JP2000043035A - 耐火性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

耐火性樹脂組成物の製造方法

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JP2000043035A
JP2000043035A JP10212894A JP21289498A JP2000043035A JP 2000043035 A JP2000043035 A JP 2000043035A JP 10212894 A JP10212894 A JP 10212894A JP 21289498 A JP21289498 A JP 21289498A JP 2000043035 A JP2000043035 A JP 2000043035A
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phosphorus compound
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heat
expandable graphite
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JP10212894A
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Hirofumi Amano
裕文 天野
Kazuyoshi Yamamoto
和芳 山本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中和処理された熱膨張性黒鉛を含有する耐火
性樹脂組成物をニーダーで混練して製造する際に、中和
処理された熱膨張性黒鉛の粒子を破壊せずに混練が可能
な耐火性樹脂組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 中和処理された熱膨張性黒鉛を含有する
耐火樹樹脂組成物を、ブレード先端とケーシング内壁と
の間隙が5mm以下であるニーダーで混練して製造する
際に、混練工程の後半に中和処理された熱膨張性黒鉛全
使用量の80重量%以上を投入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火性樹脂組成物
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築材料には、耐火性、即ち、それ自体
が燃えにくく断熱性に優れ、さらには火炎を裏面に廻す
ことがない性能が要求される。耐火性の試験方法として
は、表面から加熱して裏面温度を測定する方法があり、
建築材料においては、表面を1000℃程度に加熱した
際に裏面温度が260℃よりも低くなることが要求され
ている。
【0003】このような耐火性に優れた建築材料として
は、例えば、石膏、パーライト、ALC等の材料からな
る耐火壁が用いられている。しかしながら、これらの材
料は、十分な耐火性を発揮させるために、厚みを増す必
要があり、厚みを増すと施工性に問題があった。
【0004】最近では、樹脂に大量の加熱膨張性の無機
質材料を混入した耐火膨張性シートが建築材料として検
討されている。上記耐火膨張性シートは、例えば、H型
鋼の周囲に被覆して使用され、火災時の加熱等によって
燃焼、膨張して燃焼残渣からなる耐火断熱層を形成し、
耐火性能を発現する。
【0005】このような耐火膨張性シートは、例えば、
ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及
び無機充填剤を含有する樹脂組成物から成形することが
できる。上記耐火膨張性シートでは、中和処理された熱
膨張性黒鉛が加熱により膨張して耐火断熱層を形成す
る。しかしながら、上記樹脂組成物はその混練工程にお
いて、中和処理された熱膨張性黒鉛の粒子が破壊される
ことによって火災時等に十分に膨張した耐火断熱層が形
成されないことがあり、十分な耐火性能が発揮されない
という問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中
和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を含有する樹
脂組成物をニーダーで混練して製造する際に、中和処理
された熱膨張性黒鉛の粒子を破壊せずに混練が可能な耐
火性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の耐火性樹脂組成
物の製造方法は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リ
ン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤
を混練して耐火樹樹脂組成物を製造する方法であって、
ブレード先端とケーシング内壁との間隙が5mm以下で
あるニーダーを用い、かつ、中和処理された熱膨張性黒
鉛全使用量の80重量%以上を混練過程の後半で投入す
ることを特徴とする。
【0008】上記耐火性樹脂組成物は、上記各成分をニ
ーダーを用いて溶融混練することにより得ることができ
る。上記ニーダーとしては、ブレード先端とケーシング
内壁との間隙が5mm以下となされたものが用いられ
る。このようなニーダーを使用することにより、せん断
応力がかかり、ゴム弾性を有する樹脂組成物を均一に混
練することができる。この間隙が5mmを超えると、本
発明の樹脂組成物を均一に混練することが困難になる。
【0009】上記ニーダーを使用して耐火性樹脂組成物
を得るための総混練時間は、特に限定されないが、10
〜50分間であることが好ましい。総混練時間が、10
分間未満では十分な混練を行うことができず、50分間
を超えると製造時間が長くなりすぎて不利である。ま
た、上記耐火性樹脂組成物において、中和処理された熱
膨張性黒鉛以外の成分の混練は上記総混練時間の前半で
行い、中和処理された熱膨張性黒鉛の混練は上記総混練
時間の後半で行うことが好ましい。
【0010】上記総混練時間の後半で、中和処理された
熱膨張性黒鉛が投入される。前記熱膨張性黒鉛の一部は
他成分と一緒に投入されてもよいが、少なくとも全使用
量の80重量%以上は他成分と分けて後半に投入され
る。80重量%以上が投入された後の混練時間は1〜1
5分間が好ましい。混練時間が、1分間未満では中和処
