JP2007142748A - クロックデータ復元装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トランスミッタ・クロック・ジッタや符号間干渉が大きい場合であっても安定してクロック信号およびデータを復元することができるクロックデータ復元装置を提供する。
【解決手段】クロックデータ復元装置1では、サンプラ部10、検出部20、タイミング決定部30およびクロック出力部40を含むループにおける処理により、クロック信号CKXA,CKXBおよびCKそれぞれの位相は、入力デジタル信号の位相と一致するよう調整され、クロック信号CKXAが指示するデジタル信号のサンプリング時刻は、直前の2ビットの値D(n-2)および値D(n-1)が互いに異なる場合のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整され、クロック信号CKXBが指示するデジタル信号のサンプリング時刻は、直前の2ビットの値D(n-2)および値D(n-1)が互いに等しい場合のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整される。
【選択図】図5

Description

本発明は、入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置に関するものである。
送信器から出力されたデジタル信号は、その送信器から伝送路を経て受信器へ伝送される間に波形が劣化することから、その受信器側においてクロック信号およびデータが復元される必要がある。このような復元を行うためのクロックデータ復元装置は、例えば特許文献1,2に開示されている。
これらの文献に開示された装置は、波形劣化したデジタル信号においてデータが遷移する時刻が変動することを考慮して、3つのタイミングで各ビットのデータを検出する。このとき、各ビットのデータを検出する際の3つのタイミングのうち、第1のタイミングは、当該ビットのデータ安定期間の初期時刻の近傍に設定され、第2のタイミングは、当該ビットのデータ安定期間の終期時刻の近傍に設定され、また、第3のタイミングは、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の中央の時刻に設定される。
そして、特許文献1に開示された装置は、各ビットについて3つのタイミングで検出したデータが全て一致するように各タイミングを調整することによりクロック信号を復元し、また、そのとき中央の第3のタイミングで各ビットのデータを検出することによりデータを復元する。
一方、特許文献2に開示された装置は、第1のタイミングおよび第2のタイミングそれぞれにおけるビットエラーレート(すなわち、これらの各タイミングで検出したデータが、中央の第3のタイミングで検出したデータと異なる割合)が互いに等しく且つ初期設定範囲内となるように各タイミングを調整することによりクロック信号を復元し、また、そのとき中央の第3のタイミングで各ビットのデータを検出することによりデータを復元する。
特開平7−221800号公報 特表2004−507963号公報
ところで、入力デジタル信号のデータ遷移時刻は、デジタル信号を送出した送信器における電源電圧変動その他のノイズに因り生じるトランスミッタ・クロック・ジッタに起因して変動し、また、デジタル信号における不規則なデータパターンと伝送路における減衰との混合に因る符号間干渉等に起因して変動する。これらトランスミッタ・クロック・ジッタや符号間干渉が大きい場合に、上記の従来の装置は、クロック信号およびデータを復元することができない場合がある。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、トランスミッタ・クロック・ジッタや符号間干渉が大きい場合であっても安定してクロック信号およびデータを復元することができるクロックデータ復元装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係るクロックデータ復元装置は、入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、サンプラ部、検出部、タイミング決定部およびクロック出力部を備える。
第1の発明におけるサンプラ部は、同一の周期Tを有するクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKを入力するとともに、デジタル信号を入力して、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、クロック信号CKXAが指示する時刻tXAでのデジタル信号の値DXA(n)、クロック信号CKXBが指示する時刻tXBでのデジタル信号の値DXB(n)、および、クロック信号CKが指示する時刻tでのデジタル信号の値D(n)、をサンプリングしホールドして出力する。ただし、「tXA<tXB<tnは整数である。
第1の発明における検出部は、各期間T(n)において、(1) ンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、(2) 「D(n-2)≠D(n-1)」である場合に、値D(n-1),値DXA(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXAにより指示される時刻とデジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第1先後関係」という。)を検出し、(3) 「D(n-2)=D(n-1)」である場合に、値D(n-1),値DXB(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXBにより指示される時刻とデジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第2先後関係」という。)を検出し、(4) 第1先後関係および第2先後関係に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相関係を検出する。
第1の発明におけるタイミング決定部は、検出部により検出された第1先後関係および第2先後関係に基づいて、「D(n-2)≠D(n-1)」である場合にクロック信号CKXAにより指示される時刻がデジタル信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、「D(n-2)=D(n-1)」である場合にクロック信号CKXBにより指示される時刻がデジタル信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、クロック信号CKXAおよびクロック信号CKXBそれぞれのタイミングの間の間隔2τを決定する。
第1の発明におけるクロック出力部は、検出部により検出された位相関係に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、タイミング決定部により決定されたタイミングに従って、「tXA=t−T/2−τ」および「tXB=t−T/2+τ」なる関係を満たすクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKをサンプラ部へ出力する。
このように構成される第1の発明に係るクロックデータ復元装置では、サンプラ部,検出部,タイミング決定部およびクロック出力部を含むループにおける処理により、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれの位相は、入力デジタル信号の位相と一致するよう調整される。また、このループ処理により、クロック信号CKXAが指示するデジタル信号のサンプリング時刻は、直前の2ビットの値D(n-2)および値D(n-1)が互いに異なる場合のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整され、また、クロック信号CKXBが指示するデジタル信号のサンプリング時刻は、直前の2ビットの値D(n-2)および値D(n-1)が互いに等しい場合のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整される。そして、復元されたクロック信号として、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKの何れかが出力される。また、復元されたデータとして、デジタル値D(n)の時系列データが出力される。
第1の発明における検出部は、(1) 「D(n-2)≠D(n-1)」である場合に、「D(n-1)≠DXA(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPA信号、および、「D(n-1)=DXA(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNA信号を、第1先後関係を表す信号として出力する第1先後関係検出回路と、(2) 「D(n-2)=D(n-1)」である場合に、「D(n-1)≠DXB(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPB信号、および、「D(n-1)=DXB(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNB信号を、第2先後関係を表す信号として出力する第2先後関係検出回路と、(3) UPA信号とUPB信号との論理和を表すUP信号、および、DNA信号とDNB信号との論理和を表すDN信号を、位相関係を表す信号として出力する位相関係検出回路と、を含むのが好適である。
第1の発明におけるタイミング決定部は、「DNA+UPB」の累積加算値cntINSIDEおよび「UPA++UPB+DNA+DNB」の累積加算値cntEDGEの比(cntINSIDE/cntEDGE)と値0.5との差が基準値以下になるように、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれのタイミングを決定するのが好適である。
第1の発明におけるクロック出力部は、(1) UP信号およびDN信号に基づいて周期Tまたは位相を調整した基準クロック信号を発生する基準クロック発生回路と、(2) タイミング決定部により決定されたタイミングに従って所要の遅延を基準クロック信号に付与して、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKを生成し、これらの信号を出力する遅延付与回路と、を含むのが好適である。
第2の発明に係るクロックデータ復元装置は、入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、サンプラ部、検出部、オフセット決定部およびクロック出力部を備える。
第2の発明におけるサンプラ部は、同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、デジタル信号を入力して、デジタル信号にオフセット(−Voff)を付与して第1信号を生成し、デジタル信号にオフセット(+Voff)を付与して第2信号を生成し、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、クロック信号CKXが指示する時刻tでの第1信号の値DXA(n)および第2信号の値DXB(n)、ならびに、クロック信号CKが指示する時刻tでのデジタル信号の値D(n)、をサンプリングしホールドして出力する。或いは、サンプラ部は、同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、デジタル信号を入力して、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、クロック信号CKXが指示する時刻tでのデジタル信号の値を、それぞれ+Voffおよび−Voffオフセットされた閾値でサンプリングしホールドしてDXA(n)およびDXB(n)としてそれぞれ出力し、クロック信号CKが指示する時刻tでのデジタル信号の値D(n)をサンプリングしホールドして出力する。ただし、「t<t」、nは整数である。
第2の発明における検出部は、各期間T(n)において、(1) サンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、(2) 値D(n-2)がハイレベルである場合に、値D(n-1),値DXA(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXにより指示される時刻と第1信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第1先後関係」という。)を検出し、(3) 値D(n-2)がローレベルである場合に、値D(n-1),値DXB(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXにより指示される時刻と第2信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第2先後関係」という。)を検出し、(4) 第1先後関係および第2先後関係に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相関係を検出する。
