以下であるとエポキシ樹脂の配合比率が増加するため、十分な凝集力が得られるため成形品としての強度を確保することができる。
上記耐火性エポキシ樹脂組成物における熱膨張性黒鉛および無機充填剤の合計量は、200質量部以上では燃焼後の残渣量を確保することができ十分な防火性能が得られ、600質量部以下であると機械的物性の低下を防ぐことができ、長期の使用に耐えられる。
さらに本発明に使用する上記耐火性エポキシ樹脂組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂、成型補助材等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
次に上記耐火性エポキシ樹脂組成物の製造方法について説明する。
上記耐火性エポキシ樹脂組成物の製造方法に特に限定はないが、例えば、上記耐火性エポキシ樹脂組成物をそれぞれ有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法、有機溶剤に分散してスラリーを調製する等の方法、上記耐火性エポキシ樹脂組成物を加熱下に溶融させる等の方法により上記耐火性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。中でも、有機溶剤を除去する工程が不要なため、有機溶剤を使用しないことが好ましい。
上記耐火性エポキシ樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練することにより得ることができる。
また、上記耐火性エポキシ樹脂組成物を製造する際には、エポキシ樹脂の未反応成分とエポキシ硬化剤とに別々に混練しておき、成形直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練して得ることもできる。
また、エポキシ樹脂、熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及び任意選択のその他の成分を混合した耐火性エポキシ樹脂組成物を成形することにより耐火樹脂成形体を製造することができる。成形にはプレス成形、押し出し成形、射出成形、ロール成形が含まれる。
耐火性エポキシ樹脂組成物をシートの形状に成形した場合、シートの厚みは特に限定されないが、0.2〜10mmが好ましい。
本発明の耐火性樹脂組成物及びそれからなる耐火樹脂成形体は、建築材料に耐火性能を与えるために使用することができる。例えば、窓(引き違い窓、開き窓、上げ下げ窓等を含む)、障子、扉(すなわちドア)、戸、ふすま等の建具;柱;鉄骨コンクリート等の壁に配置して、火災や煙の侵入を低減又は防止することができる。
以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。なお本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
1.耐火性エポキシ樹脂組成物の製造
表1に示した配合により、耐火性エポキシ樹脂組成物を準備した。表1に示した各成分の詳細は次の通りである。各表の単位は質量部である。
(1)エポキシ化合物
A−1:p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX−146」)A−2:フェノール(EO)5グリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX−145」)
A−3:2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX−121」)
A−4:ビスフェノールF型エポキシ化合物(油化シェル社製「E807」)
(2)硬化剤
ヘキサメチレンジアミン誘導体(三菱化学社製「FL052」)
(3)熱膨張性黒鉛
熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)
(4)無機充填剤
B−1:ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「AP−422」)
B−2:炭酸カルシウム(備北粉化社製「BF−300」)
(実施例1)
表1の配合に従い、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル 50質量部、硬化剤50質量部、熱膨張性黒鉛100質量部、ポリリン酸アンモニウム 50質量部、炭酸カルシウム 50質量部を、合計300gとなるようにはかりとり、混練ロールで混練して耐火性エポキシ樹脂組成物を得た。
得られた耐火性エポキシ樹脂組成物を、25cm×25cm×1.5mmになるようにポリエチレンテレフタレートシートではさみ、加熱電気プレスを使用して、40℃、30秒加圧して耐火性エポキシ樹脂組成物シートを作成した。
上記耐火性エポキシ樹脂組成物シートを90℃オーブンで24時間加温することにより硬化させ、実施例1のエポキシ樹脂シートを作成した。
(実施例2)
実施例1の場合と比較して、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルに代えてフェノール(EO)5グリシジルエーテルを65質量部を使用し、硬化剤の使用量を50質量部から35質量部に変更し、熱膨張性黒鉛の使用量を100質量部から25質量部に変更し、ポリリン酸アンモニウムの使用量を50質量部から100質量部に変更したこと以外は、実施例1の場合と全く同様に実験を行い、実施例2のエポキシ樹脂シートを作成した。