理された熱膨張性黒鉛の分散が不十分であり、15分間
を超えると熱膨張性黒鉛の形状破壊が起こる。
【0011】上記耐火性樹脂組成物は、押出成形法、カ
レンダー成形法等、従来より公知の成形法によってシー
ト(耐火膨張シート)に成形することができる。
【0012】本発明における耐火性樹脂組成物は、熱可
塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物並びに無機充
填剤からなる。
【0013】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質とし
ては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、
ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエー
テル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエ
ン、ポリイソブチレン、ニトリルゴム等が挙げられる。
【0014】クロロプレン系樹脂、塩素化ブチル系樹脂
等のハロゲン化された樹脂は、それ自体難燃性が高く、
熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱
後の残渣の強度が向上する点において好ましい。上記熱
可塑性樹脂及び/又はゴム物質として例示したものは、
非常に柔軟でゴム的性質を持っていることから、後述の
無機充填剤を高充填することが可能であり、得られる樹
脂組成物が柔軟でフレキシブルなものとなる。より柔軟
でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴ
ムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
【0015】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は、
単独で用いても、2種以上を併用してもよい。熱可塑性
樹脂及び/又はゴム物質の溶融粘度、柔軟性、粘着性等
を調整するため、2種以上のブレンド物を樹脂分として
用いてもよい。
【0016】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に
は、更に、後述の耐火膨張シートの耐火性能を阻害しな
い範囲で、架橋や変性が施されてもよい。上記熱可塑性
樹脂及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期につい
ては特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂
及び/又はゴム物質を用いてもよいし、後述のリン化合
物や無機充填剤等の他の成分を配合する際同時に架橋や
変性を行ってもよく、さらに熱可塑性樹脂及び/又はゴ
ム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性を行っても
よく、いずれの段階であってもよい。
【0017】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架
橋方法については特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴ
ム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架
橋剤、過酸化物等を使用する架橋、電子線照射による架
橋方法等が挙げられる。
【0018】上記リン化合物としては特に限定されず、
例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレ
ジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホ
スフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金
属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で
表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性
の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及
び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性
能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウ
ム類がより好ましい。
【0019】
【化1】
【0020】式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜
16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素
数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、
炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16の
アリールオキシ基を表す。
【0021】上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向
上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いるこ
とができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安
全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティング
したもの等が好適に用いられる。
【0022】上記ポリリン酸アンモニウム類としては特
に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラ
ミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取
扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用い
られる。市販品としては、例えば、ヘキスト社製「AP
422」、「AP462」;住友化学社製「スミセーフ