第2の発明におけるオフセット決定部は、検出部により検出された第1先後関係および第2先後関係に基づいて、値D(n-2)がハイレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、サンプラ部におけるオフセット付与量を決定する。
第2の発明におけるクロック出力部は、検出部により検出された位相関係に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、「t−t=T/2」なる関係を満たすクロック信号CKXおよびクロック信号CKをサンプラ部へ出力する。
このように構成される第2の発明に係るクロックデータ復元装置は、サンプラ部,検出部およびクロック出力部を含む第1ループを有するとともに、サンプラ部,検出部およびオフセット決定部を含む第2ループを有する。これら2つのループ処理により、クロック信号CKXおよびクロック信号CKそれぞれの位相は、入力デジタル信号の位相と一致するよう調整され、クロック信号CKXが指示するサンプリング時刻は、値D(n-2)がハイレベルである場合の第1信号のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整され、また、クロック信号CKXが指示するサンプリング時刻は、値D(n-2)がローレベルである場合の第2信号のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整される。そして、復元されたクロック信号として、クロック信号CKXおよびクロック信号CKの何れかが出力される。また、復元されたデータとして、デジタル値D(n)の時系列データが出力される。
第2の発明における検出部は、(1) 値D(n-2)がハイレベルである場合に、「D(n-1)≠DXA(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPA信号、および、「D(n-1)=DXA(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNA信号を、第1先後関係を表す信号として出力する第1先後関係検出回路と、(2) 値D(n-2)がローレベルである場合に、「D(n-1)≠DXB(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPB信号、および、「D(n-1)=DXB(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNB信号を、第2先後関係を表す信号として出力する第2先後関係検出回路と、(3) UPA信号とUPB信号との論理和を表すUP信号、および、DNA信号とDNB信号との論理和を表すDN信号を、位相関係を表す信号として出力する位相関係検出回路と、を含むのが好適である。
第2の発明におけるオフセット決定部は、「D(n)(DNA+UPB)+~D(n)(UPA+DNB)」の累積加算値cntINSIDEおよび「UPA+UPB+DNA+DNB」の累積加算値cntEDGEの比(cntINSIDE/cntEDGE)と値0.5との差が基準値以下になるように、サンプラ部におけるオフセット付与量を決定するのが好適である。
第2の発明におけるクロック出力部は、UP信号およびDN信号に基づいて周期Tまたは位相を調整して、クロック信号CKXおよびクロック信号CKを出力するのが好適である。
第3の発明に係るクロックデータ復元装置は、入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、サンプラ部、検出部、オフセット決定部およびクロック出力部を備える。
第3の発明におけるサンプラ部は、同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、デジタル信号を入力して、デジタル信号にオフセット(−Voff)を付与して第1信号を生成し、デジタル信号にオフセット(+Voff)を付与して第2信号を生成し、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、クロック信号CKXが指示する時刻tでの第1信号の値DXA(n)および第2信号の値DXB(n)、ならびに、クロック信号CKが指示する時刻tでのデジタル信号の値D(n)、をサンプリングしホールドして出力する。或いは、サンプラ部は、同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、デジタル信号を入力して、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、クロック信号CKXが指示する時刻tでのデジタル信号の値を、それぞれ+Voffおよび−Voffオフセットされた閾値でサンプリングしホールドしてDXA(n)およびDXB(n)としてそれぞれ出力し、クロック信号CKが指示する時刻tでのデジタル信号の値D(n)をサンプリングしホールドして出力する。ただし、「t<t」、nは整数である。
第3の発明における検出部は、各期間T(n)において、(1) サンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、(2) 値D(n-2)がハイレベルであるときに「DX(n)=DXA(n)」とし、(3) 値D(n-2)がローレベルであるときに「DX(n)=DXB(n)」として、(4) 値D(n-1),値DX(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相関係を検出する。
第3の発明におけるオフセット決定部は、値DX(n),値D(n-2),値D(n-1)および値D(n)に基づいて、値D(n-2)がハイレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、サンプラ部におけるオフセット付与量を決定する。
第3の発明におけるクロック出力部は、検出部により検出された位相関係に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、「t−t=T/2」なる関係を満たすクロック信号CKXおよびクロック信号CKをサンプラ部へ出力する。
このように構成される第3の発明に係るクロックデータ復元装置は、サンプラ部,検出部およびクロック出力部を含む第1ループを有するとともに、サンプラ部,検出部およびオフセット決定部を含む第2ループを有する。これら2つのループ処理により、クロック信号CKXおよびクロック信号CKそれぞれの位相は、入力デジタル信号の位相と一致するよう調整され、クロック信号CKXが指示するサンプリング時刻は、値D(n-2)がハイレベルである場合の第1信号のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整され、また、クロック信号CKXが指示するサンプリング時刻は、値D(n-2)がローレベルである場合の第2信号のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整される。そして、復元されたクロック信号として、クロック信号CKXおよびクロック信号CKの何れかが出力される。また、復元されたデータとして、デジタル値D(n)の時系列データが出力される。
第3の発明における検出部は、(1) 値D(n-2)がハイレベルであるときに値DXA(n)を値DX(n)として出力し、値D(n-2)がローレベルであるときに値DXB(n)を値DX(n)として出力する選択回路と、(2) 「D(n-1)≠DX(n)=D(n)」であるときに有意値となるUP信号、および、「D(n-1)=DX(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDN信号を、位相関係を表す信号として出力する位相関係検出回路と、を含むのが好適である。
第3の発明におけるオフセット決定部は、「{D(n)^D(n-1)}*{D(n-2)^DX(n)}」の累積加算値cntINSIDEおよび「D(n)^D(n-1)」の累積加算値cntEDGEの比(cntINSIDE/cntEDGE)と値0.5との差が基準値以下になるように、サンプラ部におけるオフセット付与量を決定するのが好適である。
第3の発明におけるクロック出力部は、UP信号およびDN信号に基づいて周期Tまたは位相を調整して、クロック信号CKXおよびクロック信号CKを出力するのが好適である。
本発明によれば、トランスミッタ・クロック・ジッタや符号間干渉が大きい場合であっても、安定してクロック信号およびデータを復元することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明は、波形劣化したデジタル信号において生じるパターン効果を考慮して為されたものである。そこで、先ずパターン効果について説明する。図1は、波形劣化したデジタル信号のアイパターンを模式的に示す図である。この図に示されるように、波形劣化したデジタル信号を分析すると、或るビットから次のビットへデータが遷移する際の時刻は、その時刻より前のデータのパターンに依存する。すなわち、同一データが続いた後のデータ遷移時刻は相対的に遅くなり(図中の実線)、これに対して、データが変化した後のデータ遷移時刻は相対的に早くなる(図中の破線)。
或るビットのレベルは直前のビットの符号に依存する。すなわち、同じハイレベルあっても、そのビットは、直前のビットがハイレベルであれば高いハイレベルになり、直前のビットがローレベルであれば低いハイレベルになる。ローレベルについても同じである。或るビットの次の遷移は、そのビットのレベルに依存する。高いハイレベルからローレベルに遷移する場合には、低いローレベルから遷移する場合よりも遠くから遷移するため、遷移時刻が遅くなる。低いローレベルからハイレベルに遷移する場合も同じである。高いハイレベルや低いローレベルは、直前2ビットに同レベルが続いた場合に現れる。したがって、同レベルのビットが連続した後の遷移時刻は相対的に遅くなると言える。別の見方をすると、高いハイレベルからローレベルに遷移する場合は、低いローレベルから遷移する場合よりも波形が高くなる。高いローレベルからハイレベルに遷移する場合も同じである。高いハイレベルや高いローレベルは、直前のビットがハイレベルの場合に出現する。したがって、直前のビットのレベルに依存して、直後の遷移波形のオフセットが変化する。このような現象をパターン効果という。データ遷移時刻の変動は、それより前の各ビットのデータのパターンに依存するが、特に直前の2ビットの各データの異同に大きく依存する。また、データ遷移波形は、直前のビットに依存して、オフセットを持つ。
本発明では、このようなパターン効果を考慮した上で、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合のデータ遷移時刻と、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合のデータ遷移時刻と、を互いに区分して検出する。図2は、データ遷移時刻のデータをサンプリングするタイミングを説明する図である。同図(a)は、デジタル信号のアイパターンを模式的に示している。同図(b)は、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合のデータ遷移時刻の分布、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合のデータ遷移時刻の分布、および、本発明におけるデータ遷移時刻のデータをサンプリングするタイミングを示している。また、同図(c)は、直前の2ビットの各データの異同を区別しないときのデータ遷移時刻の分布、および、特許文献2に開示された発明におけるデータ遷移時刻のデータをサンプリングするタイミングを、比較の為に示している。
同図(c)に示されるように、特許文献2に開示された発明では、直前の2ビットの各データの異同を区別しないときのデータ遷移時刻の分布の両端近傍のタイミングで、デジタル信号のデータをサンプリングする。これに対して、同図(a),(b)に示されるように、本発明では、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合のデータ遷移時刻の分布のピークのタイミング、および、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合のデータ遷移時刻の分布のピークのタイミング、それぞれでデジタル信号のデータをサンプリングする。
