JP3707891B2 - 耐火性ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐火性ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築材料の分野においては、従来から建築基準法等の規制によって耐火性が要求されている。一方、樹脂材料は近年の用途拡大に伴って、建築材料として広く用いられるようになり、耐火性能を有する樹脂材料が要求されるようになってきた。
【0003】
このような耐火性能としては、単に樹脂材料自体が燃え難いばかりでなく、火炎を裏面に回すことがない性質等も要求されている。樹脂材料中の樹脂成分及び有機成分は、本質的に燃焼又は溶融する性質を有するので、いかに長時間燃焼又は溶融せずに保たれるかが重要な性能となる。
このため、耐火性を付与するために無機成分を配合する技術が各種提案されているが、自着性を有しない無機成分は脱落し易く、結果的に裏面に火炎を侵入させてしまうため、いかに長時間脱落しないか等が問題となる。
【0004】
例えば、特開平6−25476号公報には、ポリオレフィン樹脂に、赤リン又はリン化合物、及び熱膨張性黒鉛とが添加された樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、酸素指数から見た場合には十分な難燃性を有するため、燃えにくい材料であるといえる。
【0005】
しかし、建築分野において要求されている、▲1▼鉄骨を被覆する、▲2▼外壁の裏面を被覆する、▲3▼間仕切りの裏面を被覆する、等の被覆用途に用いる場合は、材料自身が燃えにくいだけでは十分でなく、さらに火炎に接した状態で被覆した面の温度を上昇させないという性能が要求される。
【0006】
これに対して、従来の上記樹脂組成物では、耐火試験や防火試験の基準である裏面の温度を260℃以下に抑えることができない(耐火性不充分)だけでなく、脆い灰分だけの状態となり残渣が脱落する(形状保持性不充分)ため、断熱層としての機能を早期に失うという問題点があった。
【0007】
また、例えば、特公昭61−57337号公報には、粘着性非加硫ゴムに熱膨張性黒鉛を添加して難燃性を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法は、難燃性については十分であるが、上記特開平6−25476号公報の組成物と同様、耐火性、形状保持性が不十分であるという欠点があった。
【0008】
以上に示したように、従来技術には、耐火性と形状保持性とを同時に満足し得る耐火性樹脂組成物の提案がなく、この種の材料の要請が大きい建築材料分野において耐火性能に関して要求される基準を満たすことができないために、使用用途が限定され、耐火性能が必要である壁の裏打ち材や鉄骨の被覆材等に単独で使用することができないという問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、燃焼時に充分な耐火性を有し、しかも形状保持性が良好であることによって使用用途がより広くなり、上記建築材料の被覆等、耐火性能が必要な場所にも施工可能であり、耐火断熱性能を一定時間持続できる耐火性ゴム組成物を提案する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の発明(以下、第1発明という)である耐火性ゴム組成物は、ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物を含有する耐火性ゴム組成物であって、ゴム物質100重量部に対して、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物が合計量として50〜900重量部添加されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3記載の発明(以下、第3発明という)である耐火性ゴム組成物は、ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物、及び、無機充填剤を含有する耐火性ゴム組成物であって、ゴム物質100重量部に対して、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物及び無機充填剤が合計量として50〜900重量部添加されていることを特徴とする。
【0012】
第1発明の耐火性ゴム組成物は、ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物を含有する。
【0013】
上記ゴム物質としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等が挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
【0014】
また、上記ゴム物質には、公知の粘着付与剤が添加されてもよい。
上記ゴム物質として、粘着付与剤が添加されたものを使用することにより、本発明の用耐火性樹脂組成物に粘着性を付与することができ、建築物の被覆等に用いる場合の施工性を向上させることができる。
【0015】
上記粘着付与剤としては、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物等が好適に用いられる。
【0016】
上記粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ダンマル、コーパル、クマロンインデン樹脂、ポリテルペン、非反応性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油系炭化水素樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0017】
上記可塑剤は、単独で粘着性を発現させることは難しいが、上記粘着付与樹脂との併用で粘着性を向上させることができる。具体例としては、フタル酸系、リン酸エステル系、アジピン酸エステル系、サバチン酸エステル系、リシノール酸エステル系、ポリエステル系、エポキシ系の可塑剤;塩化パラフィン等が挙げられる。
【0018】
上記油脂類も、可塑剤と同様の作用があるため、可塑性付与と粘着調整の目的で用いることができる。具体例としては、動物性油脂、植物性油脂、鉱物油、シリコーン油等が挙げられる。
【0019】
上記高分子低重合物は、粘着性付与以外に耐寒性向上、流動調整の目的で用いることができる。具体例としては、上記ゴム物質の低重合体が挙げられる。