P」;チッソ社製「テラージュC60」、「テラージュ
C70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
【0023】上記一般式(1)で表される化合物として
は特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチル
ホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチ
ルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン
酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホ
ン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチル
ホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニル
ホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホ
スフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホ
スフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフ
ィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン
酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は
高価ではあるが、高難燃性の点から好ましい。上記リン
化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよ
い。
【0024】上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従
来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したもので
ある。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱
分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、
濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素
酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸
化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグ
ラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持し
たままの結晶化合物である。
【0025】上述のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛を、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和すること
によって、上記中和処理された熱膨張性黒鉛を得る。
【0026】上記脂肪族低級アミンとしては特に限定さ
れず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチ
ルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及び
アルカリ土類金属化合物としては特に限定されず、例え
ば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マ
グネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有
機酸塩等が挙げられる。
【0027】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メ
ッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さくなるた
め所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュよ
り大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあ
るが、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質と混練する際に
分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0028】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品
としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東
ソー社製「GREP−EG」、巴工業社製「GRAF−
GUARD」等が挙げられる。
【0029】上記無機充填剤としては特に限定されず、
例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチ
モン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイド
ロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭
酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸
カルシウム、石膏繊維、けい酸カルシウム等のカルシウ
ム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、
タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナ
イト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサ
イト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒
化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブ
ラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉
末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム
「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミ
ニウムボレート、硫化モリブデン、炭化けい素、ステン
レス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フラ
イアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。
【0030】上記無機充填剤の中でも、上記含水無機物
と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期律表IIb族
金属等の金属炭酸塩との併用が好ましい。
【0031】上記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成
する水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高
い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が
残存し、これが骨材として働くことにより残渣強度が向
上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化
アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なる
ため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広が
り、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることか
ら、両者を併用することが好ましい。
【0032】上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭
酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張が促進されると
考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモ
ニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。ま
た、金属炭酸塩は有効な骨材として働き、燃焼後に形状
保持性の高い残渣を形成する。また、上記金属炭酸塩の
中では、更に、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸
塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロン
チウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸亜鉛等の周
期律表IIb族金属の炭酸塩が好ましい。一般的に、無機
充填剤は骨材的な働きをすることから、残渣強度の向上
や熱容量の増大に寄与すると考えられる。上記無機充填
剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0033】上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜
100μmのものが好ましく、より好ましくは、約1〜
50μmである。また、粒径の大きい無機充填剤と粒径
の小さいものを組み合わせて使用することがより好まし
く、組み合わせて用いることによって、耐火膨張シート
の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能
となる。
【0034】上記樹脂組成物には、さらに多価アルコー
ル等が添加されてもよい。上記多価アルコールは、分子
中に水酸基を2つ以上有する炭化水素化合物であるが、
その炭素数は1〜50が好ましい。上記多価アルコール
としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトー
ル、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリト
ール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、グ
ルコース、フルクトース、デンプン、セルロース等が挙
げられる。上記多価アルコールは、単独で用いられても
よく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】上記多価アルコールとしては、分子中の水
酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素数)〕
が、0.2〜2.0であるものが好ましく、より好まし
くは、ペンタエリスリトール類、ソルビトール、マンニ
トール等に代表されるような、〔(水酸基数)/(炭素
数)〕が、0.7〜1.5のものである。なかでも、ペ
ンタエリスリトール類は、水酸基含有率が高いため炭化
促進効果が高く、最も好ましいものである。
【0036】上記分子中の水酸基数と炭素数との比
〔(水酸基数)/(炭素数)〕が0.2〜2.0の範囲
にある多価アルコールは、燃焼時に脱水縮合して効果的
に炭化層を形成する。上記比〔(水酸基数)/(炭素
数)〕が0.2未満であると、燃焼時には脱水縮合より
も炭素鎖の分解が起こり易くなるため、充分な炭化層を
形成することができず、2.0を超えると、炭化層の形
成には差し支えないが、耐水性が大幅に低下する。耐水
性が低下すると、成形直後の樹脂組成物を水冷する際
に、上記多価アルコールが溶出したり、成形体の保管中
の湿度によって、上記多価アルコールがブリードアウト
する等の問題点がある。
【0037】本発明で用いられる耐火性樹脂組成物とし
ては、例えば、下記樹脂組成物(1)〜(5)が好まし
い。
【0038】上記樹脂組成物(1)は、熱可塑性樹脂及
び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張
性黒鉛、並びに、無機充填剤からなり、上記リン化合物
及び上記中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量が、上記
熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して