以下に、本発明に係るクロックデータ復元装置の第1実施形態および第2実施形態について説明する。第1実施形態では、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合のデータ遷移時刻の分布のピークのタイミングをクロック信号CKXAが指示し、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合のデータ遷移時刻の分布のピークのタイミングをクロック信号CKXBが指示するようにする。第2実施形態では、タイミング調整とオフセット量調整との間の等価関係を利用して、入力デジタル信号にオフセット電圧値(−Voff)を加算した第1信号、および、入力デジタル信号にオフセット電圧値(+Voff)を加算した第2信号それぞれについて、データ遷移時刻の分布のピークのタイミングを1つのクロック信号CKXが指示するようにするとともに、オフセット量Voffを調整する。
(第1実施形態)
先ず、本発明に係るクロックデータ復元装置の第1実施形態について説明する。図3は、第1実施形態におけるデジタル信号のデータをサンプリングするタイミングを示す図である。同図(a)に示されるように、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合、クロック信号CKXAが指示するタイミングでデジタル信号の値DXAをサンプリングする。同図(b)に示されるように、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合、クロック信号CKXBが指示するタイミングでデジタル信号の値DXBをサンプリングする。また、データ安定期間に、クロック信号CKが指示するタイミングでデジタル信号の値Dをサンプリングする。
そして、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合、値DXAおよび値Dに基づいて、データ遷移時刻の分布のピークのタイミングと、クロック信号CKXAが指示するタイミングと、の間の先後関係を表すUPA信号およびDNA信号を得て、これにより両タイミングが一致するようにする。また、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合、値DXBおよび値Dに基づいて、データ遷移時刻の分布のピークのタイミングと、クロック信号CKXBが指示するタイミングと、の間の先後関係を表すUPB信号およびDNB信号を得て、これにより両タイミングが一致するようにする。
第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1は、以上に説明したように、デジタル信号のデータをサンプリングするタイミングを、3つのクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKで指示する。図4は、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1におけるデジタル信号のデータをサンプリングするタイミングを説明する図である。この図は、デジタル信号のアイパターンを模式的に示しており、また、データサンプリングのタイミングをCKXA,CKXBおよびCKで示している。
3つのクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKは、同一の周期Tを有する。クロック信号CKXAが指示するサンプリング時刻tXAに対して、クロック信号CKXBが指示するサンプリング時刻tXBは時間2τだけ遅延しており、クロック信号CKが指示するサンプリング時刻tは時間(T/2+τ)だけ遅延している。すなわち、「tXA<tXB<t」、「tXA=t−T/2−τ」および「tXB=t−T/2+τ」なる関係が成り立つ。ただし、これらの周期T及び時間τはクロックデータ復元装置1により調整される。
また、図示されるように、周期Tの第nの期間T(n)それぞれにおいて、3つのクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれが指示するサンプリング時刻は、この順に並んでいる。nは任意の整数である。そして、各期間T(n)においてクロック信号CKXAが指示する時刻でサンプリングされるデジタル信号の値をDXA(n)と表し、各期間T(n)においてクロック信号CKXBが指示する時刻でサンプリングされるデジタル信号の値をDXB(n)と表し、また、各期間T(n)においてクロック信号CKが指示する時刻でサンプリングされるデジタル信号の値をD(n)と表す。
なお、3つのクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれは、単相であってもよいし、多相であってもよい。例えば、クロック信号CKを4相とした場合を考えると、各々の周期が4Tであって位相がπ/2づつ異なっている4つのクロック信号CK<1>,CK<2>,CK<3>,CK<4> を用い、また、これらの4つのクロック信号CK<1>〜CK<4> に対応して4つのラッチ回路をサンプラ部に設けることになる。多相とした場合、サンプラ部の回路規模が大きくなるものの、各回路ブロックに要求されるスピードは緩和される。
また、3つのクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKは、別個のものであってもよいし、何れか2つのクロック信号が共通のものであってもよい。後者の場合、例えば、共通クロック信号を周期Tでパルス幅2τとし、共通クロック信号の立上がりエッジでクロック信号CKXAを表し、共通クロック信号の立下がりエッジでクロック信号CKXBを表してもよい。
図5は、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1の全体の概略構成を示す図である。この図に示されるように、クロックデータ復元装置1は、サンプラ部10、検出部20、タイミング決定部30およびクロック出力部40を備える。
サンプラ部10は、3個のラッチ回路11〜13を含み、クロック出力部40から出力された同一の周期Tを有するクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKを入力するとともに、復元対象のデジタル信号をも入力する。ラッチ回路11は、各期間T(n)においてクロック信号CKXAが指示する時刻でのデジタル信号の値DXA(n)をサンプリングしホールドして検出部20へ出力する。ラッチ回路12は、各期間T(n)においてクロック信号CKXBが指示する時刻でのデジタル信号の値DXB(n)をサンプリングしホールドして検出部20へ出力する。また、ラッチ回路13は、各期間T(n)においてクロック信号CKが指示する時刻でのデジタル信号の値D(n)をサンプリングしホールドして検出部20へ出力する。
検出部20は、各期間T(n)においてサンプラ部10から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力する。そして、検出部20は、「D(n-2)≠D(n-1)」である場合に、値D(n-1),値DXA(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXAにより指示される時刻とデジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(第1先後関係)を検出し、この第1先後関係を表すUPA信号およびDNA信号をタイミング決定部30へ出力する。また、検出部20は、「D(n-2)=D(n-1)」である場合に、値D(n-1),値DXB(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXBにより指示される時刻とデジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(第2先後関係)を検出し、この第2先後関係を表すUPB信号およびDNB信号をタイミング決定部30へ出力する。さらに、検出部20は、上記の第1先後関係および第2先後関係に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相関係を検出し、この位相関係を表すUP信号およびDN信号をクロック出力部40へ出力する。
タイミング決定部30は、検出部20により検出された第1先後関係および第2先後関係を表すUPA信号,DNA信号,UPB信号およびDNB信号を入力する。そして、タイミング決定部30は、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合(「D(n-2)≠D(n-1)」である場合)にクロック信号CKXAにより指示される時刻がデジタル信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合(「D(n-2)=D(n-1)」である場合)にクロック信号CKXBにより指示される時刻がデジタル信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれのタイミング(すなわち、上記の時間τ)を決定する。
クロック出力部40は、検出部20により検出された位相関係を表すUPB信号およびDNB信号に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、タイミング決定部30により決定されたタイミングに従って、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKをサンプラ部10へ出力する。
図6は、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1に含まれる検出部20の回路図である。検出部20は、レジスタ回路21、先後関係検出回路22、先後関係検出回路23、位相関係検出回路24および排他的論理和回路25を含む。
レジスタ回路21は、各期間T(n)においてサンプラ部10から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力し、これらを一定期間に亘って保持し所定のタイミングで出力する。すなわち、レジスタ回路21は、或る期間に同時に、値D(n-2)および値D(n-1)を排他的論理和回路25へ出力し、値D(n-1),値D(n)および値DXA(n)を先後関係検出回路22へ出力し、また、値D(n-1),値D(n)および値DXB(n)を先後関係検出回路23へ出力する。排他的論理和回路25は、レジスタ回路21から出力された値D(n-2)および値D(n-1)を入力して、これら2つの値が互いに異なればハイレベル値を出力し、これら2つの値が互いに等しければローレベル値を出力する。
先後関係検出回路22は、位相比較回路22aを含み、レジスタ回路21から出力された値D(n-1),値D(n)および値DXA(n)を入力して、排他的論理和回路25から出力される値がハイレベル値である場合(すなわち、「D(n-2)≠D(n-1)」である場合)に、「D(n-1)≠DXA(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPA信号、および、「D(n-1)=DXA(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNA信号を、上記の第1先後関係を表す信号として出力する。
先後関係検出回路23は、位相比較回路23aを含み、レジスタ回路21から出力された値D(n-1),値D(n)および値DXB(n)を入力して、排他的論理和回路25から出力される値がローレベル値である場合(すなわち、「D(n-2)=D(n-1)」である場合)に、「D(n-1)≠DXB(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPB信号、および、「D(n-1)=DXB(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNB信号を、上記の第2先後関係を表す信号として出力する。
位相関係検出回路24は、UPA信号とUPB信号との論理和を表すUP信号、および、DNA信号とDNB信号との論理和を表すDN信号を、上記の位相関係を表す信号として出力する。
図7(a)は、先後関係検出回路22に含まれる位相比較回路22aの入出力値の真理値表を示す図表である。また、図7(b)は、先後関係検出回路23に含まれる位相比較回路23aの入出力値の真理値表を示す図表である。これら2つの真理値表は、3つの入力値のうちの1つがDXA(n)およびDXB(n)の何れかである点で相違するものの、この点を除けば、3つの入力値と2つの出力値との間の関係については共通である。