【0020】
上記ゴム物質は、耐火性ゴム組成物の耐火性を妨げない範囲で、変性や架橋が施されてもよい。ゴム物質の架橋や変性を行う時期としては、特に制限はなく、リン化合物、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物、及びその他添加剤を添加する前後、又は添加時(例えば、押出機中で)の、いずれの段階で行なわれてもよい。また、架橋方法としては、特に制限はなく、例えば、過酸化物を使用する方法;硫黄系化合物を使用する方法等が挙げられる。
【0021】
上記リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。なかでも、ポリリン酸アンモニウム類、又は下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0022】
【化1】
Figure 0003707891
【0023】
式中、R1 、R3 は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0024】
上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたものが好ましい。
【0025】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。市販品としては、ヘキスト社製「AP422」「AP462」;住友化学工業社製「スミセーフP」が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
【0027】
上記リン化合物は、単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
上記熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0029】
上記酸処理して得られる熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和処理される。
上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられる。このように中和処理した熱膨張性黒鉛としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」等が挙げられる。
【0030】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、望む耐火断熱層が得られない。また、粒度が20メッシュより大きくなると、膨張度が大きいという点では効果があるが、樹脂と混練する際に分散性が悪くなるため物性が低下する。
【0031】
上記分子中に水酸基を有する炭化水素化合物としては、炭素数1〜50のものが好ましく、中でも分子中に水酸基を2つ以上有する多価アルコールが好ましい。ただし、デンプンのような重合体に関しては、モノマーユニット中の炭素数がこの範囲内にあるものをいう。
【0032】
上記分子中に水酸基を2つ以上有する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブタンジオール1, 4、ヘキサンジオール1, 6、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、デンプン、セルロース等が挙げられる。
【0033】
上記炭化水素化合物としては、分子中に少なくとも二つの水酸基有し、分子中の水酸基数と炭素数との比(水酸基数/炭素数)=0.2〜2.0であるのものが好ましく、より好ましくは、ペンタエリスリトール類、ソルビトール、マンニトール等に代表される、分子中の水酸基数と炭素数との比(水酸基数/炭素数)=0.7〜1.5のものである。
【0034】
上記炭化水素化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。また、上記炭化水素化合物の重縮合物を用いてもよい。
【0035】
上記範囲の水酸基数を有する炭化水素化合物を配合することによって、燃焼時に脱水縮合して効果的に炭化層を形成する。即ち、(分子中の水酸基数/分子中の炭素数)が0.2未満であると、燃焼時には脱水縮合よりも炭素鎖の分解が起こり易くなるため、十分な炭化層を形成することができなくなる。また、(分子中の水酸基数/分子中の炭素数)が2.0を超えると、炭化層の形成に支障はないが、耐水性が大幅に低下する。耐水性が低下すると、例えば、上記炭化水素化合物が、成形体を水冷した際に溶出したり、成形後保管中に湿度によりブリードアウトする、等の問題点が考えられる。
【0036】
第1発明の耐火性ゴム組成物において、ゴム物質100重量部に対して、上記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物の3成分の合計量として、50〜900重量部添加され、好ましくは100〜700重量部、より好ましくは200〜500重量部添加される。
【0037】
上記3成分の合計量が50重量部に満たない場合は、十分な耐火性能が発揮されず、900重量部を超えると、ゴム物質がバインダー的な役割を果たすことができなくなるため、各種成形が困難となる。
【0038】
また、第1発明において、より高い耐火性能と燃焼残渣の形状保持性を付与するために、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜9となるように添加するのが好ましく、より好ましくは0.01〜5、さらに好ましく0.01〜3である。
【0039】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛をリン化合物に対して、重量比で0.01〜9倍添加することによって、燃焼時の膨張性黒鉛の飛散が抑制され形状保持が可能となる。熱膨張性黒鉛が多くなると燃焼時に膨張した黒鉛が飛散し、加熱時に充分な膨張断熱層が得られず、逆にリン化合物が多くなると断熱層の形成が充分でなく、所定の断熱効果が得られなくなる。
【0040】
また、燃焼時の形状保持性という点からは、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜5の範囲が優れている。耐火性樹脂組成物自身が難燃性であっても形状保持性が不充分であると、脆くなった残渣が崩れ落ち、火炎を貫通させてしまうため、形状保持性が充分か否かにより、耐火性樹脂組成物が適応可能な用途が大きく異なる。より好ましくは、熱膨張性黒鉛/リン化合物=0.01〜3の範囲である。