(実施例3)
実施例1の場合と比較して、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルに代えて2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを45質量部を使用し、硬化剤の使用量を50質量部から55質量部に変更し、熱膨張性黒鉛の使用量を100質量部から200質量部に変更し、ポリリン酸アンモニウムの使用量を50質量部から200質量部に変更し、炭酸カルシウムの使用量を50質量部から150質量部に変更したこと以外は、実施例1の場合と全く同様に実験を行い、実施例3のエポキシ樹脂シートを作成した。
(実施例4)
実施例1の場合と比較して、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルに代えて2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを35質量部を使用し、ビスフェノールF型エポキシ化合物硬化剤10質量部を追加し、硬化剤の使用量を50質量部から55質量部に変更し、熱膨張性黒鉛の使用量を100質量部から250質量部に変更し、炭酸カルシウムの使用量を50質量部から25質量部に変更したこと以外は、実施例1の場合と全く同様に実験を行い、実施例4のエポキシ樹脂シートを作成した。
比較例1
実施例1の場合と比較して、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルに代えて2ビスフェノールF型エポキシ化合物を45質量部を使用し、硬化剤の使用量を50質量部から55質量部に変更したこと以外は、実施例1の場合と全く同様に実験を行い、比較例1のエポキシ樹脂シートを作成した。
比較例2
実施例1の場合と比較して、熱膨張性黒鉛を使用しなかったこと以外は、実施例1の場合と全く同様に実験を行い、比較例2のエポキシ樹脂シートを作成した。
比較例3
実施例1の場合と比較して、ポリリン酸アンモニウムおよび炭酸カルシウムを使用しなかったこと以外は、実施例1の場合と全く同様に実験を行い、比較例2のエポキシ樹脂シートを作成した。
2.各エポキシ樹脂シートの評価
上記の実施例1〜4及び比較例1〜3のエポキシ樹脂シートの成形体を耐火性及び柔軟性について以下のように評価した。結果を表1に示す。
[耐火性評価]
上記エポキシ樹脂シートから98mm×98mm×1.5mmの試験片を切り出し、上記試験片を電気炉にて600℃で30分間加熱した。
加熱後、試験片の形状が保持されている場合を○、加熱後の試験片を逆さまにしても形状が保持されている場合を◎、加熱後、試験片の形状が保持されておらず崩れた場合を×と評価した。
[柔軟性評価]
上記エポキシ樹脂シートをオリエンテック社製、テンシロンを用いて、JIS K 7161に準拠して、試験速度:5mm/min、試験片:ダンベル形、チャック間距離:10mmにて引張り強さを測定した。引張り強さが50N以上の場合を×、50N未満の場合を○と評価した。
Figure 0006849532
延焼防止の理由により、加熱燃焼後に形状を保持していなければならず、長尺ロール品作成の観点から、一定の柔軟性の条件を満たす必要がある。本発明に係る耐火性エポキシ樹脂組成物の成形物は上記性能を満たすことから、建具に広く応用することができる。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂、熱膨張性黒鉛および無機充填剤を含有し、前記エポキシ樹脂が、単官能エポキシ化合物を含み、エポキシ化合物全量に対する単官能エポキシ化合物の割合が40質量%以上であることを特徴とする、耐火性エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂が、単官能エポキシ化合物および多官能エポキシ樹脂の混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
  3. 単官能エポキシ化合物が、分子中に少なくとも1つの芳香環を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記無機充填剤が、リン化合物および金属化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記熱膨張性黒鉛が前記エポキシ樹脂100質量部を基準として20〜350質量部の範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記無機充填剤が前記エポキシ樹脂100質量部を基準として50〜400質量部の範囲である、請求項1〜5のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の耐火性エポキシ樹脂組成物を成型してなる、成型体。
  8. 建具に使用する請求項7に記載の成型体。
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