図7(a)について説明すると、図3(a)にも示されるように、「D(n-1)≠DXA(n)=D(n)」であるときに有意値1となるUPA信号は、クロック信号CKXAにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻より遅いか否かを表し、したがって、当該サンプリング時刻を早めることの要否を表す。また、「D(n-1)=DXA(n)≠D(n)」であるときに有意値1となるDNA信号は、クロック信号CKXAにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻より早いか否かを表し、したがって、当該サンプリング時刻を遅らせることの要否を表す。
同様に図7(b)について説明すると、図3(b)にも示されるように、「D(n-1)≠DXB(n)=D(n)」であるときに有意値1となるUPB信号は、クロック信号CKXBにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻より遅いか否かを表し、したがって、当該サンプリング時刻を早めることの要否を表す。また、「D(n-1)=DXB(n)≠D(n)」であるときに有意値1となるDNB信号は、クロック信号CKXBにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻より早いか否かを表し、したがって、当該サンプリング時刻を遅らせることの要否を表す。
図8は、クロック信号CKXA,CKXBにより示されるサンプリング時刻と入力デジタル信号の値の遷移との関係を示す図である。同図(a)は、波形劣化したデジタル信号のアイパターンを模式的に示す図である。
同図(b)に示されるように、「D(n-2)≠D(n-1)」である場合にクロック信号CKXAにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より遅く、「D(n-2)=D(n-1)」である場合にクロック信号CKXBにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より早い場合、クロック信号CKXA,CKXBそれぞれが指示するサンプリング時刻の間の時間差2τを長くする必要がある。
逆に、同図(c)に示されるように、「D(n-2)≠D(n-1)」である場合にクロック信号CKXAにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より早く、「D(n-2)=D(n-1)」である場合にクロック信号CKXBにより指示されるサンプリング時刻が入力デジタル信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より遅い場合、クロック信号CKXA,CKXBそれぞれが指示するサンプリング時刻の間の時間差2τを短くする必要がある。
タイミング決定部30は、図8で説明したような判定を行って時間τを調整する。図9は、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1に含まれるタイミング決定部30における処理を説明するフローチャートである。タイミング決定部30は、変数cntEDG,変数cntINSIDE,定数cntEDGTHおよび定数widthを用いて、以下のような処理を行う。
ステップS11では、変数cntEDGおよび変数cntINSIDEそれぞれの値を初期値0に設定する。続くステップS12では、UPA信号,UPB信号,DNA信号およびDNB信号それぞれの値の和を変数cntEDGの値に加算して、その加算値を変数cntEDGの新たな値とし、また、DNA信号およびUPB信号それぞれの値の和を変数cntINSIDEの値に加算して、その加算値を変数cntINSIDEの新たな値とする。更に続くステップS13では、変数cntEDGの値が定数cntEDGTHと等しいか否かを判定して、変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達していればステップS14へ進み、変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達していなければステップS12へ戻る。
ステップS12およびステップS13それぞれの処理は各期間T(n)に1回行われる。すなわち、ステップS13において変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達したと判定されるまで、周期Tの期間毎にステップS12の処理が1回行われる。そして、ステップS13において変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達したと判定されてステップS14へ進む時点で、変数cntEDGの値に対する変数cntINSIDEの値の比は、クロック信号CKXA,CKXBそれぞれが指示するサンプリング時刻の間の時間差2τと、「D(n-2)≠D(n-1)」および「D(n-2)=D(n-1)」それぞれの場合の入力デジタル信号の値の遷移時刻分布の中心時刻の間の時間差と、の関係(すなわち、図8(b)および(c)の何れであるか)を示す。
ステップS14およびステップS15において、変数cntEDGの値の0.5倍の値を中心として2widthを幅とする一定範囲に対して、変数cntINSIDEの値が如何なる関係にあるかを判定する。変数cntEDGの値の0.5倍に正定数widthを減算した値(0.5*cntEDG−width)と比べて変数cntINSIDEの値が小さいと判定した場合には、ステップS16において値τを増加させて、新たな値τをクロック出力部40へ通知する。変数cntEDGの値の0.5倍に正定数widthを加算した値(0.5*cntEDG+width)と比べて変数cntINSIDEの値が大きいと判定した場合には、ステップS17において値τを減少させて、新たな値τをクロック出力部40へ通知する。また、上記一定範囲内に変数cntINSIDEの値があると判定した場合には、ステップS18において値τを維持する。そして、ステップS16〜S18の何れかの処理が終了すると、ステップS11に戻り、これまでに説明した処理を繰り返す。
タイミング決定部30が以上のような処理を行うことで、一定範囲(0.5*cntEDG−width〜 0.5*cntEDG+width)内に変数cntINSIDEの値が存在するように、すなわち、「DNA+UPB」の累積加算値と「UPA+DNB」の累積加算値との差が基準値以下になるように、値τが調整される。このようにすることにより、クロック信号CKXA,CKXBそれぞれが指示するサンプリング時刻の間の時間差2τは、「D(n-2)≠D(n-1)」および「D(n-2)=D(n-1)」それぞれの場合の入力デジタル信号の値の遷移時刻分布の中心時刻の間の時間差と一致するように調整される。
クロック出力部40は、検出部20から出力されたUPB信号およびDNB信号に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、タイミング決定部30により決定された値τに基づいて、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKをサンプラ部10へ出力する。図10は、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1に含まれるクロック出力部40の構成を示す図である。この図に示されるように、クロック出力部40は、基準クロック発生回路41および遅延付与回路42を含む。
基準クロック発生回路41は、検出部20から出力されたUP信号およびDN信号に基づいて周期Tまたは位相を調整した基準クロック信号を発生する。基準クロック発生回路41の回路構成としては、図11〜図13に示されるように種々の態様があり得る。遅延付与回路42は、タイミング決定部30により決定されたタイミングに従って所要の遅延を、基準クロック発生回路41から出力された基準クロック信号に付与して、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKを生成し、これらの信号を出力する。このとき、クロック信号CKXAが指示するサンプリングのタイミングに対して、クロック信号CKXBが指示するサンプリングのタイミングが時間2τだけ遅れ、クロック信号CKが指示するサンプリングのタイミングが時間(T/2+τ)だけ遅れるよう、クロック信号CKXA,CKXBおよびCKを生成し出力する。
図11は、基準クロック発生回路41の第1態様の回路構成を示す図である。この図に示される基準クロック発生回路41Aは、CP(ChargePump)回路411,LPF(LowPass Filter)回路412およびVCO(Voltage-Controlled Oscillator)回路413を含む。この基準クロック発生回路41Aでは、検出部20から出力されたUP信号およびDN信号を入力したCP回路411は、UP信号およびDN信号の何れが有意値であるかに応じて、充電および放電の何れかの電流パルスをLPF回路412へ出力する。LPF回路412は、CP回路411から出力された電流パルスを入力して、その入力した電流パルスが充電および放電の何れであるかによって、出力電圧値を増減する。そして、VCO回路413は、LPF回路412から出力電圧値に応じた周期のクロック信号を発生して、この基準クロック信号を遅延付与回路42へ出力する。VCO回路413から遅延付与回路42へ出力されるクロック信号は、UP信号およびDN信号に基づいて周期が調整されたものとなる。
図12は、基準クロック発生回路41の第2態様の回路構成を示す図である。この図に示される基準クロック発生回路41Bは、CP回路411,LPF回路412,PLL(PhaseLock Loop)回路414および可変遅延回路415を含む。この基準クロック発生回路41Bでは、検出部20から出力されたUP信号およびDN信号を入力したCP回路411は、UP信号およびDN信号の何れが有意値であるかに応じて、充電および放電の何れかの電流パルスをLPF回路412へ出力する。LPF回路412は、CP回路411から出力された電流パルスを入力して、その入力した電流パルスが充電および放電の何れであるかによって、出力電圧値を増減する。PLL回路414は、入力クロックREFCLKから多相クロックを生成し、その多相クロックを可変遅延回路415へ出力する。そして、可変遅延回路415は、PLL回路414から出力された多相クロックを入力し、LPF回路412から出力された電圧値に応じた遅延を多相クロックに与えて、その遅延付与したクロックを遅延付与回路42へ出力する。可変遅延回路415から遅延付与回路42へ出力されるクロック信号は、UP信号およびDN信号に基づいて位相が調整されたものとなる。なお、PLL回路に替えてDLL(Delay Lock Loop)回路が用いられてもよい。
図13は、基準クロック発生回路41の第3態様の回路構成を示す図である。この図に示される基準クロック発生回路41Cは、PLL回路414,位相制御回路416および位相補間回路417を含む。この基準クロック発生回路41Cでは、検出部20から出力されたUP信号およびDN信号を入力した位相制御回路416は、UP信号およびDN信号の何れが有意値であるかに応じて、位相補間回路417における位相調整量の増減を指示する制御信号を出力する。PLL回路414は、入力クロックREFCLKから多相クロックを生成し、その多相クロックを位相補間回路417へ出力する。そして、位相補間回路417は、PLL回路414から出力された多相クロックを入力し、位相制御回路416から出力された制御信号に基づいて多相クロックの位相を補間により調整して、その位相調整したクロックを遅延付与回路42へ出力する。位相補間回路417から遅延付与回路42へ出力されるクロック信号は、UP信号およびDN信号に基づいて位相が調整されたものとなる。なお、PLL回路に替えてDLL回路が用いられてもよい。
以上のように構成されるクロックデータ復元装置1では、サンプラ部10,検出部20,タイミング決定部30およびクロック出力部40を含むループにおける処理により、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれの位相は、入力デジタル信号の位相と一致するよう調整される。また、このループ処理により、クロック信号CKXAが指示するデジタル信号のサンプリング時刻は、直前の2ビットの値D(n-2)および値D(n-1)が互いに異なる場合のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整され、また、クロック信号CKXBが指示するデジタル信号のサンプリング時刻は、直前の2ビットの値D(n-2)および値D(n-1)が互いに等しい場合のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整される。そして、復元されたクロック信号として、クロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKの何れかが出力される。また、復元されたデータとして、デジタル値D(n)の時系列データが出力される。