合計量で20〜200重量部、上記中和処理された熱膨
張性黒鉛とリン化合物との重量比〔(中和処理された熱
膨張性黒鉛)/(リン化合物)〕が0.01〜9、上記
無機充填剤の配合量が、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴ
ム物質100重量部に対して50〜500重量部、上記
無機充填剤とリン化合物との重量比〔(無機充填剤)/
(リン化合物)〕が0.6〜1.5である。
【0039】上記リン化合物及び上記中和処理された熱
膨張性黒鉛の配合量は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴ
ム物質100重量部に対して、合計量で20〜200重
量部が好ましい。20重量部未満であると、充分な耐火
性が得られず、200重量部を超えると、機械的物性の
低下が大きく使用に耐えなくなる。
【0040】上記無機充填剤の配合量は、上記熱可塑性
樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、50〜
500重量部が好ましい。50重量部未満であると、充
分な耐火性が得られず、500重量部を超えると、機械
的物性の低下が大きく使用に耐えなくなる。より好まし
くは、60〜300重量部である。上記無機充填剤とリ
ン化合物との重量比〔(無機充填剤)/(リン化合
物)〕は、0.6〜1.5が好ましい。
【0041】上記中和処理された熱膨張性黒鉛と上記リ
ン化合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)
/(リン化合物)〕は、0.01〜9が好ましい。中和
処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比を、
0.01〜9とすることによって、燃焼残渣の形状保持
性と高い耐火性能を得ることができる。中和処理された
熱膨張性黒鉛の配合比率が多すぎると、燃焼時に膨張し
た黒鉛が飛散し、充分な耐火断熱層が得られない。一
方、リン化合物の配合比率が多すぎると、耐火断熱層の
形成が不充分となり、充分な断熱効果が得られない。
【0042】上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化
合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/
(リン化合物)〕が、0.01〜9の範囲内において
も、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合比率が多いと、
高い膨張倍率は得られるが形状保持性が充分ではなくな
ることがあり、この場合は、燃焼時の形状保持性の観点
から、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重
量比は、0.01〜2が好ましく、より好ましくは、
0.02〜0.3であり、更に好ましくは、0.025
〜0.2である。
【0043】上記樹脂組成物(1)の耐火機構は、必ず
しも明らかではないが、以下のように発現するものと考
えられる。即ち、中和処理された熱膨張性黒鉛は、加熱
により膨張して耐火断熱層を形成し、熱の伝達を阻止す
る。無機充填剤はその際熱容量の増大に寄与し、リン化
合物は耐火断熱層の形状保持能力を向上する。
【0044】上記樹脂組成物(2)は、熱可塑性樹脂及
び/又はゴム物質、リン化合物、及び、上記アルカリ金
属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属の金属
炭酸塩からなり、上記リン化合物及び金属炭酸塩の合計
量が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に
対して50〜900重量部、上記金属炭酸塩と上記リン
化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕
が、0.6〜1.5である。
【0045】上記リン化合物及び金属炭酸塩の配合量
は、は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部
に対して、合計量として50〜900重量部が好まし
い。上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭
酸塩)/(リン化合物)〕は、0.6〜1.5が好まし
い。上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比を0.6〜
1.5とすることによって、発泡膨張し、かつ、強固な
皮膜を形成することができる。上記金属炭酸塩が多すぎ
ると、充分な膨張倍率が得られず、上記リン化合物が多
すぎると破断強度が低下し、樹脂組成物の機械的物性が
低下する。
【0046】上記樹脂組成物(2)の耐火機構は、必ず
しも明らかではないが、以下のように発現するものと考
えられる。即ち、加熱時にリン化合物より発生するポリ
リン酸と炭酸塩との化学反応により、脱炭酸、脱アンモ
ニア反応が促進する。リン化合物はポリリン酸を発生さ
せるとともに、発泡皮膜のバインダーとして働く。金属
炭酸塩は骨材的役割を果たし、含水無機物及び/又はカ
ルシウム塩は、金属炭酸塩と同様に骨材的役割を果たす
と考えられる。
【0047】上記樹脂組成物(3)は、熱可塑性樹脂及
び/又はゴム物質、リン化合物、上記アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属の金属炭酸
塩、及び、含水無機物及び/又はカルシウム塩からな
り、上記リン化合物、金属炭酸塩並びに含水無機物及び
/又はカルシウム塩の合計量が、熱可塑性樹脂及び/又
はゴム物質100重量部に対して50〜900重量部、
上記リン化合物に対する上記金属炭酸塩並びに上記含水
無機物及び/又はカルシウム塩の合計量との重量比
〔(金属炭酸塩並びに含水無機物及び/又はカルシウム
塩の合計量)/(リン化合物)〕が0.6〜1.5、含
水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量が、上記金属
炭酸塩100重量部に対して1〜70重量部である。上
記カルシウム塩としては特に限定されず、例えば、硫酸
カルシウム、石膏、二リン酸カルシウム等が挙げられ
る。
【0048】上記リン化合物、金属炭酸塩並びに含水無