【0041】
さらに、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物とリン化合物の重量比(炭化水素化合物/リン化合物)=0.02〜20となるように添加するのが好ましく、より好ましくは0.3〜10、さらに好ましくは0.4〜5である。
【0042】
上記分子中に水酸基を有する炭化水素化合物をリン化合物に対して、重量比で0.05〜20倍添加することにより、耐火性能が向上し、かつ形状保持性も向上する。添加量が、0.05倍未満であると燃焼後の発泡焼成層が脆くなって使用に耐えられなくなり、20倍を超えると充分に発泡膨張せず、充分な耐火性能が得られない。
【0043】
第1発明の耐火性ゴム組成物の耐火性能は、必ずしも明らかではないが、上記3成分(リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物)それぞれが、以下の性質を発揮することにより発現する。即ち、加熱によりはリン化合物が脱水して発泡すると共に炭化触媒としても作用する。分子中に水酸基を有する炭化水素化合物は、加熱によりリン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保持性に優れた断熱層を形成する。
つまり、このリン化合物と分子中に水酸基を有する炭化水素化合物との2成分による相互作用により、優れた耐火断熱効果が得られる。
熱膨張性黒鉛は、その際に膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する。
【0044】
次に、第3発明について説明する。
第3発明の耐火性ゴム組成物は、ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物及び無機充填剤を含有する。
【0045】
上記ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物としては、第1発明と同様な成分が用いられる。
【0046】
上記無機充填剤としては、特に限定されず、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
【0047】
上記無機充填剤の中でも、含水無機物は、加熱時に脱水して吸熱効果を発現するため高い耐熱性が得られる点で好ましい。また、周期表II又はIII 族に属する金属の金属塩あるいは酸化物は、発泡焼成物を得て燃焼後も強固に形状を保持する点(高い形状保持性を有する点)で好ましい。具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0048】
上記無機充填剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
第3発明の耐火性ゴム組成物において、ゴム物質100重量部に対して、上記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物及び無機充填剤の4成分の合計量として、50〜900重量部添加され、好ましくは100〜700重量部、さらに好ましくは200〜500重量部添加される。
【0050】
上記4成分の合計量が、50重量部未満では、十分な耐火性が得られず、900重量部を超えると、ゴム物質が不足してバインダー的な役割を果たすことができなくなるため、各種成形が困難となる。
【0051】
第3発明においては、より高い耐火性能と燃焼残渣の形状保持性を付与するために、第1発明と同様の理由により、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜9となるように添加するのが好ましく、より好ましく0.01〜5、さらに好ましくは0.01〜3である。
【0052】
また、第3発明においては、第1発明と同様の理由により、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物/リン化合物との重量比(炭化水素化合物/リン化合物)=0.05〜20が好ましく、より好ましく0.3〜10、さらに好ましくは0.4〜5である。
【0053】
さらに、第3発明において、上記無機充填剤とリン化合物の重量比(無機充填剤/リン化合物)=0.01〜50が好ましく、より好ましく0.3〜15、さらに好ましくは0.5〜7である。
【0054】
無機充填剤をリン化合物に対して、重量比で0.01〜50倍添加することにより、さらに耐火性が向上し、かつ形状保持性も向上する。
重量比が、0.01倍未満であると、発泡焼成層の力学的強度が小さくなって脆くなる。リン化合物は無機充填剤のバインダー的な役割を果たしているので、無機充填剤をリン化合物に対して、50倍を超えて添加すると、リン化合物がバインダー的な役割を果たすことができなくなり、かつ充分に発泡膨張しないため、充分な耐火性能が得られなくなる。
【0055】
本発明の耐火性ゴム組成物において、上記無機充填剤が添加されない場合でも、充分な耐火性、形状保持性を発現するが、無機充填剤を添加することによって、燃焼後の残渣がより強固なものとなるので、形状保持性がより一層向上する。
【0056】
第3発明の耐火性ゴム組成物の耐火性能は、上記4成分(リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物及び無機充填剤)それぞれが、以下の性質を発揮することにより発現する。即ち、加熱によりリン化合物が脱水して発泡すると共に炭化触媒としても作用する。分子中に水酸基を有する炭化水素化合物は、リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保持性の優れた断熱層を形成する。無機充填剤は、骨材的な役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。熱膨張性黒鉛は、その際に膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止するためにより有効に働く。
【0057】
本発明の耐火性ゴム組成物には、その物性を損なわない範囲で、更に、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、顔料等が添加されてもよい。
【0058】
本発明の耐火性ゴム組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ロール等の混練装置を用いて混練することにより得ることができる。