図14は、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1におけるクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれが指示するサンプリングのタイミングを示す図である。同図(a)は、入力デジタル信号のアイパターンの時間的変化の様子を示す。また、同図(b)は、入力デジタル信号の長期間に亘るアイパターンを示す。入力デジタル信号のデータ遷移時刻の変動は、そのデジタル信号を送出した送信器における電源電圧変動その他のノイズに因り生じるトランスミッタ・クロック・ジッタ、および、デジタル信号における不規則なデータパターンと伝送路における減衰との混合に因る符号間干渉、等に起因して生じる。
同図(a)において、データ安定期間の中心時刻を時系列に結ぶ二点鎖線が曲線となっているのは、トランスミッタ・クロック・ジッタに因るものである。また、直前の2ビットの値D(n-2)および値D(n-1)の異同に依存してデータ遷移時刻が異なる現象は、符号間干渉に因るものである。トランスミッタ・クロック・ジッタが大きい場合には、同図(b)に示されるように入力デジタル信号の長期間に亘るアイパターンにおいてアイが閉じてしまい、特許文献2に開示された装置の如くデータ遷移時刻の分布の両端近傍にデジタル信号のサンプリング時刻を合わせようとすると(図2(c)参照)、そのサンプリング時刻を定めることができず、したがって、データ安定期間の中心時刻をも定めることができない。
これに対して、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1では、直前の2ビットの各データが互いに異なる場合のデータ遷移時刻の分布のピークのタイミングをクロック信号CKXAが指示し、また、直前の2ビットの各データが互いに等しい場合のデータ遷移時刻の分布のピークのタイミングをクロック信号CKXBが指示するので(図2(a),(b)参照)、クロック信号CKXA,CKXBおよびCKそれぞれが指示するタイミング時刻を短期間で決定することができる。すなわち、第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1は、トランスミッタ・クロック・ジッタや符号間干渉が大きい場合であっても、安定してクロック信号およびデータを復元することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係るクロックデータ復元装置の第2実施形態について説明する。図15は、デジタル信号のデータをサンプリングするタイミングとオフセットとの関係を説明する図である。この図15(a)において、破線で示される信号は、実線で示される入力デジタル信号にオフセットVoffが付与されたものである。オフセットVoffが付与された信号および元の入力デジタル信号を同一のラッチ回路でサンプリングすることを考えると、元の入力デジタル信号のサンプリングのタイミングと比べて、オフセットVoffが付与された信号のサンプリングのタイミングは、時間τoff(=Voff/Slew Rate)だけ早くしたものと等価となる。また、このオフセットVoffを付与した入力デジタル信号をラッチ回路によりサンプリングする効果は、図15(b)に示すように、オフセットを付与しない入力デジタル信号を閾値(−Voff)でサンプリングすること、すなわち、サンプリング閾値へのオフセット付与によっても得ることができる。そこで、以下に、上記オフセット付与の等価な2つの方法のうち、入力デジタル信号に付与するオフセットを調整することにより、入力デジタル信号のサンプリング時刻を調整した第1実施形態の場合と等価の処理をする構成について第2の実施形態として説明する。
第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2は、デジタル信号のデータをサンプリングするタイミングをクロック信号CKで指示し、また、デジタル信号にオフセット(±Voff)が付与された信号のデータをサンプリングするタイミングをクロック信号CKXで指示する。図16は、第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2におけるデジタル信号のデータをサンプリングするタイミングを説明する図である。この図は、デジタル信号のアイパターンを模式的に示しており、また、データサンプリングのタイミングをCKXおよびCKで示している。なお、簡単のため、デジタル信号のオフセットを揃えて示し、サンプリングの閾値にオフセットを付与した形で示しているが、上記説明したように動作としては信号にオフセットを加える場合と等価である。
2つのクロック信号CKXおよびクロック信号CKは、同一の周期Tを有する。クロック信号CKXが指示するサンプリング時刻tと、クロック信号CKが指示するサンプリング時刻tとは、「t−t=T/2」なる関係を有する。また、周期Tの第nの期間T(n)それぞれにおいて、2つのクロック信号CKXおよびクロック信号CKそれぞれが指示するサンプリング時刻は、この順に並んでいる。nは任意の整数である。
各期間T(n)においてクロック信号CKXが指示する時刻でサンプリングされる第1信号(=入力デジタル信号−Voff)の値をDXA(n)と表し、各期間T(n)においてクロック信号CKXが指示する時刻でサンプリングされる第2信号(=入力デジタル信号+Voff)の値をDXB(n)と表し、また、各期間T(n)においてクロック信号CKが指示する時刻でサンプリングされる入力デジタル信号の値をD(n)と表す。ただし、これらの周期T及びオフセット量Voffはクロックデータ復元装置2により調整される。
なお、3つのクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれは、単相であってもよいし、多相であってもよい。例えば、クロック信号CKを4相とした場合を考えると、各々の周期が4Tであって位相がπ/2づつ異なっている4つのクロック信号CK<1>,CK<2>,CK<3>,CK<4> を用い、また、これらの4つのクロック信号CK<1>〜CK<4> に対応して4つのラッチ回路をサンプラ部に設けることになる。多相とした場合、サンプラ部の回路規模が大きくなるものの、各回路ブロックに要求されるスピードは緩和される。
また、2つのクロック信号CKXおよびクロック信号CKは、別個のものであってもよいし、共通のものであってもよい。後者の場合、共通クロック信号を周期Tでパルス幅T/2とし、共通クロック信号の立上がりエッジでクロック信号CKXを表し、共通クロック信号の立下がりエッジでクロック信号CKを表してもよい。
図17は、第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2の全体の概略構成を示す図である。この図に示されるように、クロックデータ復元装置2は、サンプラ部50、検出部60、オフセット決定部70、クロック出力部80およびDA変換部90を備える。
サンプラ部50は、3個のラッチ回路51〜53および2個の加算回路54,55を含み、クロック出力部80から出力された同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力し、DA変換部90から出力された電圧値(±Voff)を入力し、また、復元対象のデジタル信号をも入力する。加算回路54は、入力したデジタル信号にオフセット電圧値(−Voff)を加算して、その加算結果である第1信号をラッチ回路51へ出力する。加算回路55は、入力したデジタル信号にオフセット電圧値(+Voff)を加算して、その加算結果である第2信号をラッチ回路52へ出力する。ラッチ回路51は、各期間T(n)においてクロック信号CKXが指示する時刻での第1信号の値DXA(n)をサンプリングしホールドして検出部60へ出力する。ラッチ回路52は、各期間T(n)においてクロック信号CKXが指示する時刻での第2信号の値DXB(n)をサンプリングしホールドして検出部60へ出力する。また、ラッチ回路53は、各期間T(n)においてクロック信号CKが指示する時刻でのデジタル信号の値D(n)をサンプリングしホールドして検出部60およびオフセット決定部70へ出力する。
なお、入力デジタル信号へのオフセット付与に代わり、ラッチ回路におけるサンプリング閾値をオフセットする構成とする場合には、加算回路54および加算回路55を省くことができる。その場合、ラッチ回路51およびラッチ回路52にDA変換部90から出力された電圧値Voffおよび−Voffをそれぞれ入力する。そして、ラッチ回路51およびラッチ回路52は、クロック信号CKXが指示する時刻で入力デジタル信号をVoffおよび−Voffだけシフトさせた閾値でサンプリングしホールドして検出部60へそれぞれ出力する。ここで、DA変換部90は、ラッチ回路51およびラッチ回路52におけるオフセット電圧Voffおよび−Voffそのものを出力するものとしたが、ラッチ回路51およびラッチ回路52に、サンプリング閾値をVoffおよび−Voffオフセットさせる信号であれば、オフセット電圧Voffおよび−Voffそのものでなくてもよい。
検出部60は、各期間T(n)においてサンプラ部50から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力する。そして、検出部60は、値D(n-2)がハイレベルである場合に、値D(n-1),値DXA(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXにより指示される時刻とデジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(第1先後関係)を検出し、この第1先後関係を表すUPA信号およびDNA信号をオフセット決定部70へ出力する。また、検出部20は、値D(n-2)がローレベルである場合に、値D(n-1),値DXB(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKXにより指示される時刻とデジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(第2先後関係)を検出し、この第2先後関係を表すUPB信号およびDNB信号をオフセット決定部70へ出力する。さらに、検出部20は、上記の第1先後関係および第2先後関係に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相関係を検出し、この位相関係を表すUP信号およびDN信号をクロック出力部80へ出力する。
なお、第1実施形態における検出部20では、「D(n-2)≠D(n-1)」および「D(n-2)=D(n-1)」の何れの場合であるかによって、先後関係検出回路22および先後関係検出回路23の何れかから選択的に信号を出力した。これに対して、第2実施形態における検出部60では、値D(n-2)がハイレベルおよびローレベルの何れであるかによって、先後関係検出回路62および先後関係検出回路63の何れかから選択的に信号を出力する。これは、図15を用いて説明したようなタイミング調整とオフセット量調整との間の等価関係を考慮した結果に基づくものである。
オフセット決定部70は、検出部60により検出された第1先後関係および第2先後関係を表すUPA信号,DNA信号,UPB信号およびDNB信号を入力し、また、サンプラ部50から出力されたデジタル値D(n)を入力する。そして、オフセット決定部70は、値D(n-2)がハイレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、サンプラ部50におけるオフセット付与量Voffを決定し、その決定したオフセット付与量VoffをDA変換部90へ通知する。
クロック出力部80は、検出部60により検出された位相関係を表すUPB信号およびDNB信号に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、クロック信号CKXおよびクロック信号CKをサンプラ部50へ出力する。DA変換部90は、オフセット決定部70から通知されたオフセット付与量をアナログ電圧値としてサンプラ部50へ出力する。