機物及び/又はカルシウム塩の合計量としては、熱可塑
性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、50
〜900重量部を配合することが好ましい。50重量部
未満であると、加熱後の残渣量が不充分となり、耐火断
熱層を形成することができず、900重量部を超える
と、樹脂組成物(3)の機械的物性が低下する。上記含
水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量としては、上
記金属炭酸塩100重量部に対して、1〜70重量部配
合することが好ましい。70重量部を超えると、良好な
形状保持性が発揮できない。
【0049】上記リン化合物に対する上記金属炭酸塩並
びに上記含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量と
の重量比〔(金属炭酸塩並びに含水無機物及び/又はカ
ルシウム塩の合計量)/(リン化合物)〕は、0.6〜
1.5が好ましい。
【0050】上記樹脂組成物(3)の耐火機構は、必ず
しも明らかではないが、以下のように発現するものと考
えられる。即ち、加熱時にリン化合物より発生するポリ
リン酸と炭酸塩との化学反応により、脱炭酸、脱アンモ
ニア反応が促進する。リン化合物はポリリン酸を発生さ
せるとともに、発泡皮膜のバインダーとして働く。金属
炭酸塩は骨材的役割を果たし、含水無機物及び/又はカ
ルシウム塩は、金属炭酸塩と同様に骨材的役割を果たす
と考えられる。
【0051】上記樹脂組成物(4)は、熱可塑性樹脂及
び/又はゴム物質、リン化合物、多価アルコール、並び
に、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表II
b族金属の金属炭酸塩からなり、上記リン化合物、多価
アルコール及び金属炭酸塩の合計量が、熱可塑性樹脂及
び/又はゴム物質100重量部に対して50〜900重
量部、上記多価アルコールとリン化合物との重量比
〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕が0.05〜
20、上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属
炭酸塩)/(リン化合物)〕が0.01〜50である。
【0052】上記リン化合物、多価アルコール及び金属
炭酸塩の配合量としては、熱可塑性樹脂及び/又はゴム
物質100重量部に対して、その3成分の合計量が50
〜900重量部となるように配合することが好ましい。
上記3成分の合計量が50重量部未満であると、加熱後
の残渣量が不充分となり、耐火断熱層を形成することが
できず、900重量部を超えると、樹脂組成物4の機械
的物性が低下する。より好ましくは、100〜700重
量部であり、更に好ましくは、200〜500重量部で
ある。
【0053】上記金属炭酸塩と上記リン化合物との重量
比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は、耐火性能と
残渣の形状保持性を向上させる観点から、0.01〜5
0が好ましく、より好ましくは0.3〜15であり、更
に好ましくは0.5〜7である。上記重量比が0.01
未満であると、耐火断熱層が脆くなる。リン化合物は金
属炭酸塩のバインダー的役割を果たしているので、上記
重量比が50を超えると、リン化合物がバインダーとし
て機能せず、成形が困難となるだけでなく、加熱時の発
泡膨張が不充分となるため、充分な耐火性能が得られな
い。
【0054】上記多価アルコールと上記リン化合物との
重量比〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕は、よ
り高い耐火性能と残渣の形状保持性を発揮する観点か
ら、0.05〜20が好ましい。上記重量比が0.05
未満であると、耐火断熱層が脆くなるため使用に耐えら
れなくなり、20を超えると、発泡膨張せず、充分な耐
火性能が得られない。より好ましくは、0.3〜10で
あり、更に好ましくは、0.4〜5である。
【0055】上記樹脂組成物(4)において、リン化合
物、多価アルコール及び金属炭酸塩とを組み合わせるこ
とによって、充分な耐熱性を有し、かつ、燃焼後の残渣
を強固なものにして形状保持を図るものである。多価ア
ルコールと金属炭酸塩に対するリン化合物の配合割合が
大きすぎると、燃焼時に大きく膨張するため、耐火断熱
層が脆くなり、材料を垂直において燃焼させた後も崩れ
ない程度に充分に強固な燃焼残渣が得られなくなる。
【0056】上記金属炭酸塩の配合量が多すぎたり、粒
径が小さくなると、吸油量が大きくなって、発泡時のマ
トリックス粘度が大きくなるために、発泡が抑制され断
熱効果が充分ではなくなる。また、金属炭酸塩の配合量
が少なくなると、粘度が低すぎて発泡せず流れてしま
う。
【0057】上記樹脂組成物(4)の耐火機構は、必ず
しも明らかではないが、以下のように発現するものと考
えられる。即ち、加熱によりリン化合物は脱水、発泡す
ると共に、炭化触媒としても作用する。多価アルコール
はリン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状
保持性の優れた耐火断熱層を形成する。金属炭酸塩は骨
材的役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。
【0058】上記樹脂組成物(5)は、熱可塑性樹脂及
び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張
性黒鉛、多価アルコール、及び、上記アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属の金属炭酸塩か
らなり、上記リン化合物、上記中和処理された熱膨張性
黒鉛、上記多価アルコール及び金属炭酸塩の合計量が、
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対
して50〜900重量部、上記多価アルコールとリン化
合物との重量比〔(多価アルコール)/(リン化合
物)〕が0.05〜20、上記中和処理された熱膨張性
黒鉛とリン化合物との重量比〔(中和処理された熱膨張
性黒鉛)/(リン化合物)〕が0.01〜9、上記金属
炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/(リ