【0059】
本発明の耐火性ゴム組成物の使用用途は、特に限定されないが、例えば、自動車産業、電気電子産業、建築材料等の断熱性、耐火性が要求される分野で使用可能である。建築材料分野においては、例えば、耐火性ゴム組成物をシート状に加工した後、外壁裏面の被覆材、目地部分の被覆材、鉄骨の被覆材等への使用が考えられる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1〜6、比較例1〜4)
表1に示した配合割合の、ゴム物質、リン化合物、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤の各成分をロールを用いて溶融混練し、耐火性ゴム組成物を得た後、この組成物を140℃でプレス成形して板状試料を作製した。
【0062】
尚、表中、下記成分を使用した。
〔ゴム物質及び粘着付与剤〕
・ブチルゴム:エクソン社製「ブチル065」、ムーニー粘度(100℃)=47、不飽和度=2.0のイソブチレン・イソプレンゴム
・ポリブテン:出光石油化学社製「100R」、粘度(100℃、cSt)=210
・クロロプレン:東ソー社製「スカイプレンB−11」、ムーニー粘度(100℃)=45〜53
・塩素化ブチル:エクソンケミカル社製「エクソンクロロブチル1066」、ムーニー粘度(125℃)=38、塩素化度=1.2%
・粘着付与剤:エクソン社製「エスコレッツ」
【0063】
〔リン化合物〕
・ポリリン酸アンモニウム:ヘキスト社製「AP422」
・赤リン:ヘキスト社製「RP602」
・中和処理された熱膨張性黒鉛:東ソー社製「GREP−EG」
【0064】
〔分子中に水酸基を有する炭化水素化合物〕
・モノペンタエリスリトール:和光純薬社製、OH/C=0.8
・D−ソルビトール:和光純薬社製、OH/C=1.0
・コーンスターチ:日本食品化工社製「PA220」、OH/C=0.5
OH:水酸基数、 C:炭素数
【0065】
〔無機充填剤〕
・水酸化アルミニウム:昭和電工社製「ハイジライトH42M」
・炭酸カルシウム:備北粉化工社製「ライトンA」
【0066】
上記実施例及び比較例の耐火性ゴム組成物をプレス成形した得られた板状試料につき、下記の性能評価を行い、その結果を表1に示した。
(1)形状保持性
試料(長さ100mm、幅100mm、厚さ3mmに切断したもの)に、コーンカロリーメータ(アトラス社製「CONE2A」)を用いて、50kW/m2 照射熱量(水平方向)で燃焼させた。次いで、燃焼後の残渣から、長さ50mm、幅50mmの試験片を切り出し、長さ50mm、幅50mm、厚さ1mmの金属板を試験片上に載せた後、さらに金属板上に50gの分銅を載せ、残渣に崩れ等(めりこむ、びが入る等)が生じたか否かを観察し、下記の評価基準により評価した。
・残渣に崩れ等が生じなかったものを○
・残渣に崩れ等が生じたものを×
【0067】
50gの分銅で崩れの生じる試験片は、非常に脆いため、試験片を切り出すことすら困難であり、かつ試験片を長手方向に立てた時にばさっと崩れるため、実際の耐火試験等で垂直に施工して使用する場合(例えば、外壁の裏面を被覆する等)には、脱落が生じ耐火材料として使用できないことが予想される。
【0068】
(2) 耐火性の評価
ステンレス製プレート(長さ100mm、幅100mm)上に置いた試料(長さ100mm、幅100mm、厚さ4mmに切断したもの)をホットプレート上で、片面500℃まで加熱して裏面温度を測定し、下記の評価基準により評価した。
・裏面温度が260℃未満のものを○
・裏面温度が260℃以上のものを×
【0069】
【表1】
Figure 0003707891
【0070】
【発明の効果】
本発明の耐火性ゴム組成物は、加熱時に膨張断熱層を形成し、さらにその形状を保持することにより優れた耐火性を発現するため、建築材料等の幅広い用途に使用可能である。

Claims (8)

  1. ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物を含有する耐火性樹脂組成物であって、ゴム物質100重量部に対して、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物が合計量として50〜900重量部添加されていることを特徴とする耐火性ゴム組成物。
  2. 中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜9、かつ、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.05〜20となるように添加されていることを特徴とする請求項1記載の耐火性ゴム組成物。
  3. ゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物、及び、無機充填剤を含有する耐火性ゴム組成物であって、ゴム物質100重量部に対して、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物及び無機充填剤が合計量として50〜900重量部添加されていることを特徴とする耐火性ゴム組成物。
  4. 中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜9、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物とリン化合物との重量比(炭化水素化合物/リン化合物)=0.05〜20、かつ、無機充填剤とリン化合物との重量比(無機充填剤/リン化合物)=0.01〜50となるように添加されていることを特徴とする請求項3記載の耐火性ゴム組成物。
  5. リン化合物が、ポリリン酸アンモニウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐火性ゴム組成物。
  6. 分子中に水酸基を有する炭化水素化合物が、分子中に少なくとも二つの水酸基を有し、分子中の水酸基数と炭素数との比(水酸基数/炭素数)=0.2〜2.0を満足するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性ゴム組成物。
  7. 無機充填剤が、周期表II又はIII 族に属する、金属の金属塩及び/又は金属酸化物である請求項3〜6のいずれか1項に記載の耐火性ゴム組成物。
  8. 無機充填剤が、含水無機物である請求項3〜7のいずれか1項に記載の耐火性ゴム組成物。
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