図18は、第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2に含まれる検出部60の回路図である。検出部60は、レジスタ回路61、先後関係検出回路62、先後関係検出回路63および位相関係検出回路64を含む。
レジスタ回路61は、各期間T(n)においてサンプラ部50から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力し、これらを一定期間に亘って保持し所定のタイミングで出力する。すなわち、レジスタ回路61は、或る期間に同時に、値D(n-2),値D(n-1),値D(n)および値DXA(n)を先後関係検出回路62へ出力し、また、値D(n-2),値D(n-1),値D(n)および値DXB(n)を先後関係検出回路63へ出力する。
先後関係検出回路62は、位相比較回路62aを含み、レジスタ回路61から出力された値D(n-2),値D(n-1),値D(n)および値DXA(n)を入力して、値D(n-2)がハイレベル値である場合に、「D(n-1)≠DXA(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPA信号、および、「D(n-1)=DXA(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNA信号を、上記の第1先後関係を表す信号として出力する。この先後関係検出回路62に含まれる位相比較回路62aの入出力値の真理値表は、図7(a)に示したものと同様である。
先後関係検出回路63は、位相比較回路63aを含み、レジスタ回路61から出力された値D(n-2),値D(n-1),値D(n)および値DXB(n)を入力して、値D(n-2)がハイレベル値である場合に、「D(n-1)≠DXB(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPB信号、および、「D(n-1)=DXB(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNB信号を、上記の第2先後関係を表す信号として出力する。この先後関係検出回路63に含まれる位相比較回路63aの入出力値の真理値表は、図7(b)に示したものと同様である。
位相関係検出回路64は、UPA信号とUPB信号との論理和を表すUP信号、および、DNA信号とDNB信号との論理和を表すDN信号を、上記の位相関係を表す信号として出力する。
図19は、クロック信号CKXにより示されるサンプリング時刻とオフセット量Voffとの関係を示す図である。同図(a)に示されるように、値D(n-2)がハイレベルである場合にクロック信号CKXにより指示されるサンプリング時刻が第1信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より遅く、値D(n-2)がローレベルである場合にクロック信号CKXにより指示されるサンプリング時刻が第2信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より早い場合、オフセット量Voffを大きくする必要がある。逆に、同図(b)に示されるように、値D(n-2)がハイレベルである場合にクロック信号CKXにより指示されるサンプリング時刻が第1信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より早く、値D(n-2)がローレベルである場合にクロック信号CKXにより指示されるサンプリング時刻が第2信号の値の遷移時刻分布の中心時刻より遅い場合、オフセット量Voffを小さくする必要がある。なお、この図は、デジタル信号の値がローレベルからハイレベルに遷移する場合を示しているが、ハイレベルからローレベルに遷移する場合も同様である。
オフセット決定部70は、図19で説明したような判定を行ってオフセット量Voffを調整する。図20は、第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2に含まれるオフセット決定部70における処理を説明するフローチャートである。オフセット決定部70は、変数cntEDG,変数cntINSIDE,定数cntEDGTH,定数widthおよび値D(n)を用いて、以下のような処理を行う。
ステップS21では、変数cntEDGおよび変数cntINSIDEそれぞれの値を初期値0に設定する。続くステップS22では、UPA信号,UPB信号,DNA信号およびDNB信号それぞれの値の和を変数cntEDGの値に加算して、その加算値を変数cntEDGの新たな値とする。また、ステップS22では、値D(n)がハイレベルであるときにはDNA信号およびUPB信号それぞれの値の和を変数cntINSIDEの値に加算し、値D(n)がローレベルであるときにはUPA信号およびDNB信号それぞれの値の和を変数cntINSIDEの値に加算して、その加算値を変数cntINSIDEの新たな値とする。更に続くステップS23では、変数cntEDGの値が定数cntEDGTHと等しいか否かを判定して、変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達していればステップS24へ進み、変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達していなければステップS22へ戻る。
ステップS22およびステップS23それぞれの処理は各期間T(n)に1回行われる。すなわち、ステップS23において変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達したと判定されるまで、周期Tの期間毎にステップS22の処理が1回行われる。そして、ステップS23において変数cntEDGの値が定数cntEDGTHに達したと判定されてステップS24へ進む時点で、変数cntEDGの値に対する変数cntINSIDEの値の比は、図19(a)および(b)の何れであるかを示す。
ステップS24およびステップS25において、変数cntEDGの値の0.5倍の値を中心として2widthを幅とする一定範囲に対して、変数cntINSIDEの値が如何なる関係にあるかを判定する。変数cntEDGの値の0.5倍に正定数widthを減算した値(0.5*cntEDG−width)と比べて変数cntINSIDEの値が小さいと判定した場合には、ステップS26においてオフセット量Voffを増加させて、新たなオフセット量VoffをDA変換部90へ通知する。変数cntEDGの値の0.5倍に正定数widthを加算した値(0.5*cntEDG+width)と比べて変数cntINSIDEの値が大きいと判定した場合には、ステップS27においてオフセット量Voffを減少させて、新たなオフセット量VoffをDA変換部90へ通知する。また、上記一定範囲内に変数cntINSIDEの値があると判定した場合には、ステップS28においてオフセット量Voffを維持する。そして、ステップS26〜S28の何れかの処理が終了すると、ステップS21に戻り、これまでに説明した処理を繰り返す。
以上のように構成されるクロックデータ復元装置2は、サンプラ部50,検出部60およびクロック出力部80を含む第1ループを有するとともに、サンプラ部50,検出部60,オフセット決定部70およびDA変換部90を含む第2ループを有する。これら2つのループ処理により、クロック信号CKXおよびクロック信号CKそれぞれの位相は、入力デジタル信号の位相と一致するよう調整され、クロック信号CKXが指示するサンプリング時刻は、値D(n-2)がハイレベルである場合の第1信号のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整され、また、クロック信号CKXが指示するサンプリング時刻は、値D(n-2)がローレベルである場合の第2信号のデータ遷移時刻の分布のピーク時刻と一致するよう調整される。そして、復元されたクロック信号として、クロック信号CKXおよびクロック信号CKの何れかが出力される。また、復元されたデータとして、デジタル値D(n)の時系列データが出力される。
この第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2は、前の第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1と同様に、トランスミッタ・クロック・ジッタや符号間干渉が大きい場合であっても、安定してクロック信号およびデータを復元することができる。加えて、第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2は、以下のような効果をも奏することができる。すなわち、必要なクロック信号の個数は、第1実施形態では3個であったのに対して、第2実施形態では2個でよい。また、第1実施形態では各クロックのタイミングを調整したのに対して、第2実施形態では入力デジタル信号に付与するオフセット量を調整する。一般に、タイミング調整と比べてオフセット量調整は容易かつ高精度に可能である。このことから、第1実施形態と比較して、第2実施形態では、より安定してクロック信号およびデータを復元することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係るクロックデータ復元装置の第3実施形態について説明する。以下に説明する第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3は、前述の第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2と等価の処理を行うものである。
図21は、第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3の全体の概略構成を示す図である。この図に示されるように、クロックデータ復元装置3は、サンプラ部50、検出部60A、オフセット決定部70A、クロック出力部80およびDA変換部90を備える。これらのうちサンプラ部50、クロック出力部80およびDA変換部90それぞれは、前述の第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2に含まれるものと同様のものである。
検出部60Aは、各期間T(n)においてサンプラ部50から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力する。そして、検出部60Aは、値D(n-2)がハイレベルであるときに「DX(n)=DXA(n)」とし、値D(n-2)がローレベルであるときに「DX(n)=DXB(n)」として、値D(n-1),値DX(n)および値D(n)に基づいて、クロック信号CKとデジタル信号との間の位相関係を検出し、この位相関係を表すUP信号およびDN信号をクロック出力部80へ出力する。
オフセット決定部70Aは、値DX(n),値D(n-2),値D(n-1)および値D(n)に基づいて、値D(n-2)がハイレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合にクロック信号CKXにより指示される時刻が第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、サンプラ部50におけるオフセット付与量Voffを決定し、その決定したオフセット付与量VoffをDA変換部90へ通知する。
図22は、第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3に含まれる検出部60Aの回路図である。検出部60Aは、レジスタ回路66、選択回路67、および位相関係検出回路68を含む。
レジスタ回路66は、各期間T(n)においてサンプラ部50から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力し、これらを一定期間に亘って保持し所定のタイミングで出力する。すなわち、レジスタ回路66は、或る期間に同時に、値D(n-2),値D(n-1),値D(n),値DXA(n)および値DXB(n)を出力する。
選択回路67は、レジスタ回路66から出力された値D(n-2),値DXA(n)および値DXB(n)を入力して、値D(n-2)がハイレベルであるときに値DXA(n)を値DX(n)として出力し、値D(n-2)がローレベルであるときに値DXB(n)を値DX(n)として出力する。
位相関係検出回路68は、レジスタ回路66から出力された値D(n)および値D(n-1)を入力するとともに、選択回路67から出力された値DX(n)を入力し、図23に示される審理値表に従う論理演算を行って、UP信号およびDN信号を出力する。すなわち、位相関係検出回路68は、「D(n-1)≠DX(n)=D(n)」であるときに有意値となるUP信号、および、「D(n-1)=DX(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDN信号を、位相関係を表す信号として出力する。