ン化合物)〕が0.01〜50である。
【0059】上記リン化合物、中和処理された熱膨張性
黒鉛、多価アルコール及び金属炭酸塩の配合割合として
は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部
に対して、それらの合計量が50〜900重量部である
ことが好ましい。上記4成分の合計量が50重量部未満
であると、加熱後の残渣量が不充分となり、耐火断熱層
を形成することができず、900重量部を超えると、樹
脂組成物(5)の機械的物性が低下する。より好ましく
は、100〜700重量部であり、更に好ましくは、2
00〜500重量部である。
【0060】上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化
合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/
(リン化合物)〕は0.01〜9であることが好まし
い。上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との
重量比を0.01〜9とすることによって、燃焼残渣の
形状保持性と高い耐火性能を得ることができる。中和処
理された熱膨張性黒鉛の配合比率が多すぎると、燃焼時
に膨張した熱膨張性黒鉛が飛散し、充分な耐火断熱層が
得られない。一方、リン化合物の配合比率が多すぎる
と、耐火断熱層の形成が充分ではないために、充分な断
熱効果が得られない。
【0061】また、燃焼時の形状保持性という点から
は、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との
重量比は、0.01〜5であることがより好ましい。樹
脂組成物(5)自体が難燃性であっても、形状保持性が
不充分であると脆くなった残渣が崩れ落ち、火炎を貫通
させてしまう可能性もあるため、適用される用途におい
て形状保持性が必要であるか否かによって、中和処理さ
れた熱膨張性黒鉛の配合比率を選択することができる。
更に好ましくは、上記重量比0.01〜2である。
【0062】上記多価アルコールと上記リン化合物との
重量比〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕は、よ
り高い耐火性能と残渣の形状保持性を発揮する観点か
ら、0.05〜20であることが好ましい。重量比が
0.05未満であると、耐火断熱層が脆くなるため使用
に耐えられなくなり、20を超えると、発泡膨張せず、
充分な耐火性能が得られない。より好ましくは、0.3
〜10であり、更に好ましくは、0.4〜5である。
【0063】上記金属炭酸塩と上記リン化合物との重量
比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は、耐火性能と
残渣の形状保持性を向上させる観点から、0.01〜5
0が好ましく、より好ましくは0.3〜15であり、更
に好ましくは0.5〜7である。重量比が0.01未満
であると、耐火断熱層が脆くなる。リン化合物は金属炭
酸塩のバインダー的役割を果たしているので、上記重量
比が50を超えると、リン化合物がバインダーとして機
能せず、成形が困難となるだけでなく、加熱時の発泡膨
張が不充分となるため、充分な耐火性能が得られない。
【0064】上記樹脂組成物(5)の耐火機構は、必ず
しも明らかではないが、以下のように発現するものと考
えられる。即ち、加熱によりリン化合物は脱水、発泡す
ると共に炭化触媒としても作用する。多価アルコールは
リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保
持性の優れた耐火断熱層を形成する。金属炭酸塩は骨材
的役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。中和
処理された熱膨張性黒鉛は、その際に膨張して耐火断熱
層を形成し、熱の伝達を阻止するためにより有効に作用
する。
【0065】上記耐火性樹脂組成物には、樹脂組成物の
物性を損なわない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害
防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、
顔料等が添加されてもよい。
【0066】上記耐火性樹脂組成物は、前述の方法で混
練され、シート等に成形されて用いることができる。
【0067】上記耐火膨張シートは、例えば、住宅用構
造材であるH型鋼の外側に被覆し耐火被覆材として使用
される。このような用途では、耐火膨張シート自体に粘
着性を有していることが好ましく、粘着性を付与するた
めには、例えば、上記樹脂組成物に粘着付与剤を添加し
てもよい。
【0068】上記粘着付与剤としては特に限定されず、
例えば、ロジン、ロジン誘導体、ダンマル、コーパル、
クマロン・インデン樹脂、ポリテルペン、非反応性フェ
ノール樹脂、アルキッド樹脂、石油系炭化水素樹脂、キ
シレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0069】上記耐火膨張シートは、25℃での初期の
かさ密度が0.8〜2.0g/cm 3 であるものが好ま
しい。25℃での初期のかさ密度を上記範囲内とするこ
とによって、上記耐火膨張シートに要求される断熱性、
耐火性等の物性を損なわず、しかも、作業性に優れたも
のとすることができる。
【0070】上記25℃での初期のかさ密度が、0.8
g/cm3 未満であると、樹脂組成物中に充分な量の膨
張剤、炭化剤、不燃性充填剤等を添加することができ
ず、加熱後の膨張倍率、残渣量が不充分となり、耐火断
熱層を形成することができない。25℃における初期の
かさ密度が、2.0g/cm3 を超えると、上記耐火膨
張シートの重量が大きくなりすぎるために、大面積のの
張り付け作業等における作業性が低下する。より好まし
くは、1.0〜1.8g/cm3 である。
【0071】上記耐火膨張シートは、500℃で1時間
加熱したときのかさ密度が0.05〜0.5g/cm3
であるものが好ましい。500℃で1時間加熱したとき
のかさ密度が、0.05g/cm3 未満であると、隙間
が多すぎるため、膨張時の崩れにより耐火断熱層を層と
して形成することができなくなり、0.5g/cm3
超えると、膨張倍率が不充分となり、耐火性能を充分に