前述の第2実施形態における検出部60(図18)と比較して、この第3実施形態における検出部60A(図22)は、UP信号およびDN信号の生成に関して、値DXA(n)および値DXB(n)の何れか一方を選択する処理と、位相関係を検出する処理と、を行う順序が異なるのみである。したがって、両者は、UP信号およびDN信号の生成に関して、互いに等価の処理を行うものである。
図24は、第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3に含まれるオフセット決定部70Aにおける処理を説明するフローチャートである。前述の第2実施形態におけるオフセット決定部70と比較すると、この第3実施形態におけるオフセット決定部70Aは、ステップS22に替えて設けられるステップS22Aの点で相違する。
すなわち、ステップS22Aでは、「D(n)^D(n-1)」の値を変数cntEDGの値に加算して、その加算値を変数cntEDGの新たな値とする。また、ステップS22Aでは、「{D(n)^D(n-1)}*{D(n-2)^DX(n)}」の値を変数cntINSIDEの値に加算して、その加算値を変数cntINSIDEの新たな値とする。ここで、演算記号「^」は排他的論理和を表す。この第3実施形態におけるステップS22Aの処理と、前述の第2実施形態におけるステップS22の処理とは、互いに等価である。このことについて以下に説明する。
第2実施形態において、UPA信号、DNA信号、UPB信号およびDNB信号それぞれは、下記(1)式で定義される。また、UP信号およびDN信号それぞれは、下記(2)式で定義される。そして、(1)式を(2)式に代入して整理すると、下記(3)式が得られる。(3c)式のDX(n)は、第3実施形態における検出部60Aに含まれる選択回路67から出力される値である。また、(3a)式のUPおよび(3b)式のDNは、第3実施形態における検出部60Aに含まれる位相関係検出回路68から出力される値である。すなわち、第3実施形態における検出部60Aと、前述の第2実施形態における検出部60とは、UP信号およびDN信号の生成に関して、互いに等価の処理を行うものである。
Figure 2007142748
Figure 2007142748
Figure 2007142748
第2実施形態におけるオフセット決定部70のステップS22の処理において、第1式の右辺をΔcntEDGEとおき、第2式の右辺をΔcntINSIDEとおく。上記(1)式を用いて整理すると、ΔcntEDGEは下記(4)式で表され、ΔcntINSIDEは下記(5)式で表される。これら(4)式および(5)式は、第3実施形態におけるオフセット決定部70AのステップS22Aの処理の第1式および第2式それぞれの右辺と一致する。すなわち、第3実施形態におけるオフセット決定部70Aと、前述の第2実施形態におけるオフセット決定部70とは、互いに等価の処理を行うものである。
Figure 2007142748
Figure 2007142748
したがって、この第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3は、前述の第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2と同様に動作し同様に効果を奏することができる、加えて、第2実施形態における検出部60と比較すると、この第3実施形態における検出部60Aは、回路規模が小さいので、小型化が可能である。
波形劣化したデジタル信号のアイパターンを模式的に示す図である。 データ遷移時刻のデータをサンプリングするタイミングを説明する図である。 第1実施形態におけるデジタル信号のデータをサンプリングするタイミングを示す図である。 第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1におけるデジタル信号のデータをサンプリングするタイミングを説明する図である。 第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1の全体の概略構成を示す図である。 第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1に含まれる検出部20の回路図である。 先後関係検出回路22,23に含まれる位相比較回路22a,23aの入出力値の真理値表を示す図表である。 クロック信号CKXA,CKXBにより示されるサンプリング時刻と入力デジタル信号の値の遷移との関係を示す図である。 第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1に含まれるタイミング決定部30における処理を説明するフローチャートである。 第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1に含まれるクロック出力部40の構成を示す図である。 基準クロック発生回路41の第1態様の回路構成を示す図である。 基準クロック発生回路41の第2態様の回路構成を示す図である。 基準クロック発生回路41の第3態様の回路構成を示す図である。 第1実施形態に係るクロックデータ復元装置1におけるクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKそれぞれが指示するサンプリングのタイミングを示す図である。 デジタル信号のデータをサンプリングするタイミングとオフセットとの関係を説明する図である。 第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2におけるデジタル信号のデータをサンプリングするタイミングを説明する図である。 第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2の全体の概略構成を示す図である。 第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2に含まれる検出部60の回路図である。 クロック信号CKXにより示されるサンプリング時刻とオフセット量Voffとの関係を示す図である。 第2実施形態に係るクロックデータ復元装置2に含まれるオフセット決定部70における処理を説明するフローチャートである。 第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3の全体の概略構成を示す図である。 第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3に含まれる検出部60Aの回路図である。 検出部60Aに含まれる位相関係検出回路68の入出力値の真理値表を示す図表である。 第3実施形態に係るクロックデータ復元装置3に含まれるオフセット決定部70Aにおける処理を説明するフローチャートである。
符号の説明
1,2…クロックデータ復元装置、10…サンプラ部、11〜13…ラッチ回路、20…検出部、21…レジスタ回路、22A,22B…先後関係検出回路、23…位相関係検出回路、30…タイミング決定部、40…クロック出力部、41…基準クロック発生回路、42…遅延付与回路、50…サンプラ部、51〜53…ラッチ回路、54,55…加算回路、60,60A…検出部、61…レジスタ回路、62A,62B…先後関係検出回路、63…位相関係検出回路、66…レジスタ回路、67…選択回路、68…位相関係検出回路、70,70A…オフセット決定部、80…クロック出力部、90…DA変換部。

Claims (13)

  1. 入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、
    同一の周期Tを有するクロック信号CKXA,クロック信号CKXBおよびクロック信号CKを入力するとともに、前記デジタル信号を入力して、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、前記クロック信号CKXAが指示する時刻tXAでの前記デジタル信号の値DXA(n)、前記クロック信号CKXBが指示する時刻tXBでの前記デジタル信号の値DXB(n)、および、前記クロック信号CKが指示する時刻tでの前記デジタル信号の値D(n)、をサンプリングしホールドして出力するサンプラ部と(ただし、tXA<tXB<t、nは整数)、
    各期間T(n)において、前記サンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、「D(n-2)≠D(n-1)」である場合に、値D(n-1),値DXA(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKXAにより指示される時刻と前記デジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第1先後関係」という。)を検出し、「D(n-2)=D(n-1)」である場合に、値D(n-1),値DXB(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKXBにより指示される時刻と前記デジタル信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第2先後関係」という。)を検出し、前記第1先後関係および前記第2先後関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相関係を検出する検出部と、
    前記検出部により検出された前記第1先後関係および前記第2先後関係に基づいて、「D(n-2)≠D(n-1)」である場合に前記クロック信号CKXAにより指示される時刻が前記デジタル信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、「D(n-2)=D(n-1)」である場合に前記クロック信号CKXBにより指示される時刻が前記デジタル信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、前記クロック信号CKXAおよび前記クロック信号CKXBそれぞれのタイミングの間の間隔2τを決定するタイミング決定部と、
    前記検出部により検出された前記位相関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、前記タイミング決定部により決定されたタイミングに従って、「tXA=t−T/2−τ」および「tXB=t−T/2+τ」なる関係を満たす前記クロック信号CKXA,前記クロック信号CKXBおよび前記クロック信号CKを前記サンプラ部へ出力するクロック出力部と、
    を備えることを特徴とするクロックデータ復元装置。
  2. 前記検出部は、
    「D(n-2)≠D(n-1)」である場合に、「D(n-1)≠DXA(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPA信号、および、「D(n-1)=DXA(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNA信号を、前記第1先後関係を表す信号として出力する第1先後関係検出回路と、
    「D(n-2)=D(n-1)」である場合に、「D(n-1)≠DXB(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPB信号、および、「D(n-1)=DXB(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNB信号を、前記第2先後関係を表す信号として出力する第2先後関係検出回路と、
    前記UPA信号と前記UPB信号との論理和を表すUP信号、および、前記DNA信号と前記DNB信号との論理和を表すDN信号を、前記位相関係を表す信号として出力する位相関係検出回路と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載のクロックデータ復元装置。
  3. 前記タイミング決定部は、「DNA+UPB」の累積加算値cntINSIDEおよび「UPA++UPB+DNA+DNB」の累積加算値cntEDGEの比(cntINSIDE/cntEDGE)と値0.5との差が基準値以下になるように、前記クロック信号CKXA,前記クロック信号CKXBおよび前記クロック信号CKそれぞれのタイミングを決定する、ことを特徴とする請求項2記載のクロックデータ復元装置。
  4. 前記クロック出力部は、
    前記UP信号および前記DN信号に基づいて周期Tまたは位相を調整した基準クロック信号を発生する基準クロック発生回路と、
    前記タイミング決定部により決定されたタイミングに従って所要の遅延を前記基準クロック信号に付与して、前記クロック信号CKXA,前記クロック信号CKXBおよび前記クロック信号CKを生成し、これらの信号を出力する遅延付与回路と、
    を含むことを特徴とする請求項3記載のクロックデータ復元装置。
  5. 入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、
    同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、前記デジタル信号を入力して、前記デジタル信号にオフセット(−Voff)を付与して第1信号を生成し、前記デジタル信号にオフセット(+Voff)を付与して第2信号を生成し、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、前記クロック信号CKXが指示する時刻tでの前記第1信号の値DXA(n)および前記第2信号の値DXB(n)、ならびに、前記クロック信号CKが指示する時刻tでの前記デジタル信号の値D(n)、をサンプリングしホールドして出力するサンプラ部と(ただし、t<t、nは整数)、
    各期間T(n)において、前記サンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、値D(n-2)がハイレベルである場合に、値D(n-1),値DXA(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKXにより指示される時刻と前記第1信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第1先後関係」という。)を検出し、値D(n-2)がローレベルである場合に、値D(n-1),値DXB(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKXにより指示される時刻と前記第2信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第2先後関係」という。)を検出し、前記第1先後関係および前記第2先後関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相関係を検出する検出部と、
    前記検出部により検出された前記第1先後関係および前記第2先後関係に基づいて、値D(n-2)がハイレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、前記サンプラ部におけるオフセット付与量を決定するオフセット決定部と、
    前記検出部により検出された前記位相関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、「t−t=T/2」なる関係を満たす前記クロック信号CKXおよび前記クロック信号CKを前記サンプラ部へ出力するクロック出力部と、
    を備えることを特徴とするクロックデータ復元装置。
  6. 入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、
    同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、前記デジタル信号を入力して、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、前記クロック信号CKXが指示する時刻tでの前記デジタル信号の値を、それぞれ+Voffおよび−Voffオフセットされた閾値でサンプリングしホールドしてDXA(n)およびDXB(n)としてそれぞれ出力し、前記クロック信号CKが指示する時刻tでの前記デジタル信号の値D(n)をサンプリングしホールドして出力するサンプラ部と(ただし、t<t、nは整数)、
    各期間T(n)において、前記サンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、値D(n-2)がハイレベルである場合に、値D(n-1),値DXA(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKXにより指示される時刻と前記第1信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第1先後関係」という。)を検出し、値D(n-2)がローレベルである場合に、値D(n-1),値DXB(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKXにより指示される時刻と前記第2信号の値の遷移時刻との間の先後関係(以下「第2先後関係」という。)を検出し、前記第1先後関係および前記第2先後関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相関係を検出する検出部と、
    前記検出部により検出された前記第1先後関係および前記第2先後関係に基づいて、値D(n-2)がハイレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、前記サンプラ部におけるオフセット付与量を決定するオフセット決定部と、
    前記検出部により検出された前記位相関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、「t−t=T/2」なる関係を満たす前記クロック信号CKXおよび前記クロック信号CKを前記サンプラ部へ出力するクロック出力部と、
    を備えることを特徴とするクロックデータ復元装置。
  7. 前記検出部は、
    値D(n-2)がハイレベルである場合に、「D(n-1)≠DXA(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPA信号、および、「D(n-1)=DXA(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNA信号を、前記第1先後関係を表す信号として出力する第1先後関係検出回路と、
    値D(n-2)がローレベルである場合に、「D(n-1)≠DXB(n)=D(n)」であるときに有意値となるUPB信号、および、「D(n-1)=DXB(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDNB信号を、前記第2先後関係を表す信号として出力する第2先後関係検出回路と、
    前記UPA信号と前記UPB信号との論理和を表すUP信号、および、前記DNA信号と前記DNB信号との論理和を表すDN信号を、前記位相関係を表す信号として出力する位相関係検出回路と、
    を含むことを特徴とする請求項5または6記載のクロックデータ復元装置。
  8. 前記オフセット決定部は、「D(n)(DNA+UPB)+~D(n)(UPA+DNB)」の累積加算値cntINSIDEおよび「UPA+UPB+DNA+DNB」の累積加算値cntEDGEの比(cntINSIDE/cntEDGE)と値0.5との差が基準値以下になるように、前記サンプラ部におけるオフセット付与量を決定する、ことを特徴とする請求項7記載のクロックデータ復元装置。
  9. 入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、
    同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、前記デジタル信号を入力して、前記デジタル信号にオフセット(−Voff)を付与して第1信号を生成し、前記デジタル信号にオフセット(+Voff)を付与して第2信号を生成し、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、前記クロック信号CKXが指示する時刻tでの前記第1信号の値DXA(n)および前記第2信号の値DXB(n)、ならびに、前記クロック信号CKが指示する時刻tでの前記デジタル信号の値D(n)、をサンプリングしホールドして出力するサンプラ部と(ただし、t<t、nは整数)、
    各期間T(n)において、前記サンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、値D(n-2)がハイレベルであるときに「DX(n)=DXA(n)」とし、値D(n-2)がローレベルであるときに「DX(n)=DXB(n)」として、値D(n-1),値DX(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相関係を検出する検出部と、
    値DX(n),値D(n-2),値D(n-1)および値D(n)に基づいて、値D(n-2)がハイレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、前記サンプラ部におけるオフセット付与量を決定するオフセット決定部と、
    前記検出部により検出された前記位相関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、「t−t=T/2」なる関係を満たす前記クロック信号CKXおよび前記クロック信号CKを前記サンプラ部へ出力するクロック出力部と、
    を備えることを特徴とするクロックデータ復元装置。
  10. 入力したデジタル信号に基づいてクロック信号およびデータを復元する装置であって、
    同一の周期Tを有するクロック信号CKXおよびクロック信号CKを入力するとともに、前記デジタル信号を入力して、当該周期の第nの期間T(n)それぞれにおいて、前記クロック信号CKXが指示する時刻tでの前記デジタル信号の値を、それぞれ+Voffおよび−Voffオフセットされた閾値でサンプリングしホールドしてDXA(n)およびDXB(n)としてそれぞれ出力し、前記クロック信号CKが指示する時刻tでの前記デジタル信号の値D(n)をサンプリングしホールドして出力するサンプラ部と(ただし、t<t、nは整数)、
    各期間T(n)において、前記サンプラ部から出力されたデジタル値DXA(n),デジタル値DXB(n)およびデジタル値D(n)を入力して、値D(n-2)がハイレベルであるときに「DX(n)=DXA(n)」とし、値D(n-2)がローレベルであるときに「DX(n)=DXB(n)」として、値D(n-1),値DX(n)および値D(n)に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相関係を検出する検出部と、
    値DX(n),値D(n-2),値D(n-1)および値D(n)に基づいて、値D(n-2)がハイレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第1信号の値の遷移時刻の分布の中心となるとともに、値D(n-2)がローレベルである場合に前記クロック信号CKXにより指示される時刻が前記第2信号の値の遷移時刻の分布の中心となるように、前記サンプラ部におけるオフセット付与量を決定するオフセット決定部と、
    前記検出部により検出された前記位相関係に基づいて、前記クロック信号CKと前記デジタル信号との間の位相差が小さくなるように周期Tまたは位相を調整し、「t−t=T/2」なる関係を満たす前記クロック信号CKXおよび前記クロック信号CKを前記サンプラ部へ出力するクロック出力部と、
    を備えることを特徴とするクロックデータ復元装置。
  11. 前記検出部は、
    値D(n-2)がハイレベルであるときに値DXA(n)を値DX(n)として出力し、値D(n-2)がローレベルであるときに値DXB(n)を値DX(n)として出力する選択回路と、
    「D(n-1)≠DX(n)=D(n)」であるときに有意値となるUP信号、および、「D(n-1)=DX(n)≠D(n)」であるときに有意値となるDN信号を、前記位相関係を表す信号として出力する位相関係検出回路と、
    を含むことを特徴とする請求項9または10に記載のクロックデータ復元装置。
  12. 前記オフセット決定部は、「{D(n)^D(n-1)}*{D(n-2)^DX(n)}」の累積加算値cntINSIDEおよび「D(n)^D(n-1)」の累積加算値cntEDGEの比(cntINSIDE/cntEDGE)と値0.5との差が基準値以下になるように、前記サンプラ部におけるオフセット付与量を決定する、ことを特徴とする請求項5,6,9および10の何れか1項に記載のクロックデータ復元装置。
  13. 前記クロック出力部は、前記UP信号および前記DN信号に基づいて周期Tまたは位相を調整して、前記クロック信号CKXおよび前記クロック信号CKを出力する、ことを特徴とする請求項7または11に記載のクロックデータ復元装置。
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