発揮することができず、耐火断熱層を形成することがで
きなくなる。より好ましくは、0.1〜0.3g/cm
3 である。
【0072】上記耐火膨張シートは、50kW/cm2
の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率
が、0.01〜0.3kcal/m・h・℃であること
が好ましい。50kW/cm2 の加熱条件下で30分間
体積膨張させた後の熱伝導率が、0.3kcal/m・
h・℃を超えると、断熱性能が不充分であるため充分な
耐火性能を発揮することができず、0.01kcal/
m・h・℃未満であるものは、有機物及び無機物の混合
物では作ることができない。
【0073】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例について
説明する。
【0074】(実施例1〜4)モリヤマ社製加圧型ニー
ダー「DS20」に、ブチルゴム(エクソン化学社製
「ブチルゴム#065」)40重量部、ポリブテン(出
光石油化学社製「ポリブテン100R」)50重量部、
粘着付与樹脂(トーネックス社製「エスコレッツ532
0」)10重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリア
ント社製「AP422」)110重量部、中和処理され
た熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)25
重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「H−42
M」)40重量部、炭酸カルシウム(白石カルシウム社
製「BF300」)50重量部及びカーボンブラックを
投入して、以下の混練条件により溶融混練して耐火性樹
脂組成物を製造した。次いで、この耐火性樹脂組成物を
押出機により押出成形して2mm厚の耐火膨張シートを
得た。混練条件は、表1に示したように、最初にブチル
ゴム全量を単独で混練(この時間をとする)し、その
後、中和処理された熱膨張性黒鉛以外の成分を添加して
混練(この時間をとする)し、最後に中和処理された
熱膨張性黒鉛を添加して混練(この時間をとする)し
た。
【0075】(比較例1、2)表1に示したように、最
初にブチルゴム全量を単独で混練(時間)し、その
後、残りの全成分を一括投入して混練(時間)したこ
と以外は、実施例1と同様にして耐火性樹脂組成物を製
造した後、押出成形して2mm厚の耐火膨張シートを得
た。
【0076】上記耐火膨張シートを10cm×10cm
に切断して試験片とし、この試験片を水平に設置した状
態で、コーンカロリーメーター(アトラス社製「CON
E2A」)を用いて、50kW/m2 の照射熱量下にお
き、スパークにより着火して完全燃焼させた後、試験片
の加熱後の厚み(D1)を測定し、試験片の初期厚み(D
0)との比 (D1 /D0)を、耐火膨張シートの膨張倍率と
した。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】本発明の耐火性樹脂組成物の製造方法
は、上述の構成であり、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物
質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機
充填剤を含有する樹脂組成物をニーダーで混練すること
によって製造しても、中和処理された熱膨張性黒鉛の粒
子を破壊されないので、本樹脂組成物から得られる耐火
膨張シートは膨張倍率が高く、優れた耐火性能を発現す
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00 Fターム(参考) 4F201 AA45 AB11 AB16 AB18 AB22 AH46 AR11 AR12 AR15 BA01 BC01 BC12 BC37 BK15 BK33 BK55 BK74 4J001 DA01 EE02E EE16E EE74E EE75E EE78E JA12 JB19 4J002 AC03X AC072 AC09X BB17X BB18X CL00W DA018 DA027 DA028 DA038 DA056 DE078 DE088 DE118 DE138 DE148 DE238 DE288 DF018 DG058 DH046 DH056 DJ008 DJ038 DK008 DL008 EW046 EW126 EW136 FA048 FA088 FA108 FB007 FD018 FD136 FD137 FD207 GL00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン
    化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を
    混練して耐火樹樹脂組成物を製造する方法であって、ブ
    レード先端とケーシング内壁との間隙が5mm以下であ
    るニーダーを用い、かつ、中和処理された熱膨張性黒鉛
    全使用量の80重量%以上を混練過程の後半で投入する
    ことを特徴とする耐火性樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記中和処理された熱膨張性黒鉛全使用
    量の80重量%以上を投入した後の混練時間が1〜15
    分間であることを特徴とする請求項1記載の耐火性樹脂
    組成物の製造方法。
JP10212894A 1998-07-28 1998-07-28 耐火性樹脂組成物の製造方法 Withdrawn JP2000043035A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019116759A (ja) * 2017-12-27 2019-07-18 三商株式会社 耐火性樹脂成形物、構造部材の耐火構造、および、耐火構造部材の施工方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019116759A (ja) * 2017-12-27 2019-07-18 三商株式会社 耐火性樹脂成形物、構造部材の耐火構造、および、耐火構造部材の施工方